JPH05102499A - 赤外光検出素子および赤外光検出器 - Google Patents

赤外光検出素子および赤外光検出器

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JPH05102499A
JPH05102499A JP3257959A JP25795991A JPH05102499A JP H05102499 A JPH05102499 A JP H05102499A JP 3257959 A JP3257959 A JP 3257959A JP 25795991 A JP25795991 A JP 25795991A JP H05102499 A JPH05102499 A JP H05102499A
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infrared
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保暁 田村
Junichi Owaki
純一 大脇
Atsushi Shibukawa
篤 渋川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価で感度の高い赤外光検出器と、この検出
器に用いられる赤外光検出素子とを提供する。 【構成】 本発明の赤外光検出素子10は、光検知材料層
1を透明電極2と電極3とで挟持したものである。光検知
材料層1は、アルカリ土類金属元素の硫化物あるいはセ
レン化物に、Eu,Ce,Mn,Cuの中から選択された1種以上
の元素と、Sm,Bi,Pbの中から選択された1種以上の元素
とをともに添加したものであり、CaS:Eu,Smが例示され
る。本発明の赤外光検出器は、透明電極2と電極3との間
の電気容量の変化を測定することにより、赤外光が照射
したことによる光検知材料層の分極率の変化を検出して
赤外光を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外光を電気的に検出
する赤外光検出素子と、この赤外光検出素子を用いた赤
外光検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信技術、光情報処理技術の進展によ
り、近年、近赤外線領域に発光波長を有する赤外光源が
各所で用いられるようになってきている。これに伴い、
光部品、光材料などの製造部門、これら部品を用いてシ
ステムを構築する部門あるいはこれらのシステムの保守
部門において、赤外光を用いた検査の必要性が高まり、
赤外光検出器の需要もますます増大してきている。現
在、光通信用の光源としては、1.3μm帯、1.55μ
m帯の赤外光源が主に用いられており、これら波長域の
赤外光を検出する検出器としては、例えばInGaAs
を用いた半導体検出器が広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のInGaAsを
用いた半導体検出器による赤外光検出器は、非常に高価
であり、また赤外光の検出感度がたかだか−60dBm
程度であって微弱な赤外光を検出するには十分でないと
いう問題点がある。
【0004】本発明の目的は、安価で感度の高い赤外光
検出器と、この検出器に用いられる赤外光検出素子とを
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の赤外光検出素子
は、少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、前
記電極間に挟持された光検知材料層とを有する赤外光検
出素子において、前記光検知材料層が、アルカリ土類金
属元素の硫化物あるいはセレン化物に、ユーロピウム,
セリウム,マンガン,銅の中から選択された1種以上の
元素と、サマリウム,ビスマス,鉛の中から選択された
1種以上の元素とをともに添加したものである。
【0006】本発明の赤外光検出器は、本発明の記載の
赤外光検出素子と、前記赤外光検出素子の電極間の電気
容量を測定する電気容量測定器とからなる。
【0007】
【作用】本発明の赤外光検出素子では、光検知材料層と
して、アルカリ土類金属元素の硫化物あるいはセレン化
物に、Eu,Ce,Mn,Cuの中から選択された1種以
上の元素と、Sm,Bi,Pbの中から選択された1種以
上の元素とをともに添加したものを用いているので、こ
の光検知材料層の分極率が赤外光の照射で変化する。し
たがって、分極率の変化による電極間の電気容量の変化
を測定することにより、赤外光を検出することができ
る。
【0008】これまで、化合物半導体やゲルマニウム半
導体などの半導体材料を除き、1.3μm帯、1.55μ
m帯の赤外光に対して感度を有し光照射により分極率が
変化する無機材料は知られていなかった。そこで種々の
材料について実験し検討した結果、本発明者らは、アル
カリ土類金属元素の硫化物あるいはセレン化物に、E
u,Ce,Mn,Cuの中から選択された1種以上の元素
と、Sm,Bi,Pbの中から選択された1種以上の元素
とをともに添加した材料が、赤外線に対して高い感度を
有し、赤外光の照射により大きく電気容量が変化するこ
とを見出した。ここでは、硫化カルシウム(CaS)
に、ユーロピウム(Eu)とサマリウム(Sm)をとも
に添加した光検知材料(以下CaS:Eu,Smと記載)
を例に挙げて、この赤外光検出素子の動作原理を説明す
る。
【0009】図8は、CaS:Eu,Smのバンドモデル
を示す図である。この図から明らかなように、CaSの
禁制帯中で、EuとSmはそれぞれ深さの異なる不純物
準位を形成し、Euの準位は価電子帯の上端(図示V.
