JPH04346802A - 円筒状多層吸着材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，繊維状活性炭を含有し
た層と糸巻き層及び繊維層を有し，水処理用として好適
な円筒状多層吸着材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来，用水中の懸濁物質や溶存物質を除
去するための濾過材としては，糸巻フィルターや中空糸
膜フィルター等があり，これらの多孔性円筒状フィルタ
ーをハウジングに装着し，被処理水を前記フィルターの
外側から流入させ，フィルター層を通過させて内側から
排水するものである。

【０００３】上記フィルターは，被処理水中の懸濁物質
は比較的よく除去することができるが，被処理水中の着
色成分，臭気成分や残留塩素は除去することはできない
。したがって，被処理水中の着色成分，臭気成分や残留
塩素を除去するためには，たとえば粒状活性炭を充填し
た濾過装置を使用する必要がある。しかしながら，粒状
活性炭を充填した濾過装置を併用する場合，コストの上
昇あるいは設置スペースの増大，作業性の悪化等の問題
がある。

【０００４】また，粒状活性炭を接着剤等で円筒状に成
形したフィルターも用いられている。このフィルターは
，粒状活性炭が接着されて成形されているので，被処理
水が通過する際に懸濁物質は濾過により，また溶存物質
，たとえば残留塩素は粒状活性炭の吸着により除去され
る。

【０００５】しかしながら，上記したフィルターは，被
処理水が通過する部分の厚みに限度があり，通過時間が
短いので，溶存物質を充分には除去できない。また，接
着剤によって一部の活性炭粒子が被覆されるため，着色
成分，臭気成分や残留塩素の吸着能力が小さい。これら
を除去するには，フィルターを大型化して比較的低流速
で濾過しなければならず，設備が高価になるという欠点
がある。さらに，粒状活性炭を接着剤で固めているとは
いえ，取り扱い中に炭塵が発生する等の問題がある。

【０００６】また，最近では，粒状活性炭に代えて繊維
状活性炭を用いたフィルターも提案されている。このフ
ィルターは水中の塩素臭をよく吸着するという特徴があ
る。しかしながら，繊維状活性炭だけで構成されたフィ
ルターでは，繊維状活性炭が被処理水中の懸濁物質によ
ってすぐに目詰まりし，着色成分，臭気成分や残留塩素
等を吸着できなくなるという欠点がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は，上記の欠点
を解消し，被処理水中の懸濁物質はもちろんのこと，着
色成分，臭気成分や残留塩素等の溶存物質を効率よく除
去することが可能であり，しかも被処理水の通過性がよ
い円筒状多層吸着材を提供することを技術的な課題とす
るものである。

【０００８】本発明は，上記の課題を解決するもので，
次の構成を有する。 （１）　繊維状活性炭を３０％以上含有する円筒状吸着
材層の内側に繊維層を設けるとともに，円筒状吸着材層
の外側に糸巻き層を設けてなることを特徴とする円筒状
多層吸着材。

【０００９】（２）　繊維状活性炭を３０％以上含有す
る円筒状吸着材層の内側及び外側に繊維層を設けるとと
もに，外側の繊維層の外側に糸巻き層を設けてなること
を特徴とする円筒状多層吸着材。

【００１０】以下，本発明について詳細に説明する。図
１及び図２は，本発明の円筒状多層吸着材の実施態様を
示す断面図である。図１の円筒状多層吸着材は，最外層
から最内層に向かって糸巻き層１，円筒状吸着材層２，
繊維層３の順で有している。また，図２の円筒状多層吸
着材は，最外層から最内層に向かって糸巻き層１，繊維
層４，円筒状吸着材層２，繊維層３の順で有している。 また，図中５は，繊維層３を支持する有孔円筒体である
。

【００１１】円筒状吸着材層は，繊維状活性炭を３０％
以上，好ましくは５０％以上含有していることが必要で
ある。円筒状吸着材層における繊維状活性炭が３０％未
満になると，被処理水中の着色成分，臭気成分や残留塩
素等の溶存物質を効率よく除去することができなくなる
。

【００１２】本発明における繊維状活性炭は，セルロー
ス系再生繊維，アクリル繊維，フェノール系繊維，石炭
系ピッチ繊維等の前駆体繊維を適当な雰囲気下に　４０
０℃以下の温度で不融化処理を施し，さらに　５００℃
以上の温度で賦活化処理を施すことによって得ることが
できる。 また，繊維状活性炭は比表面積５００　〜２５００ｍ２
／ｇのものが好ましい。

