JPH0421815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、高炉の炉頂部に備わる水冷型分配
シユート駆動装置における給水トラフに関する。

［従来の技術］ 第３図は、従来の水冷型分配シユート駆動装置
の縦断面図であり、１はその駆動装置本体のケー
シングである。このケーシング１は、その下部の
フランジ２を炉頂部に載せるようにして設置され
ている。ケーシング１の上部は天板３が設けられ
ており、この天板３の内側には下方へ延在する内
筒４が取り付けられている。また、天板３の下部
には、軸受５によつて、旋回テーブル６の上部の
フランジ７が炉内中心Ｏを中心として旋回自在に
取り付けられている。この旋回テーブル６には図
示しない分配シユートが取り付けられており、駆
動機構８によつて旋回テーブル６と共に旋回する
ようになつている。旋回テーブル６の外側には複
数の水冷パネル９ａ，９ｂ，９ｃが備えられて、
これらの水冷パネル９ａ，９ｂ，９ｃ内を通る冷
却水によつて、旋回テーブル６を冷却するように
なつている。

水冷パネル９ａ，９ｂ，９ｃ内に冷却水を通す
ための流路は次のように構成されている。

すなわち、旋回テーブル６の上側周部には、そ
の全周に渡つて延在する環状の上側の給水トラフ
本体１０が構成され（第４図参照）、またケーシ
ング１の下部のフランジ２には、その全周に渡つ
て延在する環状の下側の給水トラフ本体１１が構
成されていて、前者の上側の給水トラフ本体１０
内に供給された冷却水が水冷パネル９ａ，９ｂ，
９ｃ内を通り、その後、後者の下側の給水トラフ
本体１１内に回収されるようになつている。上側
の給水トラフ本体１０に対しては、ケーシング１
の天板３に配した給水ノズル１２から冷却水が供
給される。本例の場合、給水ノズル１２からの冷
却水は、一旦、天板３の下面に設けられた環状の
溝部３ａ内に入り、それから給水パイプ１３を通
つて上側の給水トラフ本体１０内に供給される。
また、上側の給水トラフ本体１０内にはオーバー
フロー樋１４が設けられており、給水パイプ１３
からの冷却水は、まずこのオーバーフロー樋１４
内に入る。上側の給水トラフ本体１０に供給され
た冷却水は、バネル給水連絡管１５を通して水冷
パネル９ａ，９ｂ，９ｃ内に導かれる。水冷パネ
ル９ａ，９ｂ，９ｃ内を通つた冷却水は、排水パ
イプを通つて下側の給水トラフ本体１１内に排出
され、その後、外部に排出される。

従来、このような構成の水冷型炉頂分配シユー
ト駆動装置においては、旋回テーブル６の内側
と、炉内との間をシールするために、以下のよう
なガスシール構造を採つていた。

すなわち、旋回テーブル６の上側周縁と天板３
との間のシールについては、第４図に示すよう
に、天板３の下面に環状の溝３ｂ，３ｃを設け、
そしてこれらの溝３ｂ，３ｃ内に上側の給水トラ
フ本体１０の内側板と外側板の上端を嵌め合わせ
ることによつて、炉内空間から旋回テーブル６の
内側空間までの間の経路を屈曲させ、もつて、炉
内のガスを旋回テーブル６の内側に流れ込みにく
くしている。また、旋回テーブル６の下側周縁と
ケーシング１との間のシールについても同様に、
炉内空間から旋回テーブル６の内側空間までの間
の経路を屈曲させて、炉内のガスを流れにくくし
ている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、通常、炉内圧は原料の投入時に低下
してから、やがて元の炉頂圧に復帰する。一方、
吹抜け事故の時には、炉頂圧は急激に上昇する。
圧力の変動幅は、前者の場合は500mm水柱程度で
あり、後者の場合は1500mm水柱にもなる。

このように炉頂圧が変動した場合には、旋回テ
ーブル６の上側周縁と天板３との間からは第４図
中の矢印Ａのようにして、また旋回テーブル６の
下側周縁とケーシング１との間からも同様にし
て、炉内ガスがそのまま旋回テーブル６の内側に
侵入する。したがつて、侵入した炉内ガスは、旋
回テーブル６の内側のトラフ本体１０，１１内や
ケーシング１内の機械部品側に、熱やダストを直
接持ち込むことになる。そのため、このようにし
て持ち込まれた熱やダストによつて、ケーシング
１内の機械部品が損傷するという問題があつた。

