JPH044853Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、液体を吸い上げ、霧化する超音波ポ
ンプを利用した超音波霧化装置に関する。

（従来の技術及び問題点） 従来、加湿器に使用されている一般的な超音波
霧化装置は、容器底部に超音波振動子を設けて超
音波を容器の液体中に放射し、液面に生じた液柱
より飛散する霧化粒子を霧化筒より吐出する構造
であつた。この構造は、容器底部に超音波振動子
取付用穴を形成したり霧化筒を液面上方に配置し
たりする必要があるため、空気調和機や冷蔵庫等
の運転に際して室内（庫内）より集水されたドレ
イン排水の霧化等の水位の一定しない用途で配置
スペースが少ない場合には不向きである。

一方、本出願人より特願昭61−309113号におい
て、下端に開口する水吸い上げ用穴を軸方向に形
成した軸体に複数枚の圧電素子を締め付け手段で
締め付け一体化してなる超音波ポンプを利用して
空気調和機や冷蔵庫等の運転に際して室内（庫
内）より集水されたドレイン排水の汲み上げ、霧
化等を行うことが提案されている。

第５図は超音波ポンプを利用した超音波霧化装
置の基本構成を示す。この図において、１は空気
調和機や冷蔵庫等の運転に際して室内（庫内）よ
り集水されたドレイン排水等を溜めておく容器で
あり、また、PMは、容器１内の水（または液
体）を負担として動作するポンプ作用と霧化作用
を兼ねたランジュバン型振動体構造を成す超音波
ポンプである。

この超音波ポンプPMにおいて、金属製パイプ
（例えばステンレス製）２は中心軸上に液体吸い
上げ用貫通穴３を有し、下部にポンプ機能のため
の円錐状部４が形成されるとともに、上部に霧化
機能のための振幅拡大ホーン部５及び円板状部６
を備えている。金属製パイプ２の中間部はボルト
状であつて雄螺子部７，８が形成されている。前
記液体吸い上げ用貫通穴３の下方の開口は金属製
パイプ２の下端面（すなわち円錐状部４の下端
面）の中央に位置し、上方の開口は金属製パイプ
２の上端面（すなわち円板状部６）の中央に位置
している。

そして、雄螺子部７，８間の金属製パイプ外
周、すなわち圧電素子配置部分には絶縁スリーブ
１９が被せられ、円環状ワツシヤ１０、円環状ス
ペーサ（例えばニツケル製）１１、円環状圧電素
子１２Ａ、円環状電極板１３、円環状圧電素子１
２Ｂ、円環状スペーサ１４、円環状ワツシヤ１５
の各貫通穴に前記金属製パイプ２を挿通し、さら
に防水用Ｏ−リング１６を配置して金属製パイプ
２の雄螺子部７，８にナツト１７Ａ，１７Ｂをそ
れぞれ螺合し、緩み止め接着剤（樹脂）を併用し
て締め付けることによつて、圧電素子１２Ａ，１
２Ｂ等の各部材は金属製パイプ２に締め付け一体
化される。すなわち、圧電素子１２Ａ，１２Ｂと
金属製パイプ２との関係はボルト締めランジユバ
ン型振動子とほぼ同様な構造となつている。

なお、各圧電素子１２Ａ，１２Ｂの一方の電極
面は、電極板１３に接続し、他方の電極面はスペ
ーサ１１，１４、ワツシヤ１０，１５及びナツト
１７Ａ，１７Ｂ（いずれも金属製）を介して金属
製パイプ２側に接続し、この結果、両方の圧電素
子１２Ａ，１２Ｂは電気的に並列接続となり、リ
ード線２３を介して外部の高周波電源に接続可能
となつている。

上記の圧電素子１２Ａ，１２Ｂ等の締め付け
後、金属製パイプ２の上下よりそれぞれ樹脂製防
水キヤツプ２０Ａ，２０Ｂが被せられ、各圧電素
子等は防水状態に保護され、さらに防水キヤツプ
２０Ａ，２０Ｂのフランジ部２１を利用してフラ
ンジ押さえリングワツシヤ２４とともに超音波ポ
ンプPMは容器１にビス２２等で固定される。但
し、超音波ポンプPMの金属製パイプ２は容器１
内の液面に垂直であり、容器１の底面は液面に平
行な平坦面である。

