JPH0447210B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、例えばガス状及び／又は液状の塩素
含有残渣又は塩化炭化水素を燃焼させる際に生じ
るような高腐食性燃焼廃ガスを液体を噴射するこ
とにより冷却する冷却装置（急冷装置）に関す
る。

このような急冷装置を構成するには困難な技術
的問題が生じる、それというのも一方では高腐食
性ガスの確実な冷却が達成されかつ他方では急冷
装置が種々の帯域内で曝される種々異なつた熱及
び腐食性負荷が制御されねばならないからであ
る。

1400℃までの温度を有する熱い燃焼廃ガスが流
入する上方部分では、急冷装置は特に熱負荷を受
ける。該鋼製套壁は相当するライニングによつて
過熱から保護されねばならない（加熱帯域）。

廃ガスが水又は水性塩酸によつて100℃未満の
温度に冷却されかつ廃ガス中の腐食性成分が一部
分急冷液内に吸収された後には、鋼製套壁は主と
して腐食に対して保護されるべきである（湿潤帯
域）。

鋼製容器を過熱に対して例えば断熱性セラミツ
ク煉瓦によりかつ腐食に対してゴム被覆又はセラ
ミツク板によりライニングすることは公知であ
る。

しかしながら、前記の急冷においては加熱帯域
と湿潤帯域を実際には鮮鋭に相互に区分けするこ
とができないという問題が生じる。熱い廃ガス及
び噴射液が連続的に登場する範囲は大きな渦乱流
によつて識別され、該渦乱流に基づき液体がなお
上方に向かつて加熱帯域に流動せしめられ、一方
では湿式帯域、特にノズル周辺の壁が全面的には
十分に湿潤及び冷却されず、従つて局所的過熱が
生じる。また、鋼製套壁が同時に過熱及び腐食に
対して保護されねばならないかなり広がつた移行
領域が生じる。

更に、同時に十分に腐食及び加熱に対して保護
するライニング用材料は存在しない。断熱煉瓦は
耐食性ではなくかつゴム被覆及びセラミツク板に
よる板による腐食保護ライニングは熱安定性では
ない、すなわち板自体は害を受けないが、硬質ゴ
ムによつて断熱することはできない。

鋼製套壁の上方部分が過熱だけに対してかつ下
方部分が腐食だけに対して保護されておりかつ断
熱性セラミツクライニングが腐食に対して保護す
るライニングに対して移行部を有せずライニング
されている全ての公知の急冷装置は実地の要求を
満足しない。

西独国特許第2621718号明細書には、鋼製套壁
全体が耐食性ライニングされかつこの熱に敏感な
ライニングが上方の加熱帯域では断熱性煉瓦のラ
イニングによつて保護された急冷装置が開示され
た。加熱及び腐食に対して同時に保護する中間移
行帯域は存在しない。断熱煉瓦は腐食に対しかつ
下方の湿潤帯域の腐食保護ライニングはその上方
部分が過熱に対して保護されていない。

総括すれば、この公知の急冷装置は以下の欠点
を有する： (1) 上方加熱帯域の断熱煉瓦は腐食に対して保護
されていない。この損傷は過熱に基づきまずゴ
ム被覆の分解、最後に鋼製套壁の分解を惹起す
る、それというのもゴム被覆上のセラミツク板
だけでは十分な腐食保護が行なわれないからで
ある。

(2) 断熱層は移行部を有せずノズル面の高さで終
つており、熱及び腐食作用を受ける噴射及び移
行帯域の位置及び面積は正確に認識されていな
い。

(3) 下方湿潤帯域の腐食保護ライニングはその上
方領域が過熱に対して保護されていない。

(4) 唯一の面でのかつガス流動方向に対して60°
の角度での急冷液の噴射は、冷却装置の効率を
低下しかつ局所的過熱を惹起する、それという
のもこの場合には通常の90°の噴霧角度におけ
る噴射ノズルの噴霧円錐体な急冷装置の全横断
面をカバーすることができずかつ夫々のノズル
の下の壁における噴霧されない区分、いわゆる
“ホツト−ウインドー”は噴霧されないからで
ある。

