JPH0423609Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、スライドフアスナー用のジグザグ
状エレメント又はコイル状エレメントを形成する
場合に、その素材になる合成樹脂製のモノフイラ
メント等の線材をフアスナーエレメント成形機に
連続供給するための装置に関する。

（従来の技術） 一般に、此の種の線材供給装置では、フアスナ
ーエレメント成形機に曲りや捩れのない線材とな
るモノフイラメントを円滑に供給し、品質の良い
寸法の一定したフアスナーエレメントを得るた
め、成形機内部に引込まれる前のモノフイラメン
トを張架誘導する経路に於いて、特定のガイドロ
ールまたはフイードロールとガイドロール間のモ
ノフイラメントに「たるみ」を持たせ、このたる
み部分に重錘付きのテンシヨンローラーを垂下
し、重錘の重さを調節するなどの手段でエレメン
ト成形機内に導入されるモノフイラメントに一定
のテンシヨンを付与していることが多い。

（考案が解決しようとする問題点） けれども、前記のようなテンシヨンロールを有
する供給装置を使用してエレメント成形機にモノ
フイラメントを連続的に供給した場合、例えば特
開昭61−228805号公報に記載のジグザグ状エレメ
ント成形機に於いては、外周面に環状凹溝とその
両側に２列のピンを等間隔に列設した型面をもつ
ダイホイールを用い、このダイホイールの外周面
に突設されたピンにモノフイラメントを引掛けて
蛇行状に曲折させる動作で第１段階の基本成形を
行なつているため、供給時のモノフイラメントに
テンシヨンが付与されていると、ピンにモノフイ
ラメントが適正に引掛からなくなつたり、引掛け
たモノフイラメントがピンから外れてしまう不具
合がしばしば発生し、品質の一定した精度の高い
フアスナーエレメントが得れなくなる欠点があ
る。

また、もう一つの問題点として、エレメント成
形機の運転を開始する前に、供給装置の各ロール
を経てエレメント成形機のダイホイールにセツト
したモノフイラメントにテンシヨンがかけられて
いると、成形機のスタート時に於いてモノフイラ
メントに異常テンシヨンが作用し、モノフイラメ
ントが切れると云う難点があつた。

本考案は、前記のような問題に対処するため
に、案出されたものであつて、その目的は、フア
スナーエレメント成形機に供給したモノフイラメ
ントが成形中に不正な動きをして加工作動部から
逸脱したり噛合ピツチが狂つたりせず、機械のス
タート時にモノフイラメントに異常テンシヨンが
発生する恐れもなく、常に安定した正確な供給動
作を行ない得る線材供給装置を提供することにあ
る。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本考案の装置で
は、モノフイラメントにテンシヨンを付与してエ
レメント成形機に供給する従来の考え方を根本的
に改め、その供給経路に作用位置をずらせて二つ
のフイードロールを設置し、モノフイラメントに
テンシヨンをかけない状態でエレメント成形機に
供給する手段により前記の問題点を解決したもの
であつて、具体的には、速度制御モーターの出力
軸に固着したフイードロールと平行にアイドラー
を軸支し、このアイドラーのボス部外周にワンウ
エイクラツチを介してサブフイードロールを嵌設
すると共に、前記両ロール間にダンサロールをガ
イドロツドに沿つて昇降自在に支持し、且つ、前
記ダンサロールの移動量を検出して前記速度制御
モーターの回転速度をフイードバツク制御する検
出部を備えたことを特徴とする。

（実施例） 以下、本考案による線材供給装置の構造及びそ
の使用動作を実施例の図面について具体的に説明
すると、図面中符号１はフレーム２の上部に設置
した速度制御モーター、３は前記速度制御モータ
ー１の出力軸４に固着したフイードロールで、こ
のフイードロール３の左右には、モーター１の出
力軸４と平行に支軸５，６が列設され、このう
ち、一方（右側）の支軸６には、スプリング７で
フイードロール３の外周面に押圧されたプレスロ
ール８が嵌着してあり、フイードロール３とプレ
スロール８は、両ロール３，８の後部に設けた一
対の噛合平歯車９，１０を介して相互に連動し、
矢印図示の如く互に逆方向に回転しながら、両ロ
ール３，８間に供給されるモノフイラメントＦを
上方から下方に向かつて強制的に送り出す。

