JPH0430833B2 - - Google Patents

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JPH0430833B2
JPH0430833B2 JP61293754A JP29375486A JPH0430833B2 JP H0430833 B2 JPH0430833 B2 JP H0430833B2 JP 61293754 A JP61293754 A JP 61293754A JP 29375486 A JP29375486 A JP 29375486A JP H0430833 B2 JPH0430833 B2 JP H0430833B2
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Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は微生物によるリパーゼの生産方法に関
する。さらに詳しくは、リパーゼ生成能を有する
糸状菌を用いてリパーゼを生産する際に、微生物
保持材料とともに培養するなどして該糸状菌の増
殖生態を該保持材料に付着・増殖した生物膜状に
することにより該糸状菌のリパーゼ生成能を飛躍
的かつ安定的に向上させることを特徴とする高リ
パーゼ活性を有する菌体の生産方法に関し、本発
明によつて油脂エステル交換反応や油脂加水分解
反応に適する高リパーゼ活性を有する菌体が生産
される。 [従来の技術] リパーゼは元来、油脂の加水分解反応に対し触
媒作用を有する酵素に与えられた総称であり、動
物界では膵臓、肝臓などに、植物界ではヒマシ、
燕麦などに、また微生物界ではカビ、酵母、バク
テリアなどに見出される。しかしながら酵素資源
としての見地からは、動物臓器や植物種子を給源
とするものは無尽蔵にうることができず、また水
に抽出されにくく不安定であるという難点をもつ
ている。これに対し微生物起源のものは自然界に
多種多様に存在する微生物のうちから目的にあつ
たリパーゼを生産するものを選び出し、その培養
条件を種々変更することによつて人為的に酵素の
生産性を高めることができるので工業生産には有
利である。このような背景から、たとえばマーガ
リン、シヨートニングなどの加工脂の製造におい
て水素添加とならぶ重要な技術である油脂のエス
テル交換反応などに利用されるリパーゼは、大部
分が微生物によつて工業生産されている。 微生物によるリパーゼの工業生産においては、
酵素精製の簡便さの観点から菌体外リパーゼをう
ることを目標にして微生物のスクリーニングを行
ない、それぞれの微生物を最適な培養条件で培養
したのち菌体外に分泌されたリパーゼを分離、精
製して市販している。 現在報告されている酵素法による油脂エステル
交換反応などの技術の大部分は、このようにして
えられた市販酵素をセライトなどの担体に固定化
して利用している。 酵素法によるエステル交換反応においては、そ
の反応系の水分量をコントロールすることが油脂
の加水分解によるジグリセリドなどの副生成、あ
るいは交換脂の収率低下を避ける上で重要なポイ
ントとされている。このような実情において、油
脂の加水分解を抑制しエステル交換反応を効率よ
く行なわせるために、たとえばつぎのような方法
が報告されている。 (イ) 油脂エステル交換に際し、水のかわりにリパ
ーゼ活性化剤として低級多価アルコールを用い
る方法(特公昭 57−6480号公報)。 (ロ) 油脂のエステル交換反応系に界面活性剤(乳
化剤)を加え、界面で油脂とリパーゼを効率よ
く接触させる方法(特開昭 57−198798号公
報)。 (ハ) 吸水性樹脂を用いて水分量をコントロールす
ることによりエステル交換反応速度を高める方
法(特開昭 58−116689号公報)。 (ニ) 高融点の脂肪酸を用いるかわりに低融点の脂
肪酸の低級アルコールエステルを用いることに
より反応をより均一に行なう方法(特公昭 57
−27159号公報)。 (ホ) 溶剤蒸気を乾燥循環することで反応系中の水
分をコントロールする方法(特開昭 58−
