JPH0449139Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、激しいスポーツ等を行なつた後の呼
吸補助や疲労回復のために、酸素を補給する酸素
補給装置に関するものである。

（従来の技術） 簡単な操作で酸素補給を行なうものとして、特
開昭61−222906号公報に示された装置がある。こ
れは、酸素を発生させるための過炭酸ナトリウム
と分解触媒としての二酸化マンガンおよび水とを
容器内にそれぞれ別個に分離収納して保存し、酸
素を発生させる際に各収納部の隔離壁を容器の開
成動作に関連して開放するようにしたものであ
る。

また、特開昭61−77604号公報には、溶解紙に
封入した過酸化水素誘導体と、防湿ビニールに封
入した分解触媒を混入した水とを、ガス精製膜と
マスクを設けた外袋に分離収納し、酸素を発生さ
せる際に押圧により袋状の防湿ビニールを破損開
封して化学反応を開始させ、発生する酸素をマス
クを介して吸気するようにした技術が示されてい
る。

（考案が解決しようとする課題） 上記、特開昭61−222906号公報に示される技術
にあつては、酸素を発生させる際に薬剤を分離収
納する収納部の隔離壁が破壊されてしまうので、
使用後に容器を再利用することが困難であり、ま
た容器を再利用するとしても薬剤のセツテイング
が煩雑である。このために、同じ容器を繰り返し
て使用するのに好適でない、という不具合があ
る。

また、特開昭61−77604号公報に示される技術
は、小型軽量でしかも使い捨てであり、携帯にき
わめて便利である。しかしながら、酸素を発生さ
せる際の化学反応に伴なう発熱により外袋が高温
（約40℃）になるという不具合がある。そして、
携帯時に不用意に加えられる外圧により、袋状の
防湿ビニールが破損開封されて化学反応を開始す
る虞れがある。

本考案は、上記のごとき従来装置の事情に鑑み
てなされたもので、携帯に便利で、そして不用意
に酸素を発生する虞れがなく、しかも酸素の発生
の際に快適に酸素を吸入できるようにした酸素補
給装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） かかる目的を達成するために、本考案の酸素補
給装置は、水に溶解する第１の袋状部材に過酸化
水素誘導体を封入した第１の収納体と、水を透過
させないとともに押圧により開封可能な第２の袋
状部材に分解触媒を混入した水を封入した第２の
収納体とを、酸素を透過させ水を透過させない第
３の袋状部材に封入して酸素発生器を構成し、こ
の酸素発生器を容器内に収納し、この容器に酸素
吐出口を穿設し、さらに前記容器の外壁に、前記
酸素吐出口を折りたたみ状態で覆うように、折れ
線で屈曲自在な薄板からなる折りたたみマスクを
配設して構成されている。

そして、前記容器に、容器内の容積を小さくす
るように移動する押圧可動部を備え、この押圧可
動部の移動により前記酸素発生器の第２の袋状部
材を押圧して破損開封するように構成しても良
い。

さらに、広げた状態で吸気孔が形成されるよう
に前記折りたたみマスクを形成することもでき
る。

（作用） 酸素発生器を容器内に収納するので、この容器
により酸素発生器に外圧が加わるのが妨げられ
る。また、酸素を発生する際の化学反応熱が容器
により遮断される。さらに、携帯時には折りたた
みマスクで酸素吐出口が覆われているので、酸素
吐出口が汚れにくい。

そして、容器に備えた押圧可動部で第２の袋状
部を押圧して破損開封するならば、酸素を発生さ
せる操作がきわめて簡単なものとなる。

さらに、折りたたみマスクを広げると吸気孔が
形成されるならば、この吸気孔から空気の混合に
より、適宜な濃度に稀釈された酸素を吸入し得
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を第１図ないし第６図を
参照して説明する。第１図は、本考案の酸素補給
装置の一実施例の使用状態の縦断面図であり、第
２図は、第１図のＡ矢視図であり、第３図は、使
用してない状態の平面図であり、第４図は、折り
たたみマスクの展開図であり、第５図は、酸素発
生器の側面図であり、第６図は、酸素発生器を容
器内に収納した状態を示す横断面図である。

