JPH0442341B2 - - Google Patents

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JPH0442341B2
JPH0442341B2 JP63034591A JP3459188A JPH0442341B2 JP H0442341 B2 JPH0442341 B2 JP H0442341B2 JP 63034591 A JP63034591 A JP 63034591A JP 3459188 A JP3459188 A JP 3459188A JP H0442341 B2 JPH0442341 B2 JP H0442341B2
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glass
core tube
carbon
furnace
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JP63034591A
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Tsunehisa Kyodo
Yoichi Ishiguro
Ichiro Tsucha
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
    • C03B37/01Manufacture of glass fibres or filaments
    • C03B37/012Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments
    • C03B37/014Manufacture of preforms for drawing fibres or filaments made entirely or partially by chemical means, e.g. vapour phase deposition of bulk porous glass either by outside vapour deposition [OVD], or by outside vapour phase oxidation [OVPO] or by vapour axial deposition [VAD]
    • C03B37/01446Thermal after-treatment of preforms, e.g. dehydrating, consolidating, sintering
    • C03B37/0146Furnaces therefor, e.g. muffle tubes, furnace linings

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  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
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  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は、光フアイバ用母材の加熱炉および製
法に関し、更に詳しくは、石英系ガラス微粒子体
から成る多孔質ガラス母材を加熱し、フツ素添加
および透明化する為の加熱炉および方法に関す
る。本発明の加熱炉は、ガラス母材に対する不純
物元素の混入を防止することができ、かつ耐久性
の優れたものである。 [従来の技術] 光フアイバ用母材を大量生産する一般的な方法
として、VAD(Vapor Phase Axial
Deposition)法が知られている。VAD法は、回
転する出発部材、例えばガラス板あるいはガラス
棒の上に、酸水素炎中で生成したガラス微粒子を
堆積させて円柱状の多孔質母材(スート母材)を
つくり、この多孔質母材を焼結して透明な光フア
イバ用ガラス母材を製造する方法である。 VAD法において多孔質母材を焼結し、透明ガ
ラスにするには、母材を、不活性気体(例えばヘ
リウムまたはアルゴンガス)雰囲気中で1600℃以
上に加熱する必要がある。母材の焼結に用いる加
熱炉としては、通常カーボン発熱体を有する加熱
炉が用いられている。かかる加熱炉を用いた焼結
に際して特に留意しなければならない点は、銅や
鉄などの遷移元素の混入並びに水分の混入の防止
である。遷移元素がガラス母材に1ppb以上混入
すると、得られる光フアイバの損失波長特性が全
波長にわたり著しく損われる。また、水分が母材
に0.1ppm以上混入すると、得られる光フアイバ
の長波長域における特性が損なわれる。 そこで、通常、透明化前にまたは同時に多孔質
母材を脱水することが行なわれる。脱水処理とし
て、多孔質母材を塩素系ガス、フツ素系ガスを添
加した不活性ガス雰囲気中で高温加熱する方法が
知られている。フツ素系ガスを使用する場合は、
多孔質母材の脱水を行うのみならず、同時にガラ
ス母材にフツ素を添加する効果をも有している。
多孔質母材中にフツ素を添加すると、光フアイバ
には必須である屈折率分布の調整ができるという
利点がある。尚この点に関しては特公昭55−
15682号および特開昭55−67533号に説明されてい
るが、これらに付いては後述する。 上記フツ素系ガスを用いた処理は、通常透明化
と同時にまたは前工程として加熱炉内で行われ
る。加熱炉には、母材の加熱処理中に発生する水
分や酸素によりカーボン発熱体が消耗するのを防
ぐため、カーボン発熱体と焼結雰囲気とを隔離す
る炉心管が設置されている。炉心管として、従来
アルミナ製のものが使用されていた(例えば、特
公昭57−40096号公報および米国特許第4338111号
参照)。しかし、アルミナ製の炉心管を用いると、
アルミナの中に含まれるアルカリ成分が高温で加
熱雰囲気に飛散し、これが多孔質母材表面に付着
し、クリストバライト層を形成するという問題が
あつた。 そこで、炉心管として石英ガラス製のものが実
用化されつつある。石英ガラス製炉心管の使用
は、アルミナ管の使用に比し、下記の利点を有す
る。 機械的加工精度が良く、このため雰囲気の気
密性が保たれ、スート母材の脱水が有効に行な
われる。 鉄やアルカリ等の不純物が殆んど含まれてお
らず、アルミナ管に比し高純度である。 これを用いて得られたガラス母材は、アルカ
リにより表面失透を起こさない。 熱的な破損(サーマルシヨツクによる破壊)
がない。 フツ素系ガスを用いた場合に、AlF3等の不
純物ガスの発生がない。但し、SiF4ガスの発生
はあるが、ガラス母材への不純物としての悪影
響は及ぼさない。 なお、石英ガラス製炉心管を利用した方法につ
いては、特公昭58−58299、同58−42136および特
開昭60−86049各号公報に詳細に示されている。 しかし、石英ガラスに銅や鉄が含有されている
と、脱水処理雰囲気中の塩素系ガスと銅または鉄
とが下式に示す様に、容易に化学反応して揮散性
の塩化物を生成し、多孔質母材に侵入して、最終
的に得られる光フアイバの損失特性を著しく損な
うという新たな問題も生じている。 CuOCl2 ―−−→ Cu2Cl2 Fe2O3Cl2 ―−−→ FeCl3 更に、高温下において、銅は容易に石英ガラス
中に拡散する性質があるため、加熱炉本体や発熱
体から揮散する銅が炉心管を透過し、ガラス母材
中に混入するという問題もある。 更に、フツ素系ガスは高温で分解もしくは反応
し、F2ガスやHFガスを生成する。これらのガス
は、次式のように石英ガラスと反応してSiF4ガス
を生成し、この反応により石英ガラスがエツチン
グされる。 SiO2+2F2→SiF4+O2 SiO2+4HF→SiF4+2H2O このため石英ガラス内部に存在していた銅や鉄
が石英ガラスの表面に現われ、多孔質母材へ混入
する原因となる。また、エツチングにより石英ガ
