JPH05100092A - 多層膜x線スリツト - Google Patents

多層膜x線スリツト

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JPH05100092A
JPH05100092A JP3264358A JP26435891A JPH05100092A JP H05100092 A JPH05100092 A JP H05100092A JP 3264358 A JP3264358 A JP 3264358A JP 26435891 A JP26435891 A JP 26435891A JP H05100092 A JPH05100092 A JP H05100092A
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ray
rays
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Tomoaki Kawamura
村 朋 晃 川
Hisataka Takenaka
中 久 貴 竹
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】X線発生源から簡素な方法により微細なX線ビ
ームを作り出すこと。 【構成】X線の吸収係数の異なる複数種類の材料を用
い、X線吸収係数の小さい材料層の両面にX線吸収係数
の大きい材料層を被覆して多層膜を形成して多層膜X線
スリットとする構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、X線発生源の前面に
配置し、非常に細かいX線ビームを作り出すことが可能
な多層膜X線スリットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、X線装置は種々の分野で利用され
ており、利用するX線ビームも微細なX線ビームを被加
工物に照射するものが増加しつつある。特に、干渉性軌
道放射光等従来より数桁大きい強度を持つ光源が開発さ
れるに伴い、数nmから数十nm領域の波長のX線を使用し
たX線光学の産業分野が開発されてきている。この分野
での応用としては軟X線を利用したX線顕微鏡・X線望
遠鏡等が既に開発され、また、一部ではX線ホログラフ
ィの利用分野も検討されている。このような特殊分野の
X線の干渉・回折効果を利用した種々の装置を製作する
に際して、X線発生源の前に開口スリットを配置して数
μ以下の空間的に非常に細かいX線ビームを作り出す必
要がある。ところがこのようなX線ビームを作り出すた
めの開口スリットとしては、従来は図3に示されるよう
なX線の吸収係数の大きいタングステン等の重金属元素
で構成されたスリット刃(5、6)を二枚上下に所定間
隔を設けて対向配設し、この両スリット刃5、6の間隙
を通してX線4が照射され、このスリット刃5,6のス
リット幅である間隔を制御することによりX線ビームの
太さが絞られていた。この両スリット刃5、6のスリッ
ト幅の調整は通常各スリット刃5、6を機械的に移動さ
せていた。また、小孔を穿設した一枚の鉛、タングステ
ン等の重金属の板をX線発生源のスリットとして用いら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のように
スリット刃5、6間の間隔の調整移動は機械的に行うた
め、このスリット幅Lを50μ以下にすることは困難で
あった。従って、50μ以下のX線ビームを作ることが
できなかった。また、そのスリット幅の精度もせいぜい
10μ程度にしかできなかった。そのためX線ビームの
太さに対する誤差が大きい結果となった。また、X線ビ
ームの波長が400〜700nmの範囲にある可視光線領
域内での使用の場合は問題とならないが、波長が数nm程
度のX線領域での利用は無理であり、また、小孔のスリ
ットの場合も微細なX線ビームを作製することは困難で
あった。この発明の目的は従来のスリット幅を数十nmの
非常に細いX線ビームを発生するX線スリットを提供す
ることである。特に、この発明の目的は簡単な方法によ
り非常に微細なX線ビームを照射できる多層膜X線スリ
ットを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明の前記目的は、
X線の吸収係数の異なる二種類の材料を用い、X線吸収
係数の小さい材料の透過層の両面にX線吸収係数の大き
い材料の吸収層を被覆した多層膜からなることを特徴と
する多層膜X線スリットの構成により達成できた。ま
た、前記多層膜の側端面と前記多層膜表面とのなす角Θ
が0°から90°の間である傾斜面を持つ多層膜X線ス
リットがより好ましい実施例である。
【0005】
【作用】この発明における多層膜X線スリットは、X線
光の吸収係数の大きい材料の吸収層の二層間にX線光吸
収係数の小さい、すなわち、X線を透過し易い材料から
なる透過層を配置して構成してあるから、この多層膜X
線スリットの端面側から照射されたX線は挟まれた透過
層内を通過して被加工物に照射される。このときこの透
過層の厚さはX線吸収係数の小さい材料(元素)を蒸着
などによって非常に薄く形成することができるから、微
細なX線ビームが作り出され、このX線を被加工物に照
射することができる。この発明の多層膜X線スリットを
構成するX線吸収係数の大きい物質としては、一般に知
られるタングステン、鉛、ビスマス金属、ガリウム、ま
たはこれらの合金等の重金属類が用いられる。また、X
線吸収係数の小さい物質としてはカーボン等軽金属類な
ど普通に知られる物質が用いられる。この発明の多層膜
X線スリットについて、図面に示す実施例に基づいて以
下に説明するが、この発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0006】
【実施例】図1はこの発明に係る多層膜X線スリットの
一実施例を示す拡大斜視図、図2は図1の実施例の拡大
部分断面図、図3は従来のX線スリットの説明概略図、
図4はこの発明の多層膜X線スリットの第2の実施例の
拡大部分断面図である。 実施例1 図1において比較的X線を透過しにくいガリウム砒素合
金からなる基板9の表面にタングステンを0.1μの厚
さに蒸着した後、その表面にカーボンを0.1μ蒸着
し、その表面に再びタングステンを1μの厚さに蒸着し
て多層膜X線スリットを製造した。このタングステンは
X線を殆んど通過しないX線吸収係数の大きい重金属で
あり、吸収層2、3を形成する。カーボンはX線を良く
透過し、X線の吸収係数の小さい物質であり、透過層1
とする。実施例1の多層膜X線スリットの図2右側より
