JPH0510678U - 蝶 番 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蝶番本体の軸筒部での上下調整構造を排除
し、蝶番本体が本来有すべき装飾性を維持する。 【構成】 蝶番本体の一方の羽根板が差込結合される受
部材１６は、掘込凹部１４に固定されるベース部２２と
羽根板取付部２４とから構成されている。羽根板取付部
２４は、ベース本体２２ａに嵌合されるスライダ支持プ
レート２８と、このスライダ支持プレート２８内に上下
方向にスライド可能に設定されるスライダ３０と、スラ
イダ３０に設けられる上下調整部材３２と、スライダ支
持プレート２８に固定されるスライダ押圧部材としての
固定ガイド３４と、スライダ支持プレート２８に連結さ
れるフロントカバー３６とから概略構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、蝶番本体の一方の羽根板を扉枠に固定される受部材に差し込んで 取り付けるタイプの蝶番に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

この種の蝶番では、例えば実公昭５８ー３６７７４号公報所載のもののように 、扉枠の掘込凹部に袋形態の受部材を固定し、受部材に蝶番本体の扉に固定され ない方の羽根板を水平方向に差し込んで弾性係合構造で仮止めするとともに、ね じで固定する構成となっている。差し込み後のねじ固定は、受部材に形成された ねじ孔に外方からねじ込むだけであるので着脱が容易であり、扉を上方に持ち上 げて軸ピンによる連結を外したり、あるいは木ねじを外して羽根板を取り外すも のに比べて作業性に優れる。

【０００３】 しかしながら、この種の蝶番では扉枠に形成される掘込凹部の精度によって、 左右方向、すなわち扉の横幅方向の取付誤差を生じ、取付作業の能率低下を来す 欠点があった。これに対処すべく、本出願人は、実願平２ー９４２０４号にて取 付後左右調整のできる構造のものを提案している。

【０００４】 また、蝶番では、扉の取付誤差を修正するために上下調整機能を要求されるが 、上下調整機能は、従来、例えば本出願人による実願平２ー８６４５７号所載の もののように、蝶番本体の軸ピンにねじ部材を螺合し、ねじ部材を軸筒部の外方 から回動操作してその螺合量の変化によって扉を上下させる形態となっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、蝶番はその大部分が目に触れる取付形態であるため、外観が重視さ れる今日においては、単に支持部材としの機能を有するだけでなく、少なくとも 扉との外観上の不釣り合いを生じないインテリア性が要求される。従って、蝶番 本体の軸筒部はその支持機能並びに支持強度に支障を来さない範囲でできるだけ 細い形状が望ましく、また、軸筒部の開口端を封口する装飾部材としてのいわゆ る儀星は、その装飾性を存分に発揮できる形状が望ましい。

【０００６】 しかしながら、上述のような従来のものでは、軸筒部並びに軸ピンによって上 下調整を行う構造であるため、軸筒部が必要以上に太くなって外観上の見栄えの 悪さを呈しており、また、蝶番の外観向上の要でもある儀星には外方からドライ バ等の操作具を挿入するための操作用孔が形成されるため、装飾性が著しく損な われ、全体として機能優先の度合いが大きく、外観の見劣りが避けられない現状 にある。

【０００７】 そこで、この考案は、軸筒部の径を必要以上に大きくすることなく上下調整を 行うことができ、よって外観の向上を図れる蝶番の提供をその目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記目的を達成すべく創案されたもので、その特徴は、受部材に は、上下方向にスライド可能に設けられるとともに羽根板が固定されるスライダ と、このスライダを駆動する上下調整部材とが設けられている構成にある。

【０００９】 また、この考案によれば、調整部材が、前記スライダに取り付けられ前記受部 材の外方から回動操作されるねじ軸と、このねじ軸に螺合される移動片と、この 移動片に当接して前記スライダを変位させる固定ガイドとから成る構成とするこ とができる。

【００１０】 また、この考案によれば、受部材が扉枠に固定されるベース部と、羽根板が差 し込まれる羽根板取付部とから成り、前記羽根板取付部は前記ベース部に対して 扉の左右方向の位置を調整可能に左右調整ねじで連結されている構成とすること ができる。

【００１１】

【作用】

この考案によれば、扉の取付後に上下方向の取付誤差が生じた場合、上下調整 部材が操作され、これによってスライダが誤差分移動して調整がなされる。

【００１２】 また、この考案によれば、受部材の外方からねじ軸が回動操作されると移動片 が移動し、移動片が固定ガイドに当接して上下方向に案内される。これによって スライダが変位し、調整がなされる。

【００１３】 また、この考案によれば、左右方向の取付誤差が生じた場合、左右調整ねじが 回動操作され、これによって羽根板取付部がベース部材に対して移動し、取付誤 差分の調整がなされる。

【００１４】

【実施例】

図１乃至図６はこの考案の一実施例を示す。扉枠２には蝶番４を介して扉６が 回動自在に取り付けられている。蝶番４は、一対の羽根板８，１０を有する蝶番 本体１２と、扉枠２の掘込凹部１４に固定される受部材１６とから構成されてい る。

