JPH042935Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は巻紙輪転印刷機の折機において、製本
時の糊の浸透を良好にするために設けられるアジ
ロ装置に関するものである。

〔従来技術〕

巻紙輪転印刷機の折機で折られた折丁はスタツ
カで集積され、丁合機でページ順に取り揃えられ
たのち製本機へ供給されて製本される。そしてこ
の製本工程中には、クランプで挾持された折丁の
背に表紙付けのための背糊を塗布する糊付け工程
があるが、この場合、折丁への糊の浸透が悪いと
強固に表紙付けされないので、折機の折丁搬送径
路内に回転刃を設けチヨツパ装置で折られようと
する折丁の折線箇所にミシン目のような切込みを
入れることが行なわれており、この装置および回
転刃のことを従来一般にアジロ装置およびアジロ
刃とそれぞれ呼んでいる。そして折丁サイズが変
つたり、中心からずれた位置で折つたりするため
にチヨツパ装置による折線位置が変つた場合に
は、アジロ装置をこれに追従させて移動させる必
要がある。

しかしながら、従来のアジロ装置はその移動を
チヨツパ装置の移動とは別の操作で行なつていた
ので、操作が面倒で長時間を要するばかりでな
く、精度よく折線に合わせることがむつかしく位
置精度が低下したり再調整のために長時間を要し
生産性が低下するという欠点があつた。

〔考案の概要〕

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、回転アジロ刃およびこれと一対をなす受刃を
支持するアジロ装置フレームを左右の折機フレー
ムにより機幅方向へ往復動自在に支持させ、この
アジロ装置フレーム側のねじ部材とチヨツパ装置
フレーム側のねじ孔とを螺合させてチヨツパ装置
フレームの機幅方向への移動動作にアジロ装置フ
レームを連動させるとともに、前記ねじ部材の回
動による両フレームの相対位置微調節装置を設け
ることにより、アジロ刃による切込みの位置精度
を向上させ調節時間を短縮することを可能にした
折機のアジロ装置を提供するものである。以下、
本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は本考案に係るアジロ装置
の実施例を示し、第１図はこれを実施した折機の
チヨツパ装置とアジロ装置近傍の概要側面図、第
２図はアジロ装置の側面図、第３図は同じく展開
横断面図である。図において、符号１で示すもの
は、図の手前側と紙背側とに直立する図示しない
折機フレームに軸支されて図に矢印Ａで示す方向
に回転する渡し胴であつて、外周切欠き内に咥え
爪を備えており、上流側の折紙胴群（図示せず）
で平行折りされた折丁を咥え爪の開閉により咥え
たり咥えから解放したりして下方の排紙ベルト２
と添接ベルト３との間へ挾持させるように構成さ
れている。排紙ベルト２は、渡し胴１下方のベル
トローラ４と折機排紙部のベルトローラ群５との
間に複数条並列して張架されており、その上方に
おいてベルトローラ７とベルトローラ群８との間
に複数条並列して張架された上部の排紙ベルト９
との間で折丁を挾持して図に矢印Ｂで示す方向に
搬送するように構成されている。そしてこの上下
の排紙ベルト９，２による折丁搬送径路内には、
全体を符号１０で示すアジロ装置（後述）と、全
体を符号１１で示すチヨツパ装置とが搬送上流側
から順に配設されている。

