JPH04311583A - 冷却水処理剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は開放系循環冷却水を処理
するための薬剤に関し、とくに高濃縮循環冷却水系に発
生する各種障害を防止するために使用する薬剤の改良に
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ビル等における空調設備の普及に
ともない、一般産業用における冷却媒体としての水の利
用と同様に、空調用の冷却水を循環使用することが多く
なってきている。

【０００３】かかる冷却用水としては水道水や井戸水等
が利用されることが多いが、冷凍装置などで熱交換によ
って温まった水は冷却塔などに送られ、空気と接触させ
て一部を蒸発することにより熱を放出し、冷却した後再
び冷却水として循環使用される。このようにして循環使
用される冷却水中の塩類は、次第に濃縮されて高濃度と
なり、スケールの発生やスライムの発生等による熱交換
効率の低下、設備や配管内部の腐食などの障害を引き起
こすこととなる。従って循環冷却水は、蒸発して減少し
た水を補給するとともに濃縮水の一部を時々排出して、
塩類濃度の調整を行なうことが必要であり、さらにまた
上記のような障害の発生を防止するために種々の水処理
用薬剤を添加することが行われている。

【０００４】このような水処理用薬剤としては、腐食防
止用としてたとえばメルカプトベンゾチアゾール、ベン
ゾトリアゾールなど、スケール防止用としてたとえばポ
リアクリル酸やポリマレイン酸の塩など、スライム防止
用として次亜塩素酸ナトリウム、イソチアゾリン、水加
ヒドラジンなどが知られており、これらは単独にまたは
配合した薬剤として使用される。こうした水処理用薬剤
は、取扱い上の簡便さから、各種の薬剤を配合して液状
としたもので利用されることが多いが、更に使い勝手や
安全性の点から、ｐＨを中性ないしややアルカリ性とし
たものが好まれている。

【０００５】近時水資源の節約という観点から、循環冷
却水系の高濃縮度運転をする傾向が強まっており、その
結果水処理用薬剤が添加された冷却水系のｐＨが著しく
アルカリ側に偏り、時にはｐＨ９ないしそれ以上となる
場合が多くなってきている。このような冷却水のｐＨの
上昇は、スケール成分である炭酸カルシウムの生成を促
進するばかりでなく、排出水による下水道等の汚染を防
ぐために排出水をｐＨ９未満とくに８．６未満まで中和
処理するか、または高濃縮度運転を諦めて早目に水の排
出・補給を行なうなどで対処していた。

【０００６】このような循環冷却水のアルカリ性化を防
止するために、本出願人は循環冷却水中にヒドラジン塩
を添加する方法を発明して既に特許出願している（特開
平３−０４７５９３）。しかしながらこの方法は循環冷
却水のアルカリ性化の防止には有効であるものの、濃厚
な薬剤を取扱う装置に対する腐食が無視できず、薬注装
置の材質を注意深く選択しなければならないという欠点
があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、この
ような循環冷却水のアルカリ性化を防止し、高濃縮度運
転を可能とする水処理方法を実施するに当たり、薬剤を
取扱う装置に対する腐食性を改良して、しかも有効に循
環冷却水のアルカリ性化を防止することができる冷却水
処理剤を提供することを目的とした。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記のような本発明の目
的は、ソルビン酸ヒドラジンおよびソルビン酸ヒドラジ
ンと硼酸ヒドラジンあるいは酒石酸ヒドラジンとの配合
物から選ばれたヒドラジン塩を含んでなる冷却水処理剤
によって達成される。かかる本発明の冷却水処理剤には
、腐食防止剤、スケール防止剤、あるいはスライム防止
剤の少なくともいずれかひとつを含むことができる。 そして更には、従来公知の水処理剤と組み合わせた複合
化水処理剤とすることもできる。

【０００９】本発明において用いられるヒドラジン塩は
、ソルビン酸ヒドラジンであるか、ソルビン酸ヒドラジ
ンと硼酸ヒドラジンとの配合物、あるいはソルビン酸ヒ
ドラジンと酒石酸ヒドラジンとの配合物のいずれかであ
り、これらの中から選ばれたヒドラジン塩を用いたとき
に薬注装置に対する非腐食性が優れた冷却水処理剤が得
られる。

【００１０】本発明の冷却水処理剤は、上記のようなヒ
ドラジン塩を単独にあるいは通常用いられる水処理用の
薬剤などとともに水に溶解し、さらに水酸化ナトリウム
や水酸化カリウムなどを用いてｐＨを調整して、たとえ
ば一液型の液剤とする。