B.)に近いところに、Smの準位は伝導帯の下端(図示
C.B.)近くの赤外光に感度を有する程度の浅いところ
に、それぞれ位置している。Smは+3価が安定な原子
価状態であるため、+2価のCaの位置に置換された場
合、正に帯電して電子に対する吸引力を有するようにな
る。このためSmはある一定数のEuから電子を引抜い
て電子を捕獲し、光検知材料は全体的には電気的中性を
保っている。なお、電子を引き抜かれたEuは+3価と
なっている。この状態の光検知材料に赤外光を照射する
と、Smの準位が赤外光に対する感度を持っているた
め、Smから電子が伝導帯に放出され、放出された電子
がEuに捕獲される。この電子移動により光検知材料の
分極率が変化し、誘電率が変化して電気容量が変化す
る。
【0010】図9はCaS:Eu,Smの赤外波長感度特
性を示す図である。この図から明らかなように、Ca
S:Eu,Smは0.8〜1.7μmにわたる波長領域の赤
外光に対して感度があるから、1.3μm帯、1.55μ
m帯の赤外光を検出することができる。
【0011】SmからEuに遷移する電子の数は入射す
る赤外線の光量に比例するため、電気容量の変化分は赤
外線量に比例する。したがって、電気容量の変化分を測
定することにより、赤外線量を測定することができる。
また、SmからEuへ遷移する電子の単位時間当たりの
数は入射した赤外線の強度に比例するため、電気容量変
化の時間微分値は赤外線強度に比例する。したがって電
気容量変化の時間微分を測定することにより、赤外線強
度を測定することができる。
【0012】ここでは、母体としてCaSを用いこれに
添加剤としてEuとSmを加えたものを光検知材料層に
使用した例で説明したが、光検知材料層はこれに限られ
るものではない。アルカリ土類金属元素の硫化物あるい
はセレン化物は、一般にCaSと同様のバンド構造を有
するから、母体であるCaSの代わりに使用することが
できる。また、添加剤であるEuとSmとの代わりに、
これらと同様に異なる深さの不純物準位を形成し、かつ
母体中で複数の原子価状態をとり得るものであれば、添
加剤として使用することができる。Euに代わって価電
子帯の上端に近い準位を形成するものとしてCe,Mn,
Cuなどがあり、またSmに代わって伝導帯の下端に近
い準位を形成するものとしてBi,Pbがある。したが
って本発明では、光検知材料層として、アルカリ土類金
属元素の硫化物あるいはセレン化物に、ユーロピウム,
セリウム,マンガン,銅の中から選択された1種以上の
元素と、サマリウム,ビスマス,鉛の中から選択された
1種以上の元素とをともに添加したものを使用すること
ができる。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。図1は本発明の赤外光検出素子の基本的な構
成例を示す模式断面図、図2は本発明の赤外光検出器の
基本的な構成例を示すブロック図、図3は微分回路を有
する本発明の赤外光検出器の基本的な構成例を示すブロ
ック図である。
【0014】図1に示した赤外光検出素子10は、光検
知材料層1を透明電極2と電極3とで挟持した構成とな
っている。透明電極2は少なくとも赤外光を透過する。
光検知材料層1は、アルカリ土類金属元素の硫化物ある
いはセレン化物に、Eu,Ce,Mn,Cuの中から選択
された1種以上の元素と、Sm,Bi,Pbの中から選択
された1種以上の元素とをともに添加したものであり、
これを有機材料中などに分散させたりして使用してもよ
い。この赤外光検出素子10を用いた赤外光の検出は、
透明電極2と電極3間の電気容量の変化を測定すること
によって行なわれる。透明電極2側から光検知材料層1
に赤外光が入射すると、上述したような原理によってこ
の光検知材料層1の誘電率が変化するので、透明電極2
と電極3間の電気容量が赤外光の照射に応じて変化す
る。
【0015】図2に示した赤外光検出器は、上述の赤外
光検出素子10と電気容量測定器4とを組み合せたもの
であり、電気容量測定器4によって赤外光検出素子10
の透明電極2と電極3との間の電気容量を測定できるよ
うになっている。ここで使用される電気容量測定器4と
しては、各種のブリッジ回路を使用したものなど市販の
ものをそのまま用いることができる。電気容量測定器4
で透明電極2と電極3間の電気容量の変化分を測定する
ことにより、赤外光検出素子10が受光した赤外線量を
求めることができる。
