JPH047414Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ガス湯沸器などの各種ガス燃焼器
具において、風などによる吹消え、煮こぼれなど
による立消えなどがあつた場合にガスの供給を自
動的に遮断して生ガスの放出を防止する安全装置
に関する。

〔従来の技術〕

ガス湯沸器、ガスコンロなどの各種ガス燃焼器
具の安全装置として、点火操作時に電磁安全弁を
ソレノイドによつて自動的に押動開放保持すると
ともに、マグネツト（電磁石）にはコンデンサー
の放電電流を流して該安全弁を吸着開放保持し、
正常点火後は安全弁のマグネツトによる吸着開放
保持を熱電対の熱起電力に切替え移行せしめるク
イツクスタート方式の点火装置を有し、かつ、ガ
スバーナの燃焼炎が吹消えたり、立消えた場合な
どには熱電対がこれを検知して安全弁を自動的に
閉止しガスの供給を直ちに遮断して生ガスの放出
を防ぎ安全性を高めたものは、例えば、実開昭59
−113646号公報、実開昭59−120344号公報などに
示されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、上記従来技術のものは、点火操作時に
安全弁を押動するソレノイドが弁筐外に設置さ
れ、かつ、弁軸の摺動部が筐外壁に設けられるこ
とから該摺動部にガスの気密を保つためのシール
を必要とするので弁軸の摺動抵抗負担が増大しそ
の作動に強大な力が必要であるなど駆動部等が頗
る大型化するという欠点があるとともに、点火作
用時における電磁安全弁の押動をソレノイドによ
り行つているため、ソレノイドは大型で、しか
も、高価であり、その摺動部、すなわち、固定鉄
心に対する可動鉄心の動きが塵埃などの付着、噛
み込みなどによつて悪くなつたり、その作動が不
能となることがあるなど信頼性の点でも問題があ
り、また、ソレノイドによる安全弁の押動開放保
持動作と同時にガス通路が開放されてしまうため
点火操作時にガスバーナへのガスの流れが安全弁
装置の動きに要する時間との関係でガスバーナへ
の点火動作より先行するために瞬時であるがその
間に生ガスが放出されるという欠点がある。

そこで、この考案は点火操作時における安全弁
の駆動部及び弁軸の摺動部等をすべて弁筐内に収
納せしめて摺動部のシールを不要とし弁軸の摺動
抵抗負担の軽減による作動に必要な力の減少等に
よつて駆動部等の小型化を図り、かつ、従来技術
のソレノイドに代えてワツクス等の熱膨脹部材を
用いることにより構造の簡素化、コスト低減、器
具の小型化及び信頼性の向上等を図るとともに、
点火操作時における熱膨脹部材による安全弁の押
動開放保持動作などの作動中は該安全弁と連動す
る開閉弁でガス通路を閉止し、ガスバーナへのガ
スの流れとガスバーナへの点火動作を誤差のない
よう同調せしめて点火操作時における生ガスの放
出を皆無として安全性を高めることを目的とする
ガス燃焼器具の安全装置を提供するものである。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は、弁筐Ａに設けたガス通路１に２つ
の弁室２，３を仕切壁１５を挟んで隣接し、該仕
切壁１５に穿つた連通孔１６の周縁の表裏に弁シ
ート４，５を両面シート状に相対向して設け、一
方の弁室、すなわち、上流側の弁室２に電熱ヒー
タ１２を埋設せる熱膨脹部材６に連設してその伸
縮動作で直線的に進退移動する開閉弁V₁を戻し
バネ７により開放方向に付勢してその弁シート４
に接離可能に対向して装備し、電熱ヒータ１２へ
の通電によつて熱膨脹部材６が一定のストローク
ｌだけ戻しバネ７に抗して熱膨脹し開閉弁V₁を
その弁シート４に圧接し、電熱ヒータ１２への通
電が断たれると熱膨脹部材６が冷却縮小し戻しバ
ネ７の弾発力によつて一定のストロークｌだけ開
閉弁V₁をその弁シート４から離間せしめ、該開
閉弁V₁を電熱による膨脹部材６により開閉する
ように設け、他方の弁室、すなわち、下流側の弁
室３にはマグネツト（電磁石）８の吸着面９に接
離する吸着片１０と一体に備え発条１１で閉止方
向に付勢した安全弁V₂をその弁シート５に接離
可能に対向して装備し、上記熱膨脹部材６の熱膨
脹で安全弁V₂を発条１１に抗して押動しその弁
シート５から離間するとともに、吸着片１０をマ
グネツト８の吸着面９に押当てマグネツト８への
通電によつて吸着片１０を吸着保持し安全弁V₂
を発条１１の弾発力に打勝つて開閉状態に保持せ
しめ、マグネツト８への通電が断たれるとその吸
着が解かれ安全弁V₂を発条１１の弾発力でその
弁シート５に圧接するか、又はマグネツト９にて
吸着して開閉するように設け、上記開閉弁V₁と
安全弁V₂は同一軸心を保つて近接位置に配置さ
れ、熱膨脹部材６の熱膨脹による押圧力により開
閉弁V₁の閉止と共動して安全弁V₂を開放すると
ともに、吸着片１０をマグネツト８の吸着面９に
押当て保持し開閉弁V₁の開放時と安全弁V₂の閉
止時はこれらが互いに干渉せず別動するよう関連
させ、かつ、上記熱膨脹部材６に埋設せる電熱ヒ
ータ１２に電源１３を点火操作時にコントロール
ボツクスＣからの指令で一定時間だけ通電可能に
接続せしめるとともに、マグネツト８にはガスバ
ーナ１７に臨ませた熱電対１４と、電源１３に充
電回路を介して接続され点火操作時にコントロー
ルボツクスＣからの指令で放電するコンデンサー
を接続して点火操作時に電熱ヒータ１２に電源１
３から一定時間だけ通電すると同時にマグネツト
８にコンデンサーの放電電流を流し、ガスバーナ
１７に正常点火された後はマグネツト８への通電
を熱電対１４の熱起電力に切替えうる構成とした
ものである。

