JPH04224934A - 制振複合材 - Google Patents

制振複合材

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JPH04224934A
JPH04224934A JP41842390A JP41842390A JPH04224934A JP H04224934 A JPH04224934 A JP H04224934A JP 41842390 A JP41842390 A JP 41842390A JP 41842390 A JP41842390 A JP 41842390A JP H04224934 A JPH04224934 A JP H04224934A
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JP
Japan
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damping
alloy
vibration
sintered
composite material
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JP41842390A
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Inventor
Takao Kobayashi
孝雄 小林
Noboru Sugiura
昇 杉浦
Yuji Nagasawa
裕二 長沢
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造部材や機械部品等
に使用できる、優れた振動減衰特性を有する制振複合材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、機械の振動や騒音を低くする
ために防振および遮音の方法が採られている。更に、音
の発生源となる部品や機構に制振材料を使用して音その
ものを抑えるという積極的な方法が試みられている。そ
のため、機械特性と共に制振特性に優れた制振材料が重
要になっている。
【0003】制振材料は、強磁性型、双晶型、転位型等
の制振合金や、拘束型に代表される複合材等に分類され
る。その中で、複合板は、金属板と粘弾性物質層との組
合せ、あるいは金属板と粘弾性物質層と拘束層との組合
せからなる構造を採っている。
【0004】この制振複合板は、大きな減衰能が比較的
容易に得られる利点があり、制振鋼板や制振複合アルミ
板等に応用されて、住宅の屋根、洗濯機のボディー、電
気機器のパネル等に使用されている。このような用途に
おける制振複合板(図1の(a))の振動モードは、図
1の(b)に示すように面外曲げであり、複合板本来の
制振性により振動を抑制することができる。しかし、最
近では、パネルや外板用途に止まらず、スピーカのよう
に、より機能的な部品としての用途拡大が図られ、また
、例えば、自動車のブレーキ鳴きを抑制するためにブレ
ーキのパッド部分に制振複合板を使用する試みがある。 また、部品として、厚肉の複合板の使用が不可欠となる
場合もある。このような場合、面外曲げ以外のモードの
振動も発生する。従来の制振複合板では、十分に面外曲
げ以外の振動モードの振動を抑制することができず、振
動や騒音が残存してしまう。
【0005】すなわち、面外曲げの場合の振動エネルギ
ーは、図1の(b)に示すように、非拘束型では粘弾性
物質層の伸び変形、拘束型ではずり変形によってそれぞ
れ粘弾性物質層内部で吸収される。しかし、面内曲げの
場合には、図1の(c)に示すように、非拘束型では横
方向に振動するので十分大きな伸び変形が生ぜず、また
拘束型ではずり変形が発生しないので、振動エネルギー
が粘弾性物質層内部で吸収されない。また、その他の振
動モードについても同様である。なお、図1において、
制振複合板は、粘弾性物質層1を中間体として、該粘弾
性物質層1を挟むようにして金属板2および拘束層3が
接着してなるものである。
【0006】このように、従来の制振複合板は、面外曲
げ以外の振動モードを抑制することができず、制振性は
