JPH0437271Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は往復動式ポンプである竪型プランジヤ
ーポンプのグランド構造に関する。

〔従来の技術〕

従来から知られている竪型プランジヤーポンプ
は、クランク運動によりシリンダ内のポンプ室の
圧力を増減させるため、サイドロツドが上下往復
運動し、該シリンダ上部に取り付けられたスタツ
フイングボツクス内のプランジヤーが該サイドロ
ツドに連結されていて上下往復運動するよう構成
されている。

そして、スタツフイングボツクス内の構造は第
２図のイあるいはロに示すものが知られ使用され
ている。

すなわち、第２図のイおよびロにおいて、シリ
ンダ１の上部にスタツフイングボツクス２が取り
付けられている。スタツフイングボツクス２内の
ほぼ中央にはプランジヤー３が垂直に立設され、
プランジヤー３の一端はシリンダ１内に挿入され
ている。

スタツフイングボツクス２とプランジヤー３と
の間にはシリンダ側からネツクブツシユ４、パツ
キング５、スペーサ６、ガイドブツシユ７および
パツキングリング８が夫々図の如く挿入されてい
る。

第２図のイにおいては、スタツフイングボツク
ス２の上部にグランド９がプランジヤー３に挿嵌
され、しかもスタツフイングボツクス２とグラン
ド９とはネジ部１０で螺着されている。

第２図のロは第２図のイと構造が若干異なり、
スタツフイングボツクス２の上部に高圧用グラン
ド１２ａがプランジヤー３に挿嵌され、該高圧用
グランド１２ａはバーレルフランジ１１とネジ部
１４ａで螺着されている。低圧用グランド１２ｂ
は、補助のパツキング５、スペーサ６およびパツ
キングリング８を介してプランジヤー３に挿嵌さ
れている。高圧用グランド１２ａと低圧用グラン
ド１２ｂとはネジ部１４ｂで螺着されている。而
して、プランジヤー３とパツキング５の間は滑り
摩擦で一般に100〜600R.P.Mの回転で運転されて
いる。

そのため、プランジヤー３とパツキング５間の
摺動面の潤滑および摺動熱の除去を目的として、
取扱い液例えば水を毎分数滴〜数十滴リークさせ
てドレーン配管１３（第２図イにおいては省略し
てある。）へリークした液を排出するようにして
ある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、取扱い液の作用からも自明なよ
うに、プランジヤーとパツキング間のシールは新
品のパツキングでも完全でなく、しかもパツキン
グは経時的に短時間で摩耗するので、リークした
液が矢印の如くドレーン配管１３側へ流出する以
外に、100〜600R.P.Mで上下往復運動するプラン
ジヤー３の上昇行程において、プランジヤー３に
付着した取扱い液がそのままグランド９外に持ち
出され、プランジヤー３の上死点でプランジヤー
速度が略零となつたときに慣性で、第２図のイで
はグランド９の上方から矢印の如く大気へ飛散し
てシリンダ１の上部が取扱い液で浸る問題があ
る。

そこで、この取扱い液の飛散防止対策として第
２図ロのようなグランド構造（ダブルスタツフイ
ングボツクス構造と称している。）に改良したが、
このグランド構造においても長時間の運転では低
圧用グランド１２ｂとプランジヤー３との間に挿
入されているパツキング５が摩耗して、第２図の
イと同様に、低圧用グランド１２ｂの上方から取
扱い液例えば水が矢印の如く大気へ飛散しシリン
ダ１の上部を浸してしまう。

そこで、本考案は上記事実に鑑みて、この問題
を解決するために提案されたものであつて、その
目的はグランド上方から取扱い液が大気へ飛散す
ることを防止した竪型プランジヤーポンプのグラ
ンド構造を提供するにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案はパツキングでシールされている竪型プ
ランジヤーポンプのプランジヤーを上下往復運動
せしめるためのグランド構造に関する改良であつ
て、前記グランドの上部内周壁とプランジヤーと
の間に大気導入用の隙間を設け、前記グランドの
上下部内周壁の間に前記隙間より大きく前記プラ
ンジヤーに付着する取扱い液とは接触しない内径
大の前記隙間から導入される大気の流通路となる
空洞部を設け、前記空洞部の下端部には外部に通
じるドレーン配管側と空洞部を連通する大気の流
通路となる取扱い液排出用のキリ孔を設け、さら
に前記空洞部上端部の隙間周縁に前記プランジヤ
ーに付着する取扱い液をカキ落とすための下方に
向けたスクレーパを設けた竪型プランジヤーポン
プのグランド構造を構成したものである。

