JPH05106000A - 珪素含有鋼板の溶融亜鉛めつき方法 - Google Patents
珪素含有鋼板の溶融亜鉛めつき方法Info
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- JPH05106000A JPH05106000A JP3266134A JP26613491A JPH05106000A JP H05106000 A JPH05106000 A JP H05106000A JP 3266134 A JP3266134 A JP 3266134A JP 26613491 A JP26613491 A JP 26613491A JP H05106000 A JPH05106000 A JP H05106000A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】Siを 0.2重量％以上含有する珪素含有鋼板に溶
融亜鉛めっきを行うに際し、鋼板の表面に、あらかじ
め、Feとして 0.2g/m2以上の酸化鉄を形成させ、次い
で、 500〜900 ℃の温度域で焼鈍した後、有効Alを0.03
〜0.08重量％、Niを 0.004〜0.04重量％含有する溶融亜
鉛浴に浸漬してめっきすることを特徴とする鋼板の溶融
亜鉛めっき方法。 【効果】不めっきのない表面品質に優れた溶融亜鉛めっ
き鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板を能率よく製造する
ことができる。
融亜鉛めっきを行うに際し、鋼板の表面に、あらかじ
め、Feとして 0.2g/m2以上の酸化鉄を形成させ、次い
で、 500〜900 ℃の温度域で焼鈍した後、有効Alを0.03
〜0.08重量％、Niを 0.004〜0.04重量％含有する溶融亜
鉛浴に浸漬してめっきすることを特徴とする鋼板の溶融
亜鉛めっき方法。 【効果】不めっきのない表面品質に優れた溶融亜鉛めっ
き鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板を能率よく製造する
ことができる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、珪素含有鋼板を母材と
する不めっきのない表面品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼
板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる溶融亜鉛
めっき方法に関する。
する不めっきのない表面品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼
板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる溶融亜鉛
めっき方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、家電、建材、自動車等の産業分野
においては溶融亜鉛めっき鋼板が大量に使用されている
が、とりわけ経済性とその防錆機能および塗装後の性能
に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いられてい
る。
においては溶融亜鉛めっき鋼板が大量に使用されている
が、とりわけ経済性とその防錆機能および塗装後の性能
に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いられてい
る。
【０００３】溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、適当な脱脂
洗浄工程を経た後、もしくは脱脂洗浄を経ることなく、
鋼板を弱酸化性雰囲気中もしくは還元性雰囲気中で予熱
した後、水素＋窒素の還元性雰囲気中で焼鈍し、次い
で、めっきに適した温度まで冷却した後、溶融亜鉛に浸
漬することにより製造される。焼鈍の前工程の予熱時に
は鋼板表面に80nm程度の厚さの酸化膜が形成される方が
溶融亜鉛との濡れ性の点から望ましいとされており、そ
れ以上の厚さの酸化膜の形成はむしろドロスの発生や溶
融めっきの密着性に悪影響を及ぼすと考えられている。
亜鉛浴は後述の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造の範囲