【0016】図3に示した赤外光検出器は、上述の図2
で示した赤外光検出器の電気容量測定器4の出力側に微
分回路5を設けたものである。赤外光検出素子10の電
気容量の変化を時間微分したものは赤外線の強度となる
から、微分回路5の出力には、赤外光検出素子10で受
光した赤外線の強度が現れることになる。
【0017】次に、本発明の赤外光検出素子の実施例に
ついて、具体的数値を挙げてさらに説明する。
【0018】[実施例1]光検知材料層としてCaS:
Eu,Sm系の材料を用いて赤外光検出素子を作製し
た。図4はこの実施例1で用いた赤外光検出素子の構成
を示す模式断面図であり、ガラス基板11の上に、IT
O(In23+SnO2)透明電極12、シリコン酸化
膜13、シリコン窒化膜14、CaS:Eu,Sm光検知
材料層15、シリコン窒化膜14、アルミニウム電極1
6を順次積層した構成となっている。シリコン酸化膜1
3、シリコン窒化膜14を用いなくても本発明の赤外光
検出素子を実現できるが、これらの膜を使用することに
より、素子の安定性や信頼性が向上する。
【0019】この赤外光検出素子を作製するに当たって
は、まず、NA−40ガラス基板11を純水、アセトン
などで洗浄し、スパッタ法によりこのガラス基板11の
表面にITO透明電極12を200nmの厚さで形成す
る。次に、このガラス基板11をECR(電子サイクロ
トロン共鳴)プラズマCVD装置内に設置し、原料ガス
としてシラン10sccmと酸素10sccmを導入
し、投入マイクロ波出力600Wの条件で、厚さ100
nmのシリコン酸化膜13を形成した。引き続きECR
プラズマCVD装置により、シラン10sccmと窒素
20sccmを導入し、投入マイクロ波出力600Wの
条件で、厚さ100nmのシリコン窒化膜14を形成し
た。シリコン酸化膜13を設けたのは、このあとの光検
知材料層15を形成する際の基板加熱によりITO透明
電極12が劣化することを防ぐためである。
【0020】こののち、上述のシリコン窒化膜14まで
を形成したガラス基板11を真空蒸着装置内に設置し、
このシリコン窒化膜14の上に厚さ1μmのCaS:E
u,Sm光検知材料層15を形成した。この光検知材料
層15は、酸化ユーロピウム(Eu23)を200pp
m、酸化サマリウム(Sm23)を200ppm添加し
たCaSペレットを蒸発源とし、基板温度500℃、薄
膜堆積速度50nm/minの条件で、電子ビーム蒸着
法により形成した。そして再びこの基板をECRプラズ
マCVD装置内に設置し、シリコン窒化膜14を厚さ1
00nmで形成し、さらにその上にアルミニウム電極1
6を形成し、ECRプラズマCVD装置から取り出して
ITO透明電極12とアルミニウム電極16にそれぞれ
リード線を接続して赤外光検出素子を完成させた。
【0021】このようにした形成した赤外光検出素子と
電気容量測定器(検出限界1pF)とを上述の図2のよ
うに接続して赤外光検出器を構成し、赤外光を照射する
前の赤外光検出素子のITO透明電極12とアルミニウ
ム電極16との間の容量を測定したところ、1000p
Fであった。この状態で赤外光検出素子に赤外光を照射
したところ、照射する赤外光量によって測定される電気
容量が変化し、線量1μJの赤外光の照射で500pF
の容量変化を生じた。この電気容量測定器として検出限
界が1pFのものを用いたから、赤外線量としての検出
限界は2nJということになる。また電気容量測定器の
出力側に微分回路を接続して赤外光の強度を測定したと
ころ、1pWの赤外光を検出することができた。以上よ
り、本発明の赤外光検出素子および赤外光検出器は、極
めて感度が高いことが明らかになった。
【0022】[実施例2]表面にITO透明電極を形成
した高分子フィルム22と表面に銅電極を形成した高分
子フィルム23との間に、CaS:Eu,Sm粉末をフッ
素ゴム中に分散させたフィルム状とした光検知材料層2
1を挟持し、さらに全体を透明高分子フィルム24で挟
持した構成の赤外光検出素子を用いた。図5はこの赤外
光検出素子の構成を示す模式断面図である。
【0023】光検知材料層21を作製するにあたって
は、まず、アセトンで溶解したフッ素ゴム中にCaS:
Eu,Sm材料粉末を分散させ、ITO透明電極を形成
した高分子フィルム22上に塗布して乾燥させた。この
光検知材料層21を塗布形成した高分子フィルム22上
に、銅電極を形成した高分子フィルム23を配し、さら
