JPH04235600A - 適応型フィルタを用いた雑音除去装置 - Google Patents

適応型フィルタを用いた雑音除去装置

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JPH04235600A
JPH04235600A JP3002255A JP225591A JPH04235600A JP H04235600 A JPH04235600 A JP H04235600A JP 3002255 A JP3002255 A JP 3002255A JP 225591 A JP225591 A JP 225591A JP H04235600 A JPH04235600 A JP H04235600A
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JP
Japan
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signal
sound
noise
adaptive filter
audio
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Application number
JP3002255A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuo Hagimoto
萩本 信男
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Faurecia Clarion Electronics Co Ltd
Original Assignee
Clarion Co Ltd
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Publication date
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音声認識装置やオート
ボリュームコントロールシステムの騒音モニタに使用す
る適応型フィルタを用いた雑音除去装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】1.音声認識装置と雑音除去装置の説明
近年、音声認識技術の発展に伴い、音声認識装置を用い
て各種の機器をコントロールする音声制御システムが提
案されている。例えば、自動車内では運転中にカーステ
レオなどの車載用オーディオ機器、ラジオなどを手動操
作するのは安全性の上で好ましくなく、音声認識装置を
用いてこれらの機器を音声にて制御することができれば
、手を使わないで(ハンズフリー)、目を離すことなく
(アイズフリー)、安全な運転操作を行うことができる
からである。また、カラオケ装置などにおいては、曲目
の自動検索システムとして、曲を次々と歌う場合などに
、歌った曲のエンディング中に次の歌の検索を、その曲
目に対応させて登録させてあった音声キーワードを音声
認識することで行うシステムが提案されている。
【0003】ところで、このような音声制御システムに
使用される音声認識装置は、その周囲に雑音(車両の走
行ノイズ、ファンの回転音、第三者の声、ラジオやカー
オーディオの音など)があると、その音声認識性能が大
きく低下するという欠点があった。
【0004】しかし、最近の音声認識装置の耐騒音性能
向上のための研究により、ある限られた騒音環境(窓を
閉める、ラジオやカーオーディオを切る)における定常
的な走行ノイズに対しては、実用レベルの認識性能が得
られるようになってきた。
【0005】例えば、適応型フィルタを使用した雑音除
去システムもその一例である。適応型フィルタを用いた
雑音除去は多くの研究がなされており、文献「Adap
tive Noise Cancelling:Pri
nciple and Applications」P
ROCEDDINGS OF THE IEEE,VO
L.63,NO.12,DECEMBER 1975に
示すものなどが代表的なものの一つである。
【0006】2.適応型フィルタとそのシステム同定の
説明まず、適応型フィルタの作用を理解するために、適
応信号処理の基礎となるシステム同定の概要を図3によ
り説明する。
【0007】図3に示す未知システムH(z) の入力
信号Xn と出力信号Yn を知って、未知システムの
構造を知ることをシステム同定という。未知システムが
線形である場合、システム同定のもっとも直接的な方法
としては、システムのインパルス応答をhl(l=0,
1,・・・,M) としたとき、システムの入出力関係
を、畳み込み和で表すことである。即ち、次式において
、適当なl までhについて解いて、これをインパルス
応答とするシステムを考えれば良い。
