JPH0443669Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、壁体に形成の貫通孔を挿通する例え
ば空調配管用のスリーブの端部に、前記貫通孔周
りの壁面部分に当て付いてスリーブと貫通孔との
隙間を隠蔽するウオールキヤツプを連結して形成
する貫通スリーブに関し、更に詳しく説明する
と、壁体に設けた貫通孔に内装される筒部材を設
け、前記壁体の表面と裏面夫々の前記貫通孔周囲
に各別に接当する一対の鍔部材を設け、前記筒部
材の両端部と前記両鍔部材との間に、互いを連結
するための螺合部をそれぞれ設けてある貫通スリ
ーブに関する。

〔従来の技術〕

従来の貫通スリーブにおいては、螺合部を構成
する雌ねじと雄ねじとをガタなく螺合させるよう
に設計、製作されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、例えば、前記スリーブとウオー
ルキヤツプとの連結の場合、スリーブ内に雨水が
入つても外部に流下排出するようにスリーブが対
地的に傾いた姿勢に配設されるため、ウオールキ
ヤツプをスリーブに締込み螺合させた際、ウオー
ルキヤツプの壁への当り面が壁面に対して傾斜す
る姿勢となる。そのため、ウオールキヤツプの壁
への当りが周方向の一部で壁面に当接する片当り
となり、ウオールキヤツプの壁への押付けにがた
つきが生じ易い。そして、このがたつきを防止す
るには、座金を入れたり、座ぐりを施したりする
必要が生じるのである。

本考案の目的は、前述した片当りを防止する点
にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による貫通スリーブの特徴構成は、壁体
に設けた貫通孔に内装される筒部材と、前記壁体
の表面と裏面夫々の前記貫通孔周囲に各別に接当
する鍔部材との一方に雌ねじを設け、他方に前記
雌ねじに螺合可能な雄ねじを設け、前記雌ねじの
谷の幅を、前記雄ねじの山の幅よりも広く寸法設
定して、それらの螺合部に、互に嵌合連結される
二部材の相対的な傾き揺動を一定範囲で許容する
間隙を形成すると共に、前記雌ねじ及び前記雄ね
じを複数条ねじに形成してあるところにある。

〔作用〕

雌ねじと雄ねじとを積極的、つまり、意図的に
相対傾き揺動するようにしてあるため、雌ねじと
雄ねじとの相対的な傾き揺動により、例えば、ウ
オールキヤツプにおいてはスリーブが対地傾斜姿
勢に位置するものの、ウオールキヤツプの壁面へ
の当り面を壁面と平行な姿勢に位置させることが
できるといつたように、雌ねじまたは雄ねじが形
成された被連結部材の壁面等への当り面を、壁面
等に対してねじ軸芯が垂直でなく傾斜していて
も、壁面等と平行な姿勢に位置させることがで
き、更に雌ねじと雄ねじとを相対的な傾き揺動す
る際、前記両ねじを複数条ねじに形成してあるこ
とで、雄ねじの軸心に直交する前記雄ねじ内の任
意の断面には、常に山が複数箇所に形成され、そ
の断面に対応する雌ねじの断面には、前記複数箇
所の山夫々との係合部が常に形成されているか
ら、雄ねじの断面に形成してある山が、常に１つ
の一条ねじに比べて、雄ねじと雌ねじの間に作用
する引抜き力を分散させ易くでき、互いに抜け出
し難くできる。

〔考案の効果〕

したがつて、本考案によれば、壁面等に対して
ねじ軸芯が傾斜している場合であつても、座金や
座ぐりを要することなく、被連結部材の当り面の
全面を壁面当に均等に当接させて、がたつきなく
スムーズに、被連結部材を壁面等に押付けること
ができ、そして雌ねじと雄ねじの相対的な傾き揺
動を許容できながら、互いに抜け出し難くできる
ねじ嵌合構造を提供できるようになつた。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を示す。