チヨツパ装置１１は、折機フレームと直交する
両側板１２ａ，１２ｂとこれを連結する複数個の
角ステー１２ｃ，１２ｄ……とで一体的に枠組形
成されたチヨツパフレーム１２を備えており、こ
のチヨツパフレーム１２は、左右折機フレームに
より機幅方向へ移動自在に支持されている。チヨ
ツパ装置１１には、その使用時に下降して搬送折
丁を停止させる紙当て１３を備えており、この紙
当て１３で停止される折丁の上方には、図に矢印
Ｃで示すように上下動して折丁を幅方向中央部の
折線から半折して図示しない口金内へ押し込むチ
ヨツパブレード１４が配設されている。１５，１
６は両側板１２ａ，１２ｂ間に軸架されて原動側
から回転駆動される上下各一対ずつの咥え込みロ
ーラであつて、チヨツパブレード１４で押し込ま
れた折丁を咥えて下方へ引出すように構成されて
いる。また、１７は外周部に複数個の羽根を備え
た羽根車であつて左右の折機フレームを連結する
一対のビーム１８間の羽根車軸１９上に並設され
ており、原動側から駆動される羽根車軸１９とと
もに回転し咥え込みローラ１６から羽根間へ投入
される折丁を搬送して下方の排紙コンベア２０上
へ排出するように構成されている。２０は羽根車
１７による搬送時に折丁の両側端縁を摺接させて
案内するガイド板である。排出された折丁を図に
矢印Ｄで示す方向へ搬送する排紙コンベア２１
は、ベルトローラ２２と図示しないベルトローラ
との間に張架された複数条のベルト２３とで構成
されており、搬送された折丁はスタツカへ供給さ
れて集積される。なお、チヨツパ装置１１は、折
丁の仕様にしたがつて選択的に作動、非作動され
るものであつて、非作動の場合には、搬送折丁の
紙当て１３で停止されることなくチヨツパ装置１
１を通過して搬送が続けられ、ローラ群５，８下
流の羽根車により別の排紙コンベア上に排出され
て搬送集積される。また、チヨツパ装置１１全体
は、折機フレームとチヨツパフレーム１２との間
を連結して設けたねじ部材をハンドル操作で回動
させるとことによつて機幅方向へ移動し、チヨツ
パブレード１４による折線位置が折丁の機幅方向
サイズにしたがつて調節されるように構成されて
いる。

次に前記アジロ装置１０について説明する。第
３図に符号２４で示すものは、前記左右の折機フ
レームであつて、この折機フレーム２４の内面に
は、上下各一対のピン２５がチヨツパフレ−ム１
２の側板１２ａに近接し折丁搬送径路の上下に位
置して突設されており、第３図では前後に展開し
て図示されている。符号２６で示すものは、側面
視Ｌ字状に形成された両側の側板２６ａと、その
下端部を連結する複数個のステー２６ｂとで一体
的に形成されたアジロ装置フレームであつて、ブ
ツシユを有する軸孔２６ｃを前記ピン２５と嵌合
させて機幅方向へ移動自在に支持されており、左
右の側板２６ａには受刃軸２７の両端部がボール
ベアリング２８を介して軸支されている。また、
両側の側板２６ａには、逆への字状に形成された
アーム２９がピン３０によつて回動自在に枢着さ
れており、その受刃軸２７の真上に位置する遊端
部に形成された蓋付きの軸支部にはアジロ刃軸３
１がボールベアリング３２を介して回動自在に軸
支されている。３３は受刃軸２７上にキーで固定
されて図示しないギア列により原動側から回転駆
動されるギアであつてアジロ刃軸３１上にキーで
固定されたギア３４と噛合つており、アジロ刃軸
３１と受刃軸２７とは図に矢印Ｅ，Ｆで示すよう
に互に反対方向へ回転するように構成されてい
る。そしてアジロ刃軸３１の中央部に割締め固定
されたアジロ刃ホルダ３５には、第４図に拡大正
面図と拡大側面図とを示すように外周部を円周方
向へ等分する複数個の切欠き３６ａが形成された
円形薄刃状のアジロ刃３６が固定リング３７とボ
ルト３８とで固定されており、また受刃軸２７の
中央部には、アジロ刃３６を係入させる環状溝３
９ａを有する受刃３９が割締め固定されている。
さらに、両側の側板２６ａの上端部に植設された
スタツド４０には、つまみ４１を有する調節軸４
２がカラー４３，４４で軸方向への移動を規制さ
れて回動自在に軸支されており、その先端ねじ部
は、アーム２９に植設されたスタツド４５と螺合
されている。こうすることにより調節軸４２を回
動させると、アーム２９が揺動してアジロ刃３６
と受刃３９との接触圧が調節され、これらの間を
通過する折丁の折線位置にアジロ刃３６による適
切な切込みが形成される。なお、カラー４３に
は、板ばね４６の突起が係合されており、調節軸
４２の回動を調節位置で係止するように構成され
ている。４７，４８はアジロ刃軸３１と受刃軸２
７とに互に対応して複数個ずつ固定され、排紙ベ
ルト２，９に挾持されて搬送される折丁を押える
押えころと受けころである。

