JPH04236939A - 血行動態解析装置 - Google Patents

血行動態解析装置

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JPH04236939A
JPH04236939A JP3017131A JP1713191A JPH04236939A JP H04236939 A JPH04236939 A JP H04236939A JP 3017131 A JP3017131 A JP 3017131A JP 1713191 A JP1713191 A JP 1713191A JP H04236939 A JPH04236939 A JP H04236939A
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pressure
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Mitsue Tomita
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  • Measuring Pulse, Heart Rate, Blood Pressure Or Blood Flow (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血行動態解析装置、特に
縛帯を用いて非観血的に血液の循環情報を得て、これを
診断の便宜に供する形式で提供することのできる血行動
態解析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】血液が体全体にわたってどのように流れ
ているかを知ることは、疾患の診断を行う上で非常に重
要な意味をもつ。このような全身的な血行動態を解析す
るには、血圧や心電測定の他に、全身的なポジトロンエ
ミッタ画像、核磁気共鳴画像、赤外線画像などの全身画
像の解析が有効である。一方、このような西洋医学系の
疾患診断法の他に、漢方医学ではいわゆる「脈診」と呼
ばれる方法が知られているが、これは検査者の主観によ
る検査法であり、客観的なデータ解析を行うことはでき
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た種々の全身画像を得るための解析装置は、精密な客観
的データを提供することができる利点はあるものの、非
常に高価な据付型の大型装置であるため、重症患者や研
究対象にしか用いられていないのが実情である。また、
複雑な装置であるため、検査要員の育成にも時間がかか
り、広く普及させることが困難である。
【0004】そこで本発明は、全身にわたっての血行動
態を解析することができる小型で簡易な装置を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(1)   本願第1の
発明は、血行動態解析装置において、生体を縛帯によっ
て圧迫することにより発生するコロトコフ音を、縛帯圧
を変化させながら検出する音波検出部と、この音波検出
部によって検出されたコロトコフ音の波形を、検出時の
圧力値に対応させて記憶する波形記憶部と、この波形記
憶部に記憶された波形を、心収縮期圧SPから心拡張期
圧DPに至るまでの圧力軸上に配し、各波形のピーク位
置を結ぶことにより診断用包絡線を作成し、これを出力
する包絡線作成部と、を設けたものである。
【0006】(2)   本願第2の発明は、上述の第
1の発明に係る血行動態解析装置において、各波形の最
大ピーク位置を結ぶことにより得られる診断用第1包絡
線と、各波形の二番目に大きいピーク位置を結ぶことに
より得られる診断用第2包絡線と、各波形のノイズレベ
ル以上の最小ピーク位置を結ぶことにより得られる診断
用第3包絡線と、の3種類の診断用包絡線を作成し、こ
れを出力するようにしたものである。
【0007】(3)   本願第3の発明は、上述の第
1または第2の発明に係る血行動態解析装置において、
心収縮期圧SPから心拡張期圧DPに至るまでの圧力軸
を複数の区間に分割し、この各区間に生体の各部位を対
応づけ、この各区間ごとに診断用包絡線を所定の基準包
絡線と比較し、両者の隔たりが所定の限度以上である区
間については、その区間に対応づけられた生体の部位を
血流障害部位として表示する血流障害部位表示部を更に
設けたものである。
【0008】(4)   本願第4の発明は、上述の第
1〜第3の発明に係る血行動態解析装置において、生体
の右上腕に縛帯を装着したときに得られるコロトコフ音
波形に基づく診断用右包絡線と、生体の左上腕に縛帯を
装着したときに得られるコロトコフ音波形に基づく診断
用左包絡線と、をそれぞれ別個に処理することができる
ようにしたものである。
【0009】
【作  用】(1)   本願第1の発明は、心収縮期
圧SPから心拡張期圧DPに至るまでの圧力軸上に配し
たコロトコフ音波形の包絡線が、生体の全身的な血行動
態に関する情報を含んでいることを、本願発明者が見出
だしたことに基づく。この装置を用いれば、生体に縛帯
を装着するだけで、心収縮期圧SPから心拡張期圧DP
に至るまでの種々の圧力におけるコロトコフ音波形が検
出できる。しかも、包絡線作成部によってコロトコフ音
波形の包絡線が自動的に作成され出力される。本願発明
者は、この包絡線の心収縮期圧SPから心拡張期圧DP
までは主要臓器の血行動態の情報を、心拡張期圧DP以
