JPH0432295B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、たとえば住宅等に用いて好適な床
暖房装置に関する。

「従来の技術」 周知のように、床暖房は床面を加温することに
より主として輻射熱によつて暖房効果を得るもの
であつて、近年住宅等において広く採用されてい
る。そして、従来よりパネル状のユニツトを床面
に敷き並べる形式の床暖房パネルが提供されてお
り、現在までのところ、電熱線や面状発熱体を組
み込んだ電気式の床暖房パネルや、温水管を組み
込んだ温水式の床暖房パネルが広く用いられてい
る。

「発明が解決しようとする問題点」 ところで、上記従来の電気式の床暖房パネル、
温水式の床暖房パネルはそれぞれ以下のように一
長一短があるものであつた。すなわち、電気式の
床暖房パネルは、その設置が容易であり、制御性
も良い、という長所はあるが、運転費（ランニン
グコスト）がかさむという短所があり、また、温
水式の床暖房パネルでは、電気式のものに比して
運転費は安いという長所はあるものの、ボイラや
温水配管が必要であるから設備費がかさむととも
に設置工事が簡便ではないし、制御性もさほど良
くない、漏水の恐れがある、といつた短所があつ
た。

この発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、従来の電気式、温水式の床暖房パネルの短所
を解消し、それらの長所のみをあわせ持つ有効な
床暖房装置を提供することを目的としている。

「問題点を解決するための手段」 この発明は、枠体と表面板および裏面板とによ
り少なくとも一側部に開口部を有する形状に形成
された複数のパネル本体をそれらの開口部同士を
突き合わせて床面に敷き並べ、それらパネル本体
の内部に形成した密閉空間内に温風を循環させる
ように構成した床暖房装置であつて、前記複数の
パネル本体のうちの全てもしくは一部のものの内
部に、パネル本体内の空気を吸い込むとともに吸
い込んだ空気を加熱して温風となして吹き出す温
風供給装置を組み込むことにより、少なくとも２
台の温風供給装置が前記密閉空間の外周部に位置
して設置されるようになし、かつ、前記各パネル
本体の内部に、前記温風供給装置によつて吹き出
された温風が前記密閉空間全体にわたつて循環す
るような通風路を形成する仕切板をそれぞれ取り
付けて、前記温風供給装置から吹き出された温風
が前記通風路に通つて他の温風供給装置に吸い込
まれるように構成したことを特徴としている。

「作用」 この発明の床暖房装置は、複数のパネル本体の
内部に形成された密閉空間内の空気が、その密閉
空間内に設置された温風供給装置によつて加熱さ
れつつ循環することにより、その温風によつてパ
ネル本体の表面板が加温される。そして、密閉空
間内にはその外周部に位置して少なくとも２台の
温風供給装置が設置されており、また、仕切板に
よつて密閉空間全体にわたつて温風を循環させる
ような通風路が形成されているから、表面板全面
が均等に加温されて温度むらを生じることがな
く、また温風の温度低下が抑制されて十分な熱効
率が得られる。

「実施例」 以下、この発明の一実施例を第１図および第２
図を参照して説明する。

これらの図に示される実施例の床暖房装置は、
２つの中空パネル１，１が組み合わされた構成の
ものであるが、これら２つの中空パネル１，１は
その向きが異なるのみで全く同様に構成されたも
のであるので、両者の各構成要素には同一符号を
付してある。

上記の中空パネル１は、パネル本体２の内部に
温風供給装置３が組み込まれ、かつ仕切板４…が
取り付けられた構成とされている。パネル本体２
は、一長辺が省略された三方枠状の枠体５と、表
面板６および裏面板７とにより形成され、内部に
中空部を有するとともに一側部に開口部８を有す
るものとされている。

