JPH0449596Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、地中におけるガス管、水道管等の埋
設物の存在を探知するために用いる埋設物探知用
マーカに関する。

［従来の技術］ 従来の埋設物探知用マーカを利用した探知シス
テムの配設例を第７図に示す。本図によれば、地
中における埋設物１の近傍に探知用のマーカ２を
設置している。この場合において、埋設物１は金
属性の管部材であり、マーカ２は埋設物１の上方
10cm程度離れた地中に設置される。マーカ２は、
第８図イ，ロ，ハに示すように、通常ポリエチレ
ン等のマーカケース３内に封入されたコンデンサ
４とコイル５とから成る受動同調型アンテナ６を
含んでいる。従来の探知システムでは、以上のよ
うな地中のマーカ２に対して、地上からローケー
タ７とプローブ８から成る装置を利用して特定周
波数の電磁波を発射すると、電磁波がマーカ２の
平面に対してほぼ垂直に与えられたときマーカ２
がこの電磁波に感応して共振を起こし、これによ
つてマーカ２を探知し、埋設物１の存在及びその
位置を確認することができる。このような探知シ
ステムの例としては、例えば米国3M社製エレク
トロニツクマーカシステム（EMS）がある。

上記の如き探知システムでは、固有の特定周波
数を有する電磁波を利用し、この電磁波を地中に
与えてマーカ２で共振感応が生じたとき、この共
振状態に基づく変化を前述したアンテナプローブ
８で捕え、マーカ２及びマーカ２に近接する埋設
物１の位置を探知しようとするものである。

また、実公昭54−5633には、地下埋設物の探知
を目的とし、構成として、地下埋設物探知用の共
振体を埋設してなる地下埋設長尺体が開示されて
いる。

しかし、かかる考案の詳細な説明および図面か
ら明らかなように、埋設物の検知機能のみを有し
ており、マーカが傾いた場合や移動した場合の誤
検知に対して、何等考慮していない。

更に、かかる考案は発信機能のみを有してお
り、検知方式としても、共振回路を利用している
ものの、発信機の発信検出勢力の変化を検知する
ものであつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 従来の探知システムでは、マーカ２を埋設物１
に近接して設置する場合には、埋設物１を掘り起
こすことを必要とする工事やその他の掘り起こし
工事によつて、又は地震や地盤沈下等の自然現象
によつて、マーカ２が元の設置位置から変動し、
軸９回りの傾斜或いは軸９方向等への位置ずれを
起こすことがある。このような傾斜や位置ずれを
生じたマーカをそのままにして、これを利用して
埋設物１の探知を行おうとすると、誤まつた位置
にあるマーカに基づいて目標とする埋設物を掘り
起こすことになり、埋没物に到達できず、労力の
浪費となり、更に他の埋設物を毀損する等の不具
合が生じる。特に埋設物が金属製品である場合に
は、埋設物による遮蔽効果を防止するため、前述
した如くマーカ２は埋設物１から10cm以上離して
設置しなければならず、一層傾斜や位置ずれが起
き易い。また国土の狭い日本では、多種類の埋設
物が密接して設置される場合が多く、このためマ
ーカの傾斜や位置ずれに基づく不都合の発生頻度
が高い。

本考案の目的は、電磁波を利用して地中埋設物
の位置を調べることのできる探知システムにおい
て、地中に埋設されたマーカに傾斜や位置ずれが
生じたとき、このマーカが誤まつて探知されるの
を防止するようにした埋設物探知用マーカを提供
することにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案に係る埋設物探知用マーカは、地中の埋
設物の近傍に設置され、地上から与えらる特定周
波数の電磁波に対し受動同調型アンテナが共振感
応することを利用して上記埋設物の存在を探知す
るマーカにおいて、マーカが初期設置位置に対し
て傾斜や位置ずれを起こしたとき、これらの変動
に対応して上記電磁波に対する共振感応を自動的
に遮断する手段を前記受動同調型アンテナに備え
るものである。

［作用］ 上記構成によれば、マーカが傾斜又は位置ずれ
を起こしたときに、前記受動同調型アンテナが動
作不能になり、電磁波に対して共振感応を生ぜ
ず、マーカの探知が不可能となる。

［実施例］ 以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

本考案に係る埋設物探知マーカの基本的構成は
第７図及び第８図で説明したマーカと同じである
ので、下記で説明される構成要素について第７
図、第８図で示したものと同一の要素には同一の
符号を付すものとする。