〔作用〕

本考案のグランド構造によれば、プランジヤー
の上下往復運動によつて、グランド上部の大気導
入用の隙間では、ベルヌーイの定理によりプラン
ジヤーの発生速度に相当する分だけ静圧が低下す
る。この静圧低下の度合はプランジヤーの表面が
最も低下し、プランジヤーから遠ざかるにつれて
低下の度合が減少する。プランジヤーの上昇、下
降行程において、グランドの大気導入用の隙間は
大気圧との圧力差が最大となつて大気圧側から隙
間へ大気が導入され、さらに空洞部、キリ孔にお
いても静圧低下が生じているので、大気を大気導
入用の隙間、空洞部およびキリ孔からドレーン配
管へと連通させる大気の流通路を形成する。ま
た、プランジヤーの表面に付着する取扱い液の液
滴は、プランジヤーの上昇行程において空洞部上
端部のスクレーパでカキ落とされて、空洞部下端
部のキリ孔を通つてドレーン配管側に排出され
る。さらに、空洞部内で飛散した取扱い液の液滴
は、空洞部の内壁づたいに付着したまま落下しキ
リ孔から排出される。

したがつて、プランジヤーの上下往復運動にお
いて、グランドの大気導入用の隙間からドレーン
配管側への空気の流通が生じて、プランジヤーに
付着した取扱い液は下方の空洞部下端部へ落とさ
れるとともに、その上昇行程において空洞部上端
部のスクレーパでプランジヤーに付着した取扱い
液がカキ落とされるので、これらのことが相俟つ
て、プランジヤーの上下往復運動において取扱い
液を外部へ持ち出す量が抑制され、大気への飛散
がなくなるものである。

〔実施例〕

本考案の一実施態様を図面に基づいて詳細に説
明する。

第１図は本考案の竪型プランジヤーポンプのグ
ランド構造を説明するためのスタツフイングボツ
クス部の一部側面断面図である。

第１図において、シリンダ１の上部にスタツフ
イングボツクスが取り付けられている。スタツフ
イングボツクス２内のほぼ中央部にはプランジヤ
ー３が垂直に立設され、プランジヤー３の一部は
シリンダ１内に挿入されている。スタツフイング
ボツクス２とプランジヤー３との間には、シリン
ダ側からネツクブツシユ４、パツキング５、スペ
ーサ６およびパツキングリング８が夫々図の如く
挿入されている。

さらにグランドリング１５が挿入され、該グラ
ンドリング１５の上部に本考案のグランド構造を
したグランド１６が挿入されている。グランド１
６とバーレルフランジ１７とはネジ部１８で螺着
されている。またグランド１６はロツクナツト１
９によりネジ部２０でロツクされる。

本考案の主要部であるグランド１６の構造は、
グランド１６の上端部内周壁で、プランジヤー３
との間に適度な大気導入用の隙間Ａを設ける。こ
のグランド１６内周壁の上下端部の間には、上記
大気導入用の隙間Ａより大きく、かつプランジヤ
ー３に付着する取扱い液とは接触しない内径大の
空洞部２２を設けてある。そして、グランド１６
の上下端部には上記空洞部２２の上下部に連通す
るキリ孔２１ａ，２１ｂをそれぞれ適宜の間隔で
設け、上端部のキリ孔２１ａの開口はグランド１
６上部に臨ませ、この上部に溜まる取扱い液の回
収用とし、また、下端部のキリ孔２１ｂはその開
口をドレーン配管１３に通じる連通路に臨ませ
て、取扱い液の排出用としてある。さらに、上記
空洞部２２の上端部から上記大気導入用の隙間Ａ
下部にわたつては、隙間周縁にプランジヤー３の
上昇行程においてその表面に付着する液滴をカキ
落とすためのスクレーパ２２ａを、キリ孔２１ａ
の下端からプランジヤー３側に向かつて下り勾配
に形成してある。また、同様に空洞部２２下端部
のプランジヤー３との隙間周縁にも、プランジヤ
ー３の下降行程において液滴をカキ落とすための
スクレーパ２２ｂを、キリ孔２１ｂからプランジ
ヤー３側に向かつて上り勾配に形成してある。

以上のように構造することにより、プランジヤ
ー３の上下往復運動によつて大気導入用の隙間Ａ
ではベルヌーイの定理が作用して、プランジヤー
の発生速度に相当する分だけ静圧が低下する。静
圧低下の度合はプランジヤー３の表面が最も低下
し、プランジヤー３から遠ざかるにつれて低下の
度合が減少することになる。したがつて、プラン
ジヤー３表面の圧力低下は、グランド１６上端部
の大気導入用の隙間Ａ部位が最も大きく圧力差も
最大となるので、プランジヤー３の下降行程にお
いて大気圧側より大気導入用の隙間Ａを通じて空
気が導入されることになる。この結果、空気の流
通は静圧低下の最も大きい大気導入用の隙間Ａか
ら次第に圧力落差が小さくなる空洞部２２、キリ
孔２１ｂへと流通し、大気に臨ましたドレーン配
管１３へと矢印の如く生じ、プランジヤー３に付
着した取扱い液は、空気の流通で下方に落とされ
キリ孔２１ｂから排出される。また、プランジヤ
ー３の上昇行程において、プランジヤー３に付着
した取扱い液は、空洞部２２上端部のスクレーパ
２２ａによつて下方にカキ落とされるので、また
プランジヤー３の下降行程においては、空洞部２
２下端部のスクレーパ２２ｂでカキ落とされるの
で、キリ孔２１ｂからドレーン配管１３へと排出
されることになる。さらに、空洞部２２の内周壁
に付着した液滴は、壁づたいに落下しキリ孔２１
ｂから排出される。