不十分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本第1発明(請求項1
に記載の発明)は、上記従来技術の問題点に鑑みなされ
たものであり、面内曲げ、面外曲げ等、あらゆる種類の
振動モードに対して制振性に優れた制振複合材を提供す
ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本第1発明の制振複合材
は、減衰能Q−1が1×10−3以上である合金材料と
、該合金材料に接着された粘弾性物質からなる材料とよ
りなることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】本第1発明の制振複合材は、面内曲げ、
面外曲げ等、あらゆる種類の振動モードに対して優れた
制振性を有する。これは、以下の理由によるものと考え
られる。
【0010】面外曲げの振動モードの場合、合金材料と
粘弾性物質からなる材料との複合効果により高い制振性
を発揮する。また、面内曲げ等のその他の振動モードに
対しては、合金材料の減衰能が大きいことにより該合金
材料が制振性を発揮する。
【0011】(第1発明のその他の発明の説明)以下、
本第1発明をより具体的にしたその他の発明を説明する
【0012】本発明の制振複合材は、合金材料と粘弾性
物質からなる材料(粘弾性物質材料)とが接着してなる
ものであり、該合金材料は、減衰能Q−1が1×10−
3以上のものである。
【0013】本発明では、複合材の合金材料の減衰能Q
−1について着目したものであり、従来の制振複合材の
合金材料においてその減衰能Q−1が1×10−3未満
の低い値であることを見出し、合金材料に減衰能Q−1
が1×10−3以上のものを使用することにより面内曲
げ、面外曲げ等、あらゆる種類の振動モードに対して優
れた制振性を有する制振複合材を完成したものである。
【0014】合金材料の減衰能Q−1は、Fe基、Mg
基、Cu基等合金の種類によって異なり、しかもそれら
の減衰メカニズムによって応力(歪み)、周波数、磁場
、温度等に依存して大きく変化する場合がある。本発明
において、減衰能Q−1が1×10−3以上のものを使
用する。
【0015】合金材料の減衰能は大きい程よいが、各種
の合金材料を使用して制振複合材を作製して面内振動と
面外振動とを測定したところ、減衰能Q−1が1×10
−3未満の場合、振動が減衰しがたく、共振音が続いて
聞こえた。一方、Q−1が1×10−3以上の場合、共
振音の発生防止に明らかな効果が認められた。
【0016】本発明において用い得る合金材料としては
、制振合金、焼結合金、あるいは空孔部分に制振性含浸
剤を含浸させて減衰能を向上させた焼結合金等が挙げら
れる。
【0017】上記制振合金としては、片状黒鉛鋳鉄、F
e−Cr−(Al)−(Mo)−(Mn)の強磁性型鉄
基合金、Al−Zn合金、Mg−Zr合金、Mn−Cu
−Al合金等が挙げられる。磁性があってもよい場合、
片状黒鉛鋳鉄や強磁性型鉄基合金等を、また非磁性であ
ることや軽量であることが必要な場合、アルミニウム系
合金やマグネシウム系合金等を用いるのがよい。
【0018】上記焼結合金としては、鉄系、鉄合金系、
銅系、アルミニウム系、チタン系等の合金が挙げられる
。該焼結合金は、ニアネットシェイプ化を重視する場合
に有効である。該焼結合金は、成形圧力を調整して空孔
率を制御し、あるいは更に圧縮処理を施して減衰能を増
加させることにより更に性能を向上させてもよい。また
、上記の中で空孔による強度低下を避けたい場合には、
Fe−Cr系ステンレス合金のように母材自体が高い制
振性を有する合金が望ましい。
【0019】上記の合金材料の減衰能を更に向上させた
材料として、以下のものが挙げられる。
【0020】なお、以下で述べる空孔率および圧縮率と
は、 空孔率(%)=((焼結体中に占める空間体積)/(焼
結体の全体積))×100 圧縮率(%)=((圧縮前の厚さ−圧縮後の厚さ)/(
圧縮前の厚さ))×100 と定義する。
【0021】(1)空孔率が30〜50%の焼結体、あ
るいは空孔率が20〜50%の焼結体に圧縮率6〜45
%の圧縮処理を施した焼結合金。
【0022】焼結材の材質には、大別して鉄系、鉄合金
系、銅系、アルミニウム系、チタン系がある。磁性を有
