JPH0422109Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用デイスクブレーキに関し、特
に、いわゆるピストンのノツクバツク現象の発生
を防止した車両用デイスクブレーキに関する。

〔従来の技術〕

車両用デイスクブレーキは、キヤリパのシリン
ダ孔に嵌挿されるピストンとシリンダ孔底部との
間に画成された液圧室に圧液を供給して、前記ピ
ストンを前進させて摩擦パツドを押動し、車輪と
一体に回転するデイスクを、一対の摩擦パツドで
挟圧して制動作用を行つている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、上述のデイスクブレーキでは、走行
時のデイスクの振れや、旋回時の横方向の加重に
よつてピストンがシリンダ孔の底部方向に押し込
まれ、デイスクと摩擦パツド及び摩擦パツドとピ
ストンとの間に正常な制動間〓以上の〓間が生
じ、いわゆるピストンのノツクバツク現象が発生
して次の制動作動時のピストンストロークが増加
することがある。

そこで本考案は、ピストンのノツクバツク現象
の発生を防止した車両用デイスクブレーキを提供
することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的達成のため本考案は、対向ピストン型
デイスクブレーキのキヤリパボデイの両シリンダ
孔に、摩擦パツドを押動するピストンを、シリン
ダ孔周壁に嵌着した角シールにて液密に嵌挿し、
制動作動時には、該ピストンとシリンダ孔底部と
の間に画成された液圧室に供給される液圧によつ
て、前記角シールを変形させながら前記ピストン
を前進させ、制動解除時には、変形した前記角シ
ールの復元力によつて、前記ピストンを復帰せし
める車両用デイスクブレーキにおいて、前記シリ
ンダ孔底部に、一端を前記液圧室に臨ませ、他端
を前記キヤリパの外部に突出するボルトを設け、
該ボルトと前記ピストンとの間に、コイルスプリ
ングを前記角シールの復元力より小さいセツト荷
重で縮設したことを特徴としている。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

対向ピストン型デイスクブレーキ１のキヤリパ
ボデイ２は、デイスク３の両側に対向配置される
第１シリンダボデイ２ａと第２シリンダボデイ２
ｂとを、前記デイスク３の外周を跨ぐ、両シリン
ダボデイ２ａ，２ｂのブリツジ部２ｃ，２ｃ同士
を連結ボルト４により一体に連結して形成されい
る。前記両シリンダボデイ２ａ，２ｂには、デイ
スク３側を開口したシリンダ孔５がそれぞれ形成
されている。

前記シリンダ孔５には、有底円筒状のピストン
６が、シリンダ孔周壁に嵌着した角シール７にて
液密に嵌挿され、ピストン６の底部６ａとシリン
ダ孔５の底部５ａとの間に液圧室８を画成してい
る。そして、制動作動時には、該液圧室８に供給
される圧液によつて、前記角シール７を変形させ
ながら前記ピストン６を前進させ、制動解除時に
は、変形した前記角シール７の復元力によつて、
前記ピストン６を復帰せしめる。

前記キヤリパボデイ２には、デイスク３の両側
に対向配置される一対の摩擦パツド９，９がハン
ガーピン１０によりデイスク３の軸方向に移動可
能に吊持され、両摩擦パツド９の背面には、前記
ピストン６がそれぞれ当接している。

前記シリンダ孔５の底部５ａには、ボルト１１
が設けられている。該ボルト１１と前記ピストン
６の底部６ａとの間には、コイルスプリング１２
が縮設されている。

前記ボルト１１は、フランジ部１１ａと、該フ
ランジ部１１ａに連設する大径軸部１１ｂと、該
大径軸部１１ｂに連設する雄ねじ部１１ｃとで形
成され、シリンダ孔５の開口側から底部５ａに穿
設した取付孔５ｂに挿通して雄ねじ部１１ｃをシ
リンダ孔５の螺着孔５ｃに螺合し、前記液圧室８
内に臨ませたフランジ部１１ａにてコイルスプリ
ング１２を受け、取付孔５ｂに設けたシール部材
１３を大径軸部１１ｂに圧接させて液密にシリン
ダ孔５の底部５ａに設けられ、シリンダボデイ２
ａ，２ｂからそれぞれ突出する雄ねじ部１１ｃに
ロツクナツト１４を取付けている。