500638号公報)。 しかしながら、これらの方法は反応速度が遅
い、加水分解反応の抑制が不充分、工程の煩雑
化、リパーゼの回収再利用への障害などの問題を
かかえており、工業的利用を考えたばあいどれも
不充分なものといわざるをえない。 このような実情のもとに本発明者らは、油脂の
加水分解を抑制し、エステル交換反応を効率よく
行なわせる方法として、リパーゼを生産する微生
物を培養して、そのリパーゼを菌体内に包蔵した
状態の乾燥菌体を前述の方法のリパーゼ酵素製剤
にかわるものとして用いることによつて、エステ
ル交換反応速度を高め、かつ反応を長時間安定的
に持続させうることを見出し、すでに報告した
(特開昭60−34189号公報)。 [発明が解決しようとする問題点] しかしながら、このような乾燥菌体を用いるエ
ステル交換反応においては、乾燥菌体の有するリ
パーゼ活性、すなわちリパーゼ生成能を有する微
生物のリパーゼ生産性を高めるような培養条件、
また乾燥菌体として用いるがゆえに、生産された
リパーゼをできるだけ菌体外に分泌させないよう
な培養条件の決定が重要となる。 本発明者らは上述の培養条件の決定について鋭
意研究した結果、その培地成分に関してリパーゼ
生成に阻害作用するアミノ酸群が存在し、これら
阻害作用の大きいアミノ酸群の含有率の低い有機
窒素源をその培地の主成分として用いることによ
つてリパーゼ生成能を有する微生物のリパーゼ生
成能を高めうること、またアミノ酸またはアミノ
酸およびペプチドを主成分とする気質を流加する
ことによつて培養液中のアミノ酸濃度を低濃度に
保ちながら培養することによつてリパーゼ生成能
を有する微生物のリパーゼ生成能を高めるうるこ
とをすでに見出している。 しかしながら、上記2つの方法によつても撹拌
数、通気量、撹拌ペラの位置、培養槽の幾何学的
形状、培養液量などの諸物理的操作因子の微生物
のリパーゼ生成能への影響は複雑であり、前述の
培地組成をコントロールする方法においてもリパ
ーゼ活性は上昇させうるものの、安定した一定レ
ベルの高活性をうる操作条件を決定することは非
常に困難である。 とくにリパーゼ生成能を有する微生物を培養し
てリパーゼを生産する際には、天然物である有機
窒素源の利用が必須であるため、天然物である有
機窒素源のその成分、組成の不安定さとあいまつ
て、培養条件の決定、ひいては工業的利用を考え
たばあいにそのスケールアツプは非常に難しい状
況下にある。 [問題点を解決するための手段] 本発明者は上述のような観点から鋭意研究を重
ねた結果、リパーゼを生産する糸状菌を培養する
際に、微生物保持材料とともに培養するなどした
ばあい、糸状菌は該保持材料に付着・増殖し、該
保持材料表層付近に比較的密に生物膜を形成し
(以下、「生物膜状増殖」という)、菌体内のリパ
ーゼ活性が飛躍的に上昇することを見出した。す
なわち本発明は、リパーゼ生成能を有する糸状菌
を培養してリパーゼを生産する際に、糸状菌を微
生物保持材料およびグリセライドもしくは脂肪酸
とともに液体培養することによつて該保持材料に
付着・増殖させることを特徴とする菌体内に高リ
パーゼ活性を有する菌体の生産方法を提供するも
のであり、微生物保持材料に付着・増殖した生物
膜状の増殖をさせることを特徴とする高リパーゼ
活性を有する菌体の生産方法を提供するものであ
る。 とくに微生物保持材料を用いるばあいには、リ
パーゼ生成能を有する糸状菌の増殖形態に影響を
与える培地組成、培養操作因子などの影響を最小
限に抑制できる。したがつて、リパーゼ生成能を
有する糸状菌のリパーゼ生産性を安定的に高める
ことができるとともに培地組成、培養操作条件に
よる影響を抑えることができるため、本発明の方
法は油脂エステル交換反応や油脂加水分解反応に
利用できる高リパーゼ活性を有する菌体からなる
リパーゼ酵素製剤の工業的生産を可能ならしめ
る。 [作用および実施例] つぎに本発明の方法をさらに詳しく説明する。 本発明の方法は、リパーゼを生産する糸状菌、
たとえばリゾプス(Rhizopus)属の耐熱性菌株
であるリゾプス・キネンシス(Rh.chinensis)を