本発明は熱及び腐食負荷に耐えかつ高い負荷の
ために適当である急冷装置を提供する。本発明の
急冷装置は主として以下の特徴を有する： (1) 鋼製套壁全体がゴム被覆及びセラミツク板に
より腐食保護されている（西独国特許第
2621718号明細書から公知）。

(2) 上方部分における熱に敏感な耐酸性ライニン
グが前ライニングされた断熱煉瓦によつて保護
されている（西独国特許第2621718号明細書か
ら公知）。

(3) 断熱層が湿潤帯域に入り込むまで施されてい
る、従つて鋼製套壁が熱及び腐食に対して保護
された広い移行領域が生じる。

(4) 断熱煉瓦が耐酸性セラミツク板の前ライニン
グによつて保護されている。

(5) ２つの面で急冷液が噴射される。上方の面で
は少なくとも６個のノズルにより、下方面では
少なくとも３個のノズルにより急冷される。そ
れにより冷却装置の高い比空間負荷（キロジユ
ール／m²）が達成されかつ湿潤部分のいわゆる
“ホツト−ウインドー”は避けられる。

(6) 第１の面のノズル受はわん曲した天井のわん
曲部分の上に設けられている、従つてガス接続
管片とノズル受との軸線は約30°の角度を形成
する。それにより少ない渦流形成、ノズルの安
定な噴霧円錐体及び運転変動とはほとんど無関
係な急冷装置壁の湿潤及び冷却が達成される。
このようにして、ホツト−ウインドーの形成も
回避される。

(7) 急冷装置は有利には燃焼ガスの線状流速が
0.5〜1.5ｍ／秒、有利には1.0ｍ／秒（常圧及び
100℃）及び滞留時間が２〜８時間、有利には
３〜４時間であるように構成されている。この
場合、線状流動は急冷装置の直径により、更に
滞留時間は急冷装置の全高により決定され、そ
の場合高さ／直径の長さ比は1.5〜３であるの
が有利である。

(8) 急冷装置の上方部分の直径は、付加的な断熱
ライニングを、完全なライニングの後で円筒状
室内が生じるように収容するために必要なだけ
大きな直径を有する。

次に図示の実施例（図面な厳密な意味での正確
な縮尺ではない）につき、本発明の冷却装置及び
その機能を説明する。

急冷装置の外側鋼製套壁は直径の異なつた２つ
の鋼製円筒体１及び２から成り、これらは円錐部
分３で溶接されかつわん曲した天井４及び底５に
よつて閉鎖されている。

鋼製套壁の上方円筒部分１は直径が上方加熱帯
域のために付加的なライニング層６及び７を収容
することができるため必要であるだけ大きい、従
つて最も内側の耐食性ライニングを施す前及び後
には同じ直径の円筒状内部が生じる。

鋼性容器には上に中央ガス流入口接続管片９が
設けられており、該接続管片を経て燃焼廃ガスは
急冷装置に導入される。下1/3の位置のわん曲し
た底に近接して、側方ガス流出口接続管片１０が
設けられており、該管片を経て同時に急冷液は流
出する。下端の中央接続片１１は停止状態で排出
及び洗浄目的のために約立つ。しかしながら、こ
の中央接続管片１１は運転中の急冷液のもう１つ
の取出し口として利用することもできる。鋼製套
壁の下方円筒部分２の側方には、清掃及び据付け
開口１２が設けられている。ガス流入口接続管片
９の周囲にはノズル受のために少なくとも６個の
接続管片１３が等間隔で、ノズル受の軸線とガス
流入接続管片９の軸線とが約30°の角度を形成す
るように配置されている。湿潤部分（円筒状部分
２）の上方領域には、第２の面のノズル受のため
に少なくとも３個の接続管片１４が僅かに下向き
に取付けられている。

ガス流出接続管片１０には、付加的安全装置と
しての急冷ノズルを収容するための接続管片１５
が大抵はプラスチツクから成る導管及び装置を接
続するために設けられている。