ラス製炉心管にピンホールが生じ、外気の混入や
雰囲気ガスの炉外への漏出の原因ともなり、製造
工程上悪影響を招く結果になる。 加えて、石英ガラス管には高熱で変形し易いと
いう重大な問題点が存在する。ちなみに、温度
1300℃程度でも長時間保持すると、粘性流動によ
り変形が起きてしまう。また、1150℃以上で長時
間使用すると失透を起こし、一度炉の温度を下げ
ると、ガラス層と失透層の間に熱膨張係数差に由
来するヒズミが生じ、破壊されてしまうという欠
点を有していた。 ところで、光フアイバー用ガラス母材はコア部
とクラツド部とからなつており、コア部は中心部
にあつて、光を伝送し易くするためにクラツド部
より屈折率を高くしてある。例えば、第1図aお
よびbにそれぞれ示されたシングルモードフアイ
バーおよびマルチモードフアイバーの構造では、
A部はコア部、B部はクラツド部に相当する。 クラツドとコアとの間で屈折率差を形成するに
は、コアの屈折率を上げるか、クラツドの屈折率
を下げるか、あるいは両者を組み合わせればよ
い。 なお、本明細書において「屈折率差」は、ある
ガラスの屈折率と純シリカの屈折率との差であ
る。 コア部の屈折率を上げるには、通常屈折率上昇
用ドーパントとしてGeO2、Al2O3、TiOなどを石
英ガラスの合成時に添加して、Ge、Al、Tiなど
の原子をガラスに添加する。しかし、上記のよう
な酸化物を添加すると、次のような欠点が生じ
る。 ドーパント添加量に比例してドーパントに由来
する光散乱(レイリー散乱)も増加し、光伝送上
好ましくない。またドーパントを多量に添加する
と、ガラス母材中に気泡や結晶相が生じる。例え
ば、GeO2を用いる場合には、GeOガスに起因す
る気泡が生じ易く、Al2O3を用いる場合には、
Al2O3結晶のクラスターが発生し易い。このよう
な気泡や結晶相は、得られる光フアイバーの光伝
送特性にとつて、また強度にとつて好ましくな
い。 それ故、コア部のガラス組成は、純石英ガラス
とするか、できる限りドーパント量を少なくした
石英系ガラスとすることが好ましいことが理解で
きよう。 コア部にドーパントを添加することに伴う上記
の種々の問題を克服し、かつコア部とクラツド部
との間に屈折率差を形成する方法の1つとして、
屈折率を下げる作用を有するフツ素をクラツド部
の石英ガラスに添加した光フアイバー用ガラス母
材が提案されている。 フツ素をドーパントとして用いることの利点の
一つとしては、クラツド部の屈折率を純石英の屈
折率より低くできるので、純石英もしくは少量の
ドーパントを添加した石英系ガラスからコア部を
形成できる点が挙げられる。第2図は、クラツド
部にフツ素を添加した石英系ガラスフアイバーの
構造を示すものである。このような構造とする
と、光の通る部分であるコアでのドーパントに由
来する光の散乱(レイリー散乱)は小さくなり、
光伝送路として好ましい結果が得られる。 またフツ素は、GeO2などのドーパントに比べ
資源的に豊富で、かつ原料の精製が容易である点
でも経済的に有利である。加えて、フツ素系ガス
は屈折率調整のためのドーパントとしてのみなら
ず、スート母材中に含まれる水分を除去する脱水
剤として優れている点もその特徴の一つである。 石英ガラス中にフツ素を添加(ドープ)する方
法としては、すでにいくつかの方法が提案されて
いる。 まず、特公昭55−15682号公報には、ガラスを
気相合成する工程において、フツ素系ガスを供給
してガラス中にフツ素を添加する方法が記載され
ている。この方法によれば、確かにガラス中にフ
ツ素が添加されるものの、ガラスの堆積効率およ
びフツ素の添加効率(ドーピング収率)が共に低
いという欠点がある。 その理由は、酸水素炎を用いる火炎加水分解法
では、火炎中に存在する水分とフツ素系ガス、た
とえばSF6が、反応式(1): SF6+3H2O→SO3+6HF (1) に従つて反応して、フツ化水素(HF)ガスを生
じるためと考えられる。生成したHFガスは安定
である為、高温下では水分のある限り、殆んどの
フツ素系ガスはHFガスに変換されてしまい、わ
ずかに残されたフツ素系ガスのみがドーパントと
して利用できるにすぎない。 さらに、HFは、ガラス、特に石英を侵食する
作用があり、火炎中に生成したガラス微粒子と容
易に下記反応式(2)および(3)に従つて反応し、生成
ガラス微粒子が消耗されてスートの堆積効率が低
下する: SiO2(s)+2HF(g)→SiOF2(g)+H2O(g) (2) SiO2(s)+4HF(g)→SiF4(g)+2H2O(g) (3) [式中、(s)は固体を、(g)は気体を示す。] 従つて、フツ素系ガスの添加量を増やすとスー
トの堆積速度はかえつて低下してしまうことにな
る。 次に、特開昭55−67533号公報には、火炎加水
分解法でガラス微粒子を合成し、堆積させてスー
ト母材を作製し、得られたスート母材をフツ素ガ
スを含む雰囲気で熱処理することによりフツ素を
スート中にドープし、これによりフツ素が添加さ
れたガラス母材を得る方法が示されている。 しかし、この方法もいくつかの不都合な問題を
有している。該公開公報に記載の方法の一つの態
様では、スート母材をフツ素系ガスを含む雰囲気
で1000℃以下の温度で処理しているが、フツ素添
加の速度が遅く、さらに時として、得られたフア
イバー中にCuやFeが存在することがあつた。Cu
やFe伝送損失増加の原因となる吸収損失を起こ
すことが知られている。 さらに、スート母材を、1400℃以上の温度でフ
ツ素系ガスを含むガス雰囲気中で処理することも
記載されているが、得られたガラス母材の表面は
エツチングされ、雰囲気を保つための炉心管、た
とえば石英製炉心管もエツチングで著しく損傷さ
れる場合があつた。このようなエツチングは、炉
心管中の不純物がスート母材中へ混入するのを促
進する1因ともなつていたと考えられる。 さらに、上記方法で得られる光フアイバーで
は、水酸基による吸収損失が経時変化し、温度が
高くなるとこの吸収損失増大が著しくなる、とい
う問題点も有している。 上記問題点を解決する為、特開昭60−239337号
公報には、フツ素系ガスとしてSiF4を用いる方法
が開示されている。 SiF4は、スート母材および石英ガラス製炉心管
をエツチングしない唯一のフツ素系ガスであり、
石英ガラス製炉心管のエツチングによる破損を発
生させない。 しかしながら、かかる石英ガラス製炉心管は、
上述のような欠点に加え、次ぎのような欠点も有
している。すなわち、アルカリ、銅などの不純物
を透過する、わずかな水分でも存在すると水分が
SiF4と反応してHFを生成し、これが石英ガラス
製炉心管をエツチングするので、炉心管材料内に
存在する不純物がスート母材を汚染する可能性が
ある。不純物の透過は、炉全体を高純度の材料で
内装することで防止できるものの、炉の製作費が
高くなり、経済的でない。炉心管のエツチングに
ついては、スート母材や炉内に水分がない様に充
分乾燥させた後、SiF4を炉内に送り込む必要があ
り、気密な設備や慎重な操作を要する。 ところで、フツ素系ガスや塩素系ガスと反応し
難い材料としてはカーボンが考えられる。カーボ
ンは、石英と反応し易いガスであるSF6、C2F6
CF4などとも反応しない。もちろんSiF4とも反応
しない。 事実、特公昭56−28852号公報に於て、具体的
な実施例は開示していないものの、カーボン炉心
管F2ガスなどのフツ素系ガス雰囲気で使用でき
ることを示している。 しかしながら、カーボンには次のような欠点が
ある: (1) カーボンは微細な気孔を持つているため、気
体を容易に透過する。ちなみに、カーボンにつ
いての窒素の透過率は、石英ガラスに比べて
106倍も大きい。 (2) カーボンは酸化され易く、400℃以上で酸素
と容易に反応してCO2またはCOガスとなつて
しまう。 酸化を防止する為、カーボン炉心管の内壁に、
