JPH04214819A - 歪取り焼鈍を施しても磁気特性が劣化しない低鉄損一方向性けい素鋼板の製造方法及び低鉄損一方向性けい素鋼板の連続製造設備列 - Google Patents

歪取り焼鈍を施しても磁気特性が劣化しない低鉄損一方向性けい素鋼板の製造方法及び低鉄損一方向性けい素鋼板の連続製造設備列

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JPH04214819A
JPH04214819A JP4458391A JP4458391A JPH04214819A JP H04214819 A JPH04214819 A JP H04214819A JP 4458391 A JP4458391 A JP 4458391A JP 4458391 A JP4458391 A JP 4458391A JP H04214819 A JPH04214819 A JP H04214819A
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JP
Japan
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steel sheet
silicon steel
electron beam
core loss
chamber
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JP4458391A
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Masao Iguchi
征夫 井口
Hisashi Nakano
恒 中野
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、歪取り焼鈍を施して
も磁気特性の劣化しない低鉄損一方向性けい素鋼板の製
造方法において、特に高電圧、小電流で発生させた電子
ビームを照射した後の鋼板の処理に工夫を凝らして磁区
細分化効果の増強を図ったもので、この一方向性けい素
鋼板は、変圧器や電気機器の鉄心用材料として有利に使
用される。またこの発明は、電子ビーム照射を利用した
一方向性珪素鋼板の鉄損低減に有利に適合する一方向性
珪素鋼板の製造設備列に関する。
【0002】一方向性珪素鋼板は製品の2次再結晶粒を
ゴス方位に高度に集積させること、その鋼板表面上にフ
ォルステライト被膜を被成し、さらにその上に熱膨張係
数の小さい絶縁被膜を被成して鋼板に張力を付与するこ
と、などにより磁気特性の向上を計るもので、厳格な制
御を必要とする複雑、多岐にわたる工程を経て製造され
ている。このような一方向性けい素鋼板は、主として変
圧器、その他電気機器の鉄心として使用されており、磁
気特性として製品の磁束密度(B8 値で代表される)
 が高く、鉄損(W17/50 値で代表される) が
低いこと、さらに表面性状が良好な絶縁被膜を被成して
いることなどが要求されている。とくにエネルギー危機
を境にして電力損失の低減を至上とする要請が著しく強
まり、変圧器用鉄心材料としての鉄損のより低い一方向
性けい素鋼板の必要性はますます高まってきている。そ
して、この一方向性けい素鋼板の鉄損改善の歴史は、ゴ
ス方位2次再結晶集合組織の改善の歴史であると云って
も過言ではない。
【0003】
【従来の技術】2次再結晶粒を制御する方法として、A
lN ,MnS 及び MnSe 等の1次再結晶粒成
長抑制剤、いわゆるインヒビターを用いてゴス方位2次
再結晶粒を優先成長させる方法が実施されている。一方
、上記の2次再結晶集合組織を制御する冶金的手段とは
異なる鉄損改善技術も種々開発されている。すなわち、
市山  正:鉄と鋼、69(1983), P.895
、特公昭57−2252号公報、特公昭57−5341
9 号公報、特公昭58−26405 号公報、及び特
公昭58−26406 号公報などにはレーザーを、又
特開昭62−96617 号公報、特開昭62−151
511号公報、特開昭62−151516号公報、及び
特開昭62−151517号公報などにはプラズマを、
それぞれ鋼板表面に照射することにより、鋼板に局部微
小歪を導入して磁区を細分化し、鉄損を低下させる画期
的な方法が提案開示されている。しかしながら、これら
の方法により得られた鋼板は、高温域まで加熱すると微
小歪が消失するため、高温の歪取り焼鈍を施す巻鉄心ト
ランス用材料に使用する場合、上記効果が発揮できない
という欠点があった。また、一方このような高温の歪取
り焼鈍を施しても鉄損が劣化しない方法も提案開示され