パネル本体２の内部には、隅部に位置して上記
の温風供給装置３が組み込まれている。この温風
供給装置３は、内部に加熱装置および送風装置が
内蔵され、その全面に空気の吹出口９、側面に吸
込口１０を有しているものであり、パネル本体２
の内部空気を吸込口１０から吸い込むとともに、
吸い込んだ空気を加熱して温風となし、この温風
を吹出口９から吹き出すようにされたものであ
る。なお、この温風供給装置３の加熱装置として
はセラミツクヒータが好適であり、また、必要に
応じて温度制御装置や加熱防止装置等を取り付け
ることが望ましい。

また、パネル本体２の内部には、温風供給装置
３の吹出口９の前方から側方に向かつて円弧状に
湾曲している上記の仕切板４…が取り付けられて
おり、これらの仕切板４…の相互間には温風の通
風路１１…が形成されている。これらの仕切板４
…は通風路１１…を形成するものであると同時
に、表面板６と裏面板７との間に介在して表面板
６に加わる荷重を支える支持部材としても作用す
るものであり、これらの仕切板４…によつてパネ
ル本体２は十分な強度を有するものとされてい
る。

上記の両中空パネル１，１は、それらの向きが
互いに180°異なるように配置されることにより、
それらの開口部８，８同士が突き合わせられた状
態で床下地材の上部に敷き並べられ、それら表面
板６，６上にカーペツトやフローリング等の床仕
上げ材が敷き込まれて用いられる。これにより、
両中空パネル１，１の内部に密閉空間が形成さ
れ、同時にその密閉空間の外周部に位置して２台
の温風供給装置３，３が設置されることになる。

そして、それらの温風供給装置３，３を作動さ
せると、密閉空間内の空気は第２図中の矢印で示
すように吸込口１０から吸い込まれ、吸い込まれ
た空気は加熱されて温風となつて吹出口９から吹
き出される。吹き出された温風は、仕切板４…に
よつて形成された各通風路１１…に分岐され、そ
れぞれ他の中空パネル１に組み込まれている温風
供給装置３の吸込口１０の前方に導かれて吸い込
まれる。すなわち、密閉空間内の空気は、２台の
温風供給装置３，３によつて加熱されつつ、第２
図において反時計回りに循環することになる。

上記の床暖房装置では、密閉空間内の空気が加
熱されつつ循環することによつて、パネル本体
２，２の表面板６，６が温風によつて加温され、
これにより快適な床暖房をなすことができる。そ
して、温風供給装置３，３は密閉空間の外周部に
位置して設置されており、温風は仕切板４…によ
つて形成された各通風路１１…を通ることによつ
てシヨートサーキツトを生じることなく密閉空間
全体にわたつて循環するから、表面板６，６はそ
の全面にわたつてほぼ均等な温度に加温される。
しかも、１台の温風供給装置３から吹き出された
温風が他の温風供給装置３に吸い込まれてそこで
再び加熱されることから、温風が吹き出されてか
ら吸い込まれるまでの間に生じる温度低下が抑制
され、したがつて、表面板６，６に大きな温度む
らが生じることがないとともに、十分な加熱効率
を得ることができる。

そして、このような温風を循環させるようにし
た温風式の床暖房装置によれば、温風を循環させ
るための動力費は必要であるのものの、電熱線や
面状発熱体によつてパネル全体を直接的に電気エ
ネルギで加熱する従来の電気式の床暖房パネルに
比較して運転費を低減することができる。また、
従来の温水式の床暖房パネルに比較して、ボイラ
や配管工事が不要であるから設置が容易であり、
しかも制御性にも優れている。すなわち、この床
暖房装置は、従来の電気式床暖房パネルと温水式
床暖房パネルの短所を解消し、それらの長所のみ
を合わせ持つものであつて、極めて有効である。

なお、各中空パネル１の平面形状、寸法は、温
風度供給装置３の加熱能力、送風量との兼合いに
より適宜設定すれば良いが、たとえば畳と同等す
なわち長辺の長さを約1800mm、短辺の長さを約
900mmとすることが考えられる。その場合、２つ
の中空パネル１，１を組み合わせることにより２
畳分の大きさの床暖房装置が構成されることにな
る。

