JPH0440150B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、バレル槽内に工作物と研磨材と要
すれば水及びコンパウンドを装入したままの状態
で回転バレル研磨と高速遊星旋回バレル研磨を連
続して行うようにした研磨方法で、特にサーメツ
トチツプ、超硬チツプ及びセラミツク等カケ、ワ
レ、チツピングを起こしやすい硬脆材の研磨に適
したバレル研磨方法に関するものである。

従来、高速遊星旋回バレル研磨は加工能率の高
いことで多用されているが、バレル研磨開始より
正常な流動研磨が得られるまでの間（約２，３秒
間）は、十分な遠心力が得られないのでマス（工
作物、研磨材等の内容物をマスと総称する）の層
間において若干のすべりやなだれを生じる。従つ
て工作物間の衝突が増大し、また研磨材のあたり
も強くなるので、機械加工後のエツヂの鋭い硬脆
材はそのエツヂにカケ、ワレ及びチツピング等を
起し易い問題点があつた。

然るにこの発明によれば、バレル槽内へ工作物
と研磨材と要すれば水及びコンパウンドを装入し
た後、バレル槽のみを自転させて工作物を研磨
し、然る後引き続いてバレル槽を自転および公転
による高速遊星旋回させて工作物を研磨したの
で、工作物は先ず、あたりの弱い回転バレル研磨
でエツヂ部に小さなＲが付けられ、引き続いて高
速遊星旋回バレル研磨により高能率の研磨が行わ
れる。従つて硬脆材の工作物であつてもカケ、ワ
レ及びチツピングを起こすことはないなど前記従
来の問題点を解決したのである。またこの発明の
方法は、自転バレル研磨と旋回バレル研磨とを連
続的に行うので、労力を増大することはない。

次にこの発明の詳細を添付の図によつて説明す
る。

第１図及び第２図はこの発明を実施する装置中
ターレツトを固定した主軸を水平にした装置の全
体図であり、筐体１は鉄板で構成した中空の箱で
あつて、その中央部に主軸２が軸受３により水平
に架設してある。主軸２にはターレツト駆動用ホ
イール４と円板形のターレツト５とを所定間隔を
おいて固定すると共に、一側に遊星ホイール駆動
輪６が回転自在に遊嵌してある。前記ターレツト
駆動用ホイール４は有頂の短円筒を横にした形で
あつて、その頂板４ａの中央部に主軸２が貫通固
着されていると共に、該固着部を中心とした同心
円周上に数個の軸受７を等間隔に設置すると共
に、前記ターレツト５上には前記軸受７に対応し
て軸受７ａを設置する。前記軸受７，７ａにバレ
ル槽８の軸９，９ａを回転自在に架設して、軸９
へ駆動用ホイール１０を固着する。前記遊星ホイ
ール駆動輪６にはバレル槽８の数と同一個数のバ
レル槽駆動用ホイール１１と、遊星ホイール駆動
輪６を回転させる為の連動ホイール１２が固定し
てある。前記におけるバレル槽８の断面形状は五
角形乃至八角形が適しているが、円形を使用して
も差支えない。

前記ターレツト駆動用ホイール４とターレツト
５に架設するバレル槽の数は一個以上何個でもよ
いが、通常四個を対称的に架設したものが使用さ
れる。前記筐体１の一隅に可変速の主モーター１
４を取り付け、このモーター軸に固定したプーリ
ー１５とターレツト駆動用ホイール４とにベルト
１６を装着し駆動力を伝達している。前記遊星ホ
イール駆動輪６に固定したバレル槽駆動用ホイー
ル１１はバレル槽の軸９端に固着した駆動用ホイ
ール１０とチエーン１７を介して連動される。前
記ターレツト５の周壁四箇所に凹部１８を設け、
該部へバレル槽の定位置停止装置１９のローラー
２０が嵌合するようにしてある。またバレル槽用
蓋開閉装置２１が筐体１の一側上部に固定されて
いる。一方バレル槽回転用モーター２２はブレー
キ付き可変速モーターであつて、可逆回転可能で
あることが望ましく、筐体１の一隅に取付けら
れ、モーター軸に固着されたホイール２３及びチ
エーン２４を経て連動ホイール１２と連動されて
いる。

