JPH04717Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、菌体が産生する酵素等を検出して
被検菌の分類分けや種類決定等を行なう試験など
において利用されるものであつて、菌体産生酵素
等の検出用のデイスク状濾紙を保持するための手
段に関する。

〔従来の技術〕

菌体が産生する酵素を検出して菌の分類分けや
種類の決定等を行なう試験法は、従来、検出目的
菌が産生する酵素の作用を受ける基質である抗生
物質をデイスク状濾紙片に滲み込ませて凍結乾燥
させた反応基を予め調製しておき、試験に際して
は、シヤーレ等にリン酸塩緩衝液を滴下し、その
緩衝液上に上記反応基であるデイスク状濾紙を落
としてから、被検菌を白金耳で濾紙上に画線塗抹
し、所定時間放置した後、判定を行なうようにし
ていた。

ここで、菌体産生酵素を検出するに当たつて
は、通常、異なる複数種類の反応基を組み合わせ
て、それらの各反応基との反応を比較検討するよ
うにしており、それによつて検出目的菌のタイプ
等を総合的に判定するようにしている。例えば、
β−ラクタマーゼを検出する場合には、ニトロセ
フインデイスク、ペニシリン−Ｇデイスク及びセ
フアロスポリンデイスクの３種類のデイスク（反
応基）を用い、ニトロセフインデイスクで陽性
で、かつペニシリン−Ｇデイスク及びセフアロス
ポリンデイスクの何れか一方又は両方で陽性であ
るときに目的菌をβ−ラクタマーゼ高産生菌と分
類し、さらにペニシリン−Ｇデイスクとセフアロ
スポリンデイスクとでの反応を比較して、ペニシ
リン−Ｇデイスクでの反応が早く強い場合にペニ
シリナーゼタイプ、その逆の場合にセフアロスポ
リナーゼタイプと判定している。また、ニトロセ
フインデイスクのみに陽性であるときには目的菌
をβ−ラクタマーゼ低産生菌と分類している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記したように菌体産生酵素を検出するに際し
複数の反応基を同時に使用する場合において、従
来法におけるように、シヤーレの複数個所にリン
酸塩緩衝液を滴下してその各滴下液上にそれぞれ
反応基である各デイスク状濾紙を落とすようにし
たときは、各デイスク状濾紙は外観形状が同一で
あることから、デイスク状濾紙を選び間違えると
いつたことも起こる可能性があり、その結果、検
出目的菌を誤判したりする。また、シヤーレに緩
衝液を過剰に滴下すると、緩衝液がシヤーレ内に
おいて流動し、それに伴いデイスク状濾紙が移動
することにより、異なる種類の反応基同士が接触
して検出結果の信頼性を損なつたり、またデイス
ク状濾紙を取り違えて検出目的菌を誤判したりす
るといつた問題点があつた。

この考案は、上記問題点を解決するためになさ
れたものであつて、簡易な構成により反応基であ
るデイスク状濾紙を所定位置に固定することがで
きる手段を提供することを技術的課題とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、厚手紙もしくは合成樹脂からな
り、デイスク状濾紙片に対応する形状及び大きさ
の嵌込み用孔が形設された有孔薄板と、同じく厚
手紙もしくは合成樹脂からなり、前記有孔薄板と
同一平面形状の基台薄板とを重ね合わせて接合
し、有孔薄板の前記嵌込み用孔を通して露出した
前記基台薄板の上面にデイスク状濾紙片を貼着す
るための接着剤もしくは粘着剤を塗布して菌体産
生酵素等の検出用デイスクプレートを構成するこ
とにより、上記課題を達成した。

〔作用〕

上記構成のデイスクプレートにおいては、有孔
薄板と基台薄板とを重ね合わさせて接合するだけ
で、有孔薄板の嵌込み用孔と基台薄板の上面とに
よつてプレート上面に、デイスク状濾紙片に対応
する形状及び大きさで、有孔薄板の厚みに相当す
る深さの浅い凹部が形成される。この凹部内にデ
イスク状濾紙片を嵌め込み、その裏面側を基台薄
板の上面に接着剤もしくは粘着剤によつて貼着す
ることにより、反応基であるデイスク状濾紙が所
定位置に固定される。