しない鉄系焼結合金材を得る場合には、オーステナイト
系ステンレス鋼等の非磁性材料を用いる。また、軽量化
を重視する場合には、アルミニウム系、チタン系等を用
いる。
【0023】原料粉末の粒径は、通常工業的に使用され
ている、例えば149μm 以下のものを使用するが、
特に限定されない。焼結合金を製造する場合、原料粉末
に成形潤滑剤、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸リチウム、ワックス類等を配合し、圧粉成形した後加
熱、焼結する。
【0024】上記圧粉成形時の成形圧力は、通常1〜7
t/cm2 が採られる。また、加熱焼結は、アンモニ
ア分解ガス中、RXガス中、または真空中等で500〜
1200℃の温度で焼結する。
【0025】焼結合金の空孔率が小さい場合は減衰能Q
−1が1×10−3以上とならず、また大きい場合は必
要な強度が得られないので、焼結合金の空孔率は30〜
50%が望ましい。
【0026】また、空孔率が20〜50%の焼結体に圧
縮率6〜45%の圧縮処理を施すと空孔が潰され、空孔
周辺の応力集中の増大、および空孔壁同士の摩擦力の増
大により減衰能が大きくなる。上記圧縮にはプレス機を
用いる。
【0027】(2)空孔率が10〜50%の焼結合金に
制振性含浸剤を含浸させたもの、および更にこのものに
圧縮率2〜45%の圧縮処理を施したもの。
【0028】焼結合金に制振性含浸剤を含浸させると、
制振性含浸剤自体の内部摩擦、焼結体と制振性含浸剤と
の界面摩擦等の相互作用によって、振動を吸収し減衰能
が向上する。
【0029】制振性含浸剤としては、液体、粘弾性物質
等がある。液体としては、潤滑油、防錆油、シリコンオ
イル、パラフィン等の油、グリコール類、液体ポリマー
、エマルジョン等がある。粘弾性物質としては、天然ゴ
ム、合成ゴム、ポリエチレン、ナイロン、アクリル系ポ
リマー、αオレフィン系ポリマー、ポリオレフィン+ポ
リエステル、熱硬化性のポリエステル等の高分子材料等
がある。
【0030】上記液体は、室温における粘性が高い場合
には適度に加熱または希釈して低粘度となし、焼結合金
中に含浸させる。液体の含浸には、液体中に焼結合金を
浸漬する方法、液体を焼結合金にスプレーする方法、減
圧または加圧下に液体を侵入させる方法等がある。
【0031】粘弾性物質の含浸においては、加熱して低
粘度の液体となし、または液体状物質の使用、溶剤で希
釈、エマルジョンとする等の方法により含浸させる。そ
の後、室温に戻す、加熱する、または所望の処理を行っ
て固化または必要な状態に安定化させる。
【0032】焼結合金の空孔率が小さい場合は減衰能Q
−1が1×10−3以上とならず、また大きい場合は必
要な強度が得られないので、焼結合金の空孔率は10〜
50%が望ましい。
【0033】また、制振性含浸剤を含浸させた焼結体に
圧縮率2〜45%の圧縮処理を施すと、空孔が潰されて
細孔になり、しかも方向性を持つので制振性含浸剤との
相互作用が大きくなり、優れた制振性が発揮される。上
記圧縮処理にはプレス機を用いる。
【0034】例えば、制振性含浸剤が熱硬化性の液状ゴ
ムの場合、焼結合金に含浸後圧縮し、その後適度な温度
に加熱してゴムを硬化させる。また、ゴムラテックスを
用いる場合、焼結合金に適度な濃度の合成ゴムラテック
スを含浸させ、これに加熱乾燥後圧縮する。
【0035】また、空孔率が10〜50%の焼結体に圧
縮率2〜45%の圧縮処理を施した後、該焼結体の空孔
中に制振性含浸剤を含浸し、固化、安定化させてもよい
【0036】本発明は、上記合金材料と粘弾性物質材料
とが接着してなるものである。
【0037】粘弾性物質としては、ゴム、有機樹脂等の
高分子材料が挙げられる。該高分子材料としては、非拘
束型用と拘束型用との2種類のものがある。
【0038】非拘束型用高分子材料としては、れき青系
、エポキシ系、フタル酸系、エマルジョン系、塩ビ系等
のものがある。拘束型用高分子材料としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ナイロン等の高温用、アクリル
系ポリマー、αオレフィン系ポリマー、ポリオレフィン
+ポリエステル、熱硬化性のポリエステル等の中常温用
