JPH04330789A - 酸化物超電導体を用いて超電導接合を形成する方法 - Google Patents

酸化物超電導体を用いて超電導接合を形成する方法

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JPH04330789A
JPH04330789A JP3155695A JP15569591A JPH04330789A JP H04330789 A JPH04330789 A JP H04330789A JP 3155695 A JP3155695 A JP 3155695A JP 15569591 A JP15569591 A JP 15569591A JP H04330789 A JPH04330789 A JP H04330789A
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thin film
film layer
superconducting
mgo
oxide
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JP3155695A
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Saburo Tanaka
三郎 田中
Shusuke Nakanishi
秀典 中西
Hideo Itozaki
秀夫 糸▲崎▼
Takashi Matsuura
尚 松浦
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導接合の形成方法に
関するものであり、特に、基板上に第1の酸化物超電導
体薄膜層と非超電導体薄膜層と第2の酸化物超電導体薄
膜層とをこの順番で積層することによって超電導接合(
superconducting junction)
を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジョセフソン素子(Josephson
 Junction)や酸化物超電導体と半導体を組み
合わせた超電導トランジスタ等のデバイスを作る場合に
は、基板上に少なくとも1層の超電導材料の薄膜層とそ
の他の薄膜層とを形成する必要がある。以下の説明では
、本発明をジョセフソン素子に用いられるジョセフソン
接合の形成方法について主として説明するが、本発明は
ジョセフソン接合以外の超電導薄膜デバイスの製造に応
用することも可能である。ジョセフソン接合とよばれる
超電導接合には各種の形式があるが、最も単純な構造は
一対の超電導体の間に薄い非超電導体の層を挟んだトン
ネル型のジョセフソン接合である。実際には、基板上に
積層した第1の超電導体薄膜層/非超電導体薄膜層/第
2の超電導体薄膜層の順番で成膜された積層体を微細加
工することによって、トンネル型の超電導接合素子が作
られる。トンネル型の超電導接合における非超電導体薄
膜層の厚さは、超電導体のコヒーレンス長によって決ま
る。金属系の超電導材料を用いたトンネル型の超電導接
合素子の試作は既にいくつか発表されているが、酸化物
系の超電導材料を用いたトンネル型の超電導接合素子を
作成するには種々の課題を解決しなければならないため
、酸化物系の超電導材料を用いたトンネル型超電導接合
の作製例は少ない。その理由としては下記を挙げること
ができる:
【0003】先ず、酸化物超電導材料はコヒ
ーレンス長が非常に短いため、酸化物超電導材料を用し
たトンネル型超電導接合では非超電導体薄膜層の厚さを
数nm程度に薄くしなければならない。さらに、超電導
薄膜デバイスの特性を良くするには、上記の各薄膜層は
結晶性が良くなければならず、全ての薄膜層が単結晶で
あるのが好ましく、上記の各薄膜層の中に多結晶やアモ
ルファスの薄膜があると、ジョセフソン素子の特性が安
定しない。特に、非超電導体薄膜層の上に第2の超電導
体薄膜層を結晶性よく形成しなければならないが、従来
方法では、非超電導体薄膜の結晶性が良くないため、そ
の上に積層される第2の酸化物超電導薄膜の結晶性も悪
く、第2の超電導体薄膜層を結晶性よく形成するのは困
難であった。 単結晶の薄膜は、トンネル型ジョセフソン素子だけでな
く、酸化物超電導体と半導体を組み合わせた超電導トラ
ンジスタ等の素子でも同様に要求される。従って、従来
方法で作ったトンネル型超電導接合は、酸化物超電導体
と非超電導体膜との界面状態が良好でないため、所望の
電気特性は得られなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は従来技
