JPH043760B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は印刷玩具用原版セツトに関する。

従来、この種の印刷玩具用原版セツトとして、
スクリーン印刷を応用したものがある。これはス
クリーン板上に感光剤を塗布した印刷原紙を枠体
で囲んで成る印刷原版と、図柄、文字等を書く筆
記シートと、閃光を放つフラツシユ部材とから構
成されたもので、その使用にあたつては、まず筆
記シート上に任意の絵、文字等を書いた後、この
筆記シートを印刷原版上に載置し、その上からフ
ラツシユ部材により閃光を浴びせて原紙上の感光
剤を感光させ、感光部分を水洗い等によつて流
し、その後印刷用紙上に載せた原版上にインキを
付け、原版を上から押圧してインキを原版の感光
部を通過させて印刷用紙上に付着させ、これによ
つて筆記シートに描いたものと同じ図柄、文字等
を印刷用紙上に印刷することができる。

しかしながら、このような印刷玩具用原版セツ
トは、フラツシユをたいたり、水洗い等をすると
いう面倒な手間がかかるだけでなく、電源や水等
の設備が必要となるから、使用者の年令や使用範
囲が限定され、さらには印刷のために費用が相当
かかり、印刷玩具としてはあまり適当でないとい
う欠点があつた。

この発明は上記欠点を解決し、とくに誰でもど
こでも容易且つ手軽に使用でき、しかも印刷のた
めの費用も格段に安い印刷玩具用原版セツトを提
案することを目的とする。

以下、図面によつてこの発明の実施の一例につ
いて説明する。

図において、符号Ａは印刷玩具用原版セツトを
示す。この印刷玩具用原版セツトＡは、繊維質系
多孔性薄膜１上に繊維素系ポリマー被膜２を形成
した印刷原紙３を枠体４で囲んで成る印刷原版５
と、吸液シート６と、上記印刷原紙３の繊維素系
ポリマー被膜２を溶解する可溶性溶媒を含んだ筆
記具７とから構成され、さらに上記印刷原版５上
にはインキを通過させないインキ不通過性シート
材８が設けられている。

まず、印刷用原版５は繊維質系多孔性薄膜１上に
繊維素系ポリマー被膜２を形成した印刷原紙３と
該原紙３を囲む枠体４とから成つている。

繊維質系多孔性薄膜１は、和紙、紙のほか、ビ
ニロンなどの不織布等、多孔性の繊維質素材が好
ましい。その理由は安価で、しかもその多孔構造
により印刷インキが通過可能であるからである。

繊維素系ポリマー被膜２は通常はニトロセルロ
ースや酢酸セルロース等の繊維素系繊維素系ポリ
マー被膜から構成すればよい。その実施例として
は次のようなものが好ましい。

硝化綿 17.5％ 可塑剤 14.9％ 植物油 67.2％ 着色顔料 0.4％ （着色顔料はシヤニングリーン） 上記の繊維質系多孔性薄膜１は印刷インキを通
過させるが、これに対して、繊維素系ポリマー被
膜２は印刷インキを通過させない被膜構造であ
る。

印刷原紙３を繊維質系多孔性薄膜１上に繊維素
系ポリマー被膜２を形成する二重構造とすること
により、印刷インキは繊維質系多孔性薄膜１は通
過するが、その上の繊維素系ポリマー被膜２は通
過できない。また、印刷原紙３は全体として透明
または半透明に構成される。この場合は、繊維質
系多孔性薄膜１および繊維素系ポリマー被膜２の
両方を透明または半透明にすればよい。

枠体４は上記印刷原紙３を内外から挟持して張
設するものとして構成すればよい。

次に、吸液シート６はインキの吸取り紙のよう
に液体を吸着できるシート素材から構成され、該
吸液シート６の表面には適宜の図柄、文字等が印
刷されている。

さらに、筆記具７はフエルトペン状に形成さ
れ、芯９を設けたもので、内部には上記印刷原紙
３の繊維素系ポリマー被膜２を溶解する可溶性溶
媒が封入され、この可溶性溶媒は芯９に浸み込
み、芯９の先端から出るように構成されている。

