JPH0434254B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は閃光放電灯の製造方法に関するもので
ある。

最近写真の撮影時に照明用光源として閃光放電
灯が用いられるようになつてきている。このよう
な閃光放電灯としては、小型であり、しかも需要
の増大に見合う大量生産が可能であつて、製造コ
ストの低いものであることが望まれている。

従来の閃光放電灯の製造方法においては、第１
図に示すように、ハンダ付可能な例えばニツケル
製のリード棒１にタングステン製の陽極棒２を溶
接し、この陽極棒２のリード棒１との接続端部に
封着用のガラスビース３を設けて陽極部材４を形
成し、第２図に示すように、例えばニツケル製の
リード棒５にタングステン製の支持棒６を溶接
し、この支持棒６の先端に電子放射性焼結体より
成る陰極体７を溶接し、前記支持棒６のリード棒
５との接続端部に封着用のガラスビーズ８を設け
て陰極部材９を形成する。次に、第３図に示すよ
うに、両端開口のガラス管１３の一端開口から、
当該ガラス管１３内に陰極部材９を挿入し、ガラ
ス管１３の一端部内に陽極部材４をその陽極棒２
がガラス管１３内に位置するよう保持せしめ、こ
の状態でガラス管１３の一端部をガスバーナなど
により加熱溶融せしめて、ガラスビーズ３に気密
に溶着する。次にガラス管１３の一端１１をスト
ツパー１０を利用してマニホルダーに装着して、
加熱雰囲気下において、ガラス管１３内の排気、
陰極体７のガス出し、及びキセノンなどの封入ガ
スの導入を行ない、第４図に示すように、ガラス
管１３の仮封止用狭隘部１２を加熱溶融せしめて
当該ガラス管１３を仮封止してその外側の部分を
除去する。次に第５図に示すように、ガラス管１
３内の陽極棒２及びこれと直接対向する陰極体７
との間に形成されるアーク発生領域１５の長さを
所定の長さとした状態において、陰極部材９のガ
ラスビーズ８を囲むガラス管部分をガスバーナに
より加熱溶融せしめてガラスビーズ８に気密に溶
着し、その後第６図に示すように、不要となつた
ストツパー１０が位置する側のガラス管部分を除
去する。そして第７図に示すように、アーク発生
領域１５を囲むガラス管１３の外周壁には透明導
電性膜より成るトリガー電極１６を設ける。

以上のようにして閃光放電灯が製造されるが、
しかしながらこのような製造方法によれば、得ら
れる閃光放電灯は、アーク発生領域１５の長さ即
ちアーク長ｌに比して全長Ｌが相当に大きなもの
となり、実際にアーク長ｌが例えば20mmの場合に
は全長Ｌを小さくしても40mm程度が限度でありア
ーク長ｌの２倍以上の長さとなつて、閃光放電灯
の小型化を達成することが困難である。そして上
述の製造方法は、複雑な工程を有し、基本的には
一品毎に製造を行なう単品製造方法であり、従つ
て大量生産することは相当に困難である上、得ら
れる製品の寸法精度にバラツキが生じ易く、さら
に陰極部材９とガラス管１３との溶着に先立つて
ガラス管１３を仮封止する工程を含むので、最終
製品即ち閃光放電灯に実質上必要とされる長さに
対して相当に長いガラス管１３を用いることが必
要であり、例えば実質上必要とされる長さが20mm
である場合にはガラス管１３として約150mm程度
の長さのものが必要であり、このため、不要とな
つて除去されるガラス管部分が相当に大きく、結
局製造コストが相当に高くなる。