術の問題点を解決して、酸化物超電導体薄膜層上に結晶
性のよい薄膜が成膜できるようにすることによって、実
用的使用可能な高温酸化物超電導材料を用いた超電導接
合を形成できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点から
提供される方法は、基板上に第1の酸化物超電導体薄膜
層と非超電導体薄膜層と第2の酸化物超電導体薄膜層と
をこの順番で積層することって超電導接合を形成する方
法において、非超電導体薄膜層をMgOの薄膜層によっ
て構成し、このMgOの薄膜層を形成する際に基板を 
200〜400 ℃の温度に加熱することを特徴とする
方法にある。
【0006】MgOの薄膜層の厚さは1〜10nmにす
るのが好ましい。第1と第2の酸化物超電導体薄膜層お
よび非超電導体薄膜層は物理蒸着法で形成するのが好ま
しく、特に、MgOの薄膜層と第2の超電導体薄膜とは
真空蒸着法で形成するのが好ましい。また、第1の酸化
物超電導体薄膜層はa軸配向膜またはc軸配向膜である
のが好ましい。第1および第2の酸化物超電導体薄膜層
はY−Ba−Cu−O系複合酸化物、Bi−Sr−Ca
−Cu−O系複合酸化物およびTl−Ba−Ca−Cu
−O系複合酸化物によって構成される群の中から選択さ
れる1種であるのが好ましく、基板はMgOの単結晶基
板 (100)面であるのが好ましい。特に好ましくは
、MgOの薄膜層を第1の酸化物超電導体薄膜層上に成
膜する前に、第1の酸化物超電導体薄膜層と非超電導体
薄膜層とを有する基板を 600〜650 ℃の範囲の
温度に加熱する。この加熱は酸素雰囲気下で行うのが好
ましい。
【0007】本発明の第2の観点から提供される方法は
、基板上に第1の酸化物超電導体薄膜層と非超電導体薄
膜層と第2の酸化物超電導体薄膜層とをこの順番で積層
することによって超電導接合を形成する方法において、
非超電導体薄膜層を第2の酸化物超電導体薄膜層上に成
膜する前に、第1の酸化物超電導体薄膜層と非超電導体
薄膜層とを有する基板を 600〜650 ℃の範囲の
温度に加熱することを特徴とする方法にある。
【0008】
【作用】先ず、本発明方法によって作られる超電導接合
構造を図1を用いて説明する。図1は、本発明によって
作られる超電導接合の概念的な断面図であり、この超電
導接合は、基板4上に第1の酸化物超電導体薄膜層1と
、非超電導体であるMgOの薄膜層3と、第2の酸化物
超電導体薄膜層2とがこの順番で積層された構造をして
いる。
【0009】本発明方法の第1の特徴は非超電導体薄膜
層をMgOの薄膜層によって構成し、このMgOの薄膜
層を形成する際に基板を 200〜400 ℃の温度に
加熱する点にある。すなわち、基板温度が 200℃未
満の場合には、形成されたMgO薄膜層の結晶性が悪く
なり、アモルファス状態となる。逆に基板温度が 40
0℃を超えると、形成したMgO層が多結晶になって、
所望の超電導接合を形成することはできない。本発明方
法では、MgO薄膜層の厚さも重要であり、MgO層の
厚さは1〜10nmにするのが好ましい。MgO層の厚
さが1nm未満では、MgO層をむらなく均一に形成す
るのが困難であり、また、MgO薄膜層の結晶性も悪く
なる。逆に、MgO層の厚さが10nmを超えると結晶
性が乱れて第2の酸化物超電導体薄膜層を正確に積層で
きなくなり、また、所望のコヒーレンス長が得られなく
なる。従って、MgOの薄膜層の厚さは1〜10nmに
する。
【0010】本発明の第1および第2の酸化物超電導体
薄膜層および非超電導体薄膜層は任意の方法で形成する
ことができるが、一般にはスパッタリング法、真空蒸着
法、分子ビームエピタキシ法等の物理蒸着法で形成する
のが好ましい。なお、化学的蒸着法を用いることもでき
る。本発明の好ましい実施態様では、第1の超電導体薄
膜層をスパッタリング法、真空蒸着法、分子ビームエピ
タキシ法等の方法で形成し、MgO層と第2の超電導体
薄膜層は、下層に与える影響が少ない点から、真空蒸着
法で形成する。
【0011】本発明方法の第2の特徴は第1の超電導体
薄膜層と第2の超電導体薄膜層の結晶方向を互いに一致
させることができる点にある。すなわち、第1の超電導
体薄膜層をc軸配向の薄膜にした場合には、第2の超電
導体薄膜層もc軸配向の薄膜となり、第1の超電導体薄
膜層をa軸配向の薄膜にした場合には、第2の超電導体
薄膜層もa軸配向の薄膜となる。これらの超電導体薄膜
層の結晶方向は用途に応じて選択することができる。超
電導体薄膜層の配向方向は、一般に、基板の加熱温度を
