JPH0430525B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、港湾土木作業等における水底の基礎
レベルを出すとき等に使用される水深測定用水準
器に関する。

［従来の技術］ 港湾工事等でケーソンを設置する場合、海底に
敷石を並べ基礎を水平にする作業が行われる。こ
のとき、基面水平均しのため、第１図に示すよう
に、所定の区域内で複数本の杭１を予め海底に打
ち込んでいる。そして、船２上の作業者及び海底
のダイバーの両者で支持されたスターフ３を抗１
の上に立てて、海面から突出するスターフ３を水
準器４で読み取ることにより、抗１の頭部の高さ
を検出している。

しかし、この方法では、船２，長尺のスターフ
３等の基材の他に、多数の作業者が必要になる。
また、長いスターフ３を使用するとき、潮流等に
よつてスターフ３を鉛直に維持することが難し
い。また、スターフ３の運搬自体も面倒なものと
なる。このような理由から使用可能なスターフ３
の長さが限られ、現実的に深い水深を測定するこ
とができない。

そこで、実公昭57−49130号公報では、一対の
計測管の上部を連結ホースで接続した水深測定用
水準器が紹介されている。この水準器は、それぞ
れの計測管で表示された水頭を読み取ることによ
つて、計測管の位置する箇所の水深が検出され
る。［発明が解決しようとする課題］ 計測管を連結ホースで接続した水準器にあつて
は、水深を測定する複数箇所にわたつて連結ホー
スを引き回す必要がある。しかし、岩石，海草等
の種々雑多なものが存在する海底に連結ホースを
引き回すことは容易でない。また、連結ホースを
引き回す作業をダイバーに負担させるため、水中
作業の危険度が増す。

このようなことから、連結ホースの引回しを円
滑に行うためには、連結ホースの長さに自ずと制
約が加わる。その結果、水深測定箇所間の距離を
短く取らざるを得ず、水中作業が煩雑になると共
に、自由度が低下する。

本発明は、このような問題を解消すべく案出さ
れたものであり、水深測定箇所間の距離に制約を
受けることなく、また連結ホース等によつて水中
作業が阻害されることがない水深測定用水準器を
提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明の水深測定用水準器は、その目的を達成
するために、上部に設けた気蓄室と、小さい内部
断面をもち前記気蓄室から下方に延び、下端に水
取入れ口が開口している計測管と、該計測管に摺
動及び固定可能に嵌挿されたカーソルとを備えて
おり、前記計測管の中間部に水圧に対応した水頭
が位置することを特徴とする。

［実施例］ 以下、図面を参照しながら、実施例によつて本
発明を具体的に説明する。

本実施例の水深測定用水準器５は、第２図に示
すように、下端が開口した管状の計測管５ａの上
端部をほぼ球形の気蓄室５ｂに開口させている。

計測管５ａ及び気蓄室５ｂは、透明の合成樹脂
によつて一体成形されている。しかし、本発明は
これに拘束されることなく、たとえば耐圧性に優
れたガラス等で計測管５ａ及び気蓄室５ｂを作る
こともできる。また、気蓄室５ｂは、必ずしも透
明及び球形であることを必要としない。たとえ
ば、適宜の材質で作つた気蓄室５ｂを、水密及び
気密に計測管５ａに接続することも可能である。

計測管５ａとしては、長手方向に沿つて一定し
た小さな内部断面をもつた透明な管体が使用され
る。そして、リング状のカーソル６が、計測管５
ａの外周面にスライド可能に嵌め合わされてい
る。カーソル６は、透明な合成樹脂等の材質で作
られており、計測管５ａの周方向に沿つて基準線
６ａが刻印されている。カーソル６を計測管５ａ
の適当な箇所に固定するため、カーソル６にネジ
孔６ｂを穿設し、ネジ孔６ｂに止めネジ７が螺合
されている。

計測管５ａと気蓄室５ｂとの内部容積比は、水
深10ｍ程度での水中作業を前提とした本実施例で
は１：２程度に設定している。そして、水深測定
用水準器５全体の高さを30cm前後のコンパクトな
サイズにしている。なお、計測管５ａと気蓄室５
ｂとの内部容積比は、水深測定用水準器５が使用
される水深に応じて１：１，１：10等の適宜の容
積比に定められる。