第１図中左端のバレル槽の上方には可動式のホ
ツパー２５および自動供給装置２６が設けられ、
筐体１の下部にはバレル槽よりのマス排出位置に
対してシユート２７を備えた振動選別機１３が設
置してある。図中３ａ，３ａは軸受支持材であ
る。

以上の構造に従つてこの発明の動作を以下に説
明する。

バレル槽８内へ所定量の工作物と研磨材を自動
供給装置２６とホツパー２５により装入し、要す
れば水及びコンパウンドを加え、バレル槽用蓋開
閉装置２１によりバレル槽８へ蓋を取り付けて密
閉する。全てのバレル槽８の準備が完了したなら
バレル槽回転用モーター２２を始動する。この駆
動によつてターレツト５は回転することなくバレ
ル槽８のみ回転する。このバレル槽８の回転数
（自転数）はバレル槽８の内接円半径をｒ（単位
ｍ）とした時に毎分15〜30／√2回転、最適には
毎分18〜25／√2回転を選択すると良好な結果が
得られる。このようにバレル槽８のみを自転させ
て工作物に若干のＲ付けを行う。このＲは約0.02
mm程度得られれば十分であり、研磨時間にして約
90分程度である。但し、工作物の材質、形状、サ
イズによつて多少異なる。第１工程が終了したな
ら定位置停止装置１９のローラー２０をターレツ
ト５の凹部１８より離脱させる。次に前記バレル
槽回転用モーター２２と共に主モーター１４を始
動する。この両モーターの回転数は必要に応じて
適宜選択すれば良いが、通常はバレル槽回転用モ
ーター２２を停止してバレル槽８の公転数Ｎと自
転数ｎの比ｎ／Ｎを−１に選択するのが最適であ
る。またこの場合のバレル槽８の旋回数はバレル
槽の公転旋回半径をＲ（単位ｍ）とした時に毎分
60〜120／√2回転、最適には毎分100〜160／√
2R回転を選択すると良好な結果が得られる。こ
のようにバレル槽８を自転及び公転すべく高速遊
星旋回させて工作物を高能率に研磨する。第２工
程が終了したなら前記バレル槽回転用モーター２
２を停止し、前記主モーター１４を微動させて定
位置停止装置１９のローラー２０をターレツト５
の凹部１８に嵌合させ、主モーター１４を停止す
る。そして前記バレル槽用蓋開閉装置２１により
蓋を取りはずし、バレル槽８を回転してマスを振
動選別機１３上へ排出し選別すれば加工の１サイ
クルが終了する。

尚、前記実施例において公転数と自転数の変更
に可変速モーターを使用したが、周波数変換装置
（インバーター）を利用しても良い。またこの発
明の実施に際しては、研磨材中へ液体を添加する
湿式研磨にも、液体を添加しない乾式研磨にも利
用できるものである。

この発明の効果を示す為に0.05RのＲ付けを目
的とする15mm×15mm×5mmtで６ｇの超硬チツプ
を工作物として、従来の研磨方法とこの発明の研
磨方法とで比較テストした所、次の結果が認めら
れた。

(1) 従来の研磨方法（高速遊星旋回バレル研磨の
み）機種HS−R200（130rpm）研磨石AN−８ 研磨時間90分 Γ ほぼ目標の0.05Rが得られたがエツヂ部に
カケ、ワレが発生し、表面はチツピングを起
こしていた。

Γ また同条件で研磨石を極端に小さいもの
（例えば２mm程度）に変えて行うとカケ、ワ
レが少なくなるが、研磨時間が４時間以上を
要する。さらに工作物を治具付けしてもカ
ケ、ワレの防止はできなかつた。

(2) 本発明の研磨方法 第１工程（回転バレル研磨） 機種HS−R200（21rpm）研磨石AN−８ 研磨時間90分 第２工程（高速遊星旋回バレル研磨） 機種HS−R200（130rpm）研磨石AN−８ 研磨時間30分 Γ ほぼ目標の0.05Rが得られ、エツヂ部のカ
ケ、ワレ及びチツピングは発見されず非常に
良い仕上りであつた。

