JPH0510640Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば植物の組織培養における組織
の分離作業等に用いる無菌箱の改良に関するもの
である。

（従来の技術） 従来の無菌箱の一例を第３図に示す、この無菌
箱は、透明窓２を有する開閉自在の密閉箱１の前
面に手袋付きの手抜き３，３を設けると共に、内
部に殺菌灯４を取付けて成るものである。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来の無菌箱においては、その内部を無菌
状態にして植物組織の分離作業等を行う。分離す
る組織片が大きく、肉眼で容易に観察できる場合
には、この無菌箱内で難なく作業を行うことがで
きる。ところが、取り扱う組織片等が小さく、肉
眼での観察が困難である場合には、顕微鏡を用い
る必要がある。しかしながら、従来の無菌箱にお
いては、その内部に顕微鏡を設置して作業を行う
ことができないので、通常はこの無菌箱を設置し
た部屋自体を無菌室とし、顕微鏡を用いる作業は
無菌箱の外で行つている。ところが、無菌室の設
備は大掛かりで大きな費用を要するので、個人あ
るいは学校等における実験用の設備としては採用
が困難であるという問題点がある。

本考案は、上記従来の問題点を解決し、内部に
おいて顕微鏡を用いた微小組織の分離作業も行え
る簡易な無菌箱を提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記従来の問題点を解決するため、
透明窓１３を備えた開閉可能な密閉箱１１に除菌
空気送り装置１９と、殺菌灯２０と、左右一対の
手袋１４ａ付き手抜き１４とを設けると共に、両
手抜き１４，１４の中間部に位置して密閉箱１１
内に顕微鏡設置部１７を設け、かつこの顕微鏡設
置部１７の上方に位置して透明窓１３に顕微鏡１
８の鏡筒部１８ｂを外部に突出させるための開閉
自在の開口１５を設けて無菌箱を構成した。

（作用） 本考案の無菌箱においては、例えば使用に先立
つて、内部の顕微鏡設置部１７上に顕微鏡１８を
設置し、殺菌灯２０を一晩点灯して内部を殺菌し
ておく。組織の分離作業等は、手抜き１４に手を
差し込んで、密閉箱１１内で行うが、このとき殺
菌灯２０は消灯し、代わりに除菌空気送り装置１
９を動作させて密閉箱１１内を陽圧にし、外部の
雑菌の侵入を防止する。肉眼での観察が困難な場
合には、顕微鏡１８を覗きながら作業を行うこと
になる。顕微鏡１８の鏡筒部１８ｂは、開口１５
から密閉箱１１外に突出しているので、外部から
自由に観察することができる。顕微鏡１８の操作
は密閉箱１１内で行う。開口１５と鏡筒１８ｂと
の間には隙間ができるが、密閉箱１１内は陽圧に
なつているので、ここから雑菌が入り込むことは
ない。

（実施例） 第１図、第２図に本考案の一実施例を示す。同
図において、密閉箱１１は透明合成樹脂板を組立
て成り、前面側下部には垂直の前面板１２を、ま
た上部には傾斜した透明窓１３を夫々備えてい
る。前面板１２の両側部には、手袋１４ａ付きの
手抜き１４が設けられており、また透明窓１３に
は、手抜き１４，１４間に位置して開口１５が形
成されている。この開口１５は、閉鎖板１６をガ
イド１５ａ，１５ａに抜き差しすることによつて
開閉自在である。

密閉箱１１の底部上には、前記開口１５の真下
に位置して顕微鏡設置部１７が設けられている。

顕微鏡１８は、密閉箱１１内の顕微鏡設置部１
７上に設置され、手抜き４から手を挿入して操作
部１８ａ操作可能である。顕微鏡１８の鏡筒部１
８ｂは透明窓１３の開口１５から外部に突出して
おり、外部から接眼レンズを覗くことができる。

除菌空気送り装置１９は、密閉箱１１の上部に
設けられており、外気を除菌して密閉箱１１内に
送り、内部を陽圧に保つためのものである。

殺菌灯２０は、密閉箱１１内の上部に設けられ
ており、密閉箱１１内を殺菌処理するためのもの
であり、作業時には消灯される。

照明灯２１は殺菌灯２０に隣接して密閉箱１１
内の上部に設けられており、作業時に密閉箱１１
内を照光するものである。

次にこの実施例の無菌箱の作用を説明する。こ
の実施例の無菌箱を使用するに当つては、例え
ば、予め内部の顕微鏡設置部１７上に顕微鏡１８
を設置し、一晩殺菌灯２０を点灯して密閉箱１１
内を殺菌しておく。作業時には殺菌灯２０を消灯
し、代わつて照明灯２１を点灯すると共に、除菌
空気送り装置１９を動作させ、密閉箱１１内を陽
圧にして作業を行う。こうすると、開口１５と顕
微鏡１８の鏡筒部１８ｂとの隙間等から雑菌が侵
入することがない。密閉箱１１内の作業は手抜き
４から手を挿入して行い、微小な植物組織の分離
作業等は顕微鏡１８を覗いて行う。顕微鏡１８の
鏡筒部１８ｂは、開口１５から密閉箱１１外に突
出しているので、外部から自由に観察することが
できる。また、必要に応じ、顕微鏡１８を取り去
り、開口１５を閉鎖板１６で塞いで、通常の無菌
箱として使用することもできる。

（考案の効果） 以上のように、本考案においては、透明窓１３
を備えた開閉可能な密閉箱１１に除菌空気送り装
置１９と、殺菌灯２０と、左右一対の手袋１４ａ
付き手抜き１４とを設けると共に、両手抜き１
４，１４の中間部に位置して密閉箱１１内に顕微
鏡設置部１７を設け、かつこの顕微鏡設置部１７
の上方に位置して透明窓１３に顕微鏡１８の鏡筒
部１８ｂを外部に突出させるための開閉自在の開
口１５を設けて無菌箱を構成したため、構造が簡
単で安価に得られ、無菌箱内で自由に顕微鏡を用
いて作業を行うことができるので、高価な無菌室
の設備がなくても顕微鏡を用いた組織の無菌分離
作業等を行うことができ、個人や学校等における
実験的使用に極めて好都合であるという効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の一実施例を示すもの
で、第１図は無菌箱の斜視図、第２図は無菌箱の
断面図であり、第３図は従来の無菌箱の斜視図で
ある。 １１……密閉箱、１３……透明窓、１４……手
抜き、１４ａ……手袋、１５……開口、１７……
顕微鏡設置部、１８……顕微鏡、１８ｂ……鏡筒
部、１９……除菌空気送り装置、２０……殺菌
灯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 透明窓を備えた開閉可能な密閉箱に除菌空気送
   り装置と、殺菌灯と、左右一対の手袋付き手抜き
   とを設けると共に、両手抜きの中間部に位置して
   前記密閉箱内に顕微鏡設置部を設け、かつ顕微鏡
   設置部の上方に位置して前記透明窓に顕微鏡の鏡
   筒部を外部に突出させるための開閉自在の開口を
   設けたことを特徴とする組織培養用無菌箱。