JPH0434822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は歯科医が作つた患者の歯型を歯科技工
士が分割復位式模型に加工する場合に、台型とな
る二次石膏中に埋め込む固着用ピンが固形化前の
流動性石膏のなかで、模型を正しい姿勢に保持す
る様に、下端部を変形することに関する。

［従来の技術］ 傷んだ歯に金冠などの補綴物を被せたり取付け
たりする場合、患者の口腔の中で施術時間を短く
するためと、直接目で見ながら正確に成型できる
事などのために、歯科医はその歯を前後の歯と共
に石膏型にとつて歯科技工士に送る。

技工士はその石膏歯型に適合した補綴物を正確
に且つ容易に作るために、その石膏歯型に更に加
工して扱い易い模型に変化させる。その模型は４
種類に分類できるが、本考案はその中で最も一般
的に用いられる分割復位式模型に関する。

分割復位式模型について簡単に説明する。その
１例を第６図に示す。歯科医から来た一次石膏よ
りなる歯型１は歯ぐきから下部分がなく、取扱に
不便であり且つ下面は凸凹であるため、下面を平
面に削つた後、二次石膏によつて台型２を取付け
る。この作業はゴム製の平底の模型枠３を使用し
てその中に二次石膏を流すか、又は平板の上に二
次石膏泥を盛り上げた中に、歯型１の下面の穴に
上部を接着剤で固定したピン７の下端を、模型枠
３の平板まで差し込み、歯型１の下面が二次石膏
の表面に没する状態にして固化させる。

台型２を取り付けられた歯型１には可撤部位と
固着部位とがあり、可撤部位の下に固定するピン
は台型２から抜け易いものを使用し、固着部位に
固定するピンは、台型２から抜けないものを使用
して、その後の加工を容易にする。

台型２を取り付けた歯型１は第６図に示す様に
可撤部位である補綴する歯型４を、固着部位とな
る前後歯型５から鋸にて切離し、更に一次と二次
石膏とが離れ易い事を利用して、台型２から抜き
差し自由ぬするため、補綴する歯型４の下にはダ
ウエルピン６と称する勾配付きピンを固定する。
台型２の固着部位となる前後歯型５には、一次と
二次の石膏がよく固着する様に歯型下面に凸凹を
刻んだり、錆びたピンや木ねじ７等を固定する。

ダウエルピン６とは上部は表面に凸凹を付け、
接着剤と共に補綴する歯型４の下面の穴に押込み
抜けない様にし、二次石膏に入る部分は勾配を付
けた上クロムメツキを施して抜け易い様に構成さ
れたピンである。

以上が分割復位式模型の従来の構造であるが、
局部的歯型においてはダウエルピン６や固着用ビ
ンが略一直線に並ぶ事になり、注意していないと
流動状の二次石膏内で、歯型１を水平に維持する
事ができずに傾斜した模型が出来上がる。従つて
歯型１に台型２を取付ける作業は一度に多数実施
する事ができず、少数づつ注意しながら二次石膏
を急速硬化させる方法を取らざるを得ず、これに
対する注意のために多くの時間を空費していた。

［考案が解決しようとする問題点］ 石膏に通常割合で水を混合したものは一時的に
は上記ピン付き歯型を支える能力はあるが、極め
て振動に敏感で直ちに流動性を増し、付近を人が
通るだけでも歯型は傾く。本考案では二次石膏の
流動性が増しても歯型が傾斜しない様に固着用ピ
ンの構造を変える事を目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案においては固着する前後歯型５に取付け
る直線形ピンの下端部を、模型枠３の底又は平板
等の水平面に２点以上で接触する様に変形し、ピ
ン列が作る直線の両側に張り出して歯型１を支持
する構造にする。ピン下端部の形状としては、二
股形、水平直線形、水平平面図形等である。

［実施例］ 第１例は第１図に示す様にピンの下端部を分割
して二股９にする。尚ピンの上端部の表面は凸凹
型８が付けられ、前後歯型５の下面の穴に接着剤
と共に挿入され固定されている。

第２例は第２図の様に１本の針金を折り重ね、
折つた部分を凸凹型８を付けて前後歯型５に固定
し、下部を開いて二股形９にしたものである。

第３例はピンの下端部を折り曲げて直立の２等
辺三角形１０を作るか若しくは第３図の点線の様
にその一斜辺を省略したものである。

第４例は第４図の如くピンの下端を直角に折り
曲げ、それを折り返し重ねて逆Ｔ字形１１を形
成、若しくは別の針金を溶着して逆Ｔ字形１１を
形成するものである。

第５例はピンの下端を円形、三角形、四角形若
しくは第５図に示す半円形１２などの水平図形に
したものである。

尚第３例、第４例及び第５例の平面との接触部
は中央が高い曲線でも、２点以上で接触するもの
であればよい。

［作用］ 上記の各形状のピンを前後歯型の下部に固定
し、下方の平面との接触点をピンの並ぶ線の直角
方向に張り出す様に配置すれば、歯型は二次石膏
内で放置しても傾斜する事はなくなる。

［考案の効果］ 本考案によれば上記多接触点を有するピンを固
定した歯型を、石膏を流し込んだ多数の模型枠又
は盛り上げた石膏泥に、一度に多数差し込んで固
形化を待つのみで、何らの注意も必要でなく、そ
の間他の仕事を実施することが出来て多大の作業
時間を節減すると同時に、失敗作品もなくなり作
業能率が大幅に向上する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係る歯型の一次石膏と二次石膏を
固定するピンの各種形状を示すもので、第１図よ
り第４図までは各ピンの側面図、第５図はピンの
斜視図、第６図は従来の分割復位式模型の側面図
のピン埋込み部以下を断面にした図で、木ねじを
使用した例を示す。 １……歯型、２……台型、３……模型枠、４…
…補綴する歯の歯型、５……前後歯型、６……ダ
ウエルピン、７……木ねじ、８……凸凹型、９…
…二股形、１０……２等辺三角形、１１……逆Ｔ
字形、１２……半円形。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 歯型１に上部を固定したピンの下部を、台型
   ２となる流動性石膏中に埋め込み固化して、歯
   型１と台型２を固着する工程において、補綴す
   る歯の歯型４の前後歯型５と台型２との固着用
   ピンの下端部を、水平面に２点以上で接触する
   構造にした歯型と石膏台型固着用ピン。 (2) 固着用ピンの下端部を分割して二股形にした
   請求項(1)記載の歯型と石膏台型固着用ピン。 (3) 針金を折り曲げて重ね、折つた部分を前後歯
   型５に固定し、下端部を二股状に開いた請求項
   (1)記載の歯型と石膏台型固着用ピン。 (4) 固着用ピンの下端部を折り曲げて、直立の２
   等辺三角形を形成し又はその一斜辺を省略した
   請求項(1)記載の歯型と石膏台型固着用ピン。 (5) 固着用ピンの下端部を逆Ｔ字形に形成した請
   求項(1)記載の歯型と石膏台型固着用ピン。 (6) 固着用ピンの下端部を折曲げて水平な円形、
   半円形、三角形、四角形等の平面図形を形成し
   た請求項(1)記載の歯型と石膏台型固着用ピン。