JPH0451039Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、牧草等をブリケツトに圧縮成形する
ロール成形機における切断装置に係り、詳しく
は、圧縮ロールの送り出し作用により長手方向に
押し出されたブリケツトを、回転カツタによつて
所定の長さに円滑かつ確実に切断することができ
る切断装置に関するものである。

〔従来の技術〕

牧草等をブリケツトに圧縮成形するロール成形
機には、複数の圧縮ロールからなるロール成形室
で円柱状のブリケツトを成形し、圧縮ロールの送
り出し作用により開閉案内筒に押し出されたブリ
ケツトを上下揺動する回転カツタで切断するもの
が知られている。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

ところが回転カツタでブリケツトを切断する
と、切断中の回転カツタが、押し出されるブリケ
ツトにより、無理に押されて大きな負荷がかか
り、カツタが破損する惧れがある。そこで回転カ
ツタをブリケツトの押し出し方向にスライドでき
るようにすれば、ブリケツトで押されるのを防止
することはできても、回転カツタがスライドでき
る広い切欠部を開閉案内筒に設けなければなら
ず、このため押出されるブリケツトが、この切欠
部からはみ出して無理な力が作用したり、あるい
は、回転カツタが円滑にスライドしないことがあ
る等の問題があつた。

本考案は上記の如き問題点を解決すべく創案さ
れたものであつて、上下揺動する回転カツタでブ
リケツトを切断する際に、押し出されるブリケツ
トが回転カツタを無理に押さないようにして、殊
更、回転カツタをスライドさせることなく、円滑
かつ確実にブリケツトを所定の長さに切断するこ
とができるロール成形機における切断装置を提供
しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕 上記の目的を達成するため本考案が採用した技
術的手段は、複数の圧縮ロールからなるロール成
形室で牧草等を円柱状のブリケツトに圧縮成形
し、圧縮ロールの押し出し作用により押し出した
ブリケツトを上下揺動する回転カツタによつて所
定の長さに切断するロール成形機において、上記
圧縮ロールの押し出し側には、圧縮ロールの枢支
メタルを偏心状に支持する偏心メタルを設けて、
該偏心メタルの回動により圧縮ロールを外側方に
移動させて押し出し作用を調節する調節機構を形
成すると共に、上記偏心メタルを回動させるスプ
ロケツトと噛合したリング体を設け、該リング体
を回転カツタの揺動軸にリンク機構を介し連結し
て、ブリケツトの切断時には、回転カツタの揺動
に連動する偏心メタルがロール成形室を拡開して
押し出し作用を減少させることを特徴とするもの
である。

〔考案の作用〕

したがつて本考案によれば、ロール成形室に供
給された牧草等を複数の圧縮ロールが円柱状のブ
リケツトに圧縮成形して、圧縮ロールの押し出し
作用により長手方向に押し出す。ついで回転カツ
タが上下揺動して押し出されたブリケツトを所定
の長さに切断するが、このとき、圧縮ロールの押
し出し側に設けた偏心メタルが、リンク機構によ
り連結された回転カツタの揺動に連動して回動
し、圧縮ロールの押し出し側を外側方に移動させ
て、ロール成形室を拡大し圧縮ロールによる押し
出し作用を減少させる。

したがつてブリケツトの切断時に、押し出され
るブリケツトによつて回転カツタが無理に押され
ることはなく、円滑かつ確実にブリケツトを所定
の長さに切断することができる。

〔実施例〕

本考案の実施例を添付した図面に基いて詳述す
れば、第５図、第６図において、１はトラクタ、
２はトラクタ１に牽引されたロール成形機であつ
て、該ロール成形機２の機体前部には圃場の牧草
等を掻き上げるピツクアツプ３が装備されてい
る。機体後部には、複数の圧縮ロール４，４……
が機体外側のギヤケース５と機体のトラクタ１側
に設けたホイール６との対向間に軸支され、該圧
縮ロール４，４……の内接円により第７図、第８
図に示すロール成形室７が形成されている。そし
て上記ロール成形室７に供給された牧草等を圧縮
ロール４の圧縮作用により円柱状のブリケツトに
成形し、圧縮ロール４の長手方向に向う押し出し
作用により、ホイール６に設けた案内筒８から、
機体の側方に配設された開閉案内筒９に押し出す
ようになつている（第４図参照）。