まず、容器１について説明する。容器１は、金
属または硬質プラスチツク等で形成され、一側面
が開口された本体容器２と、この本体容器２に開
口から摺動自在に挿入される押圧可動部３とから
なり、本体容器２と押圧可動部３とで薬室４が形
成される。そして、本体容器２には、酸素吐出孔
５が穿設され、この酸素吐出孔５を外側から覆う
ように本体容器２の外壁に折りたたみマスク６が
溶着等により配設される。この折りたたみマスク
６は、例えば、薄い樹脂板または樹脂コーテイン
グされた紙等で成形され、第４図に示すごとく、
点線で示す山折れ線６ａ，６ａ…と、一点鎖線で
示す谷折れ線６ｂ，６ｂ…が予め設けられ、折れ
線６ａ，６ａ，６ｂ，６ｂ…で屈曲自在な薄板か
らなる。そして、折りたたみマスク６の両側縁６
ｃ，６ｃが本体容器１の外壁に固着される。さら
に、折りたたみマスク６には、広げた際に吸気孔
７が形成されるように型取りされる。

次に、酸素発生器１０について説明する。酸素
発生器１０は、容器１の薬室４内に収納できる大
きさを有する第３の袋状部材１１に、第１と第２
の収納体１２，１３が封入されている。そして、
第１の収納体１２は、水に溶解する溶解紙で形成
された第１の袋状部材１４に、顆粒状の過炭酸ナ
トリウム等の過酸化水素誘導体１５が封入され
る。また、第２の収納体１３は、水を透過させな
いとともに容易に破損する防湿ビニール等で形成
された第２の袋状部材１６に分解触媒としての二
酸化マンガンを混入した水１７が封入される。さ
らに、第３の袋状部材１１は、酸素を透過させる
が水は透過させないガス精製膜等で形成される。
そして、防湿ビニール等からなる第２の袋状部材
１６が破壊されて開封されると、封入されていた
二酸化マンガンを混入した水１７が、第１の袋状
部材１４に封入された過酸化水素誘導体１５と化
学反応を起こして酸素が発生される。さらに、第
３の袋状部材１１の内圧が酸素の発生により上昇
して所定圧以上になると、酸素のみが膜を透過し
て外部に流出する。

このような容器１と酸素発生器１０の構成にお
いて、本体容器２から押圧可動部３を抜き取り、
薬室４に酸素発生器１０を収納する。さらに、押
圧可動部３を所定量挿入して、第６図で実線で示
す状態とする。なお、第２の袋状部材１６は、強
い力で押圧しなければ破損しないので、押圧可動
部３の通常の挿入では不用意に酸素を発生するこ
とはない。

かかる状態で携帯すれば、外圧が容器１によつ
て受け止められ、不用意に酸素発生器１０が化学
反応を開始することがない。そして、携帯時には
折りたたみマスク６は折りたたまれた状態であつ
て、酸素吐出孔５が確実に覆われている。

酸素を発生させる際には、押圧可動部３を強い
力で本体容器２内に薬室４の容積が狭くなるよう
に押し込み、押圧可動部３に設けた凸部３ａで薬
室４内の酸素発生器１０を強く押圧する。する
と、第２の袋状部材１６が破損開封され、二酸化
マンガンを混入した水１７が第１の袋状部材１４
を溶解し、過酸化水素誘導体１５と化学反応を起
こして酸素を発生させる。そして、酸素の発生に
より第３の袋状部材１１は、内圧が上昇して体積
が大きくなる。このため、押圧可動部材３が本体
容器２から抜け出ない程度の量だけ押し戻され
て、酸素の発生が確認し得る。さらに、内圧が所
定値以上になると第３の袋状部材１１を酸素が透
過し、薬室４から酸素吐出孔５を経て広げられた
折りたたみマスク６内に放出される。ここで、広
げられた折りたたみマスク６内に鼻を入れて大き
く吸入すれば、吸気孔７からも空気が導入され
て、空気の混合により稀釈された酸素が吸入でき
る。

