JPH0430422B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、温水或いは熱水又は水蒸気雰囲気下
で使用するのに好適な、耐熱水性に優れたポリア
ルキレンテレフタレート樹脂組成物に係る。 ポリアルキレンテレフタレート樹脂は、優れた
機械的、物理的の性質を備えたエンジニアリング
プラスチツクとして、各種の工業分野において幅
広く利用されている。そして、これらの各種工業
分野において要求される諸性質に応じ、その特性
を改善したポリアルキレンテレフタレート樹脂組
成物が、これまでに数多く提供されてきている。
本出願人は、斯かるポリアルキレンテレフタレー
ト樹脂組成物の一つとして、今般、耐熱水性に優
れたポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物を
提供するものである。ポリアルキレンテレフタレ
ート樹脂は、それ自体でもある程度の耐熱水性を
具備しているものではあるが、例えば自動車用の
部品等で熱水雰囲気下で使用しなければならない
場合、割合に短期間の使用によつて加水分解し、
その物性、特に引張強度、引張伸度が低下すると
いう問題が存していた。この問題を解決するため
に、これまで、リン化合物やジエン系化合物、オ
キセタン化合物、あるいはこれらの組合せなどを
ポリアルキレンテレフタレート樹脂に添加するこ
とが提案されているが、未だ充分な解決にはいた
つていない。本発明者らは、斯かる問題点に取り
組むにあたり、樹脂に疎水性を付与すると同時
に、樹脂中に若干の網目構造を持たせることによ
り耐熱水性の向上を図るという観点から鋭意検討
を重ねてきた。本発明はかくして得られたもので
あり、ポリアルキレンテレフタレート樹脂に対
し、(A)エチレンアルキルアクリレート共重合体ま
たは熱可塑性ポリエステルエラストマーの一種又
は二種以上と、(B)分子内に少なくとも２つのカル
ボジイミド基を有するポリカルボジイミドをそれ
ぞれ所要量組み合わせて添加してなることを特徴
とする、耐熱水性に優れたポリアルキレンテレフ
タレート樹脂組成物をその内容とする。 本発明において用いられるポリアルキレンテレ
フタレート樹脂は公知の如く、テレフタル酸又は
その低級アルキルエステルとアルキレンジオール
の重縮合によつて得られるポリエステルである。
例えばジメチルテレフタレートと１，４−ブタン
ジオールとのエステル交換反応後重縮合して製造
されるポリブチレンテルフタレート樹脂は、特に
本発明の基体樹脂として最も好適である。またポ
リブチレンテルフタレートを主体とする共重合体
或いはポリエチレンテルフタレート等との混合物
などであつてもよい。また、本発明においては、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂は０〜60重量
％のガラス繊維を含有するものであることが、強
度その他の物性の面から望ましい。 本発明においては、(A)成分であるエチレンアル
キルアクリレート共重合体または熱可塑性ポリエ
ステルエラストマーの一種または二種以上がポリ
アルキレンテレフタレート樹脂に対して添加され
る。その添加量は全樹脂組成物に対し、１〜50重
量％である。これよりも少ない量ではその効果は
充分でなく、あまりにも多いと樹脂の強度の低下
を招く。特に好ましい添加量の範囲は３〜25重量
％である。これらの添加物は樹脂に弾性を付与す
るものであつて、主として耐衝撃性の改良及び伸
度の向上に効果があるが、これらを単独でポリア
ルキレンテレフタレート樹脂中に添加しても、耐
熱水性の向上には余り効果はみられない。しか
し、これらの物質を後述の(B)成分より成る添加物
と併用することにより、耐熱水性すなわち耐加水
分解性に対する効果は極めて良好なものとなるの
である。ここでエチレンアルキルアクリレート共
重合体とは、エチレンとアクリル酸アルキルエス
テルから成る任意の割合の共重合体であつて、特
に有用なものはエチレンエチルアクリレート共重
合体である。また熱可塑性ポリエステルエラスト
マーとしては、長鎖エステル単位及び短鎖エステ
ル単位の反復よりなるセグメント型のコポリエス
テルが好ましい。ポリアルキレンテレフタレート
と(A)成分、即ちエチレンアルキルアクリレート共
重合体または熱可塑性ポリエステルエラストマー
との組合せにおいて、更に(B)成分であるポリカル
ボジイミドが、本発明の組成物に添加される。そ
の添加量は全樹脂組成物に対し、0.1〜10重量％
である。これよりも少ない量では樹脂の三次元化
すなわち樹脂に網目構造を付与して耐熱水性を改
善するのに不充分であり、多過ぎる量では樹脂の
流動性を悪くする。好ましくは0.5〜５重量％で