も含めると0.08〜0.18重量％のAlを含むものが用いられ
ている。
洗浄工程を経た後、もしくは脱脂洗浄を経ることなく、
鋼板を弱酸化性雰囲気中もしくは還元性雰囲気中で予熱
した後、水素＋窒素の還元性雰囲気中で焼鈍し、次い
で、めっきに適した温度まで冷却した後、溶融亜鉛に浸
漬することにより製造される。焼鈍の前工程の予熱時に
は鋼板表面に80nm程度の厚さの酸化膜が形成される方が
溶融亜鉛との濡れ性の点から望ましいとされており、そ
れ以上の厚さの酸化膜の形成はむしろドロスの発生や溶
融めっきの密着性に悪影響を及ぼすと考えられている。
亜鉛浴は後述の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造の範囲
も含めると0.08〜0.18重量％のAlを含むものが用いられ
ている。
【０００４】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、前記のよう
にして連続的に溶融亜鉛めっきを施した鋼板を熱処理炉
で 500〜600 ℃の材料温度に３〜30秒加熱し、亜鉛層と
鋼板素地との間でZnとFeの相互拡散を行わせ、めっき層
をFe−Zn合金とすることにより製造される。従って、合
金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層はFe−Znの金属間化
合物からなり、一般にその平均Fe濃度は８〜12重量％に
なるように調整されている。
にして連続的に溶融亜鉛めっきを施した鋼板を熱処理炉
で 500〜600 ℃の材料温度に３〜30秒加熱し、亜鉛層と
鋼板素地との間でZnとFeの相互拡散を行わせ、めっき層
をFe−Zn合金とすることにより製造される。従って、合
金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層はFe−Znの金属間化
合物からなり、一般にその平均Fe濃度は８〜12重量％に
なるように調整されている。
【０００５】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき付着量
は通常片面当たり25〜70g/m2であり、25g/m2を下回るも
のは通常の手段において製造することが難しく、70g/m2
を上回るものはめっき層の耐パウダリング性を確保する
ことが困難であることから一般には供給されていない。
また、めっき皮膜中には通常0.12〜0.2 重量％前後のAl
が含有されていることが多い。これは合金化溶融亜鉛め
っき鋼板と同一設備で製造される通常の溶融亜鉛めっき
鋼板のめっき層と鋼の界面における合金層の生成を抑制
し、めっき皮膜の加工性を保持するためにめっき浴に添
加されるAlが不可避的にめっき皮膜中に混入することも
あるが、通常、合金化溶融亜鉛めっき皮膜の耐パウダリ
ング性を確保し、かつ製造時のドロスの発生を抑制する
うえからもめっき浴中に0.08〜0.11重量％程度のAlを混
入させることがむしろ適当であると考えられている。め
っき浴中のAlはめっき層中に富化する傾向があるため、
0.08〜0.11重量％程度のAlを含むめっき浴でめっきを行
うと、めっき皮膜中のAl濃度は0.12〜0.2 重量％の範囲
となる。
は通常片面当たり25〜70g/m2であり、25g/m2を下回るも
のは通常の手段において製造することが難しく、70g/m2
を上回るものはめっき層の耐パウダリング性を確保する
ことが困難であることから一般には供給されていない。
また、めっき皮膜中には通常0.12〜0.2 重量％前後のAl
が含有されていることが多い。これは合金化溶融亜鉛め
っき鋼板と同一設備で製造される通常の溶融亜鉛めっき
鋼板のめっき層と鋼の界面における合金層の生成を抑制
し、めっき皮膜の加工性を保持するためにめっき浴に添
加されるAlが不可避的にめっき皮膜中に混入することも
あるが、通常、合金化溶融亜鉛めっき皮膜の耐パウダリ
ング性を確保し、かつ製造時のドロスの発生を抑制する
うえからもめっき浴中に0.08〜0.11重量％程度のAlを混
入させることがむしろ適当であると考えられている。め
っき浴中のAlはめっき層中に富化する傾向があるため、
0.08〜0.11重量％程度のAlを含むめっき浴でめっきを行
うと、めっき皮膜中のAl濃度は0.12〜0.2 重量％の範囲
となる。
【０００６】ところで、従来、溶融亜鉛めっき鋼板およ