また、パネル本体２の枠体５、表面板６、裏面
板７、および仕切板４の材料としては木材が好適
であるが、木材に限らず金属板等の他の材料を用
いても良い。特に、表面板６については、加温速
度を速め、かつ良好な温度分布を得るために熱伝
導性に優れた材料を用いることが望ましく、たと
えばアルミニウム板や、木材と金属板との複合板
を用いることが考えられる。第３図は表面板６と
してベニヤ合板を用い、その内面にアルミニウム
板１３を全面にわたつて貼り付けた場合の例であ
る。このように、熱伝導性に優れたアルミニウム
板１３を表面板６の内面に貼り付けることによつ
て、表面板６を速やかに加温できるとともに、表
面板６の温度分布をより一層改善することができ
る。また、このようにアルミニウム板１３を取り
付けた場合において、温風供給装置３の吹出口９
の近傍においてアルミニウム板１３の温度が過度
に上昇する恐れがある場合には、アルミニウム板
１３内面の第２図に二点鎖線で示した範囲に、さ
らに断熱シート（たとえばポリエチレン等の発泡
シート）１４を貼り付け、その部分の過度の温度
上昇を抑制すると良い。

以上でこの発明の一実施例を説明したが、次に
第４図および第５図を参照して他の実施例を説明
する。

第４図に示される床暖房装置は、上記実施例に
おける空中パネル１に支持部材２０…を付加した
ものである。すなわち、第４図に示すように、各
中空パネル１に組み込まれている温風供給装置３
の吸込口１０の前方の位置には、それぞれ６つの
支持部材２０…が固定されており、これらの支持
部材２０…の間には温風を吸込口１０に導く通風
路２１が形成されている。これらの支持部材２０
は、第５図に示すように頭部２０ａと尾部２０ｂ
とにより流線形の断面形状に形成されたものであ
つて、その頭部２０ａが吸込口１０側に向けられ
た状態で配置されている。それらの支持部材２０
…は、上記の仕切板４…と同様にパネル本体２の
表面板６と裏面板７との間に介在して表面板６に
加えられる荷重を支えるとともに、温風が乱流状
態で流れることを防止するためのものである。こ
れらの支持部材２０…を設けたことによつて、こ
の実施例の床暖房装置では、パネル本体２の強度
がより一層高められているとともに、密閉空間内
における温風の循環がより効率的になされるよう
になつている。

なお、これらの支持部材２０…の設置位置は吸
込口１０の前方に限らず、仕切板４…の相互間隔
が大きくなつているような位置等に適宜取り付け
れば良い。また、支持部材としては上記のような
流線形のものに限ることはなく、温風が著しく乱
流を生じるようなことがなければ他の形状ものを
用いても良く、たとえば第６図に示すような支持
部材２２を用いても良い。この支持部材２２はそ
れぞれ円盤状の基部２２ａと頭部２２ｂおよび軸
部２２ｃから構成されていて、高さ寸法の調節が
可能なものであり、従来よりスペーサーとして各
分野で使用されているものである。

以上でこの発明の実施例を説明したが、この発
明は上記実施例に限定されるものではなく、各中
空パネルにおける温風供給装置の設置位置、仕切
板や支持部材の設置位置や設置個数、それらの形
状等は、複数の中空パネルを敷き並べたときに、
それらによつて形成される密閉空間内全体にわた
つて温風が循環できるように適宜設定すれば良
い。

また、上記実施例の床暖房装置は全く同一の２
つの中空パネルを組み合わせた構成としたが、さ
らに多数の空中パネルを敷き並べてより大きな面
積の床暖房装置を構成することもできる。たとえ
ば、上記実施例の２つの中空パネル１，１の間
に、両側部に開口部を有しかつ内部に通風路のみ
が形成された他の中空パネルを配置すれば、それ
ら３つの中空パネルによる床暖房装置を構成する
ことができる。そのように多数の中空パネルを用
いる場合には、それらの中空パネルによつて形成
される密閉空間の大きさ等を勘案して温風供給装
置の設置台数も適宜増加させれば良い。