前記コイルスプリング１２の縮設した状態での
セツト荷重は、前記角シール７の復元力より小さ
く設定されている。

また、前記ピストン６の底部６ａには、縮小さ
れたときにコイルスプリング１２が収まる凹部６
ｂが形成されている。

本実施例は、このように構成することにより、
走行時のデイスク３の振れや、旋回時の横方向の
加重によつてピストン６がシリンダ孔５の底部５
ａ方向に押し込まれようとしても、コイルスプリ
ング１２の付勢力によつて阻止され、いわゆるノ
ツクバツク現象の発生を防止することができる。

尚、前記コイルスプリング１２のセツト荷重の
設定は、ボルト１１を螺動してそのフランジ部１
１ａをピストン６の底部６ａに付き当て、ピスト
ン６をデイスク３方向に移動させて摩擦パツド９
をデイスク３に当接させた後、ボルト１１を所定
数逆転して後退させ、ボルト１１をメツクナツト
１４で固定することにより、正常な制動間〓とコ
イルスプリング１２の適正な付勢力を得ることが
できる。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、対向ピストン型デイス
クブレーキのキヤリパボデイの両シリンダ孔に、
角シールによつて液密に嵌挿したピストンを、制
動作動時には、ピストンとシリンダ孔底部との間
に画成された液圧室に供給される圧液によつて、
角シールを変形させながらピストンを前進させ、
制動解除時には、変形した前記角シールの復元力
によつて、ピストンを復帰せしめるようにし、前
記シリンダ孔底部に、一端を前記液圧室に臨ま
せ、他端を前記キヤリパの外部に突出するボルト
を設け、該ボルトと前記ピストンとの間に、コイ
ルスプリングを前記角シールの復元力より小さい
セツト荷重で縮設したので、走行時のデイスクの
振れや、旋回時の横方向の加重によつてピストン
がシリンダ孔の底部方向に押し込まれようとして
も、縮設されたコイルスプリングの付勢力によつ
て阻止され、いわゆるノツクバツク現象の発生を
防止することができる。また、ピストンとボルト
間に縮設されたコイルスプリングによつて、ピス
トンがデイスク側に押圧されているので、摩擦パ
ツドが摩耗してもそれに応じて一定の押圧力を常
に提供でき、しかもピストンのロールバツク以上
の戻りを防止できるので、ピストンストロークの
増加を抑え、最小限の液量にて制動を行うことが
可能となる。さらに、本考案によれば、既存のキ
ヤリパボデイに部品を一部変更するだけで簡単に
組付けることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は
第２図の−断面図、第２図は正面図、第３図
は平面図、第４図は要部を構成する各部品の斜視
図である。 １……デイスクブレーキ、２……キヤリパボデ
イ、５……シリンダ孔、５ａ……シリンダ孔５の
底部、６……ピストン、７……角シール、８……
液圧室、９……摩擦パツド、１１……ボルト、１
２……コイルスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 対向ピストン型デイスクブレーキのキヤリパボ
   テイの両シリンダ孔に、摩擦パツドを押動するピ
   ストンを、シリンダ孔周壁に嵌着した角シールに
   て液密に嵌挿し、制動作動時には、該ピストンと
   シリンダ孔底部との間に画成され液圧室に供給さ
   れる圧液によつて、前記角シールを変形させなが
   ら前記ピストンを前進させ、制動解除時には、変
   形した前記角シールの復元力によつて、前記ピス
   トンを復帰せしめる車両用デイスクブレーキにお
   いて、前記シリンダ孔底部に、一端を前記液圧室
   に臨ませ、他端を前記キヤリパの外部に突出する
   ボルトを設け、該ボルトと前記ピストンとの間
   に、コイルスプリングを前記角シールの復元力よ
   り小さいセツト荷重で縮設したことを特徴とする
   車両用デイスクブレーキ。