び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材には、主として低炭
素Alキルド鋼板、極低炭素Ti添加鋼板等が用いられてい
たが、近年、自動車材料の高強度化が要求されることも
あり、Siを 0.2重量％以上含有する珪素含有鋼板が用い
られようとしている。Siは鋼の延性を損なわずに強度を
向上させる利点があり、その意味では珪素含有鋼板は自
動車用高強度材料として有望である。
び合金化溶融亜鉛めっき鋼板の母材には、主として低炭
素Alキルド鋼板、極低炭素Ti添加鋼板等が用いられてい
たが、近年、自動車材料の高強度化が要求されることも
あり、Siを 0.2重量％以上含有する珪素含有鋼板が用い
られようとしている。Siは鋼の延性を損なわずに強度を
向上させる利点があり、その意味では珪素含有鋼板は自
動車用高強度材料として有望である。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、珪素含
有鋼板を母材とする溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶
融亜鉛めっき鋼板は以下に述べるように品質面および生
産面で問題がある。
有鋼板を母材とする溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶
融亜鉛めっき鋼板は以下に述べるように品質面および生
産面で問題がある。
【０００８】珪素含有鋼板を前述の通常のプロセスで溶
融亜鉛めっきすると、めっき前の焼鈍過程でその雰囲気
中の極微量の水分と鋼板中のSiが反応し、Si−Oxide を
鋼板表面に形成するため、鋼中のSi濃度の増加とともに
溶融亜鉛との濡れ性が急激に低下する。特に、鋼板の成
形性を向上させるためにTiを添加した極低炭素鋼をベー
スとして、これにSiを添加した鋼板の場合は、再結晶化
のための焼鈍温度が 800℃以上と高温になるため、鋼板
表面へのSi−Oxide の析出が一層顕著になり濡れ性の確
保がさらに困難となる。その結果、不めっきが多発す
る。
融亜鉛めっきすると、めっき前の焼鈍過程でその雰囲気
中の極微量の水分と鋼板中のSiが反応し、Si−Oxide を
鋼板表面に形成するため、鋼中のSi濃度の増加とともに
溶融亜鉛との濡れ性が急激に低下する。特に、鋼板の成
形性を向上させるためにTiを添加した極低炭素鋼をベー
スとして、これにSiを添加した鋼板の場合は、再結晶化
のための焼鈍温度が 800℃以上と高温になるため、鋼板
表面へのSi−Oxide の析出が一層顕著になり濡れ性の確
保がさらに困難となる。その結果、不めっきが多発す
る。
【０００９】このような問題に対して、予め酸化雰囲気
で鋼板を加熱し、その表面に酸化鉄を形成させることに
より濡れ性が改善されることが知られている。しかし、
Si含有量が 0.2重量％以上の鋼板の場合には、通常の溶
融亜鉛めっきプロセスにおける酸化雰囲気、例えば無酸
化炉の空燃比を１〜1.35とする酸化雰囲気での予熱では
濡れ性が改善されるまでの十分な酸化鉄が形成されない
ばかりか、めっき後に合金化処理する場合の合金化速度
が著しく遅く、生産能率が大きく阻害されるという欠点
がある。
で鋼板を加熱し、その表面に酸化鉄を形成させることに
より濡れ性が改善されることが知られている。しかし、
Si含有量が 0.2重量％以上の鋼板の場合には、通常の溶
融亜鉛めっきプロセスにおける酸化雰囲気、例えば無酸
化炉の空燃比を１〜1.35とする酸化雰囲気での予熱では
濡れ性が改善されるまでの十分な酸化鉄が形成されない
ばかりか、めっき後に合金化処理する場合の合金化速度
が著しく遅く、生産能率が大きく阻害されるという欠点
がある。
【００１０】また、溶融亜鉛との濡れ性を改善する別の
方法として、溶融めっきに先だって鋼板の表面にNi、Fe
等の金属を下地めっきする方法も知られているが、この
方法はコストの上昇を招くほか、Si含有量の高い鋼板で
は十分な効果が得られず、さらに、Si含有量の高い鋼板
の場合には均一な合金化処理が非常に難しいという問題
がある。
方法として、溶融めっきに先だって鋼板の表面にNi、Fe
等の金属を下地めっきする方法も知られているが、この
方法はコストの上昇を招くほか、Si含有量の高い鋼板で
は十分な効果が得られず、さらに、Si含有量の高い鋼板
の場合には均一な合金化処理が非常に難しいという問題
がある。