培養してリパーゼを生産する際に、その増殖形態
を微生物保持材料に付着・増殖させた生物膜状
(以下、単に「生物膜状」と記す。)にすることに
よつて糸状菌のリパーゼ生成能を飛躍的に向上さ
せ、高リパーゼ活性を有する菌体からなるリパー
ゼ酵素製剤を生産するものである。このように生
物膜状の増殖形態にすることによつてリパーゼの
生産性が飛躍的に上昇する理由は明らかではない
が、前述のごとくリパーゼ生成を促進するにはリ
パーゼ生産に阻害のあるアミノ酸あるいは全アミ
ノ酸濃度を低く保つ必要があり、生物膜状形態で
増殖させることによつてこの条件が推進された
り、あるいはリパーゼの菌体外への分泌が抑制さ
れることなどがその理由として推察される。 本発明の方法に適用しうる微生物としてはリパ
ーゼ生成能を有する糸状菌であれば任意のものを
用いることができるが、リパーゼ生成能の高いリ
ゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス
(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属などを
その代表的なもとしてあげることができる。 微生物保持材料としては、糸状菌のもつ粘着
力、吸着力により糸状菌の吸着増殖を可能ならし
める任意の材料が適用できる。たとえば高分子多
孔質材料としては、ポリエチレンまたはポリプロ
ピレンなどのポリオレフイン系;ブタジエンまた
はイソプレなどのジエン系;ポリウレタン、ポリ
塩化ビニル、アクリルアミドまたはポリスチレン
などのビニル系重合体;ポリエーテル、ポリエス
テル、ポリカーボネートまたはナイロンなどの縮
合系;シリコンおよびフツ素樹脂などの材料、無
機材料としては、セラミツクス、ガラス、活性
炭、軽石および金属類などが適用できる。いずれ
の材料においても糸状菌を良好に該微生物保持材
料に固定化させるため、空げき率が60〜99%、単
位直線長さ当りの孔数が2〜50個/cmの範囲にあ
る多孔質材料か、空隙率が60〜99%である金属加
工材料などを使用するのが好ましい。 上記の特徴を有する保持材料を適用することに
よつて、糸状菌が増殖をくり返す過程において、
糸状菌固有の粘着力や保持材料の包括作用などに
よつて糸状菌が吸着固定化され、リパーゼの生産
に効果的な生物膜状の増殖形態が実現される。 このような各種保持材料は、糸状菌の種類およ
び培養条件によつて適宜選択でき、形状について
はたとえば球状、ブロツク状あるいはシート状な
どに加工して使用することができる。寸法につい
ては、糸状菌の種類、培養条件および反応器の種
類などにより決定できる。おおむね球状であれば
直径1〜100mm、ブロツク状のものであれば一辺
が1〜100mmのものが使用される。 しかしながら、あまり大きすぎると微生物保持
材料内での菌体の充填率(微生物膜の占める容
積/微生物保持材料の見かけの容積)が小さくな
り、微生物保持材料内での死空間の増大を招き好
ましくないので、球状であれば直径20mm以下、ブ
ロツク状のものであれば1辺の長さが20mm以下の
ものが一層好ましい。 糸状菌を上記微生物保持材料に吸着、増殖させ
るには、通常公知の回分、半回分、連続培養法な
どを用いて容易に吸着、増殖させることができ
る。 本発明の方法において通気は空気、酸素または
両者の混合ガスが用いられ、反応器は撹拌機型の
または無撹拌機型の各種、気泡塔型のあらゆる型
式のものが適用できるが、通常、微生物保持材料
に吸着、生物膜状増殖させるには無撹拌機型の反
応器が操作面およびコスト面から一層好ましい。 さらに本発明の方法により微生物保持材料とと
もに培養するばあいの培養条件の決定に関して
は、培養条件による増殖形態の変化に伴うリパー
ゼ生産性の低下は考慮することなく、糸状菌が微
生物保持材料に吸着して増殖する範囲内で、工業
的生産の立場から微生物保持材料内での糸状菌の
増殖速度を最大にするような条件に着目して選択
されればよい。 しかしながら本発明者の研究の結果、リパーゼ
生成能の高い糸状菌、たとえばリゾプス
(Rhizopus)属のリゾプス・キネンシス(Rh.
