JPH0435744Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 利用産業分野 この考案は、液化天然ガスを気化するためのオ
ープンラツク型蒸発装置に係り、熱交換パネルの
下部ヘツダータンクに発生するボーイング現象を
防止して、定常運転時及び過渡期運転時の安定性
およびパネルの長寿命化を図つた蒸発装置に関す
る。

背景技術 オープンラツク型蒸発装置は、例えば、直径方
向に一対のフインを突出させたフインチユーブを
フイン方向に配列して一枚のパネル状となし、そ
の上下端部にヘツダータンクを設けて熱交換パネ
ルを構成し、該パネルを複数連立配置して、各パ
ネルの上方に配設した散水器より熱媒体の海水を
熱交換パネル面に流下させる構造である。

従来の蒸発装置において、運転中、散水される
海水等の熱媒体が、水平配置された下部ヘツダー
タンクの上外周部で飛散して、下外周部に流下す
る熱媒体が少なくなる等、下部ヘツダータンクの
上下方向の温度差に起因して、ヘツダータンクが
弓なりに変形する所謂ボーイング現象が発生し、
フインチユーブの下部、特に、組立時のヘツダー
タンクとの溶接のために組立時フインを切除した
部分が曲り、かつ溶接肉盛部の応力集中による応
力の増大によつて同部及び装置が損傷する恐れが
あるなど耐久性に問題があつた。

また、このボーイング現象を防止する目的で、
下部ヘツダータンクに外部からの入熱を制限する
防熱構造を付設する技術（特公昭56−34758号公
報）が提案されている。

しかし、上記蒸発装置において、熱媒体として
海水を散水し、液化天然ガスを気化させた場合、
その装置の起動および停止の過渡期運転時、液化
天然ガスの気体と液体との密度差のために、下部
ヘツダータンクの下側内周面のみに低温の液体の
天然ガスが接触し、下部ヘツダータンクの上下方
向に大きな温度差を発生し、ボーイング現象を防
止するには不十分である。また、上記の防熱構造
は海水による構造材の腐食等の問題を生じること
がある。

考案の目的 この考案は、上述の現状に鑑み、下部ヘツダー
タンクに発生するボーイング現象を防止してパネ
ルの寿命を延長でき、かつ構造が簡単で付設が容
易な構成のオープンラツク型蒸発装置を目的とし
ている。

考案の構成 この考案は、フインチユーブを連立し上下端に
ヘツダータンクを設けて熱交換パネルを構成し、
該パネル上方に各々配設した散水器より散水して
液化ガスを蒸発させるオープンラツク型蒸発装置
において、各下部ヘツダータンク外周部の下面部
に、長手方向にわたる少なくとも１枚の補強部材
を突設したことを特徴とするオープンラツク型蒸
発装置である。

この考案において、下部ヘツダータンクの下面
部に設ける補強部材は、前記断面剛性が得られか
つ該ヘツダータンクへ熱を与えることができるも
のであれば、その材質や形状は問わないが、運転
時の熱交換等を疎外せず、且つ変形を伴なわない
ように、熱交換パネルの構成や寸法などに応じ
て、形状や材質を適宜選定する必要がある。

この考案において、補強部材を付設する箇所
は、下部ヘツダータンクの入口部、または、その
反対側となるエンドキヤツプ部を除いた主要長
部、あるいは下部ヘツダータンクの下面の全長に
わたる等、当該下部ヘツダータンクの上下面の温
度差やその分布、あるいは熱交換パネルの構成な
どに応じて適宜選定すればよい。

また、補強部材の付設方法は、ヘツダータンク
と一体のものや溶接によるもの、その他の方法で
止着したものなど、断面剛性を増大させることが
できる突設方法であれば、いかなる方法でもよ
い。

考案の効果 この考案は、熱交換パネルの下部ヘツダータン
クの下面部の長手方向に、例えば、全長にわたつ
てあるいは両端を除く中央部に、長尺の細幅板状
の補強部材の１枚あるいは複数枚を、板幅方向を
突出方向として配置することにより、 断面剛性材 熱交換フイン として機能するため、 下部ヘツダータンクにおける温度変化により
生ずる熱荷重モーメントに対し、軸断面の剛性
が向上し、ボーイングを減少させ、フインチユ
ーブに掛る応力を緩和し、フインチユーブ取り
付け部の損傷を防止し、熱交換パネルの耐久性
を向上させる。

