JPH042779Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は圧縮エアを用いてエアモータ部により
被締め付け物を衝撃的に締め付けるようにしたイ
ンパクトレンチに係り、更に詳しくは工具用主軸
の反力を検出する歪ゲージからの出力信号に基ず
きトルクコントロールを行ない得るようにしたイ
ンパクトレンチに関するものである。

（従来の技術） 従来、工具用主軸のトルクコントロールを行な
い得るようにしたインパクトレンチにおいては
種々のタイプのものが開発され使用されている。
その一つのタイプのものとしてはエアモータ部と
油圧パルス発生部と遊星歯車減速機構とを本体ケ
ースに内蔵させ、トルクセンサからの信号に基ず
きエアモータ部へのエア供給をフイードバツク制
御するソレノイドバルブを本体ケースとその外部
に設けたアンプ部との間に配設し、該アンプ部に
被締め付け物の締め付け状態を判定する判定ラン
プを取り付けた構造のいわゆる油圧タイプのイン
パクトレンチがある。他のタイプの代表例として
は工具用主軸にトーシヨンバーを使用し該トーシ
ヨンバーの反力に応じて変動する背圧によりダイ
ヤフラム式バルブのピストンを動かしこの動きを
光センサで検知し、本体ケースに内蔵して直接エ
ア通路を開閉するソレノイドバルブの差動を制御
するようにしたいわゆるハンマタイプのインパク
トレンチがある。

（考案が解決しようとする課題） 上記従来の油圧インパクトレンチにおいてはエ
アモータ部へのエア供給を制御するソレノイドバ
ルブを本体ケースの外部に設けているため、ソレ
ノイドバルブによりエアの供給をカツトした後も
エアモータ部とソレノイドバルブの間のエア配管
中に残留している圧縮エアによつてエアモータ部
が駆動されてしまい、しかも、インパクトレンチ
では衝撃的な回転により大きなトルクを瞬時的に
発生させるために所定のトルクを検知するのと同
時にエアモータ部を停止させないと所定のトルク
よりも非常に大きなトルクで締め付け作業を行な
つてしまう虞れがあり、精度の高いトルクコント
ロールが行なえないという問題を有している。他
方、上記ハンマタイプのインパクトレンチにおい
てはトーシヨンバーによりトルク反力を検知する
ため締め付け精度が不安定であり、しかも、本体
ケースに内蔵されているエア通路を直接開閉する
ソレノイドバルブではエア通路を開閉するために
大きな力が必要であつて大きなソレノイドが用い
られるためインパクトレンチ全体が非常に重くな
つてしまう。なお、ハンマタイプのものにはエア
モータによる被締付け物の打撃回数を機械的にカ
ウントしてバルブカツトするように構成したもの
も知られているが、この形式のものは機械的な騒
音、振動が大きいという問題がある。

本考案は上記従来技術が有する問題点を解消す
るもので、作業性および締め付け精度の向上、軽
量化を実現するトルクコントロールインパクトレ
ンチを提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するための本考案に係る手段
は、本体ケース内に配設したエアモータ部に接続
され、衝撃的な回転を発生する油圧パルス発生部
と、該油圧パルス発生部の出力軸と工具用主軸と
の間に設けた遊星歯車減速機構と、該遊星歯車減
速機構の内歯歯車が形成された歯車ケースに取り
付けられ、前記工具用主軸に作用する反力を検出
する歪ゲージと、前記エアモータ部へ圧縮エアを
供給するために前記本体ケースに形成されたエア
通路の途中に設けられ、パイロツト圧により該エ
ア通路を開閉するシヤツトオフバルブと、該シヤ
ツトオフバルブのエア出口側にパイロツト通路を
設け該パイロツト通路と前記シヤツトオフバルブ
の入り口側エア通路とを連通するエア通路を設け
該パイロツト通路に接続され前記歪ゲージからの
出力信号に基ずいてソレノイドが制御され、前記
シヤツトオフバルブに加えるパイロツト圧を発生
する電磁ソレノイド式パイロツトバルブとを設け
たことを特徴とするものである。

