JPH044807Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はエンジンのクランクケース中に漏出
するブローバイガスに含まれているオイルを効率
よく分離するようにしたオイルの分離装置に関す
る。

（従来の技術） これまでに、エンジンのクランクケース内に漏
出するブローバイガスからオイルを分離するため
の装置として、クランクケースに接続されたミス
トパイプの途中に拡張された油溜室を設け、この
油溜室中にブローバイガスの排出流で回転するフ
アンを配設し、油溜室をフアンの周囲部において
ミストパイプに開口させると共に油溜室の外周底
部を油戻し管によつてクランクケースに接続させ
たものが実開昭54−94414号によつて提案され、
また、エンジンのブリーザ孔とエアクリーナまた
は吸気マニホールドを結ぶ管路の途中に円形のケ
ーシングを配設し、そのケーシングの内部には数
個のかい状の板片からなる回転翼を設けると共に
その外周にフイルタ部材層とオイルの溜り室を設
け、このオイル溜り室をドレンによつてオイルパ
ンに連通させるようにしたものが実開昭56−
25009号によつて提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記従来装置の前者では、油溜室の
フアンはガスの流れによつて回転させられるもの
なので、ガスとフアンはつれ回りしてしまい両者
間の衝突効果は殆んど期待できず、そして、フア
ンの羽根数も少なくガス中のオイルの捕捉率も余
り期待できないものであり、また、後者では回転
翼は外部動力によつて回転させられるが、回転翼
は数個のかい状の板片からなるので、ケーシング
に流入したガスは翼と翼との間に保持された状態
で出口の方向に移動させられてしまい、やはりガ
スと翼との間に衝突の機会が少なく、オイルの高
い分離効果は望めない。

そこで、この考案はブローバイガスが回転体と
つれ回りすることなく高い衝突効果が得られ、オ
イルの捕捉率も高く、しかも軽量で長期の使用に
耐えられるオイルの分離装置を提供することを目
的とする。

（問題点を解決するための手段ならびに作用） 上記目的のもとにこの考案は、ブローバイガス
に含まれているオイルの分離装置として、周壁の
一部に入口パイプ、上壁中央部に出口パイプを有
するケース内に、窓孔を有する円板体と下円板体
を中央ボスで一体に連結しかつ両円板体の間に多
数のピンを並設したエレメント体を配設し、該エ
レメント体の下端中央部をモータの回転軸に連結
させたことを特徴とするものであり、エンジンの
作動時にはクランクケース内に漏出したブローバ
イガスが入口パイプを通じ側方からケース内に流
入し、高速に回転するエレメント体に真横から衝
突し、そして、上下の円板体の間に並設した多数
のピンの間を水平方向ならびに上下方向にジグザ
グに通つて中央に進み、上円板体の窓孔と支持板
の通孔を経て出口パイプから吸気管側に流れる。

その間にガス中に含まれているオイル粒子は並
列する多数のピンおよび上下の円板体に付着、捕
捉され、これが凝集して大きくなり、回転するエ
レメント体の遠心作用で飛び散らされ、ケース底
部に流れ落ちる。

（実施例） 図面参照の上この考案の実施例について説明す
れば、第１図、第２図において１は円筒状のケー
スであつて、筒状本体１ａと底壁１ｂとからな
り、筒状本体１ａの周壁の一部には側方に伸びる
入口パイプ２が連設されると共に上壁中央部には
出口パイプ３が連設され、ケース１の内部には次
のような合成樹脂製かご状のエレメント体４が筒
状本体１ａの内周面および上面に近接させて配設
されている。そのエレメント体ｅは上円板体４と
下円板体５からなり、第１図、第２図の例では上
円板体４は中央部に複数の窓孔４ａを備え、その
周囲部の下面には多数のピン４ｂが外側から内側
に向つて千鳥状に同心的多重にかつ高さを異にし
て垂設されており、一方、下円板体５は中央に所
要の高さと太さのボス５ａを備え、その周囲部上
面には上円板体４と同じく外側か内側に向つて多
数のピン５ｂが千鳥状に同心的多重にかつ高さを
異にして立設されていて、中央ボス５ａの上端が
上円板体４の中央下面に溶着、接着などで一体に
固定されて一つのエレメント体ｅをなし、そして
上下の円板体４，５の多数のピン４ｂ，５ｂが近
接して対向し、エレメント体ｅの内部には平面的
にも側面的にも外側から内側に向つてジグザグな
ガス流路が形成されている。

また、中央ボス５ａには回転軸６が貫通して取
付けられ、その回転軸６は出口パイプ３の基部に
嵌め込まれ複数の通孔７ａを有する支持板７とド
レンパイプ８を取付けた底壁１ｂに軸受部材を介
して回転自在に支持され、その下端はモータｍに
連結されている。

