JPH04248234A - X線発生管 - Google Patents

X線発生管

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JPH04248234A
JPH04248234A JP719291A JP719291A JPH04248234A JP H04248234 A JPH04248234 A JP H04248234A JP 719291 A JP719291 A JP 719291A JP 719291 A JP719291 A JP 719291A JP H04248234 A JPH04248234 A JP H04248234A
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JP
Japan
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bearing
sliding surface
ball
coating
outer ring
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JP719291A
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Tatsuya Hatanaka
畠中 達也
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、回転陽極を備えるX線
発生管に係り、特に回転陽極を支持する球軸受部分を改
良したX線発生管に関する。
【0003】
【従来の技術】この種の回転陽極型のX線管には、熱電
子線を発生する陰極と、この熱電子線が照射されること
によりX線を発生する円盤形状のターゲット(回転陽極
)とが設けられている。これらの陰極とターゲットは、
内部が真空状態とされる封入管内に封入されている。熱
電子線が照射される際には、ターゲットがモータにより
回転駆動される。従って、高出力のX線を得るために電
流密度が高い電子ビームをターゲットに照射しても、タ
ーゲットの局部的な加熱による溶解等の不具合が防止さ
れるようになっている。
【0004】また、封入管内の真空度が低下すると、X
線出力の低下や、陰極のフィラメント切れ等によるX線
発生管の使用寿命の低下を招くので、封入管の内部は1
0−6〜10−7torrの高真空とされている。すな
わち、X線発生管の製造時には、真空ポンプにより封入
管の排気を行うとともに加熱エージングを長時間行った
後、チタン等の各種吸着剤を用いて封入管内の残留ガス
を吸着して、封入管内を高真空状態とする。
【0005】上記ターゲットの回転軸は、通常回転抵抗
が少ないころがり球軸受により支持されている。ところ
で、熱電子線がターゲットに衝突するときに、熱電子線
のエネルギーがX線に変換されると同時にその一部が熱
に変わる。例えば、ターゲットの熱電子衝突部では10
00℃以上の高温となる。そして、X線発生管ではター
ゲットが高速回転し、特に高出力のX線発生管ではター
ゲットが数千/min 〜数万/min の回転数で高
速回転する。従って、上記ころがり球軸受は高温(〜5
00℃)真空中で高速回転となり、軸受の潤滑剤として
油等の潤滑剤を使用すると、潤滑剤の蒸気で封入管内の
真空度が低下するので、上記軸受には、高温でも真空度
を低下させない軟金属等蒸気圧の低い固体潤滑剤を用い
て、高真空中での回転に耐える工夫がなされている。
【0006】しかし、近年のX線発生管の高出力化に伴
い、上記軸受はより高速回転,高荷重,高温で使用され
ることになり、このような過酷な使用条件による軸受部
分の摩耗がX線発生管の使用寿命低下の大きな要因とな
っている。最近では、軸受が上述した使用条件に耐える
ために、固体潤滑剤として従来用いられていたPbを高
融点で信頼性の高いAg等の軟質金属に変えて使用する
ことが行われているが、それでも軸受摺動部の摩耗が大