第１図はマーカケースの要部を拡大し、受動同
調型アンテナの一部を示している。第１図中、３
はマーカ２の樹脂製マーカケース、１１はマーカ
ケース３内の一部に形成された小空間、１２はマ
ーカケース３の周辺環状部の全域にわたつて形成
された孔部である。小空間１１と孔部１２とは連
通されている。孔部１２には多数の巻線５ａ……
から成るコイル５が配設される。一方、小空間１
１内にはコンデンサ４と水銀スイツチ１３が収納
され、これらは所定の位置に配設される。水銀ス
イツチ１３はホルダ１４によつて保持される。コ
ンデンサ４と水銀スイツチ１３はそれぞれ２端子
１３ｂ，１３ｃを有し、コイル５の一端子５ｂは
コンデンサ４の一端子に接続され、コイル５の他
端子５ｃは水銀スイツチ１３の一端子１３ｂに接
続され、残りのコンデンサ４と他端子と水銀スイ
ツチ１３の他端子１３ｃが接続されている。すな
わち、コイル５とコンデンサ４とを並列に接続し
受動同調型アンテナを形成するにあたり、その途
中に水銀スイツチ１３を介設させた接続構造とな
つている。

上記水銀スイツチ１３は容器内に所要量の流動
性の水銀１３ａを封入した構造を有しており、水
銀スイツチ１３が正常な姿勢にあるときには水銀
１３ａが２つの端子１３ｂ，１３ｃを接続し、反
対に水銀スイツチ１３が異常な姿勢にあるときに
は水銀１３ａが移動して端子１３ｂ，１３ｃの間
の接続を断つ機能を有している。従つて、水銀ス
イツチ１３は、マーカ２が水平に保たれている場
合において上記の正常姿勢の状態にあるようにマ
ーカケース３に取り付けられる。

上記の如き構成を有するマーカ２によれば、埋
設物の近傍においてマーカ２がその平面を水平に
保つ正常な姿勢にあれば、水銀スイツチ１３はオ
ン状態に保たれるので、マーカ２は探知用電磁波
に共振感応して探知される機能を備えている。と
ころが、諸種の事情によつてマーカ１が傾斜し異
常な姿勢になつた場合には、水銀スイツチ１３が
オフ状態になり、コイル５とコンデンサ４の接続
が切れるので、地上からの探知用電磁波に対し共
振感応がすることがない。すなわち、マーカ２の
位置に変動が生じてマーカ２が傾斜した場合に
は、通常、水銀スイツチ１３がオフして受動同調
型アンテナが働らかなくなるのでマーカ２が地上
から探知されることはない。従つて、従来のよう
に傾斜したままでマーカ２が探知され、埋設物が
誤まつた位置で探知されるということは起きな
い。

マーカ２の傾斜に関しては、第２図に示すよう
にマーカ２はその平面に垂直な電磁波ａ，ｂに感
応し易いため、埋没物１が水道管などの長い管状
部材である場合には、その軸９の回りに回転する
方向への傾斜が生じたときに一番大きな影響が生
じる。この場合には、地上１５に存するプローブ
８によつて得られる感応地点Ｂは、本来埋設物１
の埋設地点として得られる地点Ａから大きく逸脱
してしまう。一方、管状の埋設物１の軸９方向に
対して傾斜する場合には、埋設物である管部材が
直管状である限り、プローブ８による探知位置は
埋設物の上方位置にあるので、大きな影響を受け
ることはない。従つて、実際上は埋設物１の軸９
の回りの方向への傾斜が発生した場合において共
振による感応を遮断できるように、水銀スイツチ
１３をマーカ２に設定することが望ましい。ま
た、マーカが位置ずれを起こした場合にも、上記
実施例によるマーカを適用することができる。位
置ずれは、通常傾斜を伴うからである。

上記実施例では傾斜を検知する手段として水銀
スイツチを用いたが、同様な機能を有する他のス
イツチ手段を用いることもできる。

第３図は第２実施例を示す。この実施例では、
前記受動同調型アンテナを構成するコイル５の一
部を延長したリード線５ｄをマーカ２の外部に引
き出し、リード線５ｄの端部を埋設物１に固定す
る。第３図に示す例では、埋設物１の結合部であ
るフランジ１６のボルト１７を利用して結合して
いる。このような構成によれば、マーカ２におい
て特に位置ずれが生じた場合、通常リード線５ｄ
は切断されマーカ内の受動同調型アンテナは地上
から与えられる電磁波に対し感応不能になるの
で、マーカ２が探知されることはない。一般的な
掘り越こし作業等でリード線５ｄが切断されるよ
うにするためには、10Kg前後の引張力によつて切
断されるリード線を使用することが望ましい。