以上のように構成されたアジロ装置１０と前記
チヨツパ装置１１とは、ねじ軸をねじ孔との螺合
によつて連結されている。すなわち、チヨツパ装
置１１の側板１２にボルト４９で固定されてアジ
ロ装置１０側へ突出するレバー５０の先端部に嵌
着固定された鍔付きブツシユ５１には、ねじ孔５
２が設けられており、このねじ孔５２には、アジ
ロ装置１０の側板２６ａに軸支されてカラー５３
とベベルギア５４とで軸方向への移動を規制され
たねじ軸５５のねじ部が螺合されている。こうす
ることにより、ねじ軸５５が回動されずに静止し
ている場合には、チヨツパ装置１１の機幅方向へ
の移動に連動してアジロ装置１０が同量だけピン
２５上で機幅方向へ移動する。さらに、側板２６
ａの固定された一対のブラケツト５６，５７に
は、つまみ５８を有する調節軸５９がカラー６
０，６１で軸方向の移動を規制されて軸支されて
いてその先端部に軸着されたベベルギア６２は前
記ベベルギア５４と噛合つており、調節軸５９を
回動させることによりねじ軸５５が回動しながら
ねじ作用で軸方向へ移動し、これと一体のアジロ
装置フレーム２６がピン２５上で機幅方向へ移動
して折線とアジロ刃３６との相対位置が微調節さ
れるように構成されている。なお、ブラケツト５
６に固定された板ばね６３の突起がカラー６１の
溝と係合しており、これによつて調節軸５９は調
節後の回動が係止される。

前記上部の排紙ベルト９には、第２図に示すよ
うに、角ステー６４にブラケツト６５を介して支
持されたローラ６６が添接されており、また、調
節軸６７の回動によつて上下動する押えローラ６
８が添接されている。さらに前記ベルトローラ７
は折機フレーム側に軸支されたアーム軸６９上の
アーム７０に軸支されていて、アーム７０に植設
されたスタツド７１とアーム軸６９に割締め固定
されたブラケツト７２とには調節軸７３が軸支さ
れており、調節軸７３を回動させることにより、
ベルトローラ７が上下動して、下方のころ７４と
による排紙ベルト９，２の挾持力が調節されるよ
うに構成されている。また、下部の排紙ベルト２
には、角ステー７５，７６にブラケツト７７，７
８を介して支持されたローラ７９，８０が添接さ
れている。

以上のように構成されたチヨツパ装置とアジロ
装置との動作を説明する。折紙胴群で平行折りさ
れた折丁の折紙胴と対接する渡し胴１の咥え爪に
咥え替えられたのち咥えから解放されることによ
り上下の排紙ベルト９，２に捕捉されて搬送され
る。折丁の搬送径路内には、アジロ刃３６が受刃
３９の溝３９ａに係入して回転しているので、こ
の間を通過する折丁の折線位置にはアジロ刃３６
外周の切欠き３６ａによつて切込みが加工され
る。切込み加工後搬送を続けられる折丁は、紙当
て１３に当接することにより停止し、そこへチヨ
ツパブレード１４が折線目がけて下降してくるの
で、折丁は折線から半折されながら上部咥え込み
ローラ１５の間へ押し込まれ、さらに下部咥え込
みローラ１６によつて折目をつけられながら下方
へ引き出される。そこには羽根車１７が回転して
いるので、引き出された折丁は羽根車１７の隣接
する羽根間に落下したのち搬送され、排紙コンベ
ア２３上に排出されて搬送、集積される。