（作用） 本考案はこのように構成したので、締め付け精
度は次の作用により向上される。すなわち、シヤ
ツトオフバルブを本体ケーシングに内蔵してシヤ
ツトオフバルブからエアモータ部に至るエア通路
が最短になり残留エアが最小限になつて残留エア
による影響がなくエアモータ部の回転停止の応答
性が良いこと、エアモータ部を回転駆動し油圧パ
ルス発生部内のオイル圧を急上昇させ、これによ
つて得られるパルスを工具用主軸に繰り返し与え
て被締め付け物を締め付けるオイルパルス方式の
インパクトレンチはハンマータイプのインパクト
レンチよりも発生する振動が非常に小さくトルク
検知に歪ゲージを使用しても使用中に外れてしま
うようなことはなく、かつ、回転しない歯車ケー
スに歪ゲージを貼着していることから高精度の検
出信号が得られること、およびシヤツトオフバル
ブのエア入り口出口のエア圧力を同一にして実質
的にシヤツトオフバルブにエア圧力が掛からない
状態で開いた状態を維持し、閉じるときにはその
出入り口のエア圧力バランスを前記歪ゲージから
の信号で電気的に開弁するパイロツトバルブにて
解除しシヤツトオフバルブを閉じるので応答性が
良いことの相乗作用により高精度の締め付けが得
られる。そして、エアモータ部へ圧縮エアを供給
するエア通路を本体ケースに形成し、このエア通
路の途中にパイロツト圧により該エア通路を開閉
するシヤツトオフバルブを設け、該シヤツトオフ
バルブのエア出口側にパイロツト通路を本体ケー
ス内に形成するとともにこのパイロツト通路と前
記シヤツトオフバルブの入り口側エア通路とを連
通するエア通路を設け、このパイロツト通路に歪
ゲージからの出力信号に基ずいてソレノイドが制
御され、前記シヤツトオフバルブに加えるパイロ
ツト圧を発生する電磁ソレノイド式パイロツトバ
ルブを接続したので、シヤツトオフバルブとパイ
ロツトバルブとの組み合わせをコンパクトにして
本体ケース内にこれらバルブを納めることが可能
になる。これによりインパクトレンチの重量の増
加も抑えることが可能になる。

（実施例） 以下本考案の一実施例について説明する。第１
図において１はインパクトレンチの本体ケースで
あり、この本体ケース１内には吸気部２、エアモ
ータ部３、油圧パルス発生部４、遊星歯車減速機
構５およびトルクトランスデユーサ部６が設けら
れている。吸気部２にはエアモータ部３に連通す
るエア通路７が形成され、その途中にはメーンバ
ルブ８および切り替え開閉バルブ９が順次設けら
れている。メーンバルブ８はバルブ操作レバー１
０を引くことにより開き、切り替え開閉バルブ９
は回転切り替えレバー１１を所定の回転位置まで
回すことにより開くようになつている。エアモー
タ部３は公知の構成である偏心したシリンダ内に
配設された回転駆動軸１２を備え、この回転駆動
軸１２はベーン１３に圧縮エアが作用することに
より回転するようになつている。