にこれらを2枚の透明高分子フィルム24で挟んで熱圧
着し、赤外光検出素子を形成した。光検知材料層21に
添加される添加物の濃度は、Euが500ppm、Sm
が150ppmとなるようにし、光検知材料層21の膜
厚は100μmとした。
【0024】このようにした形成した赤外光検出素子と
電気容量測定器(検出限界1pF)とを上述の図2のよ
うに接続して赤外光検出器を構成し、赤外光検出素子の
高分子フィルム22,23のそれぞれに形成されたIT
O透明電極と銅電極との間の赤外光を照射する前の容量
を測定したところ、1000pFであった。この状態で
赤外光検出素子に赤外光を照射したところ、照射する赤
外光量によって測定される電気容量が変化し、線量1μ
Jの赤外光の照射で500pFの容量変化を生じた。電
気容量測定器として検出限界が1pFのものを用いたか
ら、赤外線量としての検出限界は2nJということにな
る。また電気容量測定器の出力側に微分回路を接続して
赤外光の強度を測定したところ、1pWの赤外光を検出
することができた。以上より、本発明の赤外光検出素子
および赤外光検出器は、極めて感度が高いことが明らか
になった。
【0025】[実施例3]実施例1ではCaS:Eu,S
m光検知材料層15をECRプラズマCVD法によって
形成しているが、ここではこの光検知材料層15をガス
ソースMBE(分子線エピタキシャル)法によって形成
した例について説明する。
【0026】実施例1と同様にしてガラス基板11上
に、ITO透明電極12、シリコン酸化膜13、シリコ
ン窒化膜14を順次積層し、そののちこの基板をMBE
装置内に設置し、厚さ1μmのCaS:Eu,Sm光検知
材料層15を形成した。この光検知材料層15は、Eu
濃度が500ppm、Sm濃度が150ppmとなるよ
うに別々の蒸発源に充填したCa金属、Eu金属、Sm
金属をそれぞれ調節して加熱蒸発させて基板面に堆積さ
せ、さらにこれと同時に硫化水素ガスを基板面に照射す
ることによって形成した。このときの基板温度は700
℃、薄膜堆積速度は50nm/minとした。
【0027】こののち、実施例1と同様にして、光検知
材料層15までが形成されたガラス基板11をECRプ
ラズマCVD装置内に設置し、厚さ100nmのシリコ
ン窒化膜14を形成し、さらにその上にアルミニウム電
極16を形成し、ITO透明電極12とアルミニウム電
極16にそれぞれリード線を接続して赤外光検出素子を
完成させた。
【0028】このようにした形成した赤外光検出素子と
電気容量測定器(検出限界1pF)とを上述の図2のよ
うに接続して赤外光検出器を構成し、赤外光を照射する
前の赤外光検出素子のITO透明電極12とアルミニウ
ム電極16との間の容量を測定したところ、2000p
Fであった。この状態で赤外光検出素子に赤外光を照射
したところ、照射する赤外光量によって測定される電気
容量が変化し、線量1μJの赤外光の照射で1000p
Fの容量変化を生じた。電気容量測定器として検出限界
が1pFのものを用いたから、赤外線量としての検出限
界は1nJということになる。また電気容量測定器の出
力側に微分回路を接続して赤外光の強度を測定したとこ
ろ、1pWの赤外光を検出することができた。以上よ
り、本発明の赤外光検出素子および赤外光検出器は、極
めて感度が高いことが明らかになった。
【0029】[実施例4]図6はこの実施例4で用いた
赤外光検出素子の構成を示す模式断面図であり、シリコ
ン(111)基板31の上に、フッ化カルシウム(Ca
2)膜32、CaS:Eu,Sm光検知材料層33、シ
リコン窒化膜34、ITO透明電極35を順次積層した
構成となっている。シリコン(111)基板32、フッ
化カルシウム膜32、CaS:Eu,Sm光検知材料体層
33をこの順に積層して形成すると、CaS:Eu,Sm
光検知材料層33は単結晶膜となって膜中の欠陥が減少
する。このため欠陥を経由した電子の再結合が減少し、
光照射によって生じた電子が有効に分極形成に寄与して
感度の高い素子が得られる。
【0030】この赤外光検出素子を作製するに当たって
は、まず、シリコン基板31を沸騰した硝酸中に浸して
表面酸化膜を形成したのち純水で洗浄し、フッ化水素酸
中に浸し酸化膜を除去し表面欠陥や汚れを除去したのち
再び純水で洗浄し、塩酸,過酸化水素水,純水を3:
1:1の比率で混合した混酸中に10分間浸し良質な表
面酸化膜を形成し、さらに水洗乾燥する。そののち、こ