この超音波ポンプPMは、下部の円錐状部４が
容器１内の水等の液体に浸つている正常運転の場
合、電極板１３と金属製パイプ側との間に高周波
電圧を印加すれば、圧電素子１２Ａ，１２Ｂは超
音波振動（例えば厚み振動）を発生し、その振動
は金属製パイプ２の下部で拡大され、下端の円錐
状部４に拡大された超音波の縦振動（第５図の矢
印Ｒのような軸に平行な方向の振動）を引き起こ
す。この軸体下端の円錐状部４の縦振動は、矢印
Ｓのように液体吸い上げ用貫通穴３を吹き上げる
向きの流れを引き起こし、これとともに、水等の
液体は空気に比べ超音波が伝搬しやすく粘性が高
い性質があるので液体吸い上げ用貫通穴３内の液
体を超音波振動が上昇する方向に進行して行き、
また貫通穴３内面が収縮する呼吸作用等の理由の
ため、液体吸い上げ用貫通穴３を上昇した液体
は、その上部開口に位置する円板状部６の上端面
の超音波振動にて霧化され、微粒子となつて大気
中に飛散する。

ところで、本考案者の実験によれば、超音波ポ
ンプPMは、ポンプ動作実行中に超音波ポンプ下
部（円錐状部４）より容器内の液体に超音波を主
として下向き（金属製パイプ２の軸線方向）に放
射するが、超音波ポンプPMの金属製パイプが液
面に垂直な配置で、容器１の底部が液面に平行
（水平面）であると、その超音波が容器底面で反
射されて超音波ポンプ側に戻つて来て超音波ポン
プ下端の超音波振動と干渉を引き起こし、液体の
流れが乱されることにより、超音波ポンプのポン
プ作用が乱れてしまうことが判明した。すなわ
ち、円錐状部４の先端から底面までの距離Ａ、円
錐状部４の先端から液面までの距離Ｂとの関係が Ｂ＝nA／４λ （但し、ｎは１以上の整数、λは波長、超音波
ポンプPMの駆動周波数は約35kHz） になると、定在波の影響で超音波ポンプPMのイ
ンピーダンスが異常に大きくなる点が発生する。
第２図の曲線イはこの様子を示すもので、容器の
水位が20mm弱及び30mm強のところで超音波ポンプ
PMのインピーダンスが異常に大きくなつている
ことが判る。このインピーダンスの大きな点では
高周波入力は入りにくくなり、霧化が停止した
り、極めて少量になつたりする。

本考案は、上記の問題点を解決し、容器中の水
等の液体の水位変動に伴う超音波ポンプ動作の不
安定性を除去した超音波霧化装置を提供すること
を目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、下端及び上端に開口する液体吸い上
げ用穴を軸方向に有し、上部に霧化用ホーン部を
形成した金属製パイプに、複数枚の環状圧電素子
を締め付け手段で締め付け一体化してなる超音波
ポンプを備え、該超音波ポンプの液中に浸る下端
に対向する超音波反射面を液面に対して傾斜させ
た構成となつている。

（作用） 本考案の超音波霧化装置においては、超音波ポ
ンプの下端部に対向する超音波反射面が液面に対
して傾斜しており、超音波ポンプ下端部より金属
製パイプ軸線方向に放射された超音波はその向き
を変えて反射することになる。従つて、超音波ポ
ンプ下端部よりの超音波が容器底部で反射された
反射波となつて超音波ポンプ下端部の超音波振動
と干渉してポンプ作用に悪影響を及ぼすのを防止
でき、定在波に起因するインピーダンスの異常な
ピークを除去できる。この結果、超音波ポンプの
駆動を水位変動に関係なく安定に実施でき、効率
良くポンプ、霧化作用を実施できる。また、超音
波ポンプの液中に浸る下端に対向する超音波反射
面は、容器底面自体で傾斜させて構成できるし、
別個に傾斜した反射部材を配置する構成でも実現
できる。

（実施例） 以下、本考案に係る超音波霧化装置の実施例を
図面に従つて説明する。

第１図は本考案の第１実施例を示す。この図に
おいて、超音波ポンプPMは、金属製パイプ２を
支える防水キヤツプ２０Ａ，２０Ｂのフランジ部
２１を利用してフランジ押さえリングワツシヤ２
４とともに容器３０の上部開口にビス２２等で取
り付けられており、金属製パイプ２の軸線は容器
３０内の水Ｗの水面に垂直に配置されている。容
器３０の底面３１は容器内の水面、すなわち水平
面に対して傾斜して形成されている。なお、超音
波ポンプPM自体の構成は、第５図の場合と同様
でよい。