等がある。
【0039】合金材料、粘弾性物質ともに形状について
は特に限定しないが、構造減衰をしがたい箇所や平板状
に近い形状に対して本発明が特に効果を発揮する。
【0040】合金材料と粘弾性物質との複合化(接着)
には、粘弾性物質の接着性および粘着性を利用する。
【0041】例えば、合金材料の表面に粘弾性物質層を
形成する際に、合金材料に粘弾性物質を塗布する方法、
両面接着テープの性状を有する粘弾性物質を接着する方
法、あるいは熱可塑性樹脂からなる粘弾性物質を加熱し
て接着する方法等により両者を接着することができる。 なお、この際、接着した両者を更に加圧するとより接着
性が向上する。上記の方法により接着する場合、合金材
料の表面は油、錆び、汚れを除去しておく。
【0042】なお、合金材料が焼結体の場合には、空孔
の存在によって接着面積が小さくなり、見掛けの接着強
度が低下する。しかし、空孔率が大きくない場合には、
合金材料の表面の凹凸によって接着性が高められる。更
に、粘弾性物質と同系の制振性含浸剤を合金材料に含浸
させた場合も接着性が高められる。
【0043】合金材料と粘弾性物質とは、それぞれ1層
ずつ接着した2層構造のものでもよいが、以下のように
それ以上の層を接着したものでもよい。
【0044】制振複合材の減衰能は、粘弾性物質の損失
係数と弾性率とに直接影響され、しかも損失係数と弾性
率とは温度によって変化するので、制振複合材の減衰能
は温度に依存する。
【0045】広い温度範囲にわたって安定した制振性を
得るためには、損失係数や弾性率が安定な粘弾性物質の
使用が不可欠である。このような粘弾性物質は得難いの
で、粘弾性物質を高温用および低温用の2層とし、ある
いは図2に示すように合金材料層2−高温用粘弾性物質
層12−拘束層3−低温用粘弾性物質層11−拘束層3
の5層構造、もしくはそれ以上の多層構造とする形態が
ある。
【0046】拘束層を有する制振複合材の場合、該拘束
層の材質は合金材料と同様なものが望ましいが、特に限
定はしない。両者の材質が異なり、拘束層の減衰能が合
金材料のものよりも劣る場合には、拘束層の厚さは合金
材料の厚さの1/5以下が望ましい。
【0047】また、3層構造の制振複合材の場合、その
減衰能は構造上から周波数依存性を、また粘弾性物質の
性質から温度依存性を示す。そのため、高い減衰能を有
し、しかも周波数依存性および温度依存性が小さい合金
材料を選択することによってこれらの依存性を小さくす
ることができる。
【0048】なお、5層構造以上の多層構造も採り得る
が、構造が複雑になるため2層〜5層が実用的である。
【0049】本発明の制振複合材は、自動車用エンジン
部品、エンジン回り部品、事務用機械部品、音響機器・
家電製品用部品等に利用することができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0051】本発明における振動減衰能の表示は、合金
材料に関しては、Q−1(内部摩擦)を、制振複合材の
面外曲げに関しては、損失係数ηを用いた。これらは、
横振動法による減衰能測定装置を使用して測定した。長
さ150mm、幅20mm、厚さ1〜9.15mm(素
材の厚さによって異なる)の試験片を両端から33.6
mmの位置に吊り、電磁加振機を用いて試験片の第1次
共振周波数で振動させた後、自由減衰させ、自由減衰曲
線から対数減衰率δを求めた。対数減衰率δと、減衰能
Q−1および損失係数ηとの間には式(1)の関係が成
り立つので、対数減衰率δからQ−1とηとを換算した
。試験片が非磁性の場合は、ハンマリングによって加振
する方法を採った。また、試験片中央部の振幅と試験片
のサイズから最大ひずみ振幅を算出した。 η=Q−1=δ/π  (π:円周率)
【0052】(
実施例1)2mm厚さのSPCC冷間圧延鋼板、2mm
厚さに切削加工したFC25片状黒鉛鋳鉄板、および2
mm厚さの焼結鉄板について、各2枚ずつの金属板を用
意した。このうち焼結鉄板はアトマイズ鉄粉を4t/c
m2 で成形し、H2 中で1120℃×30分間焼結
したものである。
【0053】上記各金属板の減衰能Q−1を図3に示す
。 減衰能Q−1は片状黒鉛鋳鉄板が最も大きく、次に焼結