〔実施例〕

以下、この考案の好適な実施例について図面を
参照しながら説明する。

第１図ないし第４図はこの考案の１実施例を示
し、第１図は菌体産生酵素等の検出用デイスクプ
レートの平面図、第２図はその縦断面図、第３図
はそのデイスクプレートを展開した状態を表わし
た斜視図、第４図はそのデイスクプレートにデイ
スク状濾紙片を嵌め込んだ状態を表わした斜視図
である。このプレート本体１は、上板となる有孔
薄板２と下板となる基台薄板３とから構成されて
いる。有孔薄板２及び基台薄板３はそれぞれ、同
一平面形状の短冊状をなし、厚手紙、或いは合成
樹脂により形成されている。尚、有孔薄板２を厚
手紙により形成したときは、その表面に薬剤等の
名前を鉛筆等で簡単に記入しておくことができ、
誤判を避ける上で極めて有効である。また、有孔
薄板２と基台薄板３とは、それぞれの長辺の一方
側において連接しており、その連接部分で折り曲
げることにより両薄板を完全に重ね合わせること
ができる。このように有孔薄板２と基台薄板３と
を連接しておくと、両薄板を重ね合わせて貼着す
る作業を簡単にかつ見栄え良く行なうことができ
て便利であるが、有孔薄板と基台薄板とを分離し
て別々に作成しておいても差し支えないことは言
うまでもない。

有孔薄板２には、使用するデイスク状濾紙片に
対応する形状及び大きさの嵌込み用孔４が形設さ
れている。この実施例では、嵌込み用孔４は、そ
れぞれ互いに離隔して１列に３個形設されてい
る。そして、例えばβ−ラクタマーゼの検出用デ
イスクプレートとして使用する場合には、それら
嵌込み用孔４のうちの１個はニトロセフインデイ
スク用、次の１個はペニシリン−Ｇデイスク用、
残りの１個はセフアロスポリンデイスク用という
ように、それぞれ異なる種類の抗生物質が担持さ
れた複数枚のデイスク状濾紙片のための嵌込み用
孔とされる。

基台薄板３の上面には、第３図に示すように接
着剤（或いは粘着剤）６が塗布されており、上記
したように有孔薄板２と基台薄板３とを、その連
接部分で折り曲げて重ね合わせ、上下両側から若
干の力を加えることにより、有孔薄板２と基台薄
板３とは互いに接合して、第１図乃び第２図に示
したように１枚のプレート状となる。このように
有孔薄板２と基台薄板３とを接合させて１枚のプ
レート状に形成することにより、そのプレートの
上面には、有孔薄板２の嵌込み用孔４と基台薄板
３の上面とによつて、使用するデイスク状濾紙片
に対応する形状及び大きさで、有孔薄板２の厚み
に相当する深さの浅い凹部が形成される。そこ
で、第４図に示すように、その各凹部内にデイス
ク状濾紙片５をそれぞれ嵌め込むようにする。こ
のデイスク状濾紙片５の嵌込み作業を、有孔薄板
２と基台薄板３との接合作業に引き続いて行なう
ときは、凹部の底面、すなわち有孔薄板２の嵌込
み用孔４を通して露出した基台薄板３の上面には
接着剤が貼着可能状態で塗布されたままであるの
で、デイスク状濾紙片５を基台薄板３の上面に押
し付けてデイスク状濾紙片５の裏面側を基台薄板
３上面に貼着すればよい。また、有孔薄板２の嵌
込み用孔４を通して露出した基台薄板３の上面に
接着力が無いときは、その個所に接着剤を塗布し
た後、デイスク状濾紙片５を貼着するようにすれ
ばよい。このようにして、反応基である各デイス
ク状濾紙片５がプレート本体１の所定位置に固定
される。尚、デイスク状濾紙片５は、有孔薄板２
の嵌込み用孔４によつて形成される凹部に予め嵌
め込んでおいてもよいし、使用に際してその都度
嵌め込むようにしてもよい。