〔作用〕

開閉弁V₁を駆動する熱膨脹部材６、安全弁V₂
を吸着保持するマグネツト８及びこれらの弁軸２
０，２３の摺動部２８，２９はすべて弁筐Ａ内に
収納設置されており、そこで、点火釦、点火レバ
ーなどの操作手段を点火操作すると、コントロー
ルボツクスＣからの指令で電熱ヒータ１２に電源
１３から通電するとともに、マグネツト８にはコ
ンデンサーの放電電流が流れるため、熱膨脹部材
６は電熱ヒータ１２により加熱昇温されて熱膨脹
しその押圧力により開閉弁V₁を戻しバネ７に抗
して一定のストロークｌだけ押動前進させその弁
シート４に圧接すると同時に安全弁V₂をも発条
１１に抗して押動前進しその弁シート５から離間
するとともに、吸着源１０をマグネツト８の吸着
面９に押当てコンデンサーの放電電流で励磁され
ているマグネツト８の吸着力で吸着片１０を吸着
せしめて安全弁V₂を開放状態に保持する。電熱
ヒータ１２への電源１３からの通電は上記一連の
押動前進動作が完了すると、コントロールボツク
スＣからの指令で断たれるため電熱ヒータ１２に
よる熱膨脹部材６の加熱が解かれ熱膨脹部材６は
冷却して縮小し戻しバネ７の弾発力によつて開閉
弁V₁を一定のストロークｌだけ後退させその弁
シート４から離間しガス通路１を開放する。この
とき、安全弁V₂は未だコンデンサーからの放電
電流で開放保持されているためガスバーナ１７へ
ガスが供給され、パイロツト炎などにより正常に
点火されると、その燃焼炎ａで熱電対１４が加熱
されるためマグネツト８への通電がその後コント
ロールボツクスＣからの指令でコンデンサーの放
電電流から熱電対１４からの熱起電力に切替わり
引続き安全弁V₂を開放保持しガスバーナ１７の
燃焼を持続する。

次に、ガスバーナ１７の燃焼炎ａが使用中に吹
消えたり、立消えた場合等はガスバーナ１７の燃
焼炎ａによる熱電対１４の加熱が中止されるため
マグネツト８への通電は直ちに断たれその吸着力
がなくなるので安全弁V₂は発条１１の弾発力に
より押動後退されてその弁シート５に圧接しガス
通路１を閉止せしめ安全を期するものである。

