JPH0438112B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔利用分野〕 本発明は広い巾で連続的に移送される処理物に
接触して加熱する連続加熱装置に関し、糸条、フ
イルム等の如く連続的に移送される長尺物の熱処
理に好適な連続加熱装置に関する。

〔従来技術〕

近年、合成繊維の繊維製造工程では、生産性向
上から多数条の糸条を同時処理することが行なわ
れている。又、アミラド繊維等の耐熱繊維におい
てはその熱処理温度は数100℃以上、場合によつ
ては500℃以上の高温度の熱処理が行なわれる。

ところで上述の場合、その熱処理は種々の方法
でなされるが、従来のプレートヒータを拡大した
数10cmから数ｍという広い巾で長さ数ｍというよ
うな広巾の連続加熱装置が用いられることが多
い。この場合、前述の高温では、周知の熱媒ヒー
タが、安全面等から使用できないため、鋳込ヒー
タ等の電熱ヒータを用いることが多い。

しかし、上述の電熱ヒータを用いた上述の加熱
装置では、加熱面の温度分布が均一とならず、熱
処理が一定とならない問題がある。特に巾方向の
温度分布が均一でない場合は、巾方向に品質斑の
ある製品となり問題が大きい。例えば、多数条の
糸条を巾方向に並べて処理する場合、巾方向の通
過位置で付与される熱量が異なり、通過位置の相
違により品質が異なる糸条となり商品価値のない
ものとなる。

上述の問題は処理物の巾に比し十分広い巾の加
熱面を有する加熱装置を用いることにより解決で
きるが、この場合装置が大型化すると共に、エネ
ルギー的にも大きな損失を生ずるという別の問題
がある。

〔発明の目的〕

本発明は、上述の現状に鑑みなされたもので、
巾方向の温度が容易に均一化できる連続加熱装置
を提供することを目的とするものである。

〔発明の構成及び作用〕

上述の目的は、以下の本発明により達成され
る。すなわち本発明は、広い巾で連続的に移送さ
れる処理物の接触して加熱する広巾で熱媒体が使
用困難な高温の加熱面を有する連続加熱装置にお
いて、加熱面の背後にその巾方向に貫通した取付
孔が処理物の移送方向に所定間隔で設けられ、該
取付孔には加熱面の巾方向の一端部及び中央部を
加熱する長い棒状電熱体とその一端部のみを加熱
する短い棒状発熱体とが隣り合う取付孔において
その巾方向位置が交互に反転するように両側より
挿着されており、両棒状電熱体は長手方向の電力
密度が均一な電熱体からなることを特徴とする連
続加熱装置である。

上述の本発明は、巾方向の温度分布が主として
高温に基づく加熱装置の側面からの熱損失による
ものである点に着目しなされたものである。そし
て、上記の通り、本発明では加熱面を加熱する発
熱部を端部及び中心部を加熱する長い棒状電熱体
からなる主発熱部と端部のみを加熱する短い棒状
電熱体からなる補助発熱部とに分割すると共に、
両棒状電熱体は共に長手方向の電力密度が均一な
電熱体とした構成となつているので、主発熱部と
補助発熱部とを夫々の温度制御装置で目標温度に
制御することにより巾方向に均一な温度分布が得
られると共に、量産品のシーズヒータ、カートリ
ツジヒータ等をそのまま適用できるので非常に安
価で且つ信頼性の良い装置が実現された。更に故
障も個々の棒状発熱体に発生するので、大巾な品
質異常を発生することはなく、又その補修費も安
価となる。

以下、本発明の詳細を実施例に基いて説明す
る。

第１図は実施例の平面図、第２図はその側面
図、第３図は実施例の巾方向の温度分布のグラ
フ、第４図は比較例の巾方向の温度分布のグラフ
である。

図の加熱装置１０は複数の糸条を同時処理する
のに適したもので、その加熱面は加熱長4000mmで
加熱巾1000mmの大面積を有するもので、図はその
一部を示している。

加熱装置１０は図示の通りアルミニウム、銅等
の熱良導性材よりなり、上面を糸条の走行方向に
おいて糸条の走行に適した適当な曲率半径の曲面
とした加熱本体１１と、加熱本体１１上に取着さ
れた接糸面即ち加熱面１２ａをクロムメツキ等に
より糸条走行に適した表面状態に仕上げられた接
糸板１２と、接糸板１２の背後（図で接糸板１２
の直下）に沿つて加熱本体１１に設けた取付孔１
１ａに挿着された主発熱部及び補助発熱部の棒状
電熱体１３，１４とからなり、図示省略した温度
制御装置により加熱面１２ａの中心位置に埋設さ
れた温度検出端１５の検出温度に基いて棒状電熱
体１３，１４への電力を操作して、加熱面１２ａ
の温度を設定温度に制御するようになつている。