【００１３】また，繊維状活性炭とともに円筒状吸着材
を形成する繊維としては，ポリエステル，共重合ポリエ
ステル，ポリオレフィン，ポリアミド等が使用される。

【００１４】さらに，円筒状吸着材層の密度は，０．０
８〜０．２４ｇ／ｃｍ３　の範囲が好ましく，特に０．
１２〜０．２ｇ／ｃｍ３がよい。この密度が　０．０８
ｇ／ｃｍ３未満では，円筒状吸着材層の外側に繊維を巻
き付ける際に，型くずれが起こりやすく好ましくない。 一方，０．２４ｇ／ｃｍ３　を超えると，圧力損失が大
きくなり，やはり好ましくない。

【００１５】円筒状吸着材層を繊維層の外側に形成する
方法としては，繊維状活性炭を他の繊維と混合し，カー
ド機等によりシート化したものや，湿式で抄造したシー
トを繊維層の上からスパイラル状に巻き付ける方法や，
繊維状活性炭と熱可塑性高分子を微粉末化して水性スラ
リーとし，このスラリーを繊維層の外側に供給して繊維
層の内側から吸引する湿式成形法等がある。

【００１６】次に，円筒状吸着材層の内側や外側に形成
する繊維層の目付は１０〜２００　ｇ／ｍ２，特に２０
〜１５０　ｇ／ｍ２が好ましい。目付が１０ｇ／ｍ２未
満では微粒子の除去性が低下する。一方，目付が２００
ｇ／ｍ２　を超えると，微粒子の除去性は良好であるが
圧力損失が大きくなり好ましくない。

【００１７】繊維層を形成するための繊維は，特に限定
されるものではないが，熱処理により成形可能な熱可塑
性合成繊維が好ましい。熱可塑性合成繊維としては，ポ
リエステル，共重合ポリエステル，ポリオレフィン，ポ
リアミド等の各種合成高分子からなる繊維が使用される
。また，低融点の熱可塑性合成高分子を鞘成分とし，高
融点の熱可塑性合成高分子を芯成分とした複合繊維も好
ましく使用される。複合繊維の場合，高融点の熱可塑性
合成高分子と，低融点合成高分子は同系のものが望まし
いが，親和性があれば異なる合成高分子の組み合わせで
もよい。

【００１８】上記の繊維層を形成する方法としては，例
えばスパンボンド法で得られる長繊維系の不織布や，カ
ード法で得られる短繊維系の不織布等を有孔円筒体にス
パイラル状に巻き付ける方法がある。

【００１９】本発明の円筒状多層吸着材の最外層を構成
する糸巻き層は，円筒状吸着材層や円筒状吸着材層の外
側の繊維層の上から長繊維や紡績糸等の糸条をワインダ
ーで巻き付けて形成されている。

【００２０】糸巻き層を形成する繊維としては，ポリエ
ステル系，ポリオレフィン系，ポリアミド系繊維等を使
用できるが，粒子除去用に加工された繊維が好ましい。 上記繊維の使用に際しては，フィルターとしての性能評
価を行い，目的，用途に応じた繊度，性能の繊維を選択
すればよい。

【００２１】本発明の円筒状多層吸着材を使用するに際
しては，ハウジング内に装着し，被処理水を糸巻き層側
から流入させ，図１の場合，円筒状吸着材層，繊維層の
順に通過させ，また，図２の場合，繊維層，円筒状吸着
材層，繊維層の順に通過させて内側から排水するもので
ある。

【００２２】本発明の円筒状多層吸着材によれば，糸巻
き層，円筒状吸着材層及び繊維層を有しているので，比
較的大きな粒子は糸巻き層で除去し，着色成分，臭気成
分，残留塩素等の溶存物質は円筒状吸着材層を構成する
繊維状活性炭で除去し，さらに微粒子や円筒状吸着材層
を構成する繊維状活性炭から発生する炭塵を繊維層で除
去することができる。このように比較的大きな粒子を糸
巻き層で除去した被処理水を円筒状吸着材層に通すので
，繊維状活性炭が被処理水中の懸濁物質によって目詰ま
りすることがなく，繊維状活性炭の機能を充分に発揮さ
せることが可能であり，圧力損失が小さく，懸濁物質や
着色成分，臭気成分，残留塩素等の溶存物質の除去性能
に優れている。

【００２３】

【実施例】次に，本発明の円筒状多層吸着材を実施例に
より具体的に説明する。

【００２４】実施例１，２及び比較例１まず，ポリエス
テルを芯成分，ポリエチレンを鞘成分とする複合繊維か
らなる目付５０ｇ／ｍ２の不織布を，外径３４ｍｍ，長
さ２５０　ｍｍで開口率４０％の有孔円筒体に巻き付け
て繊維層を形成した。

