JP2019191204A - 多層膜回折格子 - Google Patents

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雅人 小池
Masahito Koike
雅人 小池
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Abstract

【課題】容易に製造を行うことができる、高回折効率の回折格子を提供する。【解決手段】全反射条件によって目的電磁波(分光しようとする電磁波)が表面物質内部まで深く侵入しない軟X線領域において、表面反射膜として一般に用いられる金属膜を表面物質に持つ回折格子の回折効率をランタン(La)もしくはLa系化合物を堆積することより改善できることは理論計算により予測される。しかし、同物質は酸化、吸湿されやすいため、実際には反射率が時間と共に急落する困難がある。このためLa系膜の化学変化を防止するため探索の結果最も効果が高いことが判った炭素等の薄膜を保護膜として堆積することにより反射率の低下を防止することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、金属反射膜の上にランタン(La)もしくはLaを含む化合物の薄膜を付加し、軟X線波長領域の回折効率を高める回折格子に関する。
エネルギーが約0.1keVから2keV付近の軟X線(波長:0.6nm〜12nm)を反射型回折格子で分光する場合、実用的な回折効率を得るため光を回折格子面とすれすれの方向から入射させる斜入射条件で使用する。
軟X線領域では回折格子の表面に反射膜として積層した物質の屈折率nMは1よりわずかに小さい。高い回折効率を得るためには一般に、回折格子面に垂直な法線方向から測った入射角αが鏡面の全反射条件であるsinα≧nM(a>π/2-{2(1-nM)}1/2)を満たすようにする。しかしながら、回折格子の溝の効果により回折される光のエネルギーは、正反射条件を満たす零次光や多くの次数光に分散されるだけでなく、表面物質内に吸収される成分も存在するため、計測に利用される1次光(または-1次光)の強度は回折格子溝のない鏡の全反射の場合の強度に比較して非常に弱くなる。このため、溝形状が矩形上のラミナー型回折格子においては、溝の深さ、凹凸の山面と谷面の面積比を最適化し、山面と谷面からの光が所望の回折次数の光の回折光方向で正の干渉を起こすように設計される。
さらに、軟X線領域で高い回折効率を得る方法として、回折格子表面に低密度物質層と、前記低密度物質層よりも密度が高い高密度物質層を交互に周期的に積層して形成された構造を具備する軟X線多層膜回折格子を用いる方法がある。この方法は高密度物質層で回折された各光が干渉し、光が強められる必要がある。このためには、入射光を多層膜の膜内部まで侵入させる必要があるが、軟X線領域の全反射条件では侵入深さが小さいために膜内部まで光が侵入できず、多層膜の効果を活かすことができなかった。このことが軟X線多層膜回折格子で高い回折効率を得ることを困難にさせていた。
そこで軟X線回折格子の表面物質として光の吸収が小さい物質を選択して反射回折光の高効率化を試みる研究が実施され、その結果、前掲金属膜上にランタン(La)もしくはLaを含む化合物の薄膜を最適厚積層することにより、金属膜の回折効率を向上させることができることが数値計算により見出されている。
特開2006-133280号公報 特開2011-141129号公報 特開2015-094892号公報
渡辺征一,大谷泰夫:鉄と鋼 62, 1851-1858 (1976) T. Imazono, M. Koike, et al. Proc. of SPIE 8848, 884812 (2013) 小池雅人他,「DLC光学素子の軟X線への応用」, レーザー学会第471回研究会報告, RTM-14-71 柳原美広, 「軟X線領域における超薄膜の光学定数」, 放射光, 第9巻第1号, pp. 1-13 (1996) "Diffraction analysis of dielectric surface-relief gratings", JOSA A 72, 1386 (1982) "Rigorous coupled-wave analysis of metallic surface-relief gratings", JOSA A 3, 1780 (1986)
全反射条件によって物質内部まで侵入できないエネルギーの軟X線領域において、表面反射膜として一般に用いられる金、ニッケル等の金属膜を用いた回折格子の回折効率を長期間によって改善するとともに対環境性能の向上を図る。
本発明の回折格子は、溝が刻線された所定面上に、前記溝の深さより厚い金属膜が成膜され、前記金属膜上にランタン(La)もしくはLaを含む化合物の薄膜が成膜し、更に環境安定性に優れた炭素系物質等からなる保護膜を形成することにより、軟X線回折格子の回折効率を向上させる。
本発明では、回折格子表面の金属層とランタン(La)もしくはLa化合物層の相乗効果により、入射エネルギーが零次を含む反射回折光として回折される割合が増加するため、全反射条件によって物質内部まで侵入できないエネルギーの軟X線領域において、表面反射膜として一般に用いられる金、ニッケル等の金属膜を用いた回折格子の回折効率を長期にわたり安定して改善することができる。
従来の形態となる回折格子の構造を示す図である。 本発明の実施の形態となる回折格子の構造を示す図である。 従来の形態となる回折格子、従来の形態となる回折格子にランタン(La)膜のみ積層した回折格子、さらにその上に本発明の実施の形態となる炭素の保護膜を堆積した回折格子の回折効率の入射角依存性の比較を示す図(実測値)波長は6.76nm、入射角は約85°で、金属膜はニッケル(Ni)である。 従来型及び本発明に係る回折格子の回折効率の波長依存性(計算値)。 従来のニッケル(Ni)を表面に持つ回折格子及びその表面にランタン(La)膜のみを堆積した場合、ランタン(La)膜の上に最上層膜として炭素(C、密度:2.3 g/cm3)、ダイアモンドライクカーボン(DLC、密度:3.1 g/cm3)、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)の各保護膜層を表面に持つ回折格子の回折効率の波長依存性の数値計算結果を示す図である。入射角は全て84.2°である。図中の凡例における各物質名の後の数字はそれぞれの膜厚(nm)を示す。