上記ホイール６は第７図に示すように機体側に
軸支した複数のローラ１０，１０……により外周
縁が支持されて、ピン１１が当接する規制体１２
の規制範囲内で回動自在となつており、常時はス
プリング１３により一方向に付勢弾持されてい
る。そしてホイール６がスプリング１３の付勢に
抗して回転すると、複数の圧縮ロール４，４……
がねじれ方向に移動するようになつている。

また第１図、第２図において、１４は圧縮ロー
ル４の押し出し側を軸支するホイール６に設けた
枢支メタルとしてのベアリングであつて、該ベア
リング１４は、ホイール６に嵌挿した回動自在の
偏心メタル１５に偏心状に支持されている。１６
は上記偏心メタル１５の回動軸に固定したスプロ
ケツトであつて、該スプロケツト１６の外方に
は、ホイール６と同心状のリング体１７が配設さ
れており、該リング体１７の外周にスプロケツト
１６と同一ピツチで設けたピン１８，１８……
と、上記スプロケツト１６とを噛合させることに
より、リング体１７が回転するとスプロケツト１
６が回転し、これに伴つて回動した偏心メタル１
５が圧縮ロール４の押し出し側を外側方に移動さ
せ、ロール成形室７を拡縮させて、圧縮ロール４
の押し出し作用を調節する調節機構が形成されて
いる。

１９，１９ａは揺動アーム２０，２０ａの先端
部に軸支された一対の回転カツタであつて、第３
図に示すように揺動アーム２０，２０ａの基端側
は、揺動アーム２０，２０ａに固定したリング２
１，２１ａを介してカツタ駆動軸２２，２２ａに
揺動自在に軸支されており、カツタ駆動軸２２，
２２ａと回転カツタ１９，１９ａの駆動軸とは伝
動チエーンによつて連動されている。また、上記
一対の回転カツタ１９，１９ａは、一回転クラツ
チ２３に連動して案内筒８および開閉案内筒９間
の接続間隙を上下揺動するようになつている。す
なわち一回転クラツチ２３のクラツチ軸２４の一
端と、案内筒８に回動自在に嵌装したボス２５の
突出アーム２６とは、回転アーム２７および揺動
ロツド２８を介して連動されており、一方ボス２
５の他の突出アーム２９，２９ａと、リング２
１，２１ａに固定された回動アーム３０，３０ａ
とが揺動ロツド３１，３１ａを介して連動されて
いて、クラツチ軸２４が一回転作動するのに連動
してボス２５が回動し、一対の回転カツタ１９，
１９ａが同時に揺動して開閉案内筒９で支持され
ているブリケツトを切断する。

そして回転カツタ１９の揺動軸と前記調節機構
とは、リング２１に固定した突出アーム３２を前
記リング体１７に揺動リング３３を介して連結し
たリンク機構３４によつて連動連結されていて、
回転カツタ１９，１９ａが揺動するとこれに連動
してリング体１７がスプロケツト１６を回転さ
せ、偏心メタル１５が回動してロール成形室７が
拡縮し、ブリケツトの切断時には、ロール成形室
７が拡開して、圧縮ロール４による押し出し作用
が減少するようになつている。

なおクラツチ軸２４の他端と、開閉案内筒９を
開閉させる開閉アーム３５とは、第４図に示すよ
うに回転アーム３６、揺動ロツド３７を介して連
動されていて、ブリケツトを切断した後に開閉案
内筒９の下半部が下方に開口される。３８は、ブ
リケツトが所定長さに押出されたのを検出して一
回転クラツチ２３を作動させるセンサである。

第９図、第１０図はブリケツトの切断時に圧縮
ロールのねじり角度を小さくし、圧縮ロールの押
し出し作用を減少させるものを示している。すな
わち、リング２１に突成した回転アーム３９と、
案内筒８に固定したプレート４０とが揺動ロツド
４１を介して連動連結されていて、回転カツタ１
９が揺動するとホイール６が回動して圧縮ロール
４，４……のねじり角度を減少させ、圧縮ロール
４，４……が機体の幅員方向と略平行状となつて
長手方向の押し出し作用を減少させることができ
る。