下は中枢や下肢などの血行動態の情報を、それぞれ含ん
でいることを見出だした。したがって、この包絡線を表
示することにより、全身的な血行動態の解析が可能にな
る。
【0010】(2)   本願第2の発明は、コロトコ
フ音の各波形の最大ピーク位置を結ぶことにより得られ
る診断用第1包絡線が、漢方医学における脈診の「浮」
に相当する情報をもち、各波形の二番目に大きいピーク
位置を結ぶことにより得られる診断用第2包絡線が、漢
方医学における脈診の「中」に相当する情報をもち、各
波形の最小ピーク位置を結ぶことにより得られる診断用
第3包絡線が、漢方医学における脈診の「沈」に相当す
る情報をもつことを見出だしたことに基づく。漢方医学
では、この「浮・中・沈」の情報を、患者の脈から得ら
れる主観的な触覚情報として取り扱っていたが、本発明
によれば、これを客観的なデータとして取り扱うことが
可能になる。
【0011】(3)   前述のように、包絡線は生体
の中枢側から末梢側に至るまでの各部の血行動態情報を
示すものとなる。そこで、本願第3の発明では、包絡線
を複数の区間に分割し、この各区間に生体の各部位を対
応づけたものである。この各区間ごとの包絡線を所定の
基準包絡線と比較することにより、その区間に対応づけ
られた生体の部位の血流状態を認識することができる。
【0012】(4)   本願第4の発明では、上述の
第1〜第3の発明に係る血行動態解析装置において、左
右の包絡線の処理が別個になされる。したがって、生体
の左右の血行動態解析を別個に行うことができるように
なる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて詳
述する。図1は本発明の一実施例に係る血行動態解析装
置の基本構成を示すブロック図である。この装置は、大
きく分けて、装置本体100(一点鎖線で囲んで示す)
と縛帯200との2つの構成部分よりなる。縛帯200
は、一般的な血圧計で用いられているものであり、その
内部には、上腕部を阻血するための阻血嚢210と、こ
の阻血嚢210内に気密性を保持させたまま収納した音
波検出器220(具体的にはマイクロフォン)と、が内
蔵されている。音波検出器220は、上腕部におけるコ
ロトコフ音(動脈音)を検出するためのものであり、こ
の縛帯200を上腕部に装着したときに、音波入力孔の
形成面が上腕の表皮面に向くような状態に固定されてい
る。阻血嚢210から外部には空気を通すための導管2
30が伸びており、音波検出器220から外部には電気
信号を伝達するための導線240が伸びている。この縛
帯200は、図2に示すように、上腕部に巻き付けるよ
うにして装着される。
【0014】一方、装置本体100は次のような構成に
なっている。まず、導管230は、管路101および1
02に接続されている。管路101は圧力センサ110
に接続されており、この圧力センサ110によって、阻
血嚢210内部の圧力が検出される。この圧力センサ1
10の検出信号は増幅器111で増幅された後、A/D
変換器112によってデジタル信号に変換される。また
、導線240を伝達した電気信号は増幅器120によっ
て増幅された後、帯域フィルタ121を通り、A/D変
換器122によってデジタル信号に変換される。帯域フ
ィルタ121は、コロトコフ音の周波数帯域(18〜8
0Hz)を通すよう設計されている。A/D変換器11
2,122によって変換されたデジタル信号は、CPU
130に取り込まれる。管路102は、エアポンプ14
0およびリークバルブ150に接続されている。エアポ
ンプ140およびリークバルブ150は、CPU130
によって制御される。エアポンプ140を起動させれば
、管路102および導管230を介して阻血嚢210内
へ空気を送り込むことができ、阻血嚢210内の圧力を
上昇させることができる。逆に、リークバルブ150を
起動させれば、導管230および管路102を介して阻
血嚢210内の空気を外部にリークさせることができ、
阻血嚢210内の圧力を下降させることができる。 更に、エアポンプ140およびリークバルブ150を停
止させれば、阻血嚢210内の圧力を一定に維持させる
こともできる。結局、CPU130は、阻血嚢210内
の圧力を自由に制御することができる。
【0015】CPU130には、データやプログラムを
記憶するためのメモリ160、データを表示するための
表示装置170(たとえば、液晶ディスプレイ)、デー
タのハードコピーを出力するためのプリンタ180が接
続されている。また、CPU130には、右側測定開始
スイッチ191および左側測定開始スイッチ192が接
続されている。このほか、各部に電源を供給する手段な
ども必要であるが、ここでは説明を省略している。
【0016】続いて、この装置を用いた測定操作を説明
する。操作者は、まず縛帯200を被験体の一方の上腕
部に装着し、対応する測定開始スイッチを押す。たとえ
ば、右上腕部に装着した場合は、右側測定開始スイッチ
191を押す。すると、CPU130は図3に示すよう
な測定処理を開始する。以下、この図3のグラフに基づ
いて、この測定処理を説明する。このグラフの横軸は測
定開始後の経過時間を示し、縦軸は各時における阻血嚢
210内の圧力(前述のように、圧力センサ110によ
って検出される)を示す。まず、グラフのA点から次第
に圧力を上昇させてゆき、所定の圧力Tまでもってゆく
(前述のように、エアポンプ140を駆動して圧力を上