chinensis)、リゾプス・デレマー(Rh.
delemar)、リゾプス・ジヤポニカス(Rh.
japonicus)、リゾプス・オリゴスポラス(Rh.
oligosporus)、リゾプス・ニベウス(Rh.
niveus)、リゾプス・ジヤバニカス(Rh.
javanicus)、さらにはムコール・ジヤバニカス
(Mucor javanicus)、アルペルギルス・ニガー
(Aspergillus niger)などでは、糸状菌にエステ
ル交換反応に適するリパーゼを生産させるには培
養液中に誘導物質としてたとえばオリーブオイル
などのグリセライド、あるいはオレイン酸などの
脂肪酸を添加することが必要であり、本発明の方
法による微生物保持材料を用いるばあいにおいて
も同様である。しかし微生物保持材料として親油
性の高分子多孔質材料、たとえばポリウレタンの
どを用いるばあい、これらの誘導物質は微生物保
持材料内に吸収される。したがつて誘導物質が多
量に微生物保持材料内に吸収されると、微生物保
持材料内への酸素、基質の移動抵抗が大きくな
り、微生物保持材料内での糸状菌の増殖に対して
マイナス要因となる。ひいては微生物保持材料内
での増殖が不可能なため保持材料外での増殖が支
配的になり、微生物保持材料による生物膜状増殖
の効果が失なわれ、リパーゼ生成は促進されなく
なる。 したがつて培養液中に加えられる誘導物質の量
は、微生物保持材料内での安定した増殖を保ち、
リパーゼ生成を促進し、微生物保持材料外での増
殖を抑えるためには1〜8%、好ましくは2〜5
%がよい。 さらに微生物保持材料内での安定した増殖を保
ち、糸状菌の微生物保持材料からの剥離を抑制す
るためには、培養液の乱流強度および培養液中の
微生物保持材料の濃度が重要な因子となる。乱流
強度が強すぎると糸状菌は微生物保持材料から剥
離するし、乱流強度が弱すぎるばあいには微生物
保持材料と培養液の固液界面あるいは培養液と通
気ガスとのあいだの気液界面で酸素、基質などの
移動抵抗が大きくなり、微生物保持材料内での糸
状菌の増殖速度は非常に遅くなる。 したがつて、微生物保持材料内でのリパーゼを
生成する糸状菌の安定した増殖を維持するための
乱流強度の強さとして、撹拌機型の反応器では撹
拌レイノルズ数で102〜107、好ましくは103〜105
となる撹拌条件で操作される。 無撹拌機型の気泡塔では、とくに微生物保持材
料からの糸状菌の剥離の問題は、通気ガスの吹き
抜けが発生する通気線速度までの範囲において認
められない。したがつて微生物保持材料内での糸
状菌の迅速な増殖という観点から、通気線速度に
おいて2cm/sec、好ましくは3cm/sec以上で各
気泡塔のタイプに応じた通気ガスの吹き抜けが発
生するまでの通気線速度範囲で操作される。 一方、培養液中に加えられる微生物保持材料の
量(濃度)については、その量(濃度)があまり
少なすぎると糸状菌が微生物保持材料に付着して
増殖する可能性(機会)を低下させるため、微生
物保持材料内での安定した増殖を確保するために
はその濃度において10V/V%以上、好ましくは
20V/V%以上加えられる。 つぎに本発明を実施例を用いてさらに詳しく説
明するが、本発明はもとよりこれらに限定される
ものではない。 なお以下の実施例において、菌体および微生物
保持材料に吸着した菌体は、培養液より分離後、
水道水で2回洗浄し、ついで80%アセトン水溶液
で2回洗浄したのち、常温で24時間真空乾燥し
た。 菌体に含有されるリパーゼのエステル交換活性
については未だ一般的な測定法は確立されていな
いので、本発明の方法においては反応基質として
オリーブオイル:ステアリン酸メチル:ヘキサン
=1:4:2:5からなる混合物を用い、乾燥菌