変えることによって行うことができる。一例として、Y
−Ba−Cu−O系複合酸化物の薄膜をMgOの単結晶
基板の (100)面上にスパッターで成膜する場合に
は、基板温度を約 630℃に加熱するとc軸配向のY
−Ba−Cu−O複合酸化物薄膜となり、約 600℃
に加熱するとc軸配向のY−Ba−Cu−O複合酸化物
薄膜となる。
【0012】本発明方法で用いられる第1および第2の
酸化物超電導体薄膜層は公知の任意の複合酸化物超電導
材料で構成することができる。特に好ましい複合酸化物
超電導材料しては、Y1Ba2Cu3O7−X 等のY
−Ba−Cu−O系複合酸化物、Bi2Sr2Ca2C
u3Ox 等のBi−Sr−Ca−Cu−O系複合酸化
物およびTl2Ba2Ca2Cu3Ox 等のTl−B
a−Ca−Cu−O系複合酸化物を挙げることができる
。特に、Y1Ba2Cu3O7−Xは結晶性のよい高品
質な薄膜が安定に得られるので好ましく、Bi2Sr2
Ca2Cu3Ox およびTl2Ba2Ca2Cu3O
x は超電導臨界温度Tc が高いので好ましい。第1
および第2の酸化物超電導体薄膜層とMgOの薄膜層の
本発明で定義した以外の成膜条件は、通常の知識を有す
る当業者が公知の成膜条件の中から適宜選択することが
できる。基板材料は特に限定されないが、酸化物の単結
晶基板を用いるのが好ましい。酸化物の単結晶基板とし
ては一般にMgO、SrTiO3,  LaAlO3,
LaGaO3,  YSZ等を用いることができるが、
本発明では特にMgOの単結晶基板の (100)面を
成膜面として用いるのか好ましい。
【0013】本発明方法の好ましい実施態様では、第2
の酸化物超電導体薄膜層を非超電導体薄膜層のMgOの
薄膜層を上に成膜する前に、MgOの薄膜層の表面を 
600〜650℃の範囲の温度に予め加熱する。この加
熱操作によって、第2の酸化物超電導体薄膜層が成膜さ
れる非超電導体薄膜層MgOの表面を清浄にし、第2の
酸化物超電導体薄膜層の品質を向上させることができる
。この非超電導体薄膜層の表面の清浄方法は、非超電導
体薄膜層がMgO以外の場合にも応用することができる
【0014】従って、本発明の第2の観点によって提供
される方法は、非超電導体薄膜層上に第2の酸化物超電
導体薄膜層を成膜する前に、第1の酸化物超電導体薄膜
層と非超電導体薄膜層とを有する基板を 600〜65
0 ℃の範囲の温度に予め加熱することを特徴としてい
る。この場合、第2の酸化物超電導体薄膜層が成膜され
る非超電導体薄膜層としては、上記MgOの他に、Sr
TiO3、LaAlO3、LaGaO3 等の酸化物の
層を挙げることができる。 この表面清浄方法は、第1の酸化物超電導薄膜層の形成
手段と、その上に形成される他の薄膜層(非超電導体薄
膜層および第2の酸化物超電導体薄膜層)の形成手段と
が異なる場合に特に有効である。例えば、第1の酸化物
超電導薄膜層をスパッタリング法で形成し、その上に非
超電導体薄膜を真空蒸着法で形成する場合には、第1の
酸化物超電導薄膜を有する基板をスパッタリング装置の
チャンバーから真空蒸着装置のチャンバーへ移送しなけ
ればならないが、この移送時に酸化物超電導薄膜は大気
に触れて表面が変質するので、上記の加熱を行うことに
よって、大気に触れて変質した酸化物超電導薄膜の表面
を改質することができる。
【0015】この加熱温度は 600℃未満では効果が
なく、酸化物超電導薄膜の表面は清浄にならない。逆に
、 650℃超える温度にまで加熱した場合には、酸化
物超電導薄膜が再結晶したり、基板上に形成された第1
の酸化物超電導薄膜層中に基板材料の成分が拡散して、
第1の酸化物超電導薄膜層が劣化する。この加熱時間を
少なくとも5分間以上行うのが好ましい。上記の表面清
浄方法に用いられる操作条件は、非超電導体薄膜として
MgOを用いた場合に説明した上記の操作条件と同じに
することができる。以下、本発明の実施例を説明するが
、以下の実施例は本発明の技術的範囲をなんら限定する
ものではない。
【0016】
【実施例】
実施例1 先ず、MgOの単結晶基板の (100)面上にスパッ
タリング法によって第1の超電導体薄膜層となるY1B
a2Cu3O7−X の組成を有する超電導薄膜を形成
した。本実施例では、基板温度を変えることによって、
c軸配向およびa軸配向のY1Ba2Cu3O7−X 
超電導薄膜を形成した。主要な成膜条件を以下に示す:     基板温度            c軸配向膜
を形成する場合   630℃           
             a軸配向膜を形成する場合
   600℃    スパッタリングガス  Ar 