油圧パルス発生部４も公知の構成であり、エア
モータ部３の回転駆動軸１２に直結されたライナ
ケース（ライナ上蓋１４ａおよびライナ下蓋１４
ｂを含む）１４と、該ライナケース１４内に設け
られた出力軸１５と、該出力軸１５に外装された
ドライビングブレード１６とからなり、ライナケ
ース１４内には油液が充填されている。工具用主
軸１７に一定以上の負荷がないとき出力軸１５は
ライナケース１４内面とドライビングブレード１
６の抵抗によりエアモータ部３の回転駆動軸１２
とともに回り、工具用主軸１７に一定以上の負荷
があるときにはリリーフバルブ１８を介してドラ
イビングブレード１６の内面に作用する油圧が変
動することによつて出力軸１５は衝撃的に回るよ
うになつている。遊星歯車減速機構５は油圧パル
ス発生部４の出力軸１５先端に固着した太陽歯車
１９とかみ合う複数（例えば三個）の遊星歯車２
０と該複数の遊星歯車２０とかみ合う内歯歯車２
１とからなり、内歯歯車２１は歯車ケース２２の
内側に形成されている。遊星歯車２０の軸部は工
具用主軸１７に固着されている。したがつて、油
圧パルス発生部４の出力軸１５の回転は遊星歯車
減速機構５により減速されて工具用主軸１７に伝
達されるようになつている。２３は歯車ケース２
２に貼着された歪ゲージで、この歪ゲージ２３に
よつて工具用主軸１７に作用する反力を検出でき
るようになつている。歪ゲージ２３の検出信号は
第２図に示すようにトランスデユーサ用コード２
４を介してコントローラ２５に送られるようにな
つている。２６はエアモータ部３へ送られる圧縮
エアを供給および遮断するためのシヤツトオフバ
ルブであり、切り替え開閉バルブ９とエアモータ
部３とを連絡するエア通路の途中に設けられてい
る。シヤツトオフバルブ２６は第３図に示すよう
にコイルスプリング３０によりエア通路を開く方
向（図中左方向）へその弾性力が付与されてお
り、コイルスプリング３０の弾性力に抗して移動
することによりエア通路を閉じる。シヤツトオフ
バルブ２６のエア通路と反対側にはパイロツト通
路３１を介して電磁ソレノイド式パイロツトバル
ブ（以下パイロツトバルブという）２７が接続さ
れており、パイロツト通路３１とエア通路とはシ
ヤツトオフバルブ２６に形成された通路（第４図
に図示）３２によつて連通されている。パイロツ
トバルブ２７はコイルスプリング３３により閉弁
方向にその弾性力が付与された球状のバルブ３４
と、励磁時に該バルブ３４をおして開弁させてパ
イロツト通路３１を大気と連通させるソレノイド
機構３０とからなる。パイロツトバルブ２７は第
４図に示すように歪ゲージ２３の検出信号に基ず
きコントローラ２５から送られるバルブカツト指
令により開かれるようになつている。２８は工具
用主軸１７による被締め付け物の締め付けトルク
の良否を表示するLEDタイプの判定ランプであ
り、この一個の判定ランプ２８はコントローラ２
５からの信号に基ずいて前記締め付けトルクの精
度が良であるとき緑色光を点灯し、不良であると
き赤色光を点灯して締め付け異常を即刻警報する
ようになつている。その他２９はパイロツト圧バ
ルブ兼判定ランプ用コードである。

以上の構成からなるこのインパクトレンチでは
作業開始時には工具用主軸１７に掛るトルクが所
定のトルクに達していないので歪ゲージ２３を介
してコントローラ２５からの指令によりパイロツ
トバルブ２７のバルブ３４が閉弁している。この
状態では通路３２によりシヤツトオフバルブ２６
のエア入り口側エア通路とパイロツト通路３１と
が連通しているのでシヤツトオフバルブ２６の入
り口側エア圧と同一圧力のパイロツト圧がパイロ
ツト通路３１に保持され実質的にシヤツトオフバ
ルブ２６にはエア圧力が掛からない状態になる。
これによりシヤツトオフバルブ２６はスプリング
３０の弾性力によりエア通路を開いた状態を維持
する。そのため、給気部２からシヤツトオフバル
ブ２６を介してエアモータ部３に送られた圧縮エ
アによりエアモータ部３の回転駆動軸１２が回転
し、その回転力は油圧パルス発生部４において衝
撃的な回転力に変換され、遊星歯車減速機構５で
減速された後、工具用主軸１７に伝達され締め付
け作業が行なわれる。締め付け時に工具用主軸１
７が受ける反力は歪ゲージ２３により検知され
る。そしてこの歪ゲージ２３は回転しないで静止
している歯車ケーシング２２に貼着され、かつ、
振動が少ない油圧パルス発生部１４を使用してい
るので歪ゲージ２３の剥れはなく工具用主軸１７
が受ける反力に対して高精度の検出信号が得られ
る。このようにして得られた高精度の検出信号は
コントローラ２５に電気的に送られる。工具用主
軸１７の締め付けトルクの反力があらかじめ設定
した値に達したときに歪ゲージ２３がこれを検出
してその信号をコントローラ２５に入力しコント
ローラ２５はパイロツトバルブ２７にバルブカツ
ト指令を送り、ソレノイド機構３０が励磁され
る。このソレノイド機構３０の励磁によりバルブ
３４は押されて開弁しパイロツト通路３１は大気
に連通してパイロツト圧は開放される。このパイ
ロツト圧の開放によりシヤツトオフバルブ２６の
エア入り口側エア圧力とパイロツト通路３１内の
圧力バランスが瞬時に崩れ、シヤツトオフバルブ
２６はスプリング３０の弾性力に抗してエア通路
側の圧縮エアにおされて移動しエア通路を瞬時に
閉じてエアモータ部３への圧縮エアの供給が瞬時
に遮断される。そしてシヤツトオフバルブ２６は
本体ケース１に内蔵されていてエアモータ部３に
至るエア通路が短いのでそこに残留するエア量は
極わずかであるので残留エアの影響が少なくエア
モータ部３の回転駆動軸１３は速やかに停止し高
精度の工具用主軸１７による締め付けトルク制御
が完了する。また、シヤツトオフバルブ２６のエ
ア出口側にパイロツト通路３１を設けこのパイロ
ツト通路３１とシヤツトオフバルブ２６のエア入
り口側とを通路３２にて連通し実質的にシヤツト
オフバルブ２６にエア圧力が掛からないようにし
てシヤツトオフバルブ２６をスプリング３０にて
開いた状態を維持しパイロツトバルブ２７を電気
的に開くようにして上記シヤツトオフバルブ２６
の入り口出口のエア圧力のバランスを解除するよ
うにしてエア通路を遮断するようにしたので、シ
ヤツトオフバルブ２６とパイロツトバルブ２７の
組み合わせをコンパクトにしてこれらバルブを本
体ケーシング１内に内蔵させることが可能にな
る。これによりインパクトレンチの重量が軽減さ
れインパクトレンチを持つて作業する作業者の負
担を軽減し作業性が向上する。この後に本体ケー
ス１に取り付けた判定ランプ２８の点灯表示によ
り、作業者は締め付け精度の良否を容易に目で確
認でき締め付け異常を即刻確認することが可能に
なる。