昇させる)。この圧力Tは、健常者の上腕部を阻血する
のに十分な値に設定されている(この実施例では、18
0mmHg)。
【0017】阻血嚢210内の圧力が所定の圧力Tに達
したら、そこから徐々に圧力を下降させてゆく(前述の
ように、リークバルブ150を駆動して圧力を下降させ
る。この実施例では、3mmHg/秒の割合で下降させ
ている)。すなわち、図のグラフでは、B点からC点に
向かって圧力を下げてゆくことになる。CPU130は
、このように圧力を下降させながら、音波検出器220
の出力信号をモニターしてゆく。すると、やがて図のC
点においてコロトコフ音が初めて観測される。このとき
の圧力値は、心収縮期圧SPとして知られており、この
現象は血圧測定に利用されている。圧力を更に下降させ
てゆくと、コロトコフ音は次第に大きくなり、D点にお
いて最大になる。このときの圧力値は、大動脈弁閉鎖痕
圧DNPとして知られている。圧力を更に下降させてゆ
くと、コロトコフ音は次第に小さくなり、E点において
消失(後述するように、厳密には所定レベル以下となる
)する。このときの圧力値は、心拡張期圧DPとして知
られており、この現象も血圧測定に利用されている。 図3では、C点〜E点の区間において、圧力の下降を示
すグラフの線に対して直交する方向に、各圧力値におい
て得られるコロトコフ音の振幅およびその包絡線を記入
し、パターンP1として表示してある。C点においてコ
ロトコフ音が発生し、D点においてその振幅が最大とな
り、E点において消失する様子が容易に理解できよう。 圧力を更にF点まで下降させたら、リークバルブ150
により、阻血嚢210内の空気を一気に抜き、短時間で
G点までもってゆく。
【0018】以上、A点〜G点に至るまでの操作が一方
の上腕部(この実施例では、右上腕部)についての全測
定操作となり、これにより、心収縮期圧SPから心拡張
期圧DPに至るまでの各圧力値ごとに、コロトコフ音の
波形が測定されたことになる。CPU130は、測定で
得られたコロトコフ音の波形を、測定時の圧力値に対応
づけてメモリ160へ記憶させておく。記憶されたこの
波形は、後述する血行動態の解析処理に用いられること
になる。続いて、操作者は、縛帯200を被験体のもう
一方の上腕部(この例では、左上腕部)に装着し、対応
する測定開始スイッチを押す。すなわち、左側測定開始
スイッチ192を押す。すると、CPU130は前述と
同様に、図3に示すA点〜G点に至るまでの操作を繰り
返す。こうして、メモリ160内には、右上腕部につい
て得られたコロトコフ音波形データと、左上腕部につい
て得られたコロトコフ音波形データと、がそれぞれ別個
に蓄積されることになる。以上で、被験体に対する測定
操作はすべて完了である。検査者の行う作業は、被験体
の右腕に縛帯200を装着して右側測定開始スイッチ1
91を押して測定処理完了を待った後、被験体の左腕に
縛帯200を装着して左側測定開始スイッチ192を押
して測定処理完了を待つだけの簡単なものである。
【0019】続いて、メモリ160内のコロトコフ音波
形データに基づいて、血行動態の解析処理が行われるが
、この解析処理についての説明を行う前に、上述の測定
処理の別な例について述べておく。この例は、疾患者を
被験体としたものであり、図3において一点鎖線で示す
ように、A点からB´点へと至り、C´,E´,F´,
G´の各点を経るような測定が行われる。この疾患者は
高血圧の症状をもち、心収縮期圧SPが所定の設定値T
よりも高く、図3のB点において既にコロトコフ音が聞
こえることになる。そこで、CPU130は、所定の設
定値Tまで圧力を上昇させた時点で、コロトコフ音をモ
ニタし、もしコロトコフ音が既に聞こえていた場合には
、第2の設定値T’’(この実施例では、更に50mm
Hg上昇させた値)まで圧力を上昇させ、図3のB’’
点において再びコロトコフ音をモニタする。もしコロト
コフ音がまだ聞こえていた場合には、更に第3の設定値
T´(この実施例では、更に50mmHg上昇させた値
)まで圧力を上昇させ、図3のB´点において再びコロ
トコフ音をモニタする。こうして、コロトコフ音が聞こ
えない圧力値まで到達したら、別言すれば、完全な阻血
状態が達成できたら、圧力を徐々に下降させる測定に入
る。図3に一点鎖線で示す例では、B’’点ではまだコ
ロトコフ音が聞こえるため、更にB´点まで圧力を上昇
させてから測定に入っている。この測定では、C´点で
初めてコロトコフ音が現れ、E´点で消失している。コ
ロトコフ音が最大となる点は決定できない。F´点まで
圧力を減少させたら、G´点まで一気に下降させる点は
、前述の健常者の測定例と同様である。前述の健常者の
測定結果では、ほぼ菱形のコロトコフ音パターンP1が
得られるのに対し、この疾患者の測定結果では、不規則
なコロトコフ音パターンP2が得られている。
【0020】それでは、本装置による血行動態の解析処
理について説明する。この処理は、前述の測定処理によ
りメモリ160内に蓄積されたコロトコフ音波形を用い
て、CPU130が行う処理であり、基本的には、得ら
れたコロトコフ音パターンと、所定の基準パターンとを
比較する処理と言うことができる。この比較を行うため
に、3本の基準包絡線というものを作成する。いま、図
3に示すようなコロトコフ音パターンP1が得られたも
のとして説明を続ける。はじめに、このパターンP1の
C点〜E点までを横軸にとったグラフを図4のように定