SiC、Al2O2、BNなどのセラミツクス層を形成す
る方法が考えられた。事実、セミツクス層は酸化
防止の役目を果たすものの、塩素系ガスおよびフ
ツ素系ガスの少なくとも一方と反応してしまう不
具合がある。この反応により生じた不純物は、ス
ート母材を失透させたり、スート母材内に気泡を
発生させる。 F2ガスは、炭素や硫黄を析出させる恐れはな
いものの、水分と爆発的に反応するので、フツ素
ドープ用ガスとして使用するのは好ましくない。 上記のように、カーボンはガス透過性の極めて
大きな素材のため、壁を通してガスの出入りがあ
り、外気の水分が壁を通して侵入する。その為、
得られるガラス母材は、多くの水分、すなわち水
酸基を含む。またCl2、SiF4などのガスが逆に壁
を通して炉外へ放出され、作業環境を悪くする恐
れがある。また、系外からの不純物(たとえば、
Cu、Feなど)の侵入の恐れもある。カーボンの
厚みを厚くすることで、これら欠点はかなり改善
されるものの、完全とは言いがたい。 以上のように、従来法によるクラツド部の石英
ガラスへのフツ素添加には、種々の困難な問題が
あつた。 [発明の目的] 本発明は、このような現状に鑑み、光フアイバ
用母材の脱水、透明化、フツ素添加処理に使用さ
れる従来の炉心管の問題点を解決し、寿命の長い
耐久性のある光フアイバ用母材の加熱炉を提供
し、更に炉心管への大気の混入を防止した長寿命
の加熱炉を提供しようとするものである。 [発明の構成] 本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研
究の結果、炉心管の内壁をカーボン層とした炉心
管を使用すれば高温下で、フツ素系ガス、塩素系
ガスなどの腐食性ガスを用いても炉心管の劣化は
ないことを見い出した。これは、内壁がカーボン
で被覆されているから、フツ素系ガス、塩素系ガ
スとの反応が起きないためであり、従来の炉心管
に比べ、寿命が著しく長くなることを見い出し
た。 すなわち、本発明の要旨は、石英系ガラス微粒
子体から成る光フアイバ用多孔質ガラス母材を、
フツ素化合物を含む気体雰囲気中で加熱処理する
ことにより、フツ素添加および透明化して光フア
イバ用ガラス母材とする加熱炉であつて、発熱体
および発熱体の内側に配置されて加熱雰囲気と発
熱体とを隔離する炉心管を有して成り、炉心管の
少なくとも内層が、高純度カーボンから形成され
ていることを特徴とする光フアイバ用母材の加熱
炉に存する。 本発明において、石英系ガラス微粒子体から成
る多孔質ガラス母材(以下、「スート母材」とも
言う。)には、典型的には、次のような構造のス
ート母材が包含される。 1 母材全体がガラス微粒子体からなるスート母
材または中空のスート母材。前者の場合、スー
ト母材を透明化した後、中心部に孔をあけ、そ
こへコアとなるガラスロツドを挿入し、最終的
にガラス母材を製造する。 2 ガラスコアの周囲にガラス微粒体を堆積させ
たスート母材。 3 ガラスコアの周囲に予めクラツドの一部とな
るガラス層を形成した上にガラス微粒子体を堆
積させたスート母材。 本発明の第1の態様では、炉心管は、カーボン
から形成された内層および炭化ケイ素から形成さ
れた外層から成る。好ましい実施態様の1つとし
ては、耐熱炉心管として外壁に炭化ケイ素を被覆
したカーボン炉心管、または内壁にカーボンを被
覆した炭化ケイ素炉心管が挙げられる。 カーボンの純度は、一般に全灰分が50ppm以
下、好ましくは20ppm以下である。例えば全灰分
が1000ppmであるカーボンは、鉄または銅などの
不純物の面から、本発明の炉心管には使えない。
全灰分が20ppm以下のカーボンに含まれる不純物
およびその量は、次表の通りである。
【表】
【表】 炭化ケイ素としては、鉄含有量が好ましくは数
ppm以下、銅含有量が1ppm以下のものが好まし
く用いられる。 本発明の炉心管を用いた場合に、フツ素添加の
為に使用されるフツ素系ガスとしては、ケイ素フ
ツ化物(たとえばSiF4、SF6など)、炭素フツ化
物(たとえばCF4、C2F6、C3F8、CCl2F2)など
が好ましく、就中、SiF4が特に好ましい。酸素を
含むフツ素化合物は好ましくない。 炭化ケイ素またはカーボンの被覆には、気相反
応による膜形成方法、例えば、プラズマCVDコ
ート、化学的なCVDコートなどが、高純度かつ
緻密な膜を形成できるので好ましい。 ここで、本発明の基礎となつた実験および概念
について説明する。言うまでもないが、以下に述
べる概念は、本発明に有効な実験による知見を得
て、初めて説明できたものであつて、予め容易に
類推できるものではなかつた。 耐熱性の検討 実験 1 内径100mm、長さ300mm、厚さ2mmの石英ガラス
製炉心管を1500℃で加熱し、1昼夜この温度に保
持したところ、炉心管は引伸び、長さ400mmにな
つてしまつた。 実験 2 内表面に0.5μm厚の緻密なカーボン層を被覆し
た、実験1の炉心管と同じ寸法の炭化ケイ素炉心
管を用い、実験1と同様に加熱したところ、炉心
管の伸びは全くみられなかつた。 実験 3 実験1と同じ炉心管を、1日毎に室温から1500
℃に3時間かけて昇温、さらに1500℃から室温ま
で降温するテストを繰り返したところ、20日後に
炉心管は失透による破壊を起こした。 実験 4 実験2と同じ炉心管について実験3と同じ昇温
テストを行つたところ、20日間経過後も全く問題
はなかつた。 実験 5 外壁に200μm厚の炭化ケイ素層を有する内径
110mm、長さ300mm、厚さ6mmのカーボン炉心管を
用いる以外は実験1と同様に加熱試験を行なつた
ところ、炉心管の伸びは全く見られなかつた。 耐酸化性の検討 実験 6 外壁を200μmの炭化ケイ素で被覆した内径100
mm、長さ300mm、厚さ5mmのカーボン管を用い、
炉心管内をヘリウムガス雰囲気、炉心管外壁全体
を大気に曝した。1500℃の加熱下、3時間放置し
ても外壁の酸化はみられなかつた。 実験 7 炭化ケイ素被覆の厚みを5μm程度として実験例
6と同様の酸化実験を行なつたところ、外壁各所
に酸化された跡がみられた。 耐蝕性の検討 実験 8 炉内を、Cl2およびSF6各10モル%混合したヘ
リウム雰囲気とする以外は実験6と同様に加熱処
理したところ、炉心管の内外壁の腐食は全くみら
れなかつた。また、炉壁を通してのCl2、SF6
スのリークもみられなかつた。これは炭化ケイ素
被覆が緻密で、ガスのリークを抑えたためであ
る。 実験 9 炭化ケイ素被覆のないカーボン炉心管を用いて
実験8を繰り返したところ、外壁の酸化は激し
く、しかも、Cl2、SF6ガスの炉壁を通してのリ
ークがみられた。 実験 10 炉心管の外壁に炭化ケイ素を被覆するかわりに
内壁に炭化ケイ素を被覆した炉心管を用いて実験
8を繰り返したところ、内面の炭化ケイ素被覆は
反応して揮散し、しかも、外壁も酸化しいてた。 実験 11 内面を1μm程度の厚みのカーボンで被覆した、
内径100mm、長さ300mm、厚さ5mmの炭化ケイ素炉
心管を用い、実験8と同様の耐蝕実験を行なつた
ところ、同様の結果が得られた。 以上の実験1〜11から、次のことが明らかにな
つた。 (i) カーボン炉心管および炭化ケイ素炉心管は、
純粋な石英ガラス製管に比べ、極めて高温に耐
え得る。 (ii) さらにフツ素系ガスを使用する場合、カーボ
ン層を内面に被覆した炭化ケイ素炉心管は、エ
ツチングされない、また、外面に炭化ケイ素被
覆を施したカーボン炉心管も同様である。 この実験に基づき、炉心管の中で多孔質母材を
1500℃以上の高温で加熱処理する際に用いる炉心
管としては、内面にカーボン層を有する耐熱炉心
管を用いることが適しており、特に、フツ素系ガ
スを使用する場合にはそうであることが判つた。
また、このような知見は、以下のように説明でき
る。 石英ガラス(SiO2)を有する炉心管や多孔質
母材とSF6との下記(1)式の反応は、炉心管をエツ