【0008】
【数1】
【0009】ところで、観測途中の未知システムH(z
) に何らかの変動があった場合は、結果に誤りが生じ
るため、対象の変化に追従して常に結果を変更していく
ことが必要であり、このような機能を有する系を適応的
であるという。適応的なシステム同定を行うには、未知
システムH(z) と同一の入力Xn を受けながら同
時運転して出力を出すモデルシステムH^(z) が必
要となる。また、モデルシステムH^(z) の出力Y
^n と未知システムH(z) の出力Yn を比べて
、両者の差en がゼロに近づくようにモデルシステム
H^(z) を修正する修正機構11が必要である。こ
のように修正機構11を有するシステムを適応的なシス
テムあるいは適応型フィルタと呼び、古くから研究され
ている。この適応型フィルタにおいて、モデルシステム
H^(z) の入出力関係は、次の式で表される。
【0010】
【数2】
【0011】ここで、(2)式は、一般の線形システム
であるからインパルス応答は無限の長さになるのに対し
て、モデルシステムH^(z) はFIRフィルタを仮
定しているのでインパルス応答はM までの有限長であ
る。このとき問題となるのは、未知システムH(z) 
とモデルシステムH^(z) の出力誤差en を最小
にすることである。ここで、出力誤差enを2乗平均基
準で考えると、次の式の通りとなる。
【0012】
【数3】
【0013】ここで、E[]は期待値であるので、これ
を最小とするパラメータhl ^(l=0,1, ・・
・,M) を求めることでシステム同定を行ったことに
なる。(3)式は、hl ^に関する2次式であるので
、en をhl に関して偏微分をゼロとすることで求
められる。これにより与えられる方程式を解くと、「出
力の2乗平均誤差を最小にすると、モデルシステムH^
(z) のインパルス応答hn は、n <=M の範
囲で未知システムH(z) のインパルス応答hn ^
と等しくなる。」という結果が得られることが判ってい
る。
【0014】即ち、時間ステップn が進むたびに、h
l ^を修正しつつ最終的に(3)式を満足するhl 
^に収束させることが適応システム同定の目的である。 そこで、時刻t=n のみに注目して、このステップで
の2乗平均誤差en =(Yn −Yn ^)2 を小
さくすることを考える。この場合、モデルシステムH^
(z) のインパルス応答は、ステップごとに変更され
るから、n の関数となり、hl ^(n) と表すこ
とにする。ステップn での出力の2乗誤差のhl ^
(n) に関する偏微分値は、hl ^に関してen 
の2乗値が大きくなる方向を表すから、それと逆方向に
hl ^(n) を修正すれば、次のステップでの2乗
誤差は小さくなることが予想される。このような修正ア
ルゴリズムを勾配推定法と呼ぶ。これを式で表すと、次
の通りである。
【0015】
【数4】
【0016】ここで、αは修正の正係数で小刻みに修正
を行うためにhl ^に比べて小さな値とする。Xn−
1 は、1番目の遅延素子の出力で、それに出力誤差と
2αを乗した値がモデルシステムH^(z) のパラメ
ータ修正量となる。
【0017】以上のことから、期待値をとらなくても、
モデルシステムH^(z) を並行運転し、出力誤差を
ゼロに近づけるようにモデルのパラメータを(4)式に
よって随時修正することにより、未知システムH(z)
 と等価なシステムができあがることが判る。また、こ
の適応システムは、修正作業を継続しているから、未知
システムH(z) に何らかの変化が生じてもモデルシ
ステムH^(z) は追従することができる。
【0018】3.適応型フィルタを使用した雑音除去装
置の説明 次に、このような適応フィルタによるシステム同定を、
車載用音声認識装置の雑音除去装置15に具体的に適用
した従来技術を、図4によって説明する。
【0019】図4において、1は音声認識を実施する話
者、5は騒音発生要因を示すブロックで、これは、騒音
源2、カーステレオやラジオなどの音響装置を意味する
音響再生源3、及び音響再生源3からの音響信号を音と
して出力するスピーカなどの音出力手段4から構成され
る。
【0020】さて、雑音除去装置において、マイクを有
する第1の観測手段6のみが設けられ、ここに前記話者
1からの音声信号Sn が入力されると共に、前記騒音
発生要因5からの雑音信号Nn が入力されるとすると
(図4において観測手段が1個の場合を想定する)、そ
の観測値Xn と音声信号Sn 及び雑音信号Nn の
関係は、観測値Xn =音声信号Sn+雑音信号Nn 
・・・(5)となる。
【0021】ここで、雑音を対象信号から分離する一つ
の方法として、「二つの音源が空間的に同一の場所にあ
る場合、音声信号Sn と雑音信号Nn のスペクトル