義する。C点は心収縮期圧SP、E点は心拡張期圧DP
、にそれぞれ対応するので、このグラフの横軸は圧力軸
に対応することになる。続いて、図4に示すように、こ
の圧力軸を5等分し、心収縮期圧SP側から心拡張期圧
DP側へ向かって、それぞれ区間I,II,III ,
IV,Vを定義する。この各区間は、後述するように、
被験体の各部に対応することになる。続いて、このグラ
フの縦軸に3つのレベルV1,V2,V3を設定する。 この縦軸は、コロトコフ音波形の振幅値に対応するもの
であり、より具体的には、図1に示す装置におけるA/
D変換器122が出力するデジタル量に対応するもので
ある。この実施例では、次のようにしてこの3つのレベ
ルV1,V2,V3を設定している。まず、何人かの健
常者について前述した測定を行い、コロトコフ音波形の
パターンP1を得る。そして、このパターンP1からコ
ロトコフ音の最大振幅値(本明細書では、振幅値とは全
振幅ではなく、半振幅を意味するものとする)を求め、
何人かの健常者についての最大振幅値の平均をとる。そ
して、この平均最大振幅値をレベルV1とし、その2/
3の値をレベルV2とし、1/3の値をレベルV3とす
る。こうして、図4に示すグラフの縦軸に、3つのレベ
ルV1,V2,V3が設定できる。結局、この3つのレ
ベルV1,V2,V3は、被験体とは無関係に予め設定
された固有値ということになる。
【0021】続いて、図4に示すように、グラフの横軸
(圧力軸)に、大動脈弁閉鎖痕圧DNP(図3のD点の
圧力値)の理想的な位置を決定する。この理想的な位置
も、経験則として決定すべき事項であるが、図4のグラ
フの横軸において、SP〜DNP間の圧力差と、DNP
〜DP間の圧力差との比が、ほぼ2:1になることが経
験上知られており、本実施例では、この比が2:1にな
る位置としてDNPの位置を決定している。さて、図4
のグラフにおいて、横軸上にDNPの位置が決定したら
、この位置におけるレベルV1,V2,V3の点を、そ
れぞれD1,D2,D3とする。
【0022】次に、このグラフ上に、実際の測定で得ら
れたコロトコフ音波形のパターンP1の半振幅分をプロ
ットする。すなわち、各圧力時にどの程度の振幅のコロ
トコフ音が得られたかを示すグラフが作成されることに
なる。そして、心収縮期圧SPの位置にプロットされた
振幅のピーク点C0と、心拡張期圧DPの位置にプロッ
トされた振幅のピーク点E0と、を定義する(図4では
、点C0,E0ともに、縦軸のレベルが0の位置に示さ
れており、点C0,E0は、それぞれ点C,Eに一致し
ているが、実際には0でなく、微小なレベル値をもって
いる)。こうして、点D1,D2,D3,C0,E0が
求まると、3つの基準包絡線が次のようにして定義され
る。すなわち、基準第1包絡線S1は(図4に実線で示
す)、点C0−D1−E0を結ぶ線として定義され、基
準第2包絡線S2は(図4に一点鎖線で示す)、点C0
−D2−E0を結ぶ線として定義され、基準第3包絡線
S3は(図4に破線で示す)、点C0−D3−E0を結
ぶ線として定義される。
【0023】ここで、これらの基準包絡線は、実際の測
定で得られたコロトコフ音波形から得られる包絡線(本
明細書では診断用包絡線とよぶ)ではなく、この診断用
包絡線と対比するための理想的な包絡線である点に注意
すべきである。たとえば、図4に示すグラフでは、図3
のパターンP1(理想的な健常者についての測定で得ら
れたコロトコフ音波形パターン)がプロットされている
ため、基準第1包絡線S1は、実際の測定結果に基づい
てプロットされたコロトコフ音波形自身の包絡線(診断
用包絡線)と一致しているが、実際に被験体を用いた測
定を行った結果得られるコロトコフ音波形パターンをプ
ロットした場合は、診断用包絡線と基準包絡線とは通常
は完全には一致しない。このことは、図5に示す例から
容易に理解できよう。図5は、図3に示す疾患者につい
てのコロトコフ音波形パターンP2に基づいて作成され
たグラフである。各基準包絡線S1,S2,S3は、図
4に示すものとほぼ同じである(点C0,E0の位置が
、やや高いレベル位置になっている点が異なる)。これ
に対し、プロットされたコロトコフ音波形自身の包絡線
J1(診断用包絡線)は、かなり不規則な形態をとって
おり、基準第1包絡線S1とはかなり異なったものとな
っている。
【0024】さて、以上の説明から、基準包絡線S1,
S2,S3の作成方法については理解できたであろう。 そこで、この基準包絡線S1,S2,S3と対比される
べき診断用包絡線の求め方について説明する。この診断
用包絡線は、「実際の測定で得られたコロトコフ音波形
から得られる包絡線」であるが、この実施例では、3種
類の診断用包絡線を求めている。これを図6に基づいて
説明する。図6のグラフにおいて、縦軸は圧力軸に対応
し、上方に心収縮期圧SP、下方に心拡張期圧DPをと
り、前述のように、この間を5等分することにより、I
〜Vの5つの区間を定義している。なお、心拡張期圧D
P以下に第6の区間VIが定義されているが、これにつ
いては後述する。一方、横軸はコロトコフ音の振幅レベ
ルを示しており、前述のように、3つのレベルV1,V
2,V3が定義されている。このグラフでは、得られた
コロトコフ音の全振幅分の波形が示されており、グラフ
の右半分が正の振幅、左半分が負の振幅に対応している
。なお、コロトコフ音は、心臓の一心拍ごとに得られ、
図3〜図5においては、説明の便宜上、一心拍分のコロ