発明者は矩形状の溝形状を持つラミナー型の軟X線回折格子の回折効率を一定の波長範囲で高めるには、回折格子の表面に屈折率(n)が真空(n=1.0)より小さい屈折率nMを持つ金、ニッケル等の金属膜だけでなく、さらにその上に屈折率(nT)が金属と真空の屈折率中間の値、すなわちnT〜(1+nM) / 2を持ち、消衰係数が小さい(透明な)物質を一定の厚さで積層させ、入射角を全反射条件内でできるだけ小さくできればよいことを見いだした。そこでこの条件に合致するランタンまたはその化合物薄膜を金等の金属膜の上に堆積し、更にランタン系膜の健全性を炭素膜等の保護膜を最上層に付加しボロン(B)-K発光(183 eV, 6.76 nm)近傍の1次光回折効率を長期間安定して高めるほか対候性の向上も図る。
以下、本発明の実施形態である軟X線用ラミナー型回折格子を、従来型のものと対比して詳細に説明する。従来型のラミナー型回折格子の形態について図1を用いて説明する。直交座標系において、x軸を回折格子中心Oでの回折格子の垂線(法線)方向、y軸をOでの回折格子面の接線方向、z軸をOにおいて紙面に垂直な軸とする。この時、x軸方向から入射光の方向へ張る角度を入射角(α)とする。また、x軸方向から測定に用いる波長(λ)の回折次数(m)が+1次の回折光の方向を回折角(β)とする。角度αとβの双方について符号はx軸から反時計廻りを正とする。回折格子溝はラミナー型と一般に称される矩形波状であり、SiO2等の基板1の表面、または基板1上に形成された樹脂表面に、溝周期である格子定数(σ)、溝の山部の長さ(a)、溝深さ(h)の格子溝が形成されている。
従来型のラミナー型回折格子及び後述の本発明の実施の形態となる回折格子の基板1として、ガラス(SiO2)基板上に例えば 格子定数σ = 833 nm、1/σ = 1200 本/mm、h = 15 nm、デューティ比(a/σ) = 0.40(a = 333 nm)のラミナー型の格子溝を用いる。その基板1上に金属層2を堆積したのが従来型の回折格子である。
次に、回折格子基板11上に金属層12としてNiが堆積されている回折格子を本発明に係る回折格子の母型として仮定し、その上に回折効率を高めるランタン(La)等の層13とその膜健全性を保つための炭素(C)等の保護膜層14を図2に示すように堆積する。
図3は波長6.76nm(183eV,B-K発光)における回折格子が(1)従来技術のNi表面の場合、(2)Ni表面にLa層のみ、(3)Ni表面にLa層と保護膜C層を堆積した場合の回折効率の入射角依存性を比較した実測値を示す図である。入射角は約85°である(横軸は斜入射角=90°-入射角)。(2)の場合、(1)の場合に比較して最大回折効率が17.3% (5.58°)から35.7%(6.48°)へと約2倍増加する。一方C層を付加しない(2)においては逆に(1)より回折効率が大きく低下し実用にならないことが判る。なお、膜構成を示す物質名の後の()内の数値はそれぞれの物質の膜厚(nm)を示す。
図4は従来型及び本発明に係る回折格子の回折効率の波長依存性(計算値)を示す。従来のニッケル(Ni)を表面に持つ回折格子及びその表面にランタン(La)膜のみを堆積した場合、ランタン(La)膜の上に最上層膜として化学的に安定とみられる炭素(C、密度:2.3 g/cm3)、ダイアモンド結晶構造の粒子を多く含むダイアモンドライクカーボン(DLC、密度:3.1 g/cm3)、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)の各保護膜層を表面に持つ回折格子の回折効率の波長依存性の数値計算結果を示す図である。入射角は全て84.2°である。図中の凡例における各物質名の後の数字はそれぞれの膜厚(nm単位)を示す。この図から計算上ランタン膜のみ場合から回折効率の低下が最も少ない膜はDLCであるが、炭素とほとんど差異はない。少し離れて酸化セリウム(CeO2)、酸化チタン(TeO2)膜と続く。したがって、炭素膜が実用上最も容易に積層可能で回折効率の低下も招かない物質であることがわかる。なお、凡例中の膜構成を示す物質名の後の()内の数値は膜厚(nm)を示す。
電子顕微鏡に搭載した軟X線発光回折格子分光器に組み込むことにより、電子線で試料を励起し、鉄鋼のボロンなどの軟X線発光の分光計測に基づく微量成分分析、リチウムイオン電池材料開発、原子炉の廃炉工程におけるデブリ分析等に用いることができる。また、励起源として各種加速器等により生成される放射光、イオンビーム、高周波放電、プラズマ放電等も用いることができる。
1、11…回折格子基板
2、12…金属膜層
13…ランタン系膜層
14…保護膜層

Claims (4)

  1. 矩形状の溝形状を持つラミナー型回折格子上に、目的電磁波の浸透深さよりも厚い金属膜が被覆され、該金属膜の上に該目的電磁波の浸透深さよりも薄いランタン膜が被覆されており、さらにその表面に最上層膜として化学的に安定な保護層膜を有することを特徴とするラミナー型回折格子。
  2. 前記保護膜が炭素(C)、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)のいずれかから成ることを特徴とする請求項1に記載のラミナー型回折格子。
  3. 前記金属膜が2種以上の異種の金属の膜が積層されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のラミナー型回折格子。
  4. 前記ランタン膜の代わりに酸化ランタン(La2O3)、あるいはフッ化ランタン(LaF3)から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミナー型回折格子。
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