JPH04271926A - 自動車の差動装置 - Google Patents

自動車の差動装置

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JPH04271926A
JPH04271926A JP3277575A JP27757591A JPH04271926A JP H04271926 A JPH04271926 A JP H04271926A JP 3277575 A JP3277575 A JP 3277575A JP 27757591 A JP27757591 A JP 27757591A JP H04271926 A JPH04271926 A JP H04271926A
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JP
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gear
housing
gears
element gear
friction
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Application number
JP3277575A
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English (en)
Inventor
Mark S Brewer
マーク・エス・ブリューワー
Gene A Stritzel
ジーン・エイ・ストリッツェル
Thomas B Ryan
トーマス・ビー・リャン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zexel Gleason USA Inc
Original Assignee
Zexel Gleason USA Inc
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/20Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices
    • F16H48/28Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices using self-locking gears or self-braking gears
    • F16H48/29Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices using self-locking gears or self-braking gears with self-braking intermeshing gears having perpendicular arranged axes and having worms or helical teeth

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Retarders (AREA)
  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、自動車の駆動力伝達系
に用いる差動装置に関し、より詳しくは、互いに直角を
成し、ただし互いに交わることのない複数の軸の上に、
ウォームギア等のねじれ歯を有するギアを装着して構成
したギア構成体を含んでいる形式の、差動装置に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】本発明を採用し得る差動装置として考え
られるのは、例えば1958年11月11日付で発行さ
れた米国特許第2859641号(Gleasman)
に記載されている差動装置等である。この米国特許は、
そこに記載されている公知の差動装置の具体的な詳細構
造を示すことが必要な場合に備えて、参考文献として本
開示に包含するものとする。 【0003】上記米国特許に記載されている公知の差動
装置は、ハウジング(即ち、ギアハウジング)と、その
ハウジングの両側面に形成した、一対の駆動アクセルの
端部を収容するための一対の孔と、そのハウジングの本
体部分の中に装着した、それら駆動アクセルを駆動する
ためのギア構成体とを含んでいる。ギアハウジングの一
方の側端部にはフランジを形成してあり、このフランジ
は、自動車の駆動シャフトからこの差動装置へ駆動力を
入力できるようにするリングギア等の手段を取付けるた
めのものである。ギアハウジングの他方の側端部には、
着脱自在なキャップを備えており、このキャップを取り
外すことによって、ハウジングの中へギア構成体を装着
できるようにしている。 【0004】ギア構成体は、一対のねじれ歯のウォーム
ギアを含んでおり、それらウォームギアを各々のアクセ
ルの端部に個々に連結して、この差動装置の「サイド」
ギアとしている。ギア構成体は更に、ハウジングの中に
複数個を配設した、いわゆる「エレメント」ギアを含ん
でおり、それらエレメントギアをサイドギアと噛合させ
て、2本のアクセルの端部の間にトルクを分配して伝達
するようにしている。それらエレメントギアは、2個ず
つを1組として、即ち対にして、ハウジングの本体部分
に形成したスロット即ち窓部の中に装着してある。各対
の2個のエレメントギアの夫々の回転軸心は、互いに平
行にしてあり、また、2個のサイドギアに共通する1本
の共通回転軸心に対して直角を成し、しかもその共通回
転軸心と交わることのない位置関係をもって延在するよ
うにしてある。典型的な一構成例としては、2個のサイ
ドギアを、3対のエレメントギアによって相互に連動さ
せるようにし、しかも、サイドギアの周囲に配設するそ
れら3対のエレメントギアを、ハウジングに等角度間隔
で装着したものがある。 【0005】エレメントギアは、実際には組み合わせギ
アである。即ち、各々のエレメントギアは、その中間部
分がウォームホイールとして形成され、その両端部分が
夫々平歯車として形成されている。サイドギア及びエレ
メントギアの組み合せ方は次のとおりである。即ち、エ
レメントギアの各対ごとに、その対の中の第1のエレメ
ントギアのウォームホイール部分を、一方のサイドギア
と噛合させ、その対の中の第2のエレメントギアのウォ
ームホイール部分を、他方のサイドギアと噛合させ、そ
してそれら第1及び第2のエレメントギアの平歯車部分
どうしを互いに噛合させている。 【0006】一対のサイドギアの夫々の歯は、互いに同
一の概略方向へ傾斜したねじれ角を有する歯としてある
。即ち、双方のサイドギアの歯は、それらサイドギアの
共通回転軸心に沿って同一の方向へねじれた歯としてあ
る。夫々のサイドギアの歯のねじれ角の大きさを互いに
異ならせることも可能であり、また、それらねじれ角の
傾きの方向は、いずれの方向としても良い(即ち、時計
周りのねじれ方向としても、反時計周りのねじれ方向と
しても良い)。しかしながら、双方のサイドギアの歯は
、互いに、同一の概略方向へ傾斜している必要があり、
さもなくば、それらサイドギアの間の相対回転の方向が
、適切な方向にならない。 【0007】この差動装置の中の以上に説明したギア構
成体の全体によって、2本の駆動アクセルの端部の間で
の、両方向の相対回転(即ち、差動作用)が可能になっ
ている。この相対回転、即ち差動作用は、2本の駆動ア
クセルの端部を、差動装置のハウジングとは異なった速
度で駆動できるようにするために必要な作用である。ま
た、駆動アクセルへは、サイドギアの傾斜した歯面を介
してトルクが伝達されるために、そのサイドギアを、ハ
ウジングの内側のサイドギア取付面へ押し付けるスラス
ト力が発生する。更に、こうして発生するスラスト力と
、ギアの噛み合いによって伝達される負荷とによって、
2本の駆動アクセルの間の相対回転に対する抵抗力とし
て働く、摩擦抵抗が発生され、この摩擦抵抗の大きさは
、差動装置のハウジングに加えられるトルクの大きさに
比例したものとなる。このトルクに比例した摩擦抵抗に
よって、2本の駆動アクセルに、互いに大きさの異なっ
たトルクを保持することが可能となっており、それら保
持可能トルクの夫々の上限は、差動作用を発生させるた
めに必要な、2本の駆動アクセルの間の、特性「バイア
ス」比に相当する大きさの夫々のトルクである。 尚、ここで説明している種類の差動装置、即ち、互いに
相対回転する2本の駆動アクセルの間に、略々一定の比
をもって、トルクが分配されるようにした差動装置は、
「トルク比例形」差動装置と呼ばれている。 【0008】このように、2本の駆動アクセルの夫々に
、ある大きさのトルクを保持することができるという能
力は、自動車の路面グリップ性能を向上させるという点
において、大きな利点をもたらすものである。通常、従
来の一般的な差動装置を備えた自動車では、その一方の
駆動輪が路面のグリップを失ったときには、他方の駆動
輪へ伝達することのできるトルクの大きさも、それによ
って低下してしまう。これに対して、トルク比例形差動
装置では、伝達トルクがその差動装置の特性バイアス比
に達するまでの範囲内において、良好なグリップを保っ
ている方の駆動輪へ、より大きなトルクを伝達すること
ができるのである。 【0009】様々なトルク比例形差動装置のうちでも、
ここに説明している種類のものをはじめとする幾つかの
種類のものでは、2本の駆動アクセルの間の相対回転の
方向が異なると、それによって、バイアス比の値が影響
を受けるようになっている。即ち、差動作用の方向が異
なると、バイアス比の値が異なるのである。現在採用さ
れている構成の差動装置では、このバイアス比の不等性
の程度は、一般的に、自動車の運転中に知覚できる程の
ものではない。しかしながら、バイアス比の不等性が存
在していると、差動作用が一方の方向へ働くときのバイ
アス比の値を必要最小バイアス比の値としても、差動作
用が他方の方向へ働くときのバイアス比の値は、必然的
にその必要最小値よりも大きなものとせざるを得ない。 そして、差動作用がその他方の方向に働くときには、そ