鉄板、そして冷間圧延鋼板の順であり、これらにはQ−
1のひずみ振幅依存性が見られる。
【0054】これらを厚さ150μm のアクリル系粘
弾性樹脂テープを用いて仮付けした後、0.5t/cm
2 の圧力で圧着させ、それぞれの素材同士で構成され
る、金属板−粘弾性物質層−拘束層(金属板)複合材を
作製した。
【0055】面外曲げモードにおける損失係数ηを、ひ
ずみ振幅が10−6の条件で測定した。その結果を表1
に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1より明らかなように、損失係数ηはS
PCC冷間圧延鋼板を用いたものでは0.33、焼結鉄
板を用いたものでは0.39、FC25片状黒鉛鋳鉄板
を用いたものでは0.36であり、いずれも大きな値を
有している。
【0058】上記試験片の共振周波数は、550〜60
0Hzである。本試験において、面外曲げでは説明でき
ない高い周波数の共振音の発生が確認された。この音は
、複合材の両端部を糸で吊るして小形ハンマーでハンマ
リングすると、SPCC冷間圧延鋼板を用いたもので5
秒間、焼結鉄板を用いたもので1秒間持続したが、FC
25片状黒鉛鋳鉄板を用いたものでは聞こえなかった。 騒音計を試験片の近くに設置し、騒音計の出力を解析装
置に入力する方法でハンマリング加振して発生音を解析
した。測定結果を図4ないし図7に示す。
【0059】図より明らかなように、SPCC冷間圧延
鋼板を用いたものにおける共振音は4592Hzであり
、これは複合材の面内曲げモードの第1次共振周波数に
相当していることが判明した。SPCC冷間圧延鋼板を
用いたものでは共振波がはっきり認められたのに対して
、焼結鉄板を用いたものおよびFC25片状黒鉛鋳鉄板
を用いたものでは共振波が認められず、制振特性が優れ
ていることが分かる。
【0060】更に、上記試験片を使用して面内曲げモー
ドでの減衰能Q−1を以下のように測定した。測定は、
複合材の幅方向の自由減衰振動を測定する方法を採った
。 測定結果を図8に示す。なお、複合材の面内曲げ振動に
おける共振周波数は3400〜4600Hzの間であり
、面外曲げ振動の約6〜8倍である。図8には各金属板
単体の面外振動における減衰能測定結果も付記した。
【0061】図より明らかなように、各複合材の減衰能
Q−1は各金属板単体のQ−1にオーバーラップし、ま
たはその延長上にあり、面内曲げモードにおける制振複
合材の減衰能は金属板の減衰能に依存していることが分
かる。また、SPCC冷間圧延鋼板を用いたものに比べ
て、焼結鉄板を用いたものおよびFC25片状黒鉛鋳鉄
板を用いたものの方が、制振特性が優れていることが分
かる。
【0062】(比較例)金属板および拘束層にSPCC
板を使用し、それらの厚さの組み合わせを1t−1t、
2t−2t、4.5t−4.5t、4.5t−1tにし
た以外は、実施例1と同様にして制振複合材を作製した
。なお、4.5t−1tとは、金属板の厚みが4.5m
m、拘束層の厚みが1mmであることを示す。得られた
制振複合材について面外曲げおよび面内曲げ振動におけ
る振動減衰能を測定した。その結果を表2に示す。なお
、表2中の損失係数ηはひずみ振幅が1×10−6にお
ける値、減衰能Q−1はひずみ振幅が1×10−6にお
ける値である。
【0063】
【表2】
【0064】表2により明らかなように、各SPCC板
を用いた複合材は、すべて面外曲げ振動における損失係
数ηは大きいが、面内曲げ振動におけるQ−1は小さい
ことが分る。
【0065】(実施例2)粒径149μm 以下の粒子
が99%以上を占め、44〜105μm の粒子が61
%、残余の粒子が44μm 以下であるSUS304水
アトマイズ粉を金型にて圧粉成形し、H2 中で30分
間加熱し、空孔率が30%(厚さ6.1mm)の焼結体
を作製した。この焼結体に濃度50%スチレンブタジエ
ンゴム(SBR)ラテックスを含浸させて、80℃×4
時間乾燥させた後、7t/cm2 の圧縮処理を行った
。この時の焼結合金板の厚さは5.17mmで、最大ひ
ずみ振幅10−6におけるQ−1は9.5×10−3と
なり比較的良好な制振性を有していた。
【0066】この焼結合金板2枚と粘弾性樹脂テープと