そして、折丁サイズが変つたり、あるいは折り
端がラツプするように中心からやや片寄つた位置
で折つたりする場合には、チヨツパ装置１１およ
びアジロ装置１０と排紙ベルト９，２との相対位
置を機幅方向へ移動させる必要がある。そこで折
機フレーム２４側のハンドルを回動操作してチヨ
ツパフレ−ム１２を所定量だけ機幅方向へ移動さ
せると、その側板１２ａに固定されたレバー５０
とその先端ねじ孔５２と螺合するねじ軸５５とを
介してアジロ装置フレーム２６がチヨツパフレー
ム１２と同量だけ移動するので、チヨツパブレー
ド１４による折り位置とアジロ刃３６による切込
み加工位置とが同量だけ変化し、正しい折線位置
への切込み加工が確保される。さらにアジロ刃３
６による切込み加工位置を微調節する場合には、
つまみ５８を把持して調節軸５９を回動させる
と、ベベルギア６２，５４を介してねじ軸５５が
回動し、静止しているチヨツパフレーム１２に対
してアジロ装置フレーム２６のみがピン２５上で
機幅方向へ移動してアジロ刃３６による切込み加
工位置が微調節される。

〔考案の効果〕

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば折機のアジロ装置において、回転ア ジロ刃
およびこれと一対をなす受刃を支持するアジロ装
置フレームを左右の折機フレームにより機幅方向
へ往復動自在に支持させ、このアジロ装置フレー
ム側のねじ部材とチヨツパ装置フレーム側のねじ
孔とを螺合させた上、ねじ部材の回動手段を設け
ることにより、折丁サイズの変更や折線位置の変
更時等にチヨツパ装置を機幅方向へ移動させる
と、この移動動作に連動してアジロ装置が同量だ
け移動するので、きわめて短時間でチヨツパ折り
位置とアジロ刃による切込み位置とを変更後の折
線に対応させることができ、準備時間が短縮され
て機械の稼働率が向上するとともに、チヨツパ装
置とアジロ装置との相対位置を容易に微調節する
ことができるので、きわめて高精度な折りと切込
み加工が可能となり製本印刷物の品質が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案に係る折機のアジ
ロ装置の実施例を示し、第１図はこれを実施した
折機のチヨツパ装置とアジロ装置近傍の概要側面
図、第２図はアジロ装置の側面図、第３図は同じ
く展開横断面図、第４図はアジロ刃の正面図と側
面図である。 １０……アジロ装置、１１……チヨツパ装置、
１２……チヨツパ装置フレーム、２４……折機フ
レーム、２５……ピン、２６……アジロ装置フレ
ーム、３６……アジロ刃、３９……受刃、５２…
…ねじ孔、５３……カラー、５４，６２……ベベ
ルギア、５５……ねじ軸、５９……調節軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チヨツパ装置の折丁搬送上流側に配設され搬送
   折丁の折線箇所に背糊浸透用の切込みを加工する
   回転アジロ刃を備えた折機のアジロ装置におい
   て、前記回転アジロ刃およびこれと一対をなす受
   刃を支持するアジロ装置フレームを左右の折機フ
   レームにより機幅方向へ往復動自在に支持させ、
   機幅方向へ移動調節自在な前記チヨツパ装置支持
   フレーム側のねじ孔と、前記アジロ装置フレーム
   に軸方向である機幅方向への移動を規制されて回
   動自在に支持されたねじ部材とを螺合させるとと
   もに、このねじ部材の回動で前記両フレームの相
   対位置を機幅方向へ変化させる微調節装置を設け
   たことを特徴とする折機のアジロ装置。