第４図に示す実施例は第３図と同様にコイルの
リード線５ｄをマーカ外部に引き出す構成のもの
であるが、この実施例では、接着剤を用いてリー
ド線５ｄの端部を埋設物１に固着している。

第５図は、前記第３図及び第４図で示した実施
例に使用されるマーカ内に収納される受動同調型
アンテナ６の構成を示す。第５図中、４はコンデ
ンサ、５は多数巻回されたコイル、５ｄは延設さ
れたコイルのリード線である。リード線５ｄはコ
イル５の巻線の一部となつている。

第６図は、第１図に示す第１実施例と第３図等
に示す第２実施例を組み合わすことによつて成る
実施例である。すなわち、マーカ２の姿勢に応じ
てオン状態又はオフ状態となる水銀スイツチ１３
と、コイル５の一部を外部へ延長したリード線５
ｄを備えたマーカを示している。このような構成
によれば、マーカ２が傾斜した場合、位置ずれを
生じた場合のいずれの場合においてもマーカを確
実に感応不能にすることができる。

前記各実施例において、埋設物探知用マーカを
使用する探知システムとしては、ガス、電話、上
下水道、電力用の米国3M社製のエレクトロニツ
クマーカシステムEMSがある。

前記各実施例で使用されるマーカケース３は通
常ポリエチレン等の汎用プラスチツクが用いられ
る。また、受動同調型アンテナ６を構成するコイ
ル５の長さは10〜15ｍ、巻数は15〜23回、心線太
さは約0.5mmφ、引張強度は５〜15Kgであり、コ
ンデンサ４には0.008〜0.015μFのものが使用され
る。この結果、共振を発生する周波数は80〜
160KHzで、その探知距離は通常数＋cm〜140cmで
ある。特に、前記第１実施例で用いられる水銀ス
イツチ１３としては有限会社ネモト製のＢ型が用
いられる。前記第２実施例で用いられるリード線
５ｄの長さは、約３〜６cmである。

他のマーカとしてはフエライトコアマーカがあ
る。これは、コイルがフエライトコアの回りに巻
きつけられたもので、基本原理は米国3M社製
EMSと同じものである。このマーカにも、前
記実施例と同様に水銀スイツチや受動同調型アン
テナを適用することができる。

［考案の効果］ 以上の説明で明らかなように本考案によれば、
マーカ内に収納される受動同調型アンテナに水銀
スイツチ等を設けたり、或いはコイルの一部を延
出して埋設物に固定したりすることによつて、マ
ーカに傾斜や位置ずれが生じたときには受動同調
型アンテナを動作不能とし、これにより自動的に
マーカの電磁波に対する共振感応を遮断し、誤認
に基づく堀り越こしによる労力の浪費の防止や他
の埋設物の毀損を未然に防止する効果を発揮す
る。特に、他の埋設物が水道管やガス管の場合
に、毀損が顕在化されることなくなされた場合、
ガス中毒、ガス爆発、水の噴出による家屋の浸
水、交通マヒ等の二次的災害の発生のおそれがあ
り、本考案によればこのような災害を有効に防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は水銀スイツチを利用した本考案の第１
実施例を示すマーカの要部断面図、第２図はマー
カによる探知時の状態を示す説明図、第３図は延
出されたリード線を利用した本考案の第２実施例
を示すマーカの取付け図、第４図は上記第２実施
例の変更実施例を示すマーカの取付け図、第５図
は上記第２実施例における受動同調型アンテナを
示す構成図、第６図は上記第１実施例と第２実施
例とを組合せて成る実施例を示すマーカの要部断
面図、第７図は本考案に係るマーカの機能、発生
する問題を説明するための説明図、第８図は従来
のマーカの構成を説明するための図である。 符号の説明、１……埋設物、２……マーカ、３
……マーカケース、４……コンデンサ、５……コ
イル、６……受動同調型アンテナ、１３……水銀
スイツチ、１４……ホルダ、５ｄ……リード線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 地中の埋設物の近傍に設置され、地上から与
   えられる特定周波数の電磁波に対し、受動同調
   型アンテナが共振感応をすることを利用して、
   上記埋設物の存在を探知するマーカにおいて、
   マーカが初期設置位置に対して傾斜や位置ずれ
   を起こしたとき、これらの変動に対応して、上
   記電磁波に対する共振感応を自動的に遮断する
   水銀スイツチを設けたことを特徴とする埋設物
   探知用マーカ。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、水
   銀スイツチのかわりに、あるいは水銀スイツチ
   とともに、前記受動型アンテナを構成するコイ
   ルの一部を延長したリード線を前記埋設物に固
   定してなることを特徴とする埋設物探知用マー
   カ。