腐食に対して保護するために、鋼製容器の内側
表面全体は全ての接続管片を含みフランジのシー
ル面に至るまで耐酸性のゴム被覆１６が施されて
いる。拡大された上方部分１及び４において、ゴ
ム被覆はまず耐酸性６、次いで断熱性のセラミツ
ク板又は煉瓦によつてライニングされており、接
続管片１０〜１５は耐酸性板で、ガス入口接続管
片９は耐酸性及び断熱性板でライニングされてい
る。

こうして前処理され、今や同じ直径の円筒体並
びにわん曲した天井及び底から成る内部は、全体
が１〜２層のセラミツク８によつて耐酸性にライ
ニングされる。

ゴム被覆の温度並びにガスの出口温度は常法で
温度センサで監視される。

総括すれば、本発明は熱い高腐食性の塩素及び
塩化水素含有燃焼ガスを急冷するための冷却装置
であつて、わん曲した天井及び底を備えた細長い
丸形の鋼製容器と、鋼製容器の上端に設けられた
ガスを供給するための中央接続管片と、鋼製容器
の上方1/3の位置の水平面に等間隔で配置され、
回路内を導びかれる急冷液を噴射するノズルを収
容するための多数の傾斜した接続管片と、鋼製容
器の下方1/3の位置のわん曲した底の上にあつて、
急冷した燃焼ガス及び急冷液の流出口としての側
方接続片と、清掃目的のため並びに急冷液の排出
口として鋼製容器の下端に設けられた中央接続片
と、鋼製容器及び全部の接続管片の内側面に施さ
れた耐酸性の硬質ゴムライニングと、耐酸性硬質
ゴム層上の耐酸性セラミツクライニングと、鋼製
容器の上方領域における耐酸性ライニング上の断
熱煉瓦から成る耐火性ライニングとから構成され
ている形式のものに関し、該急冷装置は全高の40
〜50％を形成する外側鋼製容器の上方部分１が下
方部分２よりも大きな直径を有し、上方部分１及
びわん曲した天井４が断熱煉瓦７でライニングさ
れており、下方部分２に据付け及び修理目的のた
めに側方の直線状接続管片１２が設けられてお
り、かつ断熱煉瓦７が内部に向つて耐酸性セラミ
ツクライニング８によつて保護されており、その
場合全部が耐酸性にライニングされた内部の側壁
が同一直径の円筒状套壁の形を有することを特徴
とする。

更に、本発明の冷却装置は選択的にかつ有利に
は以下の特徴を有する： (イ) わん曲した天井４において中央接続管片９の
周囲に少なくとも６個の接続管片１３が取付け
られ、該接続管片が容器の長手軸線と角度α＝
25〜35°を形成する。

(ロ) 鋼製容器の下方部分２において接続管片１２
の上の第２の水平面内に、等間隔で少なくとも
３つの下向きに傾斜しかつ容器の長手軸線と角
度β＝70〜80°を形成する接続管片１４が回路
内を導びかれる急冷液を噴射するノズルを受容
するために設けられている。

(ハ) 急冷された燃焼ガス及び冷却液の流出口接続
管片１０に流動方向とは反対向きに傾斜しかつ
該流出口接続管片の水平軸線と角度γ＝50〜
70°を形成する接続管片１５が急冷液を噴射す
るノズルを受容するために設けられている。

(ニ) 内部の耐酸性ライニング８が耐酸性セメント
内に布設されたセラミツク套壁板の二重層から
なる。

(ホ) 全ての接続管片内及び上方部分１及びわん曲
した天井４の領域内の耐酸性硬質ゴム層１６上
の耐酸性ライニングが耐酸性セメント内に布設
されたセラミツク套壁板もしくはタイルの単一
層から成る。

