JPH0432649Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はライトガイド照明光学系に関するもの
である。

〔従来技術〕

手術用顕微鏡、内視鏡等の光学機器において
は、ライトガイドを二次光源とし、その先端面を
被照射物体上に照明用レンズ系等によつて結像さ
せるようにしたライトガイド照明光学系が用いら
れている。これによれば、照明範囲を制限するこ
とができるので照明光が無駄になるのを防げると
共に、必要とする照明範囲以外の所にある手術器
具等に照明光が当たり反射してフレアーやゴース
トの原因となるのを防止できる。また、照明光が
不必要に拡がらないため照明範囲内における光量
密度が増加し、その結果照明範囲の周辺部の明る
さが増し、中心部と周辺部の明るさの均一性を向
上させることができる。

しかしながら、この照明光学系はライトガイド
の端面を結像させるようにしているため、ライト
ガイドを構成する各グラスフアイバーのコア部分
のみが光つて被照射物体上に網点状の光斑が現れ
る。これに加えて、ライトガイド製作上の不均一
による透過率の違いや端面上の汚れ、傷、使用中
に発生するグラスフアイバーの折れなどによる暗
点等も被照射物体上に投影される。このため、物
体面が非常に観察しにくいという問題があつた。
これを解決するために、 (1) ライトガイドを構成する素子をできるだけ細
く均一なものとする (2) ライトガイド端面を照明光学系の結像位置か
ら若干ずらした位置にして被照射物体上にはラ
イトガイドの端面の像がぼけて形成されるよう
にする (3) ライトガイドの端面をスリガラス状にする等
の方法がとられている。

しかし、(1)の方法は技術的にもコスト的にも困難
であり素子が細くなれば使用中における折れが増
加する。(2)の方法は端面のぼけた像で照明するの
で照明範囲を確実に限定することが困難である。
また、ぼけが大きくなると照明範囲の周辺部にお
ける光量が減少し、実質的に観察可能な範囲が狭
くなつてしまうこともある。(3)の方法は光量のロ
スがあり十分な明るさの照明を得ることができな
い。

これらの点に鑑みて、本件出願人はライトガイ
ド射出端面と照明用レンズ系との間に筒状反射体
を配設し、該筒状反射体の射出端面を物体面上に
投影する方式のライトガイド照明光学系を特願昭
54−95720号（特開昭56−20428号）において提案
した。

〔考案が解決すべき問題点〕

該出願に開示された照明光学系によれば上述の
種々の問題点は全て解決されるが、その実施例と
して開示されている照明光学系に使用されている
筒状反射体は全て入射端面と射出端面が同じ形状
を有している。このため、照明範囲の形状を物体
や観察光学系の視野の形状に応じたものとするこ
とができず、観察光学系の視野は四角であるにも
拘らず照明範囲は円形であるため視野の一部が照
明されない、あるいは視野からはみ出た部分を照
明することになつて照明光が無駄になる、等の問
題があつた。

本考案は以上の点に鑑みてなされたもので、ラ
イトガイドの端面形状に左右されることなく、所
望の形状の照明範囲を得ることのできるライトガ
イド照明光学系を提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、照明光源と、この照明光源に一端を
対向させたグラスフアイバー束から成るライトガ
イドと、このライトガイドの他端に入射端面を対
向させて配置した筒状反射体と、この筒状反射体
の射出端面を被照射物体上に投影するレンズ系と
を備えたライトガイド照明光学系において、前記
筒状反射体の入射端面と射出端面とを非相似形状
に形成すると共に、この筒状反射体の長さをＬ、
筒状反射体の反射面の内部の媒質の屈折率をｎと
するとき、Ｌ／ｎ＞１なる条件を満足せしめたこ
とを特徴とするものである。

〔作用〕

斯かる構成によれば、ライトガイドの射出端面
の形状の如何に拘らず、筒状反射体の入射端面の
形状をライトガイドの射出端面の形状と一致さ
せ、筒状反射体の射出端面の形状を必要とする照
野の形状と一致せしめることにより、常に必要と
する領域のみを照明することができる。特に、筒
状反射体の射出端面を被照射物体上に投影する構
成と組合わせたことにより照野の輪郭が比較的明
瞭となり、不必要に照明光が拡散することがない
ため、照明光のロスが少なく周辺まで明るい照明
系が得られる。この際、筒状反射体の長さをＬ／
ｎ＞１を満足するように設定しておけば、ライト
ガイド射出端面のグラスフアイバーの配列に起因
する照明むらが消えるため、均一性の良い照明系
とすることができる。

〔実施例〕

第１図は本考案のライトガイド照明光学系を手
術用顕微鏡の照明系として応用した例を示すもの
であり、１は被観察物体、２は対物レンズ、３は
変倍系、４は視野方向変換プリズム、５は正立用
のポロプリズム、６は接眼レンズでこれらで顕微
鏡光学系を構成する。また、７は光源、８はライ
トガイド、９は照明用レンズ、１０は補助照明用
のライトガイド、１１は補助照明用レンズ系であ
る。また、１２，１３は夫々ライトガイド８，１
０の先端に設けられたプリズムで、後に詳細に述
べるような構成、作用のものである。このような
照明系では、光源７よりの光はライトガイド８に
より伝送され、照明用レンズ系９および対物レン
ズ２によりライトガイド８の先端に設けられたプ
リズム１２の先端が被観察物体上に結像される。
つまり、プリズム１２の射出端面を照明用レンズ
系９の焦点位置に配置すれば、射出端面の像は照
明用レンズ系９によつて無限遠に結像され（端面
よりの光はレンズ系９により平行光となつて出
る）、対物レンズ２によつて対物レンズ２の焦点
位置に結像される。この対物レンズ２の焦点位置
と被観察物体とを一致させておけば、プリズム１
２の端面を被観察物体上に結像させることができ
る。