この水深測定用水準器５は、計測管５ａ及び気
蓄室５ｂに大気を封入し、空気が洩れないように
して水中に立てられる。水圧は、計測管５ａの下
端開口から水深測定用水準器５の内部に加わる。
ここで、水圧が大気圧よりも大きいことから、水
深測定用水準器５内部に封入されている空気が圧
縮され、下端開口部から計測管５ａ内に水が侵入
する。侵入水の水頭は、水圧に平衡する封入空気
の体積減少量に応じ、水深に対応した位置まで下
端開口から上昇する。

たとえば、水深10ｍの水圧は、大気圧に水深分
の水圧を加えたほぼ２気圧になる。したがつて、
水深測定用水準器５に封入されている空気は、
PV＝一定の関係から体積が当初の1/2に減少す
る。

ここで、計測管５ａと気蓄室５ｂとの内部容積
比を１：２にとつているので、計測管５ａの内部
容積は、水深測定用水準器５全体の内部容積の1/
３である。したがつて、水深10ｍに水深測定用水
準器５があるとき、水頭は、第３図に示すように
気蓄室５ｂ内に位置する。そこで、計測管５ａの
下端開口から空気を補充し、計測管５ａの高さ方
向ほぼ中央部に水頭が位置するように調整する。

空気の補充は、たとえば第４図ａに示すように
ダイバーがチユーブ８を介し計測管５ａに息を吹
込むことにより行うことができる。或いは、第４
図ｂに示すように、予め空気を注入した容器９か
ら計測管５ａに空気を送り込むことにより、必要
量の空気が補充される。封入空気量は、大気圧換
算で当初の5/3倍程度ある。

本発明の補充により水頭が計測管５ａ内に位置
するため、カーソル６を使用した水頭位置の計測
が可能となる。また、計測管５ａの断面積が小さ
なため、水圧変動に起因した封入空気の体積変化
は、計測管５ａ中で大きく表示される。計測管５
ａの内径にもよるが、水深10ｍ程度の箇所で水深
２cm程度の変動は、計測管５ａ内の水頭１mm程度
の変化として検出される。そこで、計測管５ａに
１mm単位のスケールを付けておくと、計測が容易
なものとなる。

次いで、水深測定用水準器５を使用した水底の
レベル出し作業を具体的に説明する。

水深10ｍのところで水底を石均しする場合、第
５図ａに示すように所定間隔で杭Ａ〜Ｈを水底に
打ち込む。このとき、ケーソン１０の近傍に打ち
込まれている杭Ａを、スターフ３を使用して杭Ａ
の頭部が水深10ｍのところに位置するように、ケ
ーソン１０の近傍にある杭Ａの打込み量を調整す
る。

そして、水底のダイバーは、水深測定用水準器
５の計測管５ａ下端を杭Ａ上に載せる。水深測定
用水準器５には水深10ｍに対応した水圧が加わ
り、水頭が計測管５ａ内を上昇する。上昇した水
頭の位置にカーソル６の基準線６ａを合わせ、止
めネジ７によつてカーソル６を計測管５ａに固定
する。

次いで、石均しする区域に打ち込んでいる他の
杭Ｂ〜Ｈに水深測定用水準器５を持ち運び、杭Ｂ
〜Ｈの頭部に計測管５ａを立てる。この状態で計
測管５ａ内の水頭がカーソル６の基準線６ａより
下にある場合、杭Ｂ〜Ｈの頭部が杭Ａの頭部より
も浅いところに位置していることを意味する。逆
に計測管５ａ内の水頭がカーソル６の基準線６ａ
より上にある場合、杭Ｂ〜Ｈの頭部が杭Ａの頭部
より深いところに位置している。