のシリコン基板31をMBE装置内に設置し、MBE装
置内を10-8Torr以下にまで排気し、シリコン基板
31を加熱して表面酸化膜を蒸発させシリコン(11
1)清浄表面を露出させたのち、このシリコン基板31
上に厚さ1μmのフッ化カルシウム膜32を形成した。
そして厚さ1μmのCaS:Eu,Sm光検知材料層33
を形成した。この光検知材料層33は、Eu濃度が50
0ppm、Sm濃度が150ppmとなるように別々の
蒸発源に充填したCa金属、Eu金属、Sm金属をそれ
ぞれ調節して加熱蒸発させて基板面に堆積させ、さらに
これと同時に硫化水素ガスを基板面に照射することによ
って形成した。このときの基板温度は500℃、薄膜堆
積速度は50nm/minとした。
【0031】こののち、光検知材料層33までが形成さ
れたシリコン基板31をECRプラズマCVD装置内に
設置し、厚さ100nmのシリコン窒化膜34を形成
し、さらにその上にITO透明電極35を形成し、EC
RプラズマCVD装置から取り出してシリコン基板31
とITO透明電極35にそれぞれリード線を接続して赤
外光検出素子を完成させた。
【0032】このようにした形成した赤外光検出素子と
電気容量測定器(検出限界1pF)とを上述の図2のよ
うに接続して赤外光検出器を構成し、赤外光を照射する
前の赤外光検出素子のシリコン基板31とITO透明電
極35との間の容量を測定したところ、1000pFで
あった。この状態で赤外光検出素子に赤外光を照射した
ところ、照射する赤外光量によって測定される電気容量
が変化し、線量100nJの赤外光の照射で500pF
の容量変化を生じた。電気容量測定器として検出限界が
1pFのものを用いたから、赤外線量としての検出限界
は200pJということになる。また電気容量測定器の
出力側に微分回路を接続して赤外光の強度を測定したと
ころ、0.1pWの赤外光を検出することができた。以
上より、本発明の赤外光検出素子および赤外光検出器
は、極めて感度が高いことが明らかになった。
【0033】[実施例5]図7はこの実施例5で用いた
赤外光検出素子の構成を示す模式断面図であり、ガリウ
ムヒ素(111)基板41の上に、CaS:Eu,Sm光
検知材料層42、シリコン窒化膜43、ITO透明電極
44を順次積層した構成となっている。ガリウムヒ素
(111)基板41とCaS:Eu,Sm光検知材料層4
2をこの順に積層して形成すると、ガリウムヒ素(11
1)とCaSとの格子定数が近いため、上述の実施例4
よりもさらに欠陥の少ないCaS:Eu,Sm単結晶膜が
得られ、さらに感度の高い素子が得られる。
【0034】この赤外光検出素子を作製するに当たって
は、まず、ガリウムヒ素基板41を純水、トリクロロエ
チレンなどで洗浄し、硫化アンモニウム溶液中に浸して
表面安定化処理を施し、再び純水で洗浄して乾燥させ
る。
【0035】次いで、MBE装置内にガリウムヒ素基板
41を設置し、MBE装置内を10-8Torr以下にま
で排気しながら基板を300℃にまで加熱しつつ硫化水
素ガスを基板に照射する。硫化水素ガスの流量はマスフ
ローコントローラで調節して10sccmとし、このと
きの基板位置での硫化水素分圧は7×10-6Torrで
あった。10分間この状態を維持して基板表面処理を施
した後、基板温度を500℃に上げ、このガリウムヒ素
基板41上にCaS:Eu,Sm光検知材料層42を1μ
mの厚さで形成した。この光検知材料層42は、Eu濃
度が500ppm、Sm濃度が150ppmとなるよう
に別々の蒸発源に充填したCa金属、Eu金属、Sm金
属をそれぞれ調節して加熱蒸発させて基板面に堆積さ
せ、さらにこれと同時に硫化水素ガスを基板面に照射す
ることによって形成した。このときの薄膜堆積速度は5
0nm/minとした。
【0036】こののち、光検知材料層42までが形成さ
れたガリウムヒ素基板41をECRプラズマCVD装置
内に設置し、厚さ100nmのシリコン窒化膜43を形
成し、さらにその上にITO透明電極44を形成し、E
CRプラズマCVD装置から取り出してガリウムヒ素基
板41とITO透明電極44にそれぞれリード線を接続
して赤外光検出素子を完成させた。
【0037】このようにした形成した赤外光検出素子と
電気容量測定器(検出限界1pF)とを上述の図2のよ
うに接続して赤外光検出器を構成し、赤外光を照射する
前の赤外光検出素子のガリウムヒ素基板41とITO透