のバイアス比の値が必要最小値より大きいため、差動装
置の許容摩擦力を、その分だけ大きく設計しておかなけ
ればならない。更には、バイアス比の不等性が存在して
いると、それによって、幾つかのギア取付け面において
、そのギア取付け面へギアを押し付けるスラスト力に、
力の集中が生じるため、それらのギア取付け面を、その
力の集中による余分な荷重にも耐えられるように設計し
ておかなければならない。 【0010】バイアス比の不等性が発生する理由につい
ては、これまでに既にその解明がなされている。即ち、
このバイアス比の不等性の問題は、本願の基礎米国出願
の所有者が所有している3件の米国特許において取り扱
われている。それら3件の米国特許のうちの2件である
、米国特許第4805487号(Pedersen)、
及び同第4890511号(Pedersen)では、
この問題が数学的に解析されている。また、それら3件
の米国特許のうちの第3番目の米国特許である、米国特
許第4191071号(Gleasman et al
. )には、この問題についての説明が、それ程詳細で
はないものの、それより後に発行された上記2件の P
edersen 特許に示されている解析と同一線上に
ある解決法が提案されている。 【0011】概略的に説明するならば、バイアス比の不
等性の問題は、2個のサイドギアの歯のねじれ角の傾斜
方向が同一方向であることに原因がある。即ち、2個の
サイドギアの歯に夫々に駆動トルクが加わると、それら
サイドギアのねじれ角の大きさに比例した大きさの夫々
のスラスト力が、それらサイドギアの共通回転軸心に沿
った方向に発生する。2個のサイドギアのねじれ角の傾
斜方向が同一方向であるため、それらサイドギアに加わ
る夫々のスラスト力の方向は、互いに同一であり、その
ため、それらサイドギアは同一方向へ押圧されて、差動
装置のハウジングの一方の側端部へ押し付けられる。2
個のサイドギアのうち、駆動トルクによってそれら双方
のサイドギアが押し付けられる方向の、ハウジングのそ
の側端部に近い方のサイドギアを、「ボトム側」サイド
ギアと呼び、他方のサイドギア、即ち、ボトム側サイド
ギアへ押し付けられるサイドギアを、「トップ側」サイ
ドギアと呼んでいる。 【0012】2本の駆動アクセルへ加わる夫々のトルク
を合計したトルクの大きさは、差動装置のハウジングへ
加えられる駆動トルクの大きさと略々等しくなる。また
、ハウジングの駆動トルクが2個のサイドギアへ伝達し
、従って、それらサイドギアに連結した2本のアクセル
へ伝達する経路には、2通りの経路がある。一方の経路
は、駆動トルクがエレメントギアを介してサイドギアの
歯へ作用する経路であり、他方の経路は、駆動トルクが
、ハウジングとサイドギアの側端面との間の摩擦当接面
を介して伝達する経路である。ただし、サイドギアの側
端面の摩擦当接面に働く摩擦トルクのうち、いずれか一
方のサイドギアがハウジングよりも高速で回転する場合
に、そのサイドギアの相対回転に対する抵抗として作用
する摩擦トルクは、ハウジングの駆動力がアクセルへ伝
達することに対する抵抗として働くことになる。それゆ
え、その種の摩擦トルクを克服するために、高速で回転
する方のサイドギアの歯に、より大きなトルクが加わる
ようにしておいたり、或いは、他方のサイドギアとハウ
ジングとの間の摩擦当接面に、より大きなトルクが作用
するようにしておく必要がある。 【0013】また、ハウジングの駆動トルクが、双方の
サイドギアの歯へ作用しているときには、そのときの差
動作用の方向の如何にかかわらず、それらサイドギアの
双方が、スラスト力によって、差動装置のハウジングの
同じ一方の側端部へ向けて押圧されている。従ってその
とき、サイドギアとハウジングとの間の2つの摩擦当接
面のうち、実際にサイドギアとハウジングとの間で摩擦
トルクを伝達させる機能を果たしている摩擦当接面は、
一方のみ、即ち、ボトム側サイドギアとハウジングとの
間の摩擦当接面だけとなっている。この、ボトム側サイ
ドギアとハウジングとの間の摩擦当接面に発生する摩擦
トルクは、差動作用の方向がいずれの方向であっても、
常に、その差動作用に対して抵抗となる方向を持ったト
ルクとして発生するものである。ただし、ボトム側サイ
ドギアがハウジングより低速で回転しているときには、
その低速回転に対して抵抗となる方向に発生しているこ
の摩擦トルクは、ハウジングの駆動トルクの一部をボト
ム側サイドギアの側端面へ伝達するように働いている。 従って、サイドギアの歯を介して駆動アクセルへ伝達さ
れている駆動トルクの大きさは、その分だけ小さくなっ
ている。一方、ボトム側サイドギアがハウジングより高
速で回転しているときには、この摩擦当接面の摩擦トル
クは、その高速回転の回転方向とは逆方向に発生してお
り、その高速回転に対する抵抗として働いている。それ
ゆえ、このときには、サイドギアの歯を介して伝達され
ている駆動トルクの大きさは、その分だけ増大していな
ければならない。 【0014】従って、差動作用の方向がいずれの方向で
あっても、2本のアクセルへ伝達されるトルクの合計の
大きさは、ハウジングへ加えられているトルクの大きさ
に等しく、変化することはないが、ただし、エレメント
ギアを介して双方のサイドギアの歯へ伝達されるトルク
の大きさは、差動作用の方向によって異なったものにな
る。即ち、ボトム側サイドギアをハウジングより低速で
回転させる方向に差動作用が生じたときには、エレメン
トギアを介して伝達されるトルクは、より小さなトルク
となり、一方、ボトム側サイドギアをハウジングより高
速で回転させる方向に差動作用が生じたときには、エレ
メントギアを介してより大きなトルクが伝達されるよう
になる。更に加えて、サイドギアの歯にトルクが加わる
ことによって、差動装置に使用されている種々のギアの
側端面ないし端面に作用するスラスト力が発生するため
、それらのギアの側端面ないし端面、並びにそれらギア
の噛み合い部分に発生する摩擦力も、差動作用の方向に
よってその大きさが異なったものとなり、その結果、差
動作用の方向によって、バイアス比の値が異なるように
なる。 【0015】上掲の Gleasman et al.
に対して発行された米国特許には、ボトム側サイドギア
とハウジングとの間に、摩擦低減用ワッシャを介装する
ことによって、このバイアス比の不等性という問題を抑
制することが提案されている。確かに、ボトム側サイド
ギアとハウジングとの間の摩擦当接面における摩擦を小
さくすれば、バイアス比の不等性の程度を軽減すること
ができるが、しかしながら、それによって同時に、差動
作用の方向がいずれの方向であっても、最終的に得られ
るバイアス比の値そのものが小さくなってしまう。更に
は、ボトム側サイドギアとハウジングとの間の摩擦力を
完全に除去するわけには行かないため、ある程度の不等
性は残らざるを得ない。 【0016】上掲の Pedersen に対して発行
された2件の米国特許のうち、先に発行された方の特許
(米国特許第4805487号)では、自動車を前進駆
動するトルクである前進方向駆動トルクを差動装置が伝
達しているときの、このバイアス比の不等性の問題を解
決したものであり、その解決法は、トップ側サイドギア
を、ボトム側サイドギアからは独立させて、直接にハウ
ジングで支持するようにしたというものである。このよ
うに、トップ側サイドギアを、独立的に取り付けている
ため、ボトム側サイドギアとハウジングとの間の摩擦当
接面へ加わる、ボトム側サイドギアからのスラスト力に
、更にトップ側サイドギアからの軸方向のスラスト力が
加わることが防止されている。また、2個のサイドギア
はハウジングに対して互いに反対方向へ回転するため、
トップ側サイドギアとハウジングとの間に発生する摩擦
トルクの方向は、ボトム側サイドギアとハウジングとの
間に発生する摩擦トルクの方向とは反対になる。しかし
ながら、この解決法は、トップ側サイドギアの取付構造
を特別な構造とする必要があるため、コストの高騰を招
き易いということがある。また、自動車を後退方向へ駆
動する際のトルクのバランスの問題を解決するためには
、ボトム側のサイドギアも、この特別の取付構造によっ
て取り付けるようにしなければならず、従ってこの特別
の取付構造がもう1組必要になる。 【0017】上掲の Pedersen に対して発行
された2件の米国特許のうち、後から発行された方の特
許(米国特許第4890511号)には、2個のサイド
ギアの間にワッシャを配設し、このワッシャをハウジン
グに回転不能に取付けた構成が開示されている。このワ
ッシャの、ボトム側サイドギアに臨む側の側面には摩擦
低減材を貼着してあり、その反対側の、トップ側サイド
ギアに臨む側の側面には摩擦増強材を貼着してある。こ
のワッシャがなければ、ボトム側サイドギアとトップ側
サイドギアとの間の摩擦当接面に、それらサイドギアに
作用する夫々の摩擦トルクが発生し、しかもそれら摩擦
トルクは、大きさが互いに等しく、方向が互いに逆向き
のトルクとなる。従って、結果的に、ハウジングから2
本のアクセルへ伝達される駆動トルクの合計値に対する
、サイドギアどうしの間に発生して夫々のサイドギアに
作用するそれら摩擦トルクの全体としての影響は、略々
ゼロになる。しかるに、ワッシャを回転不能に取り付け
、しかもそのワッシャの一方の側の摩擦を低減し、他方
の側の摩擦を増強しているため、ボトム側サイドギアの
回転に対して働く抵抗は低減され、一方、トップ側サイ
ドギアの回転に対して働く抵抗は増大されている。この
ように、双方のサイドギアの間の摩擦当接面に差分摩擦
を発生させ、この差分摩擦によって、ボトム側サイドギ
アとハウジングとの間の摩擦当接面に発生する摩擦を減
殺するようにしているのである。しかしながら、この解
決法には、自動車を前進方向に駆動しているときのバイ
アス比しか制御することができないという制約が有り、
後退方向に駆動しているときのバイアス比の不等性の問
題は、これによって、むしろ悪化している。 【0018】従って、バイアス比の不等性の問題を解決
するための、以上に説明した公知の種々の解決法は、い