この考案は、このような問題を解決するもので
ある。

［問題点を解決するための手段］ この考案の水冷型分配シユート駆動装置の給水
トラフは、高炉の炉頂部に駆動装置本体のケーシ
ングを設置し、このケーシングに、分配シユート
が取り付く旋回テーブルを装備し、この旋回テー
ブルの外周面に、内部を通る冷却水によつて旋回
テーブルを冷却する冷却パネルを取り付け、旋回
テーブルの周部に、旋回テーブルの周方向に沿つ
て延在して内部に冷却水が入る給水トラフ本体を
設け、ケーシングに、給水トラフ本体の上方に位
置して当該給水トラフ内に冷却水を供給する給水
ノズルを備えて、給水トラフ本体内の冷却水を冷
却パネル内に通して旋回テーブルを冷却しつつ、
旋回テーブルを高炉の中心軸回りに回転させる水
冷型分配シユート駆動装置において、 前記給水トラフ本体の上方に、当該給水トラフ
本体の周方向に沿つて延在して前記給水ノズルか
らの冷却水を受け入れる環状の給水チヤンバを備
え、 この給水チヤンバの周壁部に、給水トラフ本体
の周方向に沿つて連続的に連なるようにして冷却
水をカーテン状に落下させるスリツトを設けたこ
とを特徴とする。

［作用］ この考案の考案の水冷型分配シユート駆動装置
の給水トラフは、給水トラフ本体の上方に備えた
給水チヤンバから、冷却水を連続するカーテン状
に噴出させて、その噴出した冷却水に、炉内から
旋回テーブル内に侵入するガスを接触させること
により、そのガスを冷却し、かつそのガス中のダ
ストを洗い落として、高温、多粉塵のガスの侵入
による機械部品の損傷を回避する。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を第１図および第２
図に基づいて説明する。なお、前述した従来例と
同様の部分には同一符号を付してその説明を省略
する。

本実施例の場合は、天板３の下面に、断面Ｕ字
状の給水チヤンバ２１を設けている。この給水チ
ヤンバ２１は、上側の給水トラフ本体１０内に位
置して、その周方向に沿つて延在するように環状
に形成されていて、供給ノズル１２から給水トラ
フ本体１０内に供給される冷却水を受け入れるよ
うになつている。給水チヤンバ２１を構成する内
側板２１ａには、上側スリツト２２ａと下側スリ
ツト２２ｂが複数形成され、同様に、給水チヤン
バ２１の外側板２１ｂには、上側スリツト２３ａ
と下側スリツト２３ｂが複数形成されている。

内側板２１ａにおいて、上側スリツト２２ａと
下側スリツト２２ｂは、給水チヤンバ２１の周方
向に沿つて交互に、かつ互いに隣接するそれらの
端部同士が上下方向においてオーバーラツプする
ように形成されている。同様に、外側板２１ｂに
おける上側スリツト２３ａと下側スリツト２３ｂ
は、給水チヤンバ２１の周方向に沿つて交互に、
かつ互いに隣接するそれらの端部同士が上下方向
においてオーバーラツプするように形成されてい
る。これにより、給水チヤンバ２１内の冷却水
は、それぞれのスリツト２２ａ，２２ｂ，２３
ａ，２３ｂを通つてトラフ本体１０内に供給され
るようになつている。

また、本実施例の場合は、トラフ本体１０内に
Ｕ字状の仕切板２４を復数取り付けることによつ
て、トラフ本体１０内をその周方向に沿つて複数
に分け、これにより複数の給水溜めを形成してい
る。その給水溜めの数は、旋回テーブル６の外側
に取り付けた水冷パネル９ａ，９ｂ，９ｃの配備
数と同数であり、給水溜め１つずつにパネル給水
連絡管１５が接続され、それらが水冷パネル９
ａ，９ｂ，９ｃの１つずつに接続されている。