きく、X線発生管の十分な使用寿命が得られなかった。
【0007】すなわち、上記球軸受の内輪と球あるいは
外輪と球とが摺動する際の内輪,外輪,球の摺動面にお
いては、上記固体潤滑剤が摺動面に存在することにより
摺動時に潤滑効果を示すものの、長期にわたって繰り返
し各摺動面が摺動することにより、摺動面表面が繰り返
し疲労により剥離し、摺動面が粗面化する。そして、摺
動面の粗面化による摩擦の増大,摩耗粉の発生により摺
動面の摩耗が加速度的に進み、トルクが急激に上昇し、
その結果軸受が回転不可能になり、X線発生管の使用寿
命が短時間で尽きることになる。また、このようなX線
発生管では、上述したような軸受摺動面の粗面化により
ターゲットの回転が不安定になり、ターゲットにおける
X線発生点のぶれが生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
技術の場合には、回転陽極の軸受部の摺動面の疲労剥離
や摩耗により、X線発生管の使用寿命が短く、またX線
発生点のぶれが生じるという問題があった。
【0009】本発明は上記した従来技術の課題を解決す
るためになされたもので、その目的とするところは、回
転陽極の軸受部の耐摩耗特性が良好で、X線発生点のぶ
れが少なく、使用寿命が長いX線発生管を提供すること
にある。
【0010】[発明の構成]
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、回転陽極の球軸
受の摺動面に所定範囲の硬さで所定範囲の厚さの金属膜
を被着させることにより摺動面の摩耗を低減できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明のX線発生管は、熱電子
線を発生する陰極と、該熱電子線が照射されることによ
りX線を発生する回転陽極とを備え、該回転陽極の回転
軸が球軸受により支持されて成るX線発生管において、
前記球軸受の内輪と球あるいは外輪と球とが摺動する際
の内輪の摺動面,外輪の摺動面,球の摺動面のうちの少
なくとも1つの摺動面の最表面に金属から成る被膜が形
成され、該被膜のビッカース硬さがHv50〜Hv20
0の範囲とされ、かつ該被膜の厚さが0.05〜2μm
の範囲とされたことを特徴とする。
【0013】上記球軸受の基材(内輪,外輪,球)の材
料としては、一般的に使用されるSKH鋼等の高温硬さ
が硬い材料が好適であるが、従来から球軸受の基材材料
として使用されているものであれば、いかなる材料を用
いてもよい。例えば、軸受基材材料として各種ステンレ
ス鋼,SCM鋼,SUJ鋼等の鉄系合金、ニッケル系合
金、クロム系合金、各種セラミックス材料等が挙げられ
る。また、上記球軸受としては総球軸受、保持器付球軸
受等が使用可能であるが保持器部分に各種潤滑剤を供給
する球軸受も使用可能である。
【0014】上記被膜の材料としては、上記範囲の硬さ
の金属であればいかなるものを用いてもよい。例えば、
被膜材料として純鉄、純ニッケル、純クロム、純銅等の
各種純金属や、Fe40〜100%,Ni1.5〜48
%のFe−Ni合金、Fe40〜80%,Cr8〜30
%のFe−Cr合金、Cu0.25〜30%,Ni46
〜97%のCu−Ni合金、Cu70〜99%,Sn0
.75〜30%のCu−Sn合金、Cu57〜88%,
Zn2〜39%のC−Zn合金等の各種合金が挙げられ
る。
【0015】また、軸受基材が金属から成る場合には、
被膜の材料としては、軸受基材材料の主元素に対して全
率固溶する元素あるいはこの元素を含む合金が、軸受と
の密着性が良好なので好ましい。例えば、軸受基材材料
としてSKH鋼を用いた場合には、軸受基材の主元素で
あるFeと全率固溶するNiあるいはNiを含む合金(
Ni1.5〜48%)を被膜材料として用いると、被膜
と基材の摺動面との密着性が良好となる。また、軸受基
材と上記被膜との密着性を高めるために、各種の下地膜
を軸受基材表面に形成してもよい。
