JPH0442773Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の背景 〔技術分野〕 この考案は、混合ガスあるいは血液中に含まれ
る、たとえば二酸化炭素、酸素等のガス濃度を検
出測定するガス濃度測定用電極体に関する。

〔先行技術およびその問題点〕

従来のこの種電極体としては、たとえば、酸素
ガスセンサーをなすクラーク型電極体が知られて
いる。しかし、この電極体は作用電極と対電極の
２極構成であり、これら両電極間に定電位を印加
する方式を採つているため、いわゆるパルス電解
法を用いる際には電位を任意に規制、制御するこ
とが困難である。従つて、この電極体では電解電
位の異なる二酸化炭素と酸素とを同時に検出測定
することができない。

二酸化炭素と酸素とを同時に、たとえばアンペ
ロメトリーで測定するための電極体の構成として
は、従来から見られるものは上記各ガスに対応し
て、作用電極、基準電極および対電極の３極構成
の感応部を２組備えた構造となつている。従つ
て、構造がきわめて複雑で製作費も高く、電極体
の小型化も困難であつた。

また一方、３極構成の電極体で従来のものは、
これら各電極がガス透過膜に対向して一様に接す
る構造となつている。作用電極自体は透過膜に積
極的に接する構成とするのが望ましい。これは、
応答速度の遅延を防止し得るとともにガス測定精
度限界値まで電極を微小化できるなどの利点があ
る。

しかしながら、作用電極のみならず、基準電極
および対電極の３極全部がガス透過膜に接する状
態にあると、これら３極の端部が露出している露
出端面とガス透過膜との間隙がきわめてせまくな
る。このため、内部充填の、たとえばジメチルス
ルホキシドなどの非水系溶媒の内部液と、この間
隙との流通性が良好でない。従つて、電極反応に
より生ずるCO₂ガス等の電解生成物が電極部分よ
り内部液中へ拡散する速度が遅く迅速かつ正確な
電極反応の障害になるのであつた。そして、たと
えば作用電極と基準電極との間に存在する液抵抗
が大であるため、パルス電解法を適用した場合に
高い測定精度を期待できないのであつた。

考案の目的 この考案は上記従来の諸事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、電解生成物
による影響を極力少なくして迅速かつ正確な電極
反応を得、測定精度向上をはかることができると
ともに構造が簡単で廉価に製作し得、小型化も可
能なガス濃度測定用電極体を提供するにある。

考案の具体的説明 上記の目的を達成するために、この考案におい
ては少なくとも１つの開口部を備えた外筒ハウジ
ングと、該開口部を封ずるように設けられ測定ガ
ス存在部分に対接されるガス透過膜と、前記外筒
ハウジングに支持された支持体からそれぞれ独立
した状態で露出して設けられ前記外筒ハウジング
内に配置された一組の作用電極、基準電極および
対向電極と、前記外筒ハウジング内に前記電極お
よび前記ガス透過膜と接するように充填設定され
た内部液とを備え、前記支持体の一端端面はその
中心部よりその半径方向外方に向かうにつれて前
記ガス透過膜より離間し、かつ端面上に形成した
少なくとも２以上の放射状の溝で構成されてなる
面を有しており、端面の中心部に作用電極を配置
するとともに前記離間する面上に基準電極と対向
電極とを配置したことを特徴とするガス濃度測定
用電極体を提供しようとするものである。

このような、本考案の上記の構成により、内部
液が支持体端面の電極露出端面と透過膜の間のス
ペースに積極的に流通するために、電解生成物を
電極作用部分から内部液中へ迅速に拡散させるこ
とができ、電極間の液抵抗が小さくなり、たとえ
ば、パルス電解法を適して、精度の高いガス濃度
の測定が可能となるのである。