 8 SCCMO2 4 SCCM ガス圧力            5×10−2 To
rr膜厚                300 n
m次に、こうして得られた第1の超電導体薄膜層を有す
る基板をスパッタリング装置から取り出して、真空蒸着
装置のチャンバーへ移送し、第1の超電導体薄膜層上に
、非超電導体薄膜層となるMgO薄膜を真空蒸着法で形
成した。主要な成膜条件は以下の通り: 基板温度                 400℃
ガス圧力                4×10−
4 Torr膜厚                 
    5 nmさらに、同じ真空蒸着装置のチャンバ
ー中で、上記で得られたMgO薄膜上に第2の超電導体
層となるY1Ba2Cu3O7−X 超電導薄膜層を同
じく真空蒸着法で形成した。主要な成膜条件は以下の通
り: 基板温度                 630℃
ガス圧力                4×10−
4 Torr膜厚                 
    200 nm上記手順で作製された超電導接合
では、第1のY1Ba2Cu3O7−X 超電導体薄膜
層がc軸配向の場合には、第2のY1Ba2Cu3O7
−X 超電導体薄膜層もc軸配向になり、また、第1の
Y1Ba2Cu3O7−X 超電導体薄膜層がa軸配向
の場合には、第2のY1Ba2Cu3O7−X 超電導
体薄膜層もa軸配向になるということは、各超電導接合
の断面の走査型電子顕微鏡 (SEM)の像から確認さ
れた。第2図(a) は第1と第2のY1Ba2Cu3
O7−X 超電導体薄膜がc軸配向をしている超電導接
合の走査型電子顕微鏡写真であり、第2図(b) は第
1と第2のY1Ba2Cu3O7−X 超電導体薄膜が
a軸配向をしている超電導接合の走査型電子顕微鏡写真
である。第2図(a) および(b) のいずれの超電
導接合においても、第1および第2のY1Ba2Cu3
O7−X 超電導体薄膜を構成する結晶は、同一の結晶
方向に配向している。また、中間のMgO薄膜層と第1
および第2のY1Ba2Cu3O7−X 超電導体薄膜
との間の界面は非常にシャープで、極端に大きな乱れは
ない。
【0017】実施例2 実施例1と同じ操作を繰り返したが、第1および第2の
超電導体薄膜層をY1Ba2Cu3O7−X ではなく
、Bi2Sr2Ca2Cu3Ox に代えた。この場合
の主要な成膜条件は以下の通り:     基板温度            c軸配向膜
を形成する場合   660℃           
             a軸配向膜を形成する場合
   630℃    スパッタリングガス  Ar 
 8 SCCMO2 4 SCCM ガス圧力            5×10−2 To
rr膜厚                300 n
m第1の超電導薄膜層上に真空蒸着法で形成するMgO
薄膜の主要な成膜条件を以下の通り: 基板温度                 400℃
ガス圧力                4×10−
4Torr膜厚                  
   5 nm次に、このMgO薄膜上に真空蒸着法で
形成する第2の超電導体層となるBi2Sr2Ca2C
u3Ox 超電導薄膜の主要な成膜条件は以下の通り: 基板温度                 660℃
ガス圧力                  4×1
0−4 Torr膜厚               
      200 nmこの実施例でも、実施例1の
場合と同様に、第1のBi2Sr2Ca2Cu3Ox 
超電導体薄膜層がc軸配向の場合には、第2のBi2S
r2Ca2Cu3Ox 超電導体薄膜層もc軸配向にな
り、また、第1のBi2Sr2Ca2Cu3Ox 超電
導体薄膜層がa軸配向の場合には、第2のBi2Sr2
Ca2Cu3Ox 超電導体薄膜層もa軸配向になると
いうことが、各超電導接合の断面の走査型電子顕微鏡(
SEM) の像から確認され、第1および第2のBi2
Sr2Ca2Cu3Ox 超電導体薄膜を構成する結晶
は、同一の結晶方向に配向しており、また、中間のMg
O薄膜層と第1および第2のBi2Sr2Ca2Cu3
Ox 超電導体薄膜との間の界面は非常にシャープで、
極端に大きな乱れはなかった。
【0018】実施例3 実施例1の操作を繰り返したが、本実施例ではMgO薄
膜の成膜時の基板温度を変えて形成した。図3はその結
果を示したものであり、この図には、第1の酸化物超電
導薄膜であるY1Ba2Cu3O7−X 上に形成され
たMgO薄膜の表面の凹凸状態およびこのMgO薄膜の
