JPH049319Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は内部にフイルターを有するタンクに関
する。本考案のタンクは、例えば自動車のパワー
ステアリングのオイルタンクなどに利用すること
ができる。

［従来の技術］ 自動車のパワーステアリングに用いられるオイ
ルなどは循環して使用され、可動部分の摩擦など
による生ずる金属粉などが混入するために、ろ過
する必要がある。そのために従来パワーステアリ
ングのオイルタンク内には、第７図に示すように
ニツプル部１０１近傍にフイルター１００が配置
され、そのフイルター１００で循環するオイルを
ろ過している。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記した従来のオイルタンクにおいては、ろ過
漏れを防止するためにフイルター１００は一般に
タンク内周形状と略同一の外周形状に形成され、
パツキン１０２を介して液密に取りつけられてい
る。そのためにフイルターの交換時など、フイル
ターのタンクへの着脱に大きさ労力が必要であ
り、作業性が悪かつた。またパツキンを用いてい
るために部品点数が増加してコストアツプの要因
となり、パツキン自体の経時劣化も生じるため定
期的な交換の必要もあつた。

本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであ
り、フイルターのタンク本体への着脱が容易であ
り、パツキンが不要なフイルターを有するタンク
を提供するものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案のフイルターを有するタンクは、流体が
出入する通路孔と、内壁面から突出し通路孔の周
囲に略Ｕ字状に延びる壁部と壁部端部から該内壁
面と略平行に内側へ突出するとともに壁部に沿つ
て略Ｕ字状に延びる被覆部とからなるブラケツト
部をもつ容器状のタンク本体と、 フイルター部とフイルター部の周囲に形成され
たリング状のフランジ部とからなるフイルター
と、からなり、被覆部とタンク本体の内壁面との
間に形成された溝部とフランジ部との係合により
フイルターがタンク本体の固定されたフイルター
を有するタンクであつて、 溝部の断面形状及びフランジ部の断面形状の少
なくとも一方は漸次対応幅が減少するくさび状を
なし、フランジ部が溝部に係合したときにフラン
ジ部がタンク本体の内壁面に圧接されるようにし
たことを特徴とする。

本考案のフイルターを有するタンクは、タンク
本体と、タンク本体に固定されたフイルターとか
ら構成される。

タンク本体は容器状をなし、通路孔とブラケツ
ト部を有する。また、本考案の一つの特徴をなす
ブラケツト部は、壁部と壁部端部から内壁面と略
平行に内側へ延びる被覆部とからなり、通路孔の
周囲に略Ｕ字状に延びて形成されている。このブ
ラケツト部は、タンク本体の内壁面に一体的に形
成されたものであり、フイルターのフランジ部が
係合することによりフイルターをタンク本体に固
定する機能をもつ。なお、タンク本体の材質は一
般に樹脂が用いられるが、その他金属などを用い
ることもできる。

フイルターは、フイルター部とフイルター部の
周囲にリング状に形成されたフランジ部とから構
成されている。フイルター部の形状は筒状あるい
は板状などとすることができる。なおフランジ部
とフイルター部とは別体として形成し、機械的に
結合して一体としてもよいし、全体を一体とする
こともできる。その材質は特に制限されないが、
一般には樹脂が利用される。

本考案の一つの特徴は、ブラケツト部とフラン
ジ部とが係合しているところにある。すなわちブ
ラケツト部の溝部にフランジ部を係合させること
により、フランジ部の一端面をタンク本体の内壁
面に当接付勢し、以てフイルターをタンク本体に
保持固定するようにしたものである。

ここで本考案の最大の特徴は、ブラケツト部の
溝部の断面形状、およびフランジ部の断面形状の
少なくとも一方は、漸次対応幅が減少するくさび
状となつているところにある。このようにするこ
とにより、フランジ部を溝部内に係合させるとフ
ランジ部一端面をタンク本体の内壁面に当接する
方向へ付勢する付勢力が発生し、密着性が向上す
るのでろ過漏れを防止することができる。

なお、この場合、フランジ部及び溝部のそれぞ
れの表面に互いに対応する凸部および凹部を形成
し、それぞれの係合によりフランジ部がブラケツ
ト部から抜けるのを防止するようにすることも好
ましい。

［考案の作用および効果］ 本考案のフイルターを有するタンクでは、フイ
ルターはフランジ部と溝部の係合によりタンク本
体に保持固定されている。そしてフランジ部及び
溝部の少なくとも一方の断面形状をくさび状とし
たことで、両者の係合によりフランジ部をタンク
本体の内壁面に圧接する力が発生する。したがつ
てパツキンを用いる必要がないので、部品数の低
減を図ることができる。またフイルターの着脱は
従来より容易とすることができ、作業性が向上す
る。