第２図に示すように、壁Ｗに形成の貫通孔ａを
挿通する空調配管用のスリーブＡの両端部に、前
記貫通孔ａ周りの内壁面部分および外壁面部分に
当て付いてスリーブＡと貫通孔ａとの隙間を隠蔽
するウオールキヤツプＢを連結する場合への適用
例であつて、前記スリーブＡは、合成樹脂の成形
品であつて、外側端部が内側端部よりも低く位置
する対地傾斜姿勢に配設されているとともに、螺
合連結する２つの筒体A₁，A₂から軸芯方向で伸
縮自在に構成されており、かつ、両端部には、雄
ねじ１が形成されている。

前記ウオールキヤツプＢは、合成樹脂の成形品
であつて、壁面への当り面を有するフランジ部
B₁と前記貫通孔ａ内に挿入する筒部B₂とからな
り、前記筒部B₂には、前記スリーブＡの雄ねじ
１に螺合する雌ねじ２が形成されている。

前記雌ねじ２および雄ねじ１は、位相が180度
ずれた２つの山２ａ，１ａおよび谷２ｂ，１ｂを
備えた２条ねじであり、前記スリーブＡを形成す
る２つの筒体A₁，A₂のうち、内嵌する側の筒体
A₁に形成の雄ねじ１は、その筒体A₁の全長に亘
つて形成されて、他方の筒体A₂に形成の螺合連
結用雌ねじ３に螺合するための雄ねじを兼ねるも
のである。なお、前記山２ａ，１ａは、断面形状
が四角のものである。

そして、前記雌ねじ２および雄ねじ１の谷２
ｂ，１ｂの幅L₁，L₂と山２ａ，２ａの幅l₁，l₂と
は、雌ねじ２と雄ねじ１との側面視における相対
的な傾き揺動、つまり、ウオールキヤツプＢとス
リーブＡとの相対揺動を許容するように形成され
ている。かつ、前記雄ねじ１における螺合終端部
近くの直径方向で対向する２箇所には、雌ねじ２
との螺合に、スリーブＡにおける両筒体A₁，A₂
の螺合を優先させるように抵抗を与える突起ｔ，
ｔが形成されている。

前記ウオールキヤツプＢのうち、スリーブＡの
内側端部に螺合するウオールキヤツプＢは、周方
向で二等分割されており、この２つ割り式のウオ
ールキヤツプＢの各分割体b₁の周方向一端側に
は、相手側の分割体b₁の周方向他端部に当接して
両分割体b₁の軸芯方向位置を揃える規制片b₂が突
出形成されているとともに、貫通孔b₃が形成され
ており、分割体b₁の周方向他端側には、相手側の
分割体b₁の前記貫通孔b₃に軸芯方向から係入して
両分割体b₁を同芯状に位置させる舌片b₄が突出形
成されているとともに、相手側の分割体b₁におけ
る前記規制片b₂に形成の係合孔b₅に軸芯方向から
抜止め状態に挿通して両分割体b₁の離脱を阻止す
る筒状の係合突起b₆とが成形されている。前記係
合突起b₆の先端部は、周方向で複数に分断分割さ
れてそれ自身の弾性に抗して縮径変形するように
構成されており、各分割先端部には、拡径状態に
おいて前記係合孔b₅周りの規制片部分に抜止め係
合する返りb₇と、挿入時、係合孔b₅周りの規制片
部分に摺接して前記返りb₇が係合孔b₅を通過する
ように縮径変形させるカム面b₈とが形成されてい
る。なお、前記両分割体b₁同士は、係合孔b₅付き
規制片b₆、貫通孔b₃、舌片b₄、係合孔起b₆を含め
て、回転対称に形成されており、ウオールキヤツ
プＢに形成の雌ねじ１が前述した２条ねじである
ため、同一の構造、形状である。