トコフ音波形を1本の線で示したが、実際には単純な1
パルスではなく、図6のグラフに示すような様々な周波
数成分を含んだ複雑な波形となる。また、図6のグラフ
では、心収縮期圧SPから心拡張期圧DPに至るまでに
、合計6心拍分のコロトコフ音波形しか示されていない
が、実際の測定では、より多くの心拍分のコロトコフ音
波形が得られる。そして、各心拍におけるコロトコフ音
波形の最大ピーク位置を結ぶことにより診断用第1包絡
線J1(図の実線)を形成する。また、各心拍における
コロトコフ音波形の二番目に大きいピーク位置を結ぶこ
とにより診断用第2包絡線J2(図の一点鎖線)を形成
する。更に、各心拍におけるコロトコフ音波形の最小ピ
ーク位置を結ぶことにより診断用第3包絡線J3(図の
破線)を形成する。ここで、最小ピークとは、ノイズ以
外の信号についての最小ピークという意味である。音波
検出器220の出力信号にはノイズ成分(図6の各心拍
間に示されている)が含まれており、このようなノイズ
以外の最も小さなピークという意味である。実際のCP
U130の行う処理としては、所定のしきい値以上の信
号のみを抽出し、その中での最小ピーク位置を見付ける
という操作を行えばよい。
【0025】図7は、このような3本の診断用包絡線を
求める処理をより詳細に説明するための図である。各心
拍ごとに、図の(a) ,(b) ,(c) ,(d)
 ,(e) のようなコロトコフ音波形が連続して得ら
れた場合には、各ピーク位置を結ぶ包絡線として、図の
ような診断用第1包絡線J1、診断用第2包絡線J2、
診断用第3包絡線J3、が得られる。(a) および(
e) に示す波形では、1つのピークのみしか見られな
いが、このような場合は、この唯一のピークが最大ピー
クでもあり、二番目のピークでもあり、最小ピークでも
ある、とみなして処理を行えばよい。また、図の(f)
 ,(g) のようなコロトコフ音波形が得られた場合
、二番目のピークが存在しないが、このような場合には
、図のような診断用第1包絡線J1および診断用第3包
絡線J3のみを定義し、診断用第2包絡線J2は定義し
なくてもかまわない。
【0026】さて、最後に再び図6を参照して、第6の
区間VIについての説明をしておく。前述の説明では、
心拡張期圧DP以下の圧力では、コロトコフ音は消失す
ると述べたが、厳密には、心拡張期圧DP以下の圧力で
も微小振幅のコロトコフ音が観測される。一般に、これ
は「K5音」と呼ばれており、高齢者より若齢者におい
て、より低圧まで観測される。本実施例の装置では、こ
の「K5音」のピーク値を結ぶ診断用第4包絡線J4を
定義している。
【0027】以上のようにして、基準包絡線と診断用包
絡線とが求まったら、これを同一グラフ上に表示する。 この表示の一例を図8に示す。図8のグラフは、図6の
グラフと同様に、縦軸に圧力軸を、横軸にコロトコフ音
の振幅レベルをとったものである。ただし、図6のグラ
フでは、コロトコフ音はその全振幅分が表示されていた
が、図8のグラフでは、右上腕部についての測定結果の
半振幅分がグラフの右側半分に、左上腕部についての測
定結果の半振幅分がグラフの左側半分に、それぞれ表示
されている。図6に示すように、コロトコフ音の振幅は
、正の半振幅と負の半振幅とでほとんど対称になるため
、いずれか一方(あるいは、両者の平均)だけを診断に
利用すれば良い。これに対して、右上腕部についての測
定結果と、左上腕部についての測定結果とは、一般に異
なり、この左右の測定結果は疾患部が左右どちらにある
かを認定するために必要である。図8のグラフでは、右
側に区間RI〜RVが定義され、左側に区間LI〜LV
が定義されている。このように、中心軸について左右対
象にグラフを表示すると、左右のバランスを確認しやす
く好ましい。この例では、基準第1包絡線S1が実線で
、基準第2包絡線S2が一点鎖線で、基準第3包絡線S
3が破線で、また、診断用第1包絡線J1が実線で、診
断用第3包絡線J3が破線で、それぞれ示されている(
診断用第2包絡線J2は、この例では定義されていない
)。なお、図8のグラフでは、各符号の頭に右を示す「
R」あるいは左を示す「L」を付加して、左右を区別し
ている。実際には、このようなグラフは、図1に示す表
示装置170あるいはプリンタ180によって出力され
る。各包絡線は色を変えるなどして区別するのが好まし
い。
【0028】このような出力結果に基づいて血行動態の
解析を行うには、各診断用包絡線を各基準包絡線と比較
すればよい。より具体的には、診断用第1包絡線J1を
基準第1包絡線S1と比較し、診断用第2包絡線J2を
基準第2包絡線S2と比較し、診断用第3包絡線J3を
基準第3包絡線S3と比較することになる。しかも、こ
の比較処理を、左右の測定結果それぞれについて別個に
行う。健常者であれば、各診断用包絡線は各基準包絡線
とほぼ一致することが、実験的に確認できている。別言
すれば、各診断用包絡線が各基準包絡線から離れれば離
れるほど、血液の循環に支障がある疾患を示すことにな
る。しかも、このグラフからは疾患部位の認定も行うこ
とができる。すなわち、右側の区間RI〜RVおよび左
側の区間LI〜LVは、図10に示すような被験体の各
部に対応しているものと考えることができる。基本的に
は、区間I〜Vは、心臓〜末梢に対応した血液循環情報
を示しているものと考えられる。具体的には、区間Iは
心臓、区間IIは肺、区間III は脾や胃腸、区間I
Vは肝や胆、区間Vは腰や腎、そして「K5音」に基づ