チングする。 SiO2(s)+SF6(g) →SiF4(g)+SF2(g)+O2(g) …(1) ただし、sは固体を、gは気体を表す。 一方、カーボンはSF6と反応せず、従つてSF6
はカーボンをエツチングしない。 炭化ケイ素を本体とする炉心管の場合、本発明
に従つて内壁に被覆されるカーボン層の厚みは、
約0.01〜500μm程度で充分に目的を達成できる。
内壁表面にカーボン層を形成する方法は、特に限
定されることはなく、公知のカーボン形成手段に
よればよい。例えば、被被覆用の管を温度1200〜
1500℃に加熱し、該管内にCH4またはCCl4の蒸気
をアルゴンガスと混合して流し、該管内壁に析出
させる方法(CVD法)を用いる方法などが知ら
れている。この場合には、1回当りの析出厚は
0.2μm前後とすることが、表面割れや剥離を防止
する意味から好ましく、例えば100μm厚さに形成
するには500回繰り返せばよい。 SiC被覆の厚さは、一般に10〜300μm、好まし
くは50〜250μmである。 上記の本発明の第1の態様の加熱炉を第3図お
よび第4図に示す。 第3図は、本発明の第1態様の、光フアイバ用
母材の加熱炉の一例を示す概略断面図である。第
3図中、1は多孔質母材、2は支持棒、3は炉心
管、4は発熱体、5は炉本体、6は不活性ガスの
導入口、7は雰囲気ガス(例えばSF6、ヘリウム
等)の導入口である。31はカーボン炉心管本体
で、32は炭化ケイ素被覆層である。 第4図は、本発明の第1態様の加熱炉の別の例
の概略断面図である。 第4図中、1はスート母材、2は支持棒、3は
炉心管、4は発熱体、5は炉本体、6は不活性ガ
スの導入口、7は雰囲気ガス(例えばSF6、ヘリ
ウム等)の導入口である。31′は炭化ケイ素炉
心管本体、32′はカーボン被覆層である。 本発明の第2の態様では、炉心管は、石英ガラ
ス製本体およびその内壁に被覆されたカーボン層
から成る。 この第2の態様を、図面に示す実施例に基づい
て詳細に説明する。 本加熱炉の概略断面図を第5図に示す。加熱炉
本体5の内側に、発熱体4が設けられと共に、炉
体中心に炉心管3が設けられる。 該炉心管3の本体は、石英ガラス管により形成
され、その内周壁にカーボン層33がコーテイン
グされている。 カーボンをコーテイングする方法は、上記第1
の態様の場合と同様の方法が採用できる。 上記カーボン層33の厚みは、0.01〜500μm程
度が好ましい。500μm以上の層厚になると、剥離
し易く、また0.01μm以下の層膜では、カーボン
層形成により効果が充分ではない。 カーボン層の代わりに石英ガラスより融点が高
くかつフツ素系ガスに対して耐食性のあるセラミ
ツクス膜を厚さ2〜10μm程度の窒化珪素の下地
コーテイングを介して用いることもできる。この
セラミツクスとして好適な化合物を以下に例示す
る: 炭化物:SiC、WC、TaC 窒化物:AlN、ThN、ZrN、BN、TaN 酸化物:Al2O3、CaO、ZrO2、ThO2 硼化物:SiB、TaB2、ZrB 一方、上記炉本体5の側端には、アルゴン、窒
素等のシールドガスを導入する供給口6が設けら
れる。また、該炉心管3の下端には、ヘリウム、
アルゴン、塩素、フツ素化合物等の処理用ガスを
導入する供給口7が設けられる。該炉心管3の上
方には、支持棒2により多孔質母材1が吊り下げ
られている。 上記構成において、カーボン層33が内張りさ
れた石英ガラス製炉心管は、アルミナ管やカーボ
ン管に比べ稠密であり、しかも、熱膨張係数が小
さく熱履歴による破壊の虞がなく耐久性に優れ
る。 石英ガラス自体に含まれる不純物が拡散して母
材に混入するのを防止するため、炉心管本体は、
できるだけ高純度で透明な石英ガラスから作るの
が望ましい。その純度としては、CuOに換算して
銅が0.5ppm以下、Fe2O3に換算して鉄が1ppm以
下であるのが望ましい。特に銅分を除去した透明
石英ガラスが適している。 ところで、銅、鉄および水等の不純物はカーボ
ン層33を透過できないため、本発明の石英ガラ
ス製炉心管においては、外部の炉本体5や発熱体
4から拡散されるこれら不純物はこのカーボン層
33により遮蔽され、炉心管3内部に侵入するこ
とがない。従つて、光フアイバ母材に対する不純
物の混入を確実に防止することができる。 更に、上記石英ガラス管はその内周壁がカーボ
ン層4により内張りされているので、フツ素化合
物を含むガス雰囲気で多孔質母材を焼結する場合
でも、腐食を防止することができる。因にHF溶
液による石英ガラスとカーボンとのエツチング効
果を次表に示す。
【表】 の重量変化により測定
上記表から明らかなように、カーボンは顕著な
耐蝕性を有する。従つて、石英ガラス材中に存在
する銅や鉄、さらに水が表面に露出して不純物混
入の原因となる虞れがなく、一層高純度のガラス
母材を得ることができる。 本発明の第3の態様では、炉心管は、取り外し
可能に接続された上部、中央部および下部から成
り、少なくとも該中央部は高純度カーボンから形
成され、該上部および下部は耐熱耐蝕性材料から
形成されている。 以下、この第3の態様を図面に示す例に基づい
て詳細に説明する。 本加熱炉の概略断面図を第6図に示す。加熱炉
本体5の内側に、発熱体4が設けられると共に、
炉体中心に炉心管3が設けられる。 該炉心管3は、上部34、中央部35および下
部36から成り、それぞれは適当な手段、例えば
ネジ止めなどにより取り外し可能に接続されてい
る。炉心管中央部35は、高純度のカーボンによ
り形成される。カーボンの純度は、第1の態様で
用いたカーボンと同様である。 炉心管の上部34および下部36は、中央部3
5ほど高温とはならないので、中央部35ほど純
度を上げる必要はなく、耐熱・耐腐食性さえあれ
ばよい。従つて、上部34および下部36は、高
純度カーボンで形成してもよいが、経済的には通
常のカーボンで作るのが好ましい。また、上部3
4および下部36は、一般に1000℃以下にしか加
熱されないので、フツ素系ガスによる腐食に弱い
石英材を使用して作つても良い。但し、この場合
も鉄および銅、特に銅の純度は留意を要し、
0.1ppm以下であることが望ましい。 中央部が高純度カーボンから作られた本発明の
炉心管は、雰囲気が酸素を含まなければ、ハロゲ
ン系ガスと全く反応しないので好適であり、しか
も抜群の耐熱性を有している。 しかし、多孔質母材を処理する際、母材に吸蔵
され水分、および系外より侵入してきた水分や酸
素ガスにより、高温にさらされる中央部35のカ
ーボンが、長時間使用していると消耗することが
ある。また、以下に記載する多孔質母材の処理に
伴う特殊な原因から、カーボン内壁が消耗され易
い。 すなわち、多孔質母材より離脱したSiO2粉が
カーボン内壁に付着し、カーボンと反応してSiC
を形成し、その際、生成した酸素がさらにカーボ
ンと反応してCOを形成する。形成されたSiCは、
脱水時に使用する塩素ガスと容易に反応する。こ
のようにして、カーボン内壁は、SiO2粉と反応
を起こし消耗していく。 これらの反応は、下記の一連の式で示すことが
できる。 SiO2+C →SiC+O2 O2 +2C→2CO SiC +Cl2→SiCl4+C 従つて、中央部のカーボン材は、長時間使用し
た場合、取り替える必要がある。 これに対して、炉心管の上部および下部は、さ
ほど消耗されていないので、炉心管が本発明のよ
うに3段構造となつていると、消耗した中央部だ
け取り替えることができ、好ましい。 またカーボンは、多孔質なので、使用に際して
は予め高温で充分吸着水分を除去する必要があ
る。それ故、吸着水分除去の点から、カーボン炉
心管の取り替え頻度は少ない方がよい。本発明で
は、中央部が消耗しても、炉心管の上部および下
部は引き続き使用できるので、これら部分の吸着
水分を除去する必要がなく、好ましい。このよう
に経済性以外にも炉心管を3段の構造にする利点
がある。 先に述べたように、炉心管の上部34および下