［実施例］ （実施例 １） 第１図に本考案の一実施例のフイルターを有す
るタンクを示す。このタンクはタンク本体１と、
フイルター２とから構成されている。

タンク本体１は、通路孔１１を有するニツプル
部１２と、内壁面で通路孔１１の周囲に一体的に
形成された略Ｕ字状のブラケツト部１３とを備
え、ポリアミド樹脂により全体が一体的に成形さ
れて形成されたものである。

ブラケツト部１３は、第２図に示すようにタン
ク本体１内壁面より突出する壁部１３ａと、壁部
１３ａからタンク本体１内壁面と平行に内側へ突
出し壁面１３ａに沿つて延びる被覆部１３ｂとか
らなる断面Ｌ字状の突条であり、内壁面とともに
通路孔１１側に開口する溝部１４を形成してい
る。また溝部１４内には第３図に示すように内側
へ突出する２つの凸部１５が形成されている。

フイルター２は第４図に示すように、フランジ
部２１と、筒状のフイルター部２２とからなる。
フランジ部２１は中央に貫通孔２３をもつ環状の
板状であり、ブラケツト部１３の形状に対応する
略Ｕ字状をなしている。そしてフランジ部２１の
側周面には２つの凹部２４が形成されている。
尚、このフイルター２は金型内にポリアミド樹脂
からなるネツトを配置した後、ポリアミド樹脂を
射出して成形されたものである。

ここでフランジ部２１は、第１図に示すよう
に、ブラケツト部１３に嵌合される先端側ほど厚
さが薄く、反対側の端部に向かうにつれて厚くな
る断面くさび形状に形成されている。したがつて
本実施例のフイルターを有するタンクでは、溝部
１４内にフランジ部２１が係合することで、フラ
ンジ部２１には被覆部１３ｂからタンク本体１の
内壁面に圧接する力が作用し、フイルター２はタ
ンク本体１に液密的に保持固定されている。そし
て通路孔１１と貫通孔２３が連通し、タンク本体
１内部の液体はフイルター部２２でろ過されてニ
ツプル部１２から流出する。また溝部１４内の凸
部１５がフランジ部２１の凹部２４に係合するこ
とで、フイルター２がタンク本体１から脱落する
のが防止されている。

すなわち本実施例のフイルターを有するタンク
本体では、パツキンを用いなくともフイルターを
タンク本体に固定することができ、部品数が低減
するとともにフイルターの着脱が容易である。

（実施例 ２） 本実施例では、第５図に示すようにブラケツト
部３を分割形状としたこと以外は実施例１と同様
の構成である。このようにブラケツト部を実施例
１のような連続した突条としなくとも、実施例１
と同様の機能をもつ。

（実施例 ３） 本実施例では、フランジ部は厚さが均一な板状
とし、第７図に示すようにフランジ部５の溝部５
１の形状を、略Ｕ字形状の底部から開口部に向か
うにつれ漸次間隔が狭くなるテーパ形状としたこ
と以外は実施例１と同様の構成である。本実施例
も実施例１と同様の作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の実施例１のフイルタ
ーを有するタンクに係わる図であり、第１図はそ
の要部断面図、第２図はタンク本体の要部斜視
図、第３図は第１図のＡ−Ａ矢視断面図、第４図
はフイルターの斜視図である。第５図は実施例２
のフイルターを有するタンクのタンク本体の要部
斜視図である。第６図は実施例３のフイルターを
有するタンクの要部説明断面図である。第７図は
従来のフイルターを有するタンクの要部断面図で
ある。 １……タンク本体、２……フイルター、１１…
…通路孔、３，５，１３……ブラケツト部、２１
……フランジ部、２２……フイルター部、１４，
５１……溝部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 流体が出入する通路孔と、内壁面から突出し
   該通路孔の周囲に略Ｕ字状に延びる壁部と該壁
   部端部から該内壁面と略平行に内側へ突出する
   とともに該壁部に沿つて略Ｕ字状に延びる被覆
   部とからなるブラケツト部をもつ容器状のタン
   ク本体と、 フイルター部と該フイルター部の周囲に形成
   されたリング状のフランジ部とからなるフイル
   ターと、からなり、該被覆部と該タンク本体の
   該内壁面との間に形成された溝部と該フランジ
   部との係合により該フイルターが該タンク本体
   に固定されたフイルターを有するタンクであつ
   て、 前記溝部の断面形状及び前記フランジ部の断
   面形状の少なくとも一方は漸次対応幅が減少す
   るくさび状をなし、該フランジ部が該溝部に係
   合したときに該フランジ部が前記タンク本体の
   前記内壁面に圧接されるようにしたことを特徴
   とするフイルターを有するタンク。 (2) 前記溝部の内周表面には凸部あるいは凹部を
   もち、前記フランジ部表面に形成された凹部あ
   るいは凸部と係合して係止されている実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のフイルターを有す
   るタンク。