【0016】被膜の硬さを上記範囲に限定した理由は、
被膜のビッカース硬さがHv50未満であると、軸受の
基材どうし(内輪と球あるいは外輪と球)が直接接触す
ることになり、高密度の応力が軸受基材の摺動面に加わ
るため、基材摺動面の疲労剥離を緩和することができず
、一方、被膜のビッカース硬さがHv200より大きい
と、被膜自体に高密度の応力が作用することになり、被
膜に疲労剥離が生じて軸受摺動面の摩耗が急速に進行す
るからである。
【0017】また、被膜の厚さを上記範囲に限定した理
由は、被膜の厚さが0.05μmより薄いと、軸受基材
どうしがほとんど直接接触することになり、軸受基材表
面に加わる高密度の応力を緩和させる被膜の作用が十分
に働かず、一方、被膜の厚さが2μmより厚いと、軸受
の摺動面の変形が大きくなるため、軸受の回転抵抗が大
きくなって回転陽極回転時の起動トルクが大きくなり、
さらには、回転時の軸受の摩擦による発熱が増大して、
軸受摺動面の摩耗を加速度的に進行させるからである。
【0018】上記被膜の形成方法としては、電解,無電
解の湿式めっきや、真空蒸着,イオンプレーティング,
CVD等の乾式めっき等の各種成膜法が採用可能である
が、X線発生管の回転陽極及びその軸受は封入管内に真
空封入されるため、ガス放出量の少ない乾式めっきを用
いることが好ましい。さらに、被膜と軸受基材との密着
性を向上させ、また被膜の脱ガスを行うために、被膜が
形成された軸受基材に各種の熱処理を行ってもよい。
【0019】特に、湿式めっきにより形成された被膜は
、被膜形成時に水素等のガス成分を膜中に含有するので
、膜の硬さが硬く、基材との密着性が低い。また、この
ような被膜が形成された軸受をX線管の封入管内に真空
封入すると、被膜中に含まれるガス成分が徐々に放出さ
れ、封入管の脱ガス工程を困難にする。このような問題
を解決するために、被膜が形成された基材を各種の雰囲
気中で熱処理することにより、被膜と基材との密着性や
被膜の硬さを適度に制御することができ、さらには被膜
が形成された軸受を封入管内に組み込む前に被膜中のガ
ス成分を放出させることが可能となる。このような熱処
理を行う場合には、被膜の酸化を防止し、被膜中の脱ガ
スを効率良く行うために、可能な限り低い圧力下で被膜
の熱処理を行うことが好ましい。
【0020】上記被膜は球軸受の内輪の摺動面,外輪の
摺動面,球の摺動面のうちの少なくとも1つの摺動面に
形成すればよいが、内輪と球との摺動面,外輪と球との
摺動面の両方に関与する球の表面(摺動面)に被膜を形
成することが好ましい。すなわち、球の摺動面に上記被
膜を形成すれば、内輪と球との摺動面及び外輪と球との
摺動面の両方に対して被膜の効果を発揮することができ
る。また、球の摺動面においては、摺動時に内輪や外輪
の摺動面との接点が一定しないため、被膜の単位面積あ
たりの摺動時間が少なくて済み、内輪の摺動面や外輪の
摺動面に被膜を形成する場合に比べて被膜の破損等の損
傷が少ないため、より長時間にわたって被膜の特性を保
持することができる。
【0021】また、上記被膜が形成された摺動面に接触
する他の摺動面や、保持器付球軸受における保持器部分
に、摺動によるすべり抵抗を低減させるために、真空中
で一般的に用いられるMoS2 やPb等の固体潤滑剤
を供給してもよい。このような固体潤滑剤には、回転陽
極回転時の軸受の摺動抵抗を低減し、回転時のモータの
負荷を軽減する働きの他に、軸受摺動面の摩擦による発
熱を抑制し、軸受摺動面の摩耗を低減する働きがある。
【0022】
【作用】上記構成を有する本発明のX線発生管において
は、上記金属被膜が回転陽極の球軸受の摺動面で潤滑剤
としての役割を果すので、摺動面の摩擦抵抗が小さくな
り軸受が支障なく回転する上に、この金属被膜には適度
な硬さと厚さがあるので、軸受摺動面の疲労剥離が緩和
され、摺動面の粗面化や摩耗が低減される。従って、軸
受が長期にわたって小さいトルクで滑らかに回転して回