【００２５】次に，石炭ピツチを　２７０℃で溶融紡糸
してウエツブ状に捕集し，次いで　２８０℃で不融処理
を施した後，８５０℃のスチーム中で賦活して目付３０
０ｇ／ｍ２，比表面積１０００ｍ２／ｇの繊維状活性炭
ウエッブを得た。この繊維状活性炭ウエッブと，ポリエ
ステルとポリエチレンの芯鞘複合繊維を微粉末化して水
性スラリーを調製し，上記繊維層の外側に水性スラリー
を供給して有孔円筒体の内側から吸引し，脱水，成型し
た後，１３０℃で６０分間の熱処理を行い，繊維層の表
面に円筒状吸着材層を設けた。

【００２６】次いで，市販されている公称２５μｍの粒
子を除去できるポリプロピレン繊維を，通常のワインダ
ーで巻き付けて糸巻き層を形成し，図１に示す円筒状多
層吸着材を得た（実施例１）。この吸着材は，糸巻き層
の外径６０ｍｍ，　円筒状吸着材層の外径４２ｍｍ，　
長さ２５０ｍｍ　のものであった。

【００２７】また，ポリエステルを芯成分，ポリエチレ
ンを鞘成分とする複合繊維で構成された目付７０ｇ／ｍ
２の不織布からなる繊維層を円筒状吸着材層の外側にも
設ける以外は，上記と同様にして図２に示す円筒状多層
吸着材を得た（実施例２）。

【００２８】さらに，比較用として，公称３μｍの粒子
を除去できるポリプロピレン繊維を，有孔円筒体に巻き
付けて外径６０ｍｍ，長さ２５０ｍｍの濾過材を作成し
た（比較例１）。

【００２９】次に，上記で得られた円筒状多層吸着材に
ついて，鉄さびの除去性能を下記の条件で試験し，目視
で判定した。 通　　水　　量　　　　　　４リットル／ｍｉｎ水酸化
第二鉄　　　　５ｍｇ／リットル水　　　　　　温　　
　　　　２０℃ 得られた結果を表１に示す。

【００３０】また，残留塩素除去性能を下記の条件で試
験した。 通　　水　　量　　　　　　４リットル／ｍｉｎ初期塩
素濃度　　　　２ｐｐｍ 破　　過　　点　　　　　　０．４ｐｐｍ水　　　　　
　温　　　　　　２０℃ 得られた結果を表１に示す。

【００３１】

【表１】

【００３２】上記の通水試験の結果，実施例１，２の吸
着材では，鉄分がリークするまでの通水量が多く，また
，残留塩素除去能力６０００リットル，圧力損失０．１
　ｋｇ／ｃｍ２　以下と良好であり，目詰まり等による
通水不能もなかった。

【００３３】

【発明の効果】上述したように，本発明の円筒状多層吸
着材は，最外層に糸巻き層を有しており，これにより比
較的大きな粒子を除去して円筒状吸着材層を構成する繊
維状活性炭の目詰まりを防止し，繊維状活性炭で着色成
分，臭気成分，残留塩素等の溶存物質を除去することが
できる。

【００３４】また，円筒状吸着材層の内側や外側に設け
た繊維層で比較的細かい粒子や円筒状吸着材層を構成す
る繊維状活性炭から発生する炭塵を除去することができ
る。したがって，圧力損失が小さく，コンパクトな吸着
材とすることが可能となり，飲用水等の濾過フィルター
や，メッキ液の老廃物除去フィルターとして好適な吸着
材である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の円筒状多層吸着材の一実施態様を示す
断面図である。

【図２】本発明の円筒状多層吸着材の他の実施態様を示
す断面図である。

【符号の説明】

１　　糸巻き層 ２　　円筒状吸着材層 ３　　繊維層 ４　　繊維層 ５　　有孔円筒体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　繊維状活性炭を３０％以上含有する円
   筒状吸着材層の内側に繊維層を設けるとともに，円筒状
   吸着材層の外側に糸巻き層を設けてなることを特徴とす
   る円筒状多層吸着材。
2. 【請求項２】　　繊維状活性炭を３０％以上含有する円
   筒状吸着材層の内側及び外側に繊維層を設けるとともに
   ，外側の繊維層の外側に糸巻き層を設けてなることを特
   徴とする円筒状多層吸着材。