そして、上記ケース１は第３図のようにブラケ
ツトb₁を介してエンジンＥのシリンダーヘツドカ
バーＣ上に取付けられると共にモータｍは別のブ
ラケツトb₂によりヘツドカバーＣの側部に取付け
られ、入口パイプ２はホース部h₂によりヘツドカ
バーＣの内部に連通され、出口パイプ３は別のホ
ース部材h₂によりエアクリーナA_cまたは吸気管
ｋに連結され、また底壁１ｂのドレンパイプ８は
ホース部材h₃によりオイルパンＯに接続される。

しかし、ケース１をクランクケース側に取付
け、入口パイプ２をそこに連通させてもよい。

上記構成のもとにエンジンＥの作動時には、出
口パイプ３により吸気管側に連通する円筒状ケー
ス１内の中央部分は大気圧より低い状態になり、
一方、クランクケース内は大気圧より若干高い状
態になるため、クランクケース内に漏出したブロ
ーバイガスは縦パイプＰを通じてシリンダーヘツ
ドカバーＣ内に入り、ホース部材h₁およびパイプ
２を通つてケース１内に側方から流入し、かつ筒
状本体１ａの内面に近接するかご状のエレメント
体ｅを横切つて出口パイプ３側に向うようにな
る。

この状態でエレメント体ｅを高速度（3000rpm
〜5000rpm程度）に左右いずれかの方向に回転さ
せれば、ブローバイガスはエレメント体ｅに対し
真横から勢よく突き当たることになり、しかも対
向する上下の多数のピン４ｂ，５ｂによつて図示
矢印のように水平方向および上下方向にジグザグ
に曲げられながらエレメント体ｅを横切ることに
なり、並列するピン４ｂ，５ｂや円板体４，５に
衝突する機会が多く、それだけガス中のオイル粒
子がそれらのピンや円板体により多く付着して除
去され、かくてオイルの除去されたガスが中央部
に進み、上円板体４の窓孔４ａと支持板７の通孔
７ａを通つて出口パイプ３から吸気管側に流れて
いく。

一方、並列するピン４ｂ，５ｂや円板体４，５
に捕捉されたオイル粒子は次第に凝集して大きく
なり、回転するエレメント体ｅの遠心作用で外方
に飛び散らされ、底壁１ｂのドレンみぞに流下し
てドレンパイプ８によりオイルパンＯに戻され
る。

また、第４図はかご状エレメント体ｅの変更例
を示すもので、イ図は上円板体４のピン４ｂと下
円板体５のピン５ｂをかみ合うように位置をずら
せて、ガスに上下方向のジグザグ流れを付与する
ようになり、ロ図は上円板体４にはピンを設ける
ことなく、下円板体５にだけ高さの異なるピン５
ｂを設けてあるが、オイルの分離機能は上述の例
と変りない。

なお、ピン４ｂ，５ｂの数、形状、配設位置な
どはガスの圧力損失およびオイルの捕捉効率を考
慮して適切に選定される。そして、中央ボス５ａ
は上円板体に設けてもよい。

（考案の効果） 以上のようにこの考案では、ブローバイガス中
のオイルの分離装置として、周壁の一部に入口パ
イプ、上壁中央部には出口パイプを有するケース
内に、窓孔を有する上円板体と下円板体を中央ボ
スで一体に連結しかつ両円板体の間に多数のピン
を並設したエレメント体を配設し、このエレメン
ト体をモータの回転軸で回転させるようにしたの
で、エンジンの作動時には、入口パイプを通じて
ブローバイガスを回転するエレメント体に対し側
方から勢よく衝突させることができ、しかも、ガ
スはエレメント体中をジグザグに進行して多数の
ピンや筒状本体に衝突する機会が多く、それだけ
ピンや筒状本体によるオイルの捕捉効率を高める
ことができ、オイルの分離効果が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の断面図。第２図は
その平面図。第３図はその使用状態を示す側面
図。第４図イ，ロはエレメント体の変更例の側面
図。 図中、１……ケース、１ａ……筒状本体、１ｂ
……底壁、２……入口パイプ、３……出口パイ
プ、４……上円板体、４ａ……窓孔、４ｂ……ピ
ン、５……下円板体、５ａ……ボス、５ｂ……ピ
ン、６……回転軸、７……支持板、ｅ……エレメ
ント体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周壁の一部に入口パイプ２、上壁中央部に出口
   パイプ３を有するケース１内に、窓孔４ａを有す
   る円板体４と下円板体５を中央ボス５ａで一体に
   連結しかつ両円板体４，５の間に多数のピン４ｂ
   または５ｂを並設したエレメント体ｅを配設し、
   該エレメント体ｅの下端中央部をモータの回転軸
   ６に連結させてなるブローバイガス中のオイルの
   分離装置。