部36は、カーボンの様な多孔性物質を避け、石
英ガラスなどで作つてもよい。特に、銅および鉄
などの不純物を含まない高純度石英が好ましい。
銅などは、600℃以上ではCuOなどの酸化物蒸気
を発生する可能性があり、多孔質母材を汚染する
からである。 炉本体5の側端には、アルゴン、ヘリウム、窒
素等のシールドガスを導入する供給口6が設けら
れる。又、炉心管3の下端には、ヘリウム、アル
ゴン、塩素系ガス、フツ素系ガス等の処理用ガス
を導入する供給口7が設けられると共に、該炉心
管3の上方には支持棒2を介して多孔質母材1が
吊り下げられている。 ところで、一般に加熱炉は、例えば、これまで
説明したような第3〜6図、あるいは以下に説明
する第7図のように構成されている。 第7図は、加圧下又は減圧下で加熱処理を行な
う加熱炉の一例を示したもので、炉本体5は圧力
容器となつている。この加熱炉は、カーボンヒー
タ4、炉心管3、断熱材4′、炉心管内雰囲気ガ
ス入口6、炉心管内雰囲気ガス出口8及びポンプ
9を有する。 このように、加熱炉はたとえば第6図及び第7
図に示すように構成されているので、ガラス体を
出し入れする時に、炉心管内に大気(作業室の雰
囲気)が混入する。 第8図は、大気の混入量を測定した実験に使用
する装置の概略図であるが、この装置は炉心管1
01、パージガス入口102、ガス採取管10
3、酸素濃度測定装置104及びポンプ105を
有する。炉心管101の内径は150mmであり、ガ
ス採取管の先端は炉心管の開口部より1m入つた
点に固定した。結果を第9図のグラフに示す。炉
心管中に大気が混入しており、パージ窒素ガス量
を増やしたとしても大気混入を防止することは不
可能であることがわかる。 このような大気の混入があると、次の様な問題
を生じる。第1に、炉心管内が大気中のダストに
より汚染される。ダストは、SiO2,Al2O3
Fe2O3等で構成されており、このうちAl2O3は母
材失透の、Fe2O3はロス増加の原因となる。第2
に、カーボン炉心管内面の酸化がおこる。カーボ
ン焼成体の酸化では、バインダとして使われてい
るタール及びピンチがまず酸化することが知られ
ている。そのため、残された黒鉛粒子は脱落及び
飛散し、炉内を舞う。この粒子が、焼結したガラ
ス母材の表面に付着するので、このガラス母材か
ら作つたフアイバには、低強度部分が多く含まれ
ることになる。また当然のことながら、カーボン
炉心管の寿命が極端に短くなる。第15図はカー
ボン炉心管の重量減少を測定した結果を示す。ガ
ラス体取出しを40回行なうとカーボン炉心管は表
面より0.4mm酸化消耗したが、これより推定した
厚さ1cmのカーボン炉心管の寿命は約2.5ケ月と
短かつた。 この様な炉心管の酸化を防ぐ方法の一つは、ガ
ラス体の出し入れの温度をカーボンが酸化しない
400℃以下とすることである。しかし、この方法
では、炉の稼動率が大幅に低下する。また、炉心
管内が、大気中のダストで汚染されるのを防げな
い。このような、炉心管内への大気の混入の防止
は、本発明の第4の態様の加熱炉により達成され
る。即ち、本発明の第4の態様の加熱炉は、発熱
体および炉心管に加え、多孔質ガラス体を収納し
且つ炉心管に出し入れするための前室を有する。 前室は800℃に加熱すること及び10-2トールに
減圧することが可能であることが好ましい。 前室は、高温に耐えかつ不純物を発生しない材
料、例えば、石英ガラス、SiC、Si3N、BNから
できていることが好ましい。前室は、炉心管と同
様の材料からできていてもよく、または異なつた
材料からできてもよい。 前室を減圧状態にするためには、ロータリーポ
ンプを使用する。ポンプオイルの逆流を防ぐた
め、液体窒素トラツプをポンプと前室の間に使用
することもある。前室の上部には、磁気シールを
使つた回転導入機構が設けられている。 本発明は、炉心管が高純度カーボンから成る場
合に特に有用であるが、炉心管は他の材料、例え
ば、石英ガラスからできていてもよい。 以下、この第4の態様を、添付図面により説明
する。 第10図は、第4の態様の加熱炉の一例を示す
概略断面図である。この加熱炉は、第6図に示し
た加熱炉に前室11を取り付けたものであり、第
6図の加熱炉の各部分に加え、前室11、前室ガ
ス出口14、前室パージガス入口15及び間仕切
り16を有している。 第11図は、第4の態様に基づく加圧又は減圧
下で加熱処理をする加熱炉の一例を示す概略断面
図である。この加熱炉は、第7図に示した加熱炉
に前室11を取り付けたものであり、第7図の加
熱炉の各部分に加え、前室11、ヒータ12、ポ
ンプ13、前室ガス出口14、前室パージガス入
口15及び間仕切り16を有する。 第10図の加熱炉へ多孔質ガラス体を挿入する
には、次の様にする。 1 回転・上下動可能なチヤツクに多孔質ガラス
母材1を支持棒2を介して取り付ける。 2 前室11の上ブタを開け、多孔質ガラス母材
1を前室11内に降下させる。 3 上ブタを閉じ、前室内を不活性ガス(N2
はHe等)で置換する。 4 前室11と加熱雰囲気を隔てる間仕切り16
を開て、多孔質ガラス母材1をあらかじめ加熱
処理温度保たれた加熱雰囲気へ導入する。 5 間仕切り16を閉める。 また、本発明の加熱炉から母材を取り出すに
は、次の様にする。 1 間仕切り16を開ける。 2 加熱処理が終わつた母材1を加熱雰囲気から
前室11へ引上げる。その際、加熱雰囲気の温
度は、必ずしも下げる必要はない。 3 間仕切り16を閉じる。 4 前室11の上ブタを開け、母材1を取り出
す。 本発明の別の要旨は、石英系ガラス微粒子体か
ら成る多孔質ガラス母材を、少なくとも内層がカ
ーボンから形成されている炉心管を有する加熱炉
中、フツ素添加剤としてケイ素フツ化物および炭
素フツ化物から選ばれた少なくとも1種のフツ化
物をを含む不活性ガス雰囲気下で加熱処理するこ
とにより、フツ素を添加し、同時にまたはその後
ガラス微粒子体を透明化することから成る、光フ
アイバー用ガラス母材の製造方法に存する。 炉心管としては、先に説明した各態様の本発明
の炉心管を使用することができる。 炉心管の加工時の汚染や、吸着したホコリおよ
び水分を完全に除くため、使用前に、塩素系ガ
ス、特にCl2を含む雰囲気下で1500℃以上の温度
で、カーボン炉心管を数時間空焼きすることが望
ましい。空焼きしない炉心管の中でフツ素添加し
て得たガラス母材から製造される光フアイバーに
は、水分や不純物に由来する著しい吸収がみられ
ることがある。 さらに、外部からの不純物の浸透を防止する
為、炉心管の外壁を耐熱性被覆材で被覆するのが
好ましい。被覆材としては、セラミツクスまたは
金属から選択され、窒素透過率が、10-6cm2/sec
のオーダーまたはそれ以下のセラミツクスまたは
金属が好ましい。セラミツクスとしては、先に示
した炭化ケイ素の他、Al2O3、BNなどが例示で
きるが、とりわけCVD法で形成したβ−SiCが好
ましい。炭化ケイ素は、炭素とのなじみが良く、
ピンホール、マイクロクラツクがなく、高いち密
度を保つことができる。これは、炭化ケイ素の熱
膨張係数が炭素と近いためである。また、炭化ケ
イ素は、耐熱性、耐湿性の点でも極めて優れてい
る。Al2O3は、高温下でAlCを形成する恐れがあ
り、他のセラミツクスに比べれば、好ましくな
い。 金属としては、カーボンとの反応性の無い、た
とえば白金、タンタルなどが好ましく用いられ、
溶射によりカーボン表面にコーテイングされる。
カーボンとの反応性が高い金属、たとえばチタ
ン、ニツケルの場合には、カーボン表面に予めセ
ラミツクスを積層し、次いでこのような金属を溶
射するとよい。 外壁被覆の厚さは、厚ければ厚いほど好ましい
が、あまり厚すると、熱履歴により剥離する恐れ
があるので、注意を要する。従つて、厚さは、材
料にも依存するが、一般に10〜300μm、好ましく