ずれも、自動車の駆動方向がある一方向(即ち、前進方
向または後退方向のいずれか)のときのバイアス比しか
制御することができないという制約を有するか、或いは
、バイアス比の不等性を抑制することに伴って、最終的
に得られるバイアス比の値そのものを大幅に低下させて
しまうかの、いずれかの不都合を持ったものであった。 【0019】 【発明の概要】本発明は、差動作用の方向が両方向のい
ずれの場合であっても、その差動作用の方向において最
終的に得られるバイアス比の値を制御することができ、
しかもその制御によるバイアス比の値の変化が、異なっ
た差動作用の方向の間でのバイアス比の不等性に及ぼす
影響を最小しつつ、その制御を行なえるものである。ま
た、本発明は、最終的に得られるバイアス比の値を、車
両の前進方向運転時と後退方向運転時とで個別に制御す
ることができ、更に、スラスト力の分布を制御して、複
数の摩擦当接面の間で、スラスト力をより均一に分布さ
せることができるものである。 【0020】夫々のエレメントギアの端面と差動装置の
ハウジングとの間に発生する摩擦トルクの大きさを調節
するには、2とおりの方法を用いることができる。その
うちの一方の方法は、エレメントギアとハウジングとの
間の摩擦当接面の材質を変更することによって、その摩
擦当接面が、異なった摩擦係数を呈するようにするとい
うものである。他方の方法は、エレメントギアからハウ
ジングへ加わるスラスト力の大きさを変更するというも
のである。ただし、摩擦トルクの分布を制御するという
目的を達成するためには、異なったエレメントギアの夫
々の端面どうしを互いに異ならせ、また、同一のエレメ
ントギアの2つの端面を互いに異ならせるということも
重要である。 【0021】トップ側サイドギアと噛合させたエレメン
トギアを、トップ側エレメントギアと呼び、それ以外の
、ボトム側サイドギアと噛合させたエレメントギアを、
ボトム側エレメントギアと呼んでいる。また、各エレメ
ントギアの両端面は、差動装置のハウジングに形成した
窓部の、互いに対向する2つの壁部の間に位置するよう
にしてある。そして、エレメントギアの両端面のうち、
前進方向駆動トルクの伝達の際に、その端面に対向して
いる窓部の壁部へ押し付けられる方の端面を、「ドライ
ブ側」の端面と呼び、他方の、後退方向駆動トルクの伝
達の際に、その端面に対向している窓部の壁部へ押し付
けられる方の端面を、「アイドル側」の端面と呼んでい
る。これらの「ドライブ側」の端面という用語と「アイ
ドル側」の端面という用語とは、差動装置を回転させる
ために使用するリングギアの歯の接触部位が、いわゆる
ドライブ側の歯面(かみあい側の歯面)であるときと、
アイドル側の歯面(反かみあい側の歯面)であるときと
に、それに伴ってエレメントギアへ作用する、端面への
スラスト力の方向に基づいて使用している用語である。 【0022】トップ側エレメントギア並びにボトム側エ
レメントギアの端面の摩擦係数がバイアス比の値に対し
て及ぼす影響は、差動作用の方向が異なれば、やや異な
ったものとなる。また、エレメントギアのドライブ側の
端面の摩擦係数が、バイアス比に対して影響を及ぼし得
るのは、差動装置が前進方向駆動トルクを伝達している
ときに限られ、一方、エレメントギアのアイドル側の端
面の摩擦係数が、バイアス比に対して影響を及ぼし得る
のは、差動装置が後退方向駆動トルクを伝達していると
きに限られる。そのため、エレメントギアの異なった種
類の端面の摩擦係数を、夫々に異ならせることによって
、4つの異なったバイアス比の値を制御することができ
る。 【0023】例えば、トップ側エレメントギアのドライ
ブ側の端面の摩擦は、差動作用の方向が異なる場合のバ
イアス比の不等性を増大させるように働くが、一方、ボ
トム側エレメントギアのドライブ側の端面の摩擦を制御
することによって、バイアス比の不等性に殆ど影響を及
ぼすことなく、最終的に得られるバイアス比の値を増減
することができる。また、ボトム側エレメントギアのア
イドル側の端面の摩擦は、後退方向駆動時のバイアス比
の不等性に対して不利に働くが、一方、トップ側エレメ
ントギアのアイドル側の端面の摩擦は、そのような悪影
響をもたらすことなく、後退方向駆動時における全体と
してのバイアス比の値を制御するために利用することが
できる。更に、ボトム側エレメントギアのドライブ側の
端面の摩擦係数を、トップ側エレメントギアのアイドル
側の端面の摩擦係数とは独立的に変化させることによっ
て、前進方向駆動時における全体としてのバイアス比と
、後退方向駆動時における全体としてのバイアス比とを
、共に制御することができる。 【0024】本発明によれば、トップ側エレメントギア
とボトム側エレメントギアの夫々の端面ごとに、異なっ
た摩擦係数を用いることができる。そして好ましくは、
少なくともトップ側エレメントギアのドライブ側の端面
の摩擦係数を低減して、ボトム側エレメントギアのドラ
イブ側の端面の摩擦係数よりも小さくするのが良い。ま
た、ボトム側エレメントギアのドライブ側の端面の摩擦
係数を比較的大きくしておけば、差動作用の方向が両方
向のいずれの場合のバイアス比の値も、適当な値に維持
することができる。バイアス比を制御するという以上と
同じ利点を、後退方向駆動時に得られるようにするには
、ボトム側エレメントギアのアイドル側の端面の摩擦係
数を低減して、トップ側エレメントギアのアイドル側の
端面の摩擦係数より小さくすれば良い。ただし、この場
合には更に、トップ側エレメントギアのアイドル側の端
面の摩擦係数を増大させて、ボトム側エレメントギアの
ドライブ側の端面の摩擦係数よりも大きくし、それによ
って、前進方向駆動時よりも後退方向駆動時の方が、バ
イアス比がやや大きくなるようにしておくことが好まし
い。 【0025】エレメントギアの端面が数種類ある中で、
最も大きなスラスト力が加わる端面は、トップ側エレメ
ントギアのドライブ側の端面と、ボトム側エレメントギ
アのアイドル側の端面との、2種類の端面である。ただ
し、本発明では更に、エレメントギアの端部に形成する
平歯車部分を、はすば歯車部分に代えるようにしても良
く、そうすれば、異なった種類のエレメントギアの端面
に作用するスラスト力の分布状態を、より均一に近いも
のとすることができる。 【0026】トップ側エレメントギアのはすば歯車部分
と、ボトム側エレメントギアのはすば歯車部分とは、互
いに噛合するように、それらの歯のねじれ角の方向を互
いに逆方向に(即ち、時計周りのねじれ方向と反時計周
りのねじれ方向とに)してある。そして、互いに噛合し
ているそれらはすば歯車部分の間でトルクが伝達される
ことによって、トップ側エレメントギアとボトム側エレ
メントギアの、夫々の軸心に沿って、互いに逆向きのス
ラスト力が夫々に発生する。差動作用の方向が両方向の
いずれの場合にも、それらスラスト力の方向は変わらず
、即ち、それらいずれの場合にも、それらスラスト力は
、各々が同一方向を向いたままで、互いに逆向きとなっ
ている。しかしながら、前進方向駆動トルクを伝達して
いるときと、後退方向駆動トルクを伝達しているときと
では、それらスラスト力は、各々が反対方向を向き、そ
の上で、それらスラスト力どうしが互いに逆向きとなる
。はすば歯車部分によって発生される、それらの、互い
に逆向きの夫々のスラスト力は、夫々のサイドギアから
夫々のエレメントギアへ加わっているスラスト力に対し
て、一方は増強するように、また、他方は減殺するよう
に作用する。 【0027】本発明では、一対のエレメントギアの端部
に、ねじれ角の傾斜方向が互いに逆方向のはすば歯車部
分を形成する際に、そのねじれ角の傾斜方向を次のよう
に選択している。即ち、前進方向駆動の際に、トップ側
エレメントギアには、トップ側サイドギアからトップ側
エレメントギアへ加わるスラスト力を減殺する方向のス
ラスト力が発生するように、また、ボトム側エレメント
ギアには、ボトム側サイドギアからボトム側エレメント
ギアへ加わるスラスト力を増強する方向のスラスト力が
発生するように、その傾斜方向を選択している。尚、は
すば歯車部分のねじれ角の傾斜方向をこのように選択し
た場合、後退方向駆動の際には、以上と逆の作用が生じ
ることになる。即ち、トップ側エレメントギアのアイド
ル側の端面に作用しているスラスト力は、はすば歯車が
発生するスラスト力によって増強され、一方、ボトム側
エレメントギアのアイドル側の端面を押圧するように作
用しているスラスト力は、はすば歯車が発生するスラス
ト力によって減殺されるようになる。 【0028】はすば歯車部分のねじれ角を以上のように
構成することによって得られる、その全体としての効果
は、夫々のエレメントギア端面に作用するスラスト力の
分布を、より均一な分布にすることができることにある
。はすば歯車部分のねじれ角は、夫々のエレメントギア
端面の摩擦の間の、相対的な大きさにも影響を及ぼすが
、単に、このはすば歯車部分のねじれ角を変化させただ
けでは、結果として得られるバイアス比の値や、差動作
用の方向が異なる場合のバイアス比の不等性に対しては
、殆ど、或いは全く影響を及ぼすことはできない。しか
しながら、はすば歯車部分のねじれ角を以上のように構
成することと、異なった種類の摩擦当接面における摩擦
係数を互いに適当に異ならせることとを、組合せて採用
するならば、それによって、バイアス比の不等性の問題
に寄与している摩擦当接面からの影響を低減しつつ、全
体としてのバイアス比の大きさを良好に制御することが
できるのである。 【0029】 【実施例】図1及び図2は、本発明の差動装置と類似の
構成の公知の差動装置をに示したものである。特に図1
から明らかなように、この公知の差動装置は、ハウジン
グ10を含んでおり、このハウジング10は、その一方
の側端部にフランジ14を備えている。フランジ14は
、リングギア(不図示)を取付けるためのものであり、
そのリングギアを介して、自動車の動力伝達系から一般
的な方式で駆動力を受け取るようにしている。ハウジン
グ10の他方の側端部は、図2に示したエンド・キャッ