ている。すなわち、特公昭50−35679 号公報、
特開昭59−28525号公報、及び特開昭59−19
7520号公報などには、仕上焼鈍板の表面に溝もしく
はセレーションを形成する方法、特開昭56−1304
54号公報には、仕上焼鈍板の表面に微細再結晶粒領域
を形成する方法、特開昭60−92479号公報、特開
昭60−92480 号公報、特開昭60−92481
 号公報、及び特開昭60−258479号公報などに
は、フオルステライト質被膜に異厚あるいは欠損領域を
形成する方法、特開昭60−103124号公報、及び
特開昭60−103182号公報などには、地鉄中、フ
オルステライト質被膜中、又は張力付与絶縁被膜中に異
組成領域を形成する方法等がある。しかしながら、これ
らの方法はいずれも工程が複雑となるわりには鉄損の低
減効果は少なく、また製造コストが高くなることもあっ
て工業的に採用されるには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、磁
区細分化によって改善された鉄損がその後の歪取り焼鈍
を施しても劣化することのない低鉄損一方向性けい素鋼
板を、安定かつ有利に製造する方法について提案するも
ので、発明者らが、特開平2−277780号公報で開
示した電子ビーム照射による磁区細分化技術をさらに改
善するものである。またこの発明の別の目的は、低鉄損
一方向性けい素鋼板を、安定して、しかも工業的規模で
製造する場合に有利な製造設備列について提案すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、鉄損の改善
に有効な磁区細分化方法について発明者らが鋭意研究を
重ねた結果、高電圧、小電流で発生させた電子ビームを
照射し、電子ビーム照射後の鋼板をエッチングし、さら
にその上に絶縁被膜を塗布することによって、電子ビー
ム照射のみの場合よりも優れた鉄損が得られ、歪取り焼
鈍を施しても磁気特性が劣化しない低鉄損一方向性けい
素鋼板を、きわめて安定して製造できることを見出した
ものである。すなわち、この発明の要旨は、仕上焼鈍を
施して得られるフオルステライト被膜を有し、該フオル
ステライト上に絶縁被膜を被成した一方向性けい素鋼板
表面に、高電圧、小電流で発生させた電子ビームを圧延
方向と交わる方向に局所的に断続照射した後エッチング
を施し、さらにその上に絶縁被膜を被成することを特徴
とする歪取り焼鈍を施しても磁気特性が劣化しない低鉄
損一方向性けい素鋼板の製造方法である。
【0006】ここに、局所的に断続照射というのは、互
いにスポット中心間隔をへだてる電子ビームの照射領域
を局所と呼んで、そのおのおのに単一の照射を行う場合
のほか、照射エネルギーに強弱を付した複数の照射を互
いに近接して施した場合を含めて、スポット中心間隔よ
りも長い間隔でのスポット状走査によることを意味する
。電子ビーム照射後のエッチングは、電子ビーム照射領
域の微少圧入領域部の地鉄をさらに深くエッチングする
ことにより、磁区細分化を確実にするもので、従来より
公知の硫酸、塩酸などの溶液に浸漬するか、公知の電解
エッチングで行えばよい。磁区の細分化により低鉄損を
得るためには、フォルステライト被膜と絶縁被膜とを狭
い幅で地鉄内部に奥深くまで電子ビーム照射により圧入
させることが好ましいが、このための電子ビームの発生
条件は、加速電圧を65 KV から 500 KV 
、加速電流を 0.001 mA から5 mA の範
囲とすることが好適であり、単一の電子ビーム照射領域
径は 0.5mmφ以下の大きさにすることが好ましい
【0007】なおこの発明の方法の適用に関し一方向性
けい素鋼板の成分組成については、従来公知の成分組成
のものいずれもが適合するが、代表組成をあげると以下
のとおりである。C:0.01 wt %以上、0.1
0wt%以下。 熱間圧延、冷間圧延中の組織の均一微細化のみならず、
ゴス方位の発達に有用な元素であり、少なくとも 0.
01 wt%以上の添加が好ましい。しかしながら0.
10wt%を超えて含有するとかえってゴス方位に乱れ
が生じるので上限は0.10wt%が好ましい。 Si : 2.0wt%以上、4.5 wt%以下。 鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与するが、2
.0 wt%に満たないと比抵抗が低下するだけでなく
、2次再結晶・純化のために行なわれる最終高温焼鈍中
にα−γ変態によって結晶方位のランダム化を生じ、十
分な鉄損改善効果が得られず、また 4.5wt%を超
えると冷延性が損なわれる。したがって、下限を 2.