(ヘ) 外側鋼製容器の上方部分１の直径が下方部分
２の直径よりも10〜20％大きい。

(ト) 外側の鋼製容器の上方部分１が円錐状に延び
る傾斜部をもつてその下方部分２に移行してい
る。

(チ) 鋼製容器が高さ／直径の長さ比1.5〜３を有
する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の冷却装置の１実施例の縦断面図
である。 １，２……鋼製容器の各部分、４……天井、５
……底、６……耐酸性ライニング、７……断熱煉
瓦、８……耐酸性ライニング、９……中央接続管
片、１０……流出口接続管片、１２……据付け及
び修理用接続管片、１３，１４，１５……ノズル
受容接続管片、１６……硬質ゴム層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱い高腐食性の塩素及び塩化水素含有燃焼ガ
   スを急冷するための冷却装置であつて、わん曲し
   た天井及び底を備えた細長い丸形の鋼製容器と、
   鋼製容器の上端に設けられたガスを供給するため
   の中央接続管片と、鋼製容器の上方1/3の位置の
   水平面に等間隔で配置された、回路内を導きかれ
   る急冷液を噴射するノズルを収容するための多数
   の傾斜した接続管片と、鋼製容器の下方1/3の位
   置の湾曲した底の上にあつて、急冷した燃焼ガス
   及び急冷液の流出口としての側方接続管片と、清
   掃目的のため並びに急冷液の排出口としての鋼製
   容器の下端部に設けられた中央接続管片と、鋼製
   容器及び全部の接続管片の内側面に施された耐酸
   性の硬質ゴムライニングと、耐酸性硬質ゴム層の
   上の耐酸性セラミツクライニングと、鋼製容器の
   上方領域における耐酸性ライニング断熱煉瓦から
   成る耐火性ライニングとから構成されている形式
   のものにおいて、全高の40〜50％を形成する外側
   鋼製容器の上方部分１が下方部分２よりも大きな
   直径を有し、上方部分１及びわん曲した天井４が
   断熱煉瓦７でライニングされており、下方部分２
   に据付け及び修理目的のために側方の直線状接続
   管片１２が設けられており、かつ断熱煉瓦７が内
   部に向かつて耐酸性セラミツクライニング８によ
   つて保護されており、その場合全部が耐酸性にラ
   イニングされた内部の側壁が同一直径の円筒状套
   壁の形を有することを特徴とする、熱い高腐食性
   の塩素及び塩化水素含有燃焼ガスを急冷するため
   の冷却装置。 ２ わん曲した天井４において中央接続管片９の
   周囲に少なくとも６個の接続管片１３が取付けら
   れ、該接続管片が容器の長手軸線と角度α＝25〜
   35°を形成する特許請求の範囲第１項記載の冷却
   装置。 ３ 鋼製容器の下方部分２において接続管片１２
   の上の第２の水平面内に、等間隔で少なくとも３
   つの下向きに傾斜しかつ容器の長手軸線と角度β
   ＝70〜80°を形成する接続管片１４が回路内を導
   びかれる急冷液を噴射するノズルを受容するため
   に設けられている、特許請求の範囲第２項記載の
   冷却装置。 ４ 急冷された燃焼ガス及び急冷液の流出口接続
   管片１０に流動方向と反対向きに傾斜しかつ流出
   口接続管片の水平軸線と角度γ＝50〜70°を形成
   する接続管片１５が急冷液を噴射するノズルを受
   容するために設けられている、特許請求の範囲第
   １項から第３項までのいずれか１項に記載の冷却
   装置。 ５ 内部の耐酸性ライニング８が耐酸性セメント
   内に敷設されたセラミツク套壁板の二重層から成
   る、特許請求の範囲第１項から第４項までのいず
   れか１項に記載の冷却装置。 ６ 全ての接続管片及び上方部１及びわん曲した
   天井４の領域内の耐酸性硬質ゴム層１６上の耐酸
   性ライニングが耐酸性セメント内に敷設されたセ
   ラミツク套壁板もしくはタイルの単一層から成
   る、特許請求の範囲第１項から第５項までのいず
   れか１項に記載の冷却装置。 ７ 外側の鋼製容器の上方部分１の直径が下方部
   分２の直径よりも10〜20％大きい、特許請求の範
   囲第１項から第６項までのいずれか１項に記載の
   冷却装置。 ８ 外側の鋼製容器の上方部分１が円錐状に延び
   る傾斜部をもつてその下方部分２に移行してい
   る、特許請求の範囲第１項から第７項までのいず
   れか１項に記載の冷却装置。 ９ 鋼製容器が高さ／直径の長さ比1.5〜３を有
   する、特許請求の範囲第１項から第８項までのい
   ずれか１項に記載の冷却装置。