【００１１】こうして得られる本発明の冷却水処理剤は
、原液のまま或いは適宜希釈して薬注装置の薬液タンク
に装入したのち、冷却水の循環量に対応して冷却水中に
注入されるが、その冷却水中の濃度は通常１００〜１０
００ｐｐｍ　程度である。冷却水に対するヒドラジン塩
の注入量が多いときはｐＨを酸性側に移動させる力が強
く、また少ないときは弱いから、ヒドラジン塩の注入量
が循環冷却水系の運転状況に対応して適切な値となるよ
うに、冷却水処理剤の使用量をそれぞれの場合ごとに決
定することが好ましい。

【００１２】

【作用】本発明の冷却水処理剤は、原液或いは希釈液等
の比較的に高い濃度において鋼材等に対する腐食性が少
なく、冷却水で希釈された低い濃度においては循環冷却
水のｐＨを変化しないように維持する作用があるばかり
でなく良好な耐食性をも有している。

【００１３】

【実施例】表１に示すような処方に従って、水処理用薬
剤Ａ〜Ｆを調製した。

【００１４】

【表１】

【００１５】つくば市水道水（ｐＨ：７．８、電気伝導
率：３００μＳ／ｃｍ、全硬度：７２ｍｇ／ｌ、塩化物
イオン：４０ｍｇ／ｌ、Ｍ−アルカリ度：４０ｍｇ／ｌ
、シリカ：２ｍｇ／ｌ）を用いて、これらの薬剤１ｇを
添加した試験水１０００ｍｌを調製して開放容器に入れ
、面積０．２７ｄｍ２　の鋼片を浸漬し、３５℃で攪拌
を継続しながらｐＨの経時変化を調べた。

【００１６】その結果を、水処理用薬剤を添加しないブ
ランク試験の結果とともに表２に示したが、この結果か
ら、本発明の冷却水処理剤が水のｐＨを効果的に維持す
るる能力を有していることがわかる。

【００１７】

【表２】

【００１８】一方、能力１冷凍トンの試験用冷却塔を用
い、保有水量約０．０１ｍ３　、循環水量０．８ｍ３　
／Ｈｒ、入口水温３８℃、出口水温３５℃の条件で、冷
却水の循環運転を行なった。この際、蒸発等による水量
減に対しては、つくば市水道水に水処理用薬剤を１００
ｍｇ／ｌとなるように添加した補給水を使用し、強制ブ
ローは取り付けた導電率計の信号によって自動的に実施
した。

【００１９】このようにして運転を継続し、濃縮倍率が
１０倍となったときのブロー水、すなわち循環冷却水の
水質を調べた結果を、薬剤Ａ、Ｂ、Ｄ、Ｅ及びＦについ
て比較して表３に示した。この結果をみると、本発明の
冷却水処理剤は循環冷却水のｐＨの上昇を効果的に抑制
することがわかる。

【００２０】

【表３】

【００２１】また、これらの薬剤をつくば市水道水で２
倍および５倍に希釈した試験水１０００ｍｌを開放容器
に入れ、面積０．２７ｄｍ２　の鋼片を浸漬し、長さ５
０ｍｍの攪拌子を用いて６０ｒｐｍ　で攪拌を継続しな
がら３０℃で３日間腐食試験を行い、鋼片の腐食減量か
らｍｄｄ　値（ｍｇ／ｄｍ２　・日）を算出した。

【００２２】さらに、これらの薬剤をつくば市水道水に
添加して、それぞれ１０００ｍｇ、３００ｍｇおよび１
５０ｍｇの薬剤を含む試験水１０００ｍｌを調製し、開
放容器に入れて面積０．２７ｄｍ２　の鋼片を浸漬し、
長さ３５ｍｍの攪拌子を用いて２５０ｒｐｍ　で攪拌を
継続しながら３５℃で７日間腐食試験を行い、上記と同
様にしてｍｄｄ　値を算出し、これらの結果を合わせて
表４に示した。この結果から、本発明の冷却水処理剤が
広い濃度範囲、特に希釈度の小さいときにも優れた防食
性を示すことがわかる。

【００２３】

【表４】

【００２４】

【発明の効果】本発明の冷却水処理剤は、冷却水のｐＨ
が過度に上昇することがないから、ブロー排水による環
境汚染の心配なく高濃縮度運転が可能であって高度の節
水ができるほか、希釈度が低いときでも腐食性が少ない
から少量で濃厚な薬液を使用することが容易となり、薬
注装置を低廉な材料で構成することができるばかりでな
く小型化することもでき、経済的であるという利点があ
る。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　ソルビン酸ヒドラジンおよびソルビン
   酸ヒドラジンと硼酸ヒドラジンあるいは酒石酸ヒドラジ
   ンとの配合物から選ばれたヒドラジン塩を含んでなる冷
   却水処理剤。
2. 【請求項２】　　腐食防止剤、スケール防止剤、あるい
   はスライム防止剤の少なくともいずれかひとつを含む請
   求項１記載の冷却水処理剤。