第２図の曲線ロは、第１図の容器底面３１と水
平面とのなす角θを10°としたときの容器内の水
位と超音波ポンプPMのインピーダンスとの関係
を示す。この曲線ロより、インピーダンスのピー
クは消失し、超音波ポンプPMを安定に駆動でき
ることがわかる。すなわち、水中に没した超音波
ポンプ下端部（円錐状部４）より金属製パイプ軸
線方向に放射された超音波はその向きを変えて反
射することになり、超音波ポンプ下端部よりの超
音波が容器底部で反射された反射波となつて超音
波ポンプ下端部の超音波振動と干渉してポンプ作
用に悪影響を及ぼすのを防止できるからである。
この結果、超音波ポンプPMの駆動を水位変動に
関係なく安定に実施でき、効率良くポンプ、霧化
作用を実施できる。

第３図は本考案の第２実施例を示す。この図に
おいて、容器３０Ａの底面３１Ａは中央に向かつ
て下がる２つの傾斜面３２Ａ，３２Ｂで構成され
ている。超音波ポンプPMの構造及び容器への配
置は前述の第１実施例と同じである。この場合に
も、水中に没した超音波ポンプ下端部より金属製
パイプ軸線方向に放射された超音波はその向きを
変えて反射することになり、定在波の影響を除去
して水位に拘わらず超音波ポンプPMの安定駆動
が可能である。

第４図は本考案の第３実施例を示す。この図に
おいて、容器３０Ｂの底面３１Ｂは中央に向かつ
て上昇する２つの傾斜面３２Ｃ，３２Ｄを具備し
ている。超音波ポンプPMの構造及び容器への配
置は前述の第１実施例と同じである。この場合に
も、水中に没した超音波ポンプ下端部より金属製
パイプ軸線方向に放射された超音波はその向きを
変えて反射することになり、定在波の影響を除去
して水位に拘わらず超音波ポンプPMの安定駆動
が可能である。

なお、超音波ポンプPMを水面に対して斜めに
配置しても同様な効果を持つと推察されるが、で
きるだけ多くの水を霧化しようとするときは、超
音波ポンプの斜め配置では水位差を大きく取れな
いため（水中に没する円錐状部４先端の深さを大
きく取れないため）不利である。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の超音波霧化装置
によれば、下端及び上端に開口する液体吸い上げ
用穴を軸方向に有し、上部に霧化用ホーム部を形
成した金属製パイプに、複数枚の環状圧電素子を
締め付け手段で締め付け一体化してなる超音波ポ
ンプを備え、該超音波ポンプの液中に浸る下端に
対向する超音波反射面を液面に対して傾斜させた
構成としたので、容器中の水等の液体の水位変動
に伴う超音波ポンプのインピーダンス変動を滅
じ、ひいては超音波ポンプのポンプ作用及び霧化
作用の変動を少なくして動作の効率化を図ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る超音波霧化装置の第１実
施例を示す正断面図、第２図は第１実施例の場合
の水位と超音波ポンプのインピーダンスとの関係
を従来の場合と比較して示すグラフ、第３図は本
考案の第２実施例を示す正断面図、第４図は本考
案の第３実施例を示す正断面図、第５図は従来の
超音波霧化装置を示す正断面図である。 PM……超音波ポンプ、Ｗ……水、１，３０，
３０Ａ，３０Ｂ……容器、２……金属製パイプ、
３……液体吸い上げ用貫通穴、４……円錐状部、
５……振幅拡大ホーン部、６……円板状部、１
０，１５……ワツシヤ、１２Ａ，１２Ｂ……圧電
素子、１７Ａ，１７Ｂ……ナツト、２０Ａ，２０
Ｂ……防水キヤツプ、２４……リングワツシヤ、
３１，３１Ａ，３１Ｂ……底面、３２Ａ，３２
Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄ……傾斜面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 下端及び上端に開口する液体吸い上げ用穴を
   軸方向に有し、上部に霧化用ホーン部を形成し
   た金属製パイプに、複数枚の環状圧電素子を締
   め付け手段で締め付け一体化してなる超音波ポ
   ンプを備え、該超音波ポンプの液中に浸る下端
   に対向する超音波反射面が液面に対して傾斜し
   ていることを特徴とする超音波霧化装置。 (2) 前記超音波反射面が液体収納容器の底面を成
   している実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   超音波霧化装置。