は50〜250μmである。 本発明の方法において用いるフツ素ドーパント
の中でも、SiF4が最も適している。SiF4は、3N
以上の高純度品であることが好ましい。 SiF4はカーボンとは全く反応しないが、スート
母材を充分乾燥せずに用いた場合には、フツ素添
加時にカーボン炉心管内に発煙を生じることがあ
る。これはスート母材中の水分が、SiF4やカーボ
ンと反応したために生じるものと考えられる。そ
の結果、スート母材上部にカーボン粒子らしき付
着物が堆積することがある。これを防止する為、
スート母材を、カーボン炉心管内でSiF4を添加し
た雰囲気下に加熱処理する前に、スート母材を乾
燥することが好ましい。スート母材の脱水は、ス
ート母材が収縮しない加熱条件で、塩素系ガス、
たとえばCl2、CCl4、S2Cl2などの酸素を含まない
塩素系ガス、特にCl2およびCCl4を、好ましくは
10モル%以下の割合で含む不活性ガス(たとえ
ば、アルゴンまたはヘリウム)雰囲気下で行えば
よい。脱水処理温度は、通常800℃〜1200℃程度
である。 もちろん脱水は、以下にフツ素添加と同時に行
うこともできるが、上記のような理由および脱水
効果の点から、フツ素添加に先立つて行うのが好
ましい。 SiF4によるスート母材へのフツ素添加は、1000
℃またはそれ以上の温度、好ましくは1100〜1400
℃において効率的に行うことができる。フツ素添
加は、スート母材の収縮が完了する以前に、充分
実施しなければならない。フツ素が充分に添加さ
れない状態で収縮してしまつた場合、スート母材
全体にフツ素が添加されず、不均一にフツ素添加
が行なわれ、フツ素添加量に分布が生じる。 スート母材1は、一般に、火炎加水分解法で製
造されたもので、粒径0.1〜0.2μmのガラス微粒子
からなる。 以下、本発明の方法をより詳細に説明する。 スート母材の作製 火炎加水分解反応によつて、石英ガラス微粒子
体を生成させるには、第12図aに示すように、
石英製同心多重管バーナー41を用いて、酸素4
2、水素43と原料ガスとしてのSiCl4または
SiCl4とドーパント化合物(たとえば、GeCl4)と
の混合ガスを、不活性ガス(たとえば、アルゴン
またはヘリウム)をキヤリヤーガスに用いて酸水
素炎の中心45に送り込み、反応させればよい。 原料ガスがバーナー41の先端から数mm離れた
空間で反応するように、遮蔽用として不活性ガス
を入口44から流す。スート母材のロツドを得る
場合には、回転するシードロツド46の先端から
軸方向にガラス微粒子を堆積させる。また、パイ
プ状スート母材を得る場合には、第12図bに示
すように、回転する石英棒あるいは炭素棒46の
外周部にバーナー47円トラバースさせながらガ
ラス微粒子体を積層させた後、中心部材46を除
去する。なお、46はコア用ガラスロツドでもよ
く、この場合は中心部材を引抜く必要はない。ま
たバーナー47は複数本使用してもよい。 以上の様にして得られたスート母材は、例えば
第13図a〜cに示すような構造を有している。
Aはコア部、Bはクラツド部に対応する。 スート母材へのフツ素添加および透明化(焼結) 上記方法で得たスート母材を、たとえば第6図
に示すような、外周部を気体透過性の小さい材料
で被覆した高純度カーボンからなる炉心管(上部
および下部フランジ並びに円筒マツフル)内にお
いて、ヒータの上部にあたる位置で待機させ、炉
心管内をCl2ガスを添加したヘリウム雰囲気とし、
ヒータの温度を上昇させ、1050℃に達した時点よ
りスート母材を2〜10mm/分程度の速度で降下さ
せる。スート母材全体がヒータを通過した後、ス
ート母材の降下を停止し、次にCl2ガスの供給を
止め、代わりにSiF4を含むヘリウム雰囲気とした
後、ヒータ温度が1650℃に達した時点から、今度
はスート母材を4mm/min.の速度で上昇させな
がら、フツ素を添加すると同時に透明ガラス化す
る。得られたガラス体の構造は、フツ素が添加さ
れたことでコアおよびクラツド部の屈折率が低下
して第14図a〜cの様になる。 次に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説
明する。 実施例 1 0.5μm厚のカーボンを内装した石英ガラス製炉
心管を発熱体により1600℃に加熱し、管内にSF6
を50ml/分、ヘリウムを5/分の割合で流し、
その中に多孔質母材を、下降速度2mm/分で挿入
した。得られた透明ガラス母材を引き続きフアイ
バに紡糸したところ、フアイバの残留水分は
0.01ppmであり、銅や鉄に由来する吸収は全くみ
られなかつた。 同じ炉心管を用いて透明ガラス母材の製造を
100回繰り返したが、炉心管やカーボン被覆の劣
化は全く見られなかつた。 比較例 1 石英ガラス製炉心管として、1ppmの銅を含み
かつカーボン層を有しない石英ガラス管を使用す
る以外は実施例1と同じ条件でフアイバを製造し
た。得られたフアイバの残留水分は0.01ppmであ
つた。また銅に由来する吸収が1.30μm近傍まで
存在したが、この値は従前の吸収に比べると充分
低く、その吸収量は0.8μmの波長で2〜3dB/Km
であつた。しかしながら、炉心管の内壁は著しく
エツチングされており、耐蝕性のうえで問題のあ
ることが判明した。 実施例 2 実施例1と同じ炉心管を用い、炉心管を
SiF4100%の雰囲気とし、該炉心管内で多孔質母
材をフツ素ドーピングすると同時に透明ガラス化
した。得られた透明は光フアイバ用母材には、
Δ-=0.7%に相当するフツ素が含まれていた。こ
の光フアイバ用母材を筒状に中ぐりし、クラツド
材として単一モード光フアイバを製造した所、不
純物に起因する吸収は見られず、1.5μmの波長域
での伝送損失も0.25dB/Kmと低かつた。 実施例 3 第10図の加熱炉を使用した。多孔質ガラス体
を前室に入れ、前室の上ブタを閉じ、前室内に室
素ガスを10/分で10分間流し、前室内を室素ガ
スで置換した。その後、間仕切りを開け、多孔質
ガラス体を前室から炉心管内へ移動させ、間仕切
りを閉めた後加熱処理を行ない、透明な光フアイ
バ用ガラス母材を製造した。母材の取出し時には
先ず間仕切りを開け、ガラス母材を前室に移動さ
せた後に間仕切りを閉め、その後上ブタを開けガ
ラス母材を取り出した。このガラス母材をコア材
として光フアイバを作つたところ、0.18dB/Km
(光波長1.55μmに於いて)と低ロスであつた。 実施例 4 実施例3と同様の方法で、多孔質ガラス体の加
熱処理を40回行なつた。この間のカーボン炉芯管
の減量は20g(表面より50μmの酸化消耗に相当)
であつた。この量は、カーボン炉芯管が15年程度
使用可能であることを示している。 実施例 5 第11図の装置を使用した。多孔質ガラス体を
前室に入れ、前室の上ブタを閉じ、前室内に窒素
ガスを10/分で10分間流し、前室内を窒素ガス
で置換した。その後間仕切りを開け、多孔質ガラ
ス体を前室から予め1000℃に保たれた炉芯管内へ
移動させ、間仕切りを閉めた。その後、炉体内を
10-2トールまで減圧し、1600℃まで昇温して、多
孔質ガラス体を透明ガラス化し光フアイバ用ガラ
ス母材を得た。この光フアイバ用ガラス母材をジ
ヤケツト材として光フアイバを作り、引張り試験
を行なつた。結果(ワイブルプロツト)を第16
図に示すが、低強度部分は5%と充分小さかつ
た。 実施例 6 第11図の装置を使用した。多孔質ガラス体を
前室に入れ、前室を窒素ガスで置換した後、間仕
切りを開け、多孔質ガラス体を前室からあらかじ
め1000℃に保たれた炉芯管内へ移動させ、間仕切
りを閉めた。炉体内にSiF4を導入しつつ2Kg/cm2
まで加圧し、この雰囲気で多孔質ガラス体を透明
ガラス化して光フアイバ用ガラス母材を得た。得
られた透明ガラス母材の中には3重量%のフツ素
が含有されていた。このガラス母材をクラツド材
として、SMフアイバを作つた。波長1.55μmの光