体を適量加えて40℃で一定時間エステル交換反応
を実施せしめ、生成した1,3−ジステアロ−2
−オレオトリグリセリド(以下、SOSといす)の
量より、1時間あたり1gのSOSを生成する酵素
量を1ユニツト(10)とした。 リパーゼの加水分解活性は、オリーブオイルを
分解して生成したオレイン酸を中和滴定して求め
る公知の方法で測定した。 実施例 1 各種糸状菌をポリペプトン(大五栄養(株)製)7
%、NaNO30.1%、KH2PO40.1%、MgSO40.05%
からなる培地で初発PH5.6、温度28℃で4日間振
盪培養した。 この培地にオレイン酸2%を加えて培養したば
あいおよびさらに微生物保持材料を加えて培養し
たばあいの菌体内の活性を測定し、第1表に示し
た。 微生物保持材料としてはポリウレタンフオーム
(1辺6mmのブロツク状のもの(ブリジストン(株)
製、エバーライトスコツトHR−40))を100個/
100ml培地となるように加えた(17.8V/V%)。 また、培地にオレイン酸を加えないで培養した
ばあいを対照として、オレイン酸を加えないで微
生物保持材料のみを加えて培養したばあいの菌体
内活性も測定し、第2表に示した。 第1表より、リパーゼ生成能を有する糸状菌を
オレイン酸および微生物保持材料とともに培養す
ることにより、乾燥菌体中のエステル交換活性と
加水分解活性がともに上昇した。 オレイン酸を添加しないばあいでも微生物保持
材料とともに培養した糸状菌の菌体内のリパーゼ
活性は、微生物保持材料を加えないばあいと比べ
て高かつたが、エステル交換活性は検出できなか
つた。 エステル交換活性は、オレイン酸を添加すると
顕著に増加した。
【表】
【表】 実施例 2 糸状菌としてリゾプス・キネンシスを用いて、
実施例1のポリペプトンのかわりにリパーゼ生成
には不適なアミノ酸組成を有する有機窒素源であ
り通常の回分培養では糸状菌はパルピー状の増殖
形態を示す有機窒素源であるイーストペプトン
(フードスプリンガー(株)製)、プロエキスP(播州
調味料(株)製)、肉エキス(和光純薬(株)製)の各々
を用いて実施例1と同様に振盪培養を行ない、取
得した糸状菌についてその活性を比較した。結果
を第3表に示す。 リパーゼ生成に不適な有機窒素源を用いても、
微生物保持材料とともに培養することによつてエ
ステル交換活性、加水分解活性ともに上昇した。
【表】 実施例 3 糸状菌としてリゾプス・デレマーを用い、グル
コース1%、ポリペプトン7%、NaNO30.1%、
KH2PO40.1%、MgSO40.05%からなる培地で28
℃にて24時間前培養を行ない種母を調製した。 5撹拌槽ジヤーフアーメンター(いわしや生
物化学(株)製、MB−c−5、撹拌翼外径:8cm)
を用い、つぎの条件で回分培養を行なつた。 使用培地組成:イーストペプトン7%、
NaNO30.1%、KH2PO401%、MgSO40.05%、
オリーブオイル2%、 PH 5.6、 撹拌数 400rpm、 通気量 0.5VVM 温度 30℃ 微生物保持材料として1辺6mmのブロツク状ナ
イロン(空隙率95〜98%、孔数30個/cm)を1500
個/1培地の濃度(24.5V/V%)で加えた。 あわせて微生物保持材料を加えない対照実験を
行ない、第1図に比較して示したように培養経時
における乾燥菌体におけるエステル交換活性を測
定した。 微生物保持材料とともに培養することによつて
エステル交換活性は上昇した。 実施例 4 糸状菌としてリゾプス・オリゴスポラスを用
い、実施例3と同様にして種母を調製した。 第2図に示す形状の気泡塔を用い、通気線速度
3.2m/sec(15cmφ断面基準)、温度30℃、PH5.6で
回分培養を行なつた。 使用した培地は実施例3のイーストペプトンの