入射X線7を照射すると、タングステンから構成される
吸収層2、3においてはX線は殆ど吸収され、中間のカ
ーボンからなる透過層1内では通過して、微細な0.1
μのX線ビームが出射X線8となって対象物に照射する
ことになる。また、入射X線7のうち入射角αとなって
入射されるX線はX線臨界角以下に設定すると透過層1
と吸収層2および吸収層3との境界面で反射されて透過
層1内を通過することになるから、透過層1に入射した
X線は大部分透過して出射X線となるからX線の強度が
大きくなる。
【0007】この発明の多層膜X線スリットの吸収層
2、3にタングステン重金属を使用し、透過層1にカー
ボンを使用した多層膜X線スリットの長さLと各層の厚
さとの相対関係について表1に示す。この場合、波長
0.07nmのX線を使用したときの透過率である。この
表から明らかなように、この多層膜X線スリットでは入
射X線7はカーボンからなる透過層1のみを通過し、吸
収層2.3では殆ど通過していない。ガリウム砒素を用
いた基板9においては長さが0.1mmであれば数%は透
過しているが、それ以上長い多層膜X線スリットでは基
板9においても殆ど透過しない。また、透過層1の長さ
が1mm程度であればほぼ90%近い透過率を得ることが
できる。しかしこの発明の多層膜X線スリットの長さを
この程度加工することは容易である。
【0008】
【表1】
【0009】この発明の多層膜X線スリットのスリット
幅は吸収層2と吸収層3とで挟まれた透過層1の厚さで
決定され、この程度の厚さのものはそれほど困難なく、
現在の多層膜製作技術によって透過層1の膜厚を1μか
ら100μの範囲で、0.1μ程度の精度で調整しなが
ら製造することができる。従って、透過層1の膜厚を1
0μに設定すれば10μ幅のスリットを備えた多層膜X
線スリットを作製することができる。この多層膜X線ス
リットを使用してX線ホログラフィ等の実験に十分使用
することができる微細なX線ビームを作ることができ
る。従来の機械的なスリットと比較すると数桁以上の細
かいX線ビームを取り出すことが可能である。
【0010】実施例2 この発明の多層膜X線スリットの第2の実施例を図4に
示す。吸収層2,3および透過層1は前記実施例1と同
様にタングステンおよびカーボンで構成する。この多層
膜X線スリットのX線の入射側を斜めに切削して研磨面
を形成する。斜めに傾斜面を形成してあるから入射面の
表面積は拡大されることになる。図4に点線で示したよ
うな端面処理を施した多層膜X線スリットの場合、入射
X線7は領域Aのみに入射したX線のみが透過層1を通
過して、吸収層2,3に入射したX線は完全に吸収され
る。これに対して表面が斜めに切削された透過層1に入
射すると、領域Aおよび領域Bに入射したX線の両方が
透過層1に入射することになる。ここで領域Bに入射し
たX線の一部は吸収層2と透過層1との界面で反射さ
れ、透過層1内を進行して透過する。この結果多層膜X
線スリットを斜めに切削して傾斜角Θを有する実施例2
の多層膜X線スリットは実施例1の多層膜X線スリット
に比較して領域Bの部分から入射するX線成分をも透過
することができるから、出射X線8は領域Aと領域Bと
から入射するX線であるから、実施例1の多層膜X線ス
リットに比較してX線強度が増加することになる。
【0011】実施例2の切削面の傾斜角Θと透過率の関
係を、入射角1.0度でCrK特性X線を入射した場合
について、透過X線強度をX線反射率比で表2に示す。
多層膜X線スリットの膜厚は実施例1と同様にして製造
した。また、この時の切削面の角度Θが0度のときの反
射率比を1としている。この表から明らかなように、実
施例2の多層膜X線スリットのように入射側の端面を処
理することにより、実施例1の多層膜X線スリットに比
較して数倍のビーム強度を図ることが出来る。
【0012】
【表2】
【0013】
【発明の効果】この発明の多層膜X線スリットは従来と
比較すると一桁以上細かいX線ビームを作り出すことが
できる。またこの発明の多層膜X線スリットを斜めに切
削することにより対象物に照射するX線ビームの強度を
増大させることが可能であるばかりでなく、従来のX線
発生装置に用いることにより、微細なX線ビームを作り
出すことができるから、従来に比較して数桁小さな試料
や試料の微小部等の分析や構造評価が可能になる。従っ
て、X線を利用した光学系の精密な構築を簡便に行うこ
とができるという産業上の優れた効果がある。また、こ
のような多層膜X線スリットを二個使用することにより
X線ホログラフィが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る多層膜X線スリットの第1の実
施例を示す拡大斜視図である。
【図2】第1の実施例の拡大断面図である。
【図3】従来のX線スリットの説明概略図である。
【図4】この発明の多層膜X線スリットの第2の実施例
の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 …透過層 2 …吸収層 3 …吸収層 4 …X線 5 …スリット刃 6 …スリット刃 7 …入射X線 8 …出射X線 9 …基板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線の吸収係数の異なる二種類の材料を用
    い、X線吸収係数の小さい材料の透過層の両面にX線吸
    収係数の大きい材料の吸収層を被覆した多層膜からなる
    ことを特徴とする多層膜X線スリット。
  2. 【請求項2】前記多層膜側端面と前記多層膜表面とのな
    す角Θが0°から90°の間である請求項1の多層膜X
    線スリット。
JP26435891A 1991-10-14 1991-10-14 多層膜x線スリット Expired - Lifetime JP3189126B2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06294898A (ja) * 1993-04-07 1994-10-21 Rigaku Denki Kogyo Kk X線用光学素子およびx線用集光素子
JP2012117990A (ja) * 2010-12-03 2012-06-21 Shimadzu Corp スリット装置

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JPH06294898A (ja) * 1993-04-07 1994-10-21 Rigaku Denki Kogyo Kk X線用光学素子およびx線用集光素子
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