JPH0441891B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、射出成形機の射出シリンダ内に供給
される材料の量を制御する方法に関するもので、
特に、材料フイーダを備えた射出成形機における
可塑化工程完了後の材料供給制御方法に関するも
のである。

（従来の技術） インラインスクリユ式射出成形機は、射出シリ
ンダ内に供給されたプラスチツク材料を、射出ス
クリユの回転によつて可塑化混練しながら前方へ
搬送し、可塑化工程の完了後、射出スクリユを前
進させることにより、可塑化した材料を金型のキ
ヤビテイ内に充填するようにしたものである。

このような射出成形機においては、一般に、射
出シリンダの後部上面にホツパが取り付けられ、
そのホツパから、射出シリンダに設けられた材料
供給口を通して材料が供給されるようになつてい
る。その場合、ホツパから直接射出シリンダ内に
材料を供給するようにしたものでは、ホツパ内の
材料の量や粒径、密度等によつて、材料の供給速
度にばらつきが生じることがある。そこで、例え
ば実公昭52−35968号広報に示されているように、
ホツパと射出シリンダとの間に材料フイーダを設
け、射出シリンダに供給する材料の量を制御する
ようにしたものが開発されている。

この材料フイーダは、フイードシリンダ内には
め込まれたフイードスクリユを回転駆動すること
によつて、ホツパから供給された材料を前方へ移
送し、所定量ずつ射出シリンダ内に供給するよう
にしたものである。そのフイードスクリユは、射
出成形機の可塑化工程においては、射出スクリユ
の回転に連動して回転駆動されるようになつてい
る。

このような材料フイーダを設けると、射出成形
機の混練可塑化工程における実質圧縮比の調整が
可能となるとともに、高粘度材料の場合などにお
ける射出成形機の可塑化トルクを軽減させること
ができ、更にはサージング等の防止や成形品に現
れるシルバー、やけ等の予防をも図ることができ
るという効果も得られるようになる。

ところで、射出成形機の射出スクリユは、一般
に、可塑化工程の完了後はその回転が停止され
る。そのために、従来は、材料フイーダを備えた
射出成形機においても、可塑化工程の完了後は材
料の供給が完全に停止されるようになつていた。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、そのように、可塑化工程の完了
後、材料の供給が完全に停止されると、可塑化工
程完了後の射出工程において射出スクリユが前進
したとき、射出シリンダ内に射出スクリユの射出
ストロークに相当する長さ分だけの空間が生じて
しまう。射出シリンダ内にこのような空間が生じ
ると、次の可塑化工程において混練むらや可塑化
時間のばらつき等が誘起されることになり、その
結果として成形品の品質が不安定になるという問
題がある。

本発明は、このような問題に鑑みてなされたも
のであつて、その目的は、材料フイーダを備えた
射出成形機において、可塑化工程の完了後も最適
量の材料が材料フイーダによつて供給され、常に
安定して良品成形が行われるようにすることであ
る。

（問題点を解決するための手段） この目的を達成するために、本発明では、可塑
化工程の完了時、射出スクリユによつて計量され
た溶融材料の計量値を検出して、その検出値に適
当な演算処理を施すことにより、フイードスクリ
ユの回転数及び回転時間を算出し、それに従つて
材料フイーダを作動させることにより、材料フイ
ーダと射出シリンダとの間の材料通路に適量の材
料を貯留させるようにしている。

（作用） このように構成することにより、可塑化工程の
完了後、射出スクリユの計量値、すなわち計量ス
トロークに応じてフイードスクリユの回転数及び
回転時間が制御され、例えば計量ストロークが小
さいときには少量の材料が、また、計量ストロー
クが大きいときには多量の材料が、材料フイーダ
から供給される。そして、その材料が材料フイー
ダと射出シリンダとの間の材料通路に貯留され
る。したがつて、可塑化工程完了後の射出工程に
おいて射出スクリユが前進するとき、材料通路に
貯留された材料が射出スクリユのスクリユ溝間に
分配され、射出シリンダ内に空間が生じることが
防止される。

（実施例） 以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。

図は、本発明による射出成形機の材料供給制御
方法を実施する制御装置の一例を示すブロツク図
である。

この図から明らかなように、射出成形機の射出
シリンダ１内には、図示されていないモータによ
つて回転駆動されるとともに、射出用油圧シリン
ダ２によつて前進駆動される射出スクリユ３がは
め込まれている。シリンダ１の前端には射出ノズ
ル４が設けられており、スクリユ３の前進によつ
て、シリンダ１内に貯えられた溶融材料がそのノ
ズル４を通して射出され、金型（図示せず）のキ
ヤビテイ内に充填されるようになつている。

射出シリンダ１の後部上壁には、シリンダ１の
内部に連通する材料供給口５が設けられており、
ホツパ６から供給されるプラスチツク材料が、材
料通路７からその材料供給口５を通してシリンダ
１内に導かれるようになつている。その材料供給
量は、ホツパ６の下端部に設けられた材料フイー
ダ８によつて制御されるようになつている。その
材料フイーダ８は、フイードシリンダ９とフイー
ドスクリユ１０とを有するもので、そのフイード
スクリユ１０はフイードモータ１１によつて回転
駆動されるようになつている。

射出スクリユ３に連結された射出用油圧シリン
ダ２のピストン２ａあるいはそのピストンロツド
には、適宜のブラケツト等を介して位置検出器１
２が設けられており、その位置検出器１２によつ
て、ピストン２ａの位置、したがつて射出スクリ
ユ３の位置が検出されるようになつている。この
位置検出器１２の検出値は、演算器１３において
演算処理され、その演算結果に基づいて、フイー
ドスクリユ制御器１４によりフイードモータ１１
が制御されるようになつている。演算器１３に
は、あらかじめ実験によつて求められた材料フイ
ーダ８の供給能力等のデータや一定の係数値が入
力されている。演算器１３は、それらの入力デー
タと位置検出器１２の検出値とに基づいて、フイ
ードスクリユ１０の回転数及び回転時間を演算す
るものである。

このように構成された射出成形機において、可
塑化工程時には、射出スクリユ３は所定の回転速
度で回転駆動される。このときには、材料フイー
ダ８のフイードモータ１１も、射出スクリユ３に
連動して所定の回転速度で回転駆動される。した
がつて、ホツパ６から材料フイーダ８に供給され
た材料が、フイードスクリユ１０によつてその回
転速度に応じた速度で前方に送られ、材料通路７
を通して材料供給口５から所定量ずつ射出シリン
ダ１内に供給される。

射出シリンダ１内に供給された材料は、射出ス
クリユ３のスクリユ溝３ａ，３ａ，…内に入り込
み、シリンダ１とスクリユ３との間で混練・可塑
化されながら、シリンダ１の前部へと送られる。
このとき、射出用油圧シリンダ２のピストン２ａ
は自由状態とされているので、射出スクリユ３
は、射出シリンダ１の前部に溶融材料が溜まるに
従つて後退する。

可塑化工程が完了すると、射出スクリユ３の回
転が停止される。したがつて、射出スクリユ３は
その後退位置で停止する。このときには、射出シ
リンダ１の前部に、射出スクリユ３の後退量に応
じた量の溶融材料が貯えられている。すなわち、
可塑化工程の開始から完了までの間に射出スクリ
ユ３が後退した量が、射出スクリユ３の計量スト
ロークとなる。そして、この計量ストロークが、
位置検出器１２によつて検出される。

この位置検出器１２の検出値は、演算器１３に
入力され、その演算器１３によつて演算処理され
る。その演算は、射出スクリユ３によつて計量さ
れた溶融材料の計量値に、ある係数を乗じ、得ら
れた値に相当する量の材料を一定時間内に供給し
得るようにするためのフイードスクリユ１０の回
転数及び回転時間を求めるというものである。そ
して、その演算結果に基づいて、フイードスクリ
ユ制御器１４から制御信号が出力され、その信号
に従つてフイードモータ１１が制御される。

こうして、可塑化工程の完了後も材料フイーダ
８が駆動され、材料が供給される。その材料は、
材料フイーダ８と射出シリンダ１との間の材料通
路７に貯留される。

一定時間が経過すると、射出用油圧シリンダ２
が作動され、射出スクリユ３が前進駆動される。
それによつて、射出シリンダ１の前部に貯えられ
ていた溶融材料が射出ノズル４から射出される。

このとき、材料通路７に貯留されていた材料
が、射出スクリユ３の前進に伴つて、そのスクリ
ユ３のスクリユ溝３ａ，３ａ，…に分配される。
この射出スクリユ３の前進ストローク、すなわち
射出ストロークは、可塑化工程における計量スト
ロークに相当する。したがつて、その計量ストロ
ークに応じた量の材料が材料通路７に貯留されて
いることにより、射出工程において各スクリユ溝
３ａに材料が均一に分配されるようになる。

このようにして射出工程が完了した後、次の可
塑化工程が開始される。このときには、射出シリ
ンダ１内に材料が充満しているので、混練むらや
可塑化時間のばらつき等が生じる恐れはない。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、可塑化工程の完了後も材料フイーダを作動さ
せ、材料フイーダと射出シリンダとの間の材料通
路に適量の材料を貯留するようにしているので、
射出工程において射出スクリユが前進駆動される
とき、その材料通路に貯留されていた材料が射出
シリンダ内に均一に分配されるようになる。した
がつて、次の可塑化工程において混練むらや可塑
化時間のばらつきが生じることはなくなり、材料
の良好な混練状態が得られ、ひいては成形不良が
最小に抑えられて、安定した良品成形が行われる
ようになる。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明による射出成形機の材料供給制御
方法を実施する制御装置の一例を示すブロツク図
である。 １……射出シリンダ、２……射出用油圧シリン
ダ、３……射出スクリユ、６……ホツパ、７……
材料通路、８……材料フイーダ、１０……フイー
ドスクリユ、１１……フイードモータ、１２……
位置検出器、１３……演算器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可塑化工程時、材料フイーダのフイードスク
   リユを射出スクリユに連動して回転駆動すること
   により、射出シリンダへの材料供給量を制御する
   ようにした、材料フイーダを備えた射出成形機に
   おいて； 可塑化工程の完了時、前記射出スクリユによる
   溶融材料の計量値を検出し、 その検出値に基づいて、次の射出工程の間に前
   記射出シリンダ内に供給するべき材料の量を演算
   し、 その演算結果に基づいて、前記フイードスクリ
   ユの回転数及び回転時間を制御することにより、
   可塑化工程の完了後、射出工程の開始前に、前記
   材料フイーダと射出シリンダとの間の材料通路に
   材料を貯留するようにした、 射出成形機における材料供給制御方法。