【００１５】 羽根板８，１０の連結端には、例えばカーリング加工等の手段で軸筒部８ａ、 １０ａが形成されており、これらの軸筒部８ａ、１０ａに上下方向からから軸ピ ン１８，１８が挿通されて回動自在に連結されている。また、中央部位における 軸筒部８ａと軸筒部１０ａの間には、回動摩擦を減じるとともに消音を行う合成 樹脂製のカラー部材２０が設けられている。

【００１６】 軸ピン１８は、図３に示すように、軸筒部８ａ、１０ａ内に挿通されるピン本 体部１８ａと、このピン本体部１８ａに一体に形成される儀星１８ｂとから構成 されており、ピン本体部１８ａの基端部には、圧入固定するためのローレーット 面１８ｃが形成されている。扉６に固定される羽根板８には、固定ねじ２３の挿 通孔８ｂが適正位置に複数形成されている。羽根板８は、扉６の木口面６ａに略 面一に固定される。また、受部材１６に固定される羽根板１０には、受部材１６ に対する差込固定部１０ｂが縦幅を小さくして形成されており、この差込固定部 １０ｂには、固定ねじの挿通孔１０ｃが形成されているとともに、仮止めを行う ための係合孔１０ｄが形成されている。符号１０ｅは係合を円滑にするための薄 肉部を示す。

【００１７】 受部材１６は、掘込凹部１４に固定されるベース部２２と、羽根板１０が直接 取り付けられる羽根板取付部２４とから構成されている。ベース部２２は、掘込 凹部１４に嵌合する断面略コ字形のベース本体２２ａと、このベース本体２２ａ の上下端縁に連設される固定片２２ｂ，２２ｂと、ベース本体２２ａの上下端部 にリベットや溶接等の手段で固定される左右調整ベース２２ｃとから構成されて いる。固定片２２ｂには固定ねじ２６の挿通孔２２ｄが形成されており、左右調 整ベース２２ｃには、左右調整ねじ４６が螺合されるねじ孔２２ｅが形成されて いる。ベース部２２は、羽根板取付部２４の保持部材としてだけではなく、木質 系の扉枠２の補強材としての役割をなし、扉枠２に対する受部材１６の取付面積 の狭小化にも寄与するものである。

【００１８】 羽根板取付部２４は、ベース本体２２ａに嵌合されるスライダ支持プレート２ ８と、このスライダ支持プレート２８内に上下方向にスライド可能に設定される スライダ３０と、スライダ３０に設けられる上下調整部材３２と、スライダ支持 プレート２８に固定されるスライダ押圧部材としての固定ガイド３４と、スライ ダ支持プレート２８に連結されるフロントカバー３６とから概略構成されている 。

【００１９】 スライダ支持プレート２８は、断面略コ字形のプレート本体２８ａと、このプ レート本体２８ａの上下端縁に連設される接続片２８ｂ，２８ｂとから構成され ており、接続片２８ｂには、リベット３８の挿通孔２８ｃが形成されているとと もに、左右調整ねじ４６の挿通孔２８ｄが形成されている。接続片２８ｂは左右 調整ベース２２ｃに対向して当接する。

【００２０】 スライダ３０には、羽根板１０の差込固定部１０ｂを差し込む差込凹部３０ａ が形成されているとともに、細幅の溝３０ｂが形成されており、溝３０ｂには、 羽根板１０を差込後の仮止めを行う弾性係合片３０ｃが止めねじ３０ｄで固定さ れている。弾性係合片３０ｃが羽根板１０の差込固定部１０ｂの係合孔１０ｄに 係合することによって仮止めがなされる。符号３０ｅは止めねじ３０ｄのねじ孔 を示す。

【００２１】 また、スライダ３０の下半部には、上下調整部材３２が設置される切欠部３０ ｆが形成されている。上下調整部材３２は、切欠部３０ｆに横架されるねじ軸４ ０と、このねじ軸４０に螺合される移動片４２とから構成されている。ねじ軸４ ０には、スライダ３０の側面に臨む操作部４０ａが形成されている。この操作部 ４０ａはドライバや角スパナ等で回動できる形状を有する。移動片４２には斜面 ４２ａが形成されており、これに対応して固定ガイド３４には、ガイド斜面３４ ａが形成されている。また、スライダ３０の上下端部には、羽根板１０の差込固 定部１０ｂを固定する固定ねじ４４のねじ孔３０ｇが形成されている。

【００２２】 フロントカバー３６は断面略コ字形に形成されており、一側には羽根板１０の 差込用孔３６ａが形成されているとともに、略中央部位には上下調整部材３２の 操作用孔３６ｂが形成されている。また、前面には上下位置をもって固定ねじ４ ４の取付用孔３６ｃが形成されているとともに、弾性係合片３０ｃの係合解除操 作用孔３６ｄが形成されている。符号３６ｅはリベット３８の挿通孔を示してい る。