〔実施例〕

以下この考案によるガス燃焼器の安全装置の一
実施例を図面に基づき説明する。

図面において、Ａは弁筐で、図示クランク状に
形成されたガス通路１を有し、該ガス通路１には
２つの弁室２，３を仕切壁１５を挟んで隣接し、
該仕切壁１５に連通孔１６を穿設してその周縁の
表裏に弁シート４，５を両面シート状に相対向し
て設け、該弁シート４，５を２つの弁室２，３の
それぞれの弁シートとなしている。６は熱膨脹部
材で、通電加熱せしめるとにより熱膨脹し、通電
を断つと冷却して縮小する性質をもつワツクス等
の熱膨脹部材６ｃを用いるもので、弁室Ａの上流
側弁室２に連設せる筒状取付け部１８に伸縮自在
な蛇腹状の伸縮部６ａを中心に有する凹状の密封
袋６ｂ内に上記ワツクス等の熱膨脹材６ｃを封入
したものを横向きに設置して熱膨脹材６ｃが膨
脹、縮小することにより伸縮部６ａが仕切壁１５
の連通孔１６の中心に指向して一定のストローク
ｌだけ直線的に進退移動するようになしている
V₁は上流側弁室２にその弁シート４に接離可能
に対向して装備した開閉弁で、上記熱膨脹部材６
の膨脹、縮小動作により弁シート４に接離してガ
ス通路１の開閉を行うものであり、熱膨脹部材６
の伸縮部６ａと隔壁１９にシール材を介すること
なく挿通支持した弁軸２０を介して連設され、伸
縮部６ａに圧接した弁軸２０と一体の受け板２０
ａと隔壁１９との間には戻しバネ７を介装せしめ
該戻しバネ７で開閉弁V₁を開放方向（図示右方）
に付勢するとともに、熱膨脹材６ｃの縮小時に伸
縮部６ａを元位置へ自動復帰せしめるものであ
る。８はマグネツト（電磁石）で、弁筐Ａの下流
側弁室３に連設せる筒状取付け部２１に設置さ
れ、その吸着面９には吸着片１０を接離可能に付
設せしめている。V₂は弁筐Ａの下流側弁室３に
その弁シート５に接離可能に対向して装備した安
全弁で、上記マグネツト８の吸着片１０と隔壁２
２にシール材を介することなく挿通支持した弁軸
２３を介して一体に設けられ、安全弁V₂と隔壁
２２との間に装着した発条１１により閉止方向
（図示右方）に付勢されている。上記開閉弁V₁と
安全弁V₂は熱膨脹部材６の伸縮部６ａ、マグネ
ツト８の吸着片１０及び弁軸２０，２３とともに
同軸心を保つて近接位置に配置され、両弁V₁，
V₂間にはいずれか一方に実施例において開閉弁
V₁と一体に形成した突軸２４，他方に実施例に
おいて安全弁V₂に固着した緩衝バネ２５を介装
して共動又は別動可能に関連させ、共動するとき
は上記緩衝バネ２５で両弁V₁，V₂が弾性的に結
合され、別動するときは互いに干渉しないように
なつている。１２は熱膨脹部材６を加熱する電熱
ヒータで、熱膨脹部材６の熱膨脹材６ｃに埋設さ
れている。１３は電源で、該電源１３は上記電熱
ヒータ１２とコントロールボツクスＣを介して接
続電線２６により接続し、電熱ヒータ１２にコン
トロールボツクスＣからの指令で点火操作時に一
定時間だけ通電するように設けられ、また、電源
１３とマグネツト８は電源１３と充電回路により
接続されたコンデンサー（図示せず）を介して接
続電線２７により接続するとともに、ガスバーナ
１７に臨ませた熱電対１４とマグネツト８をもコ
ントロールボツクスＣを介して上記接続電線２７
により接続せしめて点火操作時にコントロールボ
ツクスＣからの指令でコンデンサーの放電電流を
マグネツト８に流し、ガスバーナ１７に正常点火
後はマグネツト８への通電をコントロールボツク
スＣからの指令で熱電対１４からの熱起電力に切
替えうるようになしている。なお、熱膨脹部材６
の伸縮ストロークｌは開閉弁V₁がその弁シート
４に正確に圧接され、かつ、安全弁V₂はその弁
シート５から離間し吸着片１０はマグネツト８の
吸着面９に押当てられるストロークに設定するも
のであるが、両弁V₁，V₂間に緩衝バネ２５を介
装したので多少の誤差は吸収され、吸着面９に対
する吸着片１０の圧接もソフトとなる。また、熱
膨脹部材６の膨脹による押圧力は戻しバネ７と安
全弁V₂の発条１１の弾発力より強くなつており、
熱膨脹部材６の縮小時は戻しバネ７の弾発力だけ
でその伸縮部６ａを開閉弁V₁の開動作とともに
元位置へ戻すものである。

しかして、ガス燃焼器具を使用していないとき
は、すなわち、不使用時は、熱膨脹部材６の熱膨
脹材６ｃへの通電は断たれているため熱膨脹材６
ｃは縮小し伸縮部６ａは戻しバネ７により図示右
方へ延びてこれと一体の開閉弁V₁はその弁シー
ト４から離間し（図面の実線位置参照）、かつ、
マグネツト８への通電も断たれているので安全弁
V₂は発条１１により図示右動してその弁シート
５に圧接されてガス通路１を閉止している（図面
の鎖線の位置参照）。