転陽極を支持するので、回転陽極の回転が安定し、X線
発生点のぶれが低減され、またX線発生管の使用寿命が
延長される。
【0023】
【実施例】以下に、本発明の実施例について図を用いて
説明する。図1は本発明の一実施例のX線発生管におけ
る回転陽極の軸受部を示す縦断面図,図2は同実施例の
X線発生管の全体構成を示す縦断面図である。
【0024】図2において、X線発生管1は、概略熱電
子線2を発生する陰極3と、不図示のモータにより回転
駆動される円盤形状の回転陽極としてのターゲット4と
が、内部が真空状態とされる封入管5内に封入されて成
る。ターゲット4の回転軸4aは、球軸受6により封入
管5内で支持されている。X線発生時には、ターゲット
4が高速回転するとともに、陰極3から熱電子線2がタ
ーゲット4に照射されることにより、ターゲット4のX
線発生点4AからX線7が発生する。このX線7は、封
入管5に設けられたBe製X線透過窓8から封入管5外
部へ放出される。  軸受6は、図1に示すように、概
略ターゲットの回転軸4aに固着される内輪10と、内
輪10に対して所定の間隙を介して平行に固定配置され
る外輪11と、内輪10と外輪11との間に転動可能に
挟持される球12とから成る。回転軸4aが回転する際
には、内輪10が回転軸4aとともに回転し、それと同
時に球12が内輪10の外周面10aと外輪11の内周
面11aに当接しながら転動する。それによって回転軸
4aは軸受6により支持されながら、支障なく回転する
。 また、内輪の外周面10aの最表面,外輪の内周面11
aの最表面及び球12の最表面には、金属から成る被膜
13が形成されており、この被膜13のビッカース硬さ
がHv50〜Hv200の範囲とされ、かつ被膜13の
厚さが0.05〜2μmの範囲とされている。
【0025】上記X線発生管1においては、軸受6の摺
動面である内輪の外周面10a,外輪の内周面11a及
び球12表面に形成される金属被膜13が、これらの摺
動面における潤滑剤としての役割を果しており、摺動面
に金属被膜13が存在することにより、摺動面の摩擦抵
抗が小さくなり、軸受6が支障なく回転しながら回転軸
4aを支持する。そして、この被膜13が上記範囲の硬
さ、厚さとされることにより、軸受6摺動面の疲労剥離
が緩和され、摺動面の粗面化や摩耗が低減される。従っ
て、軸受6が長期にわたって、小さいトルクで滑らかに
回転して回転軸4aを支持するので、ターゲット4の回
転が安定し、X線発生点4Aのぶれが低減され、またX
線発生管1の使用寿命が延長される。
【0026】実際に、上記金属被膜13として種々の硬
さ、厚さの被膜を形成して次に説明するような実験を行
ったところ、上記範囲の硬さ、厚さの金属被膜を形成し
た場合に軸受の使用寿命が長くなることが確認された。
【0027】実施例1〜3 まず、軸受6として内径8mm,外径20mmのSKH
鋼製総球軸受を用いて、軸受の各部品(内輪,外輪,球
)の表面をアセトン,アルコール等の有機溶剤を用いて
洗浄した後、これらの軸受部品をRFイオンプレーティ
ング装置の中に試料として導入し、装置内を真空排気し
た。装置内の真空度が5×10−7torrに達した後
に、Arガスを装置内の圧力が2×10−3torrに
なるまで導入し、600Wの高周波を試料電極及びRF
コイル電極に印加して、試料表面を約20分間スパッタ
クリーニングした。
【0028】その後直ちに、イオン源としてNiが収容
されたイオン源るつぼと試料とを遮断するためのシャッ
タを閉じ、このイオン源るつぼを通電加熱し、100W
の高周波をRFコイル電極に印加し、試料とイオン源る
つぼとの間に、イオン源側が陽極となるようなバイアス
電圧を印加してから、上記シャッタを開放して約6分間
の成膜を行った。各部品に形成されたNi被膜に対して
オージェ電子分光装置により深さ方向分析を行ったとこ
ろ、被膜の厚さは約0.5μmであった。
【0029】上記Ni被膜に対して成膜後、熱処理を加
えないものを実施例1とし、成膜後500℃で1時間の