結晶方向の基板温度依存性を示している。このMgO薄
膜の凹凸状態および結晶方向走査型電子顕微鏡写真から
評価したものである。 図3のグラフから分かるように、基板温度が 400℃
を超えると第1の酸化物超電導薄膜であるY1Ba2C
u3O7−X 上に形成されたMgO薄膜の表面の平滑
性が悪くなり、また、基板温度が 200℃未満ではこ
のMgO薄膜がアモルファスとなることを示している。 また、基板温度が 400℃を超えると、第2の酸化物
超電導薄膜であるY1Ba2Cu3O7−X が成長す
る下地層であるMgO薄膜の成長面に (100)面の
みでなく(110) 面も含まれるようになるため、結
晶性が悪化することを示している。従って、第1の酸化
物超電導薄膜と同じ成長面上に第2の酸化物超電導薄膜
を成長させるのに必要な表面が平滑で且つ結晶性に優れ
た (100)面を有するMgO薄膜を形成するために
は、MgO薄膜の成膜時の基板温度を 200〜400
 ℃としなければならない。
【0019】実施例4 本実施例では、MgO薄膜を成膜する前に、第1の酸化
物超電導薄膜を熱処理した。先ず、MgOの単結晶基板
の (100)面上にスパッタリング法によって第1の
超電導体薄膜層となるY1Ba2Cu3O7−X の組
成を有する超電導薄膜を形成した。主要な成膜条件を以
下に示す:基板温度                
630 ℃スパッタリングガス  Ar  8 SCC
MO2 4 SCCM ガス圧力                5×10−
2 Torr膜厚                 
    300 nm次に、この第1の酸化物超電導薄
膜を形成したMgO基板を真空蒸着装置に移動し、基板
付近にノズルを介して酸素ガスを供給しながら、以下の
条件で処理して、第1の酸化物超電導薄膜を表面を清浄
にした:基板温度                 
600℃雰囲気ガス              O2
 圧力                    4×
10−4Torr熱処理時間            
    30分なお、上記ガス圧力は真空蒸着装置のチ
ャンバ内の圧力であり、基板付近の圧力はノズルが近く
にあるため、上記の値より1〜2桁高いと考えられる。 処理が終了した後、基板温度が400 ℃になるまで放
冷し、同じ真空蒸着装置のチャンバ内で熱処理後の第1
の酸化物超電導薄膜上に真空蒸着法でMgOの薄膜形成
した。主要な成膜条件を以下に示す: 基板温度                 400℃
ガス圧力                4×10−
4 Torr膜厚                 
    5 nm次に、得られたMgO薄膜上に第2の
超電導体層となるY1Ba2Cu3O7−X の超電導
薄膜を同じく真空蒸着法で形成した。主要な成膜条件を
以下に示す: 基板温度                 630℃
ガス圧力                4×10−
4 Torr膜厚                 
    200 nm本実施例で作製した超電導接合の
断面を断面透過型電子顕微鏡 (TEM)で観察した。 断面は非常にシャープで結晶の乱れは1nm幅以下で、
ほとんどないことが確認された。比較例として、MgO
薄膜を形成する前に第1の酸化物超電導薄膜を加熱処理
しないで(すなわち、表面を清浄にしないで)作製した
超電導接合の場合には、MgO薄膜層と第1の酸化物超
電導薄膜層との間の界面に5〜10 nm 幅の結晶の
乱れが観察された。
【0020】実施例5 実施例4の操作を繰り返したが、第1および第2の酸化
物超電導薄膜をY1Ba2Cu3O7−X に代えて、
Bi2Sr2Ca2Cu3Ox とした。第1の超電導
体薄膜層となるBi2Sr2Ca2Cu3Ox 超電導
薄膜のスパッタリング法の主要な成膜条件は下記の通り
: 基板温度                 660℃
スパッタリングガス  Ar  8 SCCMO2 4
 SCCM ガス圧力                5×10−
2 Torr膜厚                 
    300 nm次に、この第1の酸化物超電導薄
膜を形成したMgO基板を真空蒸着装置に移動し、以下
の条件で処理して表面を清浄にした: 基板温度                 600℃
雰囲気ガス              O2 圧力 
             4×10−4 Torr熱
処理時間                30分処理
後、基板温度が400 ℃になるまで放冷し、第1の酸
化物超電導薄膜上にMgO薄膜を同じチャンバー中で真