ところで、加熱面１２ａの一端部及び中央部を
加熱する主発熱部を構成する長い棒状電熱体１３
は、加熱面１２ａの巾の70〜95％の発熱長を有
し、取付孔１１ａに左右交互からその発熱部が挿
入され、取着されている。又、加熱面１２ａの一
端部のみを加熱する補助発熱部を構成する短い棒
状電熱体１４は、主発熱部の棒状電熱体１３に対
応して加熱巾の30〜５％の発熱長を有しその電力
密度が主発熱部のものに比し数10％以上大きいも
のとし、各取付孔１１ａに主発熱部の棒状電熱体
１３と対向するように左右交互から挿入され、取
着されている。なお、棒状電熱体１３，１４の取
着に際しては熱良導性ペーストを用い、棒状電熱
体１３，１４と取付孔１１ａとの隙間を充填し熱
伝導の向上が計られている。棒状電熱体１３，１
４の加熱本体１１の外部に出ている部分は端子部
である。

以上の通り、加熱面の両端部のみ加熱する棒状
電熱体からなる補助発熱部が設けられているの
で、両端部の発熱量を自由に設定でき、よつて巾
方向の温度分布を均一化できる。

上述の例において、主発熱部の棒状電熱体１３
に発熱長略900mmのシーズヒータを用い、補助発
熱部の棒状発熱体１４に発熱長が略100mmで電力
密度が主発熱部の1.5倍のカートリツジヒータを
用い、これを40mm間隙で図示の通り糸条走行方向
（図で上下方向）に並設した場合の500℃設定にお
ける巾方向温度分布の測定結果を第３図に示す。
図から明らかのように両端部の50mmを除いた領域
では温度巾９℃以内に入つており非常に均一な分
布が得られている。すなわち熱処理に使用可能な
許容温度巾が10℃以下の場合本実施例ではその熱
処理に使用できる有効巾は900mmすなわち全巾に
対し90％以上となり非常に効率の良いことがわか
る。

第４図は上述の実施例において、主発熱部とし
て略1000mmの発熱長のシーズヒータを用い、取付
孔１１ａの一方向から挿着した、補助発熱部を設
けない比較例の前記温度分布の測定結果である。
両端部の50mmを除いた領域での温度巾は39℃であ
り、前述の有効巾は450mmと実施例の半分である。
又、端子がヒーターの片側（右端）になつたため
温度分布が非対称となつている。実施例ではこの
点も改善されている。

以上の通り、本発明は巾方向の温度分布の均一
化に非常に有効なものである。又、本発明は上述
の実施例に限定されるものではない。例えば以下
の如く種々の態様で実施できるものである。

主発熱部より補助発熱部の棒状電熱体の電力密
度が高いものを１つの温度制御装置で制御する構
成の簡単なものを示したが、両部に同じ電力密度
の棒状発熱体を用い両部夫々に設けた温度検出端
に基いて別々の温度制御装置により制御する構
成、更にはこれら構成の組合せ等が可能であり、
要求される温度分布精度に応じて適宜選択され
る。

糸条走行方向の温度分布が問題とならない例を
示したが、糸条走行方向の温度分布も所定のもの
とする必要がある場合には、該方向において適当
な長さのゾーンに区分し、ゾーン毎に本発明の構
成とすることにより糸条走行方向にも巾方向にも
所望の温度分布を有する数ｍ×数ｍというような
大面積の加熱装置が実現できる。

ところで加熱装置の材質については加熱本体と
加熱面とがステンレスのような同一材料で製作さ
れたものであつても良い。

なお、最も厳しい条件として加熱本体周囲に断
熱手段を設けない例を示したが、実用においては
ガラスウール、石綿等の断熱材で周囲を被覆し、
断熱することは当然である。

以上糸処理用として説明したが、フイルム、布
等巾の広い処理物の加熱処理に広く適用できるこ
とはその趣旨から明らかである。このように本発
明は広い分野に適用できる工業上有用なものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の平面図、第２図はその側面
図、第３図は実施例の巾方向温度分布のグラフ、
第４図は比較例の巾方向温度分布のグラフであ
る。 １０……加熱装置、１１……加熱本体、１２…
…接糸板、１３，１４……棒状発熱体、１５……
温度検出端。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 広い巾で連続的に移送される処理物に接触し
   て加熱する広巾で熱媒体が使用困難な高温の加熱
   面を有する連続加熱装置において、加熱面の背後
   にその巾方向に貫通した取付孔が処理物の移送方
   向に所定間隔で設けられ、該取付孔には加熱面の
   巾方向の一端部及び中央部を加熱する長い棒状電
   熱体とその一端部のみを加熱する短い棒状発熱体
   とが隣り合う取付孔においてその巾方向位置が交
   互に反転するように両側より挿着されており、両
   棒状電熱体は長手方向の電力密度が均一な電熱体
   からなることを特徴とする連続加熱装置。 ２ 前記長い棒状電熱体の長さが加熱面の巾の70
   ％以上であり、前記短い棒状電熱体の長さが加熱
   面の巾の30％以下である特許請求の範囲第１項記
   載の連続加熱装置。 ３ 前記短い棒状電熱体の電力密度が前記長い棒
   状電熱体それより大きい特許請求の範囲第１項又
   は第２項記載の連続加熱装置。 ４ 前記棒状電熱体がシーズヒータ又はカートリ
   ツジヒーターである特許請求の範囲第１項、第２
   項又は第３項記載の連続加熱装置。