かわりに肉エキスを用いたほかは実施例3と同じ
であつた。 微生物保持材料として球状のステンレス加工材
料(直径5mm、空隙率80〜85%)を1500個/と
なるように加えた。(15.8V/V%)。微生物保持
材料を用いないで培養を行なつた対照実験での乾
燥菌体の活性との比較を第3図に示した。気泡塔
においても微生物保持材料とともに培養すること
によつてエステル交換活性は上昇した。 [発明の効果] 本発明によれば、微生物保持材料に付着・増殖
させた生物膜状の増殖をさせることによつて糸状
菌のリパーゼ生成能を有効かつ安定的に引き出す
ことができる。さらにまた、本発明によれば、培
地条件、培養操作条件の増殖形態への影響を排除
できるので、培養における安価な有機窒素源の利
用、撹拌および通気条件などの緩和を可能とする
ばかりではなく、糸状菌は微生物保持材料に吸着
されているため乾燥菌体製造の際の過、水洗、
アセトン洗浄、乾燥などの各工程における操作性
の向上など、リパーゼ活性を有し、エステル交換
反応、油脂加水分解反応に利用されるリパーゼを
包蔵した菌体の工業的生産に非常に好都合であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例3においてリゾプス・デレマ
ーを微生物保持材料とともに培養したばあいと対
照のばあいにおける乾燥菌体のエステル交換活性
を経時的に比較して示したグラフ、第2図は、実
施例4において回分培養に用いた気泡塔を示す模
式図、第3図は、実施例4においてリゾプス・オ
リゴスポラスを微生物保持材料とともに培養した
ばあいと対照のばあいにおける乾燥菌体のエステ
ル交換活性を経時的に比較して示したグラフであ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 リパーゼ生成能を有する糸状菌を培養してリ
    パーゼを生産する際に、糸状菌を微生物保持材料
    およびグリセライドもしくは脂肪酸とともに液体
    培養することによつて該保持材料に付着・増殖さ
    せることを特徴とする菌体内に高リパーゼ活性を
    有する菌体の生産方法。 2 リパーゼ生成能を有する糸状菌がリゾプス
    (Rhizpous)属、アスペルギルス(Aspergillus)
    属またはムコール(Mucor)属に属する糸状菌
    である特許請求の範囲第1項記載の生産方法。
JP61293754A 1986-12-09 1986-12-09 高リパ−ゼ活性を有する菌体の生産方法 Granted JPS63146782A (ja)

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BRPI1010068A2 (pt) * 2009-07-24 2016-03-15 Hoffmann La Roche "sistema agitador, dispositivo, método para cultivo de células animais, método para produzir um polipeptídeo, uso de um sistema agitador e dispositivos para cultivar células animais"

Citations (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS509868A (ja) * 1973-06-04 1975-01-31
JPS5088283A (ja) * 1973-12-05 1975-07-15

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