く区間VIは下肢や頭部、が対応する。そして、グラフ
の左右はそのまま被験体の左右に対応している。但し、
区間VIのうちの頭部に関しては、脳梁が交差している
ため左右が逆になる。たとえば、図8において、左側の
診断用第1包絡線LJ1は、区間LIII ,LIV,
LVにおいては、基準第1包絡線LS1に比較的近似し
ているが、区間LIIでは、極端なレベルの低下を示し
ている(診断用第3包絡線LJ3と同じレベルとなって
いるため実線の表示は省略した)。これは、左肺におけ
る血行障害を示すことになる。また、右側の診断用第1
包絡線RJ1は、全区間にわたってレベルの低下を示し
ており、被験体の右半身全体に血行障害があることを示
している。
【0029】このように、各区間において、診断用包絡
線が対応する基準包絡線とどの程度の隔たりをもってい
るかを確認することにより、各部位の疾患状態を認定す
ることができるが、本装置ではCPU130によって、
この認定を自動的に行い、その結果を表示する機能を持
たせている。両包絡線の隔たりを数量的に求めるには、
たとえば、図9の上段に示すように、診断用包絡線Jと
基準包絡線Sとで囲まれる領域(図のハッチングを施し
た部分)の面積を求める方法を用いてもよいし、同図下
段に示すように、最も離れた点間の距離dを求める方法
を用いてもよい。この装置では、各区間ごとに、両包絡
線の隔たりを数量的に求め、その隔たりが所定値以上と
なったら、その区間に対応する部位に疾患がある旨の表
示を出力させるようにしている。これはたとえば、図1
0に示すような人体図を表示させ、疾患部位に何らかの
マークを付すような方法で行えばよい。隔たりの程度に
応じて、異なるマークを付し、疾患の程度を表現するよ
うにしてもよい。なお、区間VIについては、対応する
基準包絡線は定義されていないので、本装置では、診断
用第4包絡線J4が、心拡張期圧DPより所定値だけ下
がった圧力値まで伸びている場合に、血行障害有りと判
断するようにしている。具体的には、心拡張期圧DPよ
り5mmHgだけ下がった圧力値まで伸びていた場合に
軽度の血行障害、心拡張期圧DPより15mmHgだけ
下がった圧力値まで伸びていた場合に中度の血行障害、
心拡張期圧DPより25mmHgだけ下がった圧力値ま
で伸びていた場合に重度の血行障害、がそれぞれあるも
のと判断している。
【0030】以上のように、各区間において、診断用包
絡線と対応する基準包絡線との隔たりを確認することに
より、各部位の血行障害状態を認定することが、本装置
による血行動態解析の基本概念である。そして、前述し
たように、診断用第1包絡線J1は基準第1包絡線S1
と比較され、診断用第2包絡線J2は基準第2包絡線S
2と比較され、診断用第3包絡線J3は基準第3包絡線
S3と比較される。そこで、第1包絡線、第2包絡線、
第3包絡線という3つの包絡線についての別個の比較結
果がどのような意味をもつのかについて述べておく。実
は、このような3種類の包絡線を用いるのは、漢方医学
におけるいわゆる「脈診」と関連づけた診断を行い得る
ようにするために他ならない。この「脈診」では、被験
体の脈をとることにより、全身についての循環情報を得
ることができる。この脈をとるときの血管の圧迫の仕方
には、「浮」、「中」、「沈」の3つの形態が知られて
いる。「浮」は、血管中の血液の流れを妨げないよう、
極めて緩く血管に触れて脈をとる形態であり、「沈」は
、血管中の血液の流れを阻止するよう、血管を十分に圧
迫して脈をとる形態であり、「中」はその中間の形態で
ある。これを縛帯と動脈との関係に置き換えて示した図
が図11〜図13である。いずれの図も、動脈300が
縛帯200によって圧迫された状態を示しており、矢印
Fの方向に血液が流れている。縛帯200は、圧力Pで
もって動脈300に押し付けられているが、各図ごとに
圧力Pの値が異なり、図11は「浮」、図12は「中」
、図13は「沈」、の各形態に対応する。動脈中の血液
は、脈波が伝播する形で流れる。すなわち、図の右方か
ら到来した脈波W1が、縛帯200の圧迫下を通過し、
脈波W2として左方へと進むことになる。この脈波の通
過時には動脈の管壁は拡張する。通過前の脈波W1と、
通過後の脈波W2とを比べると、図11の「浮」の状態
では、脈波W2の頂点がなだらかな形状になるだけであ
るのに対し、図13の「沈」の状態では、通過後の脈波
W2はかなり歪んでいることがわかる。
【0031】本願発明者は、各コロトコフ音波形の最大
ピーク位置を結ぶことにより得られる診断用第1包絡線
が、図11に示す「浮」の状態で得られる血液循環情報
を含んでおり、各コロトコフ音波形の二番目に大きいピ
ーク位置を結ぶことにより得られる診断用第2包絡線が
、図12に示す「中」の状態で得られる血液循環情報を
含んでおり、各コロトコフ音波形の最小ピーク位置を結
ぶことにより得られる診断用第3包絡線が、図13に示
す「沈」の状態で得られる血液循環情報を含んでいるこ
とを見出だしたのである。一般に漢方医学における「脈
診」では、「浮」の形態で得られる脈は、活力、自己回
復力、免疫機能を示すものとされており、「中」の形態
で得られる脈は、生理的必要血液量を示すものとされて
おり、「沈」の形態で得られる脈は、基礎循環血液量を
示すものとされている。したがって、第1包絡線に関し
て隔たりが生じていると、その部位について、活力低下
、自己回復力低下、免疫不全などに及ぶ血行障害が生じ