【００１１】このようなことから、自動車用高強度材料
として魅力のある珪素含有鋼板もこれを溶融亜鉛めっき
ないしは合金化処理する合理的な手段を欠いているのが
実情である。
として魅力のある珪素含有鋼板もこれを溶融亜鉛めっき
ないしは合金化処理する合理的な手段を欠いているのが
実情である。
【００１２】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであって、珪素含有鋼板を母材とする不めっきの
ない表面品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を能率よく製造することができる溶
融亜鉛めっき方法を提供することを目的とする。
たものであって、珪素含有鋼板を母材とする不めっきの
ない表面品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を能率よく製造することができる溶
融亜鉛めっき方法を提供することを目的とする。
【００１３】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、珪素含有
鋼板の溶融亜鉛めっきにおける鋼板と溶融亜鉛との濡れ
性に関して検討した結果、焼鈍前の予熱段階で鋼板表面
に酸化鉄を形成させることが、還元焼鈍後の鋼板の溶融
亜鉛との濡れ性の改善に有効であることを確認した。し
かしながら、鋼中のSi含有量の増加に伴い鋼板表面にお
ける酸化速度が大きく低下するため、従来の溶融めっき
プロセスで採用されている無酸化炉方式等の酸化力では
到底酸化が進まず、酸化鉄の形成に限界がある。即ち、
珪素含有鋼板では鋼板予熱過程での望ましい酸化鉄量が
Feに換算して0.5g/m2 であるにもかかわらず、従来の技
術では0.05〜0.25g/m2程度の酸化鉄量しか得られない。
鋼板の溶融亜鉛めっきにおける鋼板と溶融亜鉛との濡れ
性に関して検討した結果、焼鈍前の予熱段階で鋼板表面
に酸化鉄を形成させることが、還元焼鈍後の鋼板の溶融
亜鉛との濡れ性の改善に有効であることを確認した。し
かしながら、鋼中のSi含有量の増加に伴い鋼板表面にお
ける酸化速度が大きく低下するため、従来の溶融めっき
プロセスで採用されている無酸化炉方式等の酸化力では
到底酸化が進まず、酸化鉄の形成に限界がある。即ち、
珪素含有鋼板では鋼板予熱過程での望ましい酸化鉄量が
Feに換算して0.5g/m2 であるにもかかわらず、従来の技
術では0.05〜0.25g/m2程度の酸化鉄量しか得られない。
【００１４】この問題についてさらに検討を加えた結
果、めっき浴中の有効Al濃度をかなり低く設定すること
により鋼板の溶融亜鉛との濡れ性が大幅に改善され、更
に、めっき浴中に微量のNiを共存させることにより合金
化が促進されることを見出した。
果、めっき浴中の有効Al濃度をかなり低く設定すること
により鋼板の溶融亜鉛との濡れ性が大幅に改善され、更
に、めっき浴中に微量のNiを共存させることにより合金
化が促進されることを見出した。
【００１５】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたもので、その要旨は、『Siを 0.2重量％以上含有す
る鋼板の表面に、予め、Feとして 0.2g/m2以上の酸化鉄
を形成させ、次いで、非酸化性雰囲気中で 500〜900 ℃
の温度域で焼鈍した後、有効Alを0.03〜0.08重量％、Ni
を 0.004〜0.04重量％含有する溶融亜鉛浴に浸漬してめ
っきすることを特徴とする珪素含有鋼板の溶融亜鉛めっ
き方法』にある。
れたもので、その要旨は、『Siを 0.2重量％以上含有す
る鋼板の表面に、予め、Feとして 0.2g/m2以上の酸化鉄
を形成させ、次いで、非酸化性雰囲気中で 500〜900 ℃
の温度域で焼鈍した後、有効Alを0.03〜0.08重量％、Ni
を 0.004〜0.04重量％含有する溶融亜鉛浴に浸漬してめ
っきすることを特徴とする珪素含有鋼板の溶融亜鉛めっ
き方法』にある。
【００１６】
【作用】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【００１７】本発明の溶融亜鉛めっき方法は、Siを 0.2
重量％以上含有する鋼板を対象とする。これは、Si含有
量が 0.2重量％未満の鋼板では、前述した通常の溶融亜
鉛めっき方法、即ち、鋼板を弱酸化性雰囲気焼鈍炉中も
しくは還元性雰囲気焼鈍炉中で予熱した後、水素＋窒素