を使用して、実施例1と同様にして制振複合材を作製し
た。この制振複合材の面外振動モードにおける損失係数
ηは、最大ひずみ振幅が10−6において0.32とい
う大きな値を有していた。また、面内振動モードにおけ
るQ−1は、最大ひずみ振幅が6×10−6において9
.3×10−3という実用上十分な値を有していた。
【0067】(実験例1)鉄系の、制振合金および焼結
制振合金の減衰能を以下のように測定した。
【0068】粒径149μm 以下の粒子が99%以上
を占めるSUS430L水アトマイズ粉を、22×15
3mmの金型を用いて7t/cm2 の圧力で成形し、
厚さ5mmの圧粉成形体を作製した。この成形体をH2
 中で120分間加熱した後徐冷してフェライト系焼結
ステンレス鋼を作製した。このフェライト系焼結ステン
レス鋼と市販の制振合金(Fe−12Cr−3Al、鋳
鍛造材)の減衰能を測定した。その結果を図9に示す。 図9より、両者とも減衰能はひずみ振幅依存性を示して
いるが、Q−1は1×10−3よりも大きい値である。
【0069】次に、粒径149μm 以下の粒子が97
%以上を占める水アトマイズ鉄粉に、銅粉末をそれぞれ
2または5重量%、そしてグラファイト粉末をそれぞれ
0.3、0.6、または0.9重量%配合し、均一に混
合した。これを上記と同様の金型で5t/cm2 成形
し、厚さ5mmの圧粉成形体を作製した。これをH2 
中で30分間加熱して鋼板を作製した。この鋼板の減衰
能を測定した結果を図10に示す。図10より減衰能Q
−1は0.5×10−3以下の小さな値であることが分
る。
【0070】(実験例2)非鉄系の、制振合金(鋳造材
)の減衰能を以下のように測定した。
【0071】配合組成が重量%で、Zn−22%Al−
1.5%Cu−0.3%Mn、およびZn−40%Al
−3.0%Si−1.0%Cu−0.3%Mnの合金を
黒鉛ルツボ中で溶解し、40×240×厚さ8mmの金
型中に鋳造した後、20×150×5mmの試験片を切
出した。これを更に350℃×5時間水冷+100℃×
8時間空冷の熱処理を行って、制振合金(鋳造材)を作
製した。この制振合金の減衰能を測定した結果を図11
に示す。図11より2種類の制振合金とも1×10−3
以上の減衰能Q−1を有することが分る。
【0072】また、比較のため、鋳造用アルミニウム合
金AC2Bを黒鉛ルツボ中で溶解し、40×200×8
mmのシェルモールド型に鋳造した。これから20×1
50×5mmの試験片を切出して比較用制振合金を作製
した。この制振合金の減衰能を測定した結果を図12に
示す。図12より減衰能Q−1は0.2×10−3以下
の非常に小さな値であることが分る。
【0073】(実験例3)実験例1で使用した水アトマ
イズ鉄粉にグラファイト粉末を0.9重量%配合し、均
一に混合した。この混合粉末を用いて、実験例1と同様
な金型を使用し、成形圧力を3条件に変化させて、厚さ
5〜6mmの圧粉成形体を作製し、更にこれをN2 +
5%H2 中で30分間焼結した。これにより、空孔率
がそれぞれ13%、21%、37%のFe−0.9C合
金焼結体を得た。
【0074】上記の合金焼結体に更に、圧縮処理や制振
性含浸剤としての潤滑油(粘度100cST)の含浸処
理、および潤滑油含浸処理後圧縮処理を行った。なお、
潤滑油の含浸率は93〜98%の範囲、圧縮率は空孔率
13%の焼結体が2〜3%、空孔率21%の焼結体が6
〜7%、空孔率37%の焼結体が23〜24%の範囲と
した。これらの減衰特性を測定した結果を図13に示す
(図13中、CRは圧縮率である)。
【0075】図13より、Q−1は1×10−3以上の
ものは、空孔率が32%以上の無処理の焼結体(白三角
)、空孔率が21%以上の焼結体に7%以上の圧縮処理
を行った圧縮材(白丸)、空孔率が13%以上の焼結体
に含浸処理を行った焼結体(黒三角)、空孔率が13%
以上の焼結体に含浸処理後、2%以上の圧縮処理を行っ
た焼結体(黒丸)であることが分る。
【0076】(実験例4)粒径149μm 以下の粒子
が99%以上を占め、44〜105μm の粒子が61
%、残余の粒子が44μm 以下であるSUS304水
アトマイズ粉を用いて、実験例1と同様な金型で圧粉成
形し、H2 中で30分間加熱して、空孔率が30%(
