JPH0470200B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は宇宙ロケツト、ミサイル等の段間分離
可能な結合部に適用される飛しよう体の結合装置
に関する。

宇宙ロケツト、ミサイル等の段間分離、頭部フ
エアリング開頭等の分離機構には、瞬間的に多量
のエネルギを放出する火薬類を内蔵したカートリ
ツジが、結合のための強度部材兼結合解除部材と
して使用されている。

第１図ないし第３図は従来例を示すもので、第
１図は頭部フエアリング１に第１段ロケツト４、
第２段ロケツト３、第３段ロケツト２…を順次結
合してなる多段式ロケツトであり、各段間結合部
は、第２図に第１図の−線に沿う断面図とし
て示す如く、スタツド５の両側に分離ナツト６
ａ，６ｂを装着した構成となつている。各分離ナ
ツト６ａ，６ｂの頭部にはカートリツジ７ａ，７
ｂがねじ込みにより装着されている。これらのカ
ートリツジ７ａ，７ｂは火薬類を内蔵しているも
ので、電気信号の入力により着火して瞬間的に多
量のガス圧エネルギを放出する。なお分離ナツト
６ａ，６ｂの内部には第３図の如く４つ割り構造
のねじ部材８ａ，８ｂが嵌合されている。

以上の構成において、地上および飛行中でのロ
ケツトの荷重はスタツド５および分離ナツト６
ａ，６ｂにより負担される。そこでロケツト段間
分離の電気的信号が入力するとカートリツジ７
ａ，７ｂが着火し、その爆発ガス圧にて分離ナツ
ト６ａ，６ｂを分離方向へ放出する。そして分離
ナツトの内部に嵌合された４つ割り構造のねじ８
が飛散し、段間部の結合が解除されて段間分離す
る。

ところが以上の構成では部材間の結合解除にカ
ートリツジの爆発によるガス圧エネルギを用いて
いるためカートリツジの爆発時における衝撃レベ
ルが高くなり周辺機器に損傷を与えるおそれもあ
つた。このためカートリツジ周辺に衝撃対策を施
したり、周辺機器自体に防振対策を施す必要があ
つた。また、ロケツト、ミサイル等の大型化につ
れてカートリツジも大型化し、あるいは個数を増
加する必要があるが、カートリツジの新規装備に
は多額の開発費用がかかり、しかもカートリツジ
は繰返し作動が不可能であるため、作動確認に要
するコストも高くなる欠点があつた。

本発明はこのような事情に基づいてなされても
のであり、その目的は前記した従来の欠点がない
上、宇宙ロケツト、ミサイル等の飛しよう体にお
ける分割構造体を、ガタツキなく緊密に剛結合す
ることができると共に、結合対象物に応じた適正
な結合力を容易かつ適確に得ることができ、宇宙
ロケツト、ミサイル等の飛しよう体の分割構造体
を結合する手段として極めて好適な飛しよう体の
結合装置を提供することにある。

以上の目的達成のため、本発明の構造体結合装
置は、形状記憶合金を特定温度で変形して構造体
どおしを結合し、その結合部を上記特定温度から
マルテンサイト変態温度を越えて加熱または冷却
することにより形状記憶合金材が変形前の形状に
戻り、結合が解除されるように構成されている。

以下、本発明の一実施例を第４図ないし第７図
を参照して説明する。

第４図〜第７図は、例えば宇宙ロケツトの分割
構造体である第１の構造体１１と第２の構造体１
２とを結合している結合部の構成および作用を示
す断面図である。なお第２の構造体１２は例えば
第１段ロケツトに相当しており、第１の構造体１
１は例えば第２段ロケツトに相当している。

第４図に示すように、第１の構造体１１の分割
部には、保持金具１３ａが設けてあり、この保持
金具１３ａには頭部断面図がきのこ弁状をなす第
１の結合部材としての結合金具１４ａが固定具１
５ａにより固定されている。第２の構造体１２の
分割部には保持金具１３ｂが設けてあり、この保
持金具１３ｂには柱状をなす第２の結合部材とし
ての結合金具１４ｂが固定具１５ｂにより固定さ
れている。第１の結合金具１４ａの頭部先端と、
第２の結合金具１４ｂの先端とは当接・衝合され
ている。

符号１６は複数の形状記憶合金板からなる連結
板であり、その一端部位は第２の結合金具１４ｂ
の外周にリベツト１６ｂにより固定されている。
複数の形状記憶合金板からなる連結板１６の他端
部位は、前記第１の結合金具１４ａの頭部外周を
抱持する如く設けられている。

複数の形状記憶合金板からなる連結板１６の外
側面には、加熱冷却制御体１７（通電により発熱
動作するヒータ或いは低温流体の通流により冷却
動作するチラー等を含む）が断熱材１８により被
覆された状態で付設されている。