熱交換フインとして積極的に受熱し、下部ヘ
ツダータンクの上下面の温度差を減少させる結
果、下部ヘツダータンクの上下面の温度差に起
因して発生するボーイング現象によるフインチ
ユーブの下部フイン切除部への応力を、低減さ
せることにより、フインチユーブ取り付け部の
損傷を防止し、熱交換パネルの耐久性を向上さ
せる効果が得られる。

また、補強部材を突設するだけの簡単な構成で
あるが、上記の如く、フインチユーブの下部フイ
ン切除部への応力の低減効果が高く、既設、新設
を問わずその設置が容易でかつ安価な利点があ
る。

図面に基づく考案の開示 以下に、この考案を実施例の図面に基づいて詳
述する。第１図はこの考案によるオープンラツク
型蒸発装置の斜視説明図である。第２図と第３図
はこの考案による種々形状の受熱部材を示す下部
ヘツダータンク部の斜視説明図である。

第１図に示す如く、オープンラツク型蒸発装置
は、直径方向に複数対のフインを突出させたフイ
ンチユーブをフイン方向に配列して一枚のパネル
状となし、その上端及び下端部にヘツダータンク
２，３を設けて熱交換パネル１を構成し、この熱
交換パネル１を複数並列吊支し、各上部ヘツダー
タンク２と下部ヘツダータンク３はそれぞれ１本
のマニホールド４（下部マニホールドのみ図示）
に直交接続され、各熱交換パネル１の上方に配設
した散水器（図示せず）より熱媒体の海水を熱交
換パネル１面に流下させる構造である。

なお、フインチユーブの下端部は、フインを切
除したフイン無部となつており、このフイン無部
を下部ヘツダータンク３の外周部上端に溶接によ
り立設している。

各下部ヘツダータンク３の長手方向下面には、
それぞれに細幅板材からなる補強部材１０が、幅
方向を突出方向として、長手端面部が固着されて
いる。補強部材１０は、下部ヘツダタンク３の入
口側で、かつフインチユーブを立設した箇所の下
面からエンドキヤツプ側へ、フインチユーブ立設
長さの部分にだけ付設した例を示す。以下の実施
例も同様であるが、これに限定するものでないの
は前述のとおりである。

上述の構成からなる蒸発装置において、マニホ
ールド４にて分配供給された、極低温の液化ガス
が、下部ヘツダータンク３に入ると、海水の散水
落下にともない、下部ヘツダータンク３の上面と
下面との間に温度差を生じて、下部ヘツダータン
ク３がその入口側を下方へ弓なりとなる変形が発
生する。

しかし、補強部材１０を下部ヘツダータンク３
に付設することにより、その軸断面の剛性が向上
し、ボーイングを減少させ、フインチユーブにに
掛る応力を緩和し、さらに、下部ヘツダータンク
３の上下面の温度差が、補強部材１０を付設しな
い従来の場合に比較して、約半分程度となり、熱
交換パネル１の寿命が４〜５倍も延長される。

第２図に示す補強部材１１は、第１図の補強部
材１０と同様の板材を２枚用いて、下部ヘツダー
タンク３下面の長手方向に、並列突設したもので
ある。

また、第３図の補強部材１２は、第１図の補強
部材１０と同様の板材を２枚用いて、下部ヘツダ
ータンク３下面の長手方向に、下部ヘツダータン
ク３の軸心から放射状に突設したものである。

上記のいずれの補強部材１１，１２も、第１図
の補強部材１０と同様の作用効果を示す。

補強部材には、第１図の細幅板状の補強部材１
０のほか、種々の形状のものが採用できることは
前述のとおりである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるオープンラツク型蒸発
装置の斜視説明図である。第２図と第３図はこの
考案による種々形状の補強部材を示す下部ヘツダ
ータンク部の斜視説明図である。 図中、１……熱交換パネル、２……上部ヘツダ
ータンク、３……下部ヘツダータンク、４……マ
ニホールド、１０，１１，１２……補強部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フインチユーブを連立し上下端にヘツダータン
   クを設けて熱交換パネルを構成し、該パネル上方
   に各々配設した散水器より散水して液化ガスを蒸
   発させるオープンラツク型蒸発装置において、各
   下部ヘツダータンク外周部の下面部に、長手方向
   にわたる少なくとも１枚の補強部材を突設したこ
   とを特徴とするオープンラツク型蒸発装置。