プ12を嵌装するように形成してある。ただし、このエ
ンド・キャップ12をハウジング10と一体に形成する
という方法も、一般的に行なわれている。 【0030】差動装置のハウジング10には、その両側
端部に、一対の支持スリーブ16を形成してある。更に
、それら支持スリーブ16に形成した一対の孔18が、
夫々に駆動アクセルの端部20と22とを支持しており
、それら駆動アクセルの端部20、22は、ハウジング
10の中へ嵌挿されてギア構成体に連結されている。更
に詳しくは、それらのアクセルの端部20、22には、
その外周にスプライン24を形成してあり、このスプラ
イン24は、それに合わせて形成したサイドギア26及
び28の内周スプラインと係合している。これらサイド
ギア26、28は、公知の如く、ウォームギア即ちねじ
れ歯を有する形式のギアである。 【0031】エレメントギア30と32とから成るエレ
メントギアの対が3対備えられており、サイドギア26
と28の各々は、各エレメントギア対の中の、一方のエ
レメントギアと噛合している。図1には、3対のエレメ
ントギア30、32のうちの2対しか図示してないが、
それら3対の動力伝達用のエレメントギア対が、互いに
等間隔で、即ち120℃間隔で、サイドギア26及び2
8の周囲に配設してあることは、図からも理解されよう
。無論、エレメントギア対の数は、より多くすることも
、また、少なくすることもでき、その場合にも、それら
のギア対の間の角度間隔は、その数に合わせて調節する
ことによって、等間隔にすることができる。 【0032】エレメントギア30及び32の各々は、実
際には、3つの個別のギアを一体に組み合せて構成した
ものである。例えば、図1及び図2に示した公知の差動
装置では、鼓形のウォームホイール部分34の両端に、
夫々に平歯車部分36を形成してある。ただし、これら
のウォームホイール部分34または平歯車部分36の代
わりに、ねじれ歯を有する形式のギアを用いる方式も公
知となっている。エレメントギア30及び32の、夫々
の中間部分(ウォームホイール部分)34は、サイドギ
ア26及び28と噛合している。また、夫々のエレメン
トギアの両端部(平歯車部分)36どうしは、互いに噛
合している。 【0033】エレメントギア30と32とから成る各エ
レメントギア対は、ハウジング10の周面から内方へ向
かって延在するように形成した3つの「窓部」即ちスロ
ット38のうちの1つの中に収容してある。1つの窓部
38には2本のシャフト40を取付けてあり、それらシ
ャフト40に、エレメントギアを回転自在に装着してあ
る。これによって、エレメントギアは、ハウジングの中
において回転軸心42を中心として回転自在に支持され
ている。また、その回転軸心42は、両方のサイドギア
、ハウジング、及び2本の駆動アクセル端部に共通する
、共通回転軸心44に対して直角を成す方向に、しかも
その共通回転軸心44とは交わらない位置関係をもって
延在している。 【0034】3つの窓部38のうちの1つの断面図を図
2に示してある。矢印46は、自動車に前進運動をさせ
る際の、軸心44を中心としたハウジング10の回転方
向を表わしたものである。2個のサイドギアの夫々の歯
48は、軸心44に対して、互いに同一のねじれ角方向
へ傾斜させてある。そのため、自動車を前進方向へ駆動
するトルクである、前進方向駆動トルクを伝達させると
、それによって生じるスラスト力によって、2個のサイ
ドギアは共に、ハウジング10の同一の側端部へ向けて
、即ち、フランジ14を備えている方の側端部へ向けて
押圧される。サイドギア28は、このスラスト力によっ
て、ハウジング10のフランジ側の側端部へ押し付けら
れるサイドギアであり、これを「ボトム側」サイドギア
と呼ぶ。一方、サイドギア26は、このスラスト力によ
って、ボトム側サイドギア28へ押し付けられるサイド
ギアであり、これを「トップ側」サイドギアと呼ぶ。 【0035】同様に、エレメントギア32は、ボトム側
サイドギア28と噛合しているエレメントギアであり、
これを「ボトム側」エレメントギアと呼ぶ。一方、エレ
メントギア30は、トップ側サイドギア26と噛合して
いるエレメントギアであり、これを「トップ側」エレメ
ントギアと呼ぶ。更に、エレメントギア30は、2つの
端面54と56とを備えており、エレメントギア32も
また、2つの端面58と60とを備えている。前進方向
駆動トルクを伝達する際には、2個のエレメントギア3
0及び32の、端面54と端面58とが、スラスト力に
よって窓部の壁部50へ押し付けられ、一方、端面56
及び端面60とそれら端面に対向した窓部の壁部52と
の間には、小さな間隙ができる。そこで、エレメントギ
アの端面のうち、端面54及び端面58を「ドライブ側
」の端面と呼び、一方、その反対側の端面56及び端面
60を「アイドル側」の端面と呼ぶ。 【0036】ただし、この差動装置が、自動車を後退方
向へ駆動するトルクである後退方向駆動トルクを伝達し
ているときには、それによって発生しているスラスト力
の方向は、以上とは反対になっている。即ち、この場合
、例えばトップ側サイドギア26とボトム側サイドギア
28とは、両方が共に、スラスト力によってハウジング
10のキャップ12側の側端部へ向けて押圧されており
、また、2個のエレメントギアの夫々のアイドル側の端
面56と60とは、スラスト力によって窓部の壁部52
へ押し付けられている。尚、自動車が前進運動している
ときにエンジンブレーキをかけた場合には、いわゆる「
アイドル」トルクが伝達されるが、このアイドルトルク
の伝達によっても、後退方向駆動トルクの伝達の場合と
同じ方向に夫々のスラスト力が発生する。 【0037】図3及び図4は、前進方向駆動トルクが伝
達されているときに、2本の駆動アクセルの間の相対回
転(即ち差動作用)が、両方向の夫々に生じる際に発生
する様々な力のうちの、幾つかを説明するための図であ
る。これらの図には、図1及び図2に示した構成要素と
同一の公知の差動装置の構成要素を模式的に示してあり
、それらには、図1及び図2で使用したものと同一の引
用符号を付してある。これらの、図3及び図4に示した
模式図は、差動作用の方向が反対方向である場合の作用
の比較を説明することだけを目的として作成したもので
あり、また、これらの図においては、差動装置の中の様
々な摩擦当接面に作用する夫々の摩擦の基本的な影響の
説明を簡明化する、幾つかの条件を仮定している。それ
らの条件は、次のとおりである。先ず、全ての力は、回
転軸心から単位距離だけ離れた位置に作用するものとし
ており、これによって、力の一単位の大きさと、トルク
の一単位の大きさとを揃えている。次に、2個のサイド
ギアのねじれ角は45度であるものとしており、これに
よって、サイドギアの歯によって伝達される力の軸方向
成分と、接線方向成分とを等しくしている。また更に、
考察の対象とする全ての摩擦当接面において、そこに作
用する摩擦係数が、互いに同一の、一定値であるものと
している。 【0038】力Wt と力Wb とは、夫々、この差動
装置が前進方向駆動トルクを伝達する際に、トップ側サ
イドギア26の歯に加わる力の接線方向成分と、ボトム
側サイドギア28の歯に加わる力の接線方向成分とを表
わしている。それらサイドギアの歯のねじれ角は45度
であるものとしているため、それらサイドギアの接線方
向成分(換言すれば回転方向成分)であるWt 及びW
b は、それらサイドギアを、軸心44に沿ってハウジ
ングのフランジ側の側端部へ向けて押圧する、夫々の軸
方向成分At 及びAb と大きさが等しくなる。更に
、これら2つの接線方向成分Wt とWb とは、夫々
、エレメントギア30と32とを、それらエレメントギ
アの軸心42に沿って窓部の壁部50へ押し付ける2つ
の軸方向成分とも等しく、また、それらエレメントギア
を、それらエレメントギアの軸心42を中心として回転
させようとする2つの接線方向成分とも等しくなる。従
って、Wt という文字は、トップ側のギアの歯に作用
する全ての接線方向及び軸方向の力の大きさを表わすこ
とになり、一方、Wb という文字は、ボトム側のギア
の歯に作用する全ての接線方向及び軸方向の力の大きさ
とを表わすことになる(註:図面中では、1つの成分の
表記で、その他の多くの力ないしトルクも表わすように
しており、それらの力ないしトルクを区別して表わす詳
細な表記法は使用していない。その代わりに、矢印の頭
部の向きと位置とを異ならせることによって、理解が容
易であるように配慮した)。 【0039】摩擦トルクF1 〜F3 は、サイドギア
の回転方向に対して逆方向に作用するトルクとして発生
する。摩擦トルクF1 の大きさは、2個のサイドギア
の夫々に作用しているスラスト成分At とAbとを加
え合わせた合計の大きさに、ボトム側サイドギアとハウ
ジングとの間の摩擦当接面の摩擦係数「u」を乗じた積
に等しい。また、摩擦トルクF2 とF3 の大きさは
、いずれもトップ側サイドギアのみのスラスト成分At
 に、2個のサイドギアの間の摩擦当接面の摩擦係数と
して、上と同じ摩擦係数「u」を乗じた積に等しい。そ
こで、At の代わりにWt を、またAb の代わり
にWb を代入することによって、2個のサイドギアの
側端面に作用する以上3つの摩擦トルクの大きさを、次
のように表わすことができる。 (1)    F1 =(Wt +Wb )*u(2)
    F2 =Wt *u (3)    F3 =Wt *u これら3つの摩擦トルクの大きさは、2本の駆動アクセ
ルの間の相対的な回転方向(即ち、差動作用の方向)が
いずれの方向であっても、同じ数式で算出することがで
きるが、ただし、これら摩擦トルクの方向は、差動作用
の方向が異なれば異なったものとなる。例えば、図3は
、一方の方向への差動作用を表わしたものであり、この
差動作用の方向は、右側の駆動アクセル22が左側の駆
動アクセル20よりも、低速で回転していると考えられ
るときの方向である。この場合、摩擦トルクF1 とF
2 とは、ボトム側サイドギア28がハウジングよりも
低速で回転しようとすることに対する抵抗力として作用