そして、前記スリーブＡおよびウオールキヤツ
プＢは、貫通孔ａにスリーブＡを挿通させた状態
でそのスリーブＡの両端部にウオールキヤツプＢ
を螺合させて、両ウオールキヤツプＢによる壁Ｗ
の挾み付けにより、壁Ｗに固定されるのであつ
て、スリーブＡとウオールキヤツプＢとの相対的
な傾き揺動により、スリーブＡの軸芯に対するウ
オールキヤツプＢへ当り面の姿勢を変更できるた
め、スリーブＡが対地傾斜姿勢に配設され、ま
た、その対地傾斜姿勢にばらつきが生じるもの
の、ウオールキヤツプＢへ当り面の全体を当接さ
せて、ウオールキヤツプＢの壁への押付け固定を
確実に行なえるのである。

特に、ウオールキヤツプＢの雌ねじ２とスリー
ブＡの雄ねじ１とを、位相が180度ずれた２条ね
じとしてあるため、ウオールキヤツプＢとスリー
ブＡとが傾き揺動しても、雌ねじ２側の山２ａと
雄ねじ１側の山１ａとの係合部が直径方向で対向
する２箇所に形成され、その結果、ウオールキヤ
ツプＢとスリーブＡとが傾き揺動し易いようにウ
オールキヤツプＢにおける筒部B₂の軸芯方向長
さを短くしながらも、ウオールキヤツプＢとスリ
ーブＡとの間に作用する引抜き力を分散させて、
ウオールキヤツプＢとスリーブＡとの抜止めを確
実に行える。また、２つ割り式のウオールキヤツ
プＢにおいては、前記舌片b₄を切落すことによ
り、貫通孔b₃をもつて、ウオールキヤツプＢを壁
にビス止めする場合のビス孔を形成することがで
きる。

〔別実施例〕

以下、本実施例の別実施例を示す。

ウオールキヤツプＢは、先の実施例で説明した
形状・材質に限定されるものではなく、同様の作
用効果を発揮し得るものであれば、変更があつて
もよく、それらを総称して鍔部材Ｇという。

また、スリーブＡも同様に、先の実施例で説明
した形状・材質に限定されるものではなく、同様
の作用効果を発揮し得るものであれば、変更があ
つてもよく、それらを総称して筒部材Ｈという。

一方、前記筒部材Ｈと、その両端部に各別に設
ける鍔部材Ｇとの構成を総称して貫通スリーブと
いう。

更に、貫通スリーブの構成は、雌ねじ２及び雄
ねじ１を、先の実施例で説明したように鍔部材Ｇ
及び筒部材Ｈに各別に設けるものに限定するもの
ではなく、例えば、雌ねじ２を筒部材Ｈに、雄ね
じ１を鍔部材Ｇに設けるものであつてもよい。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に番号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係わる貫通スリーブの実施例を
示し、第１図はスリーブ及びウオールキヤツプの
分解状態の一部切欠き側面図、第２図はスリーブ
及びウオールキヤツプの取付状態を示す縦断面
図、第３図はウオールキヤツプの分解斜視図であ
る。 Ｇ……鍔部材、Ｈ……筒部材、２……雌ねじ、
１……雄ねじ、２ｂ，１ｂ……谷、２ａ，１ａ…
…山。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 壁Ｗ体に設けた貫通孔ａに内装された筒部材Ｈ
   を設け、前記壁Ｗ体の表面と裏面夫々の前記貫通
   孔ａ周囲に各別に接当する一対の鍔部材Ｇを設
   け、前記筒部材Ｈの両端部と前記両鍔部材Ｇとの
   間に、互いを連結するための螺合部をそれぞれ設
   けてある貫通スリーブであつて、 前記筒部材Ｈと前記鍔部材Ｇとの一方に雌ねじ
   ２を設け、他方に前記雌ねじ２に螺合可能な雄ね
   じ１を設け、前記雌ねじ２の谷２ｂの幅を、前記
   雄ねじ１の山１ａの幅よりも広く寸法設定して、
   それらが螺合する前記螺合部に、互に嵌合連結さ
   れる二部材の相対的な傾き揺動を一定範囲で許容
   する間隙を形成すると共に、前記雌ねじ２及び前
   記雄ねじ１を複数条ねじに形成してある貫通スリ
   ーブ。