JPH0438691Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は，水耕栽培の植物や観賞用の植物を育
成するための植木容器への給水量を調節する装置
の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

従来から、家庭内や事務所内等の屋内において
鑑賞用に供される植物や、庭園等にて植物を栽培
するに際しては、人工土壌、培土、ピート等の土
に植え込む土壌栽培と、養分を溶解させた水溶液
のみで土壌を使用しない水耕栽培とがある。

これらの植物を育成するための容器（以下植木
容器という）を多数配設し、この各植木容器に水
溶液や水を供給する（以下単に給水という）に際
して、その給水量を調節する手段の先行技術とし
て、実公昭58−5487号公報及び実開昭61−60651
号公報には、いずれも、植木容器より上部位置の
給水タンク又は植木容器から離れた箇所に設置し
た送水用ポンプに、給水管を多数本連結し、該各
対応する給水管の先端を植木容器に臨ませ、その
各給水管の途中に従来周知の構造の流量調節弁を
設け、その各流量調節弁の操作により各植木容器
への給水量を調節することが開示されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、植木容器の設置高さが各々異なる場
合には、上部の給水タンクからその下方の各給水
管先端までの全水頭が異なり、同じ内径の給水管
を使用すると、低い高さ位置の植木容器に対する
給水管の単位時間あたりの流量は多い一方、高い
位置の植木容器に対する給水管の流量は少なくな
るというように各植木容器に対する給水量のばら
つきが大きい。

また、送水用ポンプからの各給水管の長さが
区々であるときも各給水管の圧力が異なると、各
植木容器への給水量にばらつきが生じる。

しかも、給水タンクからの給水量又は送水用ポ
ンプからの給水量が時間的に変動すると各給水管
への分配給水量も時間的に変動する。

しかるに、前記各先行技術における流量調節
は、各給水管での最大流量から絞つて流量を減少
させる調節であつて、時間的に一定の給水量を保
持できるものではなかつた。

この不都合を解消する先行技術として、実公昭
60−22885号公報では、各植木容器への給水部ご
とに給水タンクを設け、該給水タンクには植木容
器に連通する計量オリフイスとオーバーフロー管
とを設け、各給水タンクにおける静水圧を一定に
して計量オリフイスから植木容器への給水量を、
当該給水タンクへの給水量の時間的変動に拘わら
ず、略一定量に保持する構成が開示されている。

しかし、この構成によれば、給水量を変更する
には計量オリフイスを取り替えるかオーバーフロ
ー管の上端の高さ位置を変更するなど、調節操作
が面倒である。

しかも、これらの先行技術では、給水管の先端
又は計量オリフイスから給水されたものはすべて
植木容器に入るものであり、給水量が過多の場合
の排水対策がなされていず、従つて、給水量が過
多のときには当該植木容器における植物の根腐れ
が起こり、反対に給水量が過小のときには枯れる
おそれがあつた。

本考案は、前記のいずれの課題をも簡単な構成
により解決しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

そのため本考案では、植木容器の本体一側部
に、給水口と排水口とを上下に適宜隔てて穿設
し、該排水口と給水口とを囲むように中空状のア
ーム部を横向きに突設し、該アーム部の底面を排
水口に連通する排水樋に形成する一方、アーム部
内には、その先端開口部を少なくとも上下に仕切
る給水樋を設け、このアーム部内には、当該アー
ム部の外側から操作して給水口への流量を増減調
節するための弁体を前記給水樋に関連させて設
け、該弁体にて前記給水口への流れを遮断すると
給水樋上からアーム部の先端開口部に溢流させる
ように構成したものである。

〔考案の作用及び効果〕

この構成により、植木容器の本体一側部に横向
きに突設した中空状のアーム部の先端開口部から
その給水樋に給水すると、当該給水樋上を流れた
水は給水口に向かう。そして、アーム部内には、
前記給水口への流量を増減調節するための弁体を
設けてあるので、この弁体により、給水口から本
体内への流量を極めて簡単に調節できる。

また、給水桶への給水量を植木容器の本体内に
給水すべき流量よりも多くし、且つ給水口への流
れを遮断した状態や給水口から本体内への流量を
少なくなるように弁体の位置を調節した場合に
は、給水口から本体内に流入しきれない水はアー
ム部の先端開口部から溢流（オーバーフロー）さ
せることができる。