（考案の効果） 以上詳述した通り本考案のインパクトレンチに
よれば油圧パルス機構を採用して歪ゲージの剥れ
を防止するとともに歪ゲージを静止している歯車
ケーシングに取り付けて工具用主軸がうける反力
を高精度に検出し、更にエアモータ部への圧縮エ
アの供給、遮断を本体ケースに内蔵したシヤツト
オフバルブにより行なうようにし、該シヤツトオ
フバルブを電磁ソレノイド式パイロツトバルブに
より制御するようにしたので、歪ゲージからの高
精度の信号、パイロツトバルブにて電気的に制御
されるパイロツトエア圧によるエアモータ部の即
時停止、および残留エアの影響の軽減の相乗効果
により締め付け精度を大幅に向上することができ
る。そしてパイロツト通路およびこのパイロツト
通路とシヤツトオフバルブの入り口エア側とを連
通する通路を本体ケースに設けてシヤツトオフバ
ルブとパイロツトバルブの組み合わせをコンパク
ト化し本体ケース内に納めるようにしたので、イ
ンパクトレンチの重量を大幅に軽減することがで
きる。これにより、作業者への負担を低減して作
業生を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図は第１図のインパクトレンチとコントローラ
とを示す全体構成図、第３図は第１図のＡ−Ａ線
における縦断面図、第４図は第１図の空気回路図
である。 １……本体ケース、３……エアモータ、４……
油圧パルス発生部、５……遊星歯車減速機構、１
５……出力軸、１７……工具用主軸、２０……遊
星歯車、２１……内歯歯車、２２……歯車ケー
ス、２３……歪ゲージ、２５……コントローラ、
２６……シヤツトオフバルブ、２７……電磁ソレ
ノイド式パイロツトバルブ、２８……判定ラン
プ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体ケース内に配設したエアモータ部に接続さ
   れ、衝撃的な回転を発生する油圧パルス発生部
   と、該油圧パルス発生部の出力軸と工具用主軸と
   の間に設けた遊星歯車減速機構と、該遊星歯車減
   速機構の内歯歯車が形成された歯車ケースに取り
   付けられ、前記工具用主軸に作用する反力を検出
   する歪ゲージと、前記エアモータ部へ圧縮エアを
   供給するために前記本体ケースに形成されたエア
   通路の途中に設けられ、パイロツト圧により該エ
   ア通路を開閉するシヤツトオフバルブと、該シヤ
   ツトオフバルブのエア出口側にパイロツト通路を
   設け該パイロツト通路と前記シヤツトオフバルブ
   の入り口側エア通路とを連通するエア通路を設け
   該パイロツト通路に接続され前記歪ゲージからの
   出力信号に基ずいてソレノイドが制御され、前記
   シヤツトオフバルブに加えるパイロツト圧を発生
   する電磁ソレノイド式パイロツトバルブとを設け
   たことを特徴とするトルクコントロールインパク
   トレンチ。