でのロスは0.22dB/Kmであり、引張り試験によ
れば低強度部分は5%であつた。 実施例 7 第11図の装置を使用した。多孔質ガラス体を
前室に入れた後、前室内を800℃及び10-2トール
に1時間保つた。間仕切りを開け、多孔質ガラス
体を前室から炉芯管内へ移動させ、間仕切りを閉
めた後加熱処理を行ない、透明な光フアイバ用ガ
ラス母材を製造した。このガラス母材をコア材と
して光フアイバを作つたところ、0.17dB/Km
(光波長1.55μmに於いて)と極めて低ロスであつ
た。 実施例 8 実施例7と同様の方法で、多孔質ガラス体の加
熱処理を40回行なつた。この間のカーボン炉芯管
の減量は15g(表面より40μmの酸化消耗に相当)
であつた。この量は、このカーボン炉芯管が2年
程度使用可能であることを示している。 以下の実施例において使用した加熱炉は、第6
図に示したものである。炉心管は、外周に厚さ
150μmの炭化ケイ素層を被覆したカーボン製のも
のを使用した。炉心管の内径は150mmφ、外径は
175mmで、全長1500mmのものであつた。 実施例 9 コア部材となる出発部材として、GeO217重量
%を添加した、直径10mmφの石英ガラスロツドを
使用し、その外周部に火炎加水分解反応により、
純枠な石英(SiO2)からなるスートを堆積させ、
第13図aに示す屈折率分布を持つスート母材を
得た。 スート母材を、まずCl21モル%を含んだヘリウ
ム雰囲気下、ヒータ3の上方約5cmの位置に待機
させ、ヒータの温度が1050℃に達した時点から、
スート母材を3mm/分の速度で下降させ、スート
母材全体がヒータ3を通過した後、スート母材の
下端がヒータ上方約5cmの位置に達するまで、ス
ート母材を20mm/分で引き上げた。 次に、ヒータの温度を1750℃に上げ、Cl2の供
給を停止し、代わり20モル%のSiF4をヘリウムに
添加して炉心管に供給し、スート母材を2mm/分
の速度で下降させて、透明ガラス化した。 得られたガラス母材の屈折率差分布は第14図
aの通りであつた。 ガラス母材を、外径125μmφになる様に線引炉
内で加熱延伸してフアイバ化したところ、光フア
イバに含まれるOH量は0.01ppmであり、波長
1.30μmでの損失値は0.45dB/Kmと充分低損失で
あつた。また、Cu、Feなどの不純物による吸収
ピークは全くみられなかつた。 実施例 10 出発部材として約8mmφの純石英ロツドを用
い、実施例9と同様にして、石英ロツド上に純粋
なSiO2からなるスートを堆積させ、第13図b
に示す屈折率差分布を持つスート母材を得た。 SiF4のガス濃度を10モル%とする以外は実施例
9と同様の方法で、スート母材を加熱処理(脱
水、フツ素添加、透明化)した。得られたガラス
母材の屈折率差分布は第14図bに示す通りであ
つた。 フツ素が添加された部分の組成を赤外分光器で
分析したところ、OH基の含有量は0.1ppm以下で
あつた。 実施例 11 出発部材としてGeO2を0〜17重量%の範囲で
添加した第13図cに示す屈折率差分布を有する
石英ガラスロツドを使用し、ロツドの外周に火炎
加水分解反応により、純粋なSiO2からなるスー
トを推積させた。その後、実施例9と同様の方法
でスート母材の加熱処理を行なつた。得られたガ
ラス母材の屈折率差分布は第14図cに示す通り
であつた。 比較例 2 (石英ガラス製炉心管の耐熱性) カーボン炉心管の代わり石英ガラス製炉心管と
した以外は実施例9の方法を繰り返して、スート
母材を製造したところ、石英ガラス製炉心管が透
明化時に引き伸びてしまい、再使用が不可能とな
つた。 比較例 3 (石英ガラス製炉心管のエツチング) 比較例2でSiF4の替りにSF6を用いたところ、
石英ガラス製管が著しくエツチングされ、ヒータ
近傍の炉壁にピンホールが生じた。また、得られ
たガラス母材には、数ppmという大量の水分が存
在していた。もちろん、炉心管の引伸びも著し
く、再使用は不可能であつた。 実施例 12 (カーボン炉心管の反復使用) 実施例10と同様の方法でガラス母材を10本製造
した。得られた10本のガラス母材の質は同等であ
つた。 実施例 13〜15 Cl2ガスを供給しないことを除いては実施例9
〜11と同様の方法でガラス母材を製造した。 得られたスート母材およびガラス母材の屈折率
差分布は、実施例9〜11で製造したスート母材お
よびガラス母材の屈折率差分布とそれぞれ実質的
に同じであつた。 ガラス母材から製造される光フアイバーの特性 上記実施例9〜11で製造したガラス母材から得
た光フアイバーの特性を測定したところ、不純物
に由来する吸収増は全くなく、充分に低損失なも
のであり(たとえば、波長1.30μmにおいて
0.4dB/Km程度)、OH基による吸収ピークは経時
的に変化することがなかつた。 一方、実施例13〜15で製造したガラス母材から
得られた光フアイバーは、OH基を比較的多く含
み、そのため、波長1.30μmにおける損失も若干
高かつたが、実用に耐える範囲であつた。この事
実から、塩素系ガスを添加してガラス母材を脱水
した方が、光フアイバーの低損失化には好ましい
ことがわかる。 本発明の方法においては、フツ素添加処理と透
明ガラス化を、独立した工程で、異なる加熱炉ま
たは同じ加熱炉を用いて行なつてもよい。その場
合にも、同様のフツ素添加量および光フアイバー
特性を得ることができる。 実施例 16 フツ素系ガス添加雰囲気での処理温度とフツ素
添加量に対応する屈折率差の関係 第17図に、塩素ガス1モル%およびSiF22モ
ル%含んだ不活性ガス雰囲気中に、図の横軸に示
した所定温度でスート母材を3時間保持した結果
得られる屈折率差(△n-%)を示す。この結果
より、1100〜1400℃の温度範囲で、スート母材へ
のフツ素添加を行うのが効率的であることが判つ
た。 実施例 17(1)〜(3) 実施例9〜11とそれぞれ同様のスート母材3本
を作成し(実施例17(1)、17(2)、17(3))、各スート
母材を、1モル%のCl2を含むアルゴンガス雰囲
気中にて温度800〜1100℃の範囲で加熱脱水し、
次いで、高純度SiF420モル%を含むヘリウム雰囲
気中で1100℃から1700℃まで昇温して透明化し
た。 得られた各ガラス母材から製造した光フアイバ
ーの特性を調べたところ、不純物に由来する吸収
増は全くなく、充分に低損失なものであり、例え
ば波長1.30μmにおいて損失は0.5dB/Km以下であ
つた。また、OH基による吸収ピークは経時的に
変化することはなかつた。 実施例 18 出発部材として、中心部が純石英からなり、そ
の周りがフツ素を1重量%含有した石英層からな
る10mmφのガラス棒を使用し、実施例9と同様の
方法にてスート母材を作成した。 まず、Cl22モルを添加したヘリウムガス雰囲気
中で温度1200℃に加熱したゾーン炉内へ、スート
母材を4mm/分の速度で一方の端より他端に向け
て挿入し、次いでSiF420モル%を添加したヘリウ
ムガス雰囲気中で炉を1650℃に加熱した後、スー
ト母材を一方の端より他端に向けて4mm/分の速
度で挿入して透明ガラス化した。ガラス母材か
ら、光フアイバーを製造した。 得られた光フアイバーの特性を調べたところ、
不純物に由来する吸収はなく、充分に低損失であ
つた。例えば波長1.30μmにおいて損失は0.4dB/
Km以下であつた。 [発明の効果] 本発明は不純物、特に鉄、銅や水分の混入しな
い光フアイバ用母材を、炉心管の消耗を低減して
製造でき、製造されたガラス母材からは伝送損失
の小さな光フアイバを得ることができる。 炉心管内壁をカーボン層、外壁を炭化ケイ素層
とすることで、炉心管を高熱で使用しても、熱的
な消耗も腐食性ガスによる消耗も少なく、耐久性
に優れることから、経済上の面からも有利であ
る。 内壁にカーボン被覆を設けることでフツ素によ
る石英ガラス炉心管の浸蝕消耗を防止でき、石英