し、一方、摩擦トルクF3 は、トップ側サイドギア2
6がハウジングよりも高速で回転しようとすることに対
する抵抗力として作用する。これに対して、図4には、
逆方向の差動作用を表わしてあり、即ち、図4の差動作
用の方向では、摩擦トルクF1 とF2 とは、ボトム
側サイドギアがより高速で回転しようとすることに対す
る抵抗力として作用し、一方、摩擦トルクF3 は、ト
ップ側サイドギアがより低速で回転しようとすることに
対する抵抗力として作用する。 【0040】いずれか一方のサイドギアがハウジングよ
り低速で回転しようとするときに、ある摩擦トルクが、
それに対する抵抗力として作用するならば、その摩擦ト
ルクは、差動装置のハウジングからサイドギアへの駆動
トルクの伝達を促進するように作用することになる。ま
た、これと反対に、いずれか一方のサイドギアがハウジ
ングより高速で回転しようとするとき、ある摩擦トルク
が、それに対する抵抗力として作用するならば、その摩
擦トルクは、サイドギアへ駆動トルクが伝達することに
対する抵抗力として作用することになる。しかしながら
、トルクの伝達に関するそれらの作用にかかわらず、夫
々のアクセルの端部において測定した、夫々のサイドギ
アへ加わる様々なトルクを合計した大きさは、差動装置
のハウジングへ加えられている駆動トルクの大きさと、
常に略々等しくなる。従って、差動作用の方向が図3に
示した方向である場合には、2個のサイドギアへ伝達さ
れているトルクの合計の大きさ、即ちトルク合計値Sr
 は、次の式で表わすことができる。 (4)    Sr =Wt +Wb +F1 +F2
 −F3 この式の中の摩擦トルクの項に対して代入を
施すと次の式になる。 (5)    Sr =(Wt +Wb )*(1+u
)一方、図4に示した、これとは逆の方向の差動作用が
発生している場合には、摩擦トルクの項の符号の正負が
逆になる。そのため、図4の差動作用の方向におけるト
ルクの合計値Sl は、次の式で表わされる。 (6)    Sl =Wt +Wb −F1 −F2
 +F3 この式に適当な代入を施すと次の式になる。 (7)    Sl =(Wt +Wb )*(1−u
)【0041】差動作用の2つの方向に夫々対応したト
ルク合計値Sr とトルク合計値Sl とを表わした以
上の2つの式を比較することによって、次のことが明ら
かである。即ちそれは、差動装置のハウジングに加えら
れた任意のトルクの値をSとするとき(従ってS=Sr
 =Sl )、(Wt +Wb )の項の値は、図3に
示した差動作用の方向における値よりも、図4に示した
差動作用の方向における値の方が、必ず大きくなるとい
うことである。そしてこのことが、以下に更に詳細に説
明するバイアス比の不等性の問題の基礎を成している。 【0042】差動作用が生じているときの、2本の駆動
アクセルの間のトルクの差の値は、それら2本の駆動ア
クセルの間の相対回転に対する抵抗力として働いている
種々の摩擦トルクの合計値に等しい。換言すれば、その
トルクの差の値は、全ての摩擦トルクの合計値に等しく
、それら摩擦トルクを合計する際には、それら摩擦トル
クの方向を考慮する必要はない。例えば、サイドギアの
側端面に作用する摩擦トルク(F1 〜F3 )のみを
考慮するならば、このトルクの差の値は、差動作用の方
向がいずれの方向であっても同一の式によって表わされ
、即ち、次の式で表わされる。 (8)    D=F1 +F2 +F3 更に代入を
施すことによって次の式になる。 (9)    D=(3Wt +Wb )*uトルクの
差の値Dをあらわすこの式の形は、差動作用の方向がい
ずれの方向であっても同一であるが、しかしながら、そ
のトルクの差の値の大きさは同一にはならない。その理
由は、Wt の項とWb の項とを加え合わせた値が、
差動作用の方向によって異なっているからである。この
ことは、差動作用の方向が夫々に異なった方向である場
合の、夫々のバイアス比(即ち、2本の駆動アクセルの
間のトルクの比)どうしを比較することによって明らか
となる。バイアス比は次の式で得られる。 (10)  B=(S+D)/(S−D)尚、ここでは
、摩擦トルクとしては、サイドギアの側端面に作用する
摩擦トルクだけを考慮対象としているため、Wt の項
及びWb の項の代わりに、それらと同等のWo を代
入すれば、バイアス比どうしの比較をより容易に行なえ
るようになる。差動作用の方向が図3に示した方向であ
るときには、そのときのバイアス比Brlの値は、右側
の駆動アクセルのトルクの値を左側の駆動アクセルのト
ルクの値で割った商として与えられ、従って次の式によ
って算出される。 (11)  Brl=(1+3u)/(1−u)一方、
差動作用の方向が図4に示した方向であるときには、そ
のときのバイアス比Blrの値は、左側の駆動アクセル
のトルクの値を右側の駆動アクセルのトルクの値で割っ
た商として与えられ、従って次の式によって算出される
。 (12)  Blr=(1+u)/(1−3u)図3に
示した差動作用の方向はそのバイアス比がBrlであり
、この差動作用の方向を、低バイアス方向と名付けるこ
とにする。一方、図4に示した、これと反対の差動作用
の方向はそのバイアス比がBlrであり、この差動作用
の方向を、高バイアス方向と名付けることにする。 【0043】従って、サイドギアの側端面に作用する摩
擦(F1 〜F3 )のみを考慮しただけでも、差動作
用の方向が互いに反対であれば、その間に大きなバイア
ス比の不等性が存在することが分かる。しかも、このバ
イアス比の不等性の問題は、差動装置の、サイドギアの
側端面以外の箇所に作用する摩擦によって、更に大きな
問題となる。例えば、図3及び図4には、トップ側エレ
メントギア30の回転に対する抵抗力として働く摩擦ト
ルクF4 と、ボトム側エレメントギア32の回転に対
する抵抗力として働く摩擦トルクF5 とを、併せて図
示してある。トップ側エレメントギア30に加わる軸方
向スラスト成分と、ボトム側エレメントギア32に加わ
る軸方向スラスト成分とは、サイドギアの接線方向成分
Wt とWb とに等しいものとしているため、摩擦ト
ルクF4 と摩擦トルクF5 とを夫々表わす式は、次
のようになる。 (13)  F4 =Wt *u (14)  F5 =Wb *u 2本の駆動アクセルの間の相対回転に対する抵抗力とし
て働く、これらの更なる摩擦トルク(F4 及びF5 
)は、上で導出した、2本の駆動アクセルへ伝達される
トルクの合計値(Sr 及びSl )を表わす式に対し
ては、影響を及ぼさないが、しかしながら、2本の駆動
アクセルの間のトルクの差の値(D)を表わす式に対し
ては影響を及ぼす。その影響を考慮した、トルクの差の
値を表わす新たな式は、次のようになる。 (15)  D=(4Wt +2Wb )*u【004
4】摩擦トルクF4 及びF5 は、ギアの連結の中の
、2個のサイドギアの間の部分に加わるものであるため
、これら摩擦トルクが作用した場合には、もはや、成分
Wt と成分Wb とは、互いに等しい大きさにはなら
ない。しかしながら、これら2つの成分Wt とWb 
とを、個別に、共通の項Wc の式で書き表わすことが
できる。このWc は、トップ側エレメントギアとボト
ム側エレメントギアとの間で伝達されるトルクの大きさ
表わす項である。例えば、低バイアス方向においては、
トルクWc は、トルクWt よりも摩擦トルクF4 
の分だけ大きく、且つ、トルクWb よりも摩擦トルク
F5 の分だけ小さい。従って、成分Wt と成分Wb
 とは、トルクWc の式として、以下のように書き表
わすことができる。 (16)  Wt =Wc /(1+u)(17)  
Wb =Wc /(1−u)そこで、トルク合計値の式
及びトルクの差の値の式に、トルクWc で表わした項
を代入することによって、低バイアス方向におけるバイ
アス比を表わす新たな式を、次のように書き表わすこと
ができる。 (18)  Brl=(1−4u−u2 )/(1−u
)2 【0045】高バイアス方向の場合には、成分W
t と成分Wbとを表わす式は、低バイアス方向の場合
とは異なったものとなる。トルクWc は、トルクWt
 よりも、摩擦トルクF4 の分だけ小さく、且つ、ト
ルクWb より、トルクF5 の分だけ大きくなる。従
って、成分Wt と成分Wb とは、高バイアス方向の
場合には、トルクWcを用いて、次のように書き表わす
ことができる。 (19)  Wt =Wc /(1−u)(20)  
Wb =Wc /(1+u)ここでも、Wt の項とW
b の項とに関して代入を施すことによって、高バイア
ス方向におけるバイアス比を表わす新たな式を、次のよ
うに書き表すことができる。 (21)  Blr=(1+u)2 /(1−4u−u
2 )【0046】差動作用の2つの方向における夫々
のバイアス比を表わした式(式(18)と式(21)の
2つの式)を比較すれば明らかなように、更なる摩擦ト
ルクF4 とF5 とが加わると、それによって、バイ
アス比の不等性が増長される。また、Wt とWc と
の関係を表わした式(式(16)と式(19)の2つの
式)から明らかなように、成分Wt は、低バイアス方
向においては摩擦当接面F4 の摩擦トルクの分だけ小
さくなり、一方、高バイアス方向においては、その摩擦
当接面F4 の摩擦トルクの分だけ大きくなる。更に、
トルクの差の値を表わした式(15)から分かるように
、トルクの差の値に対する寄与の大きさは、成分Wt 
が、成分Wb の2倍の大きさを持っている。 【0047】従って、摩擦当接面F4 の摩擦係数「u
」を相対的に小さな値とすることによって、低バイアス
方向における、摩擦トルクの値への成分Wt の寄与を
増大させると共に、高バイアス方向における、摩擦トル
クの値への成分Wt の寄与を増大させることができる
。このことは、摩擦当接面F4 の摩擦係数を「0」に
して、その場合の、差動作用の2つの方向の夫々におけ
る、バイアス比を表わす式を新たに導出することによっ
ても、明らかとなる。この場合、成分Wt はWc に
等しいものとし、そして代入を施すことにより、この場