0wt%、上限を 4.5wt%とすることが好ましい
。 Mn : 0.02 wt%以上、0.12wt%以下
。 熱間脆化を防止するため少なくとも0.02wt%を必
要とするが、あまり多すぎると磁気特性を劣化させるの
で、上限は0.12wt%が好ましい。インヒビターと
しては、大別して MnS, MnSe系と AlN系
とがある。MnS, MnSe 系の場合は、S: 0
.005wt%以上、0.06 wt %以下、及びS
e : 0.005wt%以上、0.06 wt %以
下、のうちから選ばれる少なくとも1種。S,Seはい
ずれも方向性けい素鋼板の2次再結晶を制御するインヒ
ビターとして有力な元素である。ともに抑制力確保の観
点からは、少なくとも 0.005wt%程度を必要と
するが、0.06wt%を超えるとその効果が損なわれ
るので、その下限を0.005wt %、上限を 0.
06 wt%とすることが好ましい。AlN系の場合は
、 Al:0.005wt %以上、0.10wt%以下、
及びN: 0.004 wt%以上、0.015 wt
%以下。 Al及びNの範囲についても、上述した MnS系、M
nSe系の場合と同様の理由により上記の範囲とするこ
とが好ましい。インヒビター成分としては上記したS,
Se, Alの他に、Cr, Mo, Cu, Sn,
 Ge, Sb, Te, Bi及びPなどについても
有利に適合するもので、それぞれ少量併せて含有させる
こともよい。ここに上記成分の好適添加範囲はそれぞれ
、Cr, Cu, Sn:0.01wt%以上、0.5
0wt%以下、Mo, Ge, Sb, Te, Bi
 : 0.005wt%以上、0.1 wt%以下、P
:0.01wt%以上、0.2 wt%以下であり、こ
れら各インヒビター成分についても単独使用及び複合使
用いずれの場合もが適合する。
【0008】またこの発明の方法に直接使用する低鉄損
一方向性けい素鋼板の連続製造設備列には、仕上げ焼鈍
済みの一方向性けい素鋼板の表面に、その圧延方向と交
わる向きの電子ビーム照射を高真空下で行う電子ビーム
照射室の鋼板の入、出側に、この照射室へ向けて漸次高
真空となる複数の予備排気室をそなえる差圧室をそれぞ
れ設け、さらに電子ビーム照射にて鋼板表面に与えた微
小圧入領域にエッチングを施すエッチング室と、鋼板表
面上に絶縁被膜を被成するコーティング室と、絶縁被膜
の焼付け及び歪取りに必要な焼鈍を行う熱処理室と、を
鋼板の搬送方向へ順に配置してなるものが、有利に適合
する。
【0009】図1にこの発明に従う製造設備列を示すよ
うに、ペイオフリールにて巻戻された仕上げ焼鈍済みの
一方向性けい素鋼板1は、差圧室2から電子ビーム照射
室3へ導入し、鋼板1の表面へ電子ビームの照射を行う
。ここで差圧室2には、発明者らが先に特開昭64−6
51265号公報にて開示した、電子ビーム照射室3へ
向けて漸次高真空となる複数の予備排気室をそなえる、
いわゆるエア・トゥ・エア方式の差圧室を用いる。
【0010】そして電子ビーム照射室3内にて、通常の
電子ビーム照射装置の広角偏向コイルにおけるX、Y軸
方向の調整によって、上記した好適条件下で電子ビーム
を照射する。また電子ビームを照射するに当たり、鋼板
1が巻鉄心用であれば、歪取り焼鈍に耐えられるように
電子ビームのパワー密度を強くする必要があるが、この
電子ビームを照射すると、その裏面に凸部が発生し占積
率が低下するため、図2に示すように、電子ビームは鋼
板1の表裏面から同一位置に照射することが好ましい。 ちなみに鋼板が積鉄心用であれば単に微小歪を導入すれ
ばよく、従って電子ビームのパワー密度は弱くて済むた
め、図3に示すように、鋼板1の表裏面から電子ビーム
を照射する場合はその照射位置をずらしてもよい。なお
電子ビームの照射は、巻鉄心用及び積鉄心用のいずれで
あっても、片面のみで充分な効果を期待できる。上記の