の還元性雰囲気中で焼鈍し、めっきに適した温度まで冷
却した後、溶融亜鉛浴に浸漬して溶融亜鉛めっきする方
法でも不めっきのない製品が得られるが、Siの含有量が
0.2重量％以上の鋼板の場合は、この溶融亜鉛めっき方
法では不めっきが発生し、品質の優れた製品を得ること
ができないからである。
重量％以上含有する鋼板を対象とする。これは、Si含有
量が 0.2重量％未満の鋼板では、前述した通常の溶融亜
鉛めっき方法、即ち、鋼板を弱酸化性雰囲気焼鈍炉中も
しくは還元性雰囲気焼鈍炉中で予熱した後、水素＋窒素
の還元性雰囲気中で焼鈍し、めっきに適した温度まで冷
却した後、溶融亜鉛浴に浸漬して溶融亜鉛めっきする方
法でも不めっきのない製品が得られるが、Siの含有量が
0.2重量％以上の鋼板の場合は、この溶融亜鉛めっき方
法では不めっきが発生し、品質の優れた製品を得ること
ができないからである。
【００１８】本発明方法においては、鋼板表面における
酸化物の形成は連続炉の予熱段階（通常は、無酸化炉を
使用）で行う。酸化鉄量は、Feとして、即ち、酸化鉄に
含まれる鉄の量で表して 0.2g/m2未満では溶融亜鉛との
濡れ性が悪く、不めっきが多発しやすくなるので、 0.2
g/m2以上とすることが必要であり、望ましい範囲は 0.5
g/m2以上である。酸化鉄量の上限は特に定めないが、５
g/m2以上になると効果が飽和する上、通板中に酸化鉄が
剥離しやすくなる。望ましいのは２g/m2以下である。珪
素含有鋼板の表面に、無酸化炉を使用する通常の工程で
酸化鉄を大量に形成させることは困難であるが、例え
ば、酸素の分圧が全圧に対して0.05〜0.4である酸化性
雰囲気で 550℃以上に加熱することにより達成される。
酸化物の形成は連続炉の予熱段階（通常は、無酸化炉を
使用）で行う。酸化鉄量は、Feとして、即ち、酸化鉄に
含まれる鉄の量で表して 0.2g/m2未満では溶融亜鉛との
濡れ性が悪く、不めっきが多発しやすくなるので、 0.2
g/m2以上とすることが必要であり、望ましい範囲は 0.5
g/m2以上である。酸化鉄量の上限は特に定めないが、５
g/m2以上になると効果が飽和する上、通板中に酸化鉄が
剥離しやすくなる。望ましいのは２g/m2以下である。珪
素含有鋼板の表面に、無酸化炉を使用する通常の工程で
酸化鉄を大量に形成させることは困難であるが、例え
ば、酸素の分圧が全圧に対して0.05〜0.4である酸化性
雰囲気で 550℃以上に加熱することにより達成される。
【００１９】表面に酸化鉄を形成させた鋼板を水素を含
む非酸化性雰囲気中 500〜900 ℃で焼鈍するが、これは
従来の方法に準じて行えばよい。 500℃未満では還元が
不十分であり、 900℃を超えるとフェライトの結晶粒が
異常成長し、機械的特性が低下する他、加熱過程での鋼
板表面へのSiの濃化が著しくなり、めっき濡れ性に大き
な悪影響を与える。この工程で、鋼板表面の酸化鉄は金
属状態のFeに還元される。
む非酸化性雰囲気中 500〜900 ℃で焼鈍するが、これは
従来の方法に準じて行えばよい。 500℃未満では還元が
不十分であり、 900℃を超えるとフェライトの結晶粒が
異常成長し、機械的特性が低下する他、加熱過程での鋼
板表面へのSiの濃化が著しくなり、めっき濡れ性に大き
な悪影響を与える。この工程で、鋼板表面の酸化鉄は金
属状態のFeに還元される。
【００２０】焼鈍後、鋼板をめっきに適した温度まで冷
却してからめっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを施すの
であるが、めっき浴の有効Al濃度が0.03重量％未満では
ドロス発生が増加して操業に支障をきたし、0.08重量％
を上回ると不めっきが発生しやすくなるので、有効Al濃
度は0.03〜0.08重量％とする。なお、めっき浴の有効Al
濃度とは、化学分析により求めたAlの全濃度から化学分
析により求めたFeの全濃度を差し引いた濃度であって、
浴中にドロスとして存在するAlを差し引いためっき浴の
free Al 濃度の指標として通常便宜的に用いられている
値である。
却してからめっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを施すの
であるが、めっき浴の有効Al濃度が0.03重量％未満では
ドロス発生が増加して操業に支障をきたし、0.08重量％
を上回ると不めっきが発生しやすくなるので、有効Al濃