次に照明された被観察物体は対物レンズ２の焦
点位置にあるため、その像が無限遠に結像され
る。これを変倍系３により適当な倍率でＥの位置
に結像させ、この像を接眼レンズ６により観察す
る。

一方、補助照明光学系においては、光源７より
の光はライトガイド１０により伝送されその端面
におかれたプリズム１３より射出する。プリズム
１３の射出端面は補助照明用レンズ系１１により
被観察物体１上に結像され被観察物体を照明す
る。

次に、以上の照明光学系で使用されるプリズム
１２，１３の構成を第２図および第３図に基づい
て説明する。

第２図は筒状反射体として使用されるプリズム
の原理をプリズム１２を例として説明するための
図である。プリズム１２はガラス、石英等の透明
物質で作られており、図に示すようにライトガイ
ドの径と略等しい円柱状の反射体で、その両端面
は研磨され、側面にはアルミニウム、銀等の光を
反射する物質がメツキや蒸着等の方法で付けられ
鏡面１２ａになつている。そしてこのプリズムが
ライトガイド８の端面に接合あるいは密着して配
置されている。

一方、第３図は本考案を適用したプリズム１３
を示す図である。プリズム１３は第２図ら示した
円柱状の反射体を軸に垂直な面と軸に対し傾斜し
た面で切断し、傾斜面を射出端面としたもので、
入射端面は円形、射出端面は楕円形になつてお
り、図に示した如くライトガイド１０の端面に入
射端面を接合あるいは密着して配置されている。
側面はプリズム１２と同様に鏡面になつている。

このような照明光学系では、プリズムが一本の
繊維でできたライトガイドと同じ働きをし、ライ
トガイドを出た拡がりの大きい光がプリズムの側
面（鏡面）で反射されて端面より射出される。そ
して、このプリズムの端面を照明用レンズ系を通
して被観察物体上に結像させると、一本の太い繊
維でできたライトガイドの端面を結像したのと同
じになる。従つて、照明光は照明範囲のはつきり
とした、しかも多数の繊維からなるライトガイド
のように網目になる等の照明むらのない均一な照
明光となる。また、プリズム１３は射出端面が楕
円形であるため、これを第１図に示すように物体
面へ向けて斜めに投影すれば物体面上で照明範囲
は大略円形となり、観察範囲と一致することにな
る。

これらのプリズムの長さは、ライトガイド端面
の像が照明用レンズ系９と対物レンズ２により、
または補助照明用レンズ系１１により結像されな
いようにある程度長くする必要がある。照明用レ
ンズ系９または補助照明用レンズ系１１の被写界
深度は空気換算で１mm程度であるから、プリズム
の長さＬを次の関係を満足するようにすればライ
トガイド端面の像が現れない。

Ｌ／ｎ＞１ 但し、ｎはプリズムの屈折率である。

なお、被写界深度の小さい照明用レンズ系つま
り明るいＦナンバ（またはN.A.）の光学系を用
いれば、上の式で与えられる１よりも短いプリズ
ムで良い。

以上の説明ではガラス等の透明材料よりなる円
筒状のプリズムの側面に反射膜を設けたものを用
いていたが、側面での全反射を利用して光の伝送
を行う場合には反射膜はなくとも良い。また、プ
リズムの代わりにコアーとクラツドとからなる単
フアイバーを使用することができる。単フアイバ
ーの場合もクラツドのないものでも良い。更に、
内面を研磨しメツキ等で反射面としたパイプ状の
ものでも良い。この場合、上記式はｎ＝１とすれ
ば良い。

プリズムの形状は、第３図に示すもののほか
に、第４図、第５図のような形状のものでも良
い。これらの図において、Ａはプリズムの斜視
図、Ｂは入射端面の図、Ｃは射出端面の図である
が、いずれも入射端面と射出端面とが非相似形状
となつている。第４図のものは円形のライトガイ
ドを用いて四角いフイルムに合わせた照明範囲と
することができ、また第５図のものでは細長い形
状の狭い範囲に照明光を集中させることができ
る。

〔効果〕

本考案のライトガイド照明光学系は、入射端面
と射出端面とを非相似形状に形成した筒状反射体
を用いているので、ライトガイドの断面形状によ
らず任意の照明範囲を形成することができるとい
う実用上重要な利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のライトガイド照明光学系を備
えた手術用顕微鏡の一例を示す図、第２図は一般
的な筒状反射体の原理を説明するための図、第３
図は本考案ライトガイド照明光学系で用いる筒状
反射体の一例を示す図、第４図および第５図は本
考案の筒状反射体の他の例を示す図である。 ７……光源、８，１０……ライトガイド、９，
１１……照明用光学系、１２，１３……筒状反射
体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 照明光源と、該照明光源に一端を対向させたグ
   ラスフアイバー束からなるライトガイドと、該ラ
   イトガイドの他端に入射端面を対向させて配置し
   た筒状反射体と、該筒状反射体の射出端面を被照
   射物体上に投影するレンズ系とを備えたライトガ
   イド照明光学系において、前記筒状反射体の入射
   端面と射出端面とを非相似形状に形成すると共
   に、該筒状反射体の長さをＬ、該筒状反射体の反
   射面の内部の媒質の屈折率をｎとするとき、 Ｌ／ｎ＞１ なる条件を満足することを特徴とするライトガイ
   ド照明光学系。