そこで、ガス燃焼器具を使用するとき、すなわ
ち、使用時に点火釦、点火レバーなどの操作手段
を点火操作すると、操作手段と連動する点火スイ
ツチがONしてコントロールボツクスＣからの指
令で電熱ヒータ１２に電源１３からの電流を流す
とともにマグネツト８にはコンデンサーの放電電
流を流すため熱膨脹部材６の熱膨脹材６ｃは加熱
膨脹され密封袋６ｂの伸縮部６ａを戻しバネ７に
抗して図示左方へ一定のストロークｌだけ収縮移
動し該伸縮部６ａと弁軸２０を介して一体に連設
されている開閉弁V₁を図示左方へ押動してその
弁シート４に押しつけると同時に緩衝バネ２５を
介して安全弁V₂を発条１１に抗して図示左方へ
押動しその弁シート５から離間するとともに、弁
軸２３を介して安全弁V₂と一体に連設されてい
る吸着片１０をマグネツト８の吸着面９に押当て
コンデンサーの放電電流により励磁されているマ
グネツト８の吸着力で吸着片１０を吸着して安全
弁V₂を開放位置に保持する。上記熱膨脹部材６
の熱膨脹による開閉弁V₁の閉止と安全弁V₂の吸
着開放保持動作が完了すると、コントロールボツ
クスＣからの指令で電熱ヒータ１２への電源１３
からの通電が断たれるため熱膨脹材６ｃは冷却縮
小し伸縮部６ａは戻しバネ７の弾発力により図示
右方へ一定のストロークｌだけ伸長移動して元位
置へ復帰し、これと一体の開閉弁V₁を図示右方
へ移動してその弁シート４から離間しガス通路１
を開放せしめガスバーナ１７にガスを供給する
（図示実線の位置参照）。この段階では安全弁V₂
はコンデンサーの放電電流で依然として開放保持
されている。ガスバーナ１７にパイロツト炎など
で正常に点火されると、その燃焼炎ａで熱電対１
４が加熱されるため熱電対１４に熱起電力が発生
しマグネツト８への通電がコントロールボツクス
Ｃからの指令でコンデンサーの放電電流から熱電
対１４の熱起電力に切替わりマグネツト８を引続
き励磁し安全弁V₂の開放保持を続けガスバーナ
１７の燃焼を持続する。

上記燃焼状態において、ガスバーナ１７の燃焼
炎ａが風などにより吹消えたり、煮こぼれなどに
より立消えた場合又は器具の使用を停止して燃焼
炎ａを消火した場合はガスバーナ１７の燃焼炎ａ
による熱電対１４の加熱が停止されるためその熱
起電力によるマグネツト８の吸着力がなくなり該
マグネツト８による吸着片１０の吸着保持が解か
れ安全弁V₂は発条１１の弾発力で図示右方へ押
動されてその弁シート５に圧接されガス通路１を
即座に閉止しガスの供給を自動的に遮断し生ガス
の放出を防止する。

〔考案の効果〕

この考案は以上説明したように、開閉弁V₁を
駆動する熱膨脹部材６、安全弁V₂を吸着保持す
るマグネツト８及びこれらの弁軸２０，２３の摺
動部２８，２９のすべてを弁筐Ａ内に収納設置し
たから、該摺動２８，２９にガスの気密を保持す
るためのシールを必要とせず、したがつて、弁軸
の摺動抵抗負担が軽減されて作動に必要な力が小
さくて済むため駆動部を小型化することができ、
また、点火操作時における電磁安全弁V₂の押圧
開放動作をワツクス等の熱膨脹部材６を用いて行
う構造としたから、構造の簡素化と信頼性の向
上、コストの低減及び上記駆動部の小型化と相ま
つてマグネツト８をも弁筐Ａ内に設置したので器
具の小型化が実現できるとともに、安全弁V₂と
連動する開閉弁V₁でガス通路１を閉止するため
点火操作時に生ガスの放出が皆無となつて実際の
使用にあたりその安全性は倍加するなどの効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案によるガス燃焼器具の安全装置
の一実施例を示した概略構成図である。 Ａ……弁筐、１……ガス通路、２，３……弁
室、４，５……弁シート、６……熱膨脹部材、
V₁……開閉弁、７……戻しバネ、８……マグネ
ツト、９……吸着面、１０……吸着片、V₂……
安全弁、１１……発条、１２……ヒータ、Ｃ……
コントロールボツクス、１３……電源、１４……
熱電対、２０，２３……弁軸、２８，２９……摺
動部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガス通路１を開閉する弁筐Ａの仕切壁１５に開
   口した連通孔１６を挟んでその表裏に相対向し電
   熱による膨脹部材６により開閉する開閉弁V₁と
   マグネツト８の吸着によつて開かれる安全弁V₂
   とを上記弁筐Ａ内で、かつ同軸心に配置すること
   により上記両弁V₁，V₂の弁軸２０，２３の摺動
   部２８，２９を上記密閉した弁筐Ａ内に収納配置
   して構成したことを特徴とするガス燃焼器具の安
   全装置。