ガラス炉心管の耐久性を向上できる。 さらに、特に高温にさらされる炉心管中央部を
高純度カーボン製とすることで、多孔質母材を不
純物で汚染する恐れがなく、又フツ素系ガス
(CF4,SF6,SiF4など)と反応することなく、し
かも非常な高温、例えば1800℃以上でも破損する
必配がないなど、耐久性を更に改善できる。 加熱炉に前室を設けることにより、加熱雰囲気
への大気(作業室の雰囲気)の混入がなくなり、
炉心管内の不純物による汚染がなくなる。そのた
め、母材の失透が防げるとともに、透明度が向上
する。ガラス体の出し入れ時に、炉体を降温させ
ることがないので、炉の稼動率が高い。炉心管が
カーボンからできている場合には、カーボンが酸
化しなくなるので、炉心管の寿命が伸びるととも
に、炉心管内を黒鉛粒子が浮遊することがなくな
り、ガラス母材から作つた光フアイバの低強度部
分が減少する。前室を800℃に加熱すること及び
10-2トールに減圧することが可能である場合、多
孔質ガラス体に付着している不純物(金属及び水
分など)が前室中で予め取り除かれる。そのた
め、ガラス母材が一層高純度になるとともに、水
などの熱分解によつて生じる酸素が無くなるの
で、カーボン炉心管の寿命がさらに長くなる。
【図面の簡単な説明】
第1図aおよびbは、それぞれシングルモード
フアイバーおよびマルチモードフアイバーの一般
的な構造を示す図、第2図は、クラツド部にフツ
素を添加した低分散型フアイバーの構造を示す
図、第3図は、本発明の第1の態様の、光フアイ
バ用母材の加熱炉の一例を示す概略断面図、第4
図は、本発明の第1の態様の加熱炉の別の例の概
略断面図、第5図は、本発明の第2の態様の光フ
アイバ用母材の加熱炉の該略断面図、第6図は、
本発明の第3の態様の光フアイバ用母材の加熱炉
の概略断面図、第7図は、加圧型加熱炉の該略断
面図、第8図は、大気の混入量を測定した実験に
使用した装置の概略図、第9図は、大気の混入量
を示すグラフ、第10図および第11図は、それ
ぞれ本発明の第4の態様の光フアイバ用母材の加
熱炉の該略断面図、第12図aおよびbは、火炎
加水分解法により、スート母材を作製する方法の
説明図、第13図a〜cは、本発明の実施例9〜
11または実施例13〜15で製造されたスート母材の
構造をそれぞれ示す図、第14図a〜cは、実施
例9〜11または実施例13〜15で製造されたスート
母材にフツ素添加処理を行つて得たガラス母材の
構造を示す図、第15図は、カーボン炉芯管の重
量減少を示すグラフ、第16図は、光フアイバの
引張試験の結果を示すグラフ、および第17図
は、実施例16の加熱処理温度と得られた光フアイ
バーの屈折率差△n(F)の関係を示すグラフ。 1……スート母材、2……支持棒、3……炉心
管、4……発熱体、4′……断熱材、5……炉本
体、6……不活性ガス導入口、7……雰囲気ガス
導入口、8……雰囲気ガス出口、9……ポンプ、
11……前室、12……ヒータ、13……ポン
プ、14……前室ガス出口、15……前室パージ
ガス入口、16……間仕切り、31……カーボン
炉心管本体、32……炭化ケイ素被覆層、31′
……炭化ケイ素炉心管本体、32′……カーボン
被覆層、33……カーボン層、34……炉心管上
部、35……炉心管中央部、36……炉心管下
部、41……多重管バーナー、101……炉芯
管、102……パージガス入口、103……ガス
採取管、104……酸素濃度測定装置、105…
…ポンプ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 石英系ガラス微粒子体から成る光フアイバ用
    多孔質ガラス母材を、フツ素化合物を含む気体雰
    囲気中で加熱処理することにより、フツ素添加お
    よび透明化して光フアイバ用ガラス母材とする加
    熱炉であつて、発熱体および発熱体の内側に配置
    されて加熱雰囲気と発熱体とを隔離する炉心管を
    有して成り、炉心管の少なくとも内層が、高純度
    カーボンから形成されていることを特徴とする光
    フアイバ用ガラス母材の加熱炉。 2 炉心管は、高純度カーボンから形成された内
    層および炭化ケイ素から形成された外層から成る
    特許請求の範囲第1項記載の加熱炉。 3 炉心管は、炭化ケイ素から成る本体およびそ
    の内壁に被覆された高純度カーボン層から成る特
    許請求の範囲第2項記載の加熱炉。 4 炉心管は、高純度カーボンの本体およびその
    外壁に被覆された炭化ケイ素層から成る特許請求
    の範囲第2項記載の加熱炉。 5 炉心管は、石英ガラス製本体およびその内壁
    に被覆されたカーボン層から成る特許請求の範囲
    第1項記載の光フアイバ用母材の加熱炉。 6 石英ガラス製本体に含まれる銅不純物の量
    が、0.5ppm以下である特許請求の範囲第5項記
    載の加熱炉。 7 カーボン層の厚さが、0.01〜500μmである特
    許請求の範囲第5項記載の加熱炉。 8 カーボン層がCVD法またはプラズマCVD法
    により形成されたものである特許請求の範囲第5
    項記載の加熱炉。 9 炉心管は、取り外し可能に接続された上部、
    中央部および下部から成り、該中央部の少なくと
    も内層は高純度カーボンから形成され、該上部お
    よび下部は耐熱耐蝕性材料から形成されている特
    許請求の範囲第1項記載の加熱炉。 10 炉心管の中央部全体が高純度カーボンから
    形成されている特許請求の範囲第9項記載の加熱
    炉。 11 該中央部を形成するカーボンの純度が、全
    灰分20ppm以下である特許請求の範囲第10項記
    載の加熱炉。 12 炉心管の上部および下部が、共にカーボン
    から形成されている特許請求の範囲第9項記載の
    加熱炉。 13 炉心管の上部および下部が、共に石英から
    形成されている特許請求の範囲第9項記載の加熱
    炉。 14 加熱炉がさらに、多孔質ガラス体を収納し
    且つ炉芯管に出し入れするための前室を有する特
    許請求の範囲第1〜13項のいずれかに記載の加
    熱炉。 15 前室は800℃に加熱すること及び10-2トー
    ル以下に減圧することが可能である特許請求の範
    囲第14項記載の加熱炉。 16 石英系ガラス微粒子体から成る多孔質ガラ
    ス母材を、少なくとも内層がカーボンから形成さ
    れている炉心管を有する加熱炉中、フツ素添加剤
    としてケイ素フツ化物および炭素フツ化物から選
    ばれた少なくとも1種のフツ化物を含む気体雰囲
    気中で加熱処理することにより、フツ素を添加
    し、同時にまたはその後、ガラス微粒子体を透明
    化することから成る、光フアイバー用ガラス母材
    の製造方法。 17 炉心管の外壁部が、気体透過性の小さい耐
    熱材料でコートされている特許請求の範囲第16
    項記載の光フアイバ用ガラス母材の製造方法。 18 該耐熱性材料の窒素透過率が、10-6cm2
    secまたはそれ以下である特許請求の範囲第17
    項記載の光フアイバー用ガラス母材の製造方法。 19 フツ素を添加する前に、ガラス微粒子体が
    実質的に収縮しない温度範囲で多孔質ガラス母材
    を乾燥する特許請求の範囲第16〜18項のいず
    れかに記載の光フアイバー用ガラス母材の製造方
    法。 20 多孔質ガラス母材の乾燥を、塩素系ガスを
    含んだ不活性ガス雰囲気下で行う特許請求の範囲
    第19項記載の光フアイバー用ガラス母材の製造
    方法。 21 塩素系ガスとして、Cl2またはCCl4を使用
    する特許請求の範囲第20項記載の光フアイバー
    用ガラス母材の製造方法。
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