上記の如く構成されたものにおいて、ピツクア
ツプ３で掻き上げてロール成形室７に供給された
牧草等は、複数の圧縮ロール４，４……により円
柱状のブリケツトに成形され、圧縮ロール４の押
し出し作用により案内筒８から開閉案内筒９へ押
し出される。ついでセンサ３８がブリケツトが所
定の長さまで押し出されたのを感知して一回転ク
ラツチ２３を作動させると、一対の回転カツタ１
９，１９ａが揺動してブリケツトを切断するが、
このとき回転カツタ１９，１９ａの揺動に連動し
てロール成形室７の押し出し側が拡開し、圧縮ロ
ール４による押し出し作用が減少する。したがつ
て、切断中の回転カツタ１９，１９ａがブリケツ
トに押されて大きな負荷が作用することはなく、
殊更、開閉案内筒９に広い切欠部を設けて回転カ
ツタ１９，１９ａをスライドさせなくても、上下
揺動する回転カツタ１９，１９ａで所定の長さに
ブリケツトを円滑かつ確実に切断することができ
る。また第９図、第１０図に示したものでは、ブ
リケツトの切断時に圧縮ロール４のねじり角度が
減少し、押し出し作用が減少するので、回転カツ
タ１９，１９ａに無理な力が作用することはな
い。

〔考案の効果〕

これを要するに本考案は、複数の圧縮ロールか
らなるロール成形室で牧草等を円柱状のブリケツ
トに圧縮成形し、圧縮ロールの押し出し作用によ
り押し出したブリケツトを上下揺動する回転カツ
タによつて所定の長さに切断するロール成形機に
おいて、上記圧縮ロールの押し出し側には、圧縮
ロールの枢支メタルを偏心状に支持する偏心メタ
ルを設けて、該偏心メタルの回動により圧縮ロー
ルを外側方に移動させて押し出し作用を調節する
調節機構を形成すると共に、上記偏心メタルを回
動させるスプロケツトと噛合したリング体を設
け、該リング体を回転カツタの揺動軸にリンク機
構を介し連結して、ブリケツトの切断時には、回
転カツタの揺動に連動する偏心メタルがロール成
形室を拡開して押し出し作用を減少させることか
ら、押し出されたブリケツトを回転カツタで切断
する際に、回転カツタがブリケツトに押されて大
きな負荷がかかることはなく、殊更回転カツタを
スライドさせなくても、上下揺動する回転カツタ
で、ブリケツトを所定の長さに円滑かつ確実に切
断することができて整然とブリケツトの成形作業
を行うことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るロール成形機における切断
装置の実施例を示すものであつて、第１図は要部
の側面図、第２図は同上背面図、第３図は回転カ
ツタを示す側面図、第４図は同上背面図、第５図
は全体側面図、第６図は同上平面図、第７図はロ
ール成形室を示す側面図、第８図は同上平面図、
第９図は他の実施例を示す回転カツタの側面図、
第１０図は同上背面図である。 図中、２……ロール成形機、４……圧縮ロー
ル、６……ホイール、７……ロール成形室、１４
……枢支メタル、１５……偏心メタル、１６……
スプロケツト、１７……リング体、１９……回転
カツタ、３４……リンク機構である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の圧縮ロールからなるロール成形室で牧草
   等を円柱状のブリケツトに圧縮成形し、圧縮ロー
   ルの押し出し作用により押し出したブリケツトを
   上下揺動する回転カツタによつて所定の長さに切
   断するロール成形機において、上記圧縮ロールの
   押し出し側には、圧縮ロールの枢支メタルを偏心
   状に支持する偏心メタルを設けて、該偏心メタル
   の回動により圧縮ロールを外側方に移動させて押
   し出し作用を調節する調節機構を形成すると共
   に、上記偏心メタルを回動させるスプロケツトと
   噛合したリング体を設け、該リング体を回転カツ
   タの揺動軸にリンク機構を介し連結して、ブリケ
   ツトの切断時には、回転カツタの揺動に連動する
   偏心メタルがロール成形室を拡開して押し出し作
   用を減少させることを特徴とするロール成形機に
   おける切断装置。