そして、使用後は、酸素発生器１０のみを詰め
代えれば、繰り返し容器１を使用できる。

なお、酸素発生器１０において、過酸化水素誘
導体１５は、過炭酸ナトリウムに限られず、特開
昭61−85959号公報に示されるごとく、過酸化カ
ルシウムや過酸化バリウムや過酸化尿素等であつ
ても良い。さらに、分解触媒としては、特開昭61
−222906号公報に示される種々の金属塩を用いて
も良い。

また、容器１を金属で形成するならば、薬室４
の内周面に適宜に断熱部材を配置して、酸素発生
器１０の化学反応熱が容器１の外部に伝わらない
ようにすれば良い。さらに、押圧可動部３による
酸素発生器１０の押圧で、第２の袋状部材１６を
破損開封し第１と第３の袋状部材１４，１１を開
封させないためには、第２の袋状部材１６の耐圧
を小さなものとするか、または第１と第３の袋状
部材１４，１１に内容積の充分に余裕のあるもの
を用いれば良い。ここで、第２の袋状部材１６の
破損開封のさいに、第３の袋状部材１１は開封さ
れてはならないが、第１の袋状部材１４は同時に
破損開封されても良い。

（考案の効果） 本考案は、以上説明したように構成されている
ので、以下に記載されるような効果を奏する。

携帯時に不用意に酸素発生器から酸素が発生す
る虞れがなく、携帯に極めて便利である。しか
も、携帯時に酸素吐出孔が汚されることがなく、
酸素発生時に清潔で快適に使用し得る。また、酸
素発生時に化学反応熱が容器の外部に伝わらず、
熱による不快な感じを与えない。

そして、押圧可動部の操作で、酸素の発生を開
始させるならば、使用がきわめて簡単で操作性に
優れたものとなる。

さらに、広げた折りたたみマスクで吸気孔が形
成され、空気で混合稀釈された酸素を吸入するこ
とができれば、濃度の高い酸素を吸入することに
よる健康上の害を何ら生じることがなく、安全に
酸素を補給することができて実用上有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の酸素補給装置の一実施例の
使用状態の縦断面図であり、第２図は、第１図の
Ａ矢視図であり、第３図は、使用していない状態
の平面図であり、第４図は、折りたたみマスクの
展開図であり、第５図は、酸素発生器の側面図で
あり、第６図は、酸素発生器を容器内に収納した
状態を示す横断面図である。 １……容器、２……本体容器、３……押圧可動
部、５……酸素吐出孔、６……折りたたみマス
ク、１０……酸素発生器、１１……第３の袋状部
材、１２……第１の収納体、１３……第２の収納
体、１４……第１の袋状部材、１５……過酸化水
素誘導体、１６……第２の袋状部材、１７……分
解触媒を混入した水。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 水に溶解する第１の袋状部材に過酸化水素誘
   導体を封入した第１の収納体と、水を透過させ
   ないとともに押圧により開封可能な第２の袋状
   部材に分解触媒を混入した水を封入した第２の
   収納体とを、酸素を透過させ水を透過させない
   第３の袋状部材に封入して酸素発生器を構成
   し、この酸素発生器を容器内に収納し、この容
   器に酸素吐出口を穿設し、さらに前記容器の外
   壁に、前記酸素吐出口を折りたたみ状態で覆う
   ように、折れ線で屈曲自在な薄板からなる折り
   たたみマスクを配設したことを特徴とする酸素
   補給装置。 (2) 前記容器に、容器内の容積を小さくするよう
   に移動する押圧可動部を備え、この押圧可動部
   の移動により前記酸素発生器の第２の袋状部材
   を押圧して破損開封するようにしたことを特徴
   とする請求項１記載の酸素補給装置。 (3) 広げた状態で吸気孔が形成されるように前記
   折りたたみマスクを形成したことを特徴とする
   請求項１または２記載の酸素補給装置。