そこで、水深測定用水準器５を鉛直方向に上下
動させ、計測管５ａ内の水頭がカーソル６の基準
線６ａに一致する位置を検出する。この検出され
た位置に、杭Ｂ〜Ｈの頭部を一致させる。これに
より、杭Ａ〜Ｈの頭部は、全て水深10ｍの同一レ
ベルとなり、石均しのための基準レベルが設定さ
れる。

また、10ｍにつき10cmの勾配で水底を石均しす
る場合、第５図ｂに示すように、先ず水深10ｍの
ところで水底に打ち込んだ杭Ｉの頭部に、水深測
定用水準器５の計測管５ａを立てる。この位置
で、計測管５ａの水頭位置にカーソル６の基準線
６ａを合わせて、止めネジ７でカーソル６を計測
管５ａに固定する。

次に、水深測定用水準器５を10ｍ離れた他の杭
Ｊまで持ち運ぶ。杭Ｊの位置で、計測管５ａに固
定されたカーソル６の基準線６ａに水頭が一致す
るように、水深測定用水準器５を上下動させる。
基準線６ａに水頭が一致したときの計測管５ａの
下端位置に合わせ、釘打ち等のマーキングを杭Ｊ
の側面に施す。

杭Ｉの頭部と杭Ｊのマーキング位置とを結ぶ線
は、水面と平行になつている。そこで、杭Ｊのマ
ーキング位置より10cm高い或いは低い箇所と杭Ｉ
の頭部とを結ぶとき、10ｍにつき10cm上昇或いは
下降する均し基準面が得られる。

以上の例では、水深10ｍでの作業を説明した。
しかし、封入空気を適宜補充して計測管５ａの高
さ方向中央部に水頭を位置させることによつて、
水深50ｍ以上の深い箇所でも同様に同一水深位置
が検出され、水中作業が円滑に行われる。また、
封入空気量の増大に伴つて、精度の高いレベル出
しが可能となる。

水深測定用水準器５の計測管５ａは、水頭を検
出する計測部が上下方向に細長い内部空間をもつ
限り、種々のものを使用することができる。たと
えば、第６図に示すように、空気の補充を容易に
するため、計測管５ａの下端開口をロート状に広
げても良い。また、ロート状に広がつた下端をも
つ計測管５ａは、杭等の頭部に立てる際に優れた
安定性を示す。更には、扁平な中空体を計測管５
ａとして使用し、水頭位置がみえるように長手方
向に沿つた一部表面のみを透明にすることもでき
る。

また、気蓄室５ｂにコツク１１を取り付け、気
蓄室５ｂ内にダイバーが直接口から息を吹込むこ
とによつて、水深測定用水準器５の内部に空気を
補充することができる。この場合、吹き込まれた
空気が過剰量であるとき、コツク１１を開き余分
な空気を気蓄室５ｂから簡単に排出することがで
きる。

［発明の効果］ 以上に説明したように、本発明においては、計
測管内に水頭が位置するように封入空気量を調整
して水深測定用水準器を水中で立てることによ
り、計測管内に侵入する水の水頭位置の変化によ
つて水深を検出することができる。そのため、水
中における基準レベルの設定を、一人のダイバー
によつて行うことが可能となる。また、個々の水
深測定作業ごとにスターフを立てる必要なく、連
結ホース等の長尺物が水中に浮遊することがない
ので、水中作業も円滑なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の水中レベル出し作業を示し、第
２図は本発明実施例の水深測定用水準器を示し、
第３図は同水深測定用水準器の使用状態を示し、
第４図ａ及びｂは封入空気補充の２態様を示し、
第５図ａ及びｂはそれぞれ水平基準レベル及び勾
配をもつた基準レベルの設定作業を説明するため
の図、第６図は他の実施例の水深測定用水準器を
示す。 ５ｂ…気蓄室、５ａ…計測管、６…カーソル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上部に設けた気蓄室と、小さい内部断面をも
   ち前記気蓄室から下方に延び、下端に水取入れ口
   が開口している計測管と、該計測管に摺動及び固
   定可能に嵌挿されたカーソルとを備えており、前
   記計測管の中間部に水圧に対応した水頭が位置す
   ることを特徴とする水深測定用水準器。