JPH0448198Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は動物性蛋白質を主成分とする生体組織
接着剤を人間または動物に適用するためのチユー
ブに関する。

さらに詳しくは内視鏡を利用して人間または動
物の管腔組織に挿入し、組織の傷口に複成分型の
生体組織接着剤を適用して傷口をシールするため
に用いられる生体組織接着剤塗布用チユーブに関
する。

〈従来の技術〉 動物性蛋白質を主成分とする生体組織接着剤
は、蛋白質の溶液とこの蛋白質の凝塊形成を促進
する凝固因子の溶液とを混ぜ合せることにより現
場で形成される。そしてこの種の生体組織接着剤
としては、たとえば第因子およびフイブリノ
ーゲンを含有する溶液とトロンビン含有溶液とを
２成分とするものなどが知られており、生体組織
接着剤を生体組織に適用する手段については、す
でに本出願人によつて提案されている（特願昭62
−182830号明細書、特願昭62−195628号明細書）。

しかしながら、特願昭62−182830号の発明は頭
蓋の内側など複雑な体内組織に適用するのに好適
であり、また特願昭62−195628号の発明は皮膚の
表面など広い面積の組織表面に適用するのに好適
であるが、たとえば胃や腸、気管支などの深部管
腔組織への適用が困難なものであつた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 本考案は上記の問題点に鑑みてなされたもの
で、胃や腸、気管支などの生体の深部管腔組織へ
の適用に好適な生体組織接着剤塗布用チユーブを
提供することを目的とする。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案者等は、上記問題点を解決するために鋭
意検討の結果、接着剤の複数の成分を、成分が互
いに混合することがないように、別々の流路を通
して接着剤適用部位に射出し、接着剤の適用部位
で混合できるようにする手段を見出し本考案を完
成した。

すなわち本考案は上記問題点を解決するため
に、人間または動物の管腔組織に挿入して該組織
の傷口に複成分型の生体組織接着剤を塗布するた
めのチユーブであつて、流路断面積の等しい複数
の液体流路を有するチユーブの一端に拡径端部が
形成されてなる本体チユーブと、１つの液体流路
を有するチユーブの一端にシリンジ体のチツプを
接続する手段が付設されてなる前記本体チユーブ
の液体流路と同数の導入チユーブ、とから構成さ
れてなり、前記導入チユーブの他端が前記本体チ
ユーブの拡径端部に接続されて、導入チユーブの
液体流路と本体チユーブの各液体流路とがそれぞ
れ液密に連通されてなることを特徴とする生体組
織接着剤塗布用チユーブを採用している。

〈作用〉 本考案の生体組織接着剤塗布用チユーブ（以
下、接着剤塗布チユーブという）は上記のように
構成されているので、導入チユーブのチツプ接続
手段にシリンジ体を接続してシリンジ体に充填さ
れた生体組織接着剤（以下、単に接着剤という）
の複数の成分を導入すると、接着剤の複数の成分
は各導入チユーブの液体流路を流下して本体チユ
ーブに入り、本体チユーブの各液体流路を流下し
て接着剤適用部位、すなわち患部に射出される。
そして複数の成分は患部表面で混合されて接着剤
となり、患部表面を被覆する。

〈実施例〉 次に本考案の実施例について図面に基づいて説
明する。

第１図は本考案の一実施例に係る２成分型接着
剤塗布用の接着剤塗布チユーブを示す平面図であ
り、第２図および第３図はそれぞれ第１図のＡ−
Ａ線拡大断面図およびＢ−Ｂ線拡大断面図であ
る。また第４図は第１図の接着剤塗布チユーブの
使用方法を説明するための図である。

第１図に示すように本考案の接着剤塗布チユー
ブＴは、拡径端部３を有する本体チユーブ１とチ
ツプ接続手段４を有する２つの導入チユーブ２，
２から構成されており、導入チユーブ２，２はそ
の自由端が本体チユーブ１の拡径端部３に挿入さ
れて液密に接続されている。

本体チユーブ１は流路断面積の等しい２つの液
体流路５，５を有するチユーブであり、その一端
が拡径されて導入チユーブ２，２を接続するため
の拡径端部３に形成されている。そして第３図に
示すようにチユーブの長手方向に平行して２つの
液体流路５，５が設けられており、拡径端部３で
は、導入チユーブ２，２をこれに挿入して接続す
ることができるように、液体流路５，５はその開
口端に向つてテーパ状に拡径されている。但し液
体流路５，５は段差状に拡径されていても良い
（第２図参照）。