の相違に着目して周波数領域でのフィルタリングにより
分離できる場合がある。」ことを利用することにより、
観測値Xn から雑音信号Nn を分離して、真の音声
信号Sn を得ることができる。しかし、音声信号Sn
 と車室内騒音(音楽、第三者の人の声などを含む)で
ある雑音信号Nn とは、周波数領域ではその信号成分
がオーバーラップする領域が大きく、単純なフィルタリ
ングでは雑音を除去すると、同時に音声信号をも欠落し
てしまうという欠点がある。
【0022】別の方法として、音声信号Sn と雑音信
号Nn が別々に観測できれば、前記(5)式で音声信
号Sn を雑音信号Nn から分離することができるが
、雑音信号Nn そのものを独立に観測することは不可
能である。 しかし、適応型フィルタを用いると、雑音信号Nn に
相関のある騒音Nn ’が観測できれば、前記音声信号
Sn と雑音信号Nn との分離が可能である場合があ
る。それは、「二つの音源が異なった位置にある場合は
、スペクトルに差がなくても雑音から信号を取り出すこ
とが可能である。」ということである。即ち、図4にお
いて、前記第1の観測手段6に加えて、マイクを有する
第2の観測手段7を雑音源になるべく近いところに設け
て、この第2の観測手段7に入力された騒音発生要因5
からの雑音信号Nn ’を第1の観測手段6の観測値X
n を用いて適応型フィルタによる適応処理を行うこと
で、音声信号Sn を得ることができる。
【0023】ただし、このとき第2の観測手段7での雑
音信号Nn ’は、第1の観測手段6での観測信号Xn
 に含まれる雑音信号Nn とは異なっており、(5)
式がそのまま使えるわけではない。騒音発生要因5から
の信号Nn ’は、第1の観測手段6と騒音発生要因5
との間の経路特性H(Z) によって変形を受けて雑音
信号Nn として、第1の観測手段6において観測され
るからである。 従って、この変形を生じさせる経路特性を未知システム
H(z) として、システム同定を行えば、モデルシス
テムH^(z) の出力Nn ^を雑音信号Nn の推
定値とすることができ、(5)式によって真の音声信号
Sn の推定が可能となる。
【0024】即ち、図4に示すように、騒音源からの騒
音信号Nn ’は、経路特性H(z) の変形を受けて
騒音信号Nn として第1の観測手段6に入力され、第
1の観測手段6から雑音信号Nn と音声信号Sn と
の和である観測値Xn として出力される。
【0025】一方、第2の観測手段7の第2の出力であ
る雑音信号Nn ’は、適応型フィルタ8のモデルシス
テムH^(z) によって変形され、雑音信号Nn ^
として出力される。この第1の観測手段6からの出力で
ある観測値Xn と、第2の観測手段7からの出力であ
る雑音信号Nn ^とは、信号加算部10において加算
され、前記(5)の式から真の音声信号Sn の推定値
Sn ^が得られる。同時に、信号加算部10の出力か
ら、前記図3に示した適応型フィルタの手法により、未
知システムH(z) 側の出力(雑音信号Nn )とモ
デルシステムH^(z) 側の出力(雑音信号Nn ^
)との差en がゼロとなるように修正機構11により
モデルシステムH^(z) の出力の修正が各時間ステ
ップごとに行われ、アルゴリズムが収束することで雑音
信号Nn の推定、言い替えれば真の値に近い音声信号
Sn が得られる。
【0026】しかし、上記の仮定のように第2の観測手
段により観測される騒音源からの騒音Nn ’と同じで
あるようにするのは難しく、相関のある騒音を観測でき
ないことから、真の値の推定が困難である。このことが
、適応型フィルタを雑音除去に用いるときの技術的な課
題となっており、多くの研究がなされている。
【0027】4.従来の雑音除去装置の設置例次に、上
記のような適応型フィルタを使用した雑音除去装置の設
置例を図5に示す。
【0028】図5において、自動車の車体20内に設け
られた座席21には、話者1が腰掛けており、第1の観
測手段6であるマイクは、話者1の声を入力できるよう
にその前方、例えばサンバイザなどに取り付けられる。 この第1の観測手段6には、図4で説明した話者1から
の音声信号Sn と、走行騒音などの騒音源2、及び音
響再生源3によりスピーカなどの音出力手段4から出力
される音響再生音から成る雑音信号Nn とが、観測値
Xn として入力される。一方、第2の観測手段7であ
る第2のマイクは、話者1の声がなるべく収音されない
で、しかも第1の観測手段6で収音される観測値Xn 
に含まれる雑音信号Nn と相関のある雑音信号Nn 
’が収音できる位置、例えば、話者1の腰掛けている座
席の、話者1の後頭部位置に設けられる。
【0029】このような従来の雑音除去装置では、第1
の観測手段6で得られた観測値Xn と、第2の観測手
段7とにより得られた雑音信号Nn ’とを、前記適応