従つて、給水樋への給水量が多くても、本体内
への給水量は減少された状態を保持できる。

このようにして、本考案に従えば、植木容器の
本体内への給水量は、給水樋への給水量の大小に
拘わらず一定の量に調節でき、しかも、一方の植
木容器には最大流量の給水をしながら他方の植木
容器には給水量を制限して少なくするという調節
も可能となり、給水量の多く必要とする水耕栽培
のため植木容器と、サボテン等の給水をほとんど
必要としない植木容器等、植物の種類や土壌栽培
と水耕栽培との組合せの植木容器の配置が可能と
なるという顕著な効果を有するのである。

さらに本考案の弁体はアーム部の外側から操作
できるものであり、給水口から植木容器の本体内
への給水量の増減調節が至極簡単に実行できる効
果を有するのである。

〔実施例〕

次に本考案の実施例について説明すると、第１
図に示す植物栽培装置１は、キヤスタ３付きの円
筒状の基台２と、該基台２内に配置する基部タン
ク４と、該基部タンク４内に基部を固着して立設
した上下長手の筒体５と、該各筒体５の側壁に放
射状に且つ段違い状に穿設した装着孔６に差し込
み自在に装着する植木容器７と、筒体５内に同心
状に立設した送水管８と、この送水管８の上端寄
り位置に装着する分岐体１０と、該分岐体１０に
おける下部に平面視放射状に取付く複数の出口筒
１１に各々接続するなど関連させた長さの異なる
給水管１２とから成る。

なお、前記筒体５は上下に適宜長さに分割し
て、分解・組立自在に構成しても良く、この筒体
５の上端には、円環状の照明器具１３付きの円筒
状の保護かご１４を装着している。

基部タンク４には、植物Ａの栽培に必要な水及
び／又は必要に応じて肥料等の水溶液を混合した
水を収納する。符号１５は基部タンク４の内部に
配置する給水ポンプであり、該給水ポンプ１５と
前記照明器具１３は、筒体５の内部に挿通した配
線コード１６と該配線コード１６に接続した保護
かご１４の下面に取付くスイツチ１７とにより、
ON・OFF作動させるものである。

なお、給水ポンプ１５には、図示しない濾過器
を設けてゴミ等を除去して送水管８に送水できる
ように構成している。

前記分岐体１０における各出口筒１１の内径断
面積を略等しく成形する一方、各出口筒１１に
は、大気に開放する圧力連通部としての孔２０を
穿設する。

この構成によれば、上部位置の分岐体１０内に
送られた水が各出口筒１１を通過する箇所であつ
て、同じ高さ位置に、圧力連通部である孔２０を
穿設してあると、当該孔２０箇所にて各出口筒１
１内の圧力は大気圧と同じとなり、当該箇所で一
旦出口筒を分断して大気に開放したと同じ効果を
有し、該各出口筒１１、ひいてはそれ以後の各々
の給水管１２下端迄の長さが異なるにも拘わら
ず、各給水筒１２を通過する単位時間当たりの流
量を略等しくできて、各植木容器７への給水量を
均一にできるのである。

なお、このとき、各孔２０は出口筒１１におけ
る上面側であつて、各出口筒１１における水流が
縮小するいわゆる縮流部に穿設することが好まし
い。

このように構成すると、分岐体１０から各出口
筒１１に入つた箇所はいわゆるオリフイスを形成
し、その箇所では縮流部が形成され、流速が大き
く圧力が低いのであるから、当該箇所に圧力連通
部である孔２０を穿設してあると、当該孔２０箇
所から空気を吸い込むことになり、前述のように
各給水管１２での給水量を均一にできると共に、
吸い込まれた空気を各給水管１２内で混合し、酸
素の多い水を各植木容器７の植物Ａに供給するこ
とができる。

また、前記各給水管１２は軟質合成樹脂製のパ
イプ管を使用し、各給水管１２の上端と出口筒１
１との重合接続時に前記孔２０を塞がないように
するものである。

第２図の実施例における分岐体１０では、その
上部の筒部１０ａ内に挿入した昇降弁２１から立
設したねじ２２を、蓋板２８に螺着し、そのねじ
２２の上端を筒体５と保護かご１４との取付け片
２４に上向きに突出させることにより、分岐体１
０内の液の収容体積を調節できる構成である。

前記各植木容器７は、第４図〜第６図に示すご
とく、植物Ａの根部を支持するスポンジ体（水耕
栽培用）や土壌が入る上面開放円形箱型の本体２
６と、該本体２６の一側部に外向きに横向き突設
した断面矩形筒状のアーム部２７とからなり、ア
ーム部２７の基端側は、前記本体２６の一側部に
おける上位置に穿設された横長の給水口２８と下
位置の排水口２９とを囲むように連設するもので
ある。