以上のように構成されたデイスクプレートによ
り、例えば菌体が産生する酵素を検出して被検菌
の分類分けや種類決定等を行なうには、デイスク
状濾紙片５にリン酸塩緩衝液を滴下してデイスク
状濾紙片５を湿らせてから、そのデイスク状濾紙
片５上に被検菌を画線塗抹するようにする。その
他は、デイスク状濾紙片（反応基）の調製など、
従来法と全く同様に実施すればよい。

この考案の構成は以上の通りであるが、この考
案の範囲は上記説明並びに図面の内容によつて限
定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で
種々の変形例を包含し得る。例えば、デイスクプ
レートに形成される嵌込み用孔は、１個だけであ
つてもよいし、多数の嵌込み用孔をデイスクプレ
ートに形成しておいて、必要に応じてそのうちの
一部（場合によつては全部）の嵌込み用孔を使用
するようにしてもよい。また、有孔薄板及び基台
薄板の平面形状は、短冊状にする必要はなく、矩
形、正方形、円形、楕円形等であつてもよいこと
は言うまでもない。

〔考案の効果〕

この考案は以上説明したように構成されかつ作
用するので、この考案に係るデイスクプレートを
用いて菌体産生酵素等の検出を行なうときは、従
来法におけるように反応基であるデイスク状濾紙
を選び間違えるといつたことがなくなり、またデ
イスク状濾紙は所定位置に固定されて移動するこ
とがないため、異なる種類の反応基同士が接触し
て検出結果の信頼性を損なつたり、またデイスク
状濾紙を取り違えて検出目的菌を誤判したりする
といつた虞れが皆無となる。しかも、このデイス
クプレートは非常に簡単な構造であり、製作が極
めて容易である。

以上のように、この考案は、菌体産生酵素等の
検出試験において非常に有用な手段を提供し得た
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はこの考案の１実施例を示
し、第１図は菌体産生酵素等の検出用デイスクプ
レートの平面図、第２図はその縦断面図、第３図
はそのデイスクプレートを展開した状態を表わし
た斜視図、第４図はそのデイスクプレートにデイ
スク状濾紙片を嵌め込んだ状態を表わした斜視図
である。 １……プレート本体、２……有孔薄板、３……
基台薄板、４……嵌込み用孔、５……デイスク状
濾紙片、６……接着剤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 厚手紙もしくは合成樹脂からなり、デイスク
   状濾紙片に対応する形状及び大きさの嵌込み用
   孔が形設された有孔薄板と、同じく厚手紙もし
   くは合成樹脂からなり、前記有孔薄板と同一平
   面形状の基台薄板とを重ね合わせて接合し、有
   孔薄板の前記嵌込み用孔を通して露出した前記
   基台薄板の上面にデイスク状濾紙片を貼着する
   ための接着剤もしくは粘着剤を塗布してなる菌
   体産生酵素等の検出用デイスクプレート。 ２ 有孔薄板には複数個の嵌込み用孔がそれぞれ
   互いに離隔して形設されてなる実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の菌体産生酵素等の検出用
   デイスクプレート。 ３ 嵌込み用孔に、所要物質が担持されたデイス
   ク状濾紙片を予め嵌め込んでなる実用新案登録
   請求の範囲第１項又は第２項記載の菌体産生酵
   素等の検出用デイスクプレート。 ４ 複数個の嵌込み用孔に、それぞれ異なる種類
   の所要物質が担持された複数枚のデイスク状濾
   紙片を各別に予め嵌め込んでなる実用新案登録
   請求の範囲第２項記載の菌体産生酵素等の検出
   用デイスクプレート。