本発明は以上の如き事情に基いてなされたもの
であつて、小型な閃光放電灯を得ることができ、
しかも製造工程が簡単であり、従つて大量生産が
可能となつて同一規格の製品を確実に得ることが
でき、結局製造コストを低くすることができる閃
光放電灯の製造方法を提供することを目的とし、
その特徴とするところは、一面に凹所を形成して
成るヒータの当該凹所内に、端板部とその外周よ
り立ち上がる周壁部とを有する皿状の金属キヤツ
プを備えた電極部材を保持すると共にガラス管の
開口端部が前記金属キヤツプの周壁部に衝合する
よう当該ガラス管の開口端部を凹所内に保持し、
前記ヒータにより前記ガラス管の開口端部を加熱
溶融せしめ更に前記ガラス管をヒータに接近する
方向に変位せしめて当該ガラス管の端部を凹所内
に強制的に圧入することにより、ガラス管の端部
を金属キヤツプの周壁部の両面および端板部の内
面に溶着せしめ、これにより気密封止部を形成す
る工程を含む点にある。

以下図面によつて本発明を詳細に説明する。

第８図は本発明方法を実施する上で好適に用い
ることができる装置の一例を示し、１７はベルジ
ヤーであつて、このベルジヤー１７の内部には、
例えば炭素製板状の抵抗発熱用ヒータ１８が水平
に固定して配置され、このヒータ１８の上面に
は、上面穴径が後述するガラス管３９の外径より
やや大きい上広がりの封止部形成用の凹所１９
が、例えば第９図に示すように、碁盤目状に多数
例えば数百個設けられている。２１はヒータ用電
源である。ヒータ１８の上方にはガラス管保持用
の例えばステンレス製の保持板２２が水平に配置
され、この保持板２２は、ヒータ１８の側方にお
いてベルジヤー１７に固定して設けた例えばステ
ンレス製の支枠２３に固定され、当該保持板２２
には、ヒータ１８の凹所１９の各々の直上位置に
後述するガラス管３９の外径と略等しい穴径の支
持用貫通孔２４が設けられている。支枠２３の上
部にはヒータ１８に対向して水平に押圧板２５が
上下動及び取外し自在に設けられ、この押圧板２
５はプレス機構２６により上下動される。前記ベ
ルジヤー１７の底壁部２８には、ベルジヤー１７
内に貫通して伸びるよう、キセノンガスなどの封
入ガスを導入する封入ガス導入管２９、窒素ガ
ス、アルゴンガスなどの不活性ガスを導入する不
活性ガス導入管３０、他端が真空ポンプに接続さ
れた排気管３１がそれぞれ接続されている。

以上の装置により次のようにして閃光放電灯を
製造する。

即ち、第１０図に示すように、平坦な端板部８
１とその外周より立ち上がる周壁部８２とより成
る皿状であつて、例えばコバール（商品名）金属
より成る金属キヤツプ３２の当該端板部８１の内
面にこれより突出するようタングステン製の陽極
棒３３を溶接せしめて陽極部材３４を形成し、第
１１図に示すように、上述の金属キヤツプ３２と
同様の金属キヤツプ３５の当該端板部８１の内面
にこれより突出するようタングステン製の支持棒
３６を溶接し、この支持棒３６の先端に電子放射
性焼結体より成る陰極体３７を溶接して陰極部材
３８を形成する。次に第１２図に示すように、陽
極部材３４を、その金属キヤツプ３２がヒータ１
８の凹所１９内に位置され陽極棒３３の先端が上
方に向くよう載置せしめることにより、陽極部材
３４の各々をそれぞれ凹所１９内に保持せしめ
る。次に例えばホウケイ酸ガラスより成る両端開
口のガラス管３９の一端を保持板２２の支持用貫
通孔２４内を貫通せしめてその一端内部に陽極部
材３４の陽極棒３３が位置し金属キヤツプ３２の
周壁部８２の端縁がガラス管３９の一端面と衝合
するよう直下の凹所１９内に位置せしめることに
より、ガラス管３９の各々をそれぞれ凹所１９内
に垂立した状態に保持せしめる。そしてベルジヤ
ー１７内を不活性ガス雰囲気とした上で、ヒータ
１８に通電してこれを温度約1000℃±100℃程度
に昇温せしめ、これにより各ガラス管３９の一端
を溶融せしめ、更にプレス機構２６により押圧板
２５を下方に押下せしめることにより、各ガラス
管３９をヒータ１８に接近する方法に変位せしめ
各ガラス管３９の一端を各凹所１９内に強制的に
圧入せしめて、各ガラス管３９の一端を陽極部材
３４の金属キヤツプ３２の周壁部８２の両面及び
端板部８１の内面に溶着せしめ、これにより一方
の気密封止部を形成する。