前記アーム部２７の天板３０先端を適宜切欠い
て給水管１２の下端が臨む入水部３１を形成し、
且つ、該アーム部２７の底面を排水口２９に連通
する排水樋３２に形成する一方、アーム部２７内
には、排水樋３２と天板３０との間を上下に仕切
る給水樋３３を設ける。

この給水樋３３は、前記入水部３１に近い先端
開口部側で高さ位置が高く給水口２８に近付くに
従つて低くなるように下向き傾斜し、且つ給水口
２８の下側に連設するものであり、アーム部２７
には以下のような給水量調節装置を設ける。

第５図から第８図はその第１実施例を示し、本
体２６の一側部に穿設した給水口２８を開閉自在
に塞ぐ弁体３５は、本体２６の外面とアーム部２
７の内面に摺接して回動しないで上下動できるブ
ロツク体であり、アーム部２７の天板３０に回転
自在に嵌挿した操作体３６のおねじ部３７を弁体
３５に螺合した構成である。

前記本体２６の底部近傍には、多数の孔３９を
有するすの子４０が前記排水口２９側で高くなる
ように傾斜状に配設する。

また、符号４１は、前記植木容器７におけるア
ーム部２７を筒体５の装着孔６の上端縁に係合す
る凹溝であり、符号４２は同じく装着孔６の下端
縁にアーム部２７を載置する係止部である。

なお、符号４３は、前記各給水管１２の下端を
植木容器７のアーム部２７の入水部３１の上方に
位置保持させるための保持金具であり、持金具４
３の基部から横向きに突出する左右一対のクリツ
プ片にて送水管８の外周を挟持することができ
る。

この構成により、各出口筒１１に接続された給
水管１２の下端を、各々対応する位置の植木容器
７のアーム部２７に臨ませ、前記給水ポンプ１５
の駆動にて基部タンク４内の液は、導管１８介し
て送水管８の基部から圧送して上部の分岐体１０
に揚水されたのち、出口筒１１及び給水管１２を
介して植木容器７のアーム部２７に各々給水す
る。

各植木容器７におけるアーム部２７の上方に臨
ませた給水管１２から出た水は、給水樋３３上に
流れ落ちる。

そして、弁体３５を大きく上昇させると、給水
樋３３上の水は給水口２８に入り、その弁体３５
の下降量に応じて給水口２８への流量が減少する
ように調節できる。

従つて、この状態では、給水樋３３上の水は給
水口２８から本体２６内に入り、当該箇所の土壌
や植物Ａの根を潤し、すの子４０箇所を通つた水
は排水口２９から排水樋３２を介して筒体５の内
部に流出し、また、給水樋３３箇所にて溢れた水
もアーム部２７の先端から筒体５内方向に戻るこ
とにより、筒体５の内部にて落下し、元の基部タ
ンク４内に戻すいわるゆる循環式に構成している
ものである。

なお、筒体５への植木容器７の装着時におい
て、前記排水樋３２はその先端側が僅かに下向き
傾斜するようになつている。

第５図二点鎖線で示すように弁体３５が下降し
た状態では、当該弁体３５にて本体２６に穿設し
た給水口２８を完全に塞ぎ、そのとき、給水樋３
３上の水はアーム部２７の先端開口部から筒体５
内に溢流する。

これにより、弁体２６内を殆ど潤すことなく、
一旦アーム部２７の給水樋３３上に給水されたも
のを筒体５の内部に戻すことができるのである。

なお、中空状筒体５内の上部にその下方から給
水される給水用分岐体１０を設け、筒体５の適宜
高さ位置には各植木容器のアーム部が筒体内に嵌
挿できる装着孔６を設け、各植木容器のアーム部
２７に給水管１２の下端を各々臨ませる構成にす
れば、筒体の内部だけで水の処理系を納めること
ができ、外観が向上すると共に、植物栽培装置１
外部への水漏れを防止できる効果を有するのであ
る。

第９図は給水量調節装置の第２実施例を示し、
アーム部２７内には、その排水樋３２と天板３０
との間を上下に仕切るように給水樋４５を設け、
この給水樋４５は、前記入水部３１に近い先端開
口部側で高さ位置が高く給水口２８に近付くに従
つて低くなるように下向きに傾斜し、且つ給水口
２８の下側に連設するものである。

給水口２８への流量を調節するための弁体４６
は、ばね板製等の弾性撓みを有するもので、アー
ム部２７の左右内側面幅寸法と一致するように形
成され、該弁体４６の基端を本体２６の一側部
で、且つ給水口２８より上方位置に穿設した取付
け孔４７に係合させ、弁体４６の自由端側をアー
ム部２７の先端開口部側に延長し、弁体４６の基
端寄り位置にて、操作体４８のおねじ部４９に螺
合させ、該操作体４８はアーム部２７の天板３０
に回転自在に嵌挿する構成である。

