JPH0452449Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案はエンジンのガバナ機構に関し、特に小
型汎用エンジンの回転速度制御用として好適なガ
バナ機構に関する。

＜従来の技術＞ 例えばポンプ、或いは発電機などに用いる汎用
エンジンには、回転速度を一定に保持するために
遠心式ガバナが設けられている。このような遠心
式ガバナは、回転自在に枢支されたガバナホルダ
と、ガバナホルダに枢着されてエンジンの回転速
度に対応して遠心方向に拡開動するガバナウエー
トと、ガバナウエートのアームに当接することに
より移動するべく、ガバナホルダの中央部に突出
した軸に摺動自在に嵌装されたガバナスライダ
と、ガバナスライダの移動量をスロツトル弁に伝
達するガバナアームとを有している。このような
ガバナ機構がエンジンにより駆動されることによ
り、エンジンに対する負荷が変動する際にも、ガ
バナウエートに加わる遠心力とスロツトル弁に連
動するばね復元力とが釣合うような一定回転速度
を保持することができる。

従来、このようなガバナ機構を、カムシヤフト
に取付けるようにしていたが、カムシヤフトはク
ランク軸に対して２分の１に減速されるため、そ
れだけガバナウエートの質量を増大させなければ
ならず、エンジンの小型軽量化の妨げとなつてい
た。

一方、ピストンの往復運動により発生する振動
を相殺するようなカウンタウエートが設けられた
バランサシヤフトを備えるエンジンが知られてい
るが、バランサシヤフトのクランク軸と等速にて
回転するものであることから、このバランサシヤ
フトにガバナウエートを取付けることにより、ガ
バナウエートの小形化、軽量化を図る技術が本考
案と同一出願人による実願昭58−191937号明細書
に提案されている。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかるに、振動を可及的に小さく抑制し、しか
もエンジンを小形化、軽量化するためには、上記
のようなバランサシヤフトの取付位置の自由度が
極めて小さく、このバランサシヤフトにガバナ機
構を直結した際に、エンジンの使用目的によつて
は、スロツトル弁との連動機構の引き回し上に問
題を生じることがある。

このような事情に鑑み、本考案の主な目的は、
コンパクトな構成で、しかも取付位置の自由度が
比較的高いエンジンのガバナ機構を提供すること
にある。

＜問題点を解決するための手段＞ このような目的は、本考案によれば、クランク
軸と、該クランク軸に対して平行をなし、かつク
ランク軸中心に対してピストンと相反する側に設
けられた一対のバランサシヤフトとを有し、前記
クランク軸及び前記バランサシヤフトにそれぞれ
固着されたギヤにより前記クランク軸の回転を１
対１のギヤ比にて前記バランサシヤフトに伝達す
るようにしてなるエンジンのガバナ機構であつ
て、該ガバナ機構のガバナホルダが、前記バラン
サシヤフトの一方のギヤに歯合するギヤを有する
ことを特徴とするエンジンのガバナ機構を提供す
ることにより達成される。

特に、ガバナホルダのギヤが、クランク軸に設
けられたギヤに１対２のギヤ比にて歯合するカム
シヤフト用ギヤとバランサシヤフトの一方のギヤ
との間の空隙に、少なくとも部分的に突入する位
置に配設されていると良い。

＜作用＞ このようにすれば、ガバナホルダをバランサシ
ヤフトのギヤを介してクランク軸に連結すること
ができ、増速比を比較的自由に設定し得ることか
ら、ガバナウエートの小形化、軽量化が可能とな
る。

また、比較的大径となるカムシヤフトのギヤと
バランサシヤフトのギヤとの間に郭成される空隙
にガバナホルダを配設すれば、エンジン寸法の長
大化が避けられる。

＜実施例＞ 以下に添付の図面を参照して本考案を特定の実
施例について詳細に説明する。

第１図は、本考案に基づくガバナ機構が適用さ
れた４サイクルOHV型バーチカルエンジンの要
部を一部切除して示す平面図であり、エンジン本
体１は、シリンダヘツド２、シリンダブロツク
３、及びクランクケース４からなつている。