次に一端に陽極部材３４が溶着されたガラス管
３９の各々を各凹所１９から取外し、第１３図に
示すように、陰極部材３８を、その金属キヤツプ
３５がヒータ１８の凹所１９内に位置され陰極体
３７が上方に向くように載置せしめることによ
り、陰極部材３８の各々をそれぞれ凹所１９内に
保持せしめる。そして前記ガラス管３９の他端を
保持板２２の支持用貫通孔２４内を貫通せしめ
て、その他端内部に陰極部材３８の陰極体３７が
位置し金属キヤツプ３５の周壁部８２の端縁がガ
ラス管３９の他端面と衝合するよう直下の凹所１
９内に位置せしめることにより、ガラス管３９の
各々をそれぞれ凹所１９内に垂立した状態に保持
せしめる。そしてベルジヤー１７内を排気して減
圧下において、ヒータ１８に通電して加熱しなが
ら陰極部材３８の陰極体３７のガス出しを行な
い、その後ベルジヤー１７内にキセノンガスなど
の封入ガスを所定のガス圧となるよう導入して各
ガラス管３９内に封入ガスを存在せしめる。この
状態においてヒータ１８の温度を約1000℃±100
℃程度に昇温せしめ、これにより各ガラス管３９
の他端を溶融せしめ、更にプレス機構２６により
押圧板２５を下方に押下せしめることにより、各
陽極材３４の金属キヤツプ３２の背面に下方に圧
力を加えて各ガラス管３９をヒータ１８に接近す
る方向に変位せしめ各ガラス管３９の他端を各凹
所１９内に強制的に圧入せしめて、各ガラス管３
９の他端を陰極部材３８の金属キヤツプ３５の周
壁部８２の両面及び端板部８１の内面に溶着せし
め、これにより他方の気密封止部を形成し、以つ
て封体を形成する。

そしてガラス管３９の各々を各凹所１９から取
り外し、適宜の手段により、第１４図に示すよう
に各ガラス管３９のアーク発生領域４０を囲む当
該ガラス管３９の外周壁には透明導電性膜より成
るトリガー電極４１を設け、以つて閃光放電灯を
得る。

このような方法によれば、複雑な工程を要する
ことなく、従来に比して大幅に簡単な工程で閃光
放電灯を製造することができる。即ち、ヒータ１
８に凹所１９を設けて、この凹所１９内に、陽極
部材３４の金属キヤツプ３２または陰極部材３８
の金属キヤツプ３５を保持すると共にガラス管３
９を垂立せしめて保持し、この状態でヒータ１８
によりガラス管３９の端部を加熱溶融せしめ、当
該端部に陽極部材３４の金属キヤツプ３２または
陰極部材３８の金属キヤツプ３５を気密に溶着し
て封止部を形成するため、従来に比して作業が大
幅に簡単であり、しかもこれらの作業は熟練を必
要とせずいわば機械的に行なうことができ、その
上短時間で封止部を形成することができるので、
従つて大量生産が可能となつて寸法精度にバラツ
キのない同一規格の製品を確実に得ることがで
き、しかもガラス管３９は閃光放電灯に実質上必
要とされる長さのものであればよく、従来のよう
に最終的に不要となつて除去される部分を必要と
しないので、これらの結果製造コストの低い閃光
放電灯を得ることできる。そして皿状の金属キヤ
ツプ３２及び金属キヤツプ３５をガラス管３９の
両端に気密に溶着せしめて封止部を形成するた
め、封止に要する部分の長さが小さくなり、しか
も当該金属キヤツプ３２及び３５はリードを兼ね
るため、閃光放電灯の全長Ｌは金属キヤツプ３２
の端板部８１と金属キヤツプ３５の端板部８１と
の間の長さとなり、同一のアーク長を得る場合に
おいて従来の製造方法に比して全長Ｌを大幅に小
さくすることができる。因みにアーク長Ｌが20mm
の場合には全長Ｌを25mmにまで小さくすることが
できる。そしてヒータ１８に多数の凹所１９を設
けておくことにより、ヒータ１８の一回の通電に
より同時に多数のガラス管３９について封止部を
形成することができ、従つて単位時間当たりの製
造本数を飛躍的に増大せしめることができる。