また、他方（左側）の支軸５の軸周面には、ニ
ードルベアリング１１を介してアイドラー１２が
回転可能に嵌着され、このアイドラー１２のボス
部１３外周には、ワンウエイクラツチ１４を介し
てアイドラー１２から矢印図示の方向にだけ回転
力が伝達されるサブフイードロール１５を嵌挿
し、前記のアイドラー１２とサブフイードロール
１５は支軸５基部のフランジ１６と先端部のカラ
ー１７とによつて軸方向に移動しないように拘束
されている。

次に、図面中の符号１８は前記フイードロール
３の下方に設けたダンサロールで、このダンサロ
ール１７は、フレーム２前面に列設した２本のガ
イドロツド１９，１９に嵌合して縦方向に滑動す
るスライダー２０に軸２１で回転可能に軸支さ
れ、後記するように、上部にあるフイードロール
３とサブフイードロール１５との間に張架された
モノフイラメントＦの送り速度の差に応じて上下
方向に移動する。

また、符号２２は前記速度制御モーター１の回
転速度をフイードバツク制御するための信号を検
出して出力する検出部であつて、ダンサロール１
８を支持するスライダー２０の昇降路に沿つて、
その裏側の空間に無端のワイヤー２３を上下に対
向するプーリー２４，２５に跨つて張架し、前記
ワイヤー２３の要所にダンサロール１８のスライ
ダー２０を結合してあり、上部プーリー２４がポ
テンシヨメーター２６の入力軸に連結され、ダン
サロール１８が下方に向かつて移動した時には、
図面の場合、上部プーリー２４が時計回り（右回
り）に回動してモーター１に回転速度を遅くする
指令を送り、逆にダンサロール１８が上方に向か
つて移動した時には、上部プーリー２４が反時計
回り（左回り）に回動してモーター１に回転速度
を速くする指令を送るように構成されている。

なお、図面中符号２７，２８はダンサロール１
８の移動を一定の範囲内に規制して供給装置Ｍの
駆動を停止するためのリミツトスイツチで、フレ
ーム２の要所に上下に対向して設置固定され、ダ
ンサロール１８を支持するスライダー２０の移動
範囲の上限を定めるリミツトスイツチ２７は、エ
レメント成形機Ｅ内でのモノフイラメントＦの詰
まりや絡まりが生じた時、モノフイラメントの供
給を停止し、下限を定めるリミツトスイツチ２８
は、モノフイラメント切れを検知する役割を果た
すようになつている。

本考案の供給装置は上記構造を有するので、こ
れを使用するには、第４図図示のようにボビン２
８から引き出したモノフイラメントＦを先ず第１
図図示の如くアイドラー１２の左側の凹溝３０に
１巻きし、フイードロール３の周面にたすき掛け
した後、再度アイドラー１２の右側の凹溝３１に
巻回し、更にもう一度たすき掛けにしてフイード
ロール３の周面を迂回させ、プレスロール８との
間を通つて下方に引き出し、第５図図示の如くダ
ンサロール１８の周面に巻回して上方に反転さ
せ、その後、サブフイードロール１５の凹溝３１
に１回巻着し、これをエレメント成形機Ｅの成形
作動部に供給すれば、フアスナーエレメント成形
時に於いて、前記の供給装置Ｍから送り出される
モノフイラメントＦの供給速度がエレメント成形
機Ｅに引き込まれる速度よりも速い場合には、ダ
ンサロール１８とフイードロール３，１５との間
に張架されたモノフイラメントＦに弛みが生じ、
ダンサロール１８が下降するので、検出部２２の
ポテンシヨメーター２６が右回りに回動して速度
制御モーター１の回転速度を遅くし、供給装置Ｍ
から送り出されるモノフイラメントＦの供給速度
がエレメント成形機Ｅに引き込まれる速度よりも
遅い場合には、逆にダンサロール１８が左回りに
回動して速度制御モーター１の回転速度を速くし
て、モノフイラメントＦの供給速度がエレメント
成形機Ｅの成形作動部に同調させる。