真空焼なましを行ったものを実施例2とし、成膜後70
0℃で1時間の真空焼なましを行ったものを実施例3と
した。実施例1〜3の軸受部品の表面硬さ(被膜の硬さ
)を測定したところ、表1に示すとおりであった。
【0030】比較例1〜3 上記実施例1〜3と同様なSKH鋼製総球軸受及びRF
イオンプレーティング装置を使用し、イオン源としてP
bを用いて、上記と同様な方法により厚さ0.5μmの
Pb被膜を形成し、これを比較例1とした。さらに、同
様な軸受部品の表面に、Crの電気めっき液を用いて厚
さ0.5μmのPb被膜を形成し、これを比較例2とし
、同様な軸受部品の表面にMoS2 (二硫化モリブデ
ン)をスパッタコーティングして厚さ0.5μmの被膜
を形成し、これを比較例3とした。比較例1〜3の被膜
の硬さを測定したところ、表1に示すとおりであった。
【0031】
【表1】
【0032】次に、図3に示すような真空中軸受試験機
20を用いて、上記実施例1〜3及び比較例1〜3の軸
受の摩耗試験を行った。図3において、モータ21によ
り回転駆動される回転軸22が真空容器23の内部に設
けられており、真空容器23内は真空排気ポンプ24に
より排気されて真空状態とされる。そして、回転軸22
に軸受30として上記実施例1〜3、比較例1〜3の軸
受を取付け、静荷重25により軸受30に所定の荷重を
加えながら回転軸22を回転させ、軸受6の摩擦により
生じるトルク(摩擦トルクと記す)の時間的変化を回転
摩擦力測定用ゲージ26により測定した。図3において
27は真空ゲージを示す。
【0033】上記真空中軸受試験機20において、真空
容器23内の真空度が2×10−6torr, 軸方向
静荷重が4kgf,回転軸22の回転速度が4500r
pm,軸受温度が300℃の条件下で、上記実施例1〜
3,比較例1〜3の軸受の摩耗試験を行ったところ、各
軸受の摩擦トルクの時間的変化は図4に示すようになっ
た。同図において×印で記した点は軸受が回転不可能と
なった時点を示す。
【0034】図4からわかるように、比較例3の軸受で
は約3時間で摩擦トルクが急上昇して回転不可能となり
、比較例3より硬い金属被膜が設けられた比較例1,2
の軸受でも、約10〜20時間で摩擦トルクが急上昇し
て回転不可能となった。一方、実施例1の軸受では約1
000時間後でも摩擦トルクがほとんど上昇せずに安定
しており、実施例2,3の軸受では500〜700時間
後には摩擦トルクが上昇して回転不可能となったが、比
較例のうち最も使用寿命が長い比較例2の軸受に比べて
約20倍の使用寿命が得られた。
【0035】また、上記試験後に実施例2の軸受と比較
例1の軸受を分解して摺動面表面を観察したところ、比
較例1の軸受の摺動面は疲労剥離及び摩耗により表面が
粗くなっていた。一方、実施例2の軸受の摺動面表面は
滑らかであり、疲労剥離状態はほとんど見られなかった
【0036】実施例4〜6 上記実施例1〜3と同様な軸受に同様な方法で、膜厚が
0.05〜2μmの範囲となるように、膜厚を表2に示
す厚さに制御しながらNi被膜を形成し、実施例4〜6
の軸受を作成した。また、実施例4〜6の被膜の硬さを
測定したところ、全てビッカース硬さがHv200であ
った。
【0037】比較例4〜6 上記実施例4〜6と同様な軸受に同様な方法で、膜厚が
0.01μm,3μm,10μmとなるように膜厚を制
御しながらNi被膜を形成し、表2に示すような比較例
4〜6の軸受を作製した。比較例4〜6の被膜の硬さを
測定したところ、表2に示すように全てビッカース硬さ
がHv200であった。
【0038】上記実施例4〜6,比較例4〜6の軸受を
組み立て図2に示すX線発生管1に組み込み、出力50
kW,150kVでこのX線発生管1の連続運転を行い
、使用寿命を測定した。その結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2からわかるように、実施例4〜6の軸
受の場合には、約500〜600時間の使用寿命が得ら