電子ビーム照射を施した鋼板1は、差圧室2と同様、照
射室3へ向けて漸次高真空となる差圧室4を通って大気
中に出る。ちなみに積鉄心用の鋼板であれば、ここで巻
取ることになる。
【0011】次いで鋼板1は、歪取り焼鈍によって電子
ビーム照射後の磁区細分化効果を消失させないために、
エッチング室5にて、電子ビーム照射にて鋼板表面に与
えた微小圧入領域にエッチングを施す。このエッチング
は浸漬や電解で行うが、電解エッチングは5〜40A/
dm2 の電流密度で、NaCl,HCl,H2SO4
等のエッチング液を用いて0.1 〜20秒間行えばよ
い。このエッチングを終了した鋼板1はコーティング室
6内に導入され、鋼板表面上に絶縁被膜が被成される。 絶縁被膜の被成には、リン酸塩及びコロイダルシリカを
主成分とする低熱膨張性のコーティング処理液を用いる
ことが好ましく、通常鋼板表面上に1〜10g/m2で
塗布する。さらに鋼板1はコーティング室6内に導入さ
れ、例えば焼鈍炉などの熱処理室7にて、絶縁被膜の焼
付け及び歪取りに必要な焼鈍を行う。 ここでの温度は、700 〜850 ℃で0.1 〜3
00 秒間の範囲で行うとよい。最後に熱処理室7を出
た鋼板1は、コイルに巻取られて製品となる。
【0012】
【作用】フォルステライト被膜上に絶縁被膜を被成した
一方向性けい素鋼板の鉄損を改善するために有効な磁区
の細分化は、フォルステライト被膜および絶縁被膜を、
狭い幅の微少領域で鋼板の板厚方向へ地鉄内部の奥深く
まで圧入させることが好ましい。また、フォルステライ
ト被膜、絶縁被膜の膜厚が厚い場合には、板厚方向への
透過力が弱まって地鉄内部への圧入が浅くなり、結果と
して歪取り焼鈍後に磁区細分化効果が消失し、鉄損を改
善することができなくなることから地鉄内部への圧入効
果を高める必要がある。フォルステライト被膜および絶
縁被膜を微少領域で圧入効果を高め地鉄内部の奥深くま
で圧入させるためには、高電圧、小電流で発生させた電
子ビームを用いることではじめて可能になる。この電子
ビームの透過力は、通常X線が大量発生する65KV以
上の加速電圧で増大する。したがってその効果を最大限
に生かすためには加速電圧を高くし、加速電流を小さく
設定して用いることが重要であり、これらの値としては
、加速電圧: 65KV から500KV 、加速電流
 : 0.001 mAから5mAの範囲が好適である
。さらに、磁区細分化を効率よく行うためには圧入幅を
極力狭くすることが好ましい。 このために、小径の電子ビームを用い、単一の電子ビー
ムの照射領域径を 0.5mmφ以下の大きさにするこ
とが効果的である。この高電圧、小電流で発生させた電
子ビームは、他のレーザー、プラズマ、メカニカルな手
法等にくらべ、板厚方向への透過力が強く、しかも最も
狭い幅でフォルステライト被膜および絶縁被膜を地鉄内
部に圧入するため、フォルステライト被膜および絶縁被
膜を消失することなく地鉄中へ押し込めることを可能と
している。
【0013】次に電子ビーム照射域のフォルステライト
被膜および絶縁被膜は、電子ビーム照射によるダメージ
があって、この部分はエッチングされ易くなっているこ
とから、電子ビーム照射後の鋼板をエッチングすること
により、電子ビーム照射領域の微少圧入領域部の地鉄を
深くエッチングし、磁区細分化効果をさらに高める。こ
のエッチングは、硫酸、塩酸等従来公知の酸洗液を用い
て浸漬するか、公知の電解エッチング方法で5A/dm
2 から 200A/dm2 の範囲の電流密度で行う
とよい。そして上記処理を行なった後の鋼板は、電子ビ
ーム照射域の絶縁性を保つため、絶縁被膜を被成するこ
とが必要である。
【0014】さらに、この発明を実験例に基づいて述べ
る。 C:0.043 wt%, Si : 3.36 wt
%, Mn : 0.070wt%, Mo : 0.