合の新たなバイアス比の式は次のようになる。 (22)  Brl=(1+3u−2u2 )/(1−
u)2 (23)  Blr=(1+u)2 /(1−
3u−2u2 )【0048】これらの新たな式によっ
て表わされた、バイアス比の不等性の問題の軽減の程度
は、それ程際立ったものではないが、しかしながら、そ
れらの式によって、トップ側エレメントギアのドライブ
側の端面とハウジングとの間の摩擦当接面の摩擦を除去
することが、差動作用の2つの方向におけるバイアス比
を制御するための全体としての方策の一部として重要で
あることが表わされている。しかしながら、この差動装
置が、後退方向駆動トルクを伝達しているときには、前
進方向駆動トルクを伝達しているときとは、反対の方向
へスラスト力によって押圧され、即ち、ハウジングのキ
ャップ側の側端部へ押し付けられ、それによって、トッ
プ側のギアの作用とボトム側のギアの作用とが入れ替わ
ることになる。 従って、後退方向駆動トルクの伝達に関しては、ボトム
側エレメントギアのアイドル側の端面の摩擦係数を比較
的小さなものとしておくことが重要である。 【0049】図5は、図2と同様の図であるが、エレメ
ントギアの端面の摩擦の大きさを制御するための改変を
加えた差動装置を示したものである。この差動装置では
、エレメントギアの夫々の端面に、4枚の異なったワッ
シャを介装してある。それらのうち、トップ側エレメン
トギア30のアイドル側の端面56と、ボトム側エレメ
ントギア32のドライブ側の端面58とには、夫々、通
常のワッシャ66と68とを装着してある。これらのワ
ッシャの材料としては、スチールやブロンズをはじめと
する、所要の摩擦係数を有する種々の材料を使用するこ
とができ、この所要の摩擦係数とは、それら端面と、そ
れら端面に対向している窓部の夫々の壁部50ないし5
2との間の摩擦の大きさを適当に制御するための、所要
の摩擦係数である。これに対して、トップ側エレメント
ギアのドライブ側の端面54とボトム側エレメントギア
のアイドル側の端面60とに夫々装着した、ワッシャ6
4と70とは、円筒形のローラベアリングとして形成し
たワッシャである。これらローラベアリングは、それを
装着した、エレメントギアの端面と、ハウジングの窓部
の壁部との間に発生する摩擦を大幅に低減するものであ
る。 【0050】異なった構成のワッシャを使用する代わり
に、エレメントギアの端面と、それが当接する窓部の壁
部との、いずれかに、種々の材料を用いたコーティング
層を形成することによって、トップ側及びボトム側エレ
メントギアの当該端面との間の摩擦係数を変化させるよ
うにすることも可能である。例えば、テフロン製の軸受
材料等の摩擦低減用コーティングを、トップ側エレメン
トギアのドライブ側の端面と、ボトム側エレメントギア
のアイドル側の端面とに施し、差動装置の構造に対して
はそれ以外の改変を加えないようにすることも可能であ
る。また、トップ側エレメントギア及びボトム側エレメ
ントギアの、ドライブ側の端面とアイドル側の端面との
いずれか一方のみの摩擦係数を異なったものとすること
によって、一方の駆動方向のみにおいて、顕著な利点が
得られるようにすることも、無論可能である。 【0051】エレメントギアの、ドライブ側の端面の摩
擦当接面と、アイドル側の端面の摩擦当接面とを互いに
異なったものとすれば、それによって更に、差動装置が
前進方向駆動トルクを伝達するときと、後退方向駆動ト
ルクを伝達するときとのバイアス比を、全体として制御
することもできるようになる。そして、後退方向に駆動
しているときの方が、バイアス比の全体としての値が大
きくなるようにすることが、次の2つの理由から、望ま
しいことが多い。第1には、後退時にバイアス比が大き
ければ、それによって得られる、自動車の路面グリップ
能力の更なる増大が、車両がぬかるみ等に立ち往生する
のを防止することの助けとなる。第2に、後退方向に駆
動する際のバイアス比が高ければ、それによって、自動
車の前方走行時にエンジンブレーキをかけたときの、そ
の自動車の安定性が高まる。後退方向への駆動時に、バ
イアス比の全体としての値が大きくなるようにするため
の好ましい方法は、トップ側エレメントギアのドライブ
側の端面の摩擦係数と比べて、ボトム側エレメントギア
のアイドル側の端面の摩擦係数を比較的大きくすること
である。エレメントギアのドライブ側の端面及びアイド
ル側の端面の夫々の摩擦係数の制御は、トップ側及びボ
トム側エレメントギアの端面に個別に摩擦係数を異なら
せたワッシャを介装することによって行なっても良く、
或いは、両方のエレメントギアの同じ側の夫々の端面に
共に当接する板材を使用するようにしても良い。 【0052】差動作用の方向が異なる場合にバイアス比
が値が不等になることによって、差動装置の設計にも、
構造上の問題が課せられる。即ち、バイアス比の値が不
等であることの結果として、トップ側エレメントギアの
ドライブ側の端面が、最も大きなスラスト力を受けるよ
うになる。その理由は2つある。差動作用の方向が高バ
イアス方向である場合には、トップ側エレメントギアに
は、ボトム側エレメントギアよりも大きなスラスト力が
加わり、しかも、両方のエレメントギアに加わるスラス
ト力の合計の大きさは、低バイアス方向の場合よりも大
きいからである。エレメントギアに加わるそれらの大き
なスラスト力によって、差動装置のハウジングへ駆動ト
ルクが加えられている位置であるそのフランジ側の側端
部から離れた位置において、そのハウジングに対してね
じりモーメントが加わえられる。従って、ハウジングは
、この更なるスラスト力に耐えられるように設計してお
くか、或いは、その設計によって耐えられる駆動トルク
の大きさを、制限するように、適切に定格を定めておか
ねばならない。 【0053】エレメントギアの両端に設けた平歯車の代
わりに、ねじれ歯を有するはすば歯車を使用することに
よって、2本の軸心の間で駆動力の伝達をする機能と同
等の機能が得られるということが公知となっているが、
本発明は、それらはすば歯車のねじれ角を特定の方向の
ねじれ角とすることによって、エレメントギアの端面に
加わる端部スラスト力をバランスさせることの補助とし
得ることを提案するものである。即ち、それらはすば歯
車のねじれ角の方向は、それらはすば歯車が発生するス
ラスト力が、トップ側エレメントギアのドライブ側の端
面へスラスト力が伝達することに対する抵抗力となると
共に、ボトム側エレメントギアのドライブ側の端面にそ
の抵抗力に等しい大きさのスラスト力が余分に作用する
ようになる、ねじれ角の方向としている。換言すれば、
それらはすば歯車によって、エレメントギアの端面に作
用するスラスト力の再分配行なうことによって、トップ
側エレメントギアのドライブ側の端面にスラスト力が角
に集中しないようにすることを助けているのである。こ
のように平歯車をはすば歯車に代えると、それによって
、はすば歯車どうしの噛合部における摩擦によって、僅
かに摩擦が増加するが、それ以外には、バイアス比の全
体としての大きさにも、また、バイアス比の不等性にも
、殆ど栄光が及ぼすことがない。 【0054】図6及び図7は、図3及び図4と同様に、
前進方向駆動トルクを伝達しているときに、エレメント
ギアに作用するスラスト力の分布状態を示した模式図で
ある。ただし、図6及び図7では、トップ側エレメント
ギア及びボトム側エレメントギアの両端には、図3及び
図4の平歯車部分の代わりに、はすば歯車部分72及び
74を形成してある。これらはすば歯車部分72及び7
4は、互いに噛合している歯76及び78のねじれ角を
、互いに大きさが等しく、互いに反対方向へ傾斜したね
じれ角にしてある。しかも、それらねじれ角の傾斜の方
向は、それによって、大きさが互いに等しく、方向が互
いに逆のスラスト力Ht とHb とが発生するように
選択してある。そして、スラスト力Ht は、スラスト
力Wt を減殺するように方向に働き、一方、スラスト
力Hb は、スラスト力Wb を増強する方向に働く。 【0055】あるエレメントギアの端面から、窓部の壁
部50へ加わるスラスト力の大きさは、そのエレメント
ギアに作用する2種類のスラスト力の、合力の大きさに
等しい。例えば、トップ側エレメントギア30が窓部の
壁部50を押圧するスラスト力の大きさは、このトップ
側エレメントギア30とトップ側サイドギア26との噛
合によって発生するスラスト力Wt から、はすば歯車
によって発生するスラスト力Ht を減じることによっ
て得られる。同様に、ボトム側エレメントギア32が窓
部の壁部50を押圧するスラスト力の大きさは、このボ
トム側エレメントギア32とボトム側サイドギア28と
の噛合によって発生するスラスト力Wb に、スラスト
力Hb を加えることによって得られる。従って、それ
ら2個のエレメントギアが窓部の壁部50を押圧するス
ラスト力を合計した力の大きさは、はすば歯車の採用に
よって変化していないが、ただし、トップ側エレメント
ギアから加わるスラスト力は小さくなり、ボトム側エレ
メントギアから加わるスラスト力は大きくなる。 【0056】スラスト力Ht 及びHb の力の方向は
、差動作用の方向が反対になった場合にも、それによっ
て影響を受けることはない、また、はすば歯車を採用す
ること自体によって、最終的に得られるバイアス比の大
きさや、バイアス比の不等性に対して影響が及ぶことは
ない。しかしながら、差動装置が自動車を後退方向へ駆
動する駆動トルクを伝達するときには、スラスト力Ht
 及びHb の力の方向は、スラスト力Wt 及びWb
 の力の方向と共に逆転する。このように駆動方向が後
退方向である場合には、はすば歯車の作用によって、ト
ップ側エレメントギアの方により多くのスラスト力が分
配されることになる。しかしながら、この駆動方向では
、通常、そのバイアス比の不等性は、ボトム側エレメン
トギアの方により多くの荷重が加わる不等性であるため
、はすば歯車を採用することによって最終的に得られる
効果は、トップ側エレメントギアから加わるスラスト力
の大きさと、ボトム側エレメントギアから加わるスラス