れるが、比較例4の軸受の場合には約7時間、比較例5
の軸受の場合には約12時間で回転トルクが急上昇し回
転不可能となった。また、比較例6の軸受の場合には、
初期の回転トルクが大きいために、X線発生管を動作さ
せる前にモータが過熱して、ターゲット4を回転させる
ことができなかった。すなわち、実施例4〜6の軸受を
用いたX線発生管は比較例4〜6の軸受を用いたX線発
生管に比べて、約40〜80倍の使用寿命が得られるこ
とになる。
【0041】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、種々変形実施
が可能である。例えば、上記実施例においては、軸受6
の内輪の外周面10a,外輪の内周面11a,球12の
表面の全ての摺動面に金属被膜13を形成したが、球1
2の表面のみに金属被膜を形成することも可能である。
【0042】
【発明の効果】本発明のX線発生管は以上の構成及び作
用を有するもので、回転陽極の軸受摺動面の耐疲労剥離
特性に優れ、軸受摺動面の粗面化や摩耗が低減されるの
で、以下に挙げる効果を得ることができる。
【0043】■  軸受が長期にわたって小さいトルク
で滑らかに回転して回転陽極を支持するので、回転陽極
の回転が安定し、X線発生点のぶれが低減される。従っ
て、信頼性が高く高品質で、使用寿命が長いX線発生管
が得られる。
【0044】■  X線発生管を小型化あるるいは高出
力とすると発熱が多くなるが、本発明における軸受摺動
面は耐疲労剥離特性に優れるので、軸受が従来より高温
で高速の回転に耐えることができる。従って、X線発生
管をより小型化し、高出力とすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のX線発生管における回転陽
極の軸受部を示す縦断面図である。
【図2】同実施例のX線発生管の全体構成を示す縦断面
図である。
【図3】同実施例における軸受の試験を行うための真空
中軸受試験機の構成を概略的に示す縦断面図である。
【図4】同実施例における軸受の摩擦トルクの時間的変
化を示す図である。
【符号の説明】
1  X線発生管 2  熱電子線 3  陰極 4  ターゲット(回転陽極) 4a  回転軸 6  球軸受 7  X線 10  内輪 10a  内輪の外周面(摺動面) 11  外輪 11a  外輪の内周面(摺動面) 12  球 13  被膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  熱電子線を発生する陰極と、該熱電子
    線が照射されることによりX線を発生する回転陽極とを
    備え、該回転陽極の回転軸が球軸受により支持されて成
    るX線発生管において、前記球軸受の内輪と球あるいは
    外輪と球とが摺動する際の内輪の摺動面,外輪の摺動面
    ,球の摺動面のうちの少なくとも1つの摺動面の最表面
    に金属から成る被膜が形成され、該被膜のビッカース硬
    さがHv50〜Hv200の範囲とされ、かつ該被膜の
    厚さが0.05〜2μmの範囲とされたことを特徴とす
    るX線発生管。
JP719291A 1991-01-24 1991-01-24 X線発生管 Pending JPH04248234A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05240256A (ja) * 1991-12-20 1993-09-17 Ina Waelzlager Schaeffler Kg 鋼製のラジアル又はスラスト転がり軸受
JP2014126075A (ja) * 2012-12-25 2014-07-07 Seiko Instruments Inc 転がり軸受装置、ハードディスクドライブ装置および転がり軸受装置の製造方法

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