JPH04364882A - ヘアカッターの刃の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、互いに摺動する刃で頭
髪やヒゲを切断するヘアカッターの刃の製造方法に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】互いに摺動する刃で毛髪やヒゲを切断さ
せるバリカンやカミソリ等のヘアカッターの刃は、一般
に刃物鋼板でできているが、この種の刃は摺動する際に
発生する金属音や毛髪や皮膚に付着した水分、特に塩分
を含む汗により発生する錆、及び磨耗による切れ味の低
下に対して種々の工夫が必要である。

【０００３】上記の課題に対し、格別の対策を施す必要
のない材料としてセラミックス材を用い、コーム状に列
設してなる切刃を持つヘアカッターの刃を製造すると、
切刃エッジの欠損を防ぎつつ切刃エッジを鋭利にさせる
工夫が必要であり、その為に素材選定は重要なポイント
となる。

【０００４】ぜい性材料であるセラミックスにおいて、
部分安定化ジルコニアは抜群の靭性を持つ材料であり、
これを使うことで上記の切刃エッジの課題を解決するこ
とが可能である。

【０００５】部分安定化ジルコニアの靭性の発現は、結
晶中に含まれる正方晶が応力を受けると応力誘起変態に
より単斜晶へと変化し、その際の体積膨張により亀裂の
進行を阻止することによるものである。

【０００６】従って、部分安定化ジルコニアの焼結品に
おいて、いかに正方晶含有率を高めるかが、靭性、更に
は強度を高めるポイントである。

【０００７】特公昭６１−２１１８４号においては、焼
結品中の正方晶含有率を高める為には焼結品の平均結晶
粒径を２μｍ以下にすることが必要であると述べられて
いる。この様に、焼結品中の平均結晶粒径を２μｍ以下
にすることで、焼結温度付近の高温域で安定な正方晶が
、室温域で安定な単斜晶へと変化せず準安定状態で維持
される。

【０００８】上記の方法では、平均結晶粒径が２μｍ以
下であることがポイントであるが、焼結品中の結晶粒径
は焼結工程中の熱履歴に大きく依存する。即ち、高温度
で焼結されるほど、結晶粒径は大きくなる。一方、焼結
品の粒子間の結合、高密度化も熱履歴に依存し、高温度
になるほど高密度化が進行する。この様に、結晶粒径の
成長と高密度化は相反する関係にある。

【０００９】従って、特公昭６１−２１１８４号の方法
によれば、平均結晶粒径を２μｍ以下に抑える条件では
、場合によっては焼結品の高密度化が十分進行せず、結
果的には正方晶含有率の向上による強度向上よりも、密
度不足に起因する強度低下が上回り、全体として強度が
低下することも起こりうる。

【００１０】更に、特公昭６１−２１１８４号の方法で
は、極めて厳重な温度管理を要し、炉内の均熱度の問題
より大量生産には適さないという課題があった。

【００１１】この発明は斯かる課題を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、部分安定化ジ
ルコニアを用いたヘアカッターの刃において、切刃エッ
ジの欠損を起こさず、高強度なヘアカッターの刃を複雑
な制御や管理を要することなく、大量生産を可能にする
製造方法を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
、本発明は、Ｙ２Ｏ３で部分安定化させたＺｒＯ２粉末
を焼結させてつくるヘアカッターの刃の製造方法におい
て、上記粉末に有機材料を主体としたバインダを添加し
、任意の成形手段により所望の形状に成形後、バインダ
を除去し、所定の焼結温度に加熱した後、急激に冷却す
ることにより正方晶含有量を高めることを特徴とする。

【００１３】

【作用】前記構成により、本発明によれば、粉末を成形
後、所定の焼結温度に加熱して急激に冷却することによ
り、焼結品中の結晶粒径にとらわれることなく、部分安
定化ジルコニア焼結品の強度発現のポイントとなる正方
晶の含有量を高めることが可能となる。しかも、各工程
における厳密な管理や制御の必要がなく、大量生産に適
するという利点を有する。

【００１４】

【実施例】以下、図面に基づき本発明のこのましい実施
例を説明する。図１において、ヘアカッターの刃板１は
平均粒径０．８　μｍの粒子からなる部分安定化ジルコ
ニアを焼結させてできたものである。この刃板１の端縁
２には、複数個の切刃３がコーム状に列設されている。 この切刃３は結晶粒径が１〜５μｍ程度のもので構成さ
れており、平均粒径は３μｍ程度である。