導入チユーブ２は１つの液体流路６を有するチ
ユーブの一端にシリンジ体のチツプを接続する手
段、すなわちチツプ接続手段４が付設されたもの
であり、接着剤の複数の成分は、これらの各成分
をそれぞれ充填したシリンジ体を用いて、チツプ
接続手段４から接着剤塗布チユーブＴ内に導入さ
れる。そしてチツプ接続手段４としては、一般に
シリンジ体の狭窄端部すなわちチツプを挿着可能
な開口を有する管状のコネクタが使用される。

本体チユーブ１および導入チユーブ２は接着性
を考慮して一般に同一材料で形成されるが、チユ
ーブの形成材料としては、内視鏡を利用して管腔
組織内に挿入する関係で比較的硬いチユーブが好
ましく、たとえばポリエチレンやポリプロピレ
ン、ポリカーボネートなどの曲げに強い透明また
は半透明な合成樹脂が好適に使用し得る。

またチツプ接続手段４の材料としては上記のよ
うなチユーブの形成材料の他に、ポリスチレンや
ポリアミド、硬質の塩化ビニル樹脂、ポリメチル
メタクリレート、スチレンアクリロニトリル共重
合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重
合体などの透明または半透明な合成樹脂も使用可
能である。

つぎに本考案の接着剤塗布チユーブの使用方法
について説明する。

まず接着剤塗布チユーブＴの本体チユーブ１
を、内視鏡（図示していない）を利用してたとえ
ば胃（図示していない）に挿入する。

次に導入チユーブ２，２のチツプ接続手段４，
４に、接着剤の各成分をそれぞれ充填したシリン
ジ体Ｓ，Ｓを挿着する。そして内視鏡を見ながら
接着剤適用部位すなわち患部を探し、患部に本体
チユーブの先端を接近させた後、シリンジ体Ｓ，
Ｓのピストンロツドを同時平行的に押せば、シリ
ンジ体に充填されていた接着剤の各成分が同時に
等量ずつ射出されて混合し、患部の表面で接着剤
に調整されて、正確に患部表面を被覆する。

尚、第４図には示されていないが、チツプ接続
手段４，４に挿着されるシリンジ体Ｓ，Ｓとして
は、特願昭62−182830号や特願昭62−195628号の
明細書および図面に示されるような、シリンジ体
を保持固定する手段や、プランジヤを一体的に作
動させる手段を設けたものがより好ましい。

〈考案の効果〉 以上説明してきたことから明らかなように本考
案の接着剤塗布チユーブを用いることにより次の
ような利点を得ることができる。

(1) 胃や腸、気管支などの生体の深部の管腔組織
の傷口、たとえば潰瘍などを容易にかつ正確に
シールすることができる。

(2) チユーブ内で複数の成分が混じることがない
ので、チユーブの穴詰まりが起ることがなく、
従つて複数の患部に接着剤を適用することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す平面図、第２図
および第３図はそれぞれ第１図のＡ−Ａ線拡大断
面図およびＢ−Ｂ線拡大断面図であり、第４図は
第１図の接着剤塗布チユーブの使用方法を説明す
るための図である。 主な符号の説明、Ｔ……接着剤塗布チユーブ、
Ｓ……シリンジ体、１……本体チユーブ、２……
導入チユーブ、３……拡径端部、４……チツプ接
続手段、５……本体チユーブの液体流路、６……
導入チユーブの液体流路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １） 人間または動物の管腔組織に挿入して該組
   織の傷口に複成分型の生体組織接着剤を塗布す
   るためのチユーブであつて、流路断面積の等し
   い複数の液体流路を有するチユーブの一端に拡
   径端部が形成されてなる本体チユーブと、 １つの液体流路を有するチユーブの一端にシ
   リンジ体のチツプを接続する手段が付設されて
   なる前記本体チユーブの液体流路と同数の導入
   チユーブ、 とから構成されてなり、 前記導入チユーブの他端が前記本体チユーブ
   の拡径端部に接続されて、各導入チユーブの液
   体流路と本体チユーブの各液体流路とがそれぞ
   れ液密に連通されてなることを特徴とする生体
   組織接着剤塗布用チユーブ。 ２） 導入チユーブが２本であり、かつ本体チユ
   ーブの液体通路が２つである実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のチユーブ。 ３） 生体組織接着剤が第因子およびフイブ
   リノーゲンを含有する溶液と、トロンビンを含
   有する溶液の２成分からなることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第２項記載のチユー
   ブ。