型フィルタの手法を使用して比較することにより、雑音
が除去された真の音声信号Sn を得ることができ、そ
の音声信号Sn を音声認識することで、種々の操作を
行うことができる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図5に示す
ような従来の雑音除去装置を現実に各種の音声認識装置
に使用した場合には、次のような問題点があった。
【0031】まず、各種の音声認識装置に共通の問題点
としては、次の2点があった。
【0032】(1)二つの観測点を必要とするために、
第1の観測手段と第2の観測手段とを別々に設ける必要
があり、そのためのマイクなどの機器が増加する。
【0033】(2)第2の観測点をなるべく雑音源に近
いところに設置する必要があるが、現実には雑音源の位
置を特定することが困難なことが少なくない。また、雑
音の到来方向を事前に知ることができない。更に、複数
の雑音源が存在すると、マイクの設置位置を決めるのが
むずかしい。このような理由から、第2の観測手段で観
測するモデルシステムH^(z) のピックアップが困
難で、未知システムH(z) の同定を高精度に行うこ
とが難しい。
【0034】また、図5のような二つの観測点を有する
雑音除去装置を、具体的な音声認識装置に使用した場合
にも、次のような問題点があった。
【0035】(a)車載用の音声認識装置前記従来技術
でも説明したように、車載用の各機器を音声認識装置で
コントロールすることは、安全な運転操作に大いに寄与
するものである。ところが、カーオーディオやラジオな
どの出力により、バックグランドに音楽などが存在する
と、認識性能が低下することは避けられない。これらの
点に付いては、文献名:日本音響学会講演論文集(平成
2年9月発行)表  題:2入力により騒音下の単語音
声認識方式発表者:株式会社リコーに示されるように、
バックに音楽がある場合(70%)とない場合(90%
)とでは、音声認識率に20%の差がみられることが報
告されている。特に、車室内での音声認識装置の認識性
能への影響度は、いくつかの雑音要因のうち、カーオー
ディオなどの音響信号(音楽)が支配的であるので、こ
の音楽などの音響信号の適切な処理が、音声認識装置の
認識性能向上のキーポイントとなる。従って、このよう
にバックに音楽がある場合には、音声認識をするための
発声時において、発声のタイミングをスイッチなどでユ
ーザーがシステムに伝えて、システム側で音響機器の出
力音をミュートしたり、音利用が小さくなるようにコン
トロールするなどの特別の処理が必要であった。
【0036】しかし、これらの処理は、ユーザーからみ
れば不自然なものであり、使い勝手の悪いものであった
。特に、音声認識装置をの正確を期すためにわざわざ手
動でミュートなどのコントロールを行うとしたら、音声
認識装置の採用によるハンドフリーなどの意味がまった
く失われてしまい、安全運転への寄与も期待できないこ
とになるものであった。また、カーオーディオやラジオ
などの車載用音響機器を直接に音声制御する場合では、
音声制御自体が意味のないものになる。
【0037】このような問題点は、図5のような従来の
適応型フィルタを使用した雑音除去装置においても同様
に現れるものであった。即ち、図5に示す第2の観測手
段によって、雑音となる音響信号のみを独立に観測する
ことはきわめて困難であり、第1の観測手段のマイクに
よって収音された観測値Xn から、カーオーディオか
らの音響信号を雑音として確実に除去することができな
かった。
【0038】(b)カラオケ装置において、曲目の自動
検索を音声制御で行う場合にも、ユーザーが制御用の音
声信号を発声した際に、バックに音響信号である曲が流
れていると、前記(a)で述べた場合と同様な問題点が
あり、音声認識の性能向上が困難であった。
【0039】(c)最近、車載用の音響機器において、
オートボリュームコントロール装置を組み込んだものが
提案されている。この装置は、車室内の騒音レベルに応
じてカーオーディオなどの音量レベルを適応的に変化さ
せるものである。即ち、騒音レベルが大きくなればボリ
ュームを大きくし、騒音レベルが小さくなればボリュー
ムを大きくするように、音響機器をコントロールするも
のである。このオートボリュームコントロール装置では
、ボリュームをコントロールする目安として、騒音レベ
ルをモニタしているが、この時観測される信号は、測定
しようとする騒音に加えて、カーオーディオなどの音響
信号が重畳した形である。従って、正確に騒音(雑音)
レベルを検出する時にも、カーオーディオなどによる音
響信号を周囲の雑音から分離する必要がある。しかし、
図5の装置では、前記のように音響信号のみを独立して
取り出すことは不可能であった。