ているものと判断できる。また、第2包絡線に関して隔
たりが生じていると、その部位について、生理的必要血
液量が低下する血行障害が生じているものと判断できる
。更に、第3包絡線に関して隔たりが生じていると、そ
の部位について、基礎循環血液量が低下する血行障害が
生じており、該当臓器は極めて危険な状態にあるものと
判断できる。このように、3種類の包絡線を用いること
により、各部に発生した血行障害の内容に関する情報ま
でも得ることができるのである。
【0032】この「浮・中・沈」に関連づけた血行障害
表示を行うには、たとえば、図10のような部位表示に
おいて、第1包絡線の隔たりから得られる「浮」に関す
る血行障害、第2包絡線の隔たりから得られる「中」に
関する血行障害、第3包絡線の隔たりから得られる「沈
」に関する血行障害、についての各情報を記号で識別し
て表示したり、色を変えて表示したりするようなことも
できよう。
【0033】最後に、もうひとつ別な実施例を述べてお
く。この実施例は、コロトコフ音波形を測定する際の呼
吸性変動による誤差をなくし、より精度の高い血行動態
解析を可能にするためのものである。生体は所定の周期
で呼吸運動をしているため、心臓から末梢へと伝達され
る脈波には、この呼吸運動の周期で変化する呼吸性変動
が含まれている。前述の実施例においては、図3に示す
ように、B点〜F点(あるいはB´点〜F´点)まで、
一定速度(3mmHg/sec)で圧力を降下させなが
らコロトコフ音波形の測定を行っているが、この測定に
は呼吸性変動が含まれていることになる。この呼吸性変
動の影響は、次のような測定を行うことにより低減する
ことができる。すなわち、図14に示すように、A点か
ら圧力を上昇させてゆき、所定の圧力値Tに達した時点
(B点)で、圧力を徐々に減少させてゆく。ここまでは
、前述の実施例における測定と同様である。圧力が心収
縮期圧SPに達すると(C点)、コロトコフ音が聞こえ
はじめる。そこで、この心収縮期圧SPよりやや低い圧
力値P1において、圧力の減少をしばらく停止する。 すなわち、図14のD点〜E点まで圧力値P1が維持さ
れ、この間にコロトコフ音が数心拍分検出されることに
なる。所定時間経過したら再び圧力を減少させてゆき、
圧力値P2に達したら、この圧力値P2を所定時間(F
点〜G点)維持し、この間にコロトコフ音を数心拍分検
出する。そして更に、圧力を減少させてゆき、圧力値P
3に達したら、この圧力値P3を所定時間(H点〜I点
)維持し、この間にコロトコフ音を数心拍分検出した後
、圧力を更に減少させ(〜J点〜K点)、測定を終了す
る。このような測定を行うと、圧力値P1,P2,P3
に対応するコロトコフ音波形が複数個検出されることに
なる。そして、この複数のコロトコフ音波形は、通常、
呼吸性変動を含んでいる。そこで、この複数のコロトコ
フ音波形の平均をとり、この平均波形をもってその圧力
値におけるコロトコフ音波形として取り扱う。このとき
、圧力減少を一時中断する期間(図14におけるD点〜
E点まで、F点〜G点まで、H点〜I点までをいい、以
下、一定圧力維持期間とよぶ)が、ちょうど呼吸性変動
の周期に等しくなるように設定しておけば、この各圧力
値における平均波形は、呼吸性変動成分を含まないもの
になる。こうして、より精度の高い血行動態の解析が可
能となる。
【0034】一定圧力維持期間を呼吸性変動周期に等し
くするために、本実施例の装置では、次のような処理を
行っている。すなわち、呼吸性変動が最も顕著に現れる
脈波の波形を検出するようにし、再びほぼ同じ脈波が検
出されるまでを、呼吸性変動周期と判断するのである。 図11〜図13に示すように、脈波W1は縛帯200に
衝突するため、縛帯200内には、この脈波に対応した
圧力変動が生じ、この圧力変動は、図1に示す装置の圧
力センサ110で検出される。すなわち、図1に示す装
置は、脈波の検出機能も合わせもつことになる。そこで
、一定圧力維持期間の始期(たとえば、D点)において
検出された脈波を基準脈波として記録しておき、その後
も脈波の検出を続け(呼吸性変動のため、各脈波は少し
ずつ異なった波形となる)、再び基準脈波と同じ脈波が
得られたら(現実的には、所定の誤差範囲内で一致を示
す脈波が得られたら)、呼吸性変動周期が経過したと判
断し、圧力減少を開始すればよい。一般に、呼吸性変動
周期は、10秒以下であるから、本実施例では、10秒
経過しても基準脈波と同じ脈波が得られなかった場合に
は、一定圧力維持期間を終了し、圧力減少を開始するよ
うにしている。
【0035】図14に示す実施例において、一定圧力維
持期間を設けた圧力値P1,P2,P3は、それぞれ前
述した「浮」,「中」,「沈」に対応する圧力値である
。理想的には、すべての圧力値において、一定圧力維持
期間を設け、平均波形を求めるようにするのが好ましい
が、そのようにすると測定に要する時間が非常に長くか
かってしまうことになる。そこで、本実施例では、圧力
値P1,P2,P3という3つの圧力値において、一定
圧力維持期間を設け、呼吸性変動のないコロトコフ音波
形を得るようにしている。
【0036】以上、本発明を図示する一実施例に基づい
て説明したが、本発明はこの実施例のみに限定されるも
のではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。 たとえば、2組の縛帯を用意し、左右の測定を同時に行
うこともできる。また、血行障害部位の表示方法も、こ