また、ガラス管３９を溶融せしめると共に当該
ガラス管３９を下方に押圧せしめて溶融部分を凹
所１９内へ強制的に圧入せしめるようにしている
ので、ガラス管３９と陽極部材３４の金属キヤツ
プ３２または陰極部材３８の金属キヤツプ３５と
の溶着が確実となり、高い気密性を得ることがで
き、しかも寸法精度をさらに一層高いものとする
ことができる。

そして、金属キヤツプ３２及び３５の周壁部８
２をガラス管３９の端部内にいわば埋め込むよう
にして溶着することにより、より強固に固着した
封止部を形成することができ、良好な気密を得る
ことができると共に耐久性の大きな封止部を得る
ことができる。

以上のように本発明は、一面に凹所を形成して
成るヒータの当該凹所内に、端板部とその外周よ
り立ち上がる周壁部とを有する皿状の金属キヤツ
プを備えた電極部材を保持すると共にガラス管の
開口端部が前記金属キヤツプの周壁部に衝合する
よう当該ガラス管の開口端部を凹所内に保持し、
前記ヒータにより前記ガラス管の開口端部を加熱
溶融せしめ更に前記ガラス管をヒータに接近する
方向に変位せしめて当該ガラス管の端部を凹所内
に強制的に圧入することにより、ガラス管の端部
を金属キヤツプの周壁部の両面および端板部の内
面に溶着せしめ、これにより気密封止部を形成す
る工程を含むことを特徴とする閃光放電灯の製造
方法であるから、小型な閃光放電灯を得ることが
でき、しかも製造工程が簡単であり、従つて大量
生産が可能となつて同一規格の製品を確実に得る
ことができ、結局製造コストを低くすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第７図は従来の閃光放電灯の製造方法
を工程順に示す説明図、第８図〜第１４図は本発
明方法の一実施例を工程順に示す説明図である。 １……リード棒、２……陽極棒、３……ガラス
ビーズ、４……陽極部材、５……リード棒、６…
…支持棒、７……陰極体、８……ガラスビーズ、
９……陰極部材、１０……ストツパー、１２……
仮封止用狭隘部、１３……ガラス管、１５……ア
ーク発生領域、１６……トリガー電極、１７……
ベルジヤー、１８……ヒータ、１９……凹所、２
２……保持板、２３……支枠、２４……支持用貫
通孔、２５……押圧板、２６……プレス機構、２
９……封入ガス導入管、３０……不活性ガス導入
管、３１……排気管、８１……端板部、８２……
周壁部、３２……金属キヤツプ、３３……陽極
棒、３４……陽極部材、３５……金属キヤツプ、
３６……支持棒、３７……陰極体、３８……陰極
部材、３９……ガラス管、４０……アーク発生領
域、４１……トリガー電極。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一面に凹所を形成して成るヒータの当該凹所
   内に、端板部とその外周より立ち上がる周壁部と
   を有する皿状の金属キヤツプを備えた電極部材を
   保持すると共にガラス管の開口端部が前記金属キ
   ヤツプの周壁部に衝合するよう当該ガラス管の開
   口端部を凹所内に保持し、 前記ヒータにより前記ガラス管の開口端部を加
   熱溶融せしめ更に前記ガラス管をヒータに接近す
   る方向に変位せしめて当該ガラス管の端部を凹所
   内に強制的に圧入することにより、ガラス管の端
   部を金属キヤツプの周壁部の両面および端板部の
   内面に溶着せしめ、これにより気密封止部を形成
   する工程を含むことを特徴とする閃光放電灯の製
   造方法。