【0040】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたもので、その目的は、カー
オーディオなどの音響機器に起因するバックグランドノ
イズの影響を受けることなく、正確に音声信号を収音す
ることのできる雑音除去装置を提供することにある。
【0041】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、音声発生源からの音声と周囲の騒音を
音情報としてを取り込み、その音情報を所定の音声信号
に変換し、該信号に含まれた音出力手段からの再生音声
分のみを雑音として除去する適応型フィルタを用いた雑
音除去装置において、次のような各手段の組み合わせを
採用した。
【0042】(1)音響再生源から音響信号を適応型フ
ィルタに出力すると共に、該音響信号を  音出力手段
に対して再生音として出力する音出力分配手段。
【0043】(2)前記音声発生源からの音声を取り込
み音声信号に変換すると共に、雑音発生源からの雑音及
び前記再生音を取り込んで騒音信号に変換し、該両信号
を合成して合成信号を出力する観測手段。
【0044】(3)前記合成信号を入力すると共に前記
出力分配手段からの音響信号を入力し、該合成信号に含
まれた再生音成分を前記出力分配手段からの信号に基づ
いて演算処理により推定し、該合成信号から再生音成分
のみを除去した音声信号を演算算出する適応型フィルタ
【0045】
【作用】上記のような構成を有する本発明の作用は、次
の通りである。
【0046】まず、音響再生源の動作時において、カー
オーディオなどの音響再生源から出力された音楽などの
音響信号は、音出力分配手段によってスピーカなどから
再生音として出力される。そのため、観測手段において
は、音声発生源からの音声認識用の音声と同時に、前記
スピーカなどから出力された音楽などの再生音が取り込
まれる。また、車両の走行音その他の雑音も、同時に取
り込まれる。そして、この観測手段においては、音声信
号に変換された音声と、騒音信号に変換された再生音及
びその他の雑音の両者が合成されて、その合成信号が適
応型フィルタに出力される。
【0047】適応型フィルタには、この合成信号と、前
記音出力分配手段からスピーカに出力されたものと同一
の音響信号とが入力される。この適応型フィルタにおい
ては、前記合成信号中の雑音を未知システムH(z) 
とし、音出力分配手段からの音響信号をモデルシステム
H^(z) として、合成信号中の再生音成分が推定さ
れる。 そして、この再生音成分を前記合成信号から除去するこ
とにより、観測手段に取り込まれた各種の音情報の中か
ら、音響再生源からの再生音成分のみを除去した音声信
号を得ることができる。
【0048】従って、本発明においては、従来第2の観
測手段で取り込んでいたモデルシステムH^(z) 用
の信号として、外乱のない正確に観察された信号に相当
する音響用再生源からの生の音響信号を使用することが
でき、未知システムH(z) である再生音成分の推定
を高精度で行うことができる。また、音響再生源からの
音響信号を、モデルシステムH^(z) 用の信号とし
て使用することで、第2の観測手段が不要となり、装置
の単純化も可能となる。
【0049】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1及び図2によ
って、具体的に説明する。なお、前記従来技術と同一の
部分については、同一の符号を付けて、説明は省略する
【0050】本実施例において、音声認識装置の入力手
段となる観測手段60は、従来技術と同様に、音声発生
源である話者1の発声した音声を取り込んで音声信号S
n に変換するものである。一方、騒音発声要因50は
、車両のエンジン音や走行騒音などの一般的な騒音源2
と、カーオーディオやラジオなどの音響再生源3に接続
されたスピーカなどの音出力手段4から構成されている
。そして、前記騒音源2からは雑音信号n1 ’が、ま
た音出力手段4からは音楽などの再生音n2 ’が出力
される。
【0051】これらの雑音信号n1 ’と再生音n2 
’とは、騒音発生要因50と観測手段60との間の経路
特性である未知システムH(z) によって変形され、
それぞれ雑音信号n1 及び再生音成分n2 として、
前記観測手段60に取り込まれる。この観測手段60は
、その後段に配置された適応型フィルタ80に接続され
ており、適応型フィルタ80に対して、音声信号Sn 
、雑音信号n1 及び再生音成分n2 の合成信号Xn
 が出力される。  一方、前記音響再生源3には、前
記音出力手段4に対する音響信号を出力すると同時に、
適応型フィルタ80に対しても再生音n2 ’と同じ音
響信号n2 ’を出力する音出力分配手段31が設けら
れている。
【0052】適応型フィルタ80は、前記音出力分配手