ロツカアームカバー５により閉塞されたシリン
ダヘツド２の開口内には、一対のロツカアーム６
が揺動自在なるように支持されており、それらの
一端を、閉方向にばね付勢された吸排気両バルブ
７のバルブステム端にそれぞれ係合し、他端を一
対のプツシユロツド８の一端にそれぞれ係合して
いる。尚、図中、ロツカアーム６、プツシユロツ
ド８等、吸排気弁機構の一方のみが示されてい
る。

シリンダブロツク３内に郭定されたシリンダ室
３ａ内部には、ピストン９が摺動自在なるように
受容されており、シリンダヘツド２の内面と、前
記シリンダ室３ａの内周面と、ピストン９の上面
との間に燃焼室１０が郭定されている。

ピストン９は、コンロツド１１を介してクラン
ク軸１２に連結されており、燃料の燃焼圧力によ
るピストン９の往復運動を、クランク軸１２の回
転運動に変換し得るようにされている。

第２図に良く示されているように、クランク軸
１２は、クランクケース４の上部と、オイルパン
４ａをなす底部とにそれぞれ設けられた玉軸受１
３，１３′により鉛直に支持されており、下部の
玉軸受１３′とクランクウエブ１２ａとの間には、
それぞれ所定の歯数を有するバランサギヤ１４
と、カムシヤフト駆動ギヤ１５とが固着されてい
る。

カムシヤフト駆動ギヤ１５は、カムシヤフト従
動ギヤ１６に歯合し、該カムシヤフト従動ギヤ１
６と一体的に形成されたカムシヤフト１７を、ク
ランクシヤフト１２の1/2の回転速度で回転駆動
する。カムシヤフト１７には一対のカム１８ａ，
１８ｂが形成され、該カム１８ａ，１８ｂとダペ
ツト１９との係合により、前記したプツシユロツ
ド８及びロツカアーム６を介して吸排気両バルブ
７を所定のタイミングに従つて開閉駆動する。

クランクケース４内のシリンダブロツク３と相
反する側には、クランク軸１２と平行に一対のバ
ランサシヤフト２０ａ，２０ｂが回転自在なるよ
うに枢支されている。これら両バランサシヤフト
２０ａ，２０ｂにはカウンタウエート２１が偏心
して一体的に設けられ、軸部に形成されたギヤ２
２ａ，２２ｂをもつて互いに同一回転速度で回転
し得るように歯合している。更に、一方のギヤ２
２ａがクランク軸１２のバランサギヤ１４に歯合
することにより、両バランサシヤフト２０ａ，２
０ｂがクランク軸と同一回転速度で回転し得るよ
うにされており、他方のギヤ２２ｂは後記するガ
バナユニツト２３に設けられたガバナギヤ２４に
歯合して、クランク軸１２の回転を所定の速比に
より増速してガバナユニツト２３に伝達する。

クランク軸１２の軸心と、両バランサシヤフト
２０ａ，２０ｂの軸心とは、略二等辺三角形を構
成するように配設されており、両バランサシヤフ
ト２０ａ，２０ｂが、クランク軸１２と共に回転
することにより、ピストン９の慣性力による振動
を相殺すると同時に、両カウンタウエート２１が
発生する回転振動をも互いに相殺する働きをす
る。

第３図に良く示されるように、ガバナユニツト
２３は、外周部にガバナギヤ２４が切設されたガ
バナホルダ２５と、該ガバナホルダ２５に枢着さ
れた一対のガバナウエート２６とを有している。

ガバナホルダ２５は、オイルパン４ａの底壁に
突設されたボス２７に圧入されたシヤフト２８に
回転自在に支持されており、各ガバナウエート２
６は、その枢着点から直角方向に突出するアーム
２９を有しており、ガバナホルダ２５の中央部に
外向きに突出したシヤフト２８の、遊端側に嵌装
されたキヤツプ状のスライダ３０の開口部のフラ
ンジ底面に当接している。