ト力の大きさとを、バランスさせる方向に働くことにな
る。 【0057】はすば歯車を使用することと、エレメント
ギアの端面との間の摩擦係数を変化させるということと
を、共に採用することによって、スラスト力の分配をよ
り良好に制御すると共に、異なったエレメントギアの端
面において発生する摩擦の相対的な大きさを制御するよ
うにしても良い。更に加えて、これらの改善は、サイド
ギアの側端面の摩擦の大きさを制御するようにした従来
の教示を組み入れた、バイアス比の制御のための全体と
しての方策の一部として行なうようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知の差動ギア装置の斜視図であって、その部
品の幾つかを破断して、装置の内部に装備したギア構造
を示した図である。
【図2】図1と同様の差動装置の側面図であって、装置
のハウジングを部分的に破断して示した図である。
【図3】差動装置の模式図であって、2本の駆動アクセ
ルの端部に連結した2個のサイドギアに噛合させた一対
のエレメントギアを示しており、差動作用の方向がある
一方向である場合の、差動装置が前進方向駆動トルクを
伝達することによって発生する様々な力を説明するため
の図である。
【図4】図3と同様の模式図であり、差動作用の方向が
図3とは逆方向である場合の、前進方向駆動トルクの伝
達に伴って発生する、様々な力を説明するための図であ
る。
【図5】図2と同様の側面図であって、ただし、エレメ
ントギアの端面にワッシャを介装する変更を加えた差動
装置を示した図である。
【図6】図3で説明した差動作用の方向における、更な
る模式図であって、ただし、エレメントギアの端部の平
歯車の代わりにはすば歯車を使用した場合に発生する、
様々な力を示した図である。
【図7】図4で説明した差動作用の方向における、更な
る模式図であって、図6と同じはすば歯車による作用を
示した図である。
【符号の説明】
  10  ハウジング 12  エンド・キャップ 18  孔 20、22  駆動アクセルの端部 26  トップ側サイドギア 28  ボトム側サイドギア 30  トップ側エレメントギア 32  ボトム側エレメントギア 34  ウォームホイール部分 36  平歯車部分 38  窓部 42  エレメントギアの回転軸心 44  サイドギアの共通回転軸心 48  サイドギアの歯 50、52  窓部の壁部 54  トップ側エレメントギアのドライブ側の端面5
6  トップ側エレメントギアのアイドル側の端面58
  ボトム側エレメントギアのドライブ側の端面60 
 ボトム側エレメントギアのアイドル側の端面64、6
6、68、70  ワッシャ 72、74  はすば歯車部分 76、78  はすば歯車部分の歯

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  前進方向駆動トルク及び後退方向駆動
    トルクによって、夫々逆方向へ回転させることのできる
    ハウジングと、前記ハウジング内に形成した、一対のア
    クセル端を支持するための手段と、前記ハウジング内に
    収容した、1本の共通回転軸心を中心として前記一対の
    アクセル端と一体に回転自在な一対のサイドギアであっ
    て、それら一対のサイドギアの夫々の歯を、前記共通回
    転軸心に対して、互いに同一の概略方向へ傾斜したねじ
    れ角を有する歯とした、前記一対のサイドギアと、前記
    ハウジング内に回転自在に装着した、複数対のエレメン
    トギアであって、それらエレメントギアの夫々の回転軸
    心が、前記サイドギアの前記共通回転軸心に対して直角
    を成し、しかもその共通回転軸心と交わることのない位
    置関係をもって延在しているようにした、前記複数対の
    エレメントギアと、を備え、前記複数対のエレメントギ
    アの各対の第1エレメントギアを、前記一対のサイドギ
    アのうちの一方のサイドギアと噛合させ、前記複数対の
    エレメントギアの各対の第2エレメントギアを、前記一
    対のサイドギアのうちの他方のサイドギアと噛合させ、
    且つ、各対の前記第1エレメントギアと前記第2エレメ
    ントギアとを互いに噛合させてあり、前記第1エレメン
    トギアの端面が、前記ハウジングの当該端面に対応した
    装着面と協働して、第1摩擦当接面を画成するようにし
    、前記第2エレメントギアの端面が、前記ハウジングの
    当該端面に対応した装着面と協働して、第2摩擦当接面
    を画成するようにし、前記第1摩擦当接面が、前記第1
    エレメントギアが伝達するトルクの大きさに応じて、該
    第1エレメントギアの回転に対する抵抗を発生するよう
    にし、且つ、前記第2摩擦当接面が、前記第2エレメン
    トギアが伝達するトルクの大きさに応じて、該第2エレ
    メントギアの回転に対する抵抗を発生するようにしてあ
    る、差動装置において、前記第2摩擦当接面の摩擦抵抗
    に対する、前記第1摩擦当接面の摩擦抵抗の相対的な大
    きさを調節して、前記第1摩擦当接面と前記第2摩擦当
    接面とが互いに異なった摩擦係数を呈するようにする、
    摩擦抵抗調節手段を備えたことを特徴とする差動装置。
  2. 【請求項2】  前記摩擦抵抗調節手段が、前記第1エ
    レメントギアの前記端面及び前記第2エレメントギアの
    前記端面に形成したはすば歯車部分を含んでおり、該第
    1エレメントギアの該はすば歯車部分の歯と、該第2エ
    レメントギアの該はすば歯車部分の歯とを、互いに逆方
    向のねじれ角を有する歯としてあることを特徴とする請
    求項1の差動装置。
  3. 【請求項3】  前記一対のサイドギアのうちの前記一
    方のサイドギアと前記他方のサイドギアとを、ボトム側
    サイドギア及びトップ側サイドギアとして画成してあり
    、それら双方のサイドギアに対して、差動装置が前進方
    向駆動トルクを伝達する際に、それらサイドギアをそれ
    らサイドギアの軸心に沿って前記ハウジングの一方の側
    端部へ向けて押圧するスラスト力が作用するようにして
    あり、且つ、前記ボトム側サイドギアは、それらサイド
    ギアが押圧される方向の前記ハウジングの前記一方の側
    端部に近い位置に配設してあるサイドギアであり、前記
    トップ側サイドギアは、前記ボトム側サイドギアに隣接
    して配設してあるサイドギアであることを特徴とする請
    求項1の差動装置。
  4. 【請求項4】  前記第1エレメントギアと前記第2エ
    レメントギアとは、互いに噛合したボトム側エレメント
    ギアとトップ側エレメントギアとであり、前記ボトム側
    エレメントギアは更に前記ボトム側サイドギアと噛合し
    ており、前記トップ側エレメントギアは更に前記トップ
    側サイドギアと噛合していることを特徴とする請求項3
    の差動装置。
  5. 【請求項5】  前記エレメントギアはドライブ側の端
    面とアイドル側の端面とを備えており、該エレメントギ
    アに対して、前進方向駆動トルクの伝達の際には、該エ
    レメントギアの前記ドライブ側の端面を前記ハウジング
    へ押し付けるスラスト力が作用し、また、後退方向駆動
    トルクの伝達の際には、該エレメントギアの前記アイド
    ル側の端面を前記ハウジングへ押し付けるスラスト力が
    作用するようにしてあることを特徴とする請求項4の差
    動装置。
  6. 【請求項6】  前記摩擦抵抗調節手段が、前記トップ
    側エレメントギアの前記ドライブ側の端面における摩擦
    抵抗と比較して、前記ボトム側エレメントギアの前記ド
    ライブ側の端面の方に、より大きな摩擦抵抗を発生させ
    る手段であることを特徴とする請求項5の差動装置。
  7. 【請求項7】  前記摩擦抵抗調節手段が更に、前記ボ
    トム側エレメントギアの前記アイドル側の端面における
    摩擦抵抗と比較して、前記トップ側エレメントギアの前
    記アイドル側の端面の方に、より大きな摩擦抵抗を発生
    させる手段であることを特徴とする請求項6の差動装置
  8. 【請求項8】  前記摩擦抵抗調節手段が、前記第1エ
    レメントギアの前記端面及び前記第2エレメントギアの
    前記端面に形成したはすば歯車部分を含んでおり、該第
    1エレメントギアの該はすば歯車部分の歯と、該第2エ
    レメントギアの該はすば歯車部分の歯とを、互いに逆方
    向のねじれ角を有する歯としてあることを特徴とする請
    求項7の差動装置。
  9. 【請求項9】  前記摩擦抵抗調節手段が、前記トップ
    側エレメントギアの前記ドライブ側の端面の前記摩擦当
    接面と比較して、前記ボトム側エレメントギアの前記ド
    ライブ側の端面の前記摩擦当接面の方が、より大きな摩
    擦係数を呈するように調節する手段を含んでいることを
    特徴とする請求項5の差動装置。
  10. 【請求項10】  前記摩擦抵抗調節手段が更に、前記
    ボトム側エレメントギアの前記アイドル側の端面の前記
    摩擦当接面と比較して、前記トップ側エレメントギアの
    前記アイドル側の端面の前記摩擦当接面の方が、より大
    きな摩擦係数を呈するように調節する手段を含んでいる
    ことを特徴とする請求項9の差動装置。
  11. 【請求項11】  前記摩擦抵抗調節手段が、前記トッ
    プ側エレメントギアの前記アイドル側の端面における摩
    擦抵抗に対する、前記ボトム側エレメントギアの前記ド
    ライブ側の端面の摩擦抵抗の、相対的な大きさを調節す
    るようにした手段であることを特徴とする請求項5の差
    動装置。
  12. 【請求項12】  前記摩擦抵抗調節手段が、前記ボト
    ム側エレメントギアの前記ドライブ側の端面の前記摩擦