段31からの音響信号n2 ’をモデルシステムH^(
z) とし、前記音出力手段4から出力された再生音n
2 ’から変化した合成信号Xn 中の再生音成分n2
 を未知システムH(z) として、再生音成分n2 
の推定値n2 ^’を演算するものである。また、この
適応型フィルタ80は、演算された再生音成分n2 の
推定値n2 ^’を合成信号Xn から除去して、音声
信号Sn (騒音源2の雑音信号n1 を含む)を演算
するものである。
【0053】図2は、このような構成を有する本実施例
の装置の設置例を示すもので、従来技術の図5に相当す
るものである。本実施例においては、従来技術のような
第2の観測手段が設けられておらず、適応型フィルタに
は、第2の観測手段からの入力に代えて、音響再生源の
音出力分配手段31からの音響信号n2’が入力される
ようになっている。
【0054】次に、上記のような構成を有する本実施例
の作用を説明する。
【0055】まず、話者1が発声した音声、及び騒音発
声要因5からの雑音信号n1 ’と音楽などの再生音n
2 ’は、観測手段60に取り込まれる。この時、観測
手段60においては、前記音声は音声信号Sn として
観測される。また、雑音信号n1 ’と再生音n2 ’
は、騒音発声要因5と観測手段60との間の経路特性で
ある未知システムH(z) によって変形され、それぞ
れ雑音信号n1 及び再生音成分n2 として、観測さ
れる。その結果、この観測手段60から適応型フィルタ
80に入力される合成信号Xn は、合成信号Xn =
音声信号Sn +雑音信号n1 +再生音成分n2 ・
・・(a)となる。
【0056】一方、適応型フィルタ80には、音出力分
配手段31からの音響信号n2 ’が入力されるので、
この音響信号n2 ’をモデルシステムH^(z) と
して、前記(a)式中の再生音成分n2 を推定する。 即ち、合成信号Xn 中の再生音成分n2 が音響信号
n2 ’と同一であれば、音声信号Sn の特定は単に
音響信号n2 ’を合成信号から除すれば良い。しかし
、観測手段60で観測された再生音成分は、音出力分配
手段31から観測手段60にいたる間に存在する配線、
アンプ、スピーカ、マイクなどの特性によって変化し、
音出力分配手段31から出力された音響信号n2 ’と
異なったものになっている。そこで、本実施例では、適
応型フィルタ80において、前記特性の変化を未知シス
テムH(z) として、再生音成分n2 を推定する。
【0057】この推定は、適応型フィルタ80において
、モデルシステムH^(z) のパラメータhl ^(
n)(l=0,1,・・・,M)を、未知システムH(
z) のパラメータhl (n) に近づけるように修
正することで行われる。このモデルシステムH^(z)
 のパラメータhl ^(n) の修正は、従来技術で
説明した通り、適応型フィルタ80内の修正機構11に
おいて、     hl ^(n+1) =hl ^(n) +2
α・en ・Xn−1 (修正項)  ・・・(4)(
4)式を用い、各時間ステップごとに行われる。
【0058】ここで、修正機構11は、時刻n でのモ
デルシステムH^(z) のパラメータhl (n) 
を修正項2α・en ・Xn−1 を用いて修正して、
次の時刻n+1 におけるモデルシステムH^(z) 
のパラメータhl ^(n+1) を計算する。修正項
に含まれるen は、前記(2)式で計算されるモデル
システムH^(z)の出力Y^n と観測信号Yn と
の差であり、適応型フィルタの信号加算部10において
Yn −Y^n のように計算される。また、αは、ス
テップゲインと呼ばれ、修正をどの程度小刻みに行うか
を決めるもので、パラメータhl ^(n) に比較し
て小さく設定されている。上記の計算を各時刻ごとに行
うことで、未知システムH(z) のパラメータhl 
(n) にモデルシステムH^(z) のパラメータh
l ^(n) は近づいていく。そして、モデルシステ
ムH^(z) のパラメータhl ^(n) が一定値
の回りを変動する平衡状態になったとき、モデルシステ
ムH^(z) の適応処理は収束し、未知システムH(
z) の同定がなされる。
【0059】即ち、このような適応型フィルタ80の作
用により、本実施例においては、適応型フィルタ80に
入力された音響信号n2 ’をもとにして、モデルシス
テムH^(z) から推定音響信号n2 ^が出力され
る。そして、適応型フィルタ80の信号加算部10にお
いて、観測手段60からの合成信号Xn とこの推定音
響信号n2 ^とから、 なる演算処理がなされる。ここで、前述の適応型フィル
タの作用の通り、モデルシステムH^(z) のパラメ
ータhl ^(n) が未知システムH(z) のパラ
メータhl (n) に収束しているとき、n2−n2