前記複数の形状記憶合金板からなる連結板１６
は、特定温度（常温）では第４図および第５図に
示す如く他端部位が内側へ変形し、その変形した
他端部位で第１の結合金具１４ａの頭部外周を外
側から抱持し、両結合金具１４ａ，１４ｂを緊締
結合している。また上記複数の形状記憶合金板か
らなる連結板１６は、加熱冷却制御体１７として
のヒータまたはチラーにより、前記特定温度から
マルテンサイト変態温度を越えて加熱または冷却
されると、第６図および第７図に示すように変形
前の形状にもどつて両結合金具１４ａ，１４ｂの
結合を解除するものとなつている。

なお、前記特定温度としては、一般にはマルテ
ンサイト変態温度未満の任意の温度でよいが、２
−Way形状記憶効果を有する合金（マルテンサ
イト変態温度を境として、それより低い温度から
高い温度に加熱しても形状記憶効果を示し、か
つ、それより高い温度から低い温度に冷却しても
形状記憶効果を示す可逆的形状記憶合金）におい
ては、マルテンサイト変態温度以上の任意の温度
であつてもよい。また形状記憶合金材の形状と
は、通常に塑性変形をいうが、２−Way形状記
憶効果を有する合金において高温と低温での形状
を事前に塑性変形記憶させておけば、結合時に塑
性変形させる必要はない。

そして以上のような構成であれば、第５図に示
す結合状態から、ヒータへ通電して形状記憶合金
材よりなる連結板１６を加熱し、またはチラーに
低温流体を流通して連結板１６を冷却して第６図
の如く変形前の形状とし、これによつて２つの構
造体１１，１２の結合を解除することができる。
また、たとえばスプリング等の、両結合金具１４
ａ，１４ｂ間を引離す手段を付加しておけば、両
構造体１１，１２を結合解除と同時に第７図の如
く引離すこともできる。

さらに、結合解除に瞬間的作動が要求される場
合は補助的結合解除手段を付加し結合部に荷重負
荷がなくなつた時点で連結板１６による結合解除
を行ない、続いて補助的結合解除手段を作動させ
る２段階結合解除方式を採用してもよい。

以上説明したように、本発明によれば次のよう
な作用効果を奏し得る。

ａ 第１の結合部材１４ａの「きのこ弁状」をな
す頭部外周が、複数の形状記憶合金板１６の他
端部位で抱持される構成であるため、結合部に
ガタツキが生じず、緊密な結合を行なえる。そ
の結果、宇宙ロケツト、ミサイル等の飛しよう
体の分割構造体である第１の構造体１１と第２
の構造体１２とを安定に剛結合することができ
る。因みに結合部にガタツキがあると、ロケツ
ト等の飛しよう体にあつては飛行中の振動や動
圧等により、飛しよう体全体が破壊する恐れが
ある。このため安定に剛結合することは必要不
可欠な事項であるが本発明によればこの点を適
確に実現できる。

ｂ 上記した抱持による結合は、形状記憶合金板
１６に緩やかなカーブを描く程度の変形を生じ
させるだけで実現できるので、形状記憶合金板
１６の板厚を厚くすれば、結合力を幾らでも増
大させ得る。換言すれば、結合対象物に応じた
適正な結合力を容易かつ適確に得ることができ
る。因みに本発明の構成によれば、数TON／
ｍの荷重にも十分耐え得る結合力が得られるこ
とが確認されており、宇宙ロケツト、ミサイル
等の飛しよう体の分割構造体を結合する手段と
して極めて好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来例を示すもので、第
１図は多段式ロケツトの側面図、第２図は第１図
の−線に沿う断面図、第３図は第２図と同一
部分における結合解除状態を示す断面図、第４図
ないし第７図は本発明の一実施例を示すもので、
第４図および第５図は結合状態を示す断面図、第
６図および第７図は結合解除状態を示す断面図で
ある。 １１，１２……構造体、１３ａ，１３ｂ……保
持金具、１４ａ，１４ｂ……結合金具、１７……
ヒータまたはチラー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 宇宙ロケツト、ミサイル等の飛しよう体が分
   割されてなる第１の構造体１１および第２の構造
   体１２と、 上記第１の構造体１１の分割部に設けられ、頭
   部断面がきのこ弁状をなす第１の結合部材１４ａ
   と、 前記第２の構造体１２の分割部に設けられ、前
   記第１の結合部材１４ａの頭部先端に対し当該部
   材の先端が当接する第２の結合部材１４ｂと、 この第２の結合部材１４ｂの外周に一端部位が
   固定され、他端部位が前記第１の結合部材１４ａ
   の頭部外周を抱持する如く設けられた複数の形状
   記憶合金板１６と、 これら複数の形状記憶合金板１６に付設された
   加熱冷却制御体１７と、 を備えたことを特徴とする飛しよう体の結合装
   置。