の他種々の方法が考えられよう。更に、前述の実施例で
は、コロトコフ音波形について3種類の包絡線を作成し
て血行動態の解析を行ったが、1種類のみ、2種類のみ
、あるいは4種類以上の包絡線を利用した解析を行うこ
ともできる。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明による血行動態解
析装置によれば、縛帯を被験体に装着するだけの簡易な
方法により、被験体の全身的な血行動態情報を含んだ包
絡線を得ることができる。また、漢方医学における脈診
の「浮」、「中」、「沈」に相当する3種類の包絡線を
得ることができるので、「浮・中・沈」の情報を客観的
なデータとして取り扱うことが可能になる。また、包絡
線を複数の区間に分割し、この各区間ごとの包絡線を所
定の基準包絡線と比較するようにしたため、その区間に
対応づけられた生体部位の血流状態を認識することがで
きる。更に、左右の包絡線の処理が別個になされるため
、生体の左右の血行動態解析を別個に行うことができる
ようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る血行動態解析装置の基
本構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置の縛帯を被験体の上腕部に装着
した状態を示す図である。
【図3】図1に示す装置の測定動作を説明するグラフで
ある。
【図4】健常者についてのコロトコフ音波形パターンP
1に基づいて作成された基準包絡線を示すグラフである
【図5】疾患者についてのコロトコフ音波形パターンP
2に基づいて作成された基準包絡線を示すグラフである
【図6】図1に示す装置により求められた診断用包絡線
の例を示す図である。
【図7】図1に示す装置による3種類の診断用包絡線の
求め方を示す図である。
【図8】図1に示す装置によって出力された診断用包絡
線および基準包絡線の比較用グラフの例を示す図である
【図9】図8に示す包絡線の隔たりを数量的に求める方
法を示す図である。
【図10】図1に示す装置によって出力された血行障害
部位表示の一例を示す図である。
【図11】漢方医学の脈診における「浮」を説明する図
である。
【図12】漢方医学の脈診における「中」を説明する図
である。
【図13】漢方医学の脈診における「沈」を説明する図
である。
【図14】本発明の別な実施例における測定動作を説明
するグラフである。
【符号の説明】
100…装置本体 101,102…管路 110…圧力センサ 111…増幅器 112…A/D変換器 120…増幅器 121…帯域フィルタ 122…A/D変換器 130…CPU 140…エアポンプ 150…リークバルブ 160…メモリ 170…表示装置 180…プリンタ 191…右側測定開始スイッチ 192…左側測定開始スイッチ 200…縛帯 210…阻血嚢 220…音波検出器 230…導管 240…導線 300…動脈 DNP…大動脈弁閉鎖痕圧 DP…心拡張期圧 J,J1,J2,J3…診断用包絡線 S,S1,S2,S3…基準包絡線 SP…心収縮期圧 W1,W2…脈波

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  生体を縛帯によって圧迫することによ
    り発生するコロトコフ音を、縛帯圧を変化させながら検
    出する音波検出部と、前記音波検出部によって検出され
    たコロトコフ音の波形を、検出時の圧力値に対応させて
    記憶する波形記憶部と、前記波形記憶部に記憶された波
    形を、心収縮期圧SPから心拡張期圧DPに至るまでの
    圧力軸上に配し、各波形のピーク位置を結ぶことにより
    診断用包絡線を作成し、これを出力する包絡線作成部と
    、を備えることを特徴とする血行動態解析装置。
  2. 【請求項2】  請求項1に記載の装置において、各波
    形の最大ピーク位置を結ぶことにより得られる診断用第
    1包絡線と、各波形の二番目に大きいピーク位置を結ぶ
    ことにより得られる診断用第2包絡線と、各波形のノイ
    ズレベル以上の最小ピーク位置を結ぶことにより得られ
    る診断用第3包絡線と、の3種類の診断用包絡線を作成
    し、これを出力するようにしたことを特徴とする血行動
    態解析装置。
  3. 【請求項3】  請求項1または2に記載の装置におい
    て、心収縮期圧SPから心拡張期圧DPに至るまでの圧
    力軸を複数の区間に分割し、この各区間に生体の各部位
    を対応づけ、この各区間ごとに診断用包絡線を所定の基
    準包絡線と比較し、両者の隔たりが所定の限度以上であ
    る区間については、その区間に対応づけられた生体の部
    位を血流障害部位として表示する血流障害部位表示部を
    更に設けたことを特徴とする血行動態解析装置。
  4. 【請求項4】  請求項1〜3のいずれかに記載の装置
    において、生体の右上腕に縛帯を装着したときに得られ
    るコロトコフ音波形に基づく診断用右包絡線と、生体の
    左上腕に縛帯を装着したときに得られるコロトコフ音波
    形に基づく診断用左包絡線と、をそれぞれ別個に処理す
    ることができるようにしたことを特徴とする血行動態解
    析装置。
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