度は0.03〜0.08重量％とする。なお、めっき浴の有効Al
濃度とは、化学分析により求めたAlの全濃度から化学分
析により求めたFeの全濃度を差し引いた濃度であって、
浴中にドロスとして存在するAlを差し引いためっき浴の
free Al 濃度の指標として通常便宜的に用いられている
値である。
【００２１】めっき浴中のNiは不めっきの発生を抑制
し、合金化反応を促進する効果が大きい。しかし、その
濃度が 0.004重量％未満では効果が不十分であり、0.04
重量％を超えると溶解限界を超えてドロスとなるので、
Ni濃度は 0.004〜0.04重量％とする。
し、合金化反応を促進する効果が大きい。しかし、その
濃度が 0.004重量％未満では効果が不十分であり、0.04
重量％を超えると溶解限界を超えてドロスとなるので、
Ni濃度は 0.004〜0.04重量％とする。
【００２２】合金化処理を行う場合は、上記の工程を経
た後、従来の方法に準じて熱処理を行えばよい。本発明
の場合、合金化反応が促進されるので、 520℃以下の合
金化温度で合金化処理が可能であり、従って、耐パウダ
リング性に比較的優れた製品の製造が可能となる。
た後、従来の方法に準じて熱処理を行えばよい。本発明
の場合、合金化反応が促進されるので、 520℃以下の合
金化温度で合金化処理が可能であり、従って、耐パウダ
リング性に比較的優れた製品の製造が可能となる。
【００２３】
【実施例】表１に示す５種類の極低炭素鋼の冷間圧延鋼
板（未焼鈍材、板厚0.8mm ）を250mm ×100mm に裁断し
て供試材とし、酸素と窒素の混合ガス中で酸化した後、
所定の雰囲気での熱処理が可能で、かつ、供試材を還元
雰囲気中から直接溶融めっき浴中に装入することのでき
る竪型溶融めっき装置を用いて溶融めっきを行った。即
ち、供試材を予め10％NaOH溶液で脱脂した後、酸素を２
ppm 〜15 vol％の種々の割合で含有する窒素雰囲気（全
圧１atm ）中で予熱し、次いで、酸素濃度２ppm のN2＋
40％H2混合ガス（露点が−30℃）中で、 850℃×60秒の
焼鈍処理を行い、 520℃まで冷却した後、種々のAl濃度
およびNi濃度の溶融亜鉛浴に浸漬してめっき処理を施し
た。めっき時間は１秒であり、ガスワイパーによりZn付
着量を約50g/m2（片面当り）に調整した。
板（未焼鈍材、板厚0.8mm ）を250mm ×100mm に裁断し
て供試材とし、酸素と窒素の混合ガス中で酸化した後、
所定の雰囲気での熱処理が可能で、かつ、供試材を還元
雰囲気中から直接溶融めっき浴中に装入することのでき
る竪型溶融めっき装置を用いて溶融めっきを行った。即
ち、供試材を予め10％NaOH溶液で脱脂した後、酸素を２
ppm 〜15 vol％の種々の割合で含有する窒素雰囲気（全
圧１atm ）中で予熱し、次いで、酸素濃度２ppm のN2＋
40％H2混合ガス（露点が−30℃）中で、 850℃×60秒の
焼鈍処理を行い、 520℃まで冷却した後、種々のAl濃度
およびNi濃度の溶融亜鉛浴に浸漬してめっき処理を施し
た。めっき時間は１秒であり、ガスワイパーによりZn付
着量を約50g/m2（片面当り）に調整した。
【００２４】めっき後、不めっきの発生状況を調べた。
更に、溶融めっき後の試験片を 500℃の塩浴で合金化処
理し、合金化完了までの時間を測定した。
更に、溶融めっき後の試験片を 500℃の塩浴で合金化処
理し、合金化完了までの時間を測定した。
【００２５】結果を表２に示す。この表から明らかなよ
うに、 No.３〜９（本発明例）では、不めっきの発生は
認められず、Siを 0.2％以上含有する鋼に対して良好な
めっき性を確保することができた。さらに、合金化に要
する時間も短縮した。一方、めっき浴中にNiを含まず、
有効Alも本発明方法で定める範囲を外れる No.１および
11（比較例）では、不めっきが多発し、また、Niを含ん
でいても浴組成が本発明方法で定める範囲外の No.２お
よび10（比較例）では、不めっきの発生に対する抑制効
果は見られたが、合金化に要する時間が非常に長いとい
う問題があった。
うに、 No.３〜９（本発明例）では、不めっきの発生は
認められず、Siを 0.2％以上含有する鋼に対して良好な
めっき性を確保することができた。さらに、合金化に要
する時間も短縮した。一方、めっき浴中にNiを含まず、
有効Alも本発明方法で定める範囲を外れる No.１および