013wt%, Se : 0.019wt%、及びS
b : 0.023wt%を含有するけい素鋼スラブを
、1360℃で3時間加熱後、熱間圧延して 2.4m
m厚の熱延板とした後、970℃で3分の中間焼鈍をは
さむ2回の冷間圧延を施して 0.2mm厚の最終冷延
板とした。ついで 815℃の湿水素中で脱炭・1次再
結晶焼鈍を施した後、鋼板表面上に MgOを主成分と
する焼鈍分離剤をスラリー塗布し、その後 850℃で
50時間の2次再結晶焼鈍を行ってゴス方位2次再結晶
粒を優先成長させた後、1200℃の乾水素中で5時間
の純化焼鈍を施した。次いで鋼板表面上にリン酸塩とコ
ロイダルシリカを主成分とする絶縁被膜を被成した後、
加速電圧: 250KV, 加速電流 : 1.5 m
A で発生させた照射領域径:  0.15 mmφの
電子ビームを、圧延方向と直角方向に局所的にかつ、電
子ビーム走査間隔 :5mm、スポット中心間隔 : 
0.3 mm で断続照射しした。その後、そのまま、
あるいはエッチング、エッチングにつづいて絶縁被膜の
被成、などの処理を行なった後、800℃で3時間の歪
取り焼鈍を行い試料を作製した。また比較のため電子ビ
ーム照射を施さない試料も作製した。これらの試料計6
種類の処理条件と、歪取り焼鈍後の鋼板の磁気特性及び
絶縁特性の測定結果とをまとめて表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】表1から明らかなように、電子ビームを照
射しない場合(試料番号6)の鉄損W17/50 は 
0.90 W /Kgであるが、電子ビームを照射する
ことにより(試料番号1)鉄損17/50 は 0.8
2 W/Kgと向上する。しかしながら、電子ビームを
照射した後エッチングを施すことにより(試料番号2〜
5)鉄損は 0.79 〜0.75 W/Kg とさら
に向上している。従ってこの発明のように、電子ビーム
照射後にエッチングを施すことは、電子ビーム照射によ
ってフォルステライトと絶縁被膜が地鉄内部に圧入され
た微少領域部において、地鉄深さ方向により深くエッチ
ングされ、これが歪取り焼鈍を施しても有効な磁区細分
化核として効果的に作用し、低鉄損のけい素鋼板を得る
ことを可能としているものである。またエッチング後、
絶縁被膜を塗布しない場合(試料番号2と4)は絶縁特
性が劣っている。したがって絶縁効果を高めるためにエ
ッチング後、絶縁被膜を被成することが必要になる。
【0017】
【実施例】(実施例1) (A) C:0.076 wt%, Si: 3.43
wt%, Mo:0.015 wt%, Cu:0.0
08 wt%, Se:0.021 wt%, Sn 
: 0.12 wt%, 及びAl:0.025 wt
% (B) C:0.042 wt%, Si:3.36w
t%, Mn:0.059 wt%, Mo:0.01
4 wt%, Se:0.019 wt%, 及びSb
 : 0.023wt%   をそれぞれ含有するけい素鋼スラブを用いて製造したフ
ォルステライト被膜上に絶縁被膜を被成した0.2 m
m厚の仕上焼鈍板に、電子ビーム照射装置を用いて、電
子ビームを次の■〜■の条件下で照射した。
【0018】すなわち電子ビームは、加速電圧:■65
 KV ,■175  KV ,■250KV 、加速
電流:■2.5mA ,■2.0mA ,■ 1.7 
mA で発生させた照射領域径:■0.25mmφ,■
0.15mmφ,■0.10mmφの電子ビームを圧延
方向と直角方向で局所的に断続照射し、電子ビームの走
査間隔:5mm、スポット中心間隔:0.3 mmで照
射した。電子ビーム照射後は、10%の H2SO4溶
液を用いて電流密度:10 A/dm2で電解エッチン
グを行った後、リン酸塩とコロイダルシリカを主成分と
する絶縁被膜を被成し、800 ℃で3時間の歪取り焼
鈍を施した。
【0019】かくして得られた上記(A) 及び(B)
 の2鋼種の製品の磁気特性は、それぞれ以下の通りで
あり、高温歪取り焼鈍を施しても優れた鉄損を示す製品
が得られた。 ■  (A) B8 : 1.93   T , W1
7/50 :0.75 W/kg (B) B8 : 
1.91   T , W17/50 :0.79 W
/kg ■  (A) B8 : 1.93   T 
, W17/50 :0.73 W/kg (B) B
8 : 1.91   T , W17/50 :0.