さらに、パネル本体の表面板にカーペツトやフ
ローリング等の床仕上げ材を予め取り付けておい
たり、裏面板に予め断熱材を取り付けておくよう
にしても良い。第７図は、上記実施例におけるパ
ネル本体２の表面板６に予めフローリング３０を
取り付けておくとともに、裏面板７に断熱材（た
とえば発泡ウレタン等）３１を取り付け、かつパ
ネル本体２内に上記の支持部材２２を取り付けた
場合の例である。この場合、裏面板７の下部に所
定の間隔で角材３２を取り付けておき、支持部材
２２をその角材３２に対して釘３３によつて固定
するようにし、フローリング３０をその支持部材
２２に対して釘３４によつて固定すると良い。こ
のように、パネル本体２に床仕上げ材であるフロ
ーリング３０、断熱材３１、角材３２を予め取り
付けておくと、これを木造床の下地材である大引
３５上に設置するのみで極めて簡便に施工が完了
する。そして、パネル本体２は角材３２によつて
支持される（すなわち角材３２は根太となるもの
である）から、断熱材３１が荷重によつて変形し
てパネル本体２が沈み込んでしまうこともない。

「発明の効果」 以上で詳細に説明したように、この発明の床暖
房装置は、複数のパネル本体が敷き並べられて形
成された密閉空間内に少なくとも２台の温風供給
装置を密閉空間の外周部に位置させて設置するよ
うにし、かつ、パネル本体の内部に取り付けた仕
切板によつて温風が密閉空間全体にわたつて循環
するような通風路を形成したものであるから、表
面板全面が均等に加温されて温度むらが生じるこ
とがなく、また、温風の温度低下が抑制されて十
分な熱効率を得ることができ、快適な床暖房を行
うことができるものである。そして、この床暖房
装置によれば、従来の電気式や温水式の床暖房パ
ネルに比して、設置が容易であるとともに、制御
性に優れ、しかも運転費を低減することができ
る、という効果を奏し、極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの発明の一実施例を示
すもので、第１図はこの実施例の床暖房装置の斜
視図、第２図はその内部を示す平面図である。第
３図はこの実施例におけるパネル本体の他の構成
例を示す側断面図である。第４図および第５図は
この発明の他の実施例を示すもので、第４図はそ
の内部を示す平面図、第５図は支持部材の斜視図
である。第６図はこの実施例における支持部材の
他の例を示すものでこのうちイは側面図、ロは斜
視図である。第７図は上記実施例におけるパネル
本体の他の構成例を示すもので、パネル本体にフ
ローリング、断熱材、角材を取り付けた場合の断
面図である。 １……中空パネル、２……パネル本体、３……
温風供給装置、４……仕切板、５……枠体、６…
…表面板、７……裏面板、８……開口部、９……
吹出口、１０……吸込口、１１……通風路、２
０，２２……支持部材、２１……通風路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 枠体と表面板および裏面板とにより少なくと
   も一側部に開口部を有する形状に形成された複数
   のパネル本体をそれらの開口部同士を突き合わせ
   て床面に敷き並べ、それらパネル本体の内部に形
   成した密閉空間内に温風を循環させるように構成
   した床暖房装置であつて、前記複数のパネル本体
   のうちの全てもしくは一部のものの内部に、パネ
   ル本体内の空気を吸い込むとともに吸い込んだ空
   気を加熱して温風となして吹き出す温風供給装置
   を組み込むことにより、少なくとも２台の温風供
   給装置が前記密閉空間の外周部に位置して設置さ
   れるようになし、かつ、前記各パネル本体の内部
   に、前記温風供給装置によつて吹き出された温風
   が前記密閉空間全体にわたつて循環するような通
   風路を形成する仕切板をそれぞれ取り付けて、前
   記温風供給装置から吹き出された温風が前記通風
   路を通つて他の温風供給装置に吸い込まれるよう
   に構成したことを特徴とする床暖房装置。