 ^はゼロに近くなるので、適応型フィルタ80からの
出力Sn^は、合成信号Xn から再生音成分n2 を
除去した、音声信号Sn と騒音源からの雑音信号n1
 となる。
【0060】このようにして、観測手段60に取り込ま
れた音情報の中から、音響再生源からの再生音成分が除
去されれば、後は公知の手段、例えば、周波数領域の相
違などに着目したフィルタを使用するなどの手段で、音
声信号Sn と騒音源からの雑音信号n1 を分離する
ことが可能である。
【0061】以上述べた通り、本実施例は、音響再生源
からの音響信号を、音出力分配手段を使用して適応型フ
ィルタに直接入力し、これをモデルシステムH^(z)
 として使用することにより、モデルシステムH^(z
) 用の第2の観測手段が不要となり、システムの単純
化が可能となる。特に、モデルシステムH^(z) と
して、音響再生源からの音響信号を直接使用することが
可能となるため、従来の音出力手段(スピーカ)から第
2の観測手段までの伝送経路による信号の特性変化を無
視できる。その結果、従来の適応型フィルタによる雑音
除去の問題であった第2の観測手段における騒音のピッ
クアップの困難性が解消される。
【0062】また、モデルシステムH^(z) となる
音響信号は、外乱を受けずに直接適応型フィルタに入力
されたものであるので、従来の第2の観測手段で得られ
た信号に比較してはるかに正確なものであり、より高精
度の雑音除去が可能となる。
【0063】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、カーオー
ディオやラジオなどの音響再生源からの再生音を、雑音
として高精度で除去することが可能であるから、音声認
識装置のように周囲の雑音、特に再生音によって性能が
左右される装置の性能向上に大きく寄与することができ
る。
【0064】また、本発明よれば、観測信号から音響信
号を除去できるので、オートボリュームコントロールシ
ステムの騒音モニタとして使用することにより、精度の
良いシステムを構築できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適応型フィルタを用いた雑音除去装置
の一実施例を示すブロック図。
【図2】図1の雑音除去装置の設置例を示す配置図。
【図3】適応型フィルタの原理を説明するブロック図。
【図4】従来の適応型フィルタを用いた雑音除去装置の
一例を示すブロック図。
【図5】図4の雑音除去装置の設置例を示す配置図。
【符号の説明】
1  話者(音声発生源) 2  騒音源 3  音響再生源 4  音出力手段(スピーカ) 5  騒音発声要因 6  第1の観測手段 7  第2の観測手段 8  適応型フィルタ 10  信号加算部 11  修正機構 20  車体 21  座席 31  音出力分配手段 60  観測手段 80  適応型フィルタ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  音声発生源からの音声と周囲の騒音を
    音情報としてを取り込み、その音情報を所定の音声信号
    に変換し、該信号に含まれた音出力手段からの再生音成
    分を雑音として除去する適応型フィルタを用いた雑音除
    去装置において、音響再生源から音響信号を適応型フィ
    ルタに出力すると共に、該音響信号を音出力手段に対し
    て再生音として出力する音出力分配手段と、前記音声発
    生源からの音声を取り込み音声信号に変換すると共に、
    雑音発生源からの雑音及び前記再生音を取り込んで騒音
    信号に変換し、該両信号を合成して合成信号を出力する
    観測手段と、前記合成信号を入力すると共に前記出力分
    配手段からの音響信号を入力し、該合成信号に含まれた
    再生音成分を前記出力分配手段からの信号に基づいて演
    算処理により推定し、該合成信号から再生音成分のみを
    除去した音声信号を演算算出する適応型フィルタと、を
    有することを特徴とする適応型フィルタを用いた雑音除
    去装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001094370A (ja) * 1999-09-27 2001-04-06 Alpine Electronics Inc 音声入出力方式
KR100394759B1 (ko) * 1995-02-17 2004-02-11 소니 가부시끼 가이샤 음성신호에서노이즈를저감시키는방법과장치
JP2014100282A (ja) * 2012-11-20 2014-06-05 Sharp Corp 生体音収集装置

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