以下、図面を参照して、この考案の実施例を説
明する。

第１図ないし第３図に示す第１の実施例のガス
濃度測定用電極体は、テフロン等で円筒状に構成
された外ケース１と、そのケース１の検出端方向
の開口部１ａを気密状態に封ずるようにＯ−リン
グ２を用いて張設され二酸化炭素や酸素などの測
定ガス存在部分に対接されるテフロン等でなるガ
ス透過膜３と、外ケース１内にケース１と同軸に
配置されたポリプロピレン等よりなる電極支持体
４と、この支持体４の端面に互いに独立して平行
に配設された一組の作用電極５，基準電極６およ
び対電極７と、支持体４と外ケース１との間に形
成された環状室８に充填設定された、たとえばジ
メチルスルホキシド（DMSO）溶液などの非水
系溶液よりなる内部液とを備えている。

上記３電極５，６，７はケーブル９を介して外
部配置の、たとえば、パルス電解装置や表示記録
装置に接続されるが、図示を省略してある。

作用電極５は、たとえば直径0.2mmの銀線より
なり、支持体４の中心軸線に沿つて設定され、基
準電極６および対電極７は、それぞれたとえば直
径1.0mmの銀線および白金線によつて構成され中
央の作用電極５をはさむ位置関係にある。

これら３極５，６，７の端部をガス透過膜３に
対向した位置で露出させるように、露出端面１０
が支持体４の膜３との対向端面に形成され、この
端面１０には離間する面１１が設けられている。

すなわち、露出端面１０の離間する面１１は作
用電極５の端部が露出する中央部から半径方向外
方に向かうにつれて、張設されたガス透過膜３よ
り離間するように内方に後退した面構成となつて
おり、この離間する面１１に基準電極６および対
電極７が、それらの端部において露出している。

この実施例では上記離間する面１１を、露出端
面１０上に放射状に形成した溝１２で構成した。
溝１２は、この実施例では４つ形成したが、２つ
以上設ければよい。これら溝１２の間に残された
細幅のリブ１３はガス透過膜３と接し、この膜３
を積極的に支持する。そのため、各溝１２のとこ
ろは膜３から離間し、この離間する面１１部分
に、内部液を充填した環状室８が連通する。

作用電極５は中央部にあつて、この電極のみ膜
３に接する。

なお、１４はサーミスターである。１５は外ケ
ース１にねじ込まれて基端部を閉鎖するキヤツプ
である。

このように、第１の実施例では、露出端面１０
に放射状の溝１２を形成することにより離間する
面１１を構成したものである。

考案の具体的効果 以上、実施例で説明したように、ガス透過膜に
対向する電極支持体の端面に、放射状の溝を設け
ることにより離間する面を形成して、中央部の作
用電極を除いて基準電極、対電極をこの端面上に
露出する構成としたため、内部液が露出端面と透
過膜との間に積極的に流通できる構成とした。従
つて、電解作用に応じて電極部分に生成される電
解生成物は内部液中へ迅速に拡散するので、電極
反応に対する電解生成物の影響が殆んど解消さ
れ、液抵抗も小さくなるので、パルス電解法を適
用して高い測定精度をあげることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の第１の実施例の縦断面図、
第２図は第１図においてガス透過膜を一部破断し
て示す端面図、第３図は露出端面の構成を示す斜
視図である。 １……外ケース、３……ガス透過膜、４……電
極支持体、５……作用電極、６……基準電極、７
……対電極、１０……露出端面、１１……離間す
る面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 少なくとも１つの開口部を備えた外筒ハウジン
   グと、 該開口部を封ずるように設けられ測定ガス存在
   部分に対接されるガス透過膜と、 前記外筒ハウジングに支持された支持体からそ
   れぞれ独立した状態で露出して設けられ前記外筒
   ハウジング内に配置された一組の作用電極、基準
   電極および対向電極と、 前記外筒ハウジング内に前記電極および前記ガ
   ス透過膜と接するように充填設定された内部液と
   を備え、 前記支持体の一端端面はその中心部よりその半
   径方向外方に向かうにつれて前記ガス透過膜より
   離間し、かつ端面上に形成した少なくとも２以上
   の放射状の溝で構成されてなる面を有しており、
   端面の中心部に作用電極を配置するとともに前記
   離間する面上に基準電極と対向電極とを配置した
   ことを特徴とするガス濃度測定用電極体。