前記の速度制御自体は今迄の供給装置と変りは
ないが、従来の場合、モノフイラメントＦは、ダ
ンサロール１８から直接エレメント成形機Ｅに供
給されているため、モノフイラメントＦには、ダ
ンサロール１８の重量に相当するテンシヨンが作
用することになる。これに対して、本考案の供給
装置Ｍでは、モノフイラメントＦをフイードロー
ル３とアイドラー１２との間にたすき掛けにし
て、フイードロール３の回転力をアイドラー１２
に伝達し、このアイドラー１２と共にサブフイー
ドロール１５を回転させ、ダンサロール１８の周
面で反転したモノフイラメントＦをサブフイード
ロール１５の周面に１巻きしてからエレメント成
形機Ｅに供給するように構成されているので、最
初のフイードロール３で強制送りされたモノフイ
ラメントＦは、更にもう一度サブフイードロール
１５の回転により強制送りされるため、中間部の
モノフイラメントＦに作用するダンサロール１８
の重量分に相当するテンシヨンが打ち消され、エ
レメント成形機の成形作動部には、テンシヨンの
かからないノーテンシヨンの安定した状態でモノ
フイラメントＦが常時適正に供給される。

また、本考案の場合、サブフイードロール１５
は、フイードロール３にモノフイラメントＦの巻
回動作によつて連動するアイドラー１２のボス部
１３にワンウエイクラツチ１４を介して嵌着され
ているため、エレメント成形機Ｅのスタート時に
は、サブフイードロール１５が先に回転し、その
後、フイードロール３側からアイドラー１２に回
転が伝達され、アイドラー１２とサブフイードロ
ール１５とが共動する時点で正規の送り運動が開
始されるので、従来のようにエレメント成形機の
始動時に於いてモノフイラメントに異常テンシヨ
ンが作用する恐れがない。

なお、本考案の供給装置に於いて、フイードロ
ール３とアイドラー１２との間に巻回されるモノ
フイラメントＦの巻数や巻回経路は、必ずしも本
実施例のように２回巻きしたり、たすき掛けにす
る必要はなく、目的に応じた回転方向とスムーズ
な動力伝達が得られるならば、他の方法で実施し
てもよい。また、検出部２２の構造についても、
検出器にポテンシヨメーターを使用せずに、近接
スイツチや光電素子等のセンサーを利用すること
もできる。

（考案の効果） 以上のように、本考案の供給装置をスライドフ
アスナー用のジグザグ状エレメント又はコイル状
エレメントを成形する機械に適用すれば、フアス
ナーエレメント成形機に供給したモノフイラメン
トが成形中に型面のピンから外れるなど不正な動
きして加工作動部より逸脱したり、噛合ピツチが
狂つたりせず、機械の始動部に於いてモノフイラ
メントに異常テンシヨンが発生する恐れもなく、
常に安定した正確な供給動作も行ない、高品質の
フアスナーエレメントを連続的に生産し得る利点
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による線材供給装置の構造を示
す要部の斜視図、第２図は装置全体の側面図、第
３図はアイドラーとサブフイードロールとの関係
を示す縦断面図、第４図はエレメント成形機に対
するモノフイラメントの供給形態の一例を示す正
面図、第５図は使用時に於けるモノフイラメント
の巻回経路を示す斜視図である。 １……速度制御モーター、３……フイードロー
ル、４……出力軸、１２……アイドラー、１３…
…ボス部、１４……ワンウエイクラツチ、Ｍ……
供給装置、Ｆ……モノフイラメント、１５……サ
ブフイードロール、１８……ダンサロール、１９
……ガイドロツド、２２……検出部、Ｅ……エレ
メント成形機。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 速度制御モーター１の出力軸４に固着したフイ
   ードロール３と平行にアイドラー１２を軸支し、
   このアイドラー１２のボス部１３外周にワンウエ
   イクラツチ１４を介してサブフイードロール１５
   を嵌設すると共に、前記の両フイードロール３，
   １５間にダンサロール１８をガイドロツド１９，
   １９に沿つて昇降自在に支持し、且つ、前記ダン
   サロール１８の移動量を検出して前記速度制御モ
   ーター１の回転速度をフイードバツク制御する検
   出部２２を備えたことを特徴とする線材供給装
   置。