この構成によれば、第９図の実線で示すよう
に、弁体４６の自由端が給水樋４５の上面に接当
するように操作体４８にて押圧された状態では、
当該弁体４６にて給水口２８は完全に塞がれるこ
とになり、第９図の二点鎖線に示すように、操作
体４８の回動にて弁体４６の自由端と給水樋４５
上面との〓間量を増減調節することにより、給水
口２８を介して本体２６内への流量を増減調節す
ることができる。

第１０図は、給水量調節装置の第３実施例を示
し、アーム部２７の先端開口部側を上下に仕切る
給水樋５０と、本体２６に穿設された給水口２８
の下縁の突起５１との間に、アーム部２７の左右
両側面幅寸法と一致する弁体５２を給水口２８に
向かつて下向き傾斜するように配設し、該弁体５
２の基端を給水樋５０にピン５３枢着し、弁体５
２の自由端側を、アーム部２７の天板３０に回転
自在に嵌挿した操作体５４におけるおねじ部５５
に螺合してある。

この構成によれば、操作体５４の回転操作にて
弁体５２の自由端側を上昇させて当該弁体５２に
て給水口２８を完全に塞げば、（第１０図の二点
鎖線参照）、給水樋５０の水はすべてアーム部２
７の先端開口部から溢流して筒体５内に戻すこと
ができる。

反対に、第１０図の実線のように、弁体５２の
自由端が給水口２８の下縁より下位置に来ると給
水口２８から本体２６内への流量を最大にするこ
とができる。

操作体５４により弁体５４の自由端が給水口２
８に対して塞ぐ上下寸法を変化させれば、それに
応じて本体２６内への流量を増減調節することが
至極簡単に実行できるのである。

第１１図は、給水量調節装置の第４実施例を示
し、前記第３実施例におけるピン枢着した弁体に
替えて、ばね板等の弾性撓み量の大きい弁体５６
を給水樋５７の下面側に配設し、弁体５６の基端
を給水樋５７に固着し（または溝部に挟むように
挿入する）、操作体５８のおねじ部５９をアーム
部２７の天板３０に螺合させ、当該おねじ部５９
の下端にて弁体５６の自由端側の上面に接当する
ように構成するものである。

この構成によれば、第１１図の実線で示すよう
に、弁体５６の自由端が給水口２８より上位置と
なつて完全に塞いでいるときには、給水樋５７上
で溢れた水は、アーム部２７の先端開口部から筒
体５内に戻すことができる。

反対に、操作体５８を下向きに押圧すれば、弁
体６２の自由端が給水口２８を塞ぐ量を増減で
き、給水口２８から本体２６内への流量を減少す
るように調節できるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は植物栽
培装置の側断面図、第２図は要部拡大断面図、第
３図は第２図の−視平面図、第４図は植木容
器の平面図、第５図は第４図の−視断面図、
第６図は第５図の−視断面図、第７図は第５
図の−視要部断面図、第８図は第５図の−
視断面図、第９図は第２実施例の要部側断面
図、第１０図は第３実施例の要部側断面図、第１
１図は第４実施例の要部側断面図である。 １……植物栽培装置、２……基台、４……基部
タンク、５……筒体、６……装着孔、７……植木
容器、８……送水管、１０……分岐体、１１……
出口筒、１２……給水管、１３……照明器具、１
４……保護かご、１５……給水ポンプ、１８……
導管、２０……孔、２６……本体、２７……アー
ム部、２８……給水口、２９……排水口、３０…
…天板、３１……入水部、３２……排水樋、３
３，４５，５０，５７……給水樋、３５，４６，
５２，５６……弁体、３６，４８，５４，５８…
…操作体、４０……すの子、５１……突起、５３
……ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 植木容器の本体一側部に、給水口と排水口とを
   上下に適宜隔てて穿設し、該排水口と給水口とを
   囲むように中空状のアーム部を横向きに突設し、
   該アーム部の底面を排水口に連通する排水樋に形
   成する一方、アーム部内には、その先端開口部を
   少なくとも上下に仕切る給水樋を設け、このアー
   ム部内には、当該アーム部の外側から操作して給
   水口への流量を増減調節するための弁体を前記給
   水樋に関連させて設け、該弁体にて前記給水口へ
   の流れを遮断すると給水樋上からアーム部の先端
   開口部に溢流させるように構成したことを特徴と
   する植木容器における給水量調節装置。