明電極44との間の容量を測定したところ、1000p
Fであった。この状態で赤外光検出素子に赤外光を照射
したところ、照射する赤外光量によって測定される電気
容量が変化し、線量50nJの赤外光の照射で500p
Fの容量変化を生じた。電気容量測定器として検出限界
が1pFのものを用いたから、赤外線量としての検出限
界は100pJということになる。また電気容量測定器
の出力側に微分回路を接続して赤外光の強度を測定した
ところ、0.05pWの赤外光を検出することができ
た。以上より、本発明の赤外光検出素子および赤外光検
出器は、極めて感度が高いことが明らかになった。
【0038】以上の各実施例では、光検知材料層として
粉末の光検知材料を有機バインダ中に分散させたもの
や、電子ビーム蒸着法、ガスソースMBE法などで製膜
した光検知材料薄膜を用いたが、この他、スパッタ法、
MO(有機金属)CVD法、CVD法などの各種薄膜形
成法で作製した光検知材料層を用いた場合でも、検出感
度の高い赤外光検出素子が実現できた。また、素子構成
として反射防止を目的とする層や、光検知材料層の保護
を目的とする層をさらに加えて形成した多層構造のもの
においても、検出感度の高い赤外光検出素子を実現でき
た。
【0039】
【発明の効果】以上説明したよう赤外光検出素子につい
ての本発明は、光検知材料層として、アルカリ土類金属
元素の硫化物あるいはセレン化物に、Eu,Ce,Mn,
Cuの中から選択された1種以上の元素と、Sm,Bi,
Pbの中から選択された1種以上の元素とをともに添加
したものを用いることにより、安価で高感度の赤外光検
出素子が得られるという効果がある。また、赤外光検出
器についての本発明は、本発明の赤外光検出素子と電気
容量測定器とを用いることにより、安価であって、高感
度な赤外光検出器が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の赤外光検出素子の基本的な構成例を示
す模式断面図である。
【図2】本発明の赤外光検出器の基本的な構成例を示す
ブロック図である。
【図3】微分回路を有する本発明の赤外光検出器の基本
的な構成例を示すブロック図である。
【図4】実施例1で使用された赤外光検出素子の構成を
示す模式断面図である。
【図5】実施例2で使用された赤外光検出素子の構成を
示す模式断面図である。
【図6】実施例4で使用された赤外光検出素子の構成を
示す模式断面図である。
【図7】実施例5で使用された赤外光検出素子の構成を
示す模式断面図である。
【図8】CaS:Eu,Smのバンドモデルを示す図であ
る。
【図9】CaS:Eu,Smの赤外波長感度特性を示す特
性図である。
【符号の説明】
1,15,21,33,42 光検知材料層 2 透明電極 3 電極 4 電気容量測定器 5 微分回路 10 赤外光検出素子 11 ガラス基板 12,35,44 ITO透明電極 13 シリコン酸化膜 14,34,43 シリコン窒化膜 16 アルミニウム電極 22,23 高分子フィルム 24 透明高分子フィルム 31 シリコン基板 32 フッ化カルシウム膜 41 ガリウムヒ素基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 37/02 9276−4M

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透光性を有する一対の
    電極と、前記電極間に挟持された光検知材料層とを有す
    る赤外光検出素子において、 前記光検知材料層が、アルカリ土類金属元素の硫化物あ
    るいはセレン化物に、ユーロピウム,セリウム,マンガ
    ン,銅の中から選択された1種以上の元素と、サマリウ
    ム,ビスマス,鉛の中から選択された1種以上の元素と
    をともに添加したものであることを特徴とする赤外光検
    出素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の赤外光検出素子と、前
    記赤外光検出素子の電極間の電気容量を測定する電気容
    量測定器とからなる赤外光検出器。
  3. 【請求項3】 電気容量の測定値の時間変化を検出する
    微分回路を有する、請求項2に記載の赤外線検出器。
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