厚さ6.1mm)および45%(厚さ7.4mm)の焼
結体を得た。 これらの焼結体に熱硬化性の液状ゴムを含浸させ、圧縮
処理を行った。その後更に120℃×80分間の硬化処
理を行って減衰能を測定した。その結果を図14の白四
角記号の曲線に示す(図14中、CRは圧縮率(%)を
示す)。
【0077】また、上記の焼結体にそれぞれ濃度50%
のスチレンブタジエンゴム(SBR)・ラテックスを含
浸させて、80℃×4時間乾燥させた後、7t/cm2
 の圧力で圧縮処理を行って減衰能を測定した。その結
果を図14の白六角記号の曲線に示す。
【0078】図14より本実験例の焼結合金は、すべて
減衰能Q−1は1×10−3以上の値であることが分る
【0079】(実施例3)上記実験例1〜4の焼結合金
を用いて複合材を作製してその制振特性を評価した。
【0080】実験例1〜4の焼結合金板各2枚と厚さ1
50μm のアクリル系粘弾性樹脂テープとを用いて、
実施例1と同様にしてそれぞれの合金板素材同士で構成
される複合材を作製した。得られた複合材の面内曲げお
よび面外曲げ振動における減衰能を測定した。その結果
を表3に示す。なお、表3中の損失係数ηはひずみ振幅
が1×10−6における値、減衰能Q−1はひずみ振幅
が4×10−6における値である。また、使用した実験
例3のFe−0.9C合金は空孔率が37%の焼結体に
23%の圧縮処理を施したもの、実験例4のSUS30
4合金は空孔率が30%の焼結体に液状ゴムを含浸させ
て18%の圧縮処理を行い、その後硬化処理を施したも
のである。
【0081】
【表3】
【0082】表3より、各複合材は、ともに面外曲げ振
動における損失係数ηは大きな値を示しているが、面内
曲げ振動における減衰能Q−1は合金板の種類によって
異なっていることが分る。また、比較例として用いた実
験例1のFe−2Cu−0.9C合金を用いた複合材お
よび実験例2のAC2B合金を用いた複合材に比べて、
本実施例の複合材は面内曲げにおける減衰能Q−1が大
きく、制振特性が優れていることが分る。
【図面の簡単な説明】
【図1】制振複合材の振動モードの状態を示す概念図で
ある。
【図2】本発明の制振複合材の例を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例における金属板の減衰能を示す
線図である。
【図4】本発明の実施例における室内騒音を示す線図で
ある。
【図5】本発明の実施例における制振複合材の共振音と
、その解析結果を示す線図である。
【図6】本発明の実施例における制振複合材の共振音を
示す線図である。
【図7】本発明の実施例における制振複合材の共振音を
示す線図である。
【図8】本発明の実施例における制振複合材の面内曲げ
における減衰能を示す線図である。
【図9】実験例における合金材料の減衰能を示す線図で
ある。
【図10】実験例における合金材料の減衰能を示す線図
である。
【図11】実験例における合金材料の減衰能を示す線図
である。
【図12】実験例における合金材料の減衰能を示す線図
である。
【図13】実験例における合金材料の減衰能を示す線図
である。
【図14】実験例における合金材料の減衰能を示す線図
である。
【符号の説明】
1  粘弾性物質 11  低温用粘弾性物質 12  高温用粘弾性物質 2  合金板 3  拘束層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  減衰能Q−1が1×10−3以上であ
    る合金材料と、該合金材料に接着された粘弾性物質から
    なる材料とよりなることを特徴とする制振複合材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005212220A (ja) * 2004-01-28 2005-08-11 Sanwa Packing Kogyo Co Ltd 制振材料
JP2007182853A (ja) * 2006-01-10 2007-07-19 Hitachi Plant Technologies Ltd 空気圧縮機

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