【００２３】 また、この例では左右方向の位置調整を行うための左右調整ねじ４６がスライ ダ支持プレート２８とフロントカバー３６との間に設けられている。フロントカ バー３６には、左右調整ねじ４６を回動操作するための操作用孔３６ｆが形成さ れている。操作用孔３６ｆは左右調整ねじ４６の頭部より径小に形成されており 、これによって左右調整ねじ４６は抜け止めされる。

【００２４】 次に蝶番４の調整動作を説明する。図４ではスライダ支持プレート２８とスラ イダ３０との間に上方に隙間ｄ₁ が存在する。この状態から扉６を上方に寸法ｄ ₂ 分の調整が必要である場合、上下調整部材３２のねじ軸４０が所定方向に回動 操作される。ねじ軸４０が回動されると、図５に示すように、移動片４２が矢印 Ｌ方向に移動する。移動片４２が移動すると、移動片４２の斜面４２ａと固定ガ イド３４のガイド斜面３４との押圧作用によってスライダ３０が上方に移動し、 これによって扉６の上方向への寸法ｄ₂ 分の調整がなされる。下方向への調整は ねじ軸４０を逆回動することによってなされる。なお、移動片４２並びに固定ガ イド３４の斜面の傾斜角度は、操作力と受部材１６の寸法設定等の観点から適宜 に決定されるものである。

【００２５】 左右方向の調整が必要な場合には、図６に示される左右調整ねじ４６の左右調 整ベース２２ｃに対する螺合量を変化させる。これによってベース部２２に対す る羽根板取付部２４の位置が調整され、扉６の左右方向の位置調整がなされる。

【００２６】 以上の通り、この例によれば、受部材１６によって上下調整並びに左右調整を 行うことができる。これによって軸筒部８ａ、１０ａの径を必要以上に大きくす る必要がなく、また、儀星１８ｂの形状が調整機能に左右されないので、蝶番本 体１２ひいては蝶番４の外観の見劣りを回避することができる。また、上下調整 構造と左右調整構造が蝶番本体１２と受部材１６とに分散されないので、製作の 容易化と操作性の容易化を図ることができる。

【００２７】 なお、上記例では各構成要素を特定の形状をもって示したが、これに限られる ものではなく、上記調整機能を得られる範囲で適宜に設計変更できるものである 。

【００２８】

【考案の効果】

この考案によれば、上下調整を受部材によって行えるので、軸筒部並びに儀星 の形状が調整機能に左右されず、よって外観の見劣りないし扉とのインテリア性 上の不釣り合いを回避することができる。

【００２９】 また、この考案によれば、上下調整部材のねじ軸を受部材の外方から回動操作 するだけで上下調整を行うことができるので操作が容易となり、よって操作性の 向上を図ることができる。

【００３０】 また、この考案によれば、上下調整構造と左右調整構造が蝶番本体と受部材と に分散されないので、製作の容易化と操作性の容易化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る蝶番の一実施例を示す使用状態
の斜視図である。

【図２】受部材の分解斜視図である。

【図３】蝶番本体の一部切欠の側面図である。

【図４】上下調整前の状態を示す概要断面図である。

【図５】上下調整後の状態を示す概要断面図である。

【図６】図１におけるＶーＶ線での概要断面図である。

【符号の説明】

２ 扉枠 ６ 扉 ８，１０ 羽根板 ８ａ，１０ａ 軸筒部 １２ 蝶番本体 １４ 掘込凹部 １６ 受部材 １８ 軸ピン ２２ ベース部 ２４ 羽根板取付部 ３０ スライダ ３２ 上下調整部材 ３４ 固定ガイド ４０ ねじ軸 ４２ 移動片 ４６ 左右調整ねじ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸筒部を有する一対の羽根板が前記軸筒
   部に軸ピンを挿通されて回動自在に連結された蝶番本体
   と、扉枠の掘込凹部に固定される受部材とが備えられ、
   一方の羽根板を扉に固定するとともに他方の羽根板を前
   記受部材に着脱自在に取り付けるようにした蝶番におい
   て、 前記受部材には、上下方向にスライド可能に設けられ羽
   根板が固定されるスライダと、このスライダを駆動する
   上下調整部材とが設けられていることを特徴とする蝶
   番。
2. 【請求項２】 前記上下調整部材が、前記スライダに取
   り付けられ前記受部材の外方から回動操作されるねじ軸
   と、このねじ軸に螺合される移動片と、この移動片に当
   接して前記スライダを変位させる固定ガイドとから構成
   されている請求項１記載の蝶番。
3. 【請求項３】 前記受部材が扉枠に固定されるベース部
   と、羽根板が差し込まれる羽根板取付部とから成り、前
   記羽根板取付部は前記ベース部に対して扉の左右方向の
   位置を調整可能に左右調整ねじで連結されている請求項
   １又は２記載の蝶番。