これらが相乗的に作用して、プランジヤー３の
上下往復運動において、取扱い液は大気へ飛散す
ることなくドレーン配管１３側に排出される。な
お、大気導入用の隙間Ａの間隔および長さは、空
気の流通が空洞部２２を通つてドレーン配管１３
へ起こり、取扱い液がドレーン配管１３より排出
されるに足りればよく、種々のポンプで適宜決め
ればよい。

プランジヤー３の上下往復運動でリークした取
扱い液、例えば水が空洞部２２の(a)で飛散し(b)の
内周壁に付着したものは、(b)の内周壁に付着しな
がら落下し、キリ孔２１ｂを通りドレーン配管１
３に排出される。

(c)および(d)付近でプランジヤー３に付着してい
る水滴は、プランジヤー３の上昇行程において(e)
でスクレープされ、(b)の内周に付着しながら落下
し、キリ孔２１ｂを通りドレーン配管１３に排出
される。

また、(d)および(f)付近でプランジヤー３に付着
している水滴は、プランジヤー３の下降行程にお
いて(a)でスクレープされ、キリ孔２１ｂを通りド
レーン配管１３に排出される。 大気導入用の隙
間Ａ内に付着した水滴は、空気の流通によつて空
洞部２２へ落下されることになる。空気の流通に
より、大気導入用の隙間Ａはシールされる作用が
施されて常にシールが得られる。

〔考案の効果〕

本考案の竪型プランジヤーのグランド構造によ
ると、プランジヤーの上下往復運動によ、大気圧
側より大気導入用の隙間を通じて空気が導入さ
れ、空洞部、キリ孔、ドレーン配管へと通じる大
気の連通路を形成するので、プランジヤーに付着
した取扱い液を空気の流通で下方のキリ孔側に落
としてドレーン配管から排出する。また、プラン
ジヤーに付着した取扱い液は、プランジヤーの上
昇行程において、空洞部上端部のスクレープによ
つて下方にカキ落とされるので、空洞部からキリ
孔を経てドレーン配管へと排出される。さらに、
空洞部の内周壁に付着した液滴は、壁づたいに落
下しキリ孔から排出される。

したがつて、これらが相乗的に作用して、プラ
ンジヤーの上下往復運動時に使用する取扱い液
は、上昇行程においてグランド外に持ち出されて
大気へ飛散することなく、常時ドレーン配管側に
排出される。しかも、大気導入用の隙間には、大
気の流通によりシール性が施されることになる。

また、グランドにパツキングが取り付かないた
め長時間の運転でも、従来に比べて数段と耐久性
に富む。さらに、取扱い液が大気へ飛散すること
がないので、取扱い液でシリンダを浸すことが全
くなく有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の竪型プランジヤーポンプのグ
ランド構造を説明するための一部側面断面図であ
る。第２図のイおよびロは従来の竪型プランジヤ
ーポンプのグランド構造を説明する一部側面断面
図である。 Ａ……大気導入用の隙間、１……シリンダ、２
……スタツフイングボツクス、３……プランジヤ
ー、５……パツキング、１６……グランド、１３
……ドレーン配管、２１ａ，２１ｂ……キリ孔、
２２……空洞部、２２ａ，２２ｂ……スクレー
パ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 パツキンでシールされている竪型プランジヤー
   ポンプのプランジヤーを上下往復運動せしめるた
   めのグランド構造であつて、 前記グランドの上部内周壁とプランジヤーとの
   間に大気導入用の隙間を設け、前記グランドの上
   下部内周壁の間に前記隙間より大きく前記プラン
   ジヤーに付着する取扱い液とは接触しない内径大
   の前記隙間から導入される大気の流通路となる空
   洞部を設け、前記空洞部の下端部には外部に通じ
   るドレーン配管側と空洞部を連通する大気の流通
   路となる取扱い液排出用のキリ孔を設け、さらに
   前記空洞部上端部の隙間周縁に前記プランジヤー
   に付着する取扱い液をカキ落とすための下方に向
   けたスクレーパを設けたことを特徴とするプラン
   ジヤーポンプのグランド構造。