なお、第２図において、２５はオーバーフロー
管であり、旋回テーブル６のフランジ７に形成さ
れた切欠部７ａを通つて、下側のトラフ本体１１
内に配管されている。

次に、作用について説明する。

給水ノズル１２から供給された冷却水は、ま
ず、給水チヤンバ２１内に入り、そしてそれぞれ
のスリツト２２ａ，２２ｂ，２３ａ，２３ｂから
トラフ本体１０内に噴出する。内側板２１ａのス
リツト２２ａ，２２ｂからの冷却水は、給水チヤ
ンバ２１の周方向に沿つて連続するカーテン状と
なつて噴出する。これは、給水チヤンバ２１の周
方向に関して、スリツト２２ａ，２２ｂが連続し
ているからである。同様の理由から、外側板２１
ｂのスリツト２３ａ，２３ｂからの冷却水は、給
水チヤンバ２１の周方向に沿つて連続するカーテ
ン状となつて噴出する。

このように、いわゆるカーテン状に噴出する冷
却水は、いわゆる２条の水カーテンとして、炉内
空間と旋回テーブル６の内側空間までの間に存在
する。したがつて、炉頂圧の変動のために炉内ガ
スが旋回テーブル６の内側に侵入するとき、その
炉内ガスは必ず２つの水カーテンに接触すること
になる。これにより、炉内ガスは冷却され、また
そのガス中のダストが洗い落とされて、ケーシン
グ１内の機械部品への悪影響が回避される。

ところで、上記実施例では冷却水を２条のカー
テン状に噴出しているがこれには特定されず、例
えば１条あるいは３条以上、噴出させてもよい。
また、冷却水を噴出させるためのスリツトは、給
水チヤンバ２１の側板２１ａ，２１ｂのみなら
ず、その底板に設けることも可能である。また、
給水チヤンバ２１は、上側の給水トラフ本体１０
に対してのみならず、下側の給水トラフ本体１１
に対して備えてもよく、また下側給水トラフ本体
１１にのみに備えてもよい。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案の水冷型分配シ
ユート駆動装置の給水トラフは、給水トラフ本体
の上方に備えた給水チヤンバから、冷却水を連続
するカーテン状に噴出させて、その噴出した冷却
水に、炉内から旋回テーブル内に侵入するガスを
接触させる構成であるから、ガスを冷却し、かつ
そのガス中のダストを洗い落とすことができる。

この結果、高温、多粉塵のガスの侵入による機
械部品の損傷を回避し、分配シユート駆動装置の
長期間の安全運転を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の縦断面図、第２
図は同実施例の部分斜視図である。第３図、第４
図は従来例を説明するための図であり、第３図は
炉頂部の縦断面図、第４図は上側の給水トラフ部
分の構成図である。 １……ケーシング、３……天板、６……旋回テ
ーブル、１０……上側の給水トラフ本体、１１…
…下側の給水トラフ本体、２１……給水チヤン
バ、２１ａ，２１ｂ，２２ａ，２２ｂ……スリツ
ト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 高炉の炉頂部に駆動装置本体のケーシングを設
   置し、このケーシングに、分配シユートが取り付
   く旋回テーブルを装備し、この旋回テーブルの外
   周面に、内部を通る冷却水によつて旋回テーブル
   を冷却する冷却パネルを取り付け、旋回テーブル
   の周部に、旋回テーブルの周方向に沿つて延在し
   て内部に冷却水が入る給水トラフ本体を設け、ケ
   ーシングに、給水トラフ本体の上方に位置して当
   該給水トラフ内に冷却水を供給する給水ノズルを
   備えて、給水トラフ本体内の冷却水を冷却パネル
   内に通して旋回テーブルを冷却しつつ、旋回テー
   ブルを高炉の中心軸回りに回転させる水冷型分配
   シユート駆動装置において、 前記給水トラフ本体の上方に、当該給水トラフ
   本体の周方向に沿つて延在して前記給水ノズルか
   らの冷却水を受け入れる環状の給水チヤンバを備
   え、 この給水チヤンバの周壁部に、給水トラフ本体
   の周方向に沿つて連続的に連なるようにして冷却
   水をカーテン状に落下させるスリツトを設けたこ
   とを特徴とする水冷型分配シユート駆動装置の給
   水トラフ。