空蒸着法で形成した。主要な成膜条件を以下に示す:基
板温度                 400℃ガ
ス圧力                4×10−4
Torr膜厚                   
   5nm最後に、このMgO薄膜上に第2の超電導
体層となるBi2Sr2Ca2Cu3Ox 超電導薄膜
を同じチャンバー中で真空蒸着法で形成した。主要な成
膜条件を以下に示す:基板温度           
      650℃ガス圧力           
     4×10−4Torr膜厚        
             300nm本実施例で作製
した超電導接合の断面を断面透過型電子顕微鏡 (TE
M)で観察したところ、断面は非常にシャープで結晶の
乱れはほとんどないことが確認された。比較例として、
MgO薄膜を形成する前に、酸化物超電導薄膜を加熱せ
ずに (表面を清浄にしない) で作製した超電導接合
では界面に5〜10nm幅の結晶の乱れが観察された。
【0021】実施例6 実施例4と同じ操作を繰り返したが、非超電導体薄膜層
として、MgOの薄膜の代わりにSrTiO3 の薄膜
を用いた。主要な成膜条件を以下に示す: 基板温度                 610 
 ℃ガス圧力                4×1
0−4 Torr膜厚               
      5 nm断面透過型電子顕微鏡 (TEM
)で観察した本実施例で作製した超電導接合の断面も非
常にシャープで結晶の乱れは1nm幅以下で、ほとんど
ないことが確認された。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
方法は以下のような利点を有している:(1) 酸化物
超電導薄膜上に結晶性に優れた他の薄膜を形成すること
ができる。 (2) 酸化物超電導体材料を用いた電子デバイスを開
発するのに必須な酸化物超電導体材料を用いたトンネル
型の超電導接合を実現することができる。 (3) 上下に積層される酸化物超電導体薄膜の結晶方
向を制御することができるので、臨界電流密度を高くす
る方向を用途に応じて選択して基板平面に対して平行(
c軸配向)または直角(a軸配向)にすることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】  本発明方法で作製される超電導接合の概念
的断面図。
【図2】  本発明方法の実施例1で作製された超電導
接合の断面の結晶構造を示す走査型電子顕微鏡 (SE
M)写真。
【図3】  本発明方法の実施例3で作製された、第1
の酸化物超電導薄膜層のY1Ba2Cu3O7−X 上
に形成されたMgO薄膜層の表面凹凸状態および結晶方
向の基板温度依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
1:第1の酸化物超電導体薄膜層  2:第2の酸化物
超電導体薄膜層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  基板上に第1の酸化物超電導体薄膜層
    と非超電導体薄膜層と第2の酸化物超電導体薄膜層とを
    この順番で積層することによって超電導接合を形成する
    方法において、上記非超電導体薄膜層がMgOの薄膜層
    によって構成され、このMgOの薄膜層を形成する際に
    基板を 200〜400 ℃の温度に加熱することを特
    徴とする方法。
  2. 【請求項2】  基板上に第1の酸化物超電導体薄膜層
    と非超電導体薄膜層と第2の酸化物超電導体薄膜層とを
    この順番で積層することによって超電導接合を形成する
    方法において、非超電導体薄膜層を第2の酸化物超電導
    体薄膜層上に成膜する前に、第1の酸化物超電導体薄膜
    層と非超電導体薄膜層とを有する基板を 600〜65
    0 ℃の範囲の温度に加熱することを特徴とする方法。
JP3155695A 1990-05-30 1991-05-30 酸化物超電導体を用いて超電導接合を形成する方法 Pending JPH04330789A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100413533B1 (ko) * 2001-03-19 2003-12-31 학교법인 포항공과대학교 초전도 마그네슘 보라이드(MgB₂) 박막의 제조 방법 및제조 장치

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