77 W/kg ■  (A) B8 : 1.93 
  T , W17/50 :0.72 W/kg (
B) B8 : 1.91   T , W17/50
 :0.75 W/kg またこれらの製品の絶縁特性
も良好であった。
【0020】(実施例2) C:0.078 wt%, Si: 3.49 wt%
, Mn:0.096 wt%, Mo:0.013 
wt%, Cu:0.045 wt%, Se:0.0
20 wt%及びAl:0.032 wt%を含有する
けい素鋼熱延板に、1050℃の中間焼鈍を挟む2回の
冷間圧延を施し0.20mm厚の最終冷延板とした。そ
の後840 ℃の湿水素中で脱炭を兼ねる1次再結晶焼
鈍を施した後、850 ℃から1050℃まで10℃/
hの速度で昇温してゴス方位2次再結晶を発達させた後
、1230℃の乾水素中で純化焼鈍を施した。次いで鋼
板の表面上にリン酸塩とコロイダルシリカを主成分とす
る絶縁被膜を被成した後、図1に示した設備列によって
、積鉄心用鋼板及び巻鉄心用鋼板に対しそれぞれ以下の
各種処理を行った。
【0021】 (A) 積鉄心用鋼板鋼板を搬送速度:45m/min
 で連続通板し、電子ビーム照射室(真空度:4×10
−4Torr)にて、加速電圧:225KV 及び加速
電流:0.8mA で発生させた電子ビームを、鋼板の
表裏面に圧延方向と直角方向で局所的に断続照射(走査
間隔:7.5mm)した。 (B) 巻鉄心用鋼板鋼板を搬送速度:22m/min
 で連続通板し、電子ビーム照射室(真空度:5×10
−4Torr)にて、加速電圧:225KV 及び加速
電流:1.4mA で発生させた電子ビームを、鋼板の
表裏面に圧延方向と直角方向で局所的に断続照射(走査
間隔:5mm)し、その後エッチング室にて、30%H
2SO4 のエッチング液を用いて電流密度10A/d
m2 で2秒間の電解エッチングを施し、次いでコーテ
ィング室にてコーティング処理(4g/m2で塗布)後
、熱処理室にて800 ℃で1分間の焼鈍を施した。
【0022】かくして得られた製品の磁気特性は、積鉄
心用鋼板でB8:1.93T 及びW17/50 :0
.75 W/kg 、巻鉄心用鋼板でB8 :1.92
T 及びW17/50 :0.77 W/kg と良好
な値を示し、特に巻鉄心用鋼板はさらに800 ℃で3
時間の歪取り焼鈍を施したところ、磁気特性はB8 :
1.92T 及びW17/50 :0.76 W/kg
 と劣化することはなかった。
【0023】
【発明の効果】この発明によれば、電子ビームの照射と
、その後のエッチングを行うことにより、歪取り焼鈍を
施しても鉄損の劣化しない一方向性けい素鋼板を安定し
て製造することができ、またこの発明によって得られた
製品は、特に高温歪取り焼鈍を必要とする用途に用いて
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法に使用する連続製造設備列を示
す模式図である。
【図2】巻鉄心用鋼板に対する電子ビームの照射位置を
示す模式図である。
【図3】積鉄心用鋼板に対する電子ビームの照射位置を
示す模式図である。
【符号の説明】
1  鋼板 2  差圧室 3  電子ビーム照射室 4  差圧室 5  エッチング室 6  コーティング室 7  熱処理室

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  仕上焼鈍を施して得られるフオルステ
    ライト被覆を有し、該フオルステライト上に絶縁被膜を
    被成した一方向性けい素鋼板表面に、高電圧、小電流で
    発生させた電子ビームを圧延方向と交わる方向に局所的
    に断続照射した後エッチングを施し、さらにその上に絶
    縁被膜を被成することを特徴とする歪取り焼鈍を施して
    も磁気特性が劣化しない低鉄損一方向性けい素鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】  仕上げ焼鈍済みの一方向性けい素鋼板
    の表面に、その圧延方向と交わる向きの電子ビーム照射
    を高真空下で行う電子ビーム照射室の鋼板の入、出側に
    、この照射室へ向けて漸次高真空となる複数の予備排気
    室をそなえる差圧室をそれぞれ設け、さらに電子ビーム
    照射にて鋼板表面に与えた微小圧入領域にエッチングを
    施すエッチング室と、鋼板表面上に絶縁被膜を被成する
    コーティング室と、絶縁被膜の焼付け及び歪取りに必要
    な焼鈍を行う熱処理室と、を鋼板の搬送方向へ順に配置
    してなる低鉄損一方向性けい素鋼板の連続製造設備列。
JP4458391A 1990-05-22 1991-01-21 歪取り焼鈍を施しても磁気特性が劣化しない低鉄損一方向性けい素鋼板の製造方法及び低鉄損一方向性けい素鋼板の連続製造設備列 Pending JPH04214819A (ja)

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