ある。これらは単独でも耐加水分解性の向上に有
効なものであるが、前記(A)成分エチレンアルキル
アクリレート共重合体または熱可塑性ポリエステ
ルエラストマーのいずれかと併用することにより
相乗効果が生じ、耐熱水性の大幅な上昇が観察さ
れた。ここで用いられるポリカルボジイミドは分
子内に少なくとも２つのカルボジイミド基を有す
る化合物で、通常イソシアネート化合物から誘導
される物質である。例えばフエニレンジイソシア
ネート、トルエンジイソシアネート、メチレンビ
スフエニルジイソシアネート、キシレンジイソシ
アネートなどの芳香族ジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネートなどの脂肪族ジイソシアネートから誘導
されるカルボジイミド化合物などが好ましく用い
られる。 さらに本組成物には、必要に応じて公知の添加
物、例えば各種の安定剤、滑剤、潤滑剤、核剤、
可塑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、物性を改
良するための各種有機高分子材料、或いは繊維
状、針状、板状、粉粒状の無機物質又は金属類、
更に又カーボンその他の染顔料等の着色剤等々を
適宜添加することが出来る。 本発明の組成物の調製は、例えばポリアルキレ
ンテレフタレート樹脂に必要な添加物を所定量一
度に添加してブレンダーにてブレンドし、押出機
により押し出してペレツトを作成することも出来
るが、添加物の一部をあらかじめ配合して押し出
した後、更に残りの成分を添加して再押出を行う
が如き二段階以上の押出を行うことによつて調製
することも出来る。又或る種の成分は成形時に添
加して成形品に混入させることも出来る。 かくして得られた組成物ペレツトを予備乾燥後
成形することによつて、耐熱水性の優れたポリア
ルキレンテレフタレート組成物の成形品を得るこ
とが出来るのである。 以下実施例により、本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。尚実施例、比較例に示す成分％はすべて重量
％を示す。 実施例 １〜６ ガラス繊維を30％含有するポリブチレンテレフ
タレート樹脂（PBT）に対し、表１に示すＡ及
びＢ物質を所定量添加し、ブレンダーにて混合し
た後押出機にて押し出してペレツトを調製した。
このペレツトは一夜熱風下にて乾燥し、成形機に
て試験片を作成した。この試験片を95℃に保たれ
た熱水中に浸漬し、一定期間後に取り出して引張
強伸度を測定してその経時変化を調べた。なおこ
の試験は、ASTM D638−58Tに準じて、東洋ボ
ールドウイン引張試験機UTM−１−2500を用い
て行つた。この結果を表１に示す。 比較例 １〜５ 実施例に対応して、Ａ及びＢ物質を何れも、或
いは何れか一方を添加しないこと以外は、すべて
実施例と同様の条件にて試験した結果を併せて表
１に示した。 尚、表中の数値は上段が引張強度［Kg／cm²］
を、下段が引張伸度［％］を示し、括弧内の値
は、初期値を1.00とした場合の保持率を示す。 以上の実施例及び比較例の結果から理解される
ように、本発明の組成物は、耐熱水性の要求され
る用途に対する樹脂の寿命が大幅に改善されてお
り、温水或いは熱水雰囲気下においても引張強
度、引張伸度共に良好な値を保つことができる。
従つて、自動車部品その他水の存在下、特に高い
温度において用いるのに極めて好適なポリアルキ
レンテレフタレート樹脂組成物を提供するもので
ある。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ポリアルキレンテレフタレート樹脂に対し、 (A) エチレンアルキルアクリレート共重合体また
   は熱可塑性ポリエステルエラストマーの一種又
   は二種以上１〜50重量％、及び (B) 分子内に少なくとも２つのカルボジイミド基
   を有するポリカルボジイミド0.1〜10重量％ を添加してなることを特徴とする、耐熱水性に優
   れたポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物。 ２ ポリアルキレンテレフタレート樹脂は０〜60
   重量％のガラス繊維を含有するポリアルキレンテ
   レフタレート樹脂である特許請求の範囲第１項記
   載の組成物。 ３ ポリアルキレンテレフタレート樹脂がポリブ
   チレンテレフタレートを主体とする樹脂である特
   許請求の範囲第１項または第２項記載の組成物。 ４ (A) エチレンアルキルアクリレート共重合体
   がエチレンエチルアクリレート共重合体である
   特許請求の範囲第１項から第３項のいずれかに
   記載の組成物。