Γ 上記(2)の方法を治具付けにて行えばAN−
８より研磨力のあるAT−５が使用でき、時
間も短縮できる。また工作物をバラ投入した
時の10倍強の加工力を有し、生産力の向上に
つながることが判明している。前記における
使用種類、使用研磨石は全て株式会社敷島チ
ツプトン製である。

次に第３図及び第４図はこの発明を実施するた
めの装置の他の実施例である。筐体３１は鉄板で
構成した中空の箱であつて、その中央部のボス３
３へタイミングプーリー又はスプロケツト３４が
固着された主軸３２を垂直に設置し、その上端に
ターレツト３５を回転自在に取付ける。前記ター
レツト３５の周縁部に主軸３２を中心とする同一
円周上へ複数個の軸受３６を等間隔に取付け（こ
の実施例では軸受２個の場合を示したが、通常４
個が最適である）、該軸受３６にバレル軸３７を
嵌挿する。前記バレル軸３７の上端には円板３８
が水平に取り付けられ、該円板３８上にバレル槽
３９が垂直回転可能に軸承され、該バレル槽３９
の水平軸４０の一端には小傘歯車４１が固着され
ている。前記バレル槽３９の形状は第３図及び第
４図に示すように水平軸４０に固定した面５８
ａ，５８ｂを水平軸４０に垂直な正方形とし、か
つこの軸に平行で前記面５８ａ，５８ｂと互いに
直角な同一大きさの正方形の面５９ａ，５９ｂ，
５９ｃ，５９ｄ，５９ｅ，５９ｆ，５９ｇ，５９
ｈを有するようにすることが望ましい。この構成
にすると、水平軸４０を回転軸とする回転バレル
の場合にも、垂直な主軸３２を旋回軸とする高速
遊星旋回バレルの場合にも、いづれの場合におい
てもバレル槽はいわゆる三段作用バレルとなり、
研磨能率を向上する。４２はバレル槽３９の蓋で
ある。前記バレル軸３７の下端にはタイミングプ
ーリー又はスプロケツト４３が固定され、該タイ
ミングプーリー又はスプロケツト４３はタイミン
グベルト又はチエーン５７により前記タイミング
プーリー又はスプロケツト３４と連動される。ま
た前記ターレツト３５は筐体３１の一側に設置し
たブレーキ付き可変速モーター４４のプーリー４
５と、前記ターレツト３５の側壁溝とに装着した
Ｖベルト４６を介して回転される。一方筐体３１
の上方には、円筒４７を回転可能に軸支した軸受
４８が固定されている。前記円筒４７はその内部
に一定の長さのキー溝４９を有し、該キー溝４９
は円筒４７内に嵌挿された摺動回転軸５０のキー
５１と係合している。従つて前記摺動回転軸５０
は円筒４７内を一定の長さ摺動することができ、
また円筒４７と共に前記軸受４８内を回転するこ
とができる（回転軸をスプライン軸としても良
い）。前記円筒４７の上端にはプーリー５２が固
着され、該プーリー５２は可変速モーター５３、
ベルト５４を介して回転される。前記摺動回転軸
５０の下端には大傘歯車５５が固着され、前記小
傘歯車４１と噛合できるようになつている。また
摺動回転軸５０の上端は流体圧シリンダー５６の
ピストンロツド６１の先端に固着されている。