【００１５】次に、上記ヘアカッターの刃の製造方法を
説明する。図２及び図３は、コーム状に列設してなる複
数個の切刃３に対応して歯切り形成された歯切部４を有
する成形材料注入部５が、下型６と前記下型６と結合す
る上型７とで矢印Ａ方向から射出成形される金型８を示
す。

【００１６】この様にして構成された金型８に、図４の
ように、部分安定化ジルコニア粉末とバインダとの混合
物を注入して成形する工程９を経て、刃板の成形材料が
得られる。前記刃板の成形材料を、３５０℃ないし６０
０℃で加熱炉内で加熱後室温に冷却して脱バインダ処理
する第２の工程１０を経て、焼結した後、急激なスピー
ドで室温まで冷却させる工程１１を経て刃は完成する。

【００１７】すなわち、バインダが除去された素材１２
を図５に示すごとく、ヒータ１３を有する断熱材１４、
１５からなり、更に、冷却エアー送風用ブロアー１６、
冷却制御用コントロール弁１７を備えた加熱炉で１４０
０℃から１６００℃で加熱して焼結した後、−１００℃
／　ｈｒ好ましくは−３００℃／　ｈｒの冷却スピード
で室温まで冷却させる工程１１を経て刃は完成する。

【００１８】図６に、上記の焼結工程１１での実施例の
条件を示すが、この条件で焼結させた部分安定化ジルコ
ニア製ヘアカッターの刃は平均結晶粒径が３〜４μｍで
あるが、正方晶は８５％程度、残りは立方晶で単斜晶は
全く含まれず、１２０　ｋｇ／ｍｍ２　の強度を保って
いる。

【００１９】尚、本実施例で使用した炉は、温度分布が
±１０℃程度と特に精密でもない一般的なものであるに
もかかわらず、１回の焼結工程で２０００枚ものヘアカ
ッターの刃の製造が可能である。

【００２０】本実施例中の部分安定化ジルコニアとは、
Ｙ２Ｏ３／ＺｒＯ２　のモル比が３／９７のものを示す
が、特にこれに限定するものではなく、正方晶が室温で
準安定相として存在し得る成分構成であればよい。また
、成形方法も射出成形に限定されるものではない。

【００２１】

【発明の効果】本発明は以上説明した通り、Ｙ２Ｏ３で
部分安定化させたＺｒＯ２粉末を焼結させてつくるヘア
カッターの刃の製造方法において、上記粉末に有機材料
を主体としたバインダを添加し、任意の成形手段により
所望の形状に成形後、バインダを除去し、所定の焼結温
度に加熱した後、急激に冷却することにより正方晶含有
量を高めることで、焼結品中の結晶粒径にとらわれるこ
となく、部分安定化ジルコニア焼結品の強度発現のポイ
ントとなる正方晶の含有量を高めることが可能であり、
厳密な管理や制御の必要なく、大量生産が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によって得られたヘアカッターの刃の斜
視図である。

【図２】本実施例に用いた成形金型の正面図である。

【図３】成形金型の平面図である。

【図４】本実施例の工程を示す図である。

【図５】本実施例の加熱炉の断面図である。

【図６】代表的な焼結条件を示す図である。

【符号の説明】

１・・・刃板 ２・・・端縁 ３・・・切刃 ４・・・歯切部 ５・・・成形材料注入部 ６・・・下型 ７・・・上型 ８・・・金型 １２・・・バインダが除去された素材 １３・・・ヒータ １４，１５　・断熱材 １６・・・冷却エアー送風用ブロアー １７・・・冷却制御用コントロール弁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　Ｙ２Ｏ３で部分安定化させたＺｒＯ２
   粉末を焼結させてつくるヘアカッターの刃の製造方法に
   おいて、上記粉末に有機材料を主体としたバインダを添
   加し、任意の成形手段により所望の形状に成形後、バイ
   ンダを除去し、所定の焼結温度に加熱した後、急激に冷
   却することにより正方晶含有量を高めることを特徴とし
   たヘアカッターの刃の製造方法。