このような可溶性溶媒としては乳酸ブチル、酢
酸ブチル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒ある
いはアセトン等のケトン溶媒が好ましい。例え
ば、次のような成分によつて構成すればよい。

乳酸ブチル 100％ オイルスカーレツト 0.6％ オイルブラツク 0.06％ 次に、上記構成の印刷玩具用原版セツトの使用
態様について説明する。

まず、筆記具７を用いて印刷原版５の下に吸液
シート６を敷き、印刷原紙３上に任意の図柄、文
字等を書き込む。このとき、印刷原紙３は透明ま
たは半透明であり、且つ吸液シート６の表面には
図柄、文字等が印刷されているので、印刷原紙３
の上から吸液シート６上の図柄、文字等を透視で
きるから、その上から筆記具６でなぞればよく、
書き込みを簡単に行なうことができる。

筆記具７の芯９が印刷原紙３に接触すると、内
部の可溶性溶媒は印刷原紙３上に付着する。可溶
性溶媒は印刷原紙３の繊維素系ポリマー被膜２を
溶解するので、筆記具７に接触した部分は溶解
し、図柄、文字等の原画、原文字等が現われる。
そして、溶解時の液は溶解部分から繊維質系多孔
性薄膜１を通過して吸液シート６に吸着される。
その後、印刷インキを印刷原紙３上に載せ、さら
にその上にインキ不通過性シート材８を置いて印
刷インキを該シート材８と原紙３との間に挟み、
この状態で原版５を印刷用紙１０上に載置し、原
版５を適宜の押圧部材（図示せず）で印刷用紙１
０側に押圧する。これにより、印刷インキはまず
繊維素系ポリマー被膜２の溶解部分を通過し、さ
らに繊維質系多孔性薄膜１を通過して印刷用紙１
０上に付着される。これにより、印刷用紙１０上
に図柄、文字等が印刷される。

なお、印刷インキは次の成分を含むものとして
構成するのが好ましい。

ロジン変性フエノール樹脂 22％ アルキツド樹脂 ５％ 鉱物油 38％ 体質顔料 33％ 着色料 ２％ 上述のように、この発明に係る印刷玩具用原版
セツトは、繊維質系多孔性薄膜上に繊維素系ポリ
マー被膜を形成した透明または半透明の印刷原紙
を枠体で囲んで成る印刷原版と、上記印刷原紙の
繊維素系ポリマー被膜を溶解する可溶性溶媒を含
んだ筆記具と、上記原版の下に置かれ且つ表面に
図柄、文字等を表わした吸液シートとから成るも
のである。したがつて、印刷玩具は印刷原版の印
刷原紙に繊維素系ポリマー被膜を形成し、該繊維
素系ポリマー被膜の印刷すべき部分は筆記具に含
ませた可溶性溶媒で溶解し、さらに溶解時の液は
吸液シートに吸着させる構成としたので、従来の
ようにフラツシユをたいたり、水洗いをしたりす
るという面倒な手数がかからず、取扱いが非常に
簡単で、印刷のための費用も低く抑えることがで
きる。また、原版に原画、原文字等を書く場合、
吸液シートを利用できるので、原版を非常に楽に
作成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係る印刷玩具用原版セツト
の斜視図であり、第２図および第３図は上記印刷
玩具用原版セツトによる印刷原理説明図である。 符号Ａ…印刷玩具用原版セツト、１…繊維質系
多孔性薄膜、２…繊維素系ポリマー被膜、３…印
刷原紙、４…枠体、５…印刷原版、６…吸液シー
ト、７…筆記具。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記部材から成ることを特徴とする印刷玩具
   用原版セツト。 (イ) 繊維質系多孔性薄膜上に繊維素系ポリマー被
   膜を形成した透明または半透明の印刷原紙を枠
   体で囲んで成る印刷原版 (ロ) 上記印刷原紙の繊維素系ポリマー被膜を溶解
   する可溶性溶媒を含んだ筆記具 (ハ) 上記原版の下に置かれ且つ表面に適宜の図
   柄、文字等が印刷された吸液シート