従つて、クランク軸１２が回転すると、ガバナ
ウエート２６が遠心力により互いに離反する向き
に付勢され、それぞれのアーム２９がスライダ３
０をシヤフト２７から引出す向きに回動すること
となる。その結果、スライダ３０の頂部に当接す
るガバナアーム３１が駆動され、図示されないレ
バーを介してスロツトル弁を閉方向に回動させ、
エンジンの回転速度を減少させる。

このようにして、ガバナウエート２６に作用す
る遠心力と、ガバナアーム３１に作用するばね復
元力とが釣合う点でガバナウエート２６の傾斜角
が一定に保持され、同時にエンジンの回転速度が
一定に保持される。

第２図及び第３図に示されるようにガバナホル
ダ２５は、その底部を潤滑油面OLに浸して上面
を開放しており、図示されないオイルポンプによ
り圧送された潤滑油の飛沫を、直接ガバナウエー
ト部に受ける。この時、ガバナホルダ２５内には
適度に潤滑油が滞留し、各可動部を好適に潤滑す
ると共に、粘性によるダンピング効果を発揮す
る。

本考案は上記のように構成することにより、カ
ムシヤフト１７にガバナユニツト１３を設ける場
合に比し、ガバナウエート２７の小型軽量化を図
ることができ、またバランサシヤフトに設ける場
合に比し、スロツトル弁との連結引回しの上で高
い自由度が得られる。更に、上記実施例のよう
に、一方のバランサシヤフト２０ｂと、カムシヤ
フト従動ギヤ１６との間の空隙にガバナユニツト
を配設すれば、一層コンパクト化を促進すること
ができる。

＜考案の効果＞ このように本考案によれば、ガバナ機構を最も
有利な位置に配設し、しかも比較的自由な速比に
設定し得ることから、ガバナ機構を含めたエンジ
ン設計の自由度を向上させる上で大きな効果を奏
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に基づくガバナ機構が適用され
た４サイクルOHV型バーチカルエンジンを一部
切除して示す平面図である。第２図は第１図の
−線に沿う断面図である。第３図は第２図に示
す要部の拡大断面図である。 １……エンジン本体、２……シリンダヘツド、
３……シリンダブロツク、３ａ……シリンダ室、
４……クランクケース、４ａ……オイルパン、５
……ロツカアームカバー、６……ロツカアーム、
７……吸排気バルブ、８……プツシユロツド、９
……ピストン、１０……燃焼室、１１……コンロ
ツド、１２……クランク軸、１２ａ……クランク
ウエブ、１３，１３′……玉軸受、１４……バラ
ンサギヤ、１５……カムシヤフト駆動ギヤ、１６
……カムシヤフト従動ギヤ、１７……カムシヤフ
ト、１８ａ，１８ｂ……カム、１９……タペツ
ト、２０ａ，２０ｂ……バランサシヤフト、２１
……カウンタシヤフト、２２ａ，２２ｂ……ギ
ヤ、２３……ガバナユニツト、２４……ガバナギ
ヤ、２５……ガバナホルダ、２６……ガバナウエ
ート、２７……ボス、２８……シヤフト、２９…
…アーム、３０……スライダ、３１……ガバナア
ーム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) クランク軸と、該クランク軸に対して平行を
   なし、かつクランク軸中心に対してピストンと
   相反する側に設けられた一対のバランサシヤフ
   トとを有し、前記クランク軸及び前記バランサ
   シヤフトにそれぞれ固着されたギヤにより前記
   クランク軸の回転を１対１のギヤ比にて前記バ
   ランサシヤフトに伝達するようにしてなるエン
   ジンのガバナ機構であつて、 該ガバナ機構のガバナホルダが、前記バラン
   サシヤフトの一方のギヤに歯合するギヤを有す
   ることを特徴とするエンジンのガバナ機構。 (2) 前記ガバナホルダのギヤが、前記クランク軸
   に設けられたギヤに１対２のギヤ比にて歯合す
   るカムシヤフト用ギヤと前記バランサシヤフト
   の前記一方のギヤとの間の空隙に、少なくとも
   部分的に突入する位置に配設されていることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載のエンジンのガバナ機構。