11（比較例）では、不めっきが多発し、また、Niを含ん
でいても浴組成が本発明方法で定める範囲外の No.２お
よび10（比較例）では、不めっきの発生に対する抑制効
果は見られたが、合金化に要する時間が非常に長いとい
う問題があった。
【００２６】
【表１】
【００２７】
【表２】
【００２８】
【発明の効果】以上説明したように、珪素含有鋼鋼板を
本発明の溶融亜鉛めっき方法でめっきすれば、不めっき
のない表面品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を能率よく製造することができる。
本発明の溶融亜鉛めっき方法でめっきすれば、不めっき
のない表面品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を能率よく製造することができる。
Claims (1)
- 【請求項１】Siを 0.2重量％以上含有する鋼板の表面
に、予め、Feとして 0.2g/m2以上の酸化鉄を形成させ、
次いで、非酸化性雰囲気中で 500〜900 ℃の温度域で焼
鈍した後、有効Alを0.03〜0.08重量％、Niを 0.004〜0.
04重量％含有する溶融亜鉛浴に浸漬してめっきすること
を特徴とする珪素含有鋼板の溶融亜鉛めっき方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26613491A JP2630136B2 (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | 珪素含有鋼板の溶融亜鉛めっき方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26613491A JP2630136B2 (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | 珪素含有鋼板の溶融亜鉛めっき方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05106000A true JPH05106000A (ja) | 1993-04-27 |
| JP2630136B2 JP2630136B2 (ja) | 1997-07-16 |
Family
ID=17426799
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP26613491A Expired - Fee Related JP2630136B2 (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | 珪素含有鋼板の溶融亜鉛めっき方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2630136B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1997045569A1 (fr) * | 1996-05-31 | 1997-12-04 | Kawasaki Steel Corporation | Tole d'acier plaquee |
-
1991
- 1991-10-15 JP JP26613491A patent/JP2630136B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1997045569A1 (fr) * | 1996-05-31 | 1997-12-04 | Kawasaki Steel Corporation | Tole d'acier plaquee |
| US6087019A (en) * | 1996-05-31 | 2000-07-11 | Kawasaki Steel Corporation | Plated steel sheet |
| AU723565B2 (en) * | 1996-05-31 | 2000-08-31 | Kawasaki Steel Corporation | Plated steel sheet |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2630136B2 (ja) | 1997-07-16 |
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