    当接面と比較して、前記トップ側エレメントギアの前記
    アイドル側の端面の前記摩擦当接面の方が、より大きな
    摩擦係数を呈するように調節する手段を含んでいること
    を特徴とする請求項11の差動装置。
  13. 【請求項13】  前記摩擦抵抗調節手段が更に、前記
    トップ側エレメントギアの前記ドライブ側の端面の前記
    摩擦当接面と比較して、前記ボトム側エレメントギアの
    前記ドライブ側の端面の前記摩擦当接面の方が、より大
    きな摩擦係数を呈するように調節する手段を含んでいる
    ことを特徴とする請求項12の差動装置。
  14. 【請求項14】  自動車の駆動力伝達系に用いる差動
    装置において、前進方向駆動トルク及び後退方向駆動ト
    ルクによって、前記駆動力伝達系における2本の駆動シ
    ャフトに共通する1本の共通回転軸心を中心として回転
    させることのできるハウジングと、前記ハウジング内に
    形成した、前記2本の駆動シャフトの端部を支持するた
    めの手段と、前記ハウジングの両側端部の間に配設した
    一対のサイドギアであって、前記ハウジング内において
    前記共通回転軸心を中心として回転自在であるように前
    記駆動シャフトの前記端部と結合するための手段を備え
    ており、更に、夫々の歯が、前記共通回転軸心に対して
    互いに同一の概略方向へ傾斜したねじれ角を有する、前
    記一対のサイドギアと、前記ハウジング内に回転自在に
    装着した少なくとも一対のエレメントギアであって、そ
    れらエレメントギアの夫々の回転軸心が、前記サイドギ
    アの前記共通回転軸心に対して直角を成し、しかもその
    共通回転軸心と交わることのない位置関係をもって延在
    しており、一対のエレメントギアのうちの一方のエレメ
    ントギアを、前記一対のサイドギアのうちの一方のサイ
    ドギアと噛合させ、一対のエレメントギアのうちの他方
    のエレメントギアを、前記一対のサイドギアのうちの他
    方のサイドギアと噛合させ、且つ、一対のエレメントギ
    アの双方のエレメントギアを互いに噛合させてある、前
    記少なくとも一対のエレメントギアと、を備え、前記一
    対のサイドギアの夫々のサイドギアは、ボトム側サイド
    ギアとトップ側サイドギアとに区別され、それら双方の
    サイドギアに対しては、差動装置が前進方向駆動トルク
    を伝達する際に、それらサイドギアをそれらサイドギア
    の軸心に沿って前記ハウジングの前記両側端部のうちの
    一方の側端部へ向けて押圧するスラスト力が作用するよ
    うにしてあり、前記ボトム側サイドギアは、それらサイ
    ドギアが押圧される方向の前記ハウジングの前記一方の
    側端部に近い位置に配設してあるサイドギアであり、前
    記トップ側サイドギアは、前記ボトム側サイドギアに隣
    接して配設してあるサイドギアであり、前記エレメント
    ギアは、ボトム側エレメントギアとトップ側エレメント
    ギアとに区別され、前記ボトム側エレメントギアは、前
    記ボトム側サイドギアと噛合させてあるエレメントギア
    であり、前記トップ側エレメントギアは、前記トップ側
    サイドギアと噛合させてあるエレメントギアであり、且
    つ、前記ボトム側エレメントギアと前記トップ側エレメ
    ントギアとは互いに噛合させてあり、前記エレメントギ
    アの両端部は、ドライブ側の端面を備えた端部とアイド
    ル側の端面を備えた端部とに区別され、前進方向駆動ト
    ルクの伝達の際には、該エレメントギアに対して、前記
    ドライブ側の端面を前記ハウジングへ押し付けるスラス
    ト力が作用し、また、後退方向駆動トルクの伝達の際に
    は、該エレメントギアに対して、前記アイドル側の端面
    を前記ハウジングへ押し付けるスラスト力が作用するよ
    うにしてあり、前記端面の各々は、前記ハウジングと協
    働して夫々に摩擦当接面を画成しており、それら摩擦当
    接面は、当該エレメントギアが駆動トルクを伝達するの
    に応じて、当該エレメントギアの回転に対する抵抗を発
    生するものであり、前記トップ側エレメントギアの前記
    ドライブ側の端面は、前記ハウジングと協働して第1摩
    擦当接面を画成し、また、前記ボトム側エレメントギア
    の前記ドライブ側の端面は、前記ハウジングと協働して
    第2摩擦当接面を画成しており、更に、前記第1摩擦当
    接面の摩擦抵抗を低減して、前記第2摩擦当接面の摩擦
    抵抗より小さくするための、摩擦抵抗低減手段を備えた
    、ことを特徴とする差動装置。
  15. 【請求項15】  前記摩擦抵抗低減手段が、前記第1
    摩擦当接面に形成した摩擦低減用コーティングから成る
    ことを特徴とする請求項14の差動装置。
  16. 【請求項16】  前記摩擦抵抗低減手段が、前記第1
    摩擦当接面に介装した摩擦低減用ワッシャから成ること
    を特徴とする請求項14の差動装置。
  17. 【請求項17】  前記摩擦抵抗低減手段が、前記第1
    摩擦当接面に介装したローラベアリングから成ることを
    特徴とする請求項14の差動装置。
  18. 【請求項18】  前記トップ側エレメントギアの前記
    アイドル側の端面が、前記ハウジングと協働して第3摩
    擦当接面を画成しており、また、前記ボトム側エレメン
    トギアの前記アイドル側の端面が、前記ハウジングと協
    働して第4摩擦当接面を画成しており、更に、前記第4
    摩擦当接面の摩擦抵抗を低減して、前記第3摩擦当接面
    の摩擦抵抗より小さくするための、摩擦抵抗低減手段を
    含んでいることを特徴とする請求項14の差動装置。
  19. 【請求項19】  前記トップ側エレメントギアの前記
    端面及び前記ボトム側エレメントギアの前記端面に、は
    すば歯車部分を形成してあり、該トップ側エレメントギ
    アの該はすば歯車部分の歯と、該ボトム側エレメントギ
    アの該はすば歯車部分の歯とを、互いに逆方向のねじれ
    角を有する歯としてあることを特徴とする請求項18の
    差動装置。
  20. 【請求項20】  前記第3摩擦当接面の摩擦抵抗を増
    大させて、前記第4摩擦当接面の摩擦抵抗より大きくす
    るための、摩擦抵抗増大手段を含んでいることを特徴と
    する請求項19の差動装置。
  21. 【請求項21】  前記摩擦抵抗増大手段が、前記第3
    摩擦当接面に形成した摩擦増大用コーティングを含んで
    いることを特徴とする請求項19記載の差動装置。
  22. 【請求項22】  自動車用の差動装置において、ハウ
    ジングであって、2本の駆動シャフトの端部を支持する
    ための手段を備えると共に、前進方向駆動トルク及び後
    退方向駆動トルクに応じて、該ハウジングをそれら2本
    の駆動シャフトに共通する1本の共通回転軸心を中心と
    して回転させるための手段を備えた、前記ハウジングと
    、前記ハウジングの両側端部の間に配設し、前記2本の
    駆動シャフトの前記端部と結合してそれらと一体に回転
    させることができるようにした、一対のサイドギアと、
    前記ハウジングに形成した窓部の中に回転自在に装着し
    た一対のエレメントギアであって、それらエレメントギ
    アの夫々の回転軸心が、前記サイドギアの前記共通回転
    軸心に対して直角を成し、しかもその共通回転軸心と交
    わることのない位置関係をもって延在しており、一対の
    エレメントギアのうちの一方のエレメントギアを、前記
    一対のサイドギアのうちの一方のサイドギアと噛合させ
    、一対のエレメントギアのうちの他方のエレメントギア
    を、前記一対のサイドギアのうちの他方のサイドギアと
    噛合させ、且つ、一対のエレメントギアの双方のエレメ
    ントギアを互いに噛合させてある、前記一対のエレメン
    トギアと、を備え、前記エレメントギアの両端部は、ド
    ライブ側の端面を備えた端部とアイドル側の端面を備え
    た端部とに区別され、前進方向駆動トルクの伝達の際に
    は、該エレメントギアに対して、前記ドライブ側の端面
    を前記ハウジングへ押し付けるスラスト力が作用し、ま
    た、後退方向駆動トルクの伝達の際には、該エレメント
    ギアに対して、前記アイドル側の端面を前記ハウジング
    へ押し付けるスラスト力が作用するようにしてあり、前
    記端面の各々は、前記ハウジングと協働して夫々に摩擦
    当接面を画成しており、それら摩擦当接面は、前進方向
    駆動トルクと後退方向駆動トルクとのうち、当該エレメ
    ントギアが伝達している方の駆動トルクに応じて、当該
    エレメントギアの回転に対する抵抗を発生するものであ
    り、前記エレメントギアの前記ドライブ側の端面は、前
    記ハウジングと協働して第1摩擦当接面を画成し、また
    、前記エレメントギアの前記ドライブ側の端面は、前記
    ハウジングと協働して第2摩擦当接面を画成しており、
    更に、前記第2摩擦当接面の摩擦抵抗に対する、前記第
    1摩擦当接面の摩擦抵抗の相対的な大きさを調節して、
    前記第1摩擦当接面と前記第2摩擦当接面とが互いに異
    なった摩擦係数を呈するようにする、摩擦抵抗調節手段
    を備えた、ことを特徴とする差動装置。
  23. 【請求項23】  前記第1摩擦当接面と比較して、前
    記第2摩擦当接面の方が、より大きな摩擦係数を呈する
    ようにしたことを特徴とする請求項22の差動装置。
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