前記実施装置によりこの発明を説明する。バレ
ル槽３９内へ所定量の工作物と研磨材要すれば水
及びコンパウンドを加え蓋４２を取り付け密閉す
る。全てのバレル槽３９の準備が完了したなら可
変速モーター５３を始動し、摺動回転軸５０を回
転させ、その先端の大傘歯車５５を回転させる。
大傘歯車５５は小傘歯車４１と噛合しているので
水平軸４０が第３図中矢示ａのように回転し、前
記バレル槽３９は垂直方向に回転して工作物は通
常の回転バレル研磨により研磨される。第１工程
が終了したなら、流体圧シリンダー５６のピスト
ンロツド側に加圧流体を導入して前記摺動回転軸
５０及び大傘歯車５５を上昇させ、大傘歯車５５
と小傘歯車４１との噛合を解く。次にブレーキ付
き可変速モーター４４を始動させると、ターレツ
ト３５は回転し、バレル槽３９は主軸３２のまわ
りに旋回される。この回転方向を第３図中矢示ｂ
とすると、バレル軸３７はタイミングベルト又は
チエーン５７により同図中矢示ｃの方向へ回転す
る（自転数ｎと公転数Ｎとの比ｎ／Ｎを−１にす
るのが望ましい）。従つてバレル槽３９は前記主
軸３２のまわりを水平に公転すると共に、バレル
軸３７で水平に自転するので、バレル槽内のマス
は遠心流動し、工作物は高速遊星旋回バレル研磨
が行われる。この実施例はバレル槽が垂直方向に
旋回される第１図及び第２図の実施例と異なり水
平方向に旋回されるので、始動と同時にマスはバ
レル槽内壁旋回外周寄りに徐々に立ち上るので垂
直旋回のものと比べ始動時及び停止時の衝撃がよ
り少なく、更に良好な結果が得られる。第２工程
が終了したならブレーキ付き可変速モーター４４
を停止する。この停止は近接スイツチまたは光電
スイツチ等（図示していない）により前記小傘歯
車４１と前記大傘歯車５５とが正確に噛合できる
位置に停止する必要がある。次にバレル槽３９の
蓋４２を取りはずし、バレル槽を回転してマスを
振動選別機（図示していない）上へ排出し選別し
て１サイクルが終了する。

以上述べたようにこの発明は、バレル槽のみを
自転させて工作物を回転バレル研磨した後、引き
続いてバレル槽を自転および公転による高速遊星
旋回させて工作物を高速遊星旋回バレル研磨する
ようにしたので、硬脆材の工作物であつてもカ
ケ、ワレ及びチツピングを起こすことがなく、省
人、省力の理想的なバレル研磨をなし得る効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を実施するための装置の一部
を省略した正面図、第２図は同じく一部を省略し
た側面図、第３図はこの発明を実施するための他
の装置の一部を断面した正面図、第４図は同じく
一部を断面した平面図である。 １…筐体、２…主軸、４…ターレツト駆動用ホ
イール、５…ターレツト、６…遊星ホイール駆動
輪、８…バレル槽、１０…駆動用ホイール、１１
…バレル槽駆動用ホイール、１２…連動ホイー
ル、１３…振動選別機、２５…ホツパー、２６…
自動供給装置、２７…シユート、３１…筐体、３
２…主軸、３３…ボス、３５…ターレツト、３７
…バレル軸、３８…円板、３９…バレル槽、４０
…水平軸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転可能にしたターレツトの外周に回転可能
   に取付けた複数個のバレル槽内へ、所定量の工作
   物と研磨材を装入し、前記ターレツトを停止しバ
   レル槽のみを自転させて工作物を研磨した後、前
   記ターレツト及びバレル槽を夫々回転させること
   により、バレル槽を自転及び公転させて高速遊星
   旋回により工作物を研磨することを特徴としたバ
   レル研磨方法 ２ バレル槽のみを自転させる時の自転数は、バ
   レル槽の内接円半径をｒ（ｍ）とした時に、自転
   数を毎分15〜30／√2回転、最適には毎分18〜
   25／√2回転とすることを特徴とした特許請求の
   範囲第１項記載のバレル研磨方法 ３ バレル槽を高速遊星旋回させる時の旋回条件
   はバレル槽の公転旋回半径Ｒ（ｍ）、バレル槽の公
   転数Ｎ及びバレル槽の自転数ｎとした時に、ｎ／
   Ｎを最適には−１とし、旋回数を毎分60〜200／
   √2回転、最適には毎分100〜160／√2回転と
   することを特徴とした特許請求の範囲第１項記載
   のバレル研磨方法